2021年09月18日更新
事業引継ぎ支援センターとは?費用や実績を解説【評判/口コミあり】
事業承継を行う際は、一般的に民間のM&A仲介会社に依頼することが多いですが、公的期間である事業引継ぎ支援センターに依頼するという選択肢もあります。この記事では、事業引継ぎ支援センターの実績や依頼時にかかる費用、評判や口コミなどについて解説します。
目次
1. 事業引継ぎ支援センターとは
事業承継を行うときの選択肢には、親族内(親族外)事業承継とM&Aがあります。後継者がいるときは前者の事業承継を選択しますが、後継者となるべき人物がいない場合は、後者のM&Aによる事業承継を行います。
事業承継におけるM&Aを行うときには、M&A仲介会社などの専門家に依頼することが一般的ですが、公的機関である事業引継ぎ支援センターに依頼することも可能です。
ここでは、事業引継ぎ支援センターの役割や、ほかのM&A専門家との違いについて解説します。
事業引継ぎ支援センターの役割とは
事業引継ぎ支援センターは、後継者のいない中小企業・小規模事業者の引継ぎを支援する機関です。
事業承継を行いたい経営者は、まず全国47か所にある事業引継ぎ支援センターに相談し、面談やヒアリングのうえ事業承継が必要であると判断したときは、中小企業基盤整備機構(中小機構)が所有している事業引継ぎ事業引継ぎデータベースに登録します。
その後マッチングを行い、事業引継ぎ支援センターのサポートを受けながらM&Aによる事業承継を進めます。
事業引継ぎ支援センターでは、すべての事業承継に対応することはできないため、必要に応じて商工会・商工会議所やM&A仲介会社などにサポートを依頼します。
中小企業基盤整備機構(中小機構)とは
中小機構とは、中小企業を支援するために作られた独立行政法人です。中小機構では、企業の成長段階に合わせた経営支援サービスを数多く提供しており、新事業を創出するために新連携や地域資源活用を行ったり、助成金の受付を行ったりしています。
事業承継に関しては、全国の事業引継ぎ支援センターで集められた案件情報を集約し、データベース化して保管・管理を行っています。
後継者人材バンクとの違い
後継者人材バンクとは、事業引継ぎ支援センターが行っている事業のひとつで、事業を引継ぎたい企業や個人とのマッチングを行っています。
ミスマッチングがないことや公的機関が行っているため安心して利用できる点がメリットですが、知名度がまだそれほど高くなく利用者も少ないため、希望どおりの相手とのマッチングはやや難しいといえるでしょう。
M&A仲介会社との違い
事業引継ぎ支援センターとM&A仲介会社との主な違いは2つあり、1つ目は、公的機関か民間機関という点です。
M&A仲介会社は民間の企業ですが、事業引継ぎ支援センターは中小企業庁管轄の公的機関であるため、安心して依頼できる点がメリットといえるでしょう。
2つ目の違いは、事業承継の相談・サポートにかかる費用です。M&A仲介会社は、利益を目的に事業承継やM&Aのサポートを行うため、買い手側の企業は中規模以上でなければ資金面で苦しくなることもあります。
一方、事業引継ぎ支援センターは、事業承継が主な目的であるため相談料は無料となっており、買い手側が小規模企業や個人であっても安心して登録できます。
2. 事業引継ぎ支援センターを利用する際の費用
事業引継ぎ支援センターは公的機関であるため、買い手側・売り手側ともに相談は何回行っても無料です。
ただし、登録機関による支援や士業などの支援を受ける場合は、別途報酬が必要になるため、外部のサポートを依頼するときはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
しかしながら、M&A仲介会社など民間のM&A専門家に依頼する場合と比べれば、費用を抑えられます。
相談時に必要とする資料
ここで事業引継ぎ支援センターへ相談に行く際に、必要とする資料を見ておきましょう。
中小企業におけるM&A全般について聞きたい場合は、特に資料を持参する必要はありません。具体的な相談をする場合は、下記の資料を持参してください。
譲渡の相談
- 勘定科目明細付の直近期の決算書
- パンフレットなどの会社案内
買収の相談
- 直近期の決算書
- パンフレットなどの会社案内
3. 事業引継ぎ支援センターの実績
先程、事業引継ぎセンターの認知度はまだそれほど高くないと述べましたが、どの程度の実績があるのでしょうか。この章では、事業引継ぎ支援センターの実績について紹介します。
事業相談実績
中小企業基盤整備機構(中小機構)が公表した「令和元年度 事業引継ぎ支援事業に係る相談及び事業引継ぎ実績について」という報告によると、事業引継ぎ支援センターが行った事業承継の件数は年々増加しており、2012年は年間17件だったものが、2019年には1,176件まで増加し、1,000件を超える事業承継を支援しています。
また、事業引継ぎ支援センターに相談する企業数も増加しており、2012年には約900社だけでしたが、2019年には過去最多の11,514社に増えています。
