ベトナム企業のM&A・買収事例まとめ!M&Aアドバイザーのおすすめは?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

昨今、ベトナムへのM&Aが日本企業間で活発化しています。ベトナムは、M&Aによる将来的な取引総額が増加傾向にあり、諸外国からの投資も増えています。今回は、ベトナム企業のM&Aにおける買収事例やおすすめのM&Aアドバイザーについて解説します。


目次

  1. ベトナム企業のM&Aの市場動向
  2. ベトナム企業のM&A・買収事例10選
  3. M&Aアドバイザーのおすすめは?
  4. ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット
  5. ベトナム企業を対象とするM&Aのスキーム
  6. ベトナム企業を対象とするM&Aで上場会社を取得する際の注意点
  7. ベトナム企業を買収する際の留意点
  8. ベトナムにおけるM&Aの法律や規制
  9. ベトナム企業のM&Aまとめ
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1. ベトナム企業のM&Aの市場動向

ベトナム企業のM&Aの市場動向

最近では、日本企業や外資系企業におけるベトナム企業のM&Aが増加している動向がみられます。ちなみに、M&Aを実施する両社の中で、会社売却側または買収側のいずれか一方が外国企業であるM&A取引のことを、クロスボーダーM&Aといいます。

 

ベトナムのM&A市場は、全体的にはM&Aの件数と取引額が上がったり下がったりと変動しているものの、その取り引き総額については、長期的には上向きと予測されているため、今後も外資系企業によるクロスボーダーM&Aは、増加していく動向にあります。

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日本企業による買収は増加の動向あり

2017年度のベトナム計画投資省外国投資局のデータによると、日本企業によるベトナム企業のクロスボーダーM&Aは、年々増加している動向にあります。海外投資によって、成長しているベトナムへの国別投資については、日本は2017年に韓国やシンガポールを抜いて、4年ぶりに1位に返り咲きました。その投資総額は、約91億円以上ともいわれていて、前年比の約3.5倍になっています。


 

小規模M&A案件が多い動向について

前述したとおり、クロスボーダーM&Aの取引額については、増加の動向がみられるベトナムですが、そのクロスボーダーM&Aのほとんどが小規模M&A案件となっています。ベトナムのクロスボーダーM&Aの件数自体は多いのですが、取引額が高いM&A案件は非常に少なく、実際におこなわれているクロスボーダーM&Aの60%(総件数の9割)以上が取引総額の低い小規模M&A案件だといわれています。

 

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M&A件数は長期的には上向きの動向

ベトナムにおけるクロスボーダーM&Aの件数は、長期的には上向きの動向があります。その理由は、以下の3つの理由が考えられます。

 

①2007年~12年くらいの間に、一度はクロスボーダーM&Aの取引額は落ちてはいるものの、その後は、安定的な回復をみせています。2017年度のクロスボーダーM&Aの取引総額は、前年比に比べては低下でも、将来的な成長見込みはデータからも予測されるから。
 

②東南アジアは、ASEANということで経済成長国です。ASEAN全体が成長経済国のため、欧米諸国の投資が活発化されているベトナムの成長率は高いといわれているため。

 

③ベトナムでのクロスボーダーM&A取引総額や市場規模については、東南アジアのなかでは平均的ではあるものの、将来的な成長見込みが考えられから。

 

以上の3点から、ベトナムのクロスボーダーM&A市場は、今後もさらなる発展を遂げる動向だと予測されています。

2. ベトナム企業のM&A・買収事例10選

ベトナム企業のM&A買収事例10選

日本企業におけるベトナム企業のM&Aは年々増加傾向にあります。ベトナムのクロスボーダーM&A市場に参入した企業は、過去には住友商事や三菱商事、王子ホールディングス、ユニ・チャームなどの大手企業がたくさん参入しています。
 

しかし、ベトナムでは、小規模によるクロスボーダーM&Aが総件数の6割以上のため、最近では、中小企業の参入も目立ってきています。また、買収先企業の多くが中小企業であるというのが事実です。今からベトナム企業のM&A・買収事例10選について解説していきます。

ベトナム企業のM&A・買収事例1

2007年には、三井住友銀行がベトナムの銀行エグジムバンク(EIB)を250億円で買収したという事例があります。

 

