空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)を解説!動向・事例・メリットなど

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

現在、国内では株式譲渡(会社譲渡)などによるM&Aが活況であり、それは空調工事会社も同様です。そこで、空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)について、メリットや注意点、具体的な手順や相場などを解説すると共に事例も紹介します。

目次

  1. 空調工事会社での株式譲渡(会社譲渡)は問題解決の有効手段
  2. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)事例
  3. 【相場目安】空調工事会社で株式譲渡(会社譲渡)の場合
  4. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)に成功する3つのポイント
  5. 空調工事会社を株式譲渡(会社譲渡)する基本的な流れ
  6. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)で最低限注意したいこと
  7. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)は専門家と協力しよう
  8. まとめ
  9. 空調設備工事業界の成約事例一覧
  10. 空調設備工事業界のM&A案件一覧
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1. 空調工事会社での株式譲渡(会社譲渡)は問題解決の有効手段

株式譲渡(会社譲渡)とは、M&A(Mergers and Acquisitions=合併買収)手法の1つです。会社の株式を売却し、その買い手が新たな株主となって経営権を譲り受けることになります。

空調工事業界では、その株式譲渡(会社譲渡)が近年、増加中です。その背景には、株式譲渡によって空調工事会社の課題を解消しようとする動きが多いからでしょう。

株式譲渡は経営を安定させ、後継者不足解消や事業拡大に最適な選択ともなりえます。まずは、株式譲渡によって解決できる問題について解説します。
 

  1. 人材不足・後継者問題を解決できる
  2. 激化する競争に対抗できる
  3. 下請けから脱却し経営を安定化できる
  4. 廃業よりも手元に資金が残る

①人材不足・後継者問題を解決できる

国土交通省の資料「建設業界の現状とこれまでの取組」によると、空調工事会社を含む建設業の就労者数は、1997(平成9)年では685万人でしたが、2018(平成30)年には503万人にまで減ってしまいました。

そのため、空調工事会社を含む建設業界では、慢性的な人手不足と、それに伴う従業員の高齢化が進んでおり問題化しています。そこで、空調工事会社が株式譲渡を実施すれば、人材不足を解決できます。

なぜならば、株式譲渡によって、譲渡先のリソースを加えて事業を進められるからです。今いる従業員などのほかにもリソースを活用できれば、事業を拡大し、会社をより長く存続させられます。

また、空調工事会社における人材不足は、後継者問題にも影を落としているというのが現実です。従来、日本で多数を占めていた、親族を後継者とする事業承継が減少するなか、社内の人材を後継者とする事業承継は有望な次善の策となります。

しかし、就労者数の低下は有望な後継者候補も減少させることとなり、後継者が見つからず廃業を選択せざるを得ないような状態にある中小規模の空調工事会社も少なくありません。

仮に空調工事会社が廃業したとすると、従業員は解雇となって路頭に迷い、取引先は契約を失って収益減となるなど、関係者や周囲に与える影響は大きなものがあります。

M&Aで株式譲渡を実施できれば、その買い手側が後継者、つまり、新たな経営者となるわけですから、後継者不在による廃業危機を脱することができます。

②激化する競争に対抗できる

空調工事会社の株式譲渡によって、「激化する競争に対抗できる」ようになります。

空調工事を含む建設業界では、中小企業による競争が激しく、業績を悪化させて廃業を選ぶケースも少なくありません。しかし、株式譲渡により他社と結びつき、リソースを活用できれば仕事を多く得られて競争に対抗できます。

たとえば、国土交通省の調査結果から見ると、建設業界の8割以上が資本金200万円~5,000万円未満の中小企業です。中小企業は下請けが多く、仕事を奪い合う状態のほか、人材不足で思うように仕事も受けられません。

そこで、空調工事会社が株式譲渡を実施することによって、譲渡先のリソースを活用できれば多くの仕事を受けられます。激化する競争に対抗する手段として、株式譲渡は有効な手段のひとつです。

③下請けから脱却し経営を安定化できる

空調工事会社で株式譲渡を選べば、ワンストップ経営によって下請けから脱却して経営を安定化できます。

ワンストップ経営とは、さまざまな工事を自社だけで行う経営方法のことです。他社から下請けしていた仕事を譲渡先から得られることで、中間マージンを減らして収益を増やせるでしょう。

