電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は可能?成功の秘訣も解説!

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)を検討しているなら、昨今は狙い目の時期です。業界の需要は高まっており、人材不足のため電気工事会社を買いたい人も多いです。今回は、電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の成功の秘訣を見ていきましょう。

目次

  1. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は行いやすい!
  2. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の解説動画
  3. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の事例4選
  4. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の価格相場
  5. 電気工事会社を会社譲渡するのに最適な時期
  6. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の方法
  7. 電気工事会社が会社譲渡(株式譲渡)を成功させる3つの秘訣
  8. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の注意点
  9. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は早めにご相談を!
  10. まとめ
  11. 電気工事・管工事業界の成約事例一覧
  12. 電気工事・管工事業界のM&A案件一覧
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1. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は行いやすい!

昨今、電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は行いやすいとされています。なぜなら、業界の需要が高まっているからです。

しかし一方で、電気工事会社で働く電気主任技術者や電気工事士の人数が減っていく予想もされています。したがって、需要が高まる電気工事会社に優秀な人材を増やすために会社譲渡や事業譲渡を行おうと考える経営者が多いです。

東京オリンピック後も需要の激減はない見込みですから、将来を見据えて準備している買い手は少なくありません。中小企業から大企業まで、さまざまな買い手がいるので安心してください。

もう少し詳しく、以下の内容について見ていきます。
 

  1. 電気工事事業は人材不足な会社が多い
  2. 会社譲渡を考えたときに買い手の方が圧倒的に多い

それぞれの内容を確認し、自社が譲渡しやすい状況であることを確認しましょう。

①電気工事事業は人材不足な会社が多い

すでに述べたように、電気工事事業については人材不足な会社が多いです。

電気工事会社を経営しているなら、電気工事士や電気主任技術者の資格をご存じでしょう。いずれも電気工事会社が事業を行うには非常に有用な人材です。

経済産業省の2018年「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」の発表によると、例えば第一種電気工事士は高齢者層の退職により、想定需要に対しておよそ2万人の人材が不足すると見られています。

第二種電気工事士もが2045年に想定需要約8.6万人に対して0.3万人程度、人手不足になる見込みです。

同じく電気主任技術者も事業用電気工作物を設置するなら必要不可欠な存在なものの、人材不足になっています。したがって、そのような有資格者が自社にいるなら、会社譲渡も行いやすいでしょう。

参照:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に 向けた課題と対応の方向性について」(2018年)

②会社譲渡を考えたときに買い手の方が圧倒的に多い

会社譲渡の市場は、昨今買い手の方が圧倒的に多いです。

売りたいニーズと買いたいニーズの比率は1対9、ともいわれています。それは、電気工事会社や関連する業界も例外ではありません。

したがって、売り手のニーズを理解したうえで自社の魅力をアピールすれば、会社譲渡を実現しやすいのです。

まずはM&Aを専門としているM&A仲介会社に、どのような買い手が存在しているのかを聞いてみてください。幅広い情報を有するM&A仲介会社を利用すれば、よりスピーディーに最適な買い手を見つけられるでしょう。

売却時期を見極めるのは、自社にとって良い買い手と巡り合いやすいと考えられています。

しかし、本当に会社譲渡が盛んなのかを疑問に思っている方も多いはずです。ここで、実際に行われた電気工事会社の会社譲渡の事例を確認していきましょう。

2. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の解説動画

本動画で電気工事会社の人材不足とM&Aによる課題解決について、M&Aアドバイザーがわかりやすく解説しています。

3. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の事例4選

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の事例には、以下のようなものがあります。
 

  1. チヨダMEサービスがエムティジェネックスへ会社譲渡した事例
  2. トーエイ電気通信がミライト・ホールディングスへ会社譲渡した事例
  3. 泉精器製作所がマクセルホールディングスと日本政策投資銀行へ会社譲渡した事例
  4. エルゴテックが九電工へ会社譲渡した事例

実際にあった事例を参考にすると、自社を会社譲渡する際の具体的なイメージを持てるはずです。それぞれについて、順番に確認していきましょう。

①チヨダMEサービスがエムティジェネックスへ会社譲渡した事例

エムティジェネックス

エムティジェネックス

出典:https://www.mt-genex.co.jp/

エムティジェネックスは、2020年10月にチヨダMEサービスの全ての株式を取得し、子会社化しました。

エムティジェネックスは都内を中心に、オフィスビルの内装工事、電気設備、空調設備のリニューアル工事、駐車場の管理・運営、省エネ機器の販売など、主にオフィスビルの保全管理業務を手がけています。