事業引継ぎ支援センターへの相談内容では、事業承継を行いたいという譲渡希望の相談だけでなく、近年は人材不足を理由とした同業他社の譲受や、事業拡大を目的とした譲受などの相談も増加しています。
事業の引継ぎ実績
ここでは、事業引継ぎ支援センターを利用して、事業の引継ぎに成功した事例を1つ紹介します。佐賀県の後継者人材バンクを利用した親族外事業承継で、売り手は佐賀県内の車両整備や中古車販売を行っているA社です。
A社社長は、高齢と後継者不在を理由に廃業しようと商工会議所に相談したところ、事業引継ぎセンターを紹介されて事業承継を視野に入れるようになりました。
事業承継センターで相談したところ、後継者人材バンクに登録していたB氏とのマッチングを受けました。自動車整備工場に勤務するB氏は、独立を考えて後継者人材バンクを利用しており、交渉の結果2018年8月に事業承継を行いました。
A社社長は事業の引継ぎを行ったことで廃業コストもかからず、B氏はA社の知名度や取引先を引継ぐことで起業リスクを抑え、少ない資金で創業することに成功しています。
4. 事業引継ぎ支援センターの利用者による評判/口コミ
事業引継ぎ支援センターの利用者による評判が気になる方もいることでしょう。利用者の口コミを見る限り評判は非常によく、以下のような口コミが見られます。
- 知りたかった以上のことがわかって有意義な時間でした。
- 大変的を得た無駄のないご教示と必要論点を整理いただき感謝しております。
- いろいろな視点から参考になりました。
公的機関であることから、「民間に比べてサービスの質が悪いのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、事業引継ぎ支援センターでは、民間のM&A仲介会社と同等のサービスを提供しているといえるでしょう。
5. 事業引継ぎ支援センターに相談するメリット
次は、事業引継ぎ支援センターに相談する主な3つのメリットについて紹介します。
- 公的機関であるので信用度が高い
- 全国47都道府県に設置されている
- 簡単な相談から聞いてもらえる
①公的な機関である信用度
1つ目のメリットは、公的機関で信用度が高いことです。事業引継ぎ支援センターは中小企業庁が管轄している公的機関であるため、利益を目的としない公平な目線で事業承継の仲介が可能です。
この点において、事業引継ぎ支援センターの信用度は、民間のM&A仲介会社よりも高いといえるでしょう。
②全国47都道府県に設置されている
2つ目のメリットは、全国47都道府県に設置されていることです。M&A仲介会社の場合、全国に支店を設けていることはほとんどないため、地方で経営している企業が事業承継の相談をするときは、大都市にある支店まで足を運ばなくてはなりません。
一方、事業引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置されているため、比較的簡単に足を運べます。
簡単に相談しやすい場所に設置されている点は、事業引継ぎ支援センターの大きなメリットです。
③簡単な相談から聞いてもらえる
3つ目のメリットは、簡単な相談から聞いてもらえる点です。民間のM&A仲介会社の中には、相談だけで相談料がかかるところもあります。
また、相談料が無料であっても、利益追求のために無理やりM&Aや事業承継に結びつける悪質な会社も少なからず存在します。
その点、事業引継ぎ支援センターは利益を追求しないため、事業承継を行う必要性などの簡単な内容でも、安心して相談できます。
事業承継について簡単な相談をしたい場合は、まず事業引継ぎ支援センターに出向いてみるのもよいでしょう。
6. M&A・事業承継の際はM&A仲介会社をおすすめする理由
最後に、M&A・事業承継の際はM&A仲介会社の利用をおすすめする理由について紹介します。
事業承継を行う際には、事業引継ぎ支援センターを利用するという方法もありますが、M&A仲介会社では費用は多少必要になるものの、十分なメリットを享受できます。
- M&A・事業承継の専門家である
- さまざまな規模の案件を取り扱っている
- 仲介会社として交渉相手の選定を行う
- M&A全般のサポートが受けられる
- 売却・譲渡予定先との交渉も行う
- 契約書の作成や各種手続きの相談も可能である
- クロージングまで任せられる
①M&A・事業承継の専門家である
1つ目の理由は、M&A仲介会社はM&A・事業承継の専門家であることです。事業引継ぎ支援センターにもM&Aの専門家が配属されていますが、公的機関であるため簡単な相談であれば、マニュアルに沿って対応する可能性もあります。
M&A仲介会社であれば、経験や実績が豊富なM&Aの専門家が対応するため、事業引継ぎ支援センターよりも幅広い提案や的確なアドバイスを受けられます。
②さまざまな規模の案件を取り扱っている
