株式譲渡契約書の作成方法・注意点を解説!印紙は必要?【雛形あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式譲渡契約書はM&Aにおいて重要な役割を果たし、この書類には印紙が必要であったり印鑑の種類、要項の表記など注意点を押さえておかないとトラブルの原因にも繋がります。そこで今回は株式譲渡契約書の作成方法や注意点、印紙の必要な条件等を解説していきます。


目次

  1. 株式譲渡契約書とは
  2. 株式譲渡契約書の作成方法
  3. 株式譲渡契約書の印紙税
  4. 株式譲渡契約書の雛形
  5. 株式譲渡契約書作成の注意点
  6. 株式譲渡契約書を作成する際の相談先
  7. まとめ
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1. 株式譲渡契約書とは

株式譲渡契約書とは

株式譲渡契約書とは、売り手と買い手が株式の譲渡とその諸条件に合意した際に締結するM&Aに関する契約書を指します。

M&Aにて株式を譲渡したり、株式を譲受したりするときに作成されるのがこの株式譲渡契約書で、株式を売買によって譲渡する場合には株式売買契約書とも言います。

この株式譲渡契約書は、相対取引で株式を取得するときに作成されるのが一般的で、株式譲渡契約とは株式の売買契約を意味していて、目的の株式の発行会社や株式の種類や数を特定して、その所有権を移転することを約束し対価である金銭を定めるものです。

株式譲渡契約書または株式売買契約書は、株式が株券発行会社なのか株券不発行会社なのかによっても、作成時に注意点が異なります。

株式譲渡契約書はM&Aの手法で用いられる株式譲渡をするときに必要な書類の一つで、最終の取引完了を意味するため、最重要書類とも言えます。

この株式譲渡はエクセルやワードを使って自身で作成することが可能ですが、自身でエクセルなどを使い作成するときには、注意点やポイントを押さえておかないと意味のない書類になる可能性もあります。

今回は株式譲渡契約書作成にあたってのポイントや、印鑑などの注意点などを解説していきます。

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2. 株式譲渡契約書の作成方法

株式譲渡契約書の作成方法

この株式譲渡契約書(株式売買契約書)は締結された時点で株式譲渡が行われることを意味していて、M&Aではこの株式譲渡契約書の締結をしたときに初めて売買成立となります。

この章では、重要書類である株式譲渡契約書(株式売買契約書)の作成における注意点や、作成方法を細かな項目に分けて解説していきます。

株式譲渡契約書の記載内容

株式譲渡契約書または株式売買契約書には、後々のトラブルやこの契約で起こる事象を第三者から見ても理解できるよう細かな項目に分けて作成しなければいけません。

作成にあたっては、エクセルやワードなどを使って作成し、細かな契約に関する条件や約束事項などを盛り込んでいきます。

個人でも作成できるものなのでエクセルやワードなどを使って作成するか、専門家に依頼して作成をしましょう。

株式譲渡契約書に記載する内容には、以下の項目があります。

  • 基本合意の内容
  • 株式譲渡代金や支払い方法、期日について
  • 株式名簿書き換えについて
  • 表明保証内容
  • 契約解除に関する事項
  • 損害賠償事項
  • 競業阻止義務について
  • 合意管轄について

ここで解説するのは基本的な株式譲渡契約書の内容となりますので、要項の意味を理解しながら見ていきましょう。

①株式譲渡の基本合意について

まず株式譲渡契約書(株式売買契約書)では「基本合意」という条文で株式譲渡または売買の主な内容を記載していきます。

具体的な内容としては

  • どの会社の株式を譲渡するのかその会社の社名と住所の記載
  • 譲渡対象となる株数の記載
  • 譲渡金額はいくらなのかを記載
  • 普通株式なのか譲渡制限株式なのか株式の種類を記載
以上のようなことを盛り込んで、株式譲渡契約書の基本合意の部分を作成します。

このとき譲渡金額は会計士などの算定によって交渉をしますが、法律上では株式の金額がいくらであっても、双方の合意のが済んでいれば特に問題はなく、無償でも構いません。

また実際の譲渡代金とは課税の問題があり、株式譲渡契約書に記載した譲渡金額との間に差が生まれますが、この部分に関しては会計士や税理士に相談しておくのが良いでしょう。

