パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却の事例を紹介!動向や価格相場も解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却について業界の現状や今後の流れ、価格相場などを解説します。そのほか、パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例や譲渡の理由、M&Aの成功ポイント、価格相場なども紹介します。M&Aを検討中の方は必見です。

目次

  1. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却について
  2. パン屋・ベーカリー業界の今後
  3. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却の事例8選
  4. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却の動向
  5. パン屋・ベーカリーのM&Aを行う理由とメリット
  6. パン屋・ベーカリーのM&A・買収を行うデメリット
  7. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却価格の相場
  8. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイント
  9. パン屋・ベーカリーのM&A案件の探し方
  10. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却時におすすめの相談先
  11. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却のまとめ
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1. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却について

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却とは、どのように定義されているのでしょうか。この章では、パン屋・ベーカリーの概要を踏まえて、M&A・譲渡・売却の特徴を紹介します。

パン屋・ベーカリーとは

パン屋・ベーカリーとは、パンや洋菓子などを製造・販売する店のことです。パンという名称はポルトガル語の「pão」が由来とされ、ベーカリーは英語の「Bakery」でパン屋を意味しているため、どちらもパン屋をさしています。

パン屋・ベーカリーはパンなどの販売と製造を兼ねた店舗と、製造のみを営む工場とに分けられ、後者の場合は小売店・スーパーマーケット・カフェ・レストランなどに工場で製造したパンを卸しています。

パン屋・ベーカリー業界の特徴

パン屋・ベーカリー業界には、大手製パンメーカーと個人経営のパン屋が並んでおり、これが大きな特徴です。

経営規模・ビジネスモデルなどが違う両者ですが、パン屋・ベーカリー業界で調合を保った市場ができあがっています。この形態は、これからも続くでしょう。

パン屋・ベーカリー業界の市場環境

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3255

矢野経済研究所の「パン市場に関する調査を実施(2023年)」によると、2021年のパン屋業界の市場規模(メーカーの出荷金額ベース)は、1兆5,354億円でした。

コロナ禍による外食・宿泊施設・ブライダルなどの業務用パン需要の減少と、ライフスタイルの変化により都市部のコンビニエンスストアを中心とした消費者のパン需要の減少などが市場に大きく影響を与え、2020年度は大きく減少しました。2021年度は経済活動が戻りはじめたことで徐々にパン需要が回復しています。

今後も微増で推移する予想が出ており、2026年度の国内パン市場規模は1兆6,090億円になるとの予測です。

現在、日本の人口減少が進んでいるため、食品業界の市場縮小が生じると考えられます。これは、パン屋・ベーカリー業界にもいえることで、消費者が減少するのに市場が拡大するのは困難です。

消費者の行動は気まぐれなところがあるため、コメ・パスタブームなどが起きてパン離れが起きないとはいえません。大手製パンメーカーも個人経営のパン屋も、オリジナリティがある独自食品としてのパンを作ることが必要でしょう。

M&A・譲渡・売却とは

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却とは、運営会社や事業を他社に譲り渡すことです。

法人の場合は株式譲渡事業譲渡などのスキームが用いられ、個人事業の場合には事業譲渡や造作譲渡による売却で、パン屋・ベーカリーの事業を他社に承継しています。

製造工場を譲り渡すケースでは法人から法人への承継が多く、製造・販売を兼ねたパン屋・ベーカリーでは個人間の承継が多いといえるでしょう。

譲渡の対象を製造と販売を兼ねたパン屋・ベーカリーとすると、承継する資産によって選択するスキームが異なります。

パン屋・ベーカリーにおける資産のほかにノウハウや従業員などを引き継ぐ場合は、株式・事業譲渡が選ばれることが多く、店内の造作をそのまま引き継ぐ場合は造作譲渡が用いられているのです。

スモールM&Aについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】スモールM&Aとは?探し方・注意点まとめ!実際の案件も紹介!