譲渡先としては、外部の下請けに仕事を出す必要がなく、自社グループ内でまかなえることから、さまざまな工事内容を前面に出して、手広く仕事を集められます。

また、一括した工事を提供できることで他社との差別化が実現するので、受注も増え経営も安定してきます。

外注下請けから脱却して経営の安定化をしたことで、激化する業界内の競争にも負けずに経営を続けられるようにもなるでしょう。

そのほか、空調工事会社の株式譲渡では、事業拡大にも大きな効果があります。大手の傘下になれば財務面でも余裕ができるため、事業拡大にも効果を出せるはずです。

親会社が持つ顧客にサービス提供できるほか、リソースも持ってこれることからサービス内容も充実するでしょう。

顧客基盤や事業強化、収益アップから経営安定化まで幅広いメリットがあるのも株式譲渡の強みです。

④廃業よりも手元に資金が残る

空調工事会社を株式譲渡すれば、その対価として経営者は売却益を獲得します。会社の業績などの状態に応じた金額ですから、ある程度のまとまった資金となるでしょう。

株式譲渡後も会社に留まるなら、売却益を資金として投入してもいいですし、新規事業を立ち上げる資金にもなり得ます。あるいは、老後の生活資金として保有するのもいいでしょう。

仮に、空調工事会社を廃業した場合と比較すれば、廃業では施設や設備、備品などの廃棄処分で費用発生します。また、おそらくは、換金できる資産は少なく、それも少額に終わるでしょう。

それに、廃業では、借入金が残っていたり、個人保証をしたりしていれば、今後もその返済義務は継続します。株式譲渡では、会社を丸ごと譲渡しますから、借入金の責任は新たな経営者に移りますし、個人保証も解消されることがほとんどです。

つまり、廃業と株式譲渡を比較したとき、圧倒的に優位なのは株式譲渡ということになります。

【関連】空調工事会社は廃業よりも事業継承すべき!動向や手続きの方法を詳しく解説

2. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)事例

空調工事会社で株式譲渡が成功した事例を4件、紹介します。
 

  1. 空調企業によるユアテックへの株式譲渡
  2. 有元温調による四電工への株式譲渡
  3. オーエイテクノによるラックランドへの株式譲渡
  4. タックによる東京都競馬への株式譲渡

成功をイメージし、先を見据えることは今後の流れにも大きく与えるので「自社だったらどうなったか」を考えながら参考にしてみるのもおすすめです。

①空調企業によるユアテックへの株式譲渡

空調企業によるユアテックへの株式譲渡

ユアテック

出典:http://www.yurtec.co.jp/

  売り手企業 買い手企業
会社名 空調企業 ユアテック
事業内容 冷暖房設備工事
冷暖房関連設備のメンテナンス
空調機器類の販売など
電気工事
空調工事
給排水工事
情報通信設備工事
土木・建築工事
各種リニューアル工事など
従業員数 38名 3,747名
目的 事業承継 施工体制の強化
営業面での相乗効果
譲渡価格 非公開

2020(令和2)年9月、空調企業は、その全株式をユアテックに株式譲渡し、完全子会社となりました。譲渡価格は、非公開です。

売り手企業の空調企業は、宮城県仙台市を中心に空調管設備工事の施工実績があります。地域経済を支える地元の優良企業ですが、後継者問題を抱えていました。そこで、ユアテックの子会社となることで、事業承継問題は解決に至ったのです。

一方、買い手企業のユアテックは、総合設備エンジニアリング企業として、東北地方全域に加え新潟県、東京都、大阪府にも拠点を持ち、またベトナムやミャンマーなどの東南アジアまで、幅広い営業圏を形成しています。

ユアテックとしては、今回の株式譲渡で空調企業をグループに加えることにより、主要施策として掲げている「空調管設備事業のさらなる強化と受注拡大」実現が大いに図られると目論みました。

売り手企業としては廃業を免れて事業承継が実現し、買い手企業としては優良な関連業種の会社を傘下に加えられた、空調工事会社の株式譲渡の代表的な成功事例といえるでしょう。

②有元温調による四電工への株式譲渡

有元温調による四電工への株式譲渡

四電工

出典:http://www.yondenko.co.jp/

  売り手企業 買い手企業
会社名 有元温調 四電工
事業内容 冷暖房設備工事業
給排水工事業
各種配管工事業など
建築設備工事業
電力供給設備工事業など
従業員数 20名 2,111名
目的 経営の安定
事業の拡大
事業基盤の強化
顧客基盤の強化
関西での空調工事業参入
譲渡価格 非公開