②譲渡代金の支払い方法の記載

株式譲渡契約書(株式売買契約書)には、譲渡代金の支払い方法を記載する必要があります。

振込の場合には振込期日の記載なども忘れぬように記載しておき、エクセルなどご自身で作成するときには振込先口座の情報も記載しておくといいでしょう。

また株券発行会社である場合には、支払いと引き換えに株券を売り手から買い手に交付することを必ず記載しておきましょう

③株式の名義書き換え

株主名簿とは、株式会社が株主にどのような方がいるのか把握するための帳簿のことで、株式譲渡の場合、譲渡した株式について株主名簿の名義を売り手から買い手に変更する必要があります。

株式譲渡契約書(株式売買契約書)には、この変更を約束する旨を記載しなければなりません。

そして株式不発行会社の場合は、会社に対する株主名簿の書き変え請求は売り手・買い手が共に共同で行わなければいけません。

これは会社法上で第133条に記載されており、第2項で定められております。

そのため、買い手からすると譲渡代金の支払いと引き換えに買い手から売り手に買い手が印鑑を捺印した株式名簿書換請求書を交付することを株式譲渡契約書に記載するのが良いでしょう。

もしも、株式名簿書換請求について売り手の協力が得られずに買い手が独自で書換請求を起訴をして株式名簿の書換を求めなければならないので手間と費用がかかるので注意が必要です。

また株券発行会社の場合で、株券の交付が済んでいれば株主名簿の書換は単独で行うことができます。

以上のように株券発行会社か株券不発行会社かによっても違いがあるので株式譲渡契約書作成時には注意が必要です。

会社法第133条 参照条文

1,株式を発行した株式会社以外のものから取得した者は当該株式会社に対して、当該会社に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、または記録することを請求することができる。

2,前項の規定による請求は利害関係者の利益を害する恐れがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者、または相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。

④表明保証の記載

表明保証は株式譲渡契約書(株式売買契約書)の中でも重要な契約条項の一つです。

譲渡する株式について売り手が買い手に対して保証する内容を記載するのですが、一般的には以下のような内容を表明保証として条項に盛り込みます。

  • 売り手が譲渡株式の保有者であること
  • 譲渡する株式にその他第三者の権利が設定されていないこと
  • 発行会社の財務内容が直近会計年度末の決算書類の通りであること
  • 発行会社に簿外債務などの決算書に記載の無い負債が存在しないこと
  • 発行会社が適切な税務申告をおこなっており、課税処分の恐れがないこと
  • 発行会社が行なっている事業に法令違反がないこと
  • 発行会社が従業員の雇用に関して違反をしていないこと
  • 発行会社の発行株式総数を記載すること

ただしこの株式譲渡契約書に記載される表明保証の契約条項については、前途の株式譲渡の目的や自身が買い手側か売り手側かによって書き方が大きく変わることがあります。

買い手の立場での表明保証のポイント

買い手の立場からみた注意点には、株式譲渡契約書においてはなるべく表明保証条項を多く組み込むという点が挙げられます。

特に、外部協力者として出資する時や会社の支配権を取得するようなM&Aでは、多くの条項を表明保証に組み込んだ方がよいとされています。

理由としては、買い手が外部の人の場合、売り手の会社の財務内容や経営状態について報告した内容を信用して株式の売買をすることになるからであり、売り手の報告が真実であることを保証してもらい、万が一報告を受けた内容と異なる事実であるときに損害賠償を受けることができるからです。

このように、株式譲渡・M&Aを行うときには、買い手は表明保証条項に気をつけて、株式譲渡契約書を作成していく必要があります。

売り手の立場での表明保証のポイント

売り手の立場としては、表明保証の内容をなるべく少なくして、無理な保証をつけないことが大切です。

例えば、株式譲渡後に従業員に対しての残業代の未払いなどが発覚した時に、表明保証の内容で「発行会社が従業員との雇用関係に法令違反や契約違反をしていない」などの記載があれば、買い手会社から損害買収請求をされる可能性があります。

もちろん虚偽の報告はいけませんが、虚偽の報告がなかったとしても細かな部分まで表明保証に組み込んでしまうとあれこれ突っ込まれてしまうので、できるだけ表明保証の条項は少なくシンプルにしておくのがいいでしょう。