2. パン屋・ベーカリー業界の今後

パン屋・ベーカリー業界は、これからどのように変化するのでしょうか。ここでは、パン屋・ベーカリー業界の動向を踏まえた今後の流れを解説します。
 

  1. 小麦などの原材料高騰によるコスト高
  2. グローバル化が難しく市場規模の縮小が続く
  3. 独自で販路の拡大やマーケティングに力を入れる必要性

①小麦などの原材料高騰によるコスト高

1つ目に挙げるパン屋・ベーカリー業界の流れは、小麦などの原材料高騰によるコスト高です。輸入小麦の政府売渡価格は、平成29年の4月期から平成30年の10月期まで上昇を続けていたため、原材料のコスト高による、利益の減少が問題視されていました。

ところが、農林水産省によると、平成31年の4月期から下降に転じて2019(令和元)年の10月期には49,890円/tに落ち着き、前期から8.7%も引き下げられています。

しかし、2020(令和2)年4月期には51,420/tと3.1%の引き上げとなり、今後さらなる高騰が懸念されているのです。

②グローバル化が難しく市場規模の縮小が続く

2つ目に挙げるパン屋・ベーカリー業界の流れは、市場規模の縮小です。多くの事業者は国内での売上を主とするため、少子化や小麦粉の高騰が続けば市場規模が縮小し経営の厳しさが増すと考えられます。

③独自で販路の拡大やマーケティングに力を入れる必要性

3つ目に挙げるパン屋・ベーカリー業界の流れは、独自の販路拡大とマーケティングへの注力です。

業界では高級食パンがブームとなり、消費者の人気を集めています。縮小する市場で生き残るためには、競争力のある商品開発が必須です。

しかし、差別化を行った商品を提供しても、提供する場所・相手を誤ってしまうと売上にはつながりません。パン屋・ベーカリー事業は他社との競争に勝てる商品を開発・提供し、自社に見合った販路を見つけ出すことが求められます。

3. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却の事例8選

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却では、どのような店舗・企業が取引を完了させているのでしょうか。ここでは、パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例について、以下8つを紹介します。

  1. クリエイト・レストランツHDによるサンジェルマンのM&A
  2. 駒場東大前のパン屋
  3. 府中のベーカリー
  4. 吉祥寺のベーカリー
  5. 10年営業した府中のベーカリー
  6. 昭和産業によるガーデンベーカリーのM&A
  7. ユニー・ファミリーマートホールディングスによる子会社食品事業の一部譲渡
  8. 山崎製パンによるBakewise Brands, Inc.のM&A

①クリエイト・レストランツHDによるサンジェルマンのM&A

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、クリエイト・レストランツHDによるサンジェルマンのM&Aです。

2022年9月、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは日本たばこ産業よりサンジェルマンの株式を全て取得し、連結子会社化しました。

クリエイト・レストランツHDは、レストラン事業、居酒屋事業、フードコート事業など幅広い事業を展開しています。対象会社のサンジェルマンは、ベーカリー事業をメインに行っています。

今回のM&Aにより、両社のブランドと厚い顧客基盤を強みとして新たな成長拡大を目指します。

②高田馬場のパン屋

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、高田馬場のパン屋です。新宿区の高田馬場にあるパン屋で、最寄り駅から徒歩5分の場所にあります。

一階・3.5坪の店舗で、3年間営業した後に70万円の譲渡価格で、弁当屋への売却を完了させています。この譲渡は、居抜きで行われました。

③駒場東大前のパン屋

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、駒場東大前のパン屋です。目黒区の駒場東大前駅から徒歩3分の場所にあるパン屋で、法人の事業主が一階・8.168坪の広さで営業を行っていました。

営業を始めてから2年の時点で、ドリンクスタンドを始める買い手に売却価格75.6万円でM&Aを完了させています。売却までの期間は、交渉先が現れるまで1カ月ほど、交渉がまとまるまで約2週間かかりました。

④府中のベーカリー

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、府中のベーカリーです。東京都府中市にあるベーカリーで、最寄り駅から徒歩20分の場所に店舗を構えていました。

地上一階・17.5坪の広さで3年間、営業を続けていましたが、人手不足を理由にベーカリーを始める買い手に、売却価格40万円で店舗を譲り渡しています。

駅から離れていたため多数の交渉先が現れなかったものの、同業のベーカリーから手が上がり、店舗の譲渡を終えています。同業への譲渡なので、店内の造作を残したまま引き渡しました。

