事業承継の相続税対策に悩む経営者に!事業承継税制で相続税の負担をなくす方法を徹底解説

企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継における相続税の対策方法を紹介します。事業承継は高額な相続税がかかる場合があり注意が必要です。事業承継税制やその特例措置を利用すれば相続税の負担を軽くできます。手続きが煩雑なので、M&A仲介会社に相談し上手に相続税対策を行いましょう。

目次

  1. 事業承継の相続税対策とは?
  2. 相続税対策としての事業承継税制とは
  3. 相続税対策で事業承継税制を用いるメリット
  4. 相続税対策で事業承継税制を用いるデメリット
  5. 一般事業承継税制と特例事業承継税制の相違点
  6. 相続税対策で事業承継税制を用いる手順・流れ
  7. 相続税対策で特例事業承継税制を用いる前の手続き
  8. 事業承継税制以外の相続税対策6選
  9. 事業承継の相続税対策に関する専門家・相談先
  10. 事業承継の相続税対策まとめ
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1. 事業承継の相続税対策とは?

事業承継の相続税対策とは?

事業承継を成功させたいなら、節税対策がポイントとなります。事業承継では大きな金額が動くケースが多く、その分税金も多く支払う必要が出てくるからです。特に、相続による承継の場合は、多額の相続税が必要となり苦労する人も少なくありません。

事業を引き継ぐ後継者のことを考えて、少しでも支払う税金の金額が少なくなるように対策を講じたいと考えるものです。そこで今回は、事業承継シーンで採用されている相続税対策を紹介します。紹介した中から自社の状況に最適な相続税対策を選んで実践してください。

事業承継で相続税はどれくらいかかるのか、疑問に感じている方も多いでしょう。ここからはまず、事業承継における相続税の計算方法を紹介します。

事業承継で相続税はどれくらいかかる?

事業承継における相続税は、引き継がれる財産をすべて時価総額に換算したうえで、引き継ぐ人に応じた控除をしながら課税遺産の総額を算出し、そこに税率をかけて相続税の納税額を計算します。

相続税の課税価格に応じた税率と控除額を、以下の表にまとめました。

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

参照:国税庁「相続税の税率」

例えば、正味の遺産額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いた課税価格が5,000万円のケースでは、税率が20%で控除額が200万円であるため、相続税額は800万円です。

上記の表を活用して、事業承継による相続税額がどれくらいになるか計算してみてください。

【関連】事業承継による消費税の納税義務はある?生前贈与/相続どちらが得?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. 相続税対策としての事業承継税制とは

相続税対策としての事業承継税制とは

事業承継の際は、経営者から後継者が自社株式・事業用資産を引き継ぐとき、相続税・贈与税の負担が後継者にかかります。事業承継が計画的でなければ、納税資金が不足して事業を続けることが困難となるでしょう。

計画的な事業承継を促進するために、税負担を減らす事業承継税制が2009年に設けられました。

しかし、事業承継税制における税金猶予の要件が非常に厳しく、利用者はあまり多くない状態だったため、中小企業の事業承継をさらに促すために、平成30年度税制改正で事業承継税制の「特例事業承継税制(特例制度)」ができたのです。

特例承継計画書を5年以内に提出し、実際に10年以内に事業承継を実施するケースを支援します。

【関連】事業承継特例とは?特例の内容と要件、申請の注意点を解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. 相続税対策で事業承継税制を用いるメリット

相続税対策で事業承継税制を用いるメリット

事業承継対策で、事業承継税制を活用するメリットは大きいです。事業承継税制のメリットをまとめたので、確認しましょう。

①相続税の負担をなくせる

事業承継税制における1つ目の利点は、相続税の負担を軽減できることです。これは、事業承継税制が持つ本来の目的になります。

事業承継税制の特例制度では、対象株式の100%、猶予割合も100%です。そのため、税負担は実質ゼロになります。特例は、2018年1月1日~2027年12月31日に限られます。

相続税の負担がなくなる仕組み

相続税の負担がなくなる仕組みを見ましょう。

経営者が亡くなることで、後継者が自社株式を相続します。事業承継税制の特例を用いれば、相続税が納税猶予されますが、この段階では免除になりません。後継者が亡くなると納税が免除となり、税金の負担がなくなります。

事業承継税制の特例を用いて次の後継者へ株式贈与をするときも、納税の負担はなくなるのです。

②相続税対策について考える手間を省ける

事業承継税制における2つ目の利点は、相続税対策について考える手間を省けることです。相続税対策は株式だけでなく不動産や法人保険なども挙げられますが、相続税対策はまとめて行えず、財産の一つひとつに対策を講じる必要があります。