また、できないことは「できない」と買い手に相談し了承した上で株式譲渡契約書に表明保証を記載するようにしましょう。

⑤契約解除に関する記載

売り手・買い手共に株式譲渡契約書の契約内容などに虚偽のものがあった際、契約解除のする場合について定める必要があります。

具体的には、どのような事由の場合に契約解除を認めるかと解除した時の処理などについて、株式譲渡契約書に盛り込んでおく必要があります。

一般的な契約解除事由については以下のようなものが挙げられます。

  • 売り手または買い手の破産
  • 株式の譲渡が会社内で承認されなかった時
  • 買い手が譲渡代金を支払わなかった場合
  • 売り手が株券を引き渡さない場合
  • 売り手の表明保証した内容と事実が大きくことある場合
また、株式譲渡契約書の契約を解除した場合の処理として、売り手から買い手に譲渡金額の返還と解除原因について、責任のある当事者の賠償責任などについても記載をしておくのがスタンダードです。

当然のことですが、事由がなく解除することは基本的に認められないので、この部分ではしっかりと契約解除に関する条項を記載しておきましょう。

⑥損害賠償事項の記載

株式譲渡契約書(株式売買契約書)では、売り手・買い手共に相手側に損害賠償請求ができる場合についても、記載しておく必要があります。

これに関しては買い手側にとっての注意点ですが、株式譲渡契約書の表明保証内容が譲渡された会社の経営と大きくことなっていた場合などに売り手に対して損害賠償請求できるようにしておくことが重要になります。

株式譲渡契約書のこの条項では、どのような場合に損害賠償請求ができるのかを記載しておきましょう。

また逆に売り手の立場からはその賠償金額を上限を定めたり、請求できる期間などを設けるように契約条項を変えてもらうことが必要不可欠になります。

⑦競業避止義務に関する記載

競業阻止義務とは、従業員などの契約にもあることですが、一定の者が第三者や自己のためにその地位を私的に利用して営業者の営業と競争的に取引をしてはならないという義務であり、商法と会社法および労働法で使用される法学上の用語です。

買い手の立場からすると、株式譲渡後に売り手が譲渡をした会社と同じ事業を始めるのは、迷惑にもなります。

そのため、「一定期間売り手が同業種の事業をすることを禁じる契約条項」を盛り込んでおく必要があります。

⑧合意管轄に関する記載

株式譲渡契約書(株式売買契約書)では、この契約書で締結された内容について、万が一トラブルがおきた場合に、どこの裁判所で審理を求めるのか定めておく必要があります。

これは株式譲渡契約書でなくても様々な契約書に記載がある条項で、「専属的合意管轄」と「付加的合意管轄」があり、記載した合意管轄裁判所に限定するものと、合意管轄条項で記載した裁判所のほかに民事起訴方に基づいて定められている裁判所への提訴も認めるものなのかを記載します。

基本的には、専属的合意管轄を明記しておくのがよいとされています。

仮に、株式譲渡をする買い手と売り手が同一地域の会社や人である場合には、その場所の合意管轄裁判所を定めればよいのですが、買い手・売り手が東京と大阪など離れている場合には、どちらかの合意管轄裁判所を
定めなければなりません。

このとき、どちらかの裁判所に偏ってしまうとトラブルが起こったときにどちらかが、移動費などのコストをかけなければならなくなるのでこの合意管轄に関する記載では裁判所の設定を交渉し決めていく必要があります。

3. 株式譲渡契約書の印紙税

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株式譲渡契約書の印紙税

次は、株式譲渡契約書の印紙税について、解説をしていきます。

基本的に株式譲渡契約書(株式売買契約書)には、印紙税を貼る必要はありません。

平成元年の3月31日までは株式譲渡契約書の印紙税を貼る必要がありましたが、平成元年4月1日以降は印紙税の課税が廃止されているので、現在は株式譲渡契約書に印紙税を貼る必要はありません。

株式譲渡契約書作成の際に印紙が必要な場合

例外的に株式譲渡契約書を作成するときに印紙税を必要がある場合としては、株式譲渡契約書(株式売買契約書)に代金受領の記載があるときです。

上記でも記載している通り、株式譲渡契約書では通常「譲渡代金等の支払い方法」として、株式譲渡契約書作成後に支払いを受ける形をとりますが、場合によっては株式譲渡契約書作成前に譲渡代金を支払うケースもあり、そのような場合には印紙税を貼る必要があります。