2018(平成30)年2月、有元温調は四電工に株式譲渡し、子会社となりました。譲渡価格は、非公開です。

売り手企業の有元温調は、兵庫県の空調・管関連工事に実績があります。有資格者や若い技術者が多く、利益率が高いことを評価されました。四電工の子会社となることで、経営安定や事業拡大を見込んでいます。

一方、買い手企業の四電工は、四国を中心に建築設備や電力供給設備などの工事を請け負っている会社です。今回、有元温調を取得することにより、四電工は関西圏に事業参入し四国外での基盤を強化しました。

このように技術者不足の建設業界で、有資格者や若い技術者を擁していることは、売り手企業にとって非常に大きな価値となります。

③オーエイテクノによるラックランドへの株式譲渡

オーエイテクノによるラックランドへの株式譲渡

ラックランド

出典:https://www.luckland.co.jp/

  売り手企業 買い手企業
会社名 オーエイテクノ ラックランド
事業内容 空調設備工事業
給排水工事業
空調機器販売業など
店舗・商業施設などの建築事業
店舗メンテナンス事業など
従業員数 35名 1,157名(連結)
目的 非公表 空調設備工事業の強化
関西地区の事業強化
譲渡価格 非公開

2017(平成29)年9月、オーエイテクノはラックランドに株式譲渡して、子会社となりました。譲渡価格は、非公開です。

売り手企業のオーエイテクノは、業務用エアコンの工事・保守に強みを持っています。今回、関連会社の大阪エアコンと共に、ラックランドの子会社となりました。目的は非公表ですが、事業拡大や顧客基盤の強化と考えられます。

買い手企業のラックランドは、店舗や商業施設などの企画から制作まで一括で行う会社です。オーエイテクノおよび大阪エアコンを子会社とすることで、空調設備分野の強化と関西地区での営業・サービス拡充を図ります。

このように、買い手企業が自社の事業を強化できると見込んだ売り手企業を、関連会社と一括で買収するケースもあります。

④タックによる東京都競馬への株式譲渡

タックによる東京都競馬への株式譲渡

東京都競馬

出典:https://www.tokyotokeiba.co.jp/

  売り手企業 買い手企業
会社名 タック 東京都競馬
事業内容 空調設備工事業
電気設備工事業
レジャー・商業施設・倉庫等賃貸・経営事業
従業員数 16名 67名
目的 事業拡大 事業基盤の強化
新規事業への参入
譲渡価格 非公開

2015(平成27)年7月、タックは東京都競馬へ株式譲渡し、子会社となりました。譲渡価格は、非公開です。

売り手企業のタックは、商業施設などの大型施設に向けた空調設備工事・保守サービスを行っています。買い手企業の東京都競馬の子会社となることで、競馬場などの空調工事を請け負うなど事業を拡大しました。

買い手企業の東京都競馬は、事業基盤の強化や新規事業への参入を目的にタックを買収しています。競馬場がレジャー施設となってきた近年、空調設備や電気設備をメンテナンスする必要性が出てきました。タックを買収することで、施設の拡充を迅速に行えるなどメリットを得られます。

このように、異業種が空調設備工事業を買収することもあります。空調設備は現代の建物に不可欠なため、今後、レジャー業など異業種が空調工事会社を買収するケースが増えるかもしれません。

なお、最新の空調工事会社の株式譲渡などのM&A事例は、以下の記事でも解説しています。こちらも参考にしてみてください。

【関連】空調設備工事会社のM&A動向とは?10の事例や業界動向を徹底解説!

3. 【相場目安】空調工事会社で株式譲渡(会社譲渡)の場合

さて、空調工事会社の株式譲渡の現場では、一体どの程度の価額で売買が成立しているのでしょうか。

空調工事会社を株式譲渡(会社譲渡)したときの売買相場は幅広く、おおよそ5,000万円~6億円程度です。会社の規模によって譲渡価額は上下しますから、規模の大きい会社であれば10億円以上になることもあるでしょう。

空調工事会社の場合、次の4つが譲渡価格に影響します。
 

  • 契約している取引先
  • 保有している取引先リスト
  • 従業員の有資格者数
  • 大手企業との取引の有無 

長年、取引している経営の安定した会社や大手企業があるのなら、譲渡先から見てもメリットとなるので譲渡価格が上がる可能性も高くなります。

また、空調工事業界では、若い人材が不足しているので若い従業員がいることが価値として判断されることもあります。

さらに、管工事施工管理士など有資格者や技術力が高い人材が多いと判断された場合は、人材確保につながるため価値は上がり、譲渡価額アップも見込むことができます。

したがって、会社の現状を確認し、どこに自社の強みがあるのかを見直すことが肝要です。そして、その内容をリスト化して残しておくと、自社をアピールする際にも便利に使えます。

【関連】株式譲渡の金額・価格の決め方!低額譲渡・高額譲渡の注意点も解説!

