食品製造業界のM&A動向!会社売却のメリットや相場価格・事例30選を徹底解説【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

昨今、食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却(譲渡)が盛況です。本記事では、食品メーカー・食品会社のM&A動向や買収・売却価格の相場を分析するにあたって、関連する製油業界や、代表的商品である冷凍食品、工場などとの兼ね合いも含めて解説します。

目次

  1. 食品製造業界について
  2. 食品製造業界の市場動向
  3. 食品製造業界のM&A動向
  4. 食品製造業界がM&Aするメリット
  5. 食品製造業界のM&A相場価格
  6. 食品製造業界のM&A成功ポイント
  7. 食品製造会社・食品メーカー関連企業同士のM&A成功事例17選
  8. 異業種による食品業界のM&A事例7選
  9. 食品業界のクロスボーダーM&A事例6選
  10. 食品製造業界のM&Aまとめ
  11. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧
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1. 食品製造業界について

まずは、食品メーカー・食品会社の業界と動向を解説します。どのような会社なのか、概要を再確認することで、市場を理解しやすくなります。

食品製造会社(食品メーカー・食品会社)とは

総務省の日本標準産業分類「食料品製造業」によると、「食品製造業」は大分類「製造業」の中分類である「食料品製造業」に該当します。製造業における食料品製造業に該当し、食料品製造業に含まれる業種は具体的に以下のとおりです。

  • 畜産食料品、水産食料品などの製造
  • 野菜缶詰、果実缶詰、農産保存食料品などの製造
  • 調味料、糖類、動植物油脂などの製造
  • 精穀、製粉およびでんぷん、イースト、こうじ、麦芽などの製造
  • パン、菓子、めん類、豆腐、油揚げ、冷凍調理食品、惣菜などの製造

食品メーカー・食品会社を経営している場合、自社がどのような業種に該当するのか確認しておきましょう。ここからは、業種についてより詳しく解説します。

製造しているもの(業種)

総務省の定義による「食料品製造業」で製造されているものは、前述のとおりです。食料品製造業には、清涼飲料・酒類・茶・コーヒー・氷・たばこ・飼料・有機質肥料などの製造は含まれません。これらの製造は本来、「飲料・たばこ・飼料製造業」に分類されますが、ここではビールや清酒、清涼飲料も食品製造業としています。

M&Aを成功させるためには、自社の業種を知ったうえで、相性の良い相手を探すことがポイントです。

事業に見られる特徴

食料品製造業に見られる代表的な特徴は、以下のとおりです。

  • 消費者の「安心・安全」を守るための取り組みが重要
  • 消費期限があり、大半が見込生産食品である
  • 季節性があり、繁閑対応が求められる
  • 販売価格の下落圧力が強い
  • 為替相場・原料相場の影響を受ける

このうち特に重要度が高いものは、食品製造者の最も重要な使命である、「食品の安全性」に関する取り組みです。昨今は、食中毒の発生や異物混入など食の安全を脅かす事故が多発しており、消費者の「安心・安全」に対する要求が非常に高いです。

食の「安心・安全」にまつわる事故は社会的な影響が大きく、一度発生してしまうと企業の存続自体が脅かされるおそれがあります。HACCPなど工程管理システムの導入、老朽設備の入れ替え、設備メンテナンスの実施など、安全に対するコストが年々増加傾向にある状況です。

2. 食品製造業界の市場動向

市場規模

農林水産省 「令和3年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」

出典:https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/keizai_keisan/attach/pdf/index-3.pdf

農林水産省が発表した「令和3年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」によると2020年の国内の農業・食品完成ん製造業は108超5321億円(前年比-0.3%)でした。うち、食品製造業は36.5兆円(前年比+0.5%)でした。これは食肉、動植物油脂及びそう菜・すし・弁当が増加した影響があります。

また、経済産業省が実施している工業統計調査の「2020年確報 産業別統計表」によると、2020(令和2)年における食料品製造業の市場規模概要は以下のとおりです。

  • 市場規模(製造出荷額):29兆8,571億8,800万円(前年比0.3%増)
  • 企業数従業員4名以上の事業所:23,648社(前年比3.2%減)
  • 従業者総数(従業員4名以上の事業所):1,136,951人(前年比0.8%減)

参考:
農林水産省 「令和3年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」
経済産業省「2020年確報 産業別統計表」令和3年8月13日公表・掲載