三井住友銀行は、エグジムバンク(EIB)のM&Aを実現するために、クロスボーダーM&Aの実績が豊富な海外コンサルタントを招聘して、実現可能性調査(FS)を慎重に行ったうえでM&Aに臨みました。

 

2013年の時点で、日本の三井住友銀行は、ベトナムのエグジムバンク(EIB)に15%の資本を出資していています。これによって、エグジムバンク(EIB)は、資本金約1315億円の民間最大級の商業銀行へと成長する動向にあります。

ベトナム企業のM&A・買収事例2

2011年には、大手紙おむつメーカーのユニ・チャームが、ベトナムの乳幼児用おむつや生理用品を製造するメーカー企業であるダイアナ社(ハノイ)を買収したという事例があります。
 

ユニ・チャームは、ダイアナ社の発行済み株式の95%を取得することで合意し、ダイアナ社は、ユニ・チャームグループに買収されて子会社化されました。


株式の取得総額は非公開だったものの、このM&Aによってユニ・チャームグループは、ベトナムでの生産や販売体制を強化しすることができ、市場でのシェア拡大を目指しています。

ベトナム企業のM&A・買収事例3

2011年には、日本の大手飲料メーカーであるキリンホールディングス株式会社が、ベトナムの飲料製造及び販売業を営むインターフード社(IFS)を買収したという事例があります。


キリンホールディングスは、インターフード社(IFS)の株式を57.25%ほど取得し、IFS社の知的財産権やその管理会社の社発行済全株式を買収するというクロスボーダーM&Aが実施されました。

 

IFS社は、ベトナム全土で11万店以上の流通ネットワークを有する企業であり、多数の飲料ブランドを展開する企業でもあります。ベトナムでは、人口増加や経済成長によって近年、清涼飲料のシェアが拡大している理由から、キリンホールディングスは、世界での販売チャンネルの拡充に努めていく方向です。

ベトナム企業のM&A・買収事例4

2018年には、総合商社の双日が、ベトナムのサイゴンペーパー(GSP)の買収を発表したという事例があります。サイゴンペーパーは、家庭用紙や段ボールなどの製造及び販売を手掛ける会社で、2011年には大王製紙が10億円もの出資金を払って、サイゴンペーパーを買収しました。

 

しかし、その後はGSPに株を売却するなどして事業から徹底しています。2018年には、双日が約100億円で株式の95%を取得したことによって、M&Aが実施されました。

 

サイゴンペーパー(GSP)の生産能力は原紙が23万トンで、家庭紙は4万トンほどといわれています。2017年12月期の売上は、約130億円にも達成しているため、今後の買収による市場の拡大が期待される動向にあります。

ベトナム企業のM&A・買収事例5

2012年には、大手飲料メーカーのサントリーホールディングスが、米飲料大手ペプシコのベトナムの現地法人(ペプシコインターナショナルベトナムカンパニー)を買収したという事例があります。

 

ペプシコは、ベトナムでの飲料及び食品関連事業を営む会社で、M&Aによる買収金額は非公表ではありますが、その総額は、約200億円ともいわれています。

 

ベトナムでの飲料事業の競争は年々激しくなっている動向にあるため、サントリーホールディングスは、M&Aによって、ペプシコ社との連携を強め、東南アジアでのシェア拡大につとめてゆく方向です。

ベトナム企業のM&A・買収事例6

2012年には、NTTデータの子会社である英国NTT DATA EMEAが、ベトナムのIT企業(IFI Solution Joint Stock Company)の発行済株式100%を取得して、買収したという事例があります。

 

IFI Solution社は、ヨーロッパ向けにコンピュータシステムの開発事業を展開する企業で、ソフトウエアやモバイル通信技術のRAT機能の開発や通信のテスティングサービスをおこなっている企業です。

 

ほかにも、電機やガスなどユーティリティー分野のサービスも提供しているため、今回のM&Aによって、NTTデータグループは既存の通信技術やノウハウに加えて、新しいテクノロジーの開発にもつながると期待を寄せています。

ベトナム企業のM&A・買収事例7

2010年には、SMIホールディングスのグループ会社であるSBI証券が、ベトナムの大手証券会社の一社であるFRT証券の株式を20%取得して、買収したという事例があります。

 

FRT証券は、ベトナムの証券会社の中では、ホーチミンにおける売買代金シェアが第5位にランクインするほどの大手証券会社です。現在、ベトナムでは、個人の証券口座の開設率が低く、その数は全国民の1%程度にも満たないのが現状です。