⑤吉祥寺のベーカリー

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、吉祥寺のベーカリーです。

東京都の武蔵野市吉祥寺で20年ほど営業を続けているベーカリーで、JR中央線の吉祥寺駅から歩いて10分の距離に店舗を構えていました。

店舗は地上一階にあり、広さは19.53坪です。「退去時に出費がなければ」という希望により、30万円の譲渡価格で売却を終えています。

⑥10年営業した府中のベーカリー

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、10年営業した府中のベーカリーです。東京都府中市で10年間営業を続けたベーカリーで、京王本線の府中駅から徒歩20分の距離にあります。

地上一階に店舗を構え、広さは17.5坪です。設定した売却価格により交渉先が現れなかったり、交渉先が見つかっても相手の事情により思うように話を進められなかったりと、売却までに5カ月ほどを要したものの103.5万円でベーカリーの売却を完了しています。

⑦昭和産業によるガーデンベーカリーのM&A

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、昭和産業によるガーデンベーカリーのM&Aです。

小麦粉・植物油などの製造販売や飼料の販売、倉庫・不動産事業などを展開する昭和産業は、2018年の3月にパンと菓子類を製造するガーデンベーカリーの株式を取得する譲渡契約を結んでいます。

昭和産業は、対象企業における発行株式のうち66.6%をカルビーから取得しており、株式譲渡をつうじてカルビーとの連携強化や商品開発力・生産性の向上を図るとしています。

⑧ユニー・ファミリーマートホールディングスによる子会社食品事業の一部譲渡

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、ユニー・ファミリーマートホールディングスによる子会社食品事業の一部譲渡です。

ユニー・ファミリーマートホールディングス(現・ファミリーマート)は、2016年の10月に100%子会社であるナガイの調理パン・総菜・米飯などの製造を行う食品事業を、カネ美食品へ譲渡する契約を結んでいます。

ユニー・ファミリーマートホールディングスは、子会社・ファミリーマートの商品調達について東日本での機能強化を図るため、対象の食品事業を譲り渡しました。

⑨山崎製パンによるBakewise Brands, Inc.のM&A

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却事例は、山崎製パンによるBakewise Brands, Inc.のM&Aです。

パン・調理パンの製造販売やベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業などを営む山崎製パンは、2016年の7月にアメリカで質の高いベーグルを製造し、販売まで手掛けるBakewise Brands, Inc.の株式を取得し、子会社としています。

山崎製パンは、アメリカに設立した会社のベーカリー事業と対象企業のベーグル事業・その子会社であるアルチザン・ブレッド事業との連携を図り、高品質なパンの提供によりアメリカにおける事業の拡大を目指す見込みです。

4. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却の動向

パン屋・ベーカリーの業界では、どのような要因で店舗のM&A・譲渡・売却が行われているのでしょうか。さまざまな要因がありますが、事例で取り上げた企業は以下の要因からM&A・譲渡・売却を選択しています。
 

  1. 長時間労働と薄利の現状
  2. 大手グループと中小規模・個人経営店の2極化
  3. 市場規模の縮小が予測されている

①長時間労働と薄利の現状

1つ目に挙げるパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却動向は、長時間労働と薄利の現状です。

パンの製造では材料の計量・生地作り・発酵・生地の成型・焼成と、いくつもの工程を経なければなりません。パン屋・ベーカリー事業では長時間の労働を強いられます。

パン屋・ベーカリーの商売は薄利多売で、原価を抑えたり固定客を捕まえたりする対策を講じなければ求める利益に達せず、経営状況の悪化を招くでしょう。

このような現状により、パン屋・ベーカリー事業からの撤退を選択し、他社へのM&A・譲渡・売却を実行に移しています。

②大手グループと中小規模・個人経営店の2極化

2つ目に挙げるパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却動向は、大手グループと中小規模・個人経営店の2極化です。
 

帝国データバンクの「パン製造小売業者756社の経営実態調査」による2017年度の売上高では、1億円未満の事業者が61.9%で、1億円以上は残りの38.1%を占めます。