競合・代替品

今後は、環太平洋戦略的経済連携協定の影響輸入価格の下落が考えられるものの、これと併せて国内の食品製造業にとっての代替品である輸入食品の価格も安くなることから、決して楽観視はできません。

食品業界では世界的規模での複合的な要素が変化をもたらすことから、自社が製造している製品への注目だけでなく、安定的な事業経営をするためのポートフォリオ形成も重要視されます。

業界動向

食品メーカー・食品会社を取り巻く動向は、主に以下のとおりです。

市場は成長鈍化

農林水産省 「食品産業動態調査」

出典:https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_doutai/attach/pdf/doutai_top-114.pdf

食料品製造業界では、令和に入るまでは成長を続けていましたが、近年では成長が鈍化し、コロナの影響で前年マイナスとなる年も出ています。
特に、食料品価格の下落や少子高齢化などの影響により、国内市場は縮小傾向です。市場の縮小に加えて、所得水準の伸び悩み・デフレ長期化を主因とする消費者における節約志向の強まりもみられます。企業側には、価格競争の激化とともに、より競争力が高い製品の開発や生産性の向上が求められている状況です。

近年は所得水準が伸び悩んでいます。消費税率が上がったことで国内市場が縮小しているなかで、ますます企業間の競争が激しくなっている状況です。中小規模の食品メーカー・食品会社は生き残るための経営戦略を綿密に立てなければなりません。

原料価格上昇に伴い値上げ

食料品は原材料の多くを輸入に頼っています。小麦や大豆・食肉などといった食材は価格変動や為替動向の影響を大きく受けてしまうのが実情です。

近年の世界的な食料品原料の市場におけるトピックとして、中国の市場拡大があります。これにより、原材料価格が高騰しているほか、為替の円安進行によってコストが増加傾向です。値上げが難しい食料品製造業者にとって、こうした価格変動は経営上の大きな課題だといえます。

食品表示偽装などによる安全性への意識拡大

近年、食品表示偽装問題の報道が相次いでいます。不適切な情報を提示し食料品を製造・販売していた業者が存在したため、消費者における食の安全性に対する意識がますますシビアな状況です。

衛生管理が徹底していない食品メーカー・食品会社や、消費者からの信用が薄い食品メーカー・食品会社は競争に負けてしまう可能性が高く、食品に関する消費者の安全意識を裏切らない経営が求められています。

健康ブーム、環境への配慮など多様なニーズの出現

食品における安全性の観点から、トレーサビリティにも注目が集まっています。

トレーサビリティとは、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階もしくは廃棄段階まで追跡できる状態のことです。日本では牛肉・コメ・コメ加工品に対して、こうした対応がすでに義務付けられています。

健康ブームによる健康に対する意識が向上したことへの対応なども迫られている状況です。

コロナ禍による食品業界への影響

出典:農林水産省「令和2年度  食品産業動態調査」 4名目GDP、実質GDP及びGDPデフレーターの推移

出典:https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_doutai/attach/pdf/doutai_top-29.pdf

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、食料消費面で市場が大きく変化しています。外出自粛・緊急事態宣言などにより、2020年以降の食料消費支出額では、外食への支出額が大きく減少しているのに対して、生鮮食品への支出額は増加し、高止まりしている状況です。

生鮮食品への支出額が増加した要因の1つに、自宅での料理機会の増加が挙げられます。これに伴い、食品スーパーの売上高も増加傾向にあります。

労働生産性の課題

食品製造業は巨大産業にも関わらず、生産性が低いです。製造業平均の約6割ほどしかありません。

労働生産性の低い理由として、痛みやすい、腐りやすい食品に関しては生産の調整が難しく安定した生産が困難です。また、小さく、柔らかくて形状が不安定な食品に関しては機械化が難しい点が挙げられます。

現在、労働生産性を高める取り組みとともに、食品ロス、海洋プラスチック問題などの対応も求められています。食の安全・安心とともにどのように労働生産性を高めていくのかが大きな課題です。

参考:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/attach/pdf/vision-23.pdf

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3. 食品製造業界のM&A動向

消費者の求めるクオリティは年々高くなっています。食品製造会社・食品会社にとっては消費者のニーズを満たせる事業運営が必要であり、その手段としてM&Aが活用されるケースも多いです。