今回のM&Aによって、ベトナムでの今後の証券口座の開設率アップや、証券マーケットを利用するための資金調達の活性化、さらに個人投資家の拡充などが実現できると期待されています。


 

ベトナム企業のM&A・買収事例8

2012年には、菓子メーカーの江崎グリコが、ベトナム製菓市場の30%を占めているKinh Do社(キンド)を買収したという事例があります。

 

Kinh Do社(キンド)の買収については、江崎グリコが資本金10%に相当する株式を買収したことで合意しました。

 

江崎グリコの代表は、Kinh Do社(キンド)への投資によって、同社が持っているベトナム市場での販売ネットワークを利用することで、今後も、海外における自社製品の販売促進や顧客の増加を強化したいと述べています。
 

ベトナム企業のM&A・買収事例9

2012年には、ニチレイグループの株式会社ニチレイフーズがベトナムの食品会社Cholimex社の株式を19%を取得して、買収したという事例があります。

 

Cholimex社は、調味料類や冷凍食品などを扱う食品会社で、ベトナムにおける加工食品でのシェアが高く、今後も高成長が見込まれます。

 

株式会社ニチレイフーズは、今回の買収によって、Cholimex社が提供するベトナムマーケットでの経営ノウハウなどを学びながら、今後のベトナムでの市場シェアの拡大に向けて、関係性を強化していく方向です。


 

ベトナム企業のM&A・買収事例10

2012年には、住友生命保険相互会社がベトナム最大手の保険・金融グループのバオベトホールディングス(Bao Viet Holdings)の発行株式を約18%(約280億円)取得して、買収したとう事例があります。

 

住友生命保険相互会社は、自社の100年以上もの歴史をもつ生命保険事業に関するノウハウを生かして、バオベトホールディングス(Bao Viet Holdings)との新しいパートナシップを強化していき、ベトナム市場における生命保険事業の発展や収益の増加、さらに長期的な顧客の開拓に努めていく方向です。
 

3. M&Aアドバイザーのおすすめは?

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M&Aアドバイザーのおすすめは?

ベトナム企業でのクロスボーダーM&Aについては、小規模M&Aが6割以上(総件数9割以上)ともいわれるため、クロスボーダーM&Aを実施する際には、小規模M&Aの経験が豊富にあるアドバイザーに依頼することが重要です。

 

さらに、バイリンガルの会計士が在籍しているアドバイザーであれば、異国間取引においても安心してクロスボーダーM&Aを一任することができるでしょう。

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弁護士資格を持つM&Aアドバイザー

ベトナムの企業は、法律問題を多数抱えていることが多いため、M&Aアドバイザー選びはとても重要です。ベトナムの情勢や法律に詳しいといった、弁護士資格を持つM&Aアドバイザーに依頼することが、M&Aを成功させるためにも最善の策だといえるでしょう。
 

会計士・税理士資格を持つM&Aアドバイザー

ベトナムの企業は、法律問題だけに限らず、多会計や税務上など不透明な箇所が多いため、買収先の企業に対して、財務や経営以外にも詳細な資料をもらうなどして、細かく精査をおこなわないと、M&Aで損をしてしまう可能性があります。

 

そのためにも、会計士・税理士資格を持つM&Aアドバイザーに頼るのが一般的です。今からベトナム企業M&Aのメリットとデメリット、注意点について解説していきます。

4. ベトナムにM&Aで参入するメリット・デメリット

ベトナム企業でのクロスボーダーM&Aを成功させるためには、日本企業がベトナムM&Aで参入するメリットとデメリットをしっかりと把握しておく必要があります。

ベトナムにM&Aで参入するメリット


そのメリットやデメリットについては、所得の伸びやインフラ整備、政府間の投資協定などを十分に理解したうえで判断していく必要があります。今からそれらについて詳しく解説してまいります。

所得の伸び

ベトナムは、現在の人口総数が約9,500万人と増加傾向にあり、それに伴い個人所得も高いといわれています。

 

そのため、クロスボーダーM&Aによる企業合併によっては、商品やサービスの向上にもつながり、今後は益々国際社会によるベトナム企業への新規参入のニーズは高まっているといえます。

 