対象会社であるチヨダMEサービスは、40年を超える業歴を持つ電気設備システムの保守・保全業務、発電所の開閉装置、交通管理・ビル管理システムなどの点検などを展開しています。

今回のM&Aにより、エムティジェネックスは新たな事業への進出と事業エリアの拡大を目指します。

②トーエイ電気通信がミライト・ホールディングスへ会社譲渡した事例

ミライト・ホールディングス

ミライト・ホールディングス

出典:https://www.mirait.co.jp/

トーエイ電気通信とミライト・ホールディングスの事例です。2019年6月にミライト・ホールディングスは、トーエイ電気通信を買収しました。

ミライト・ホールディングスは、首都圏で電気通信設備の設計や工事を行っているトーエイ電気通信の子会社化によって、さらなる事業の強化と業務の効率化を狙っていました。そして、今後もさらにグループの収益力を高めるために、トーエイ電気通信を買収したのです。

このように、大手グループに自社が買われることも電気工事会社の会社譲渡ではよくあります。大手グループへの会社譲渡が成功すれば、買い手の経営資源も生かせるので今まで以上に経営が安定するはずです。

自社の規模が小さいとしても、買い手にとって魅力ある会社であれば興味を持ってもらえます。積極的に大手への会社譲渡も狙っていきましょう。

③泉精器製作所がマクセルホールディングスと日本政策投資銀行へ会社譲渡した事例

マクセルホールディングス

マクセルホールディングス

出典:https://www.maxell.co.jp/

マクセルホールディングスと日本政策投資銀行は2018年8月に共同で、泉精器製作所の全株式を取得し、子会社化しました。

泉精器製作所は、電気工事に使用される国内トップシェアの電設工具、調理家電、理美容機器などの製造と販売を行っています。

マクセルホールディングスは、「自動車」「住生活・インフラ」「健康・理美容」の分野における事業領域の拡大と新規事業の創出を成長戦略としています。

今回のM&Aにより、事業領域の拡大や収益力の向上を目指します。

このように、事業領域を広げるために電気工事会社を買いたいと思う経営者は珍しくありません。電気工事事業はさまざまな業種とのシナジー効果が狙えます。

したがって、同業他社だけではなく、異業種も買い手候補として考えておきましょう。幅広い視野で買い手を探すことで、自社にとって最も良い相手が見つけられるはずです。

④エルゴテックが九電工へ会社譲渡した事例

九電工

九電工

出典:https://www.kyudenko.co.jp/

エルゴテックと九電工の事例です。

2018年3月に九電工がエルゴテックの株式を取得して、子会社化しました。エルゴテックは、電気通信工事を行っており、九電工は事業エリア拡大や人材確保を狙って株式取得をしたのです。

電気工事会社が会社譲渡を行おうと思ったとき、この事例のように人材確保を狙った買い手が現れやすいとされています。自社の技術者の質や人数に自信があるなら、好条件の会社譲渡もしやすいです。

以上、電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の事例でした。

電気工事会社を求めている買い手は多く、譲渡を希望すれば複数の会社からアプローチを受けることも珍しくありません。

事業の強化やエリア拡大、人材確保といったさまざまな目的で会社を買おうと考える経営者がいます。そのため、あなたの電気工事会社も魅力をうまくアピールすると会社譲渡を成功させられるでしょう。

ここで、「せっかく今まで経営してきた会社を売るなら、高値でなければ気が進まない」と考えている方もいるのではないでしょうか。

金銭面についても考えてから会社譲渡を行うため、電気工事会社の会社譲渡の売却価格の相場も確認していきます。どれくらいの金額で会社譲渡できるのかを知り、納得してから手続きに取り掛かりましょう。

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4. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の価格相場

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の売却価格は、事業規模や有資格者の数などさまざまな要素で大きく異なります。したがって、具体的な相場はありません。