この場合は株式譲渡契約書(株式売買契約書)に「○年○月○日に譲渡人は株式譲渡代金として〇〇円受領した」などの記載が必要になります。

代金受領の記載がある場合の株式譲渡契約書には「金銭の領収書」としての性質があるので、以下のように印紙税を貼る必要があります。

  • 5万円未満→非課税
  • 5万円から100万円以下→200円の印紙
  • 100万円から200万円→400円の印紙
  • 200万円から300万円→600円の印紙
  • 300万円から500万円→1000円の印紙
  • 500万円から1000万円→2000円の印紙
  • 1000万円から2000万円→4000円の印紙
  • 2000万から3000万円→6000円の印紙
  • 3000万円から5000万円→10000円の印紙
  • 5000万円から1億円→20000万円の印紙
例外として、個人が営業とは関係なく株式を譲渡されるような場合には、印紙税は課税されないことになっています。
 

株式譲渡契約書作成の際に印紙が不必要な場合

株式譲渡契約書(株式売買契約書)では平成元年4月1日より、印紙税は不要とされており、金銭等の受領が株式譲渡契約書締結前にされていない場合は印紙税は貼る必要がありません。

基本的には株式譲渡契約書の締結は譲渡代金の支払い前に締結されるものなので、印紙税を貼らないケースが大半です。

また金銭の受領があった場合でも、原則として5万円以下であれば印紙税の課税はないため、不要となります。

4. 株式譲渡契約書の雛形

株式譲渡契約書の雛形

株式譲渡契約書はエクセルなどが使える方は作成することが可能ですが、テンプレートなどがネット上でダウンロードでき、サンプル文書なども出ています。

ここでは、株式譲渡契約書の参考文例やテンプレート、株式譲渡契約書の作成にあたっての注意点などを解説していきます。

株式譲渡契約書作成の参考文例

株式譲渡契約書は、一般的な契約書と同じで、まず譲渡人と譲受人が誰なのかを記した上でその内容となる株式数や譲渡金額を他の第三者が見てもわかるように記載しなければいけません。

この株式譲渡契約書は、雛型やフォーマットがネット上にでているので、エクセルで出力してそのまま使うこともできますし、エクセルが使用できない場合はご自身でサンプル・例文を元に作成することができます。

また、有償取引時と無償取引時では契約書の内容が若干変えなければいけないので、そのポイントも解説していきます。

株式譲渡契約書の参考テンプレート

【株式譲渡契約書】

第1条(目的)
譲渡人〇〇(以下「甲」という、)は譲受人〇〇(以下「乙」という、)に対して甲が保有する株式(以下「本株式」という、)を譲渡し乙はこれを譲りうける

発行会社 〇〇株式会社
株式数  〇〇株
譲渡金額 〇〇円

第2条(支払い)
1、乙は甲に対して、平成〇〇年〇〇月〇〇日までに下記の指定口座に譲渡金額の全額を振込し支払う。
2、譲渡代金の支払いと同時に甲は乙に権利を移転し、乙は株式を譲り受ける。
3、甲および乙は共同で前項の発行会社の承認後に株式発行会社に対して、株主名簿の書換請求を行う。

第3条(表明保証)
甲は乙に対して、以下の事項を保証する。
1、本契約に対しての手続きが全て完了していること
2、本件株式が有効なものであること
3、現在、平成〇〇年〇〇月〇〇日の発行会社の貸借対照表及び損益計算書に記載のない負債がないこと

第4条(契約解除)
甲または乙が本契約に違反した場合、協議の上本契約を解除して違反によって受けた損害を賠償するものとする。

第5条(合意管轄)
本契約の紛争については〇〇裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第6条(競業阻止)
1、甲は乙が事前に承諾した場合および対象会社の職務を遂行する場合をのぞいて、対象会社が営んでいる事業またはこれに類似する事業を直接または間接的に行ってはならない。
2、甲はその形態に関わらず対象会社の従業員やそのほかの従業員を勧誘してはならない。

本契約を成立するために本契約書を2通作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する

平成〇〇年〇〇月〇〇日

甲:住所
氏名    印

乙:住所
氏名    印

以上が株式譲渡の例文となり、このようなエクセルテンプレートが多くネット上に出ているので、それらを参考に作成していくのがいいでしょう。

一番簡単な株式譲渡契約書の内容になりますが、これに当事者の印鑑を押すことで基本的に契約上の効力は発生します。

基本的には、第1条で株式譲渡の対象を記載し、第2条で譲渡代金の明記と支払い方法、期日の記載、第3条からは表明保証や損害賠償に関する記載、合意管轄についてなど細かな取り決めを記載していきます。