事業承継税制を利用すれば、非上場株式の対策を考える必要がありません。つまり、株価引き下げと株式移転を考える必要がなくなるのです。相続で事業承継を行う側にとって、大きなメリットといえます。

③後継者問題の改善につながる

事業承継をする場合に、株式を相続した人が相続税を納付できず、事業存続を断念する可能性もあります。

中小企業が事業承継する際に、事業承継税制を利用すれば、後継者が相続税の支払いを心配することなく引き継げます。したがって、この税制は後継者問題の改善につながるのです。

【関連】事業承継税制のメリット・デメリットとは?制度内容、注意点も徹底解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

4. 相続税対策で事業承継税制を用いるデメリット

相続税対策で事業承継税制を用いるデメリット

相続税対策で事業承継税制を活用する際のデメリットを見ていきましょう。デメリットをあらかじめ押さえて、事業承継時のトラブルを回避してください。

①手続きに多くの時間と手間がかかる

1つ目のデメリットは、手続きに多くの時間がかかることです。事業承継税制の認定を受けるためには、さまざまな適用要件をクリアしなければならないことに加え、多くの書類を作成・提出することが求められます。

そのため、要件の確認や書類の提出などに、多くの時間と手間を割かなければなりません。スムーズに手続きを済ませるためには、M&A仲介会社や税理士などの専門家に相談するのが得策です。

②認定取消で猶予額と利子額を納付しなければならない

2つ目のデメリットは、認定を取り消されると猶予額に利子額を加えて納付しなければならないことです。

利子税とは、納税できずに支払いまでの期間を延期してもらった際、さらに払う必要のある税金をさします。事業承継税制の利用によって相続税の支払期間を延期してもらうため、認定取消されるとその分の利子税を支払わなければなりません。

事業承継税制を打ち切られると、納税の負担はむしろ大きくなることに注意してください。

③最低でも5年間は事業を継続させなければならない

3つ目のデメリットは、最低でも5年間は事業を継続させなければならないことです。5年以内に会社を倒産させてしまうと、認定が取り消されてしまいます。

しかし、もともと事業が軌道に乗っていなかったり、経営状況が悪かったりすると、納税猶予を受けてもその後事業を継続できるかどうかわかりません。納税猶予は要件を満たす限り継続できますが、一生猶予を受けるのは大変でどこかの時点で支払うことになります。

そのため、事業承継税制を利用する前に、相続税がどのくらいかかるのか把握しなければなりません。税金がどれくらいかかるか把握したうえで、事業承継税制を利用するかどうかを先代経営者と後継者でしっかり話し合いましょう。

5. 一般事業承継税制と特例事業承継税制の相違点

一般事業承継税制と特例事業承継税制の相違点

相続税対策には従来の事業承継税制だけではなく、特例の活用も有効です。事業承継税制の特例とは、2019年から期間限定で置かれた、従来の制度よりも事業承継を手厚く支援する制度をさします。

従来の事業承継制度(一般)と特例との違いは、以下の表をご覧ください。
 

  一般措置 特例措置
事前の事業承継計画提出 なし あり
制度利用制限 なし 2027年末まで
猶予・免除対象株数 総株式における3分の2まで 全株式
相続税の納税猶予割合 80% 100%
後継者の人数 1人 最大3人
事業承継後5年間の雇用維持割合 8割 なし

参照:国税庁「措置法第70条の7の6(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例)関係」

特例措置では一般措置よりも適用要件が緩和されたほか、相続税の100%が納税猶予を受けられるメリットもあるので、一般措置と特例措置のどちらも選べる場合は特例措置を選びましょう

①特例承継計画の提出有無

特例事業承継税制が適用されるためには、特例承継計画を提出しなければなりません。すぐに贈与する予定がない場合でも、特例承継計画を提出しておくと良いでしょう。提出後に贈与を行う必要はありません。

②前経営者からの相続における期限

2027年12月31日までに相続・贈与を行わなければ、特例事業承継税制の適用が受けられず、期限が経過すると一般事業承継税制が適用されます。

③対象株式の範囲

対象株式の範囲も相違点があります。特例事業承継税制における対象の株式はすべてです。一方、一般事業承継税制における対象の株式は、発行済議決権株式総数における3分の2になります。

