建築設計/検査会社のM&A事例はある?売却相場や積極買収企業を解説!

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

当記事では、建築設計/検査会社のM&A・売却・買収について、業種の概要、M&A・売却相場などを過去の事例を交えて解説します。そのほかにも、建築設計/検査会社におけるM&Aの可能性やM&Aが行われる背景、積極的にM&A・買収する企業を紹介します。

目次

  1. 建築設計/検査会社のM&Aとは
  2. 建築設計/検査会社のM&A事例
  3. どんな建築設計/検査会社でもM&A・売却・買収は可能か?
  4. 建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景
  5. 建築設計/検査会社のM&A・売却相場
  6. 建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業
  7. 建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイント
  8. 建築設計/検査会社のM&Aを検討する際の相談先
  9. 建築設計/検査会社のM&A事例まとめ
  10. 建設・土木業界の成約事例一覧
  11. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

1. 建築設計/検査会社のM&Aとは

建築設計/検査会社のM&Aとは

当記事では、建築設計/検査会社のM&A・売却・買収を解説しますが、建築設計/検査会社が会社・事業の譲渡・承継を行う際は、どのようなスキームが用いられるのでしょうか。

この章では、建築設計/検査会社の概要、M&A・売却・買収・事業承継で用いられる主なスキームを簡単に説明します。

建築設計/検査会社とは

建築設計/検査会社とは、建築物の設計・管理や監督、建築物の評価や検査などを行う事業者のことです。建築設計会社には建築物における設計のほか、建築物に付随する構造・設備設計、空間を対象とした音響・採光設計などの事業者も含まれます。

企業には設計の請負だけでなく、設計・施工を手掛ける企業も少なくありません。したがって、設計のみに注力する会社は、比較的事業規模の小さい会社が多いです。

一方、建築検査会社は、建築基準法に基づき国土交通大臣・地方整備局長・都道府県知事の指定を受けて事業を営む企業をさします。

建築検査会社が展開する主な事業は、建築物の改築・増築・新築・修繕などに対する建築確認検査や建築計画における省エネの適合判定、構造計算の適合判定、耐震診断調査、住宅ローン「フラット35」に対する技術基準の審査、住宅性能評価などです。

M&A・売却・買収とは

M&A・売却・買収とは、株式譲渡事業譲渡のほか、会社を1つにまとめる合併、別の会社に権利義務を承継する分割などのスキームを用いて、建築設計/検査会社や営む事業を譲渡・承継することです。

建築設計/検査会社のM&A・売却・買収では、会社そのものを譲渡する株式譲渡が多く、会社分割による新設会社を譲渡・承継する事例も見られます。

【関連】M&Aの種類とは?各スキームのメリット・デメリット、税金、事例をわかりやすく解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業承継とは

事業承継とは、建築設計/検査会社の経営を親族・役員や従業員・第三者に引き継ぐことです。

一般的には、社内からの反発が少ない親族・役員・従業員への事業承継を選択することが多いですが、子どもの意思を尊重したり自社株式の負担を懸念したりと、事情によっては難しいケースもあります。

そのような場合、第三者への事業承継(M&A)を選択すれば、経営を引き継げるのです。

2. 建築設計/検査会社のM&A事例

建築設計/検査会社のM&A事例

建築設計/検査会社のM&Aでは、どのような企業が売却・買収を行っているのでしょうか。ここでは、建築設/検査会社のM&Aにおける5つの事例を紹介します。
 

  1. ヒビノによる日本環境アメニティのM&A
  2. エスクロー・エージェント・ジャパンによる中央グループ・新設会社のM&A
  3. カーリットホールディングスによるエスディーネットワークのM&A
  4. 日本工営による英国・BDP Holdings LimitedのM&A
  5. ヒビノによる日東紡音響エンジニアリングのM&A