天候不順による小麦価格の上昇に加え、激化する大手との価格競争に勝てず、店舗の撤退・廃業・譲渡を選択する中小・個人経営店もあるでしょう。

帝国データバンクの「パン製造小売業者の倒産動向調査(2019年)」によると、2019年に倒産したパン製造小売業者は2018年から2.1倍増えて過去最多を記録し、特に地方では後継者がいないことを原因とする倒産が増えています。

後継者不在はパン屋・ベーカリーに限りませんが、高齢化が進む日本では今後も後継者問題を解決できずに倒産するパン屋・ベーカリーは増えるでしょう。

③市場規模の縮小が予測されている

3つ目に挙げるパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却動向は、市場規模の縮小です。総務省統計局が2020年8月20日に公表した人口統計によると、2020年3月時点の総人口は1億2,596万2千人で、前年度の同じ月と比べて28万7千人の減少が見られます。

2010年ごろまでは1億2,800万人前後で推移していましたが、それから減り続けているのです。特に、出生児から死亡者の数を引いた自然増減数ではマイナスが続き、2018年にはマイナス42万4,486人に達し、少子化の加速が読み取れます。

人口減少が進むことでパンの需要も低下し、パン屋・ベーカリーの市場規模は縮小すると見られているのです。パン屋・ベーカリー業界では海外企業をM&Aによって買収し、国外市場での事業展開を進めています

5. パン屋・ベーカリーのM&Aを行う理由とメリット

この章では、パン屋・ベーカリーのM&Aを行うメリットを紹介します。売却側と買収側に分けて見ていきましょう。

売却側の理由・メリット

売却側の理由・メリットは、下記です。

  • 後継者問題の解決
  • 競争力・将来性の不安
  • 健康上の問題によるリタイア
  • 新規事業への転換
  • 譲渡・売却益目的

それぞれ見ていきましょう。

後継者問題の解決

パン屋・ベーカリー事業では、後継者の育成が間に合わなかったり親族や従業員が経営の引き継ぎを拒否したりと、後継者問題を抱えている事業者も少なくありません。

しかし、他社へのM&A・譲渡・売却を行えば事業経験のある同業者など経営を任せられる人物に、会社・事業を譲り渡すことが可能です。

競争力・将来性の不安

パン屋・ベーカリー業界では、ライバル企業との競争が激しさを増し、市場の縮小も予想されるため将来性にも陰りが見えるといえるでしょう。パン屋・ベーカリー事業を営む経営者は、自社の競争力や業界の将来性に不安を抱いています。

他社へのM&A・譲渡・売却を選択すれば、同業への譲渡で事業規模を拡大できたり大手傘下入りで資本の確保・ノウハウの共有を行えたりするので、業界で生き残るための力を得られるのです。

健康上の問題によるリタイア

パン屋・ベーカリーの運営は、パン類の製造で長時間の労働を強いられ、体を壊してしまう人も少なくありません。体力の低下や病気の発症など高齢による体の不具合を理由として、パン屋・ベーカリー事業を第三者に譲り渡すことも可能です。

新規事業への転換

新しい事業を興すためにパン屋・ベーカリーの事業を他社へ譲渡するケースも見られます。パン屋・ベーカリー事業の譲渡では新規事業に限らず、並行して営む別事業に集中する場合も事業のM&A・譲渡・売却が選ばれるのです。

譲渡・売却益目的

株式譲渡を選択すれば創業者が譲渡・売却益を獲得でき、事業譲渡の場合でも会社が譲渡・売却益を得られます。パン屋・ベーカリーの事業者は、譲渡・売却益を獲得して借入金の返済・老後の生活費・新事業の資金などに充てられるのです。

買収側の理由・メリット

次に、買収側の理由・メリットを見ていきましょう。

  • 新規事業にかかる時間の節約
  • 固定客の承継
  • 小麦や油脂などの仕入先の承継
  • 従業員やパン製造の技法の承継

新規事業にかかる時間の節約

パン屋を新規出店・開業すれば、不動産探し、内装工事、宣伝広告など、多数のステップを踏まなければなりません。M&Aを行えば、すでにできあがったパン屋を買収できます。新規事業にかかる時間の節約が可能です。

