自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の事例を紹介!動向から相場も解説!

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

本記事では、自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継について、業界の動向・価格相場・メリット・成功のポイントを解説します。自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・事業承継成功事例も紹介します。M&Aを検討している方は必見です。

目次

  1. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・事業承継とは
  2. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の事例11選
  3. 自動車小売業界(ディーラー)の動向と現状
  4. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の相場
  5. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の5つのメリット
  6. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイント
  7. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却に関する相談先
  8. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の際におすすめのM&A仲介会社
  9. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のまとめ
  10. 小売業業界の成約事例一覧
  11. 小売業業界のM&A案件一覧
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1. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・事業承継とは

自動車小売業(ディーラー)は、どのようにして自社の事業を譲り渡しているのでしょうか。ここでは、自動車小売業(ディーラー)の特徴を踏まえて、M&A・譲渡・売却、事業承継のスキームを解説します。

自動車小売業(ディーラー)とは

自動車小売業(ディーラー)とは、新車・中古車を販売する業者の中でメーカーと特約を結んだ販売業者をさし、車の販売のほかに車両のメンテナンス・修理・車検などのサービスを提供しています。自動車小売業(ディーラー)はメーカーと特約を結ぶため、特定の車しか取り扱えません。

メーカーからサービスの水準を決められているケースが多いため、一定のレベルを保ったサービスが提供されています。

自動車小売業(ディーラー)は、メーカー直営型と地域独立型に分けられています。メーカー直営型は、メーカーと自動車小売業(ディーラー)の間に資本関係があり、車の販売にメーカーの意向が強く反映されます。

対して地域独立型は、地域の有力者などによって運営される自動車小売業(ディーラー)です。メーカーと資本関係がないので、直営型とは異なる営業スタイルで自動車小売業(ディーラー)の運営を行っています。

M&A・譲渡・売却とは

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却とは、合併・買収のスキームにより、自社の自動車小売業(ディーラー)を他社に譲り渡す取引です。

企業同士で株式譲渡事業譲渡吸収合併・吸収分割などを行い、自動車小売業(ディーラー)の会社そのものや事業のみを他社に譲渡します。

M&Aをはじめとする企業間の取引は大手企業の手法と見なされていましたが、近年では中小企業向けのM&A仲介会社の登場により、事業規模の小さい中小企業でもM&A・譲渡・売却が行われています。

事業承継とは

自動車小売業(ディーラー)による事業承継とは、経営を後継者に引き継がせる行為をさします。後継者の対象とされるのは、親族・役員や従業員・第三者です。

親族または役員・従業員に対する事業承継を選択する場合は、早い段階から後継者を決めて経営者としての育成を行うため、負担となる株式の譲渡も時間をかけて計画的に進められ、従業員の反発を受けにくい利点も備えています。

とはいえ、親族・従業員などが株式を取得したり、個人保証・担保を解消する資金力がなかったりするケースでは、事業承継が先送りになるケースがあります。

一方で第三者への事業承継は、親族・社内にふさわしい人物がいない場合に選ばれるのが多い手法です。

従業員からの反感を買いやすい反面、資金力がある・自動車小売業(ディーラー)の経営に長けている相手への事業承継なら、安定した経営を望めるでしょう。

第三者への事業承継はM&Aとも呼ばれ、資金不足などがネックとなり親族や役員・従業員への事業承継を断念する場合、M&Aを選択して第三者へ自動車小売業(ディーラー)を譲渡・売却し、事業を引き継ぎます。

2. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の事例11選

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却では、どのような企業が事業の取引を行っているのでしょうか。ここでは、自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例を紹介します。

  1. Swift Holdings Investments Pty Ltd.によるGulliver Australia Pty LtdのM&A
  2. VTホールディングスによる光洋自動車のM&A
  3. テーオーホールディングスによる北⾒三菱⾃動⾞販売のM&A
  4. ネクステージによるウエインズインポートのM&A
  5. 遠州鉄道による静岡トヨタ自動車のM&A
  6. 伊藤忠商事によるヤナセのM&A
  7. ウイルプラスホールディングスによるVOLVOディーラー事業のM&A
  8. VTホールディングスによる南アフリカのPEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA (PTY) LTDのM&A
  9. 双日によるビー・エム・ダブリュー大阪のM&A
  10. 宮崎三菱自動車販売による西日本三菱自動車販売のM&A
  11. 日産自動車グループの販売会社3社による大洋日産自動車販売のM&A

