株式譲渡・有価証券売却に消費税はかかる?計算方法、仕訳も解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

今回は、株式譲渡・有価証券売却と消費税の関係性をまとめます。株式譲渡・有価証券売却をした際に消費税は発生するのか、消費税計算に与える影響とは、有価証券売却時の仕訳などについて紹介し、課税売上高、課税売上割合などの用語も解説します。

目次

  1. 株式・有価証券の消費税とは
  2. 株式譲渡・有価証券売却で発生する消費税の計算方法
  3. 株式譲渡・有価証券売却時の仕訳
  4. 株式譲渡・有価証券売却時の消費税に関する注意点
  5. 株式譲渡・有価証券売却における消費税の相談先
  6. 株式譲渡・有価証券売却における消費税まとめ
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1. 株式・有価証券の消費税とは

株式・有価証券の消費税とは

今回は、「株式譲渡・有価証券売却」と「消費税」の関係性を解説します。株式譲渡や有価証券売却をした際に消費税は発生するのか、消費税計算に与える影響はあるのかなどがテーマです。この章では、株式・有価証券の消費税などについて見ていきましょう。

株式・有価証券とは

まず、「株式・有価証券」とは何かを解説します。「株式」とは、企業が資金調達するために発行する証券のことです。企業は株式を発行し、個人や企業に購入してもらいます。個人・企業が株式を購入するために支払ったお金は、その株式を発行している企業の資金となるでしょう。

「有価証券」とは、財産的価値を持つ証券のことで「債券・手形・小切手」などをさします。「有価証券」の中には「株式」も含まれ、「株式」を保有している個人・法人の称号が「株主」です。

株式譲渡・有価証券売却とは

「株式譲渡」とはM&A手法の一つです。譲渡側企業の株主が保有する株式を第三者に譲渡することで、企業の経営権を移転することです。株式譲渡を実施すれば、譲渡側の株主(個人・経営者)は、株式の売却金額を取得できます。

「有価証券売却」とは、文字どおり「債券・株式・手形・小切手」などの有価証券を売却することです。有価証券を売却したことで得られた利益のことを「有価証券売却益」と呼びます。

株式譲渡・有価証券売却と事業譲渡の違い

M&A手法の一つに「事業譲渡」があります。事業譲渡は「株式譲渡」と文字が似ているため、混同されている方もいますが、両者は違うものです。

「事業譲渡」は、会社が持つ一部または全部の事業を譲渡することであり、株式譲渡と事業譲渡は「譲渡対象」が違います。株式譲渡は「株式」を譲渡するのに対し、事業譲渡は「事業(および事業にかかわる資産・人材・技術・取引先など)」を譲渡することです。

株式譲渡と事業譲渡では「税金」が異なる

株式譲渡と事業譲渡における違いの一つが「税金」です。株式譲渡と事業譲渡では、発生する税金の種類が異なります。株式譲渡・事業譲渡それぞれにかかる税金は以下のとおりです。

売却側に発生する税金
株式譲渡(売却側) 事業譲渡(売却側)
所得税 法人税
消費税

※事業譲渡において消費税を税務署に納付するのは売却側ですが、実際に負担するのは買収側です。

事業譲渡を実施し、事業を売却・譲渡した場合は「法人税」が課せられます。これは、事業譲渡の売却代金を受け取るのが「譲渡側の企業」であるためです。

一方、M&Aスキームとして、株主が保有している株式を譲受側・買収側企業に売却・譲渡することで「株式譲渡」が実施された場合は、株主である個人にとって「株式売却益」を獲得できるため、「所得税」が発生します。

注目するべきことは、当記事のメインテーマでもある「株式譲渡・有価証券売却」と「消費税」の関係です。M&Aスキームにおいて、「消費税」が発生するのは「事業譲渡」が行われた場合です。「株式譲渡・有価証券売却」では「消費税」が発生しません

「株式譲渡」であれ「事業譲渡」であれM&Aを検討されている場合は、自社内だけの検討に留めずM&Aの専門家に相談しましょう。

M&A総合研究所では、豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を受け付けていますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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消費税とは