固定客の承継

パンは日常的に食卓に並びます。パン屋・ベーカリーは、毎日買いにくる顧客がいることの多いビジネスです。新規に出店すると、顧客がいないためゼロからの営業になりますが、M&Aを行えば固定客の承継ができます。

小麦や油脂などの仕入先の承継

パンを製造する際は、原材料となる小麦や油脂などを仕入れます。原材料はパンの味につながる要素の一つで、仕入先を探すには時間やコストが必要です。M&Aを行えば、買収側は仕入先も売却側から承継できます。

従業員やパン製造の技法の承継

パン製造の技法は、各パン屋によって違います。買収側が従業員を承継すれば、従業員やパン製造の技法を新しく採用する手間がかかりません。人気があるパン屋を買収する場合は、以前からの味を承継できればM&Aの成功といえるでしょう。

経営者がM&A・会社売却・事業譲渡する理由については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】経営者がM&A・会社売却・事業譲渡する理由15選!

6. パン屋・ベーカリーのM&A・買収を行うデメリット

パン屋・ベーカリーのM&A・買収を行うデメリットは、2つ挙げられます。まずは、簿外負債を引き継ぐ可能性です。株式譲渡の手法でパン屋を買収すると、買収側は売却側の株式を譲り受けますが、売却側に簿外負債があれば買収側は簿外負債を弁済する義務が生じます。

買収する前にデューデリジェンスを行ったり、簿外負債を引き継がない買収スキームを選択したりしましょう。

2つ目は、割高な金額で買収すると投資回収できない可能性です。投資回収が不可能になるくらい割高な金額で買収すると、投資が回収できず損をします。パン屋における買収金額の相場感を持って、売却側と交渉してください。

7. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却価格の相場

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却価格相場は、およそ100万円〜250万円です。ただし、パン屋・ベーカリーの店舗数・販売形態・ブランド・売上高・立地などによって、500万円前後〜数千万円を超えるケースも見られます。

パン屋・ベーカリーの価格算出

パン屋・ベーカリーの価格を算出する場合は、以下の計算方法が用いられます。

 
【パン屋・ベーカリーの価格算出法】
  • 時価純資産法
  • DCF法
  • 類似企業比較法

時価純資産法

時価純資産法では、以下の計算式を用いて価格を算出します。時価純資産は、貸借対照表の資産と負債を時価に置き換えて、資産から負債を引いた額です。

この額に対して、事業と直接かかわりのない費用を引いた営業利益に過去数年の利益をかけて、価格を算出します。

【時価純資産法の算出方法】

  • 時価純資産額+営業権(実質営業利益×評価倍率3〜5)

DCF法

DCF法はインカムアプローチとも呼ばれ、将来の利益・キャッシュフローにリスクを反映させて価値を算出します。

DCF法では、売り手が作成した事業計画を基に、買い手のデューデリジェンスによって実現できるかどうかを見極めて価値を算出するのです。

【DCF法の算出方法】

  • フリーキャッシュフロー/(1+割引率)+フリーキャッシュフロー/(1+割引率)²+フリーキャッシュフロー/(1+割引率)³……

類似企業比較法

類似企業比較法はマーケットアプローチとも呼ばれ、上場企業から業種・事業規模が似ている企業を選び出し、指標となる評価倍率を算出して自社の価値を導き出します

【類似企業比較法】

  • 類似企業の株式時価総額÷各種指標(売上高・EBIT・EBITDAなど)=係数
  • 評価する企業の各種指標×係数=企業価値

会社買収の価格・金額の算定方法や相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社買収の価格・金額の算定方法や相場を解説【事例15選】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

8. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイント

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるには、どのような点を意識して行えばよいのでしょうか。パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは以下の5つが挙げられます。
 

  1. 準備を入念に行う
  2. 希望する条件を決めておく
  3. M&A・譲渡・売却の目的を明確にする
  4. 売上などのデータをまとめておく
  5. M&Aの専門家に相談する

