非上場株式の取得とは?企業が実施する理由や方法・価格・注意点を紹介

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

非常上場株式を取得する際には、目的や取得方法、金額の決め方のメリットやデメリットなどを知っておかなければ、損をしてしまうことになります。 本記事では非常上場株式とはどのようなものなのかまとめると同時に、取得に必要な方法や税の知識などについて詳しく解説します。

目次

  1. 非上場株式とは
  2. 非上場株式を取得したい理由
  3. 非上場株式を取得する方法
  4. 非上場株式の評価が必須なケース
  5. 非上場株式の評価方法
  6. 非上場株式の取得価額の主な決め方と計算方法
  7. 評価において経理担当が注意すべきこと
  8. 非上場株式の規模による取得価額の決め方
  9. 株式に課税される場合
  10. 非上場株式でも配当金はもらえるのか
  11. 非上場株式を取得した場合に考えられる税務
  12. 非上場株式を取得する際の注意点
  13. 非上場株式の取得に関する相談先
  14. 非上場株式の取得まとめ
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1. 非上場株式とは

非上場株式とは、別名「未公開株」ともいわれています。上場されていないことから、株式市場の取引価格といったものは存在しません

基本的には上場株式よりも非上場株式の割合が多いです。上場株式は、2020年7月の時点で3,714社(日本取引所グループ「上場会社数・上場株式数」より)でした。日本企業数の1%程度の割合となっています。

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上場企業と何が違う

上場企業とは簡単にいうと、株式を公募によって取引可能な状態にすることです。株式を上場する際は「IPO(initial public offering)」と呼んでいます。

上場株式の場合は、「事業の継続力・経営の健全性・株式総数」など、収益見込みのない事業や廃業になる事業形態で展開する企業は上場できません。

一方、非上場株式はさまざまな条件を満たす必要はありません。株式市場の取得価格が存在しないことから、非上場株式の取得前における評価に苦しむことがあるのも上場企業とは違う点といえるでしょう。

譲渡制限株式も存在する

非上場株式には「譲渡制限株式」が存在します。もしも譲渡制限株式を譲渡する場合は、会社の承認が必要です。

譲渡制限株式の承認を受けていない場合、譲渡を受けた株主は会社への株式名簿の書き換えを請求できません。したがって、株式を取得した際の権利である株主総会の議決権や配当の受領などは不可能になります。

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2. 非上場株式を取得したい理由

非上場株式は上場株式とは違い、譲渡制限株式が多く存在し、売買市場が形成されていないなどのデメリットがあります。それらを考慮したうえでも、取得したい理由があります。非上場株式を取得したい理由としては、以下の2つが挙げられるでしょう。

  1. 将来上場されたときのための先物買い
  2. 応援するため

①将来上場されたときのための先物買い

非上場株式は将来上場した場合、株価の上昇見込みがあります。非上場株式のストックオプションを保有していれば、株価の上昇に伴い利益を得られるため、先物買いとしてのメリットがあるでしょう。

②応援するため

非上場株式は、将来にわたって成長の恩恵を受ける余地が十分にあります。わずかな資金であっても、起業アイデアに共感できれば、応援したいと思うこともあるでしょう。創業者とともに成長できるので、応援するために非上場株式を取得する場合があります。

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3. 非上場株式を取得する方法

上場株式は売買市場が形成されているため、証券会社から簡単に取得できます。しかし、非上場株式は売買市場が形成されていません。取得する場合は、少々特殊な方法を用いる必要があります。

非上場株式を取得する主な方法には、以下の5つがあります。

  1. M&A
  2. 直接交渉
  3. ストックオプション
  4. 相続や贈与
  5. クラウドファンディングなどで投資

①M&A

非上場株式ではM&Aによる取得方法があります。M&Aの手法はさまざまですが、非上場株式では特に「株式譲渡」が用いられるケースが多いでしょう。

なぜなら、手続きが簡単なうえ非上場企業にとっては使い勝手がよいからです。手続きは、基本的に契約書の作成をすれば完了します。

後継者不足などの理由によりM&Aを実施している非上場企業が多いので、迅速に実行するのが好ましいといえるでしょう。

②直接交渉

非上場株式の取得方法に「直接交渉」があります。直接交渉の対象者は、すでに非上場株式を保有している創業者や経営陣などの株主です。直接交渉によって株式を譲ってもらいます。