④相続時に猶予対象となる評価額

特例事業承継税制の場合は評価額の100%、一般事業承継税制の場合は評価額の80%である点が、相続時に猶予対象となる評価額の相違点です。

⑤雇用確保の要件

5年平均で社員の数が相続を行ったときの8割を下回ってはならない要件が、一般事業承継税制にありますが、特例事業承継税制では、8割を下回った理由を書いた書類を提出すると認定は取り消しになりません。この書類には、認定支援機関の意見が記される必要があります。

⑥相続から5年後以降に株式譲渡・解散があった場合の対応

相続から5年後以降に株式譲渡・解散があった場合も相違点があります。

違いは、特例事業承継税制では「経営環境の変化をしめす一定の要件」のときは、売却・合併による消滅・解散時でも同じ制度を用いられ、一般事業承継税制では、民事再生や会社更生の際に評価額で相続税・贈与税を再び算出して超える部分の納税猶予額を免除する点です。

⑦相続時精算課税の適用範囲

最後は、相続時精算課税の適用範囲における相違点です。推定相続人以外も適用範囲となるのが特例事業承継税制で、推定相続人一人だけ適用となるのが一般事業承継税制になります。

6. 相続税対策で事業承継税制を用いる手順・流れ

相続税対策で事業承継税制を用いる手順・流れ

相続対策で事業承継税制を検討しているなら以下6つの手続きが必要です。

  1. 適用要件に当てはまるか確認する
  2. 経営承継円滑化法による認定申請をする
  3. 税務署へ申告する
  4. 年次報告書を提出する
  5. 継続届出書を提出する
  6. 実績報告書を提出する

これら6つの手続きを事前に押さえて、事業承継税制の手続きをスムーズに済ませましょう。それぞれの手続き方法を解説します。

①適用要件に当てはまるか確認する

相続税対策で事業承継税制を活用したい場合は、はじめに適用要件に当てはまるか確認しましょう。事業承継税制の適用要件は、大きく分けて以下の4つです。

  • 会社に関する要件
  • 先代経営者に関する要件
  • 後継者に関する要件
  • 担保に関する要件

これら4つの適用要件を事前に理解すると、事業承継税制をスムーズに申請できます。それぞれの適用要件を見ていきましょう。

会社に関する要件

事業承継税制は、以下の条件に合わなければ利用できません

  • 中小企業に該当するか
  • 総収入金額は0を超えた経営か
  • 上場企業・風俗営業会社に該当しない企業であるか
  • 資産保有型会社などに該当しないか

なお中小企業であることに関しては、法人と個人とで基準が異なります。法人の中小企業は、以下の表内における資本金または従業員数が該当すれば利用可能です。個人の場合は、資本金は関係なく従業員数だけで判断されます。

 

業種目 資本金 従業員数
製造業 3億円以下 300人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

参照:国税庁「平成30年度改正関係(法人版事業承継税制抜粋)」

会社の条件だけでいうと、例えば製造業で資本金が4億円、従業員数が200人の場合、法人版事業承継税制を利用できます。サービス業で従業員数が50人なら、法人でも個人でも利用可能です。

会社の条件がどちらにも当てはまる場合は、承継する対象が株式なら法人版を、特定事業用資産なら個人版を選ぶと良いでしょう。

先代経営者に関する要件

相続税対策で事業承継税制を利用する場合、先代経営者が満たすべき要件は以下の3つです。

  • 会社代表権を有していたこと
  • 相続開始の直前、議決権数の50%以上を有していたこと
  • 後継者を除き最も多く議決権数を有していたこと

はじめて事業承継税制の認定を受ける場合、以上の要件をすべて満たす必要があります。しかし、相続前にすでに事業承継税制の適用を受けていれば、要件を満たさなくても問題ありません。

個人の場合、先代経営者である被相続人は、以下の要件を満たす必要があります。
 

  • 青色申告書を提出していたこと
  • 承継する事業が資産管理型事業でないこと
  • 承継する事業が性風俗関連営業でないこと
  • 承継する事業の売上がゼロでないこと

すべての要件を満たさなければ、適用にはならないため確認しましょう。

後継者に関する要件

相続税対策で事業承継税制を活用する場合、後継者となる人は以下の要件を満たさなければなりません

  • 相続開始時に後継者およびその親族などを合わせ総議決権数の50%超である
  • 相続開始の翌日から5ヶ月以内に会社の代表権を持っている
  • 後継者が最も多くの議決権数を有していること(後継者が1人の場合)
  • 総議決権数の10%以上、そして後継者の親族などを合わせ最も多くの議決権数を持つこと(後継者が2人または3人の場合)
  • 相続開始直前に会社の役員であること(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く)