食料品製造業は素材型と加工型に大きく分類され、それぞれ以下のような特徴があります。
 

  • 素材型:加工メーカーや外食産業への原料供給が主要業務(製糖、製粉、製油、飼料など)
  • 加工型:原料を仕入れ加工品を製造し家計へ供給することが主要業務(パン・菓子、調味料、冷凍食品、めん類など)

食品メーカー・食品会社のM&Aには、以下のような動向がみられます。
 

①多角化を目指す同業他社の買収が活発化

「素材型」の食品製造企業では、多角化を目指したM&Aが活発です。一般的に素材型では商品の差異化が難しいうえに、加工メーカーへの原料供給は規模が大きいほど効率的であるため、スケールメリットが非常に大きくなります

その一方で、関税引き下げなどに伴う輸入品との競争激化や、加工メーカー・外食産業からの値下げ圧力が働いている状況を受けて、同業他社の買収による再編が進みました。

近年の事例では、2014(平成26)年10月に砂糖大手の三井製糖が、病院・介護施設向け栄養補助食品メーカーのニュートリー(三重県)を買収したケースがあります。

②海外進出のための海外メーカーとのM&A増加

日本国内は市場が飽和状態にあり競争が厳しいため、積極的に海外に打って出ようとする動きもみられます。加工型の食料品製造企業が実施しているクロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)はその典型例です。

2014年9月、味の素は米国におけるアジア食の冷凍食品トップであるウィンザー・クオリティ・ホールディングスを買収しました。

本M&Aの狙いは、ウィンザーの持つ「冷凍食品における米国消費者に精通したマーケティング力」「冷凍食品における全米に広がる流通ネットワークと営業力」「冷凍食品における全米をカバーする生産拠点」を獲得することです。

近年は、大手企業を中心に海外メーカーとのM&Aが増加傾向にあります。資金力に余裕があるなら、海外企業とのM&Aを積極的に検討するのもよいでしょう。

③異業種からの新規参入M&Aが増加

異業種からの新規参入M&Aの動向を見ると、近い将来に増加が見込まれるのは健康食品を製造する企業の買収です。なぜなら、昨今は健康志向が高まっているためです。

食料品製造企業には、老舗ながら後継者不在や経営不振に陥っていたり、特定地域のマーケットに強みを持っていたりする企業も多くあります。こうした企業の買収には、今後さまざまな業種が目を付ける可能性が十分に考えられます。

もしも自社がこうした状況なら、M&Aの際は幅広い視野で買い手を探すと良いでしょう。同業者以外から自社にふさわしい買い手が見つかる可能性も非常に高いです。

④地域密着型ファンドなどの参入

一般的にファンドでは、経営関与を目的として株式を取得して、その企業の経営に関与することで株式価値を高めようとします。

通常、ファンドは株式価値向上後に、株式の新規上場・ 再上場や他社への転売をつうじた投資利益の獲得を目指しますが、後継者難をカバーするケースもあります。これに該当するのが、「地域密着型ファンド」や「事業承継ファンド」などです。

主な流れとしては、ファンドが会社の株式を取得し新たなオーナーとして経営を行いながら、人材を育て適任者を見つけて後継者の育成も並行します。その後、後継者に会社を任せて存続させる形です。

⑤コスト高を受けた業界再編

食料品業界では、原料費が高騰傾向にあることに加えて、加工メーカーや外食産業からの値下げ圧力も受けています。こうしたなかで、「素材型」の食料品製造企業では、M&Aによる業界再編が進んでいます。統合により、原材料調達や間接業務の効率化・工場統廃合などによるコスト削減・販売先との価格交渉力向上を目指しました。

業界再編で最も象徴的だった業界が、製油業界です。2000年代前半に、それまでの製油上位7社が製油3社(J-オイルミルズの製油企業、日清オイリオグループの製油企業、昭和産業の製油企業)に集約されました。

このように、値下げ圧力に対抗するために、M&Aによる業界再編が進んでいます。自社が素材型の食品会社であれば、M&Aで業界が変わることを念頭に入れて経営しましょう。

食品製造業界のM&AならM&A総合研究所へ

食品メーカー・食品会社のM&Aは、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は中小企業のM&A支援実績を多く有しており、食品メーカー・食品会社のM&Aもお任せいただけます。

M&A総合研究所では、豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任となり、食品メーカー・食品会社の案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、食品メーカー・食品会社のM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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4. 食品製造業界がM&Aするメリット