この直接交渉は、人間関係のつながり、身近で強固な関係でない限り、困難であると認識しなければならないでしょう。

③ストックオプション

非上場株式の将来有望な「ストックオプション」をもらうことも取得方法として挙げられます。上記で紹介した直接交渉よりも、現実的で可能性があるといえるでしょう。

ベンチャー企業などの場合は、創業時に社員の向上心を高めるために、非上場株式を譲渡するケースがあります。

④相続や贈与

「相続や贈与」による非上場株式の取得方法があります。この取得方法は、事業承継の場合の遺贈と異なり、経営者が生存している間に手続きを進めます。

しかし、贈与は相続税よりも課税が重いことに注意しなければなりません。非公開株式の取得価格に応じて、多くの株式を分割することになるので、それだけ課税されるデメリットもあるでしょう。

⑤クラウドファンディングなどでの投資

非上場株式の取得で一番メジャーな方法は、「クラウドファンディング」などで投資することです。昨今は、多くのクラウドファンディングが登場しています。

例えば、日本初の株式投資型クラウドファンディングとしてサービスを展開した「FUNDINNO(ファンディーノ)」には、国内で一番投資案件数がそろっています。

【関連】株式譲渡の方法を徹底解説【非上場会社/有限会社】

4. 非上場株式の評価が必須なケース

非上場株式とは、株式が取引市場に上場しておらず、取引相場がない株式のことを指します。上場株式以外の株式です。株式とは、株式会社の社員権を持つことができる証券です。会社の株式を所有することで、株主総会に出席して経営に参加することもできます。

上場会社の場合、取引市場にてその株式が売買され、常に株価がついています。しかし、多くの株式会社は上場しておらず、非上場会社となります。そのため、株式には常に時価がついているわけではありません

しかしながら、非上場株式を相続や贈与する場合、相続税や贈与税を算出するため、その時点での評価額が必要になります。

5. 非上場株式の評価方法

非上場株式の評価を行うためには、受け継がれる株式を「大株主」または「少数株主」に分類し、それぞれの分類に適用される評価方式に基づいて時価を求める必要があります。ポイントを紹介していきます。

大株主と少数株主のケース

大株主とは、非上場株式のほとんどを所有している株主であり、中小企業の場合は、創業者や社長などが所有する株式になります。会社の運営に大きな影響を持つ人物が大株主となっているというのが一般的な見方です。

反対に、少数株主とは、非上場株式の一部(少数)を所有している株主で、中小企業の場合は、取引先や従業員の場合が多いでしょう。これらの株式は少数なので、会社の運営にはあまり影響力を持ちません。これらの2つの区分によって、評価方式が変わることがあります

同族株主と非同族株主のケース

同族株主と非同族株主を区分する必要があるのは、選ぶ方式が異なるためです。同族株主とは、会社の代表取締役や取締役など株式を保有する人が同族関係者であり、会社の運営に大きく影響している会社のことです。

中小企業などでは、同族株主で構成されているケースが多いでしょう。非同族株主は、同族株主で構成されていない会社となります。

同族株主かどうかを判断するには、同族株主の議決権割合が30パーセントを超えるかどうかが重要なポイントとなります。30パーセント未満の場合は、同族株主には該当しません。

6. 非上場株式の取得価額の主な決め方と計算方法

非上場株式の取得価額は、主に3つの方法から決めます。その中から企業状況に応じたものを用いて算出します。

  1. 純資産価額方式
  2. 類似業種比準方式
  3. 配当還元方式

それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。方式に伴う計算の難易度も異なるため、税務処理を行う場合は、十分理解しておくことが不可欠でしょう。