①Swift Holdings Investments Pty Ltd.によるGulliver Australia Pty LtdのM&A

2022年4月、Swift Holdings Investments Pty Ltd.がGulliver Australia Pty Ltdの全株式を取得し、完全子会社化しました。M&Aの取得価格は非公開です。

買い手側企業は、投資事業を展開する会社です。売り手側企業は、IDOMの連結子会社として、オーストラリアのヴィクトリア州において新車・中古車の販売事業を展開しています。

本件M&Aの目的は、資本効率や成長性の高い主力事業への集中および、オーストラリアにおける新車ディーラー事業からの撤退にあります。

連結子会社の株式譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ

②VTホールディングスによる光洋自動車のM&A

1つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例は、VTホールディングスによる光洋自動車のM&Aです。

国内外向けに自動車小売業(ディーラー)や住宅関連事業会社など束ねるVTホールディングスは、2019年の8月に北海道でフォルクスワーゲン・アウディの正規自動車小売業(ディーラー)を行う光洋自動車の株式を取得しています。

VTホールディングスは対象企業の株式をすべて取得しました。自社ノウハウを生かして北海道エリアにおけるフォルクスワーゲン・アウディのシェアを拡大して収益を高めるとしています。

VTホールディングス、光洋自動車の株式を取得(子会社化)-フォルクスワーゲンおよびアウディのシェア拡大

③テーオーホールディングスによる北⾒三菱⾃動⾞販売のM&A

2つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例は、テーオーホールディングスによる北⾒三菱⾃動⾞販売のM&Aです。

2019年6月、日産の自動車小売業(ディーラー)を手掛けるテーオーホールディングスは、北海道のオホーツク管内で三菱⾃動⾞⼯業系列の自動車小売業(ディーラー)を営む、北⾒三菱⾃動⾞販売の株式を取得しています。

テーオーホールディングスは対象企業の株式をすべて取得し子会社としました。買収した目的には自動車販売業(ディーラー)の強化・資産の有効的な活用・シナジー獲得による企業価値の向上などを挙げています。

北⾒三菱⾃動⾞販売株式会社の株式取得(⼦会社化)に関するお知らせ

④ネクステージによるウエインズインポートのM&A

ネクステージは、2018年6月、ウエインズインポートの全株式を取得しその社名をAiへと変更しています。

その結果、アウディ正規販売店4店舗を運営する法人であったウエインズインポートは、ネクステージの子会社となり、Aiへと社名変更となりました。Aiが運営を承継したのは、「Audi 湘南」「Audi 戸塚」「Audi 港南台」「Audi 東名川崎」という4つのアウディ正規専売店です。ネクステージはこのM&Aによって日本におけるアウディの車の販売権を得ています。

⑤遠州鉄道による静岡トヨタ自動車のM&A

2018年5月、遠州鉄道は、自動車販売を手掛けている静岡トヨタ自動車の全株式をトヨタ自動車から取得するのに成功しました。買収額は50億円です。

遠州鉄道は、このM&Aにより、静岡トヨタの全株式を取得するとともに、静岡トヨタの完全子会社である静岡トヨタ物流サービスを連結子会社化しています。もともと、遠州鉄道は、ネッツトヨタ浜松、トヨタレンタリース浜松において静岡県西部地域を中心に自動車販売業を運営していました。このM&Aによって、さらに自動車販売業の売上規模を拡大するのに成功しています。

遠州鉄道は、鉄道以外の事業で売上高の99%を得ているユニークな企業です。

遠州鉄道株式会社による静岡トヨタ自動車株式会社の株式取得について

⑥伊藤忠商事によるヤナセのM&A

5つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例は、伊藤忠商事によるヤナセのM&Aです。

国内大手の総合商社・伊藤忠商事は、2017年の7月に輸入車の自動車小売業(ディーラー)を手掛けるヤナセの普通株式を、公開買付けにより取得しています。

伊藤忠商事はヤナセの普通株式を39.49%所有していましたが、追加での株式取得を通じて資本関係を密にし対象会社を連結子会社とするとしています。

株式会社ヤナセ株券に対する公開買付けの開始に関する お知らせ

⑦ウイルプラスホールディングスによるVOLVOディーラー事業のM&A

6つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例は、ウイルプラスホールディングスによるVOLVOディーラー事業のM&Aです。

