ホワイトナイトとは?買収防衛策や戦略・実施するタイミングまで解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた対象会社を買収者に対抗して、友好的に買収又は合併する会社を指し、企業の買収防衛策の1つです。本記事では、ホワイトナイトの意味や実例、買収防衛策などについて詳しく解説していきます。

目次

  1. ホワイトナイトとは
  2. ホワイトナイトによる買収の特徴
  3. ホワイトナイトを実施するタイミング
  4. ホワイトナイトによるその他の戦略
  5. ホワイトナイトを実施して敵対的買収へのリスクを減らそう!
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1. ホワイトナイトとは

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた対象会社を買収者に対抗して、友好的に買収又は合併する企業を指し、企業の買収防衛策の1つです。
株式投資やM&Aでは、株の売買が頻繁に行われています。
その売買の中には、敵対心を持って故意的に買収を仕掛けてくる者達が存在します。
その際、ホワイトナイトの存在を理解していないと、対抗する有効手段がなくなってしまうため、理解しておくことが大切です。
ホワイトナイトを理解しておくことで、敵対的買収を仕掛けられたときでも、冷静に対応することができます。
まずは、ホワイトナイトが存在する意味について解説していきます。

ホワイトナイトの意味

なぜホワイトナイトが存在するのかというと、敵対的買収から自社を守る対策はいくつかありますが、ホワイトナイトは「友好的な第三者」の協力を得て実現するのが特徴です。
株式を公開している上場企業は、常に敵対的買収のリスクを背負っています。
株式を上場させることで、第三者の誰でもその企業の株を売買することができるのです。
ホワイトナイトの意味を理解しておかないと、敵対的買収を目的とした者から企業の経営権を取られてしまう可能性があります。
このようなことが起きないためにも、ホワイトナイトは以下の役割を担っています。

・買収を防ぐ防衛策
・友好的買収によって会社を守る

それでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

買収を防ぐ防衛策

ホワイトナイトの意味について解説をしましたが、なぜ敵対的買収を行うのかについても理解しておくことが必要です。
敵対的買収とは、経営陣の合意を得ずに実行される一方的な買収のことです。
株式公開買付(TOB)という方法によって、市場外または市場内と市場外の組み合わせ等で株主から株式を買い集め、経営権の取得を目的としているのです。
株主は投資をしている以上、自分の利益を追求します。
あわよくば、その企業の株を買占め、経営権を持つことで思うように会社を動かすことを考えている可能性があります。
留意点として、「敵対的」と感じるのは、あくまでも買収を仕掛けられた経営陣(経営者・取締役など)や、一部の利害関係者です。
このような敵対的買収を防ぐためにホワイトナイトは存在します。

友好的買収によって会社を守る

友好的買収とは、経営陣(経営者・取締役など)の合意を得て実行させる買収です。
具体的には、敵対的買収を仕掛けられた企業が友好的な買収をしてくれるホワイトナイトを見つけ出し、敵対的買収に対抗して買収や合併を実行してもう流れです。
ホワイトナイトにとっては、突発的な買収になるため、通常の条件よりも有利な条件を提示しなければ難しいと考えられます。
企業のピンチを救う者になることから、友好的買収を行う第三者を「白馬の騎士=ホワイトナイト」と呼ぶことがあります。

2. ホワイトナイトによる買収の特徴

ここからは、ホワイトナイトによる買収の特徴を紹介していきます。
買収の特徴は以下2点が挙げられます。

・より高いTOB価格を提示する
・ホワイトナイト対象になる企業

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

より高いTOB価格を提示する

敵対的買収に対抗する方法はいくつかありますが、ホワイトナイトによって行う友好的買収者には十分な資力がある場合、より高いTOB価格で提示する「カウンターTOB」が用いられます。
TOBとは、株式公開買付と呼ばれ、買収者があらかじめ買付期間・買付株数・買付価格を公表した上で、取引所外または、取引所内外の組み合わせで株の買付を行うことです。
敵対的買収はTOBによって実行され、TOBを行った際、ホワイトナイトはより高いTOB価格を提示して買収者に対抗します。
これをカウンターTOBと呼びます。
ホワイトナイトがTOB価格を上げることで、敵対的買収者も価格を上げることになり、株の買取合戦となる可能性があるでしょう。
一般的に、企業の経営権を取得するには、株式の2分の1の獲得が必要です。