①純資産価額方式

純資産価額方式とは、企業価値および株式の取得価額を算定評価する方法です。この方式は、貸借対照表を基に、企業のストックとしての純資産に着目する点に特徴があります。

算定する際は、「1株当たりの評価額を相続開始日に評価会社が解散した場合にいくらになるのか」を基準にします。純資産価額の計算は次のとおりです。

  • 相続開始時に評価会社を売却した際の利益金額÷相続開始時における発行済株式

メリット

純資産価額方式によって算出された取得価額は、企業の静的価値を示します。貸借対照表を基準にして企業を評価するので、計算方法が理解されやすいメリットがあります。

含み損益を考慮することにより企業実態に近づけることから、実務上よく利用される方式といえるでしょう。

デメリット

純資産価額の算定ベースから考察すると、継続企業として将来の利益成長を評価対象としていないことがデメリットとして挙げられます。

純資産価額方式には、「簿価純資産法と時価純資産法」があります。特に純資産を簿価評価で評価する簿価純資産法は、多大な含み益や含み損がある場合は、財務状況の実態からかけ離れた価格になる恐れがあるでしょう。

②類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、類似した業種や規模の標準を、自分の会社と比較して取得価額を算出する評価方法です。類似業種比準方式を用いることによって、キャッシュフローや企業の業績から株式の評価額が高くなり過ぎるのを防げます。

評価要素は「株式、配当、利益、純資産」の4つの基準を加味して、適正な時価を求めます。株式の取得価格に対して、評価会社の規模に応じた一定の調整率を乗じる方法です。計算式は下記のとおりです。

  • 評価会社に類似する上場会社の株価×配当、純資産を考慮した比準割合×調整率

類似業種比準方式は、計算式が複雑なこともあり、非上場株式の評価は困難といえるでしょう。

メリット

類似業種比準方式を用いることによって、株式の取得価額が高くなり過ぎるのを防ぐとお伝えしました。これにより、相続税に対するメリットを享受できるでしょう。

上場企業の取得価額を参考にしているため、適正価額を算出できます。純資産で評価する場合よりも、取得価額が低くなる可能性もあるでしょう。

デメリット

類似業種比準方式は、十分な評価材料がない場合は適切な比較ができません。自分の会社の類似業種や類似会社の企業価格評価を探すのが困難なことがデメリットとして挙げられます。

③配当還元方式

配当還元方式とは、「株主に配当するお金」のみに着目した評価方法です。配当還元方式を用いるのはまれなケースといってもよいでしょう。

本来であれば、会社全体の財産価値を分配した株式の取得価額です。つまり、適正な評価をするためには、財産全てを考慮しなければならないので、配当還元方式による評価方法は特殊といえるでしょう。

この方式によって算出した株式の取得価額は、上記でお伝えした2つの方式よりも低くなります。計算式は下記です。

  • (1株当たりの平均配当金額÷10%)×(1株当たりの資本金額÷50円)

配当還元方式を適用する場合は、「従業員持株会」といった会社に常設される機関によって、従業員は会社の株式の一部を保有できます。

メリット

従業員持株会と株式還元方式を適用することによって、会社の利益上昇が配当金につながり、従業員のモチベーションを向上させられるでしょう。会社側にとっては、自社株がむやみに流出するのを防ぐことも可能です。

デメリット

従業員持株会を作り、多くの株式を従業員に保有させてしまうと、経営者側の支配権が揺らぐ恐れがあるでしょう。会社の経営状況が傾いてしまうと、配当金の低下につながります。

メリットとして、従業員のモチベーション向上を挙げました。配当金が下がれば、不信感から従業員のモチベーションが低下してしまう可能性もあるでしょう。

評価の具体例

非同族株主や少数株主は、配当還元方式を選択します。この方法は配当金に注目しており、評価額が低く抑えられる傾向があるためです。

具体な評価の方法としては、1株当たりの年配当金額と1株当たりの資本金等の額を算出して配当還元価格を求めます。1株当たりの年配当金額は、直前の決算期2期に行った配当の平均を算出し、1株当たりの資本金等の額は、資本金の額と資本余剰金額の合計額を算出します。