なので上記の株式譲渡契約書の作成方法で解説したとおり、契約の当事者間で取り決めがある場合には条項を増やして、契約解除や競業阻止などの要項を入れていく形になります。

ネット上でエクセルやワードで使えるテンプレートが多くありますので、それを基本として作成していくのがおすすめです。

有償取引時の契約書作成のポイント

株式譲渡契約書は売買による契約がほとんどであるため、基本的には有償取引という形になります。

この場合には、契約書の「譲渡合意」などの部分に
「甲は甲の保有する株式(以下「本株式」という)を乙に譲渡し、第2条に規定する譲渡代金の受領日をもって本株式の所有権を乙に移転するものとする」
というように、譲渡代金と引き換えに保有株式を譲渡するということを明確に規定します。

またその後の第2条には、その譲渡代金を記載して支払い方法と支払い期日を記載します。

無償取引時の契約書作成のポイント

株式譲渡では、無償で譲渡などをするケースもあり、無償取引の場合にも株式譲渡契約書の締結は必要です。

無償取引とは贈与や相続など家族や親族間での株式譲渡によくあるもので、たとえ家族や親族間であっても契約書を残しておきたい場合には、無償取引として株式譲渡契約書を作成するケースもあります。

この無償取引での株式譲渡契約書は、譲渡合意の部分に
「甲は○年○月○日をもって、甲が保有する次の株式(以下「本株式」という)」を乙に無償で譲渡し、乙はこれを譲り受ける。甲は乙に対して、当該株式の対価として金銭、その他一切の要求を行わない。」
このように記載して、金銭の取引がないことを証明したうえで、株式の譲渡を行うことを約束します。

また、第2条には株主名簿の名義書換についても記載し、乙から甲に対しての名義書換請求をすることを記載しておきましょう。

5. 株式譲渡契約書作成の注意点

株式譲渡契約書作成の注意点

株式譲渡はM&Aの中でも手続きが簡易でありますが、株式譲渡契約書の作成時には注意点もいくつか存在します。

この注意点を理解していないと、後々の賠償責任などのトラブルになりかねませんので、理解しておくことが重要です。

注意点を理解しておけば、契約もスムーズに進みM&Aが成功することが多いので、しっかりと理解したうえで株式譲渡契約書を作成するようにしましょう。

株券発行会社であることを確認

株式は株券発行会社と株券不発行会社の2種類あります。

この株券発行会社と株券不発行会社では株式譲渡の手続きが異なり、M&Aにて株式譲渡をするときには注意点として挙げられます。

場合によっては株式譲渡契約書が締結されても法的に処理ができず、契約書自体が無効になるケースもあるので、しっかりと株式譲渡をするときには理解しておかなければならない部分です。

ここでは、株式譲渡契約書の注意点である株券発行会社と株券不発行会社の解説をしていきます。

株券発行会社とは

株券発行会社は、その株式に係る全ての株券を発行する旨が会社の定礎に記載されている会社のことで種類株式発行の会社の場合も種類別に全て株券を発行しなければなりません。

株券発行会社の場合は株を実物の株券として発行し、発行されている枚数と株主名簿で管理されているので、株式譲渡契約書の締結後に株券の発行をし、その株券を受け取った時点で株式譲渡契約が完了します。

平成18年5月1日より前に設立された会社は、原則として株券発行会社になっているので、定礎を変更していない限りは株式譲渡時に株券を買い手に交付しなければなりません。

株券不発行会社とは

旧商法では原則として株式会社は全ての株式を発行することが義務であり、株式譲渡についてはその発行株券の交付をもって株式譲渡が完了することになっていました。

ですが、平成18年5月1日に会社法施行があり、問題視されていた株券の管理や紛失などのリスク・流通・株券発行にかかるコスト削減をするために、会社法上で株券を発行しないことが可能になっています。

そのため、平成18年5月1日以降に法人設立をしている会社は、定礎で株券の発行を定めていない限り、株券不発行会社となり、株券発行会社は例外としての扱いになっています。

この会社法施行より前に設立されている株式会社は、定礎上で株券発行会社となっているため、株券不発行会社にするためには、定礎を変更しない限り、株券発行義務を残す義務が残っている状態となります。