後継者が以上の要件を満たせば、事業承継税制の利用が可能です。個人の場合、後継者である相続人は、以下の要件を満たす必要があるので、あわせてチェックしましょう。

  • 特定事業用資産のすべてを取得できている
  • 承継する事業、または同種の事業に従事している
  • 相続開始日の翌日から5ヶ月が経過する前に特定事業用資産のすべてを保有し、自己事業の用に供している
  • 性風俗関連の事業でない
  • 所得税法上の開業届出書を提出している
  • 青色申告の承認を受けている
  • 個人事業承継計画の確認を受けている

これらすべてを満たさなければ、適用にはならないため注意してください。

担保に関する要件

事業承継税制の適用を受けるためには、猶予される税金額に見合った担保を用意する必要があります。

担保として有効なのは不動産・国際・地方債・有価証券・支払い能力のある保証人などです。これらの担保を用意できない場合は、引き継いだ非上場株式を担保とする方法しかありません。

事業承継税制は便利な制度ですが、会社の資産が少ない場合は引き継いだ株式すべてが担保になる可能性を事前に意識しましょう。

②経営承継円滑化法による認定申請をする

相続税対策で事業承継税制を活用する場合の手続きとして、経営承継円滑化法による認定申請があります。

相続税の認定申請は、相続発生後5ヶ月を経過する日の翌日から8ヶ月を経過する日までです。最新の様式は中小企業庁のホームページからダウンロード可能ですので忘れず申請してください。

法人の場合、申請書以外に以下の書類も必要です。適宜必要な書類を用意しましょう。

  • 定款の写し
  • 株主名簿
  • 登記事項証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書の写し
  • 相続税額の見込み額を記載した書類
  • 従業員数証明書
  • 決算書類
  • 各誓約書
  • 戸籍謄本

個人であれば、提出が必要な書類は以下の2つです。
 

  • 先代経営者の前年における青色申告書
  • 貸借対照表および損益決算書その他の明細書の写し

ケースに応じてしっかりと準備してください。

③税務署へ申告する

相続税対策で事業承継税制を活用する場合の手続き3つ目は、経営承継円滑化法による認定申請です。経営承継円滑化法による認定申請がとおれば認定書を取得できるので、認定書の写しと相続税の申告書を税務署に提出しましょう。

相続の場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告してください。申告時に納税猶予税額および利子税の額に見合う担保を、税務署に提供する必要があります。

④年次報告書を提出する

相続税対策で事業承継税制を活用する場合の手続き4つ目は、年次報告書の提出です。法人版事業承継税制の場合、1年に1回、年次報告書を都道府県へ提出します。個人版事業承継税制の場合、提出は必要ありません。

年次報告書の提出は認定を受けてから5年間です。継続要件を維持していることをきちんと記載します。継続要件は、以下の内容です。

  • 後継者が会社の代表者に従事している
  • 雇⽤の8割以上を5年間平均で維持できている
  • 後継者が同族内で筆頭株主となっている
  • 上場会社、⾵俗営業会社に該当しない企業である
  • 猶予対象となった株式を継続保有できている
  • 資産保有型会社などに該当しない企業である

継続要件を満たさない場合は認定を取り消されます。そうなれば、納税猶予されている税金の全額または一部を収める必要があるので注意しましょう。

⑤継続届出書を提出する

相続税対策で事業承継税制を活用する場合、継続届出書を提出します。事業承継税制を利用している間は、税務署へ「継続届出書」を提出しなければいけません。継続届出書の提出は、引き続き納税猶予の特例を受けたい旨の届け出です。

納税猶予の継続には提出が必要不可欠なので、忘れないようにしましょう。法人にも個人にも必須です。法人の場合、認定後5年間は1年に1回提出し6年目以降は3年に1回の提出、個人の場合は、3年に1回提出します。

⑥実績報告書を提出する

相続税対策で事業承継税制を活用する場合、継続届出書を提出します。法人版の特例措置を利用しているケースでは、認定5年経過後に雇用が5年平均8割を下回ると実績報告書が必要です。

実績報告書には、雇用が8割を下回った理由を明記し、認定支援機関の所見とともに提出しなければなりません。特例措置では雇用が8割を下回っても認定は取り消されませんが、認定支援機関から指導や助言を受ける必要があります。