そして、配当還元価格=1株当たりの年配当金額÷10パーセント×1株当たりの資本金等の額÷50円(※1株当たりの資本金等の額を50円に設定)となります。

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7. 評価において経理担当が注意すべきこと

経理担当者が、株式移転による新たな親非上場株式の評価を行う際には、「有価証券の評価損」として計上できるかどうかを事前にしっかりと確認することが重要です。

一般的に評価損として計上するためには上場有価証券で会社経営の支配権のための株式以外の株式の価額が著しく下がること上場有価証券以外で会社経営の支配権のための株式以外の株式の価額が著しく下がること、またはその他の特別な事例があること必要条件となります。

その上で、非上場株式の評価を適正に行うためには、計算式を正しく判定することが重要です。

8. 非上場株式の規模による取得価額の決め方

非上場株式の規模(大会社・中会社・小企業)によって、取得価額の決め方は異なります。前述した取得価額の決め方は、規模によって原則として任意の場合があるため、規模の区分から企業状況における財務状況を理解することが大切です。

この章では、非上場株式の規模による取得価額の決め方を、それぞれ詳しく解説しましょう。

大企業の場合

非上場株式の規模が大会社となるのは、従業員が70人以上または以下のいずれか該当する会社です。
 

区分の内容 総資産価額および従業員数 1年間における取引金額
卸売業 20億円以上(従業員35人以下除く) 30億円以上
小売・サービス業 15億円以上(従業員が35人以下除く) 20億円以上
卸売業、小売・サービス業以外 15億円以上(従業員が35人以下除く) 15億円以上

大企業の取得価額を決定する場合は、原則として「類似業種比準方式」で算出します。有利であれば「純資産業種比準方式」の計算方式が容認されることもあります。

中企業の場合

非上場株式の規模が中企業となるのは、従業員が70人未満の会社または以下のいずれかに該当する会社です。

区分の内容 総資産価額および従業員数 1年間における取引金額
卸売業 7,000万円以上(従業員5人以下の会社を除く) 2億円以上30億円未満
小売・サービス業 4,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く) 6,000万円以上20億円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く) 8,000万円以上15億円未満

中企業の取得価額を決定する場合は、原則として「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用」で算出します。有利であれば「純資産価額方式」の計算方式も容認されています。

小企業の場合

非上場株式の規模が小企業となるのは、従業員が70人未満で以下の全てに該当する会社です。

区分の内容 総資産価額および従業員数 1年間における取引金額
卸売業 7,000万円未満または従業員5人以下 2億円未満
小売・サービス業 4,000万円未満または従業員5人以下 6,000万円未満
卸売業、小売・サービス業以外 5,000万円未満または従業員5人以下 8,000万円未満

中企業の取得価額を決定する場合は、原則として「純資産価額方式」で算出します。有利であれば「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用」の計算方式も容認されています。

特定企業の場合

特定企業とは、次に該当する企業です。

  • 清算中の企業
  • 開業から3年未満の会社
  • 比準要素数0の会社
  • 開業前または休業中の会社
  • 土地保有特定会社
  • 株式保有特定会社
  • 批准要素数1の会社

比準要素とは、「1株当たりの利益金額」「1株当たりの配当金額」「1株当たりの純資産価額」の3つをさします。そのうち2つの要素がプラスの会社は、類似業種比準方式による評価を受けられます。比準要素数が1、また全ての要素が0またはマイナスの会社は制限があるので注意しましょう。

例えば類似業種比準方式での評価の場合、比準要素数1の会社に当てはまるのは、①評価直前期末の比準要素のいずれか2つがゼロ、かつ②評価直前々期末の比準要素の2つ以上がゼロである会社です。

特定企業の場合は、上述の各会社状態に応じて評価方式が異なります。清算中の場合は、清算分配見込額の複利原価によって取得価額を決定します。その他の各会社の取得価額の決定方式は、下記のとおりです。