登記事項証明書での株券発行会社かどうかを確認する方法

株券発行会社かどうかは定礎を見て確認することが原則となっていますが、会社の登記事項証明書でも確認することができます。

上記でも解説したとおり、会社法施行前に設立された会社かどうかにより法律の扱いが異なるのでこの点に注意して確認する必要があります。

  1. 会社法が施行された平成18年5月1日より前に設立された会社の場合     登記事項証明書に何も記載がなければ株券発行会社となっていて、登記事項証明書に「株券不発行会社」ということが記載されていれば株券不発行会社となります。
  2. 会社法が施行された平成18年5月1日より後に設立された会社の場合     登記事項証明書に何も記載がなければ株券不発行会社となっていて、登記事項証明書に「株券発行会社」ということが記載されていれば株券発行会社となります。
上記のポイントを確認すれば定礎を確認しなくても、登記事項証明書を見て株券発行会社か株券不発行会社か確認することができます。

譲渡制限のあるなしを確認

株式譲渡を行う場合、対象会社が株式譲渡制限をしているのかしていないかを確認しておく必要があり、株式譲渡契約書を作成するときの注意点でもあります。

株式譲渡制限とは、株式を譲渡するときに発行会社の承認を必要とすることを指し、譲渡制限がない会社を「公開会社」といい、全ての株式に譲渡制限を設けている会社を「非公開会社」といいます。

この株式譲渡制限は、定礎で定めることによって譲渡を制限することが可能ですが、株式の譲渡制限をすると株式の分散を避けることができ、経営に参加する人を制限することができます。

また、取締役の任期の延長が可能になるので、2年ごと延長のために重任登記にかかる費用と工数を削減することができます。

このようなメリットがあることから、中小企業などでは非公開会社であることが多く、これを確認しておかないと譲渡した株式の権利を得ることができず事実上無価値な株式を保有することになってしまいますのでここが注意点になります。

株式譲渡の目的を確認

重要な注意点で当たり前のことに思えるかもしれませんが、株式譲渡の目的を確認も怠ってはいけません。

対象企業なぜ株式譲渡を検討しているか、株式譲渡を自社で行った時どのようなメリットがあるのか、しっかりと理解したうえで行うことが重要です。

M&Aでも言えることですが、この目的が明確でない場合、むやみに株式譲渡などをするのは好ましくありません。

M&Aや株式譲渡は従業員も含め会社全体が関係することで入念な打ち合わせや、目的が明確でない場合、かなりのリスクを買い手・売り手共に負うことになります。

そのため株式譲渡を行う時には、互いに必ず目的を明確にし確認を行うことが重要であり、株式譲渡契約書を作成するときにも注意点をしっかり理解して行うようにしましょう。

印鑑は実印を使うべきか

印鑑は実印を使用するべきかどうかという点ですが、契約書関係に押印する印鑑は法律上では実印を使用する必要はないとされています。

ただし、印鑑証明などを一緒に提出することもあるため、株式譲渡契約書や株式売買契約書のような重要書類はなるべく印鑑は実印を使うことが良いとされています。

契約書とはトラブルを避けるために作成されるものであり、このとき印鑑を押印した者が本人であることの証明にもなるので、印鑑は印鑑証明に登録されている実印を使用することをおすすめします。

さらに可能であれば、印鑑証明の添付も行えば、最も確実な契約の効力を証明する方法となります。(実務上、一般的な契約で印鑑証明書を添付を求める場合には、契約内容に重要度に応じてということになるので、状況に応じて添付を義務付けます)