①ヒビノによる日本環境アメニティのM&A

ヒビノ株式会社による日本環境アメニティ株式会社のM&A

ヒビノ

出典:https://www.hibino.co.jp/

1つ目に紹介する建築設計/検査会社のM&A事例は、ヒビノによる日本環境アメニティのM&Aです。

プロ向けの音響・映像サービスや業務用音響機器の製造・販売・システム提案などを手掛けるヒビノは、2019年4月に防音・防振音響技術を基盤にした製品の販売・工事などを展開する日本環境アメニティの株式を取得しました。

ヒビノは、対象会社の全株式を取得して完全子会社しています。買収の理由は、エンドユーザーに対するアプローチの強化・新製品の開発・働生産性の向上です。

ヒビノは2019年3月期からの中期経営計画で、業界トップの位置を維持しシェアを向上させることを目標としており、日本環境アメニティの買収により事業基盤の強化を図ります

②エスクロー・エージェント・ジャパンによる中央グループ・新設会社のM&A

エスクロー・エージェント・ジャパンによる株式会社中央グループ・新設会社のM&A

エスクロー・エージェント・ジャパン

出典:http://www.ea-j.jp/index.html

2つ目に紹介する建築設計/検査会社のM&A事例は、エスクロー・エージェント・ジャパンによる中央グループ・新設会社のM&Aです。

不動産・金融業務の取引に携わる事業者向けにトータルな支援サービスなどを提供するエスクロー・エージェント・ジャパンは、2017年9月に中央グループの会社分割によって事業を承継した新設会社の株式を取得しています。

M&Aの対象は、専門家支援・測量・建築設計・不動産鑑定業を承継する新設会社で、エスクロー・エージェント・ジャパンは対象会社の株式をすべて取得し子会社化しました。

エスクロー・エージェント・ジャパンは今回の買収をつうじて、不動産取引の専門家に対する新たな支援サービスを開発し企業価値の向上を図ります

③カーリットホールディングスによるエスディーネットワークのM&A

カーリットホールディングス株式会社による株式会社エスディーネットワークのM&A

カーリットホールディングス

出典:http://www.carlithd.co.jp/

3つ目に紹介する建築設計/検査会社のM&A事例は、カーリットホールディングスによるエスディーネットワークのM&Aです。

化学品・ボトル製造・上下水と排水処理施設の設計・管理などを手掛けるカーリットホールディングスは、2017年3月に連結子会社である総合設計をつうじてM&Aを実施しました。

対象会社は、建築の設計・監督管理・コンサルティングなどを営むエスディーネットワークで、カーリットホールディングスは対象会社の株式をすべて取得し子会社化しています。

カーリットホールディングスは中期経営計画「礎100」で掲げた目標の1つである収益基盤の強化を推し進めるために対象企業を買収し、建築設計分野の業容を拡大させて企業価値の向上を目指す見込みです。

④日本工営による英国・BDP Holdings LimitedのM&A

日本工営株式会社による英国・BDP Holdings LimitedのM&A

日本工営

出典:https://www.n-koei.co.jp/

4つ目に紹介する建築設計/検査会社のM&A事例は、日本工営による英国・BDP Holdings LimitedのM&Aです。

国内外のインフラやコンサルタント事業・電機エンジニアリング事業・都市空間事業などを手掛ける日本工営は、2016年4月、英国の建築設計会社・BDP Holdings Limitedにおける株式をすべて取得し完全子会社としています。

日本工営の中期経営計画(2015年7月~2018年6月)では、政府開発援助以外の市場における事業領域の拡大と都市空間事業の確立による事業展開を目指すとし、建築・構造設計分野の実績・技術・人材を確保するために当買収を行いました。

日本工営は長期経営戦略で、2021年の6月期には売上高に占める海外市場の割合を1/3から約1/2までに高める方針です。

⑤ヒビノによる日東紡音響エンジニアリングのM&A

ヒビノ株式会社による日東紡音響エンジニアリング株式会社のM&A

ヒビノ

出典:https://www.hibino.co.jp/

5つ目に紹介する建築設計/検査会社のM&A事例は、ヒビノによる日東紡音響エンジニアリングのM&Aです。

プロ向けの音響・映像サービスや業務用音響機器の製造・販売・システム提案などを手掛けるヒビノは、2015年4月に建築音響工事の設計と請負事業などを展開する日東紡音響エンジニアリングの株式をすべて取得し子会社しました。

ヒビノは、高いシェアと知名度を誇る建築音響工事事業を取得することで、音響分野の内装設計からシステムの販売までトータルなサービスを提供し、受注・販売の拡大を目指します。対象会社との高い親和性から新製品の開発・新規事業への展開にも注力する方針です。

3. どんな建築設計/検査会社でもM&A・売却・買収は可能か?