株式譲渡で支払う税金とは?

空調工事会社を株式譲渡して、手に入れた売却金は全額使えるわけではありません。株式譲渡で得た利益には、もちろん、税金がかかります。

経営者個人が株主の場合、株式譲渡で得た利益分(譲渡所得)に対しての課税は、所得税15%と住民税5%、さらに2037(令和19)年までは復興特別所得税0.315%です。

また、会社が株主の場合に株式譲渡で得た利益(譲渡益)には法人税がかかります。この場合、その会社の他の収益と損益通算されたうえでの課税措置となりますが、納税する場合には約33%程度の税率での課税です。

中小規模の空調工事会社の場合、経営者個人が株主であることがほとんどでしょう。株式譲渡後の売却代金を有効に活用するためにも、納税額についても、あらかじめ計算に入れておくことが肝要です。

株式譲渡における、より細かい税金や計算方法などについては以下の記事でまとめていますので、こちらを参考にご覧ください。

【関連】株式譲渡の税金まとめ!税金の種類と計算方法を徹底解説!
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4. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)に成功する3つのポイント

空調工事会社の株式譲渡を成功させるには、以下の3つのポイントを押さえましょう。
 

  1. 同業他社との違いを明確にする
  2. 周辺事業も取り扱うことで需要を高める
  3. 悩む前に専門家へ相談する

より企業価値を高めることにもつながりますので、チェックしてみてください。

①同業他社との違いを明確にする

同業他社との違いを明確にするため、自社の良さや特徴を徹底的に洗い出してみましょう。

調べたものはリスト化してまとめてみてください。まとめたものはアピールポイントとしてプレゼンできます。

具体的には、以下のような項目を調べていくのがおすすめです。
 

  • 長年取引している会社がある
  • 多くの若手の従業員が在籍している
  • 大規模施設の施工実績がある
  • 有資格者が多くて技術力が高い

これらの特徴を持っていると、買収を考えている会社から選ばれやすくなります

企業情報を掲載しているBaseconnectによると、空調工事会社は全国で約16,000社あります。それだけの多数の空調工事会社の中から、自社を選んでもらうにはアピールが必要です。

空調工事会社の株式譲渡を検討する際には、交渉で自信を持って自社をおすすめできるくらいにアピールポイントを調べましょう。

他社と差別化ができれば株式譲渡先を見つけやすいので、成功しやすくなるはずです。

②周辺事業も取り扱うことで需要を高める

空調設備の施工だけでなく周辺作業も行える会社は、買い手企業からの需要が高く、譲渡価格も上がりやすいのです。

空調工事業の周辺事業には、次のような事業があります。
 

  • 給排水工事業
  • 電気設備工事業
  • 空調設備販売業

ほかにもメンテナンスを行っていないなら、メンテナンスを行うなどアフターフォローを充実させられるはずです。一度、自社はどのような付加サービスを行えるか、洗い出してみましょう。

洗い出したものは、できる限りすぐに確認できるようにリスト化してみてください。リスト化は、ミスや伝え漏れを減らすことにつながります。わかりやすくまとめれば、話し合いの資料としても十分です。

空調工事会社で株式譲渡を考える際には、周辺工事も取り扱えることが他社との違いを生み出して成功につながるでしょう。

③悩む前に専門家へ相談する

空調工事会社の株式譲渡は、さまざまな専門的知識が必要です。また、時間もかかるため、専門家にサポートしてもらうのも成功の秘訣といえます。

空調工事会社の株式譲渡を行う際に必要なのは、「法律・会計・税務など高度な専門的知識とM&Aに関する知識」です。また、資料や契約書を作成し、買い手企業を探すなど作業もたくさんあります。