食品製造会社・食品メーカーがM&Aするメリットを把握し、自社が実施する際に多くのメリットを受けられるようにしましょう。本章では、譲渡側と買収側のメリットに分けて、順番に解説します。
 

譲渡側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者問題の解決
  • 雇用の継続
  • 負債の解消と創業者の利益確保
  • グループに入ることによる経営の安定
  • 市場の拡大
  • 商品開発力・商品群・ブランド力の強化
  • 製造拠点の拡大
  • 販売チャネルの獲得
  • 人材確保
  • スケールメリットの享受

譲渡側のメリット

食品製造会社・食品メーカーのM&Aにおける譲渡側のメリットには主に以下が挙げられます。

後継者問題の解決

後継者不在の問題を抱える会社にとって、M&Aによる会社売却は問題解決手段のひとつです。後継者がいなければ会社を存続できずに廃業を検討せざるを得ないするケースもでてきます。

しかし、M&Aで売却すれば他社へ経営を引き継ぐことができるため、経営者の後継者候補がいなくても活用できる方法です。

雇用の継続

株式譲渡を用いた場合、譲渡側の会社・工場、従業員の雇用はそのまま買収側へ引き継がれます。経営者のとって、これまで会社や工場に貢献してくれた社員を廃業によって解雇するのは非常に心苦しいものです。

しかし、M&Aで自社を売却すれば従業員の雇用を継続することができます。実際に中小企業の場合は、M&Aによる事業・会社売却の目的が、雇用の維持に置かれることも多いです。

負債の解消と創業者の利益確保

個人事業主や中小企業などでは、代表者が個人保証を利用しているケースが多いです。これらは廃業を選んでも残り続けるため、リタイア後の生活が苦しくなる可能性が高いと考えられます。

しかし、M&Aで会社を売却すれば、個人保証も買収側へ引き継がれます。また、廃業を選択した場合は廃業コストがかかりますが、M&Aで株式を譲渡すれば売却益が得られます。

株式譲渡の売却益は経営者(創業者)が得るため、負債の解消だけでなく利益を得られる点は大きなメリットといえるでしょう。

グループに入ることによる経営の安定

経営不安を抱えていたり業績の見通しがよくなかったりする場合、自社よりも規模が大きく資本力のある会社の傘下となることで、経営の安定化を図れます。

また、買収側の経営資源を活用することによって、事業体制の強化や販路拡大も可能です。中小企業の場合、自社の経営資源だけでは事業の発展が難しいケースも少なくありませんが、M&Aを活用することで経営の安定と事業の成長に期待できます。

買収側のメリット

食品製造会社・食品メーカーのM&Aにおける買収側のメリットには主に以下が挙げられます。

市場の拡大

買収側企業は、M&Aによって譲渡側企業を傘下とすることで、相手の所有する工場などの設備、取引先との関係や従業員の雇用を引き継ぐことができます。

同業他社を買収した場合は相手の顧客を獲得できるので、一気にシェアを拡大することも可能です。市場規模は大きいほどプレゼンスが高まるだけでなく、市場における発言力の強化にもつながります。

商品開発力・商品群・ブランド力の強化

シナジー効果(相乗効果)発揮を目的のひとつとして、買収を行うケースは非常に多くみられます。シナジー効果とは、相手会社におけるマーケット(エリア、対象顧客)、技術やノウハウを自社の事業と合わせて、プラス以上の効果を発揮させることです。

食料品製造業のM&Aでシナジーが発揮されれば、商品開発力が強化や商品群の充実、ブランド力強化に期待でき、売上拡大にもつながります

製造拠点の拡大

食品の種類にもよりますが、加工型の食料品製造業の場合、製造拠点(工場)の拡大が大きなメリットになります。

一般的に、食料品は品質を維持できる期間が工業製品などに比べてはるかに短いため、製造拠点(工場)から遠方への配送などが難しいケースが多いです。

自社商品を販売するエリアを広げるためには、エリア内に製造拠点(工場)が必要ですが、自社で工場を新設するとなれば、立地の獲得から設備投資・従業員の採用まで非常に多くの手間・時間がかかります。