輸入車の販売事業を手掛けるウイルプラスホールディングスは、連結子会社の帝欧オートを通じて2017年の5月にサン・ガレージからVOLVOディーラー事業を譲り受けています。

福岡県内でVOLVOの正規自動車小売業(ディーラー)として事業を展開する帝欧オートは、対象事業を譲り受けて、業容の拡大・経営基盤の強化を図り、神奈川県内のドミナント戦略を進めていくとしています。

⑧VTホールディングスによる南アフリカのPEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA (PTY) LTDのM&A

7つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却事例は、VTホールディングスによる南アフリカのPEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA (PTY) LTDのM&Aです。

2017年の6月、国内外向けに自動車小売業(ディーラー)や住宅関連事業会社など束ねる持ち株会社VTホールディングスは、南アフリカの法人・ PEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA(PTY)LTDの株式を取得し、第三者割当増資を引き受けています。

VTホールディングスは、対象企業の株式を取得し第三者割当増資を引き受けて、PEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA(PTY) LTDを子会社としています。

自社の自動車関連販売業におけるノウハウをPEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA (PTY) LTDの事業に生かし、南アフリカでのインポーター事業と子会社の自動車小売業(ディーラー)の業容拡大を目指すとしています。

VTホールディングス、南アフリカ法人PEUGEOT CITROEN SOUTH AFRICA (PTY)LTDの株式取得を完了

⑨双日によるビー・エム・ダブリュー大阪のM&A

2017年10月、双日はビー・エム・ダブリュー大阪を完全子会社化しています。

ビー・エム・ダブリュー大阪は、大阪地域でBMW・MINIの正規ディーラーを展開しています。このM&Aによって、ビー・エム・ダブリュー傘下を離れたため、社名を双日オートグループ大阪へと変更しています。従業員(約130名)と販売・サービスの拠点はそのまま双日へと承継されました。

ビー・エム・ダブリュー大阪は、もともと、ドイツの自動車会社・BMWの日本法人であるビー・エム・ダブリューの100%子会社でした。BMW新車ショールーム(新梅田支店、城東鶴見支店、千里支店)、MINI新車ショールーム(MINI城東鶴見)、認定中古車センター(BMW Premium Selection 吹田、同新梅田、同城東鶴見)、サービスセンター(門真、新梅田、千里)を保有しており、大阪地域でのBMWおよびMINI製品の販売とブランド認知の向上に長年努めてきた企業です。

双日は、このM&Aを通じて、BMW・MINIブランド車のさらなる販売の拡大とサービスの拡充を目指します。

⑩宮崎三菱自動車販売による西日本三菱自動車販売のM&A

2015年6月、自動車製造大手の三菱自動車工業は、その子会社である西日本三菱が展開する宮崎県と鹿児島県の事業を、地場ディーラーの宮崎三菱、鹿児島三菱へとそれぞれ事業譲渡しました。

この事業譲渡は、三菱自動車系ディーラーネットワークの再編の一環として行われたものです。

⑪日産自動車グループの販売会社3社による大洋日産自動車販売のM&A

日通商事系の太洋日産自動車販売は、2015年6月、ディーラー事業から撤退しました。撤退にあたって、太洋日産自動車販売が手掛けていた事業のうち、自動車の販売・整備・保険関連の事業などを日産自動車グループの販売会社3社へと譲渡しています。譲渡先は日産自動車販売、東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売の3社です。

当時、太洋日産自動車販売は都内で数少ない地場資本の新車ディーラーで、都心を中心に拠点を展開しており、法人販売を主体に営業してきたものの、販売台数が減少して事業の継続が難しくなりました。

3. 自動車小売業界(ディーラー)の動向と現状

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・事業承継を成功させるためには、業界動向の把握は重要な要素です。ここでは、自動車小売業(ディーラー)の業界動向を解説します。