これらの作業を全て中小規模の空調工事会社内で行うのは、大きな負担であり、場合によっては交渉が中断してしまうかもしれません。

しかし、専門家に依頼すれば、M&Aに関わる作業を任せられ、さまざまなサポートも受けられるので、時間も労力も最低限に抑えることが可能です。

空調工事会社の株式譲渡をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。中小企業のM&Aを数多く支援しているM&A総合研究所では、空調工事会社の株式譲渡に豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任となってフルサポートします。

随時、無料相談を受けつけておりますので、空調工事会社の株式譲渡・M&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

【関連】空調設備工事会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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5. 空調工事会社を株式譲渡(会社譲渡)する基本的な流れ

空調工事会社で株式譲渡(会社譲渡)する場合の流れは、以下のとおりです。
 

  1. 譲渡の下準備をする
  2. 専門家と連携して買い手候補を探す
  3. 譲渡範囲などの話し合いを進める
  4. デューデリジェンス(企業監査)で調査が入る
  5. 最終的な意見交換をして契約を締結する

それぞれ、順番に見ていきましょう。

①譲渡の下準備をする

まずは、空調工事会社を株式譲渡するために下準備を進めます。

下準備をすることで、話し合いのときに問題となってしまう点などを事前に押さえておきましょう。話し合いでは誠実に全ての経営状態、サービス内容、負債や問題点などを伝える必要があります。

たとえば、あらためて空調工事会社である自社の経営内容や状態を調査してみたとしましょう。

経営上の問題やサービス内容の不備が見つかった場合、デメリットが増えるわけですから譲渡先によい印象を与えられません。今後の収益が減っていくような予測がある場合には、どうしたら改善するのかまで明確に伝えられるように準備が必要です。

このように、少し見直すだけでも、株式譲渡の前にできることが思い浮かぶでしょう。

より具体的に考えるためにも、以下のような項目を参考に自社をチェックしてみてください。
 

  • 譲渡を完了したい時期
  • 譲渡のために使える費用
  • サービスの特徴
  • 従業員のスキル・年齢・給与
  • 取引先の詳細
  • 現在の収益・負債
  • 今後の収益予想
  • 経営上の問題点 など

ここまで調べられたら、どうしたらよいのか、ある程度は方針が決まるはずです。ここから、譲渡に向けて計画を立てながら、改善にも努めていきます。

空調工事会社を株式譲渡する前に、それぞれを調べて下準備をしてから次の手順に向かいましょう。

②専門家と連携して買い手候補を探す

ある程度の計画を立てたら、次は専門家と連携して買い手候補を探しましょう。

専門家なしでは、買い手候補を見つけるのは、かなり大変だといえます。知り合いやインターネットから譲渡候補企業を探す方法もありますが、専門家に紹介してもらうことが一番のおすすめです。

専門家に相談すると、プロの目線から自社に合った買い手企業を見つけてくれます。自力で買い手企業を探すとなると、時間も労力も必要です。しかし、専門家に依頼すれば、いくつか選んで紹介してくれるので、買い手企業を探す時間を短縮でき、労力も最低限ですみます。

自社にあった買い手候補を見つけるためにも、専門家との連携が必要不可欠というわけです。希望のイメージなどがあれば、それに合わせてアドバイスももらえるので、気軽に相談から進めてみましょう。

③譲渡範囲などの話し合いを進める

買い手候補を見つけられたら、いよいよ空調工事会社を株式譲渡するために話し合いを進めていきます。

具体的には、以下のような内容を話し合いましょう。
 

  • 取引方法
  • 譲渡価額
  • 今後のスケジュール
  • デューデリジェンスの協力義務
  • 独占交渉権の付与
  • その他諸条件

このとき、アピールポイントなどは必ず伝えます。また、デメリットなどについても隠さないで正直に伝えてください。改善策があることまで伝えられたら、悪い印象を与えないはずです。

できる限り納得できる話し合いとなるように、気になることは聞き、聞かれた質問には正直に答えるとよいでしょう。全ての話し合いが終われば、基本合意契約書にまとめていきます。

基本合意契約を締結すると、次の手順です。ここで決めた基本合意契約の内容で、最終契約まで進むことも少なくはありません。できる限り話し合いをまとめるようにしましょう。

④デューデリジェンスで調査が入る

基本合意契約を締結した後、買い手企業によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは、買い手企業側が売り手企業に対して、経営や人事、資産、財務などの調査をすることです。