認定支援機関は、経営相談を受け付けている国指定の専門家です。認定支援期間は各都道府県にいくつか設置されているので、中小企業庁の「経営革新等支援機関認定一覧について」で調べると良いでしょう。

7. 相続税対策で特例事業承継税制を用いる前の手続き

相続税対策で特例事業承継税制を用いる前の手続き

事業承継税制の特例を活用する場合、申請前に行わなければならない手続きがあります。事業承継税制の特例を申請する前に必要な手続きをまとめたので確認してください。事前に必要な手続きは以下の3つです。

  1. 特例承継計画を提出する
  2. 認定支援機関の確認を申請する
  3. 相続を行う

これら3つの手続きを済ませてから、従来どおり事業承継税制の手続きを行ってください。それぞれの手続きを順番に見ていきましょう。

①特例承継計画を提出する

まず、特例承継計画を策定し、都道府県に提出します。事前計画には、会社・後継者・事業承継した後の経営計画などを記載してください。特例承継計画は、2018年4月1日から2023年3月31日までに提出しなければなりません。

事前計画は、認定申請と同時に提出するのも可能です。ただし、次に紹介する認定支援機関の確認書を添付する必要があります。

②認定支援機関の確認を申請する

次に、認定支援機関の確認を受けるための申請をします。

ここで得られる確認書は、事前計画に添付するもので、認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)が計画をチェックし、指導および助言を受けたことを示すのです。

③相続を行う

最後に相続を行います。特例措置の場合、2018年1月1日以降の相続が対象です。ただし、事前計画の提出期限は、各制度の創設から5年以内になるため、計画提出期限前に相続を行えなくても問題ありません。

実際の相続が先に行われているならば、事前に特例承継計画は提出しておき、後で計画に沿って制度適用期限内の相続を実施しましょう。

ここまでの手続きが済んだら、事業承継税制における従来どおりの手続きに進みます。

8. 事業承継税制以外の相続税対策6選

事業承継税制以外の相続税対策6選

ここからは、事業承継における相続税の節税対策方法を紹介します。事業承継における相続税の節税対策は、以下が代表的です。
 

  1. 株価を引き下げる
  2. 株式を移転させる
  3. 相続時精算課税制度を利用する
  4. 遺産分割を検討する
  5. 不動産投資を行う
  6. 法人保険に加入する

①株価を引き下げる

まず考えられるのが、自社の株価を下げる方法です。自社の価値を評価する方法で、株価を参考にするものがあり、評価額を低下させることで相続税を減らします

自社株からの評価額における計算方法は3つあり、その中でも類似業種比準方式がよく使われる方法です。この計算式であれば株価を引き下げることで相続税を抑えられます。

計算式で使われる純資産額・利益額・配当の観点も知っておきましょう。

純資産額で株価を引き下げる

まず、純資産額で株価を引き下げる方法です。純資産とは会社における資産のことで、内部留保も含まれます。純資産額が下がることで会社の価値も下がるため、相続税の節税対策を講じることが可能です。

純資産額を引き下げる具体策としては、特別配当や記念配当を実施し積立金をなくす方法や、退職金の支払い、費用の早期計上によって純資産を圧縮する方法が挙げられます。

利益額で株価を引き下げる

次に、利益額で株価を引き下げる方法です。利益額を下げれば会社の時価総額も下がるため、節税対策となります。

具体的には、定期保険への加入や、減価償却資産の購入による経費支出で利益額を圧縮して引き下げるのです。

配当で株価を引き下げる

最後に、配当で株価を引き下げる方法です。具体的には、配当の引き下げや配当を中止させることで、会社の総額を引き下げて相続税を抑えます。

純資産引き下げで紹介した特別配当や記念配当などの一時的な配当は、この計算から除外されているため注意してください。

②株式を移転させる

次に効果的なのが、株式を移転させることです。ここでは自社株式の株価を意図的に引き下げてから、後継者に生前贈与する方法を取り上げます。

相続時の株式にかかる相続税は時価で計算されるため、意図的に株価を下げてから後継者に移転させることで節税効果が得られるのです。

ただし、生前に株式移転を行うと経営者が会社の筆頭株主ではなくなることに注意してください。経営権の安定を保ちながら株式を移転させる工夫が必要です。

③相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度を利用するのも節税に役立ちます。相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子や孫に対し財産を贈与した場合に使える制度です。

累計贈与額が2,500万円までの贈与財産に対して非課税にし、相続の際にその分を計算します。贈与税に関する特例であるため、経営者が亡くなる前に事業承継を行わなければなりません

累計2,500万円を超える部分は、通常の贈与税と同じ扱いになるため、すぐに実行できる節税対策としておすすめです。

相続時精算課税制度と累進課税制度はどう選ぶべき?