おおまかな目安は、「時価純資産+営業権」で計算できます。

ちなみに、「時価純資産=時価総資産−時価総負債」「営業権=利益×持続年数(約3年分)」です。

しかし、会社譲渡の金額の算出は、専門的な上に目安でしかありません。自分で算出するのは難しいので、M&A仲介会社などの専門家に試算を依頼してみましょう。

だいたいの金額は無料相談の際に出してくれる専門家も多いので、まずは話を聞きに行ってみるのが良いです。

もし、会社の価値算定を頼める専門家がいない場合は、一度M&A総合研究所にお声がけください。あなたの会社の価値を適切に算定させていただきます。

中小規模の会社であまり利益を出せていなくても、買い手にとって条件が良ければ試算以上の金額で会社譲渡が成立するのも珍しくありません。ですので、買い手と交渉する前から諦めるのはもったいないです。

ちなみに、会社譲渡で得られる金額以外に、実施する際の費用も知りたい方もいるはずです。得られる金額よりも支払う金額が大きいなら会社譲渡に前向きになりにくいでしょう。ここで費用についても確認していきます。

電気工事会社が会社譲渡(株式譲渡)を行う費用

電気工事会社が会社譲渡を行う際には、以下の2つを準備しておく必要があります。
 

  • M&A仲介会社への報酬
  • 納税資金(所得税・住民税)

M&A仲介会社への報酬は依頼先によってさまざまですから依頼前に明細を出してもらいましょう。目安としては、取引金額の5%程度です。

多くのM&A仲介会社では、取引金額が5億円までの部分は5%ほどの成功報酬を設定しています。例えば、3,000万円の取引であれば、「3,000万円×5%=150万円」です。

そして、会社譲渡は株式を売ることで利益が出るので、税金が発生します。

発生する税金は、株式を売る個人に対してかかる所得税や住民税です。非上場株式の場合は譲渡益の20%と復興特別所得税の0.315%がかかります。

いずれも売却価格が少なければ必要な金額も小さくなるので、気にしすぎる必要はないでしょう。

以上、電気工事会社の会社譲渡の価格相場について見てきました。「金銭的にもメリットが大きそうだし、会社譲渡をしようかな」と、お考えの方も多いはずです。

しかし、せっかく会社譲渡をするなら、最適なタイミングで行う方が後悔もしません。ここで、電気工事会社を会社譲渡するベストな時期について見ていきましょう。

5. 電気工事会社を会社譲渡するのに最適な時期

電気工事会社を会社譲渡するなら、最適な時期を見極めて実施するべきです。会社譲渡に最も良いタイミングは、「今この会社を売ってしまうのはもったいない」と、経営者自身が思っているときといわれています。

買い手の目線で考えれば、これからも楽しみな会社を買いたいと思うのは当然です。しかし、会社経営に何の心配もないときに譲渡しようとするのは、心理的に抵抗があるでしょう。

そこで、以下の3つの条件に当てはまるときに会社譲渡を前向きに検討してください。
 

  1. 経営者の年齢が55歳を超えている
  2. 後継者が親族にも従業員にもいない
  3. 経営難でも過去最大のピークでもない

親族や従業員に事業承継をする際、後継者教育には5年以上かかると考えておかなければなりません。したがって、後継者が見つかっていないなら、55歳を超えてから後継者候補を見つけ出して納得できるまで教育するのは難しいでしょう。

経営者は50代のうちにリタイアしたいと考えているケースが多いです。後継者教育の最中に後継者が引き継ぎを拒否する可能性も考えられるので、55歳を目安にするのが良いと考えられます。

また、経営難の場合は買い手がつきにくいですし、過去最大のピーク時は積極的に売ろうとは思えないはずです。したがって、ご紹介した3つの条件を参考にしながら、会社譲渡のタイミングを考えてみてください。

ここまでを読んで「早めに会社譲渡について考えてみようかな」と思った方も多いでしょう。ここからは、実際に会社譲渡を実施する流れを見ていきます。

6. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の方法

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)をするには、以下の6段階を順番に実行していく必要があります。
 

  1. M&A仲介会社を選ぶ
  2. 最適な買い手を探す
  3. 成功に向けて買い手と交渉する
  4. 基本合意を取り結ぶ
  5. デューデリジェンス(買収監査)を行う
  6. 取締役会での株式譲渡承認を受けて最終契約を締結する

最初のM&A仲介会社選びさえ正しく行えれば、それ以降のことはほとんど任せられることも多いです。しかし、自分でも流れがわかっていた方が安心できるので、それぞれについて確認しておきましょう。