具体的には、デューデリジェンスでは、買い手企業が以下のような内容を調査・分析します。
 

  • 企業の沿革
  • 直近の収益状況
  • 取引先
  • 役員・従業員の人数・年齢・スキル・給与
  • 労働時間
  • 残業手当の支給状況
  • M&A後に削減できるコスト
  • 負債
  • 経営上の問題点

細かい部分まで聞かれますので、丁寧に受け答えをしてスムーズに進められるように協力しましょう。

このときに、隠し事は絶対にしないようにしてください。トラブルの原因になるほか、取引の中止も十分にあり得ます。

デューデリジェンスで提出が求められる資料は、一般的には以下のようなものです。
 

  • 定款
  • 株主名簿
  • 数年分の決算書・税務申告書
  • 税金納付証明書
  • 経営会議の議事録
  • 就業規則
  • 過去の工事実績 

空調工事会社の場合、他業種に比べ調査資料が多くなるため、経営者のみで準備対応するのは難しいでしょう。従業員を割けるなら、従業員に手伝ってもらうことも考えてください。

また、M&A仲介会社などの専門家に立ち会ってもらえば、より安全かつ円滑に進められます。何が必要なのかというアドバイスももらえるので、どんどん相談して進めていきましょう。

デューデリジェンスについて、もっとくわしく知っておきたいという場合には、以下の記事をチェックしてください。

【関連】M&AにおけるDD(デューデリジェンス)項目別の目的・業務フローを徹底解説!

⑤最終的な意見交換をして契約を締結する

デューデリジェンスで調査した結果と、最初に結んだ基本合意契約に相違がないかを確認していきます。このときに内容を変更することもあるので、必ず細かく話し合いをしましょう。

最終的な意見交換をしたら契約の締結です。そして、譲渡後のアフターケアにも努めるようにしてください。不安なことは譲渡先に細かく聞いて、すり合わせしていく必要もあります。

【関連】M&Aの手法・株式譲渡の手続きを徹底解説!

6. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)で最低限注意したいこと

空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)で一番注意しないといけない点は、『買い手に誤った情報を伝えないこと』になります。

虚偽の報告が露見して、結果的に企業価値が下がるのは、具体的な話し合いの場やデューデリジェンスの段階でよく起きやすい問題です。

空調工事会社の場合、具体的には以下のような原因で企業価値が下がることがあります。 
 

  • 負債を隠していて見つかった
  • 従業員の離職率が高いことがわかった
  • 問題のある従業員が在籍していた
  • 従業員の質が悪かった
  • 安全管理が徹底されていない
  • 施工ミスが多い

問題を意図的に隠していたことがばれると、株式譲渡が取引中止になる可能性もあります。問題がある場合は、買い手企業に隠さずに説明しましょう。

また、問題点は、譲渡前から改善しておく必要があります。どうしても間に合わないものであれば、改善策を明確にして、それに取り組んでいることを伝えてください。

【関連】株式譲渡で起きうるトラブルを回避する方法10選!【事例あり】

7. 空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)は専門家と協力しよう

ここまで記したとおり、空調工事会社のM&A・株式譲渡(会社譲渡)を進めるにあたっては、M&A仲介会社のサポートが不可欠といっても過言ではありません。M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼すれば万全の体制で臨むことができます。

空調工事会社のM&A・株式譲渡(会社譲渡)をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。これまでの実績で培ったノウハウを活かし、空調工事会社のM&A・株式譲渡(会社譲渡)にくわしいM&Aアドバイザーが専任でフルサポートします。

通常は10ヶ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3ヶ月で成約した実績を有するなどする機動力もM&A総合研究所の大きな特徴です。

当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、空調工事会社のM&A・株式譲渡(会社譲渡)をご検討の際はお気軽にご連絡ください。

【関連】空調設備工事会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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8. まとめ

空調工事会社の株式譲渡(会社譲渡)は、増加傾向です。空調工事会社を株式譲渡(会社譲渡)するメリットは、以下の3つがあります。
 

  • 現金が手に入る
  • 事業拡大など会社を安定させられる
  • 後継者不在を解決できる

空調工事会社の株式譲渡は、事業拡大から後継者不足の解消まで視野に入れて動き出せます。激化する競合との戦いを有利に進めるための選択肢にもなり得ますので、まずは検討するところからスタートしてみてください。

困ったときには専門家に相談すればアドバイスをもらえるので、悩む時間が短く、そして、今の状態よりもよい方向へ向かうはずです。

9. 空調設備工事業界の成約事例一覧

10. 空調設備工事業界のM&A案件一覧

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