しかし、M&Aによる企業買収であれば、手間や時間を大きく省略して迅速な製造拠点の拡大が可能です。

販売チャネルの獲得

大手企業は国内での市場シェアを拡大が難しい状況に立たされており、M&Aによって海外市場をへの進出を目指す動きが活発化しています。

海外で商品を展開するには輸出する方法もありますが、ブランディングを構築できていない地域でゼロの状態から販売先を探し、その国の市場でプレゼンスを獲得するまでには膨大な手間と時間が必要です。

M&Aによって海外メーカーを買収すれば、相手先の持っている販売チャネルやノウハウをまとめて獲得することができます。初期段階で販売先を探す時間が大きく省略でき、効率的なプレゼンス強化が可能です。

人材確保

自社で工場を新設した場合、次に必要なるのは人材の確保です。十分な人材を採用できても新しい業務に慣れさせて、望ましい生産水準まで向上させるまでには、それなりの時間を要します。

M&Aによる企業買収であれば、すでにその会社・工場で働いている人材を確保できるためスムーズな事業展開が可能です。最初から食料品業界および会社のノウハウを持つ人材を集められるので、教育にかかる手間・時間を軽減できます。

スケールメリットの享受

スケールメリットとは、事業規模の拡大によって生まれる生産性向上・効率性上昇・知名度向上・バイイング・パワー向上などの効果のことです。特にスケールメリットを享受しやすいのが、製造業だといえます。

M&Aによって企業をまとめて買収することで、経営ノウハウから生産能力・収益までをすべて手に入れることが可能です。

1社による大量仕入が可能になるため、原材料の仕入れコスト削減・部品調達コストを削減できます。製造機械の稼働率に余裕があるなかで製品の市場シェアを拡大できれば、生産量増加によって製品1つ当たりの生産固定費の削減が可能です。

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5. 食品製造業界のM&A相場価格

相場

M&Aで企業を売る際の相場価格は、「相手がどれだけ欲しがっているか」によって変動します。相手が高く評価すれば相場価格は高くなり、買いたい相手がいない場合はたとえ相場価格がゼロでも売れない可能性があるでしょう。

大まかな相場価格を知りたい場合は、計算によって求めることができます。算出方法は複数ありますが、ここでは代表的な2つの手法を紹介します。

M&A交渉は、算出された相場価格をベースに進めること基本であり、成立合意への近道ともいえるでしょう。

  • DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法
  • 純資産法

DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法

DCF(Discounted Cash Flow)法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く方法を使って、価値を算出する手法です。

売却する会社の資産や事業計画書などをもとに、M&Aの後にどれだけの収益・キャッシュフローが見込まれるかを計算し相場価格を算定します。

DCF法の具体的な計算方法や割引率については、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

【関連】DCF法とは?計算式や割引率、メリット・デメリットをわかりやすく解説【企業価値算定】

純資産法

純資産法の具体的な手法で代表的なものは、「簿価純資産法」と「修正純資産法」です。簿価純資産法は、帳簿価額にもとづいた資産と負債の差額である純資産をもって相場価格を計算します。

修正純資産法は、資産と負債を今の価値で再度どのくらい価値を持つのか調べ、純資金の金額を計算して相場価格を算出するものです。主要な土地や有価証券など資産のみを対象とし、負債と資産のすべてを対象としないケースもあります。

以下の記事では、純資産法の計算方法をくわしく解説しています。専門家による動画解説もありますので、ぜひご覧ください。

【関連】コストアプローチとは?メリットとデメリットから計算方法までを解説

簡単な相場価格の計算法

大まかなM&A相場を把握しておくことで、相場よりも低く買いたたかれることを避けることができます。さらに、M&Aが最も適な選択肢なのか判断する際にも役立つでしょう。

食品製造業界のM&Aで用いられることの多いスキームは株式譲渡と事業譲渡です。それぞれの大まかなM&A相場は以下の計算式で求めることができます。

  • 株式譲渡の相場=時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡の相場=時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

業種の特性や対象企業の特徴により営業利益・事業利益に掛け合わせる年数は違ってきますが、一般的には、2年または3年で算出するケースが多いようです。

6. 食品製造業界のM&A成功ポイント

ここからは、食品製造会社・食品メーカーにおけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。

M&A実施の理由を明確に

どのような業種の場合でも、M&Aを実施する際「なぜM&Aを行うのか」を明確にしておくことが必要になります。

事業承継を目的としているのか、事業規模の拡大を目指すのか、M&Aの理由によって相手先選びの判断基準が変わります。

まずはM&Aを行う理由を明確にし、その上で希望条件などを決めていくとよいでしょう。

M&A先の選定

M&A先の選定をしっかり行うことも大切です。どんなに規模の大きい企業へ売却できたとしても、自社の目的や希望に合う相手先でなければ満足度の高いM&A実現とはならないでしょう。