今後も、ベトナム市場での金融サービスや小売りなどのマーケットは拡大傾向にあるため、外資によるM&A参入によって、新規サービスを提供することが、ベトナム個人所得の増加にもつながる見込みです。

 

インフラ整備

ベトナムでは、空港や道路などの公共施設や環境の整備も進んでいます。インフラ整備によって、海外企業のクロスボーダーM&Aやベトナムへの投資も増えていくため、工場なども増加傾向にあります。


実際に、ベトナムへのインフラへの投資額は、GDP総生産の7%ともいわれていて、これは東南アジアではとても高い数字です。ベトナムは都市部だけでなく、それ以外にも工業団地などが発達しているため、今後は新しい経済拠点も増加していくといわれています。それに伴い、ベトナムで投資をしたいという海外企業も増えていく見込みです。
 

政府間の投資協定

ベトナム政府は、日本企業や個人投資家の活動をサポートするためにも、長い間、日本政府との有効な関係を築いてきました。2003年には、日本とベトナム間で[日越投資協定]が締結されるなどして、その関係性は今後も強化されていくと予測されています。
 

ベトナムにM&Aで参入するデメリット

日本企業や外資系危企業がベトナムにおけるM&Aに参入する際、いくつかのデメリットがあります。今からそのデメリットについて、為替レートの問題や会計基準の未整備などの視点から詳しく解説してまいります。

為替レートの問題

ベトナムで実施されるクロスボーダーM&Aのデメリットの一つに、為替レートの問題が挙げられます。ベトナムでのM&Aのほとんどの為替取引は、円でなくてドル通貨で取引されます。

 

また、ベトナム企業は海外企業に会社売却をおこなう際、自社ビジネスの価値を最大限に高めようと交渉してくる傾向にあるため、円安などの問題が起これば、ドル基準でM&Aの取引をしようとします。そのため、日本企業にとっては、投資額が予想以上に高くなってしまうケースもあります。

会計基準の未整備

ベトナムで実施するクロスボーダーM&Aのデメリットには、会計基準の未整備も大きな問題として取り上げられています。

 

会計基準と財務報告については、いまだにしっかりとした基準が設けられていないため、M&Aの取引きは慎重かつ専門性の高いM&Aアドバイザーに依頼しないと大きな損失を出してしまうこともあります。

 

ベトナムでは、金融商品のリスクに関する表示をしなかったり、貸借対照表に派生した商品の利益を記載しないなど、様々な問題行為が多々見られますが、そういった行為は、法的には問題がないと考えられているようです。

 

会計基準の未整備ついては、日本企業を始め、海外企業がベトナム企業とのM&Aを決定するか否かに大きく左右されるため、ベトナムでM&Aをおこなう際には、信頼できるM&Aに依頼することをおすすめします。

5. ベトナム企業を対象とするM&Aのスキーム

ベトナム企業を対象とするM&Aのスキーム

ベトナム企業を対象とするM&Aを検討する際、株式取得や資産譲渡、中間持株会社の利用などのスキームによって、M&Aを実施することができます。今から、それぞれの方法について解説してまいります。

株式取得

ベトナム企業を対象とするクロスボーダーM&Aがおこなわれる際、そのスキームとしては、株式取得が用いられるのが大半のようです。株式取得とは、既存株式の譲渡だとか第三者割当増資のことで、実務上は、ほとんどの企業がこの方法を利用するようです。

資産譲渡

資産譲渡とは、日本でM&Aがおこなわれる際に用いられる、事業譲渡と似たような内容です。資産譲渡のメリットは、会社売却側の資産や負債を認識することができることや、その事業を遮断できることにあります。

デメリットとしては、それぞれの資産によって権利関係の移転をする際に、煩雑な手続きをおこなう必要があるため、その分時間がかかるという点です。

中間持株会社の利用

ベトナム企業を対象とする、クロスボーダーM&Aがおこなう際、中間持株会社を利用するケースも多々あります。中間持株会社の利用とは、日本が直接ベトナム企業の株式を取得するのではなく、中間に別の法人が入って株式を取得するといった方法です。

中間持株会社を経由するメリット

中間持株会社を経由するメリットとしては、別の法人(中間持株会社)を間に置くことで、場合によっては源泉税がなくなったり、租税上のメリットがあることが多い点です。

 