相続時精算課税制度とは、生前贈与のタイミングではなく、相続のタイミングで相続税として税金の支払いをする制度のことです。

相続時精算課税制度では2,500万円までの贈与が非課税となるほか、相続の際に納める相続税合計額が基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人数の範囲に収まっている部分も非課税となります。

贈与が2,500万円を超えた部分は、一律20%の税金が課されることを押さえておきましょう。相続税も基礎控除を超えた部分は、相続税の累進課税制度が適用されます。

まとめると、贈与税の非課税範囲や相続税の基礎控除に収まるケースでは、相続税精算課税制度の利用を検討すると良いでしょう。それを超える大規模の相続による事業承継であるなら、事業承継税制を活用するのが得策です。

④遺産分割を検討する

遺産分割を検討するのも節税に良いです。この方法は、相続財産を引き受ける後継者が相続税の控除を受けられる場合に限ります。適用する場合は遺産分割により節税できるのです。

例えば、小規模宅地の特例を見てみましょう。小規模宅地の特例では、被相続人と同居している人が居住用宅地を相続するときに評価額が80%減らされて相続税が計算されます。

親族内承継で考えて、後継者である子どもは被相続人と同居していなかったが他の子どもが同居していたとすると、後継者ではなく同居していた子に相続させることで、相続税の節税になるのです。

ただし、節税の遺産分割を優先させすぎると遺産分割が不公平になるため注意してください。相続後にトラブルが発生するケースもあるため、節税と遺産分割において公平感を損なわないよう工夫する必要があります。

⑤不動産投資を行う

不動産投資を行うのも節税につながります。土地の評価額は公示価格の80%程度で計算されるからです。これにより、評価額を減らせるので、同時に節税にも効果が期待できます。

例えば、現金1億円を相続した場合、相続税評価額が1億円ですから相続税額は2,300万円です。一方で、公示価格1億円の土地を相続した場合は約80%の相続税評価額が対象なので、8,000万円となります。すると、相続したときは相続税額が1,700万円です。

つまり、1億円の相続例に対して、600万円の節税ができます。他にも、所有している土地にアパートやマンションなどを建築した場合、さらに評価額が下がることもあるでしょう。ただし、節税のために建築すると、現金化するのが難しくなるためメリットが少ないです。

節税したいためにアパートやマンションの建築を進めるのではなく、最初からそこにアパートやマンションがあればより節税できることを認識しましょう。

⑥法人保険に加入する

法人保険に加入していない場合は、節税効果もあるので加入を検討してください。法人保険の保険料は損金計上できるため、利益を圧縮して自社株の評価額を下げられるからです。下がった評価額から課税されるので、利益を圧縮する前よりも税金の支払額が少なくなります。

ただし、法人保険の節税対策は、損金と解約金の返戻率に注意しましょう。損金に大きく算入できる法人保険を選べば、節税対策に効果的です。

解約金の返戻率は、相続税を節税するために法人保険に加入する場合、将来的に現金化して会社の運転資金として用いるのが通例です。しかし、解約金の返戻率が低すぎると、手元から減る金額が多くなるので、節税対策にならない場合があります。

この方法で節税対策を行う場合は、上記の注意点に気をつけて法人保険に加入してください。

9. 事業承継の相続税対策に関する専門家・相談先

事業承継の相続税対策に関する専門家・相談先

事業承継の相続税対策を検討する際は、専門家に依頼することをおすすめします。手続きの不備や失敗によるやり直しには膨大な時間がかかり、節税効果を得るためには複数の手続きと調査をスムーズに進めなければなりません。

専門家は事業承継の知識にも長けているので、より節税効果を高めて手続きを進めてくれます。

M&A・事業承継をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、経験・知識の豊富なM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートいたします。

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10. 事業承継の相続税対策まとめ

事業承継の相続税対策まとめ

今回は、事業承継における相続税対策の方法を紹介しました。事業承継を行う際は、高額な相続税がかかる場合があるので気をつけなければなりません。事業承継税制やその特例措置を利用すれば、相続税の負担を軽くできるメリットがあります。

ただし、相続税対策の手続きは煩雑で手間と時間がかかるため、専門家に相談しながら進めると安心です。

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