どんな建築設計/検査会社でもM&A・売却・買収は可能か?

どのような建築設計/検査会社でも、M&A・売却・買収が可能とは一概にいえません。財務状況・人材の定着率・売却や買収のタイミングによってM&Aの成否は左右されるからです。

赤字の計上が続いていたり売上が落ち込んでいたりする企業は、買い手にとって魅力的な技術・ノウハウ・事業エリア・実績などを保有していない限り、M&Aの交渉や成約が難しいといえるでしょう。

人材の定着率が低い会社も承継後に必要な人材が離職するリスクがあるため、買収側の興味が薄くなると考えられます。

建築設計/検査会社の業界は、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックがもたらす需要により堅調を維持しました。

しかし、それ以降は下降に転じると予想されるため、2021年度以降に建築設計/検査会社の売却・買収を進めても、売却側の需要・売上の減少により買収先が見つからない事態となることも考えられるでしょう。

このような理由から、建築設計/検査会社のM&A・売却・買収が可能な企業は、「自社のブラッシュアップを完了する」「人材の高い定着率を誇る」「2020年度までにM&Aを済ませる」という条件を満たすことが求められます。

建築設計/検査会社のM&A・売却・買収のメリット

建築設計/検査会社でM&A・売却・買収を可能とするためには一定の条件を満たす必要がありますが、それでもM&A・売却・買収を行うことで以下のメリットを享受できるのです。
 

  • 後継者問題を解決できる
  • 雇用を守れる
  • 個人保証・担保を解消できる
  • 経営を安定させられる
  • 売却益を獲得できる

各メリットを見ていきましょう。

後継者問題を解決できる

団塊世代における中小企業の経営者が、近年は引退の時期を迎えています。しかし、後継者が不在のため廃業に追い込まれる企業も少なくありません。建築設計/検査会社は中小企業が多く、どのように後継者を見つけるかが重要な課題といえます。

親族に後継者がいなくても、M&A・売却・買収を実施すると、幅広い選択肢から後継者を見つけられるのは、大きなメリットです。

雇用を守れる

雇用を守れることも、建築設計/検査会社がM&A・売却・買収を行うと得られるメリットです。建築設計/検査会社が廃業したり倒産したりすると、培ったノウハウ・顧客・従業員の雇用を失います。

しかし、建築設計/検査会社をM&Aで売却すれば、会社が存続でき従業員の雇用も守れるのです。「倒産寸前の会社を買ってくれる会社があるのか」と考えるかもしれませんが、買い手が魅力を感じる会社であれば、債務超過でも買い手が見つかるケースがあります。

個人保証・担保を解消できる

中小企業の建築設計/検査会社は、融資のときに経営者が個人保証を行ったり不動産などを担保に入れたりすることが多いです。個人保証や担保は会社の倒産が経営者の破産につながるため、経営者には大きな負担となるでしょう。

個人保証や担保を解消して精神的に楽になるためにも、建築設計/検査会社のM&A・売却は有効なので、これもメリットといえます。

経営を安定させられる

建築設計/検査会社は競争が厳しいため、廃業したり倒産したりする会社も少なくありません。当時の日事連会長が経営する「協立建築設計事務所」が、2017年に破綻したニュースは話題となりました。

経営の不安定な建築設計/検査会社をM&Aで売却して大手傘下に入れば、経営基盤が得られ経営を安定させられるメリットがあります。この目的でM&Aを行うケースは、これからさらに増加するでしょう。