以上のことから、株式譲渡契約書の作成をするときトラブルをなるべく避けるためには印鑑は実印を使い、印鑑証明書の添付をすることをおすすめします。

独占禁止法に基づく規制

株式譲渡では株式を取得するにあたって、一定の要件を満たしている場合は、独占禁止法の取り決めにより

公正取引委員会に事前の届出が必要になるようなM&A取引の場合には、買い手は届出受理後30日間は原則として株式取得ができません。

また、海外M&Aの時にも類似の規制がありますので、必要に応じてこの条項を株式譲渡契約書の取引実行条件として盛り込む必要があります。

大きな案件などに限ることですが、場合によっては必要になるので覚えておいたほうがいいでしょう。

外為法に基づく規制

買い手が外国人投資家などの場合は、外為法上で対内直接投資等に当たるため、買い手においては事前届出や事後届出が必要になる場合もあります。

そのため外為法に該当する場合には、取引実行条件や誓約としてなんらかの規定を取り決め、条項に加えなければならないため、注意点として理解しておきましょう。

従業員や役員の処遇についての取り決め

株式譲渡契約書の注意点として、従業員の処遇や取り決めは重要なポイントです。

株式譲渡時は事業も丸ごと譲り受けることになるので、もちろん従業員の処遇なども取り決めておかなければなりません。

また、代表取締役などがこの株式譲渡によって退任などをされる場合などに関しては、その処遇についても株式譲渡契約書に記載をしておく必要があります。

M&A取引では人材の流出のリスクがありますので、このような点も注意して契約書に盛り込んでおかないと後々トラブルになる可能性があります。

6. 株式譲渡契約書を作成する際の相談先

株式譲渡契約書を作成する際の相談先

株式譲渡契約書(株式売買契約書)は、自身でエクセルなどを使い作成することも可能です。

ですが、株式譲渡契約書を作成するとき、法務に関しての知識やM&Aなどの手続きをしたことがないと時間がかかるだけでなく、内容に不備があったり作成自体が困難だったりする場合があります。

このようなときは専門家に強力してもらう方法が最も安心、M&Aの仲介会社やファイナンシャルプランナーに相談すれば株式譲渡契約書の作成の手伝いをしてくれます。

譲渡する側・譲渡される側の対象に応じたリーガルチェック

上記で解説してきた通り、株券発行会社か株券不発行会社かまたは、譲渡制限の有無など株式譲渡の目的は何なのかなど把握したうえで状況にあった株式譲渡契約書を作成することが重要です。

譲渡する側としては、後日に株式譲渡契約が無効となり、無理な表明保証をしたことで代金の返還や損害賠償を求められたりします。

また譲渡される側としては株主になるための手続きや、表明保証などで株式譲渡によるリスクやトラブルを事前に防ぎ、万が一トラブルになっても効力のある実践的な契約書を作成する必要があります。


エクセルなどを使用できる場合、安易にエクセルテンプレートや雛形を使用するとこのようなリスクに対応できていないケースが多いため、弁護士などの専門家に依頼してリーガルチェックをしてもらうことをおすすめします。

また、株式譲渡契約書の作成にあたり、自身でテンプレートを使いエクセルなどで作成しチェックだけを依頼するのか、一から専門家に作成してもらうのかによってもコストが変わってくることもあるので、料金に関しても事前に問い合わせることをおすすめします。

株式譲渡契約書の作成についての相談はM&A総合研究所へ!

M&A総合研究所には、株式譲渡やM&Aの知識や豊富な経験をもった専門家が多く在籍しています。

M&A専門の会計士が運営する企業であり、法務や契約書などのM&Aの手続きなどは全てサポートし、手数料は業界最安値水準です。

株式譲渡契約書の作成の相談をするときには、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

また、株式譲渡・M&A・事業承継を検討している方は、無料相談も行っているのでお気軽にお問い合わせください。

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7. まとめ

まとめ

株式譲渡契約書は、株式譲渡をするときの一番重要な書類です。

この株式譲渡契約書に記載される内容はそれまでに交渉した内容や、譲渡金額、取り決めなどをまとめたもので重要事項は全てここに記載されます。

株式譲渡契約書の内容を理解していないと起こりうるリスクとしては、以下のような点が挙げられます

  • 株券の引き渡しが受けられず、譲渡が無効になること
  • 株主名簿の書換の時に、売り手 に協力をしてもらえないことがある
  • 譲渡後に売り手がまた同じ地域などで同じ事業を起こしてしまう
  • 株式譲渡を受けたのに売り手が株主ではないことが発覚する
  • 株式譲渡後に会社が法令違反などで事業を続けられなくなる
  • 株式譲渡後に残業代などの未払いが発覚し負債を背負うことになる
  • 保証できないことを表明保証し買い手から損害賠償を請求される
  • 株券の引き渡しをしなかったために契約が無効となり、譲渡代金などの返還を請求される

株式譲渡契約書はエクセルやワードを使えば誰でも作成が可能ですが、このようなリスクを回避するためにも専門家によるチェックや相談をし、正確な株式譲渡契約書を作成しましょう。

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  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
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M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

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M&A専門会計士が対応します

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  • 【国内最安値水準】
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    公認会計士が国内最安値水準でM&A・事業承継をフルサポートいたします。
    まずはお気軽にご相談ください。会社、事業の譲渡または買収をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。

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    M&A・事業承継を成功させるポイントやM&Aの実態をまとめた「後悔しない会社売却・事業承継 M&Aのために抑えておきたいポイント」(16ページ)を無料で進呈いたします。

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