①準備を入念に行う

1つ目に紹介するパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、入念な準備を行うことです。

準備を怠ってしまうと、譲渡までの期間が長くなったりM&Aの機会を逃したりと、予定どおりに進めることが難しくなります。

まずは、他社にはない強み・市場における価値を確認し、おおよその売却価格を算出して対象企業の探索から成約までの計画を立てましょう

②希望する条件を決めておく

2つ目に紹介するパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、あらかじめ希望条件を決めておくことです。

あまりに多くの条件を挙げてしまうと、交渉先に敬遠されたり買い手の出現を妨げたりする可能性があります。売り手側はあらかじめ希望する条件を絞り込みましょう。そうすれば、買い手の目に留まりやすく、交渉から成約につなげられる可能性が高くなります。

③M&A・譲渡・売却の目的を明確にする

3つ目に紹介するパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、M&A・譲渡・売却の目的を明確にすることです。

M&A・譲渡・売却は売り手の目的に応じて、買い手候補の選択・交渉の仕方・交渉に要する期間などが異なります。パン屋・ベーカリーを譲り渡す場合は、M&A・譲渡・売却の目的をはっきりとさせてから実行に移すと、会社・事業の譲渡を成功させやすいでしょう。

④売上などのデータをまとめておく

4つ目に紹介するパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、売上などのデータをまとめることです。

買い手は、売り手の事業価値を考慮したうえで買収するか否かを決定します。売り手が店舗の人気・注目度をいくら言葉で伝えても、詳細なデータがなければ買い手は判断できません。事前に売上などのデータをまとめることが重要です。

商品別の売上データなどを提示すれば、買い手は承継後の経営計画が立てやすくなります。

⑤M&Aの専門家に相談する

5つ目に紹介するパン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、M&Aの専門家に相談することです。

パン屋・ベーカリーのM&Aに関する知識や経験がなければ、安い譲渡価格で成約に至ったり不当な条件をのんだりするなど、自社の望んだM&A・譲渡・売却を実現することは難しいでしょう。

M&A仲介会社などの専門家に相談してサポートを受ければ交渉をスムーズに進められ、理想とするM&A・譲渡・売却が行える可能性が高くなります。

9. パン屋・ベーカリーのM&A案件の探し方

この章では、パン屋・ベーカリーにおけるM&A案件の探し方を紹介します。

バトンズ

バトンズは、ユーザー数が137,404人で累計M&A案件数が14,100件(2022年1月時点)のM&Aマッチングサイトです。案件一覧を見ると、飲食店・食品は1,140件あります。パン屋・ベーカリーのM&A案件を見つけやすいでしょう。

バトンズは、多くの買い手ニーズを検索し、売り案件を匿名で提案することが可能です。

飲食店.COM

飲食店.COMは、多くの飲食店が利用する飲食専門支援サービスです。飲食店に特化したサイトなので、1店舗から他店舗展開までいろいろな規模や業態の案件があり、希望に合う事業が見つかります。

飲食店.COMを利用すれば、パン屋・ベーカリーのM&A案件がスムーズに見つかるでしょう。店舗物件探しや食材仕入先探しなども行えます。

10. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却時におすすめの相談先

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業の案件を取り扱うM&A仲介会社です。

M&A総合研究所では、知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが、交渉からクロージングまで案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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11. パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却のまとめ

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却について、業界の動向や事例、相場などを紹介しました。パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるためには業界の動向をしっかり見極め、ポイントを押さえて進めることが重要です。

【パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却動向】

  • 長時間労働と薄利の現状
  • 大手グループと中小規模・個人経営店の2極化
  • 市場規模の縮小が予測されている

【パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却理由】
  • 後継者問題の解決
  • 競争力・将来性の不安
  • 健康上の問題によるリタイア
  • 新規事業への転換
  • 譲渡・売却益目的

【パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を成功させるポイント】
  • 準備を入念に行う
  • 希望する条件を決めておく
  • M&A・譲渡・売却の目的を明確にする
  • 売上などのデータをまとめておく
  • M&Aの専門家に相談する

パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却を円滑に進めて成功させるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

豊富な経験や専門知識を有するM&A仲介会社などの専門家に相談することで、パン屋・ベーカリーのM&A・譲渡・売却が成功する確率も高まるでしょう。

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