  1. 新車販売数の低迷による中古車登録台数の増加
  2. 異業種からの参入が増加
  3. 輸入車販売台数は堅調に推移

①新車販売数の低迷による中古車登録台数の増加

1つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)の業界動向は、新車販売数の低迷による中古車登録台数の増加です。

日本自動車工業会の調べによると、1990年の新車販売数(四輪車・乗用車)は500万台を超えていたものの、その後は400万台で推移していて2011年には350万台まで落ち込んでいます。

2012~2014年までは450万台前後を維持して新車の販売台数が回復の兆しを見せていましたが、2015年から2019年までは400万台前半まで下がっています。

このような現状は、中古車の登録台数が2015~2019年の間で10万台以上も増加したのにも現れています。

若者の車離れなど車を所有する人口の減少や、景気の影響を受けて中古車に乗り換える人が増えたため、新車を購入する人が減ったといえるでしょう。

②異業種からの参入が増加

2つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)の業界動向は、異業種からの参入業者の増加です。

FP事業者が自動車小売業(ディーラー)の代理店に加盟したり、ガソリン小売業者が自動車小売業(ディーラー)とガソリンスタンドを融合させた事業を展開したりしています。

自動車小売業(ディーラー)では事業規模の縮小が叫ばれてますが、異業種の特徴と自動車小売業(ディーラー)を組み合わせた事業者が業界での活路を見いだし、自動車小売業(ディーラー)に参入しているのがうかがえます。

③輸入車販売台数は堅調に推移

3つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)の業界動向は、安定した輸入車販売です。日本自動車工業会の調べによると、輸入車販売台数は2009年に15.9万台に落ち込んだものの、2011年には20万台に達し、2017年には30万台を超えています。

国内メーカーの自動車小売業(ディーラー)とは対照的に、海外メーカーの自動車小売業(ディーラー)は安定して事業を展開していると捉えられます。

  • 小売業のM&A・事業承継

4. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の相場

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却相場は、1億円未満と数億円から数十億円に分かれています。

中小規模の会社・事業に対しては1億円未満の価格帯が多く、事業規模の大きい会社に対しては数億から70億円ほどの相場で取引されている事例が多いです。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却価格の算出方法

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却価格を算出するには、以下3つの方法から自社に合った算出方法を選択します。

  • インカム・アプローチ
  • コスト・アプローチ
  • マーケット・アプローチ

インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、収益に焦点を当てて企業価値を算出する方法で、将来に獲得する利益や配当、キャッシュフローなどを現在の価値に還元して、企業価値を導き出します。
 

インカム・アプローチで主に使われている手法はDCF法で、企業が得る将来のキャッシュフローにリスクを反映させた割引率を用いて企業価値を算出します。

過去ではなく将来を基準として企業価値を計算するため、承継後の経営計画を反映させやすいといえるでしょう。

ただし、立てた計画によって企業の価値が上下するため、信ぴょう性のある経営計画に基づいて算出するのが重要です。

コスト・アプローチ

コスト・アプローチは、企業が保有している純資産を基に企業価値を算出する方法です。

コスト・アプローチには帳簿資産の合計を基準にした簿価純資産法と、時価資産の合計を基にした時価純資産法があります。

実際には、簿価純資産法を利用するケースは少なく、時価純資産法が多く用いられています。時価純資産法は、時価に置き換えた資産から負債を引いて価値や企業株式価値を算出します。

コスト・アプローチは、将来性が反映されていないものの客観的に企業価値を算出できるため、社歴の浅い企業や非上場企業に対して用いられています。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは、比較する企業や業種を挙げて企業価値を算出する方法で、類似企業比較法と類似業種比較法があります。

類似企業比較法は、業種・規模が似ている上業企業をいくつかピックアップし、平均した株価を基に企業価値を算出する手法です。

一方で類似業種比較法は、国税庁が発表する業種別の月平均株価に基づいて企業の株価を算出します。

マーケット・アプローチは簡単に企業価値を算出できるのですが、類似する企業が見つからない・株価の影響を受けるなど、正確に企業価値を表せない可能性もあります。

それでも、上場を果たしていない自動車小売業(ディーラー)の企業価値を算出できるため、小規模な事業を売却する場合には適しているといえるでしょう。

5. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の5つのメリット

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を実行すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却では、主に以下5つのメリットを享受できます。