ここで「消費税」について確認しましょう。消費税とは文字どおり「消費」に対して課せられる税金をさします。消費税の負担者は「消費者(個人・法人)」ですが、消費税を納税する義務を有するのは「事業者」です。

消費者から支払われた消費税は、一度「事業者」が預かります。その後、事業者は消費税納付額の計算を行い、決定した消費税額を納付するのが規定です。

ちなみに、事業者の納付消費税額は、「消費者からすでに預かっている消費税額-すでに事業者が支払っている消費税(仕入れや経費支払いの際に発生)」で計算できます。

株式譲渡の際の消費税

M&A手法の一つである「株式譲渡」では、消費税が発生しません。株式譲渡は株主である個人が株式売却金額を取得するため、「所得税」が発生します。

有価証券売却の際の消費税

「有価証券売却」も、消費税は発生しません。「株式・債券・手形・小切手」などは「消費財」ではありません。有価証券の売却は「資本の移転」とみなされるため、消費税の対象とはならないでしょう。

消費税計算にかかる取引とは

納付すべき消費税を計算する場合、まず事業者が行った取引を3種類に分類します。その3種類とは、それぞれ「課税取引」「非課税取引」「不課税取引」です。

課税取引

「課税取引」とは、「非課税取引」「不課税取引」のどちらにも当てはまらない取引のことをさし、消費税の課税対象となる取引です。

非課税取引

「非課税取引」とは、消費税が課せられない取引のことをさしています。その消費に対して税金としての負担を強いることが当てはまらないものや、政策的に消費税を課すべきでないものが、「非課税取引」です。

M&A手法で頻繁に利用される「事業譲渡」では消費税が発生しますが、「事業譲渡」において売却される資産のうち「土地の譲渡・売却」は「非課税取引」とみなされます。

事業譲渡では土地の譲渡時に発生する金額に対して、消費税がかかりません。

事業譲渡以外の場面でも、例えば「教科書の販売」は消費税が課せられません。「教育提供は国の根幹である」といった政策的な配慮が背景にあります。

「株式譲渡」や「有価証券売却」などによる「資本の移転」も「非課税取引」です。株式譲渡・有価証券売却では、基本的に消費税が発生しません。

不課税取引

「不課税取引」は、消費税の課税対象とはならない取引です。取引の結果、「対価を得ることがない取引」が不課税取引で、以下が当てはまります。

【不課税取引の例】

  • 給与・賃金
  • 寄付金・補助金
  • 保険金
  • 配当金
  • 賠償金

【関連】事業譲渡における消費税!課税・非課税資産を分類!計算方法も解説!

2. 株式譲渡・有価証券売却で発生する消費税の計算方法

株式譲渡・有価証券売却で発生する消費税の計算方法

ここからは、「株式譲渡・有価証券売却」時における消費税の計算方法を解説します。株式をはじめとした有価証券の売却は「資本の移転」であるため、「非課税取引」に当たると解説しました。

非課税取引が多ければ多いほど、「自社の消費税納税額は少なくなる」と思われるかもしれませんが、そうではありません。消費税の計算過程では「課税売上割合」が重要になるからです。

「課税売上割合」は「課税売上高」と「非課税売上高」で計算する

消費税を計算する際は、「課税売上割合」の数値を算出します。基本的に、この課税売上割合が高いほど(95%以上)、消費税の納税額が低くなります。「課税売上割合」の算出方法は以下です。

【課税売上割合の算出方法】
課税売上割合=課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高)

「課税売上高」は、「課税取引」に当たる取引で発生した売上高の合計です。「非課税売上高」は「非課税取引」の売上高で、株式譲渡・有価証券売却などで発生した金額は「非課税売上高」に当たります。

なぜ「課税売上割合」を算出するのか

なぜ「課税売上割合」を算出する必要があるのでしょうか。その理由は、その事業者が「支払った消費税」を正確に算出するためです。事業者が納税すべき消費税額は「預かった消費税-支払った消費税」によって求められます。

ただし、実際には「支払った消費税」を全額差し引けるわけではありません。「課税売上割合」が95%以上の場合に限って、全額を差し引けます。「課税売上割合」が95%未満の場合、「控除できない消費税」が発生してしまうでしょう。