売却益を獲得できる

建築設計/検査会社の経営者が持つ株式を売却し、経営権を譲渡すると、その売却益は経営者が獲得できます。つまり、売却利益を得るために、建築設計/検査会社をM&Aで売却することも可能です。

得た売却益を、新事業の資金に充てたり経営者が引退してからの生活資金にしたりして活用できます。

  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

4. 建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景

建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景

建築設計/検査会社は、どのような事情・要因によってM&による売却・買収を行っているのでしょうか。建築設計/検査会社が実施するM&Aには、以下の背景が見られます。
 

  1. 建築業界全体でM&Aによる業界再編の流れ
  2. 後継者問題を抱える企業も多く存在
  3. 技術力を目的として大手企業・中堅企業によるM&A
  4. 海外市場を目指すには単独では難しいため

①建築業界全体でM&Aによる業界再編の流れ

1つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景は、建築業界でのM&Aによる業界再編の流れです。建築業を営む事業の中で、公共工事の仕事を獲得するために他県に営業所を置き、入札への参加を進めるケースが見られます。

しかし、建設業許可の取得・営業所の設置・人材の確保には手間と時間を要するため、既存の建設業者(中小規模)をM&Aで買収して他県で公共工事に入札する態勢を整える動きも見られるのです。

建設業界では商業エリア拡大のほか人材不足の解消を図る目的でM&Aを行うことも多く、高齢化による技術者不足を補うため、同業者をM&Aで買収するケースもあります。

このような建設業の動向から、建築設計/検査会社の業界でも商業エリア拡大・人材不足解消のために、M&Aを活用した業界再編の波が及んでいるといえるでしょう。

【関連】建設業界のM&A動向!買収・売却事例30選、譲渡案件、メリットも紹介【2021年最新】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

②後継者問題を抱える企業も多く存在

2つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景は、後継者問題を抱える企業の増加です。建築設計/検査会社は中小規模の企業が多く、経営者の高齢化などにより事業承継を検討している企業も少なくありません。

そのため、会社・事業の継続、取引・雇用契約の継続、譲渡・売却益の確保などを目的として、第三者へのM&Aを選択するケースが増えています。

③技術力を目的として大手企業・中堅企業によるM&A

3つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景は、技術力の確保を目的とした大手・中堅企業によるM&Aです。

建築設計/検査会社の業界は、2021年度以降の需要減少に備えて技術力のある同業・関連業者の買収を進めています。

事業基盤の強化・一貫したサービスの提供・新事業の開拓などを目的に、技術力のある他社を買収して建築設計/検査会社と事業の存続を図るのです。

④海外市場を目指すには単独では難しいため

4つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景は、海外市場への進出です。建築設計/検査会社の業界では国内の需要が減ると予想されるため、海外市場への進出を図る企業も見られます。

しかし、自社のみで海外への進出を図ると立ち上げの資金・許認可の取得・人材確保など、多くの時間やコストが必要となるため、現地の企業をM&Aで買収し単独では難しい海外進出に臨むのです。

5. 建築設計/検査会社のM&A・売却相場

建築設計/検査会社のM&A・売却相場

建築設計/検査会社のM&A・売却では、相場を断言できません。事業模やエリア・営業権・ノウハウ・技術などによって、M&A・売却相場は異なるからです。しかし、企業価値を計算すればおおよそのM&A・売却目安を知ることができます。

自社の価値を算出する方法

建築設計/検査会社の価値は、以下のいずれかを用いて算出できます。
 

  • 時価純資産法
  • DCF法
  • 類似会社比較法

時価純資産法

時価純資産法はコストアプローチと呼ばれる手法で、純資産価額を基に企業価値を算出する方法です。建築設計/検査会社が保有する資産と負債を時価に置き換え、資産から負債を引いて企業価値を算出します。

将来のキャッシュ・フローや時間経過による価値の増減が反映されませんが、貸借対照表から簡便に企業価値を算出できる点がメリットです。

【時価純資産法の計算】

  • 時価に置き換えた資産-時価に置き換えた負債

DCF法

DCF法とはインカムアプローチと呼ばれる手法で、将来に得られるキャッシュ・フローを基に企業価値を算出する手法です。

将来のキャッシュ・フローに一定の割引率を掛けて現在の企業価値を算出し、建築設計/検査会社が保有する営業権や将来の利益を企業価値に含められますが、事業計画の作成を必要とします。