  1. 後継者問題の解決
  2. 廃業・倒産の回避
  3. 個人保証・負債の解消
  4. 従業員の雇用継続
  5. 売却益の獲得

①後継者問題の解決

1つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリットは、後継者問題の解決です。

親族・会社内にふさわしい人物がいなかったり後継者を育てる時間がなかったりしても、M&A・譲渡・売却や第三者への事業承継を選択すれば、事業の引き継ぎが可能です。

後継者問題で困っているなら、親族・会社内のみでの解決にこだわらず、第三者への譲渡を検討してみましょう。

M&A仲介会社などを通じて対象企業を紹介してもらえれば、M&A・譲渡・売却・第三者へ事業承継により、事業の引き継ぎが可能になります。

②廃業・倒産の回避

2つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリットは、倒産・廃業の回避です。

自動車小売業(ディーラー)では、少子化や車離れなどが影響して新車の販売台数が減少しているため、思うように売り上げが伸びない・赤字の状態が続いているなどの財務状況では、廃業・倒産せざるを得ない場合もあります。

しかし、M&A・譲渡・売却・第三者への事業承継を選べば、廃業・倒産を回避できます。近年の自動車小売業(ディーラー)では、業界の再編が進み同業者に対するM&Aも見受けられます。

販路・エリアの拡大やスケールメリットの獲得などを望む相手を見つけられれば、M&A・譲渡・売却が可能になり、廃業・倒産の危機にあっても自動車小売業(ディーラー)を続けられるでしょう。

③個人保証・負債の解消

3つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリットは、個人保証・負債の解消です。

自動車小売業(ディーラー)を事業承継で譲り渡すと個人保証・負債も引き継ぐので、後継者に負担がかかるケースも少なくありません。

しかし、M&A・譲渡・売却・第三者への事業承継なら買い手によって個人保証と負債の負担・一括で返済するのも可能です。

個人保証・負債の解消は、早い段階から金融機関や買い手と話し合いの場を設けておきましょう。これなら、クロージング後の個人保証・負債の解除がスムーズに行えます。

④従業員の雇用継続

4つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリットは、従業員の雇用継続です。

廃業・倒産を選ぶと従業員を解雇しなければなりませんが、M&A・譲渡・売却・第三者への事業承継を行えば、従業員の雇用を引き継いでもらうのも可能です。資本力のある企業や大手企業などに譲渡できれば、従業員の待遇改善も見込めるでしょう。

⑤売却益の獲得

5つ目に挙げる自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリットは、売却益の獲得です。会社そのものを譲渡する株式譲渡なら、譲渡益がオーナーの手元に入ります。事業のみを譲り渡す事業譲渡では、会社に譲渡益が入ります。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継を選択すると、このように譲渡益を獲得できるため、老後の生活費・新規事業の資金・借入金の返済などに充てられます

6. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイント

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継を成功させるには、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。ここでは、成功させるための5つのポイントをそれぞれ解説します。

  1. 収益力を持っている
  2. 立地条件の良い場所にある
  3. デモカーを多く所有している
  4. メーカーとの代理店契約の引き継ぎが可能
  5. M&Aの専門家に相談する

①収益力を持っている

1つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、収益力です。

自動車メーカーは自動車小売業(ディーラー)に対し、目標販売台数の達成に応じて報奨金を与える制度を設けています。

現在、報奨金を支給する自動車メーカーは少なくなっているものの、報奨金により収益を維持している自動車小売業(ディーラー)も存在するため、M&A・譲渡・売却・第三者からの事業承継を成功させるには、目標販売台数の達成度合いを把握するのが重要といえます。

②立地条件の良い場所にある

2つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、立地条件の良さです。幹線道路から外れていたり駅から遠い場所にあったりすると、集客に陰りが見えて思うように売り上げを伸ばせない事態が想定されます。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・第三者からの事業承継では、幹線道路沿い・中心街・駅周辺・住宅街に店舗を構えているのが重要といえるでしょう。

③デモカーを多く所有している

3つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、デモカーを多く所有している点です。

顧客は、車種やエンジンの種類や内装などから車の購入を決めるため、数多くのデモカーを所有している店舗は試乗を通じた購入につなげやすいです。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却・第三者からの事業承継では、デモカーを多く所有しているのも重要なポイントになります。