ホワイトナイト対象になる企業

次にホワイトナイト対象になる企業について紹介していきます。
ホワイトナイトがTOBに関して重要なことを解説していきましたが、ホワイトナイトとなる企業を選ぶことも重要です。
敵対的買収を仕掛けられると、ホワイトナイトとして協力してくれる第三者を探します。
この第三者は誰でも良いというわけではなく、自社に友好的である以外に、カウンターTOBでも対抗できるための資金力が必要となります。
買取合戦でTOB価格が上昇することを考慮すると、自由に動かせる多くの資金があり、銀行からの融資をすぐ受けられる社会的信用度の高い企業を選ぶことが重要です。
実例として、2006年10月、アメリカの投資ファンドであるスティールが、明星食品に対して敵対的TOBを実施しました。
これに対して日清食品がホワイトナイトとして明星食品への友好的TOBの実施を発表しました。
その結果、スティールは日清食品によるTOBを支持し、日清食品のTOBが成立した実例があります。
ホワイトナイトは友好的な関係であっても、自社を売ることには変わりないため、自社とのシナジー効果がどれだけあるのか、従業員の雇用が維持されるのかという点も確認しておきましょう。

3. ホワイトナイトを実施するタイミング

敵対的買収を仕掛けられたとき、どのタイミングでホワイトナイトを探すのか、どのように対策をすれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
ホワイトナイトを実施するタイミングは、買取を仕掛けられてから行います。
具体的に、敵対的買収を仕掛けられたときに知っておくべきことを紹介していきます。

買収防衛策の種類

買取防衛策には、敵対的買収を仕掛けられる前買取を仕掛けられたときの2種類があります。
この2つの種類について見ていきましょう。

買収への予防策

敵対的買収を仕掛けられる前に自社で行える対策について紹介していきます。
予防策の種類は以下の通りです。

1.ポイズンピル
2.ゴールデンパラシュート
3.ティンパラシュート
4.マネジメント・バイアウト
5.プットオプション
6.チェンジ・オブ・コントロール
7.黄金株
8.絶対的多数条項
9.全部取得条項付株式
10.事前警告型防衛策

上記のように、敵対的買収を仕掛けられる前に自社で行える予防策は10種類あります。
どの防衛策を採用するかは、そのときの状況によって判断することが望ましいです。

買収への対抗策

敵対的買収を仕掛けられたときに行える対策を紹介していきます。
対抗策の種類は以下の通りです。

1.ホワイトナイト
2. ジューイッシュ・デンティスと
3.焦土作戦(クラウン・ジュエル)
4.資産ロックアップ
5第三者割当増資
6.第三者との株式交換

など

上記が対抗策として挙げられます。

実施するタイミング

実施するタイミングは、買取前と買取後で変りますが、ホワイトナイトを例に挙げて紹介していきます。
ホワイトナイトは、買取を仕掛けられてから行う対抗策です。
流れとしては以下の通りです。

1.敵対する企業がTOBを仕掛ける
2.ホワイトナイト(友好的な第三者)を探し、支援を要請する
3.敵対的買収者に対して買取を実行する

上記のタイミングでホワイトナイトを開始し始めます。

ホワイトナイト以外の対抗策

ホワイトナイト以外の対抗策は前述で挙げたように、買取を仕掛けられる前と、仕掛けられた後で、いくつか対策があります。
まとめた対抗策は以下の通りです。

買取を仕掛けられる前

1.ポイズンピル
2.ゴールデンパラシュート
3.ティンパラシュート
4.マネジメント・バイアウト
5.プットオプション
6.チェンジ・オブ・コントロール
7.黄金株
8.絶対的多数条項
9.全部取得条項付株式
10.事前警告型防衛策