M&Aを実施する前にしっかりと自社の希望条件とその優先順位を明確にさせてておくと、相手先の選定がしやすくなります。また、サポートをM&Aの専門家に依頼する場合は、自社の風土や価値観などを伝えておくのもよい方法です。

事業シナジー

どのような事業シナジーが見込めるかを考えることも必要です。スケールメリットによって材料コスト低下が見込めたり、顧客の認知度が上がったりなどのさまざまなシナジーが考えられます。

相手先の事業内容を分析し、想定されるシナジーをイメージしておくことは、双方にとって満足度の高いM&A実現にも繋がるでしょう。

手法

中小企業のM&Aにおける手法は、9割以上が以下の2点に絞られます。

株式譲渡

企業の株式の全部または一部を売却する方法です。中小企業の株式譲渡では、オーナー経営者がすべての株式を所有していることが多く、その場合は会社はまとめて買収者に引き渡されます。

会社がまとめて譲渡されるため、事業や資産だけでなく債権債務や雇用契約などもそのまま買い手に承継されます。手続きは事業譲渡よりも簡便であるものの、原則として債務も買い手に引き継がれる点に注意しましょう。

事業譲渡

企業の事業の全部または一部を売る方法です。売り手は事業および資産の売りたい部分のみを売却でき、買い手は欲しい部分のみを買収できる点にメリットがあります。

事業譲渡の場合、許認可は買い手に譲渡できないケースがほとんどです。譲渡できない場合、買い手側で取り直す必要があります。

タイミング

M&Aで企業を売却するタイミングで重要なのは、主に以下の3点です。

業界再編が進行中のとき

再編が進行中の業界では、現在が会社を高く売るために適したタイミングだといえます。なかでも最も適したタイミングは、業界再編が進行し、売主候補企業が少なくなった段階です。売り手市場となり、高く売れる可能性が高まるためです。

ただし、業界再編は永久には続かないため、売り惜しみに注意しましょう。

景気のよいとき

当然ですが、景気のよいときほど企業は高く売れます。逆に、たとえ買収したい会社が複数現れても、景気が悪くなれば、その意欲は何事もなかったかのように胡散霧消するケースがあります。

経営者が元気なとき

M&Aで企業を売却するなら、経営者が元気なときにできるだけ早めに計画を立てながら進めるべきです。

経営者の身に何かが起こってから急に会社を売却する必要に迫られた場合は、とにかく早く売ることが最優先となります。そうなれば、価格の要求をほとんどできなくなる可能性があるでしょう。

【関連】中小企業M&Aの流れや成功ポイント、注意点、現状を解説【成功事例あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

M&A仲介会社等に相談する

M&Aの工程は非常に多いため、日常の事業運営をしながら自社のみで進めていくのは現実的に難しい部分が多いでしょう。M&Aを仲介会社等では手続き面をサポートすれば、業務への支障を最小限にとどめながらM&Aを進めることができます。

M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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7. 食品製造会社・食品メーカー関連企業同士のM&A成功事例17選

この章では、食品製造会社・食品メーカーのM&A成功事例を解説します。

エバラ食品工業による丸二の子会社化

売り手企業の概要

丸二株式会社は、1967年に設立された粉末・液体調味料などを製造・卸売りする企業で、特に小容量の粉末と液体製品を中心に製造経験を持っています。また、西日本エリアの味覚と嗜好に合わせた商品開発を得意とし、少量多品種の生産に適応できる柔軟かつ機動的な生産体制が整備されています。

買い手企業の概要

エバラ食品工業は「こころ、はずむ、おいしさ。」の提供を経営理念とし、中期経営計画「Unique 2023 ~エバラらしさの追究~」において、主力事業の収益増強と戦略事業の基盤構築に焦点を当てています。この提案は、モノづくり機能と生産体制の強化を通じて、コア事業と将来の成長ドライバーである戦略事業を推進するためのものです。