【純資産価額方式】

  • 開業から3年未満の会社
  • 比準要素数0の会社
  • 開業前または休業中の会社
  • 土地保有特定会社

【純資産価額方式または類似業種比準方式と純資産価額方式の併用】

  • 比準要素数1の会社

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9. 株式に課税される場合

株式に課税される場合は、キャピタルゲインである売却益、そしてインカムゲインである配当金を対象に課税されます。

それぞれの取得目的を明確にしておき、税法上の概要との関係性を理解しておくことが大切でしょう。以下の場合は、株式に対し課税されます。

  1. 株式を譲渡・売却することで利益を得た場合
  2. 保有する株式の配当金を得た場合
  3. 時価より低い価格で売却した場合

①株式を譲渡・売却することで利益を得た場合

中小企業のM&Aで最も多く利用されている手法に株式譲渡があります。株式譲渡とは、売り手企業の株主が保有株式を買い手企業に譲渡し、買い手企業は対価として購入額を支払うものです。

株式の売却益は、譲渡所得として分類されて申告分離課税方式によって所得税が課税されます。その際は、譲渡金額から所得原価と譲渡経費を差し引いた金額により売却益を算出します。

②保有する株式の配当金を得た場合

保有する株式の配当金は、配当金の支払い時に課税(20.315%)されます。課税の内訳としては、所得税および復興特別所得税が15.315%、住民税は5%です。

非上場株式の配当金を得た場合は、課税の利率が少々異なります。課税の合計は20.42%です。内訳は所得税および復興特別所得税が20.42%となり、住民税は課税されません

③時価より低い価格で売却した場合

一般の第三者への株式売却とは異なり、親族間での売却の場合、売却額を自由に決められます。しかし、実際の株式の時価を参考とせずに売却価格を決めてしまった場合、実際の株式の時価と大きな差が生じてしまうこともあるでしょう。

株式の時価よりも低い価格で売却した場合、その差額分に贈与税が課せられます。身内だからといって売却価格を安くしすぎると、思わぬ課税額となるため、注意しましょう。

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10. 非上場株式でも配当金はもらえるのか

結論からいうと、非上場株式でも配当金を受け取れます。しかし、配当金の納税方法が上場株式とは異なるでしょう。源泉徴収・確定申告のいずれかの方法によって納税します。

課税率20.42%で源泉徴収され、配当控除の適用はありません。

11. 非上場株式を取得した場合に考えられる税務

非上場株式を取得した場合、税務処理で不可欠なのが租税公課です。全体的には非上場株式の売却益に対して考えられる税務、そして法人税上の租税公課を対象としての税務があります。

相続税

非上場株式を相続する場合は「相続税」が課税されます。非上場株式の場合は市場価格がないため、税務処理で重要な評価額の計算が度々問題となります。

したがって、税務は類似業種比準価額方式・純資産価額方式・配当還元方式のいずれかを用いて評価額を算出することになるでしょう。

所得税

所得税とは、個人の所得に対して課税される税金区分です。前述したとおり、課税率は20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)です。

譲渡した場合の税務処理は「総収入金額−(所得費+譲渡費用)」で譲渡所得を算出し、この金額が黒字の場合に課税されます。赤字の場合は、ほかに非上場株式に関わる譲渡所得の黒字の金額があれば、そこから控除できます。

住民税

住民税とは、年初(1月1日)の時点で自身が居住する地域に納付する税金です。都道府県民税と市町村民税を総称して住民税と呼んでいます。

住民税は地域社会のために直接活用する税金を示していますので、課税対象は個人に限らず法人も対象となります。通常の住民税の税率は約10%です。非上場株式における譲渡所得の住民税は、税務処理で5%として計算します。

法人税

法人税とは法人の所得に課税される税金です。法人税を納付するための義務を果たすために、ルールが細かく定められています。

実行税率は29~42%と、法人税率は法人税の種類や納税対象者に応じて異なっています。

寄付金課税

考えられる税務としての寄付金課税は、過大な負担をした法人にのみ生じます。特に関係のない個人に対して、経済合理性を重視する法人が寄付金課税を受けることはほとんどありません。

しかし、出向先法人へ援助を行うことがしばしば行われます。この場合は、税務上の観念的な仕訳によって所得金額を算出する必要が生じます。寄付金課税の対象となる場合があるでしょう。