作成した事業計画によって企業価値が大きく変わるため、信頼性・客観性の高さが求められるといえるでしょう。

【DCF法の計算】

  • フリーキャッシュ・フロー/(1+割引率)+フリーキャッシュ・フロー/(1+割引率)²+フリーキャッシュ・フロー/(1+割引率)³……

類似会社比較法

類似会社比較法はマーケットアプローチと呼ばれ、自社と類似する企業との比較によって企業価値を算出する手法です。非上場会社の企業価値を算出する場合に多く用いられます。

上場会社から業種・事業規模が似た企業を選び、比較する企業の株価を基に売上高・営業利益・EBITDAなどを用いて企業価値を算出します。

非上場企業でも算出する企業価値に市場の価値を反映できますが、類似会社を見つけられない場合は利用できない点がデメリットです。

【類似会社比較法の計算】

  • 類似会社の株式時価総額÷類似会社の指標(売上高・営業利益など)=係数
  • 評価対象企業の指標(類似会社で用いた指標)×係数=企業価値

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企業評価価値の算出は個人でも可能?

建築設計/検査会社の企業評価価値を個人でも算出できますが、より正確な価値を求めるためには専門知識が必要です。

算出方法によっても企業価値評価が異なるため、自社に最適な方法を選ぶことも欠かせません。自社の価値を算出する場合は、M&A仲介会社などの専門家に協力を依頼しましょう。

6. 建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業

建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業

建築設計/検査会社のM&A・買収では、どのような企業が積極的に他社の事業を承継しているのでしょうか。ここでは、建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業2社を紹介します。
 

  1. カーリットホールディングス
  2. ヒビノ

①カーリットホールディングス

カーリットホールディングス株式会社

カーリットホールディングス

出典:http://www.carlithd.co.jp/

1つ目に挙げる建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業は、カーリットホールディングスです。

カーリットホールディングスは化学品の製造・販売をはじめ、ボトル・缶飲料の受託製造、産業用部材の製造・販売、上下水・排水処理施設などの設計・施工を手掛けています。

2019年度からは中期経営計画「ワクワク21」を掲げ、継続に適う事業基盤の確立と絶え間ない技術の進展を目指し、関係者の信頼確保や新製品の開発・新事業の開拓を進める見込みです。

研究開発体制の整備や新製品の開発・新事業の開拓では、M&Aと海外進出を積極的に進めて計画実現を図るため、建築設計/検査会社へのM&A・買収も盛んに行われると予想されます。

②ヒビノ

ヒビノ株式会社

ヒビノ

出典:https://www.hibino.co.jp/

2つ目に挙げる建築設計/検査会社を積極的にM&A・買収する企業は、ヒビノです。ヒビノは建築音響の設計・施工をはじめ、音響機器の販売、映像製品の開発・製造・販売、コンサートなどのイベントにおける音響・映像サービスを提供しています。

中期経営計画「ビジョン2020」を掲げ、建築設計/検査会社の業界で起きている市場の変化に合わせて、2021年3月期までの売上高を500億円、そのうち海外での割合を15%に設定している状況です。

ヒビノは、ハニカム経営を推し進めます。ハニカム経営とは、グループ企業に権限を持たせて、素早い意思決定を実現しさまざまな需要に応える経営方針です。

技術力を持ちながらも事業承継の問題を抱える企業を買収し、対象企業を尊重してシナジーの獲得を目指すことから、今後もM&Aの実行が予想されます。ヒビノはM&Aを活用した経営基盤の強化を図るために、現在までに以下の企業を買収しました。

【M&A・買収事例】

  • テクノハウス(音響機器販売・施工事業)
  • 韓国・Sama Soundグループの3社(音響機器販売事業)
  • 米国・TLS PRODUCTIONS, INC.(照明・音響サービス)