例えば、直接会社を売買する場合は、法人税の負担がかかりますが、中間持株会社を経由することで、支払いが非課税になったり、ベトナムにおける源泉税がかからなくなるなどのメリットがあります。


中間持株会社から東南アジアのほかの会社に配当金を投資する場合も、税負担がなくおこなえるケースもあるようです。

中間持株会社がシンガポールに多い理由

中間持株会社がシンガポールに多い理由については、租税上、いろいろなメリットがあるからだといわれています。

 

たとえば、キャピタルゲインについては、課税の負担がなく、買収先企業の株式売却が可能になります。それに、シンガポールには、原則としてキャピタルゲインによる課税制度がないため、日本企業が買収先企業を直接買収するよりも、金銭面での負担が少なくなるというメリットもあります。

6. ベトナム企業を対象とするM&Aで上場会社を取得する際の注意点

ベトナム企業を対象とするM&Aで上場会社を取得する際の注意点

ベトナム企業を対象とするM&Aで上場会社を取得する際の注意点は以下の通りです。

  • 公開会社に適用がある規制
  • 公開会社の定義
  • 外資出資比率に関する規制
  • 公開買付規制
  • インサイダー取引規制
  • 上場株式に適用がある規制
  • スクイーズアウトの可否

 

今から、それぞれの規制において、日本企業が注意しなければらない内容について解説していきます。

公開会社に適用がある規制

最近では、ベトナムの証券マーケットが発展していることもあって、M&Aの買収対象企業が上場会社であるケースも増えてきています。上場企業の株式を取得する場合は、以下の2つの規制が存在します。

 

  1. 公開会社(上場企業も含めて、広い企業の概念で使用される)に適用がある規制
  2. 上場株式に適用がある規制

 

上記の2種類については、それぞれの証券法上のルールが存在しますが、2019年には、改正法案の成立が予定されているため、今後の動向には注意を払っていく必要があります。

公開会社の定義

ベトナム企業を対象とするM&Aをおこなう際、公開会社の定義というものがります。ベトナム証券法上、以下のいずれかに当てはまる場合は、証券法25条により公開会社と定義されます。 

 

  1. 株式の公募をおこなった企業
  2. ベトナム証券取引所で既に上場している企業
  3. 株式が100名以上で、かつすでに支払済みの資本金がが100億ドン以上である会社

外資出資比率に関する規制

買収先企業が公開会社の場合、基本的に外国人投資家が公開会社を買収するための出資額は、一律で49%までと定められています。

 

しかし、一方で出資比率については、明確な規定がないケースも多くみられるため、買収先企業の定款や事業内容を念入りにリサーチしたうえで、上限比率については詳しいM&Aアドバイザーに確認を求めることが大事です。

公開買付規制

ベトナム企業を対象とするM&Aをおこなう際、以下のいずれかに当てはまる場合は、公開買付規制の義務が課せられます。

 

  • 上場企業の既存議決権付株式を25%以上を取得する場合
  • 上場企業の既存議決権付株式を既に25%以上を取得していて、さらに10%以上の株式を取得する場合
  • 上場企業の既存議決権付株式の25%以上を取得済みで、直前の公開買付け完了から1年以内に、新たに5%以上10%未満の株式を取得する場合

インサイダー取引規制

ベトナムでM&Aをおこなう際、証券法上のルールで、インサイダー取引規制があります。インサイダー情報ととは、公開企業または公開予定があるファンドの未公開情報をさしています。

 

公開前に、それらの未公開情報をオープンにしてしまうと、公開予定のファンドの株価に大きな影響を与えてしまう可能性があるため、インサイダー取引規制に引っかかる情報を漏えいすることや、インサイダー情報を得たことによって、証券を売買することは法律で禁止されています。

 

日本のインサイダー取引規制に比べて、ベトナムのインサイダー取引規制は曖昧で、判断基準に関するガイドラインも特別に設けられてはおりません。インサイダー取引に違反した場合、行政や国によって、刑事罰か課せられることもあるため注意が必要です。

上場株式に適用がある規制

ベトナムで上場株式を取得する際には、いくつかの規制が設けられています。ベトナムには、ホーチミン証券取引所やハノイ証券取引所、UPCoMなど3つの証券マーケットが存在します。証券取引所上場銘柄の基準価格(取引をおこなう際の終値価格)については、以下のように、一定の取引価格の制限が設けられています。