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12. 非上場株式を取得する際の注意点

非上場株式を取得する際に意識しておくべきことは、売買市場が形成されていないことです。取得の際は、以下の点に注意しましょう。

  1. 価格次第で税金額が変わる
  2. 売りたいときにいつでも売れるわけではない
  3. 取得する際はデューデリジェンスを忘れない
  4. 贈与や相続で価格がわからない場合は証券会社に聞く
  5. 売却損の相殺はできる

①価格次第で税金額が変わる

非上場株式を取得した際、譲渡所得税の計算方法は次のようになります。

  • 総収入金額(譲渡価額)−必要経費(所得費+委託手数料)=非上場株式等に係る譲渡所得等の金額

非上場株式の税率は、個人へ譲渡する場合は20.315%、法人へ譲渡する場合は29~42%です。税率を計算式に当てはめると、譲渡価額次第で税金額が大きくなるので注意しなければなりません。

②売りたいときにいつでも売れるわけではない

上場株式を売りたいときは、株式を売買する市場が形成されているため、売却価格にこだわらなければ簡単に売却できます。しかし、非上場株式は株式を売買する市場が形成されていません。

株式を買いたい人を自ら探す必要があります。いつでも売れるわけではないので注意しましょう。

③取得する際はデューデリジェンスを忘れない

デューデリジェンスとは、投資対象となる企業の価値やリスクを投資前に調査することを意味します。非上場株式は、取得時に情報公開が乏しいため、デューデリジェンスを徹底する必要があるでしょう。

デューデリジェンスにはさまざまな種類があります。税務デューデリジェンス・法務デューデリジェンス・財務デューデリジェンス・事業デューデリジェンスなどM&A取引の状況を鑑み、必要なデューデリジェンスを選択しましょう。

④贈与や相続で価格がわからない場合は証券会社に聞く

非上場株式を譲渡や相続をした時点で注意すべき点の一つに、取得時の価格がわからないことが挙げられます。通常、取得価額を確認する書類などが手元にある場合はすぐにでも確認できるでしょう。

取得価額を確認できる書類が手元にない場合は、証券会社に問い合わせることが必要です。証券会社には、取引記録を10年間保存する義務があります。証券会社の「顧客勘定元帳」を取り寄せることで、取得価額の確認ができるでしょう。

⑤売却損の相殺はできる

非上場株式の取得時は、損益通算を理解しておくことが大切です。損益通算とは「利益と損失を相殺できる制度」をさします。

非上場株式で売却損が生じた場合は、相殺により節税につなげられるでしょう。

13. 非上場株式の取得に関する相談先

非上場企業の株式取得では、取得価額の決め方をはじめ、計算方法や税務関係などさまざまな知識が必要になります。特に取得価額の決め方によっては、企業の方向が左右される要素もはらんでいるでしょう。企業状況を正確に把握しておくことが大切です。

非上場企業の株式を取得する際は、M&Aや株式譲渡の知識を持つ専門家へ相談しながら行うとよいでしょう。M&A総合研究所では、非上場企業株式の取得や株式譲渡に精通したM&Aアドバイザーが専任につき、M&Aをフルサポートします。

無料相談を行っていますので、非上場企業の株式取得をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。

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14. 非上場株式の取得まとめ

非上場株式の取得方法はいろいろありますが、取得価額の主な決め方や事業規模も考慮しておかなければなりません。取得価額の決め方や税務上で不可欠な計算方法の難易度もそれぞれ異なります。

【非上場株式の取得方法】

  1. M&A
  2. 直接交渉
  3. ストックオプション
  4. 相続や贈与
  5. クラウドファンディング

【非上場株式の取得価額の主な決め方】

  • 純資産価額方式→企業価値および株式の取得価額を算定評価する方法
  • 類似業種比準方式→評価要素は「株式、配当、利益、純資産」を加味して適正な時価を求める
  • 配当還元方式→「株主の威配当するお金」のみに着目した評価方法

上述のように、事業状況の把握、取得価額の主な決め方で誤認を防ぐ必要があるでしょう。企業損益への影響を踏まえたうえで、慎重な判断を心がけることが大切です。

非上場株式の取得価額や税務周りは、M&Aの専門家からのサポートを受けながら、企業損益の方向を定めるようにしましょう。

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