7. 建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイント

建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイント

建築設計/検査会社のM&Aでは、どのような点を押さえればよいのでしょうか。ここでは、建築設計/検査会社のM&Aを行う際に意識するべき5つのポイントを解説します。
 

  1. M&Aは計画的に準備をして行う
  2. M&Aを行う目的は明確にしておく
  3. 売却先には譲れない条件をはっきりと伝える
  4. M&Aが成功するまでは情報の漏えいを防ぐ
  5. M&Aの専門家に相談する

①M&Aは計画的に準備をして行う

1つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイントは、計画的な準備を済ませてからM&Aを実行に移すことです。

M&Aでは自社のブラッシュアップ・事業計画書の作成・株主や不透明な取引の整理・税務上の問題解消などが必要になります。

M&Aに取り掛かるとスキーム・譲渡価格・交渉先の選定や交渉・成約の手続き、デューデリジェンスへの対応など多くの行程を経なければなりません。

無計画でM&Aを進めた場合、交渉が長引いたり希望に合った成約に至れなかったりする可能性が高くなります。そのため、建築設計/検査会社のM&Aでは必要な準備を整え計画に沿って進めることが重要といえるでしょう。

②M&Aを行う目的は明確にしておく

2つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイントは、M&Aの目的を明確にする点ですM&Aの目的によって、選定する買い手・優先する条件・譲渡する対象などが異なります

M&Aの目的が曖昧な場合は、ふさわしい買い手を見つけられなかったり望まない条件をのんでしまったりするなど、自社が望むM&Aに至らないことも考えられるのです。

建築設計/検査会社を売却する際は、まずM&Aの目的を明確にさせるのが成功のポイントといえます。

③売却先には譲れない条件をはっきりと伝える

3つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイントは、売却先に譲れない条件を伝えることです。

自社のみで行う建築設計/検査会社のM&Aでは、売却先との交渉時に自社の希望を伝える必要がありますが、売却先に気を使ってしまい望む条件を伝えられないケースも見られます。

しかし、自社が譲れない条件をしっかりと相手先に伝えれば交渉もスムーズに進みやすくなり、希望のM&Aを成功させる確率も高くなるのです。

譲れない条件は最低売却価格・従業員の雇用など会社によって異なりますが、それらを事前にまとめ、交渉時に伝えられるよう準備しましょう。M&A仲介会社などの専門家を介して条件を伝えるのも有効です。

④M&Aが成功するまでは情報の漏えいを防ぐ

4つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイントは、情報漏えいを防ぐことです。交渉の段階でM&Aを進めていることが外に漏れてしまうと、取引契約の解除や従業員の離職など、問題が発生しかねません。

建築設計/検査会社のM&Aを成功させるためには、適切なタイミングで関係者にM&Aの報告をすることが大切です。役員・経理担当者・各部門のキーパーソンには基本合意の締結後に伝え、そのほかの従業員・取引先にはクロージング後に伝えるとよいでしょう。

ただし、取引先との契約にチェンジ・オブ・コントロール条項が盛り込まれている場合は、クロージング前に伝えなければなりません。

取引契約にチェンジ・オブ・コントロール条項が定められると、経営権の移転に伴う取引先による契約の解除が認められるため、クロージング前に取引先へ通知して同意を得てからM&Aを進めてください。

⑤M&Aの専門家に相談する

5つ目に挙げる建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイントは、M&A専門家への相談です。

自社のみで建築設計/検査会社のM&Aを進めると、交渉先が見つからない・不当な条件をのんでしまった・交渉が決裂した・契約が白紙に戻ったなど、望んだ期間・条件での売却を完了できない事態も考えられます。

建築設計/検査会社のM&Aでは、実績を兼ね備えたM&A仲介会社・地元の士業・金融機関・公的機関などの専門家にできるだけ早い段階で相談しサポートを受けながら進めることが成功のカギといえるでしょう。