課税売上割合が小さいと消費税が増える

課税売上割合の計算式では、分母に「非課税売上高」があります。株式譲渡や有価証券の売却は「非課税取引」です。株式譲渡・有価証券売却の金額が大きくなるほど計算式の分母が大きくなるため、「課税売上割合」は小さくなります。

つまり、課税売上割合が大きければ消費税を低くできることはわかっていても、非課税取引が多いほど課税売上割合は小さくなります(95%未満になる)。「控除できない消費税」が発生し、支払うべき消費税額が多くなるでしょう。

3. 株式譲渡・有価証券売却時の仕訳

株式譲渡・有価証券売却時の仕訳

ここで、株式譲渡・有価証券売却をした際の「仕訳」について見ていきましょう。株式・有価証券を売却した場合は、売却する株式・有価証券の「帳簿価格」と株式・有価証券の「売却金額」における差額を「有価証券売却益(損)」勘定を使って記帳します。

有価証券売却益が発生した場合の仕訳

例えば、帳簿価格が「500」の有価証券を「1,000」で売却(売却手数料100)した際の仕訳は以下です。

【有価証券売却時の仕訳例(売却益の場合)】

借方 貸方
現金 890 有価証券 500
支払手数料 100 有価証券売却益 500
仮払消費税 10    

有価証券を売却した際は「支払手数料」が発生し、これに「消費税」が課せられます。「仮払消費税:10」は「支払手数料:100」に対する消費税となるでしょう。

ちなみに、「有価証券の売却」には消費税がかからないため、「仮受消費税」は0です。

有価証券売却損が発生した場合の仕訳

続いて、帳簿価格が「500」の有価証券を「200」で売却(売却手数料100)した際の仕訳は以下になります。

【有価証券売却時の仕訳例(売却損の場合)】

借方 貸方
現金 90 有価証券 500
支払手数料 100    
仮払消費税 10    
有価証券売却損 300    

ここでも、支払手数料に対して「消費税」が発生しているため、「支払手数料」に対する「仮払消費税」が10発生しています。

4. 株式譲渡・有価証券売却時の消費税に関する注意点

株式譲渡・有価証券売却時の消費税に関する注意点

この章では、「株式譲渡・有価証券売却」時の消費税に関する注意点を見ていきましょう。注意点は以下の3点です。

【注意点】

  1. 非課税売上高の割合に注意
  2. 5%相当額の例外に注意
  3. のれん代の金額に注意

①非課税売上高の割合に注意

まずは「非課税売上高」の割合に注意することです。M&Aによる株式譲渡や有価証券の売却で発生した売上高は「非課税売上高」に当たります。

非課税売上高が大きくなると「課税売上割合」の値は小さくなり、「控除できない消費税」が発生する可能性があるからです。

②5%相当額の例外に注意

「有価証券の売却」に関して、例外規定があります。株式市場における株式などの有価証券売買は、その性質上、毎日取引を行っている個人も多いでしょう。つまり、1年を通して「取引額が極端に大きくなってしまう」危険性があります。

「有価証券の売却」に関して、課税売上割合の計算時に「課税売上割合における計算式の分母に入れる」のは「売却額・譲渡額の5%」だけでよい規定があります。

③のれん代の金額に注意

これは、M&Aで「事業譲渡」をした際に注意すべきポイントです。「のれん代(営業権)」は「課税資産(消費税の対象となる資産)」の扱いとなります。

事業譲渡で多額の「のれん代(営業権)」を譲渡した場合は、消費税額が大きくなってしまう危険性があります。M&Aの際は、「のれん代(営業権)」に注意しましょう。

【関連】株式譲渡の費用・手数料まとめ!譲渡所得と税金も解説!

5. 株式譲渡・有価証券売却における消費税の相談先

株式譲渡・有価証券売却における消費税の相談先

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6. 株式譲渡・有価証券売却における消費税まとめ

株式譲渡・有価証券売却における消費税まとめ

今回は、「株式譲渡・有価証券売却」における消費税への影響を解説しました。「株式譲渡・有価証券売却」自体に消費税は発生しませんが、「課税売上割合の計算」に影響を与えることを理解しておきましょう。

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