①M&A仲介会社を選ぶ

まずは、会社譲渡をサポートしてくれるM&A仲介会社を選びましょう。M&A仲介会社は会社譲渡の買い手探しや交渉の立ち会い、書類作成などさまざまなことを行ってくれます。

M&A仲介会社への報酬は多くの場合は成功報酬です。完全成功報酬制の仲介会社に依頼すれば、「アドバイスだけ受け、手続きは進んでいないのに多額の報酬を支払った」などの心配なケースはなくなります。

電気工事業界の事情に詳しく、経験豊富な仲介会社にサポートしてもらえば、会社譲渡が成功する確率はグッと高まります

もし、M&Aに関する仲介会社が決まっていない場合は、M&A総合研究所にお声がけください。当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。

無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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②最適な買い手を探す

M&A仲介会社を選んだら、次は買い手を探す段階に移ります。

自分の周囲に買い手となってくれそうな人がいないなら、仲介業者に探してもらうのが良いです。どのような会社に譲渡したいのかを明確にし、条件に当てはまるところを見つけてもらいましょう。

ここでポイントなのが、「絶対に売りたくない相手」も決めておくことです。

例えば、長年にわたって取引してくれている取引先のライバル会社に売るのは、裏切るようで避けたいと感じる経営者がほとんどです。そのため、安心して自社を任せられる買い手を探してください。

従業員や取引先などの関係者が不満を持たず、自社もより発展できる相手を選びましょう。

③成功に向けて買い手と交渉する

買い手候補が見つかったら、相手と交渉していきます。交渉をうまく進めたいなら、必ずM&A仲介会社に立ち会ってもらうべきです。

知り合いの会社と交渉する際も、自分だけで交渉するのはできるだけ避けた方が良いとされています。なぜなら、途中で交渉を打ち切りたい場合に円滑にいかないケースや、売却価格を話し合う際にお互い熱くなりすぎてもめてしまうケースが多いためです。

電気工事会社は経営者と従業員の仲が良く、独自の社風を築いているところも少なくありません。独自色の強い会社に自社を譲渡してうまく統合していくには、第三者の立場で話し合いに参加してくれる専門家が必要不可欠です。

また、買い手と顔合わせをした後くらいの段階で、主要な取引先にあいさつをしておくことになるでしょう。具体的なタイミングはM&A仲介会社に相談して決定してください。

④基本合意を取り結ぶ

基本合意とは、会社譲渡をする際の仮契約のようなものです。会社譲渡の基本的な事柄について、買い手と売り手の双方が合意していることを書面で確認しましょう。

基本合意をしたからといって、最終契約をしなければならない、などの法的拘束力はありません。基本合意の際には、例えば以下のような内容を決めるケースが多いです。
 

  • 譲渡する株式数
  • 譲渡価格
  • デューデリジェンス(買収監査)によって譲渡価格が変更する可能性
  • 最終契約日
  • 基本合意契約の有効期限
  • 買い手・売り手の秘密保持義務

注意すべきこととして、基本合意で決めた内容は最終契約の段階では変更になる可能性があります。あくまでも最終契約までを円滑に進めていくための仮契約と考えておいてください。

最終契約日は、だいたい基本合意の3カ月後になる場合が多いです。基本合意で決めた最終契約日を目安にしながら、お互い積極的に手続きを進めていきます。

基本合意を結んだら、最終契約に向けて協力関係を築いていきましょう。

⑤デューデリジェンス(買収監査)を行う

基本合意を結んだら、デューデリジェンスである買収監査を行っていきます。デューデリジェンスとは、売り手の財務内容やリスクの洗い出しをする調査です。

会社譲渡をしてからは、さまざまなリスクを負うのは買い手です。したがって、後から買い手ともめないためにもしっかりと協力するべきです。

M&A仲介会社に依頼すれば、抜けなく必要な内容を調査してもらえます。例えば、以下のような事柄についてチェックしてもらいましょう。
 

  • 会計処理が正しいか?
  • 貸借対照表にある資産の存在は正しいか?
  • 簿外債務はないか?
  • 将来の収益予想は信頼できるか?
  • 経営管理が適切に行われているか?
  • 技術者の能力はどの程度か?
  • 保有している機器の状態は良いか?
  • 所有している不動産や借りている不動産に法的リスクがないか?
  • 従業員への残業代未払いなど労務面で法的リスクがないか?