買取を仕掛けられた後

1.ホワイトナイト
2. ジューイッシュ・デンティスと
3.焦土作戦(クラウン・ジュエル)
4.資産ロックアップ
5第三者割当増資
6.第三者との株式交換

その他の防衛策

1.パックマン・ディフェンス
2.スタッガードボード
3.労働組合の力を借りる

上記がホワイトナイト以外で挙げられる対策です。
 

4. ホワイトナイトによるその他の戦略

ここからは、ホワイトナイトによるその他の戦略について解説していきます。
その他の戦略は以下の通りです。

・第三者割当増資の実施
・新株予約権の付与
・重要財産の譲渡

カウンターTOB以外に上記方法でホワイトナイトを実施される場合があります。
それでは、それぞれについて見ていきましょう。

第三者割当増資の実施

第三者割当増資の実施とは、新しい株の発行によって特定の第三者から資金を調達する増資方法です。
敵対的買収が行われた場合、企業はホワイトナイトに対して新しい株を発行します。
買取者のTOBが成立したとしても、新しい株の発行によって時株比率が減少するため、買取者は経営権を掌握できません。
ただし留意しておきたい点があります。
それは、第三者割当図推しは既存の株主にも大きな影響を与えてしまうことです。
新しい株が大量に発行されて発行済株式総数が増えると、議決権比率低下により、1株あたりの価値が減少する「株式の希薄化」が起こります。
株式の希薄化とは、新しい株が発行されて発行済株式総数が増加することによって、1株あたりの価値が下がることです。
もし、時価よりも安い価格で新しい株を発行する「有利発行」となる場合、既存の株主からは不満の声が上がります。
第三者割当増資は、株主の利益を侵害する可能性があるため、株主総会の特別決議が必要です。
ホワイトナイトの一つの戦略として覚えておきましょう。

新株予約権の付与

新株予約権の付与とは、株式会社の株式交付が受けられる権利です。権利が行使されると、権利行使者はあらかじめ決めていた条件・価格で株式の交付を受けることができます。
新株予約権の付与を行う目的は第三者割当増資と同様、買取者の時株比率を下げ、ホワイトナイトの時株比率を上げることが目的です。
新株予約権も株式甲府で発行済株式総数が増えれば既存の株主の時株比率を下げることになるので、留意が必要です。
第三者割当増資と同様にホワイトナイトによる戦略にはなりますが、リスクがあることを忘れないようにしましょう。

重要財産の譲渡

敵対的買収の目的として、重要な財産を手に入れたい場合が挙げられます。
重要財産は、宝石や貴重品類ではなく、技術や開発など、その企業による知識であることも考えられます。
このような企業の重要財産が敵対的買収者へ渡ってしまうと、買収後の共同開発や技術提携などの可能性が消滅する恐れがあるのです。
これまでのように保守や運用ができなければ、今まで築き上げてきた技術や取引先との関係性が悪化してしまう可能性も考えられるでしょう。
このような状況を起こさないためにも防衛策として、譲渡先をホワイトナイトにすることで、買収後のリスクを最小限に抑えることができます。
ただし、事業の重要な一部や企業の譲渡をするときは、株主総会の特別決議が必要です。
法律違反にならないためにも十分に注意して行いましょう。

5. ホワイトナイトを実施して敵対的買収へのリスクを減らそう!

ホワイトナイトの意味や戦略、実例を紹介してきましたが、ホワイトナイトが重要なことは理解できたのではないでしょうか。
会社を経営するうえで経営者や取締役など、重要なポジションを担っている方はホワイトナイトを理解していないと、敵対的買収にあったときに冷静に対処することが難しいと考えられます。
実例があるように、株式を公開している上場企業は、いつ敵対的買収にあってもおかしくありません。
常にリスクを背負った状態で企業を運用していますが、公開しているという事は社会的信用度は高くなります。
ただし、これから伸びそうな上場企業をターゲットに敵対的買収者が現れるかもしれないということを念頭に置く必要があります。
もし、敵対的買収にあった場合は、ホワイトナイトを実施してリスクを減らしましょう。

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