 

  • ホーチミン証券取引所上場銘柄については、基準価格の±7%まで
  • ハノイ証券取引所上場銘柄については、基準価格の±10%まで
  • UPCOM上場銘柄については、基準価格の±15%まで

スクイーズアウトの可否

買収先企業の100%子会社化することをスクイーズアウトといいます。スクイーズアウトの可否とは、公開買付をおこなう側が、すでに発行済みの株式の8割以上を取得しようとしたときに、残存株主が希望した場合において、公開買付をおこなう側は、公開買付の完了後30日以内に買取りをおこなう義務があることです。

 

しかし、残存株主が株の売却を望まない場合、残存株主の株式を強制的に取得できるという手段は、残念ながら法的には存在しません。

 

買収先企業を100%子会社化したい場合、それぞれの株主から株式を取得する方法以外に、これという手段は特にないことを覚えておく必要があります。
 

7. ベトナム企業を買収する際の留意点

ベトナム企業を買収する際の留意点

ベトナム企業の買収(クロスボーダーM&A)をおこなう際、いくつかの留意点があります。株主や設置機関、総会の条件やDD(デューデリジェンス)のおこない方などをしっかりと把握していくことが重要です。

 

さらに、贈収賄などの法令違反への注意や、二重帳簿や脱税に触れないための対策、外資規制に抵触する事業目的や新規設立にした方が良いか否かの検討も大切です。今から、それぞれについて詳しく解説してまいります。

株主の条件

株主の条件は、株式会社ならば3名以上の株主をさしていて、普通株式だけではなく、他の種類の株式も発行できたり、社債の発行も可能です。既存の株主に対しては、優先買取権はありませんが、発起株主が会社設立から3年以内に発起株主以外の第三者に株式を譲渡したいときは、株主総会の決議が必要になります。

設置機関や総会の条件

会長や出資総額の25%以上の社員、または、定款に定めた比率以上の出資額を出している社員は、必要なときに、社員総会を招集することができます。

 

しかし、社員総会を開催するためには、人数などの要件を満たす必要性があります。例えば、2人以上の有限会社の場合は、定款に記載された出資総額の75%以上を出資している者の出席が必須となってきます。

 

定足数が満たずに社員総会が開けなかった場合、開催予定日から15日以内に再招集をかけることができます。その場合、出資総額の50%以上の出資者が招集が必要になってきます。
 

DD(デューデリジェンス)の注意点

ベトナム企業でDD(デューデリジェンス)をおこなう際、いくつかの注意点があります。ベトナムは、先進諸国と比較して、外資系企業によるクロスボーダーM&Aが日常化されていないため、デューデリジェンス行うための予算や経営などの資料を、リアルタイムに入手することが困難なケースがあります。

 

たとえば、買収先企業に資料請求をしたときでも、要求したリストと違った内容の資料が届いたり、様々な要因によって、資料の開示さえも拒否されることがあるようです。

贈収賄

ベトナムでM&Aをする際、気をつけたいのが贈収賄です。贈収賄とは、買収先企業がベトナム政府などと契約を締結するときに、契約金の一部の利益を個人などに対して渡すことです。

 

贈収賄については、ベトナム側の企業の一部が贈収賄を習慣化していることもあり、不本意にも日本企業が間接的に贈収賄に巻き込まれてしまうケースもあるそうです。

 

対処法としては、M&A契約をおこなう際、経験豊富なアドバイザーに依頼して、贈収賄に触れるマージンの支払いを一切禁止するといった内容を契約に盛り込んでもらうことが挙げられます。

法令違反

DD(デューデリジェンス)以降に発見されやすいものの一つに、法令違反があります。法令違反が発見されたときの対処法は、クロージングの段階で、法令違反をなおした内容に差し替えてから、契約を締結することです。

 

できれば経験豊富なアドバイザーに依頼して、クロージング前に違反となるトラブルを解決しておくことが理想ですが、現実的には、クロージングの後に対応するケースが多いようです。

 

二重帳簿

ベトナムの中小企業では、買収側企業に提出する財務資料と、内部の財務資料の両方が存在することがあります。こういった二重帳簿のリスク低減のためにも、ベトナムでのM&Aに精通したアドバイザーに依頼することが一般的のようです。

 