④メーカーとの代理店契約の引き継ぎが可能

4つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、メーカーとの代理店契約の引き継ぎが可能な点です。

ただし、メーカーの意向を無視してM&Aを行うとチェンジオブコントロール事項に抵触し、代理店契約が破棄されるケースがあります。

チェンジオブコントロール事項とは、M&Aなどで経営権が移転した場合、契約内容に何らかの制限がかかる条項をいい、通知義務の発生や契約解除などが定められています。

メーカーとの代理店契約を引き継ぐ場合には、事前に通知や届出を行いメーカーの承諾を得るようにしましょう。

⑤M&Aの専門家に相談する

5つ目に紹介する自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイントは、M&A専門家の利用です。

自動車小売業(ディーラー)に限らず、M&A・譲渡・売却には専門的な知識を必要とします。

自社にM&Aの専門家を置いていない・自動車小売業(ディーラー)を譲渡した経験がない場合は、専門知識を有するM&Aの専門家に協力を依頼しましょう。

7. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却に関する相談先

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を検討している場合は、次の相談先に相談してみましょう。

M&A仲介会社

まず検討したい相談先はM&A仲介会社です。M&A仲介会社は幅広いネットワークを保有しているので、M&A先・譲渡先・売却先を素早く探し出してくれます。これが一番のM&A仲介会社を利用するメリットです。専門知識の豊富なアドバイザーも常駐しているので、相談にも親身に対応してくれます。

金融機関

中小企業の経営者にとって、取引先金融機関は最も身近な存在であるはずです。金融機関であれば、営業担当者がいるはずなので、まずはそこにM&Aを検討している旨、伝えてみましょう。適切な人材を紹介してもらえます。

公的機関

近年では、中小企業庁が中小企業の事業承継やM&Aなどを推進する取組を行っているので、公的機関も相談先として充実しています。各都道府県に相談先があり、相談は無料なので、まずは相談してみましょう。適切な人材を紹介してくれるので、その後の手続きをスムーズに進められます。

士業事務所

M&A・譲渡・売却を行うのがほぼ確実のケースでは、士業事務所への相談が最適です。士業事務所には、高度な専門知識を有する人材がいるので、複雑な手続きもスムーズに進められます。ただし、実際の成約に至るまでに多額の手数料が必要となるケースが多いので注意しましょう。

M&Aマッチングサイト

最も身近で利用しやすい相談先と言えば、M&Aマッチングサイトです。M&Aマッチングサイトは基本的に無料で利用できます。ただし、成約に至った後に手数料の支払いが必要なケースがほとんどです。

オンラインプラットフォーム上でメッセージのやり取りができるなど、気軽にM&A先、譲渡先、売却先を探したいケースに向いています。

8. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の際におすすめのM&A仲介会社

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は中堅・中小企業向けの案件を取り扱うM&A仲介会社です。案件ごとに知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが交渉からクロージングまでのフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料ですので、初期費用を抑えたい場合も安心してご利用いただけます。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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9. 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のまとめ

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継について、自動車小売業(ディーラー)の概要や業界の動向、価格相場などを交えて紹介しました。

自動車小売業(ディーラー)では新車の販売台数が減っているものの、輸入車販売数の安定や異業種との融合による事業展開など、買い手の需要が見込める業種といえます。

自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継では、以下のようなメリットがあると伝えました。廃業や倒産、後継者不足などの問題を抱えている場合には、他社へ譲り渡すのも選択肢のひとつと捉えておきましょう。

【自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却のメリット】

  • 後継者問題の解決
  • 廃業・倒産の回避
  • 個人保証・負債の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 売却益の獲得

ただし、自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却や第三者への事業承継では、気をつけておくべきポイントがあります。失敗を回避するためには、紹介した成功のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

【 自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却を成功させるポイント】
  • 収益力を持っている
  • 立地条件の良い場所にある
  • デモカーを多く所有している
  • メーカーとの代理店契約の引き継ぎが可能
  • M&Aの専門家に相談する

10. 小売業業界の成約事例一覧

11. 小売業業界のM&A案件一覧

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