2つ目の理由は、M&A仲介会社はさまざまな規模の案件を取り扱っていることです。事業引継ぎ支援センターは案件数が徐々に増加しているものの、相談料が無料ということもあり、売り手・買い手ともに小規模企業や個人の割合が高くなっています。
M&A仲介会社は、中規模程度以上の企業が相談にくることが多く業種もさまざまです。幅広い分野・企業規模の案件情報を持っています。
自社の希望に合った相手先とマッチングできる可能性を高めたいのであれば、事業引継ぎ支援センターよりもM&A仲介会社に相談することをおすすめします。
③仲介会社として交渉相手の選定を行う
3つ目の理由は、仲介会社として交渉相手の選定を行うことです。事業引継ぎ支援センターでも、希望条件をもとに中小機構のデータベースから交渉相手をピックアップします。
しかし、企業情報をすべて公表できないため、交渉相手が希望条件に合致しているか否かは交渉するまでわかりません。
M&A仲介会社であれば、登録されているすべての企業情報をもとに交渉相手を選定するため、自社の希望条件に合った企業と交渉できる可能性が高くなります。
④M&A全般のサポートが受けられる
4つ目の理由は、M&A全般のサポートを受けられることです。事業引継ぎ支援センターでは、事業承継に関する相談や、中小機構データベースへの登録が可能です。
しかし、実際の事業承継に関するサポートは登録機関や士業などに依頼しなければならないため、相談相手が変わるだけでなく、別途報酬を支払う必要もあります。
M&A仲介会社の場合は、交渉相手の選定後そのままM&A全般のサポートを受けられ、相談するアドバイザーも変わらないためコミュニケーションも取りやすいので安心です。
⑤売却・譲渡予定先との交渉も行う
5つ目の理由は売却・譲渡予定先との交渉もM&A仲介会社が代行できることです。事業引継ぎ支援センターはあくまで企業同士の仲介を行い、交渉を代行することはありません。
そのため、登録機関や士業などに依頼するか自力で交渉しなければなりません。M&A仲介会社であれば、売却・譲渡予定先との交渉も代行するため、スムーズかつ効率的にM&A・売却・譲渡を進められます。
⑥契約書の作成や各種手続きの相談も可能
6つ目の理由は、契約書の作成や各種手続きの相談も可能であることです。事業引継ぎ支援センターでは、企業同士の仲介はしますが、契約書の作成や各種手続きはあらためて登録機関や士業などに依頼しなければなりません。
M&A仲介会社であれば企業同士の仲介はもちろんのこと、契約書の作成、各種手続きの相談や代行も可能であり、よりスムーズに売却・事業承継を進められます。
⑦クロージングまで任せられる
最後の理由は、クロージングまでを一括して任せられることです。クロージングとは、事業承継やM&Aに関する最終契約書を締結後、ヒト・モノ・カネを移動させることをさし、事業承継やM&Aの最終工程になります。
事業引継ぎ支援センターでは仲介までの対応になりますが、M&A仲介会社であれば事業承継の最後までサポートを受けられます。
7. 事業の引継ぎを検討する際におすすめのM&A仲介会社
事業承継を行う際は、事業引継ぎ支援センターに相談しながら進めることもできますが、取扱件数・実績・書類作成の代行などを考慮した場合、M&A仲介会社に相談したほうがよりスムーズに進めることができるでしょう。
事業の引継ぎをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、中小企業のM&A・事業承継の実績が豊富な仲介会社です。
M&A総合研究所では、事業承継やM&Aについて実績豊富なM&Aアドバイザーが、クロージングまで案件を一括サポートいたします。
料金体系は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。
無料相談を随時お受けしていますので、事業承継やM&Aをご検討の方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
8. まとめ
当記事では、事業引継ぎ支援センターの現状や利用料金などを解説しました。
【事業引継ぎ支援センターの特徴】
- 事業引継ぎ支援センターの実績→相談企業数や実績数は年々増加傾向
- 事業引継ぎ支援センターのメリット→各都道府県に設置してあり、簡単な相談も可能
【事業承継の相談にはM&A仲介会社をおすすめする理由】
- M&A・事業承継の専門家である
- さまざまな規模の案件を取り扱っている
- 仲介会社として交渉相手の選定を行う
- M&A全般のサポートが受けられる
- 売却・譲渡予定先との交渉も行う
- 契約書の作成や各種手続きの相談も可能である
- クロージングまで任せられる
事業引継ぎ支援センターは、費用がかからず相談しやすい点がメリットですが、案件数はまだそれほど多いわけではなく、交渉や契約手続きのサポートは外部機関にあらためて依頼しなければならない点がデメリットといえるでしょう。
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