正確な財務諸表のデータを得て、財務分析などの精査を何度もおこなうことが、M&Aの成功にもつながるようです。

脱税

修正申告などによって、DD(デューデリジェンス)の段階で、納税側の企業に追徴税が課されるときがあります。その原因の一つに、ベトナムの中小企業は、税務ルールなどの規約がしっかりと定められていないことが挙げられます。


不本意にも、脱税にも発展しそうな問題が多く報告されています。このような問題が生じたときは、会社買収側が、会社売却側に補償を受けるといった法律(特別補償条項)などを利用することが望まれます。

 

外資規制に抵触する事業目的

外資規制に抵触する事業目的については、外資規制に引っかかる内容が含まれていることも珍しくありません。

 

場合によっては、外資系企業(買収側)の株式の取得が禁止されてしまうことにもあるため、買収先企業の企業登録証明書を参考に、事業目的の内容と外資規制を照らし合わせて確認することが大切です。

 

まずは外資規制に詳しいアドバイザーを通じて、その書類内容に株式取得が禁止されているか否かを念入りにチェックしてもらいましょう。そして、仮に取得が禁止されていたときは、クロージングまでにその内容を削除してもらうよう交渉することが大切です。

新規設立にした方が良い

前述したとおり、ベトナムでM&Aをおこなう際、問題となってくるのが外資規制です。ベトナムは、2007年にWTOに加盟して以来、それぞれのサービスを外資系企業のために市場開放することを政府が約束してきました。

 

しかし、ビジネスの業種や分野によっては、まだまだその規制については正確には定められていないため、既存の法務や税務リスクを最大限にリセットするためにも、会社を新規設立するケースが多いようです。

8. ベトナムにおけるM&Aの法律や規制

ベトナム企業におけるクロスボーダーM&Aを成功させるためにも、ベトナムのM&Aの法律や規制について理解しておく必要があります。とくに、法整備の状況や投資規制、統一企業法や証券法についての知識は必須です。今から、それぞれの法律や規制について解説していきます。

法整備の状況

ベトナムは、2007年に世界貿易機構(WTO)に加盟したことによって、これまでのベトナム国内のどの法律よりも国際協定が優先されることになりました。しかし、いまだにベトナム国内法との相違点もあるため、法律的な解釈がむずかしいケースも多々あります。

 

そういう点では、ベトナムの法整備はまだ十分に整っているとはいえないため、専門的な知識を有するアドバイザーに頼るなどして、十分な対策をとることが大切です。

投資規制

ベトナム企業におけるクロスボーダーM&Aを実施する際、いちばん最初に注意すべきことは、外国投資に対する投資規制についてです。投資禁止分野については、ジャンルによって細かく規制や制限があるため、M&Aをおこなう事前に確認しておく必要があります。

統一企業法

ベトナムでは、2005年に民間企業、個人企業、 外資企業、国営・公営企業などに対して、会社設立や組織、運営に関しての規定が記載された法律(統一企業法)が制定されました。

 

その一例としては、国営企業は、発効日から4年以内に有限会社または株式会社に転換しなければならないといった内容が定められています。統一企業法には、外資系企業に適用される「外国投資法」などの内容も含まれているため、念入りにチェックする必要があります。

証券法

現在、ベトナムでは、公開企業や個人投資ファンドの間で、外資系企業が買収した企業については、完全に自分のものにするべきだという新しい証券法が求められています。

 

外国投資の所有権の制限がある分野以外では、外国人投資家などから資本金を制限なく調達できるシステムにすべきとの意見が述べられています。新しい法整備が求められている中、今後のベトナムでの証券法の動向が気になるところです。

9. ベトナム企業のM&Aまとめ

日本企業や外資系企業によるベトナム企業のクロスボーダーM&A取引きは、年々増加の動向がみられます。ベトナムへの投資に魅力を感じる外資系企業が増える一方、今だにベトナムでは税法などの法整備が整っていないのが現状です。


ベトナムにおけるM&Aの取引きについては、その半数以上が小規模M&Aのため、実際にM&Aをおこなう際には、小規模M&Aの経験が豊富なアドバイザーに頼ることが大切です。


M&A総合研究所であれば、小規模M&Aの取り扱い実績が豊富であり、クロスボーダーM&Aを得意とするバイリンガル会計士も在籍しています。そのため、語学の心配もなく、海外におけるM&Aを成功へと導くことができます。

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