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8. 建築設計/検査会社のM&Aを検討する際の相談先

建築設計/検査会社のM&Aを検討する際の相談先

この章では、建築設計/検査会社のM&Aを検討するときの相談先を紹介します。

①M&A仲介会社

建築設計/検査会社のM&Aを検討する際のオーソドックスな相談先は、M&A・売却・買収を専門とするM&A仲介会社です。M&A仲介会社には、M&Aの経験や知識が豊富なスタッフが在籍し、事前準備、交渉相手の選定、クロージングなどを全体的にサポートします。

ただし、M&A仲介会社によって報酬は違います。着手金・中間金・成功報酬などが生じるので、その会社の料金体系を確認してください。M&A仲介会社は非常に多くあるため、自社に合うところを選択することが重要です。

建築設計/検査会社のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、多様な業種を取り扱う中堅・中小企業向けのM&A仲介会社で、知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問合せください。

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②地元の金融機関

建築設計/検査会社のM&Aを検討する際の相談先として、地方銀行や信用金庫など地元にある金融機関も挙げられます。

一般的に、金融機関は法人経営の相談を受け付けていますが、中にはM&Aの相談窓口があるところも存在するのです。

ただし、金融機関は融資をすることが最終的な目的なので、M&A仲介会社より中立性に欠けることもあるでしょう。しかし、普段取引があるメインバンクであれば相談しやすいといえます。

③地元の公的機関

国は、中小企業の後継者不足を重要な問題として取り扱っています。そのため、事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関を設けてサポートを行っているのです。これらの公的機関も、建築設計/検査会社のM&Aを検討する際の相談先として有力といえます。

地元の公的機関は、中小企業のM&Aを専門とするため、中小企業が多い建築設計/検査会社にとって適した相談先です。しかし、公的機関は基本的に相談のみであるため、具体的な仲介業務は提携しているM&A仲介会社に依頼する点に注意してください。

④地元の士業事務所

会計士や税理士などの士業事務所で、建築設計/検査業界の動向やM&Aの経験が豊富なところもあります。このような士業事務所を知っていれば、相談先として有力な選択肢です。

ただし、弁護士、会計士、税理士は必ずしもM&Aに精通しているわけではありません。そのため、どこの士業事務所に相談するかは慎重に選択することが大切です。士業事務所は仲介業務をフルサポートできないため、M&A仲介会社へ最終的に依頼することも覚えておきましょう。

⑤M&Aマッチングサイト

M&Aマッチングサイトとは、売却希望の人が自社情報や希望条件を載せ、買収希望の人が連絡して交渉を行い、自分でM&Aを実施できるサイトのことをいいます。つまり、M&Aマッチングサイトを利用すると、自分で相手探しができるのです。

売却側の料金は完全無料で、買収側のみ成約手数料がかかるシステムのサイトがほとんどなので、コストを抑えたM&Aが行えます。

M&Aを自分だけで行うことに不安があれば、M&Aマッチングサイトが提携するアドバイザーやM&A仲介会社のサポートを受けながらの利用も可能です。

9. 建築設計/検査会社のM&A事例まとめ

建築設計/検査会社のM&A事例まとめ

当記事では、建築設計/検査会社のM&Aについて、業種の概要・選択されるスキーム・事例・売却相場などを紹介しました。

建築設計/検査会社の業界では、業界再編・後継者問題の解決・技術力の確保などを目的としてM&Aが行われています。建築設計/検査会社のM&Aを成功させるためには、計画的に準備を進めて自社に最適なスキームを選択し、交渉することが重要です。

【建築設計/検査会社のM&Aが行われる背景】

  • 建築業界全体でM&Aによる業界再編の流れ
  • 後継者問題を抱える企業も多く存在
  • 技術力を目的として大手企業・中堅企業によるM&A
  • 海外市場を目指すには単独では難しいため

【建築設計/検査会社のM&Aを成功させるポイント】
  • M&Aは計画的に準備をして行う
  • M&Aを行う目的は明確にしておく
  • 売却先には譲れない条件をはっきりと伝える
  • M&Aが成功するまでは情報の漏えいを防ぐ
  • M&Aの専門家に相談する

10. 建設・土木業界の成約事例一覧

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