財務については、会計士や税理士といった専門家に確認してもらいます。多くの場合は、M&A仲介会社がサポートしてくれるはずです。そして財務内容だけではなく事業面や法務面も調査してもらい、リスクがあれば対応してください。

法律面は弁護士に調査してもらいますが、中小企業であれば大なり小なり問題があるのがほとんどです。リスクを消しきれない場合は、基本合意した買収価格を引き下げることもあります。

最終契約では売り手に対する損害賠償請求についても定められるので、嘘をつくと賠償しなければならず結果的に大損となってしまうはずです。M&A仲介会社の指示のもと、最終契約に向けて適切な対応を進めてください。

⑥取締役会での株式譲渡承認を受けて最終契約を締結する

最終契約を締結する前に、会社譲渡を行う際には取締役会での株式譲渡承認が必要です。もしも取締役会が設置されていないなら、株主総会で買い手への株式譲渡を承認してもらいます。

承認決議を終えたら、最終契約の締結です。最終契約書の調印は、M&A仲介会社に立ち会ってもらいましょう。

多くの場合、締結する場所は、買い手の会社かM&A仲介会社のオフィスです。焦らずに契約書の最終確認を行い、調印するようにしてください。

最終契約を行って株券の引渡しと売買代金の決済をしたら、株主名簿も書き換えましょう。株主名簿の書き換えは、定款に方法が記載されているのがほとんどのため、確認してみてください。

以上、電気工事会社が会社譲渡を行う流れを解説しました。さまざまなことをやらなければならず不安に感じたかもしれませんが、M&A仲介会社がほとんどの手続きを進めるので安心してください

それではここからは、電気工事会社が会社譲渡を成功させる秘訣を見ていきましょう。

7. 電気工事会社が会社譲渡(株式譲渡)を成功させる3つの秘訣

電気工事会社が会社譲渡(株式譲渡)を成功させるには、以下の3点を意識すると良いです。
 

  1. 専門的なスキルのある若い技術者を確保する
  2. 買い手探しは異業種も視野に入れる
  3. 買い手に合わせて過去の工事実績をアピールする

これらの秘訣を意識すれば、電気工事会社の会社譲渡が成功する確率は一気に高まります。会社を譲渡するなら知らないのは損をしてしまいますから、順番に見ていきましょう。

①専門的なスキルのある若い技術者を確保する

まずは、専門的なスキルのある若い技術者を確保するのが大切です。

電気工事会社は電気工事士や電気主任技術者といった有資格者が多いほど業務を進めやすいとされています。したがって、そういった優秀な技術者が多いほど好条件な買い手が見つかりやすくなるはずです。

また、若手の人材不足に悩んでいる会社も多いので、熟練した技術者だけではなくフレッシュな人材の人数も大切とされています。

第二種電気工事士の資格は誰でも受けられ合格率も高いので、若い人材を採用して合格まで教育しておきましょう。

②買い手探しは異業種も視野に入れる

買い手探しの際には、同業他社だけではなく異業種も視野にいれるべきです。

例えば、空調設備会社や給排水工事会社で電気工事事業を行えるようになれば、建物の工事が効率的にできます。また、リフォーム会社も業務の一括化のために電気工事会社を買収するケースは珍しくありません。

異業種であったとしても、自社の事業と何か関連するものがあれば会社がより発展するケースは多いです。電気工事会社以外にも買い手が付く可能性は高いので、幅広い業種から探してみましょう。

③買い手に合わせて過去の工事実績をアピールする

買い手を見つけたら、買い手に合わせた過去の工事実績をピックアップしてアピールするのもポイントです。

例えば、買い手が大手企業なら難易度の高い工事を今までに行っていれば好まれやすいといえます。中小企業なら、継続して工事を受注している取引先があればすぐに売上につながるので好まれるでしょう。

さらに、買い手の規模を問わず、買い手が持っていない独自の技術力をアピールできれば非常に強く魅力を感じてもらえるはずです。

他にも異業種が買い手になるなら、買い手の事業と組み合わせれば相乗効果が生まれるような実績を伝えてみてください。

以上、電気工事会社の会社譲渡を成功させる3つの秘訣でした。

ちなみに、秘訣を押さえることで会社譲渡を成功させやすくなりますが、逆に注意しなければならないこともあります。ここで、電気工事会社の会社譲渡の注意点も見ておきましょう。

8. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)の注意点

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)を行う際には、以下の3点に注意しましょう。
 

  1. 技術者の待遇が悪くなると会社譲渡後に離職される
  2. 電気工事事業に詳しくない買い手は経営が傾きやすい
  3. 会社譲渡が確定するまでに情報流出すると社内が混乱する

これらのことに気を付けなければ、会社譲渡後に後悔するかもしれません。それぞれについて順番に見ておきます。

①技術者の待遇が悪くなると会社譲渡後に離職される

電気工事会社の会社譲渡をした後、技術者を中心とした従業員の待遇が悪くなると離職される場合があります。今までせっかく頑張ってくれていた従業員たちに迷惑をかけないように、買い手と待遇面は話し合うべきです。

会社譲渡の際は、買い手と売り手の経営者だけではなく、従業員にとっても良い結果になるように意識してください。

しかし、買い手が今後より一層発展していくためには、必ずしも待遇の維持が再優先事項とはいえません。したがって、買い手と丁寧に話し合い、最善の雇用条件を考えましょう

②電気工事事業に詳しくない買い手は経営が傾きやすい

電気工事会社の会社譲渡は買い手が異業種になることも多いですが、まったく電気工事事業と関わりのない買い手は経営が傾くかもしれません。

異業種の買い手に自社を譲渡するべきか判断するときには、シナジー効果を意識するのが良いです。

シナジー効果とは、会社譲渡によって2社があわさることで得られる相乗効果をさします。買い手と売り手の会社が組み合わさることで、単に売上を足し合わせる以上の結果が出そうかを考えましょう。

例えば、事業エリアが同じで事業内容も同じ会社を買い手に選べば、取引先が被っていなければそのエリアの経営をより強化できます。また、事業エリアが同じで異なる事業を行っているとき、取引先を共有できるのであれば同じくそのエリアを強化できるはずです。

このように、電気工事会社以外に会社譲渡をするなら、シナジー効果を考えながら買い手を選びましょう。

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③会社譲渡が確定するまでに情報流出すると社内が混乱する

会社譲渡が確定するまでに情報流出すると社内が混乱して業務に支障をきたすので、気を付けなければなりません。

特に、中小規模の電気工事会社で経営者と従業員の仲が良い場合、ふとしたときに会社譲渡の話をしてしまうケースが珍しくありません。しかし、安易に会社譲渡の話が漏れると、将来に不安を覚えて離職する従業員も出てきます

また、取引先やライバル企業に知られると、今までどおりの経営ができなくなるはずです。したがって、情報の扱い方には注意をしておきましょう。

例えば、M&A仲介会社との電話やメールを偶然従業員に知られてしまうこともあります。電話は経営者の携帯電話番号にかけてもらい、メールもパスワード付きの添付ファイルでやり取りするなど工夫してください。

多くのM&A仲介会社は独自のやり方で情報漏えいに気を付けているので、依頼前に対応を聞いてみると安心して契約できるでしょう。

以上、電気工事会社の会社譲渡の際に気を付けるべき注意点でした。

早く譲渡してしまいたい場合でも、焦らずに買い手やM&A仲介会社と話し合っていくのが良いです。せっかく今まで会社を存続させてきたのに、慌てて売却したせいで後悔するのは非常にもったいないといえます。

9. 電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は早めにご相談を!

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)を成功させたいなら、できるだけ早めにM&A仲介会社などの専門家に相談するべきです。

そうすると余裕のもったスケジュールで手続きを進められ、成功確率が高まります。また、納得できるまで相談や買い手探しもできます。

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)をご検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は多くのM&Aを支援した実績があり、M&Aアドバイザーによるフルサポートを行っています。

スピーディーなサポートを実践しており、成約まで最短3カ月という実績もございます。無料相談は随時お受けしていますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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10. まとめ

電気工事会社の会社譲渡(株式譲渡)は実施しやすいと考えられています。実は、経済産業省によれば東京オリンピック後も電気工事事業の需要は落ち込まないといわれているのです。

その上、昨今は人材不足な企業が多いので、会社譲渡をしたいのであればチャンスでしょう。

11. 電気工事・管工事業界の成約事例一覧

12. 電気工事・管工事業界のM&A案件一覧

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