M&Aの背景・目的

粉末調味料の製造技術や小容量商品の生産能力を向上させ、多様なお客様のニーズに応えます。将来の市場拡大を見据え、積極的に投資し、競争力を高める予定です。

M&Aスキーム

実行時期:2023年8月(株式譲渡契約締結)
手法:株式譲渡
結果:丸二株式会社の株式を取得し、子会社化
譲渡金額:2000万円

参考:丸二株式会社の株式取得(子会社化)

山崎製パンによる神戸屋の包装パン事業等の取得

売り手企業の概要

神戸屋は、包装パン事業を主軸とする業界4位の製パンメーカーです。包装パン事業のほか、フレッシュベーカリー・レストラン事業や冷凍パン事業なども手掛けています。

買い手企業の概要

山崎製パンは、国内シェア1位の製パン企業です。人気商品「ランチパック」や「ダブルソフト」などのパン部門のほか、コンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」も展開しています。

M&Aの背景・目的

人口減少や少子高齢化が進むなか、神戸屋は事業ポートフォリオの見直しを行い、今後はフレッシュベーカリー・レストラン事業と冷凍パン事業に注力していくとし、包装パン事業と子会社が手掛けるデリカ食品事業の売却を決定しました。

本M&Aによって、山崎製パンはが神戸屋が持つ関西地方の基盤を引き継ぎ、生産体制の強化を図るとしています。

M&Aスキーム

実行時期:2022年8月(株式譲渡契約締結)
手法:事業譲渡
結果:包装パンの製造販売事業及び同社 子会社の営むデリカ食品の製造販売事業譲渡
譲渡金額:非公開

参考:株式会社神戸屋の包装パン事業等の譲受けに関するお知らせ

日清製粉による熊本製粉の子会社化

売り手企業の概要

熊本製粉は1947年に設立され、九州地方で高い知名度と顧客信頼を持つ製粉会社です。小麦粉やそば粉、米粉などの穀粉事業および関連事業を展開し、高い技術力と開発力を誇ります。

買い手企業の概要


当社グループの中核事業である小麦粉の製造・販売は、国民の主要食糧である小麦粉の安定供給を担い、食のインフラを支える使命を担っています。

M&Aの背景・目的

日清製粉と熊本製粉は2011年に業務提携し、小麦粉や米粉の供給などで協力してきました。2016年の熊本地震時にも協力し、緊密な関係を築きました。今回の取得は、両社が統合して事業運営を行い、相互補完のメリットとシナジー効果を追求し、競争力を高めるためのものです。日清製粉と熊本製粉は協力し、小麦粉供給の責任を果たし、顧客の発展を支え、持続的な成長と企業価値の拡大を目指します。

M&Aスキーム

実行時期:2022年6月(株式譲渡契約)
手法:株式譲渡
結果:日清製粉により熊本製粉の発酵済株式の85%を取得
譲渡金額:非公開

参考:熊本製粉株式会社の株式取得

エバラ食品工業グループによるヤマキンの子会社化

売り手企業の概要

ヤマキンは、液体調味料などを製造する1948年創業の企業です。主に小袋製品を製造しており、小ロットの生産体制を持っています。

買い手企業の概要

エバラ食品工業は、家庭用や業務用の調味料を主軸として事業展開しています。エバラビジネス・マネジメントはグループ内の経営管理を行う子会社です。
 

M&Aの背景・目的

現在、エバラ食品工業は、主軸である家庭向けの食品事業と戦略事業を進めるべく、生産体制の強化を図っています。国内の少子高齢化が進むなか、小容量製品の需要拡大が見込めるとしており、ヤマキンの子会社化を決定しました。

本M&Aによって、柔軟で効率的な生産体制を築き、 小容量製品の製造・供給体制を強化し、競争力の強化を図るとしています。

M&Aスキーム

実行時期:2022年5月
手法:株式譲渡
結果:エバラ食品工業グループがヤマキンの全株式を取得し子会社化
譲渡金額:非公開


参考:当社子会社によるヤマキン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ダスキンによる蜂屋乳業の売却

売り手企業の概要

ダスキンは、大阪府吹田市に本社を置く日本の企業です。清掃業務を中心に外食産業なども展開しており、ミスタードーナツの事業本部でもあります。蜂屋乳業は、大阪市を拠点に、主にアイスクリームなどのOEM製造を事業とする業歴50年を有する老舗企業であり、大手乳業メーカーに安定した製品供給を行っていました。

買い手企業の概要

買収側のバンリューは、兵庫県姫路市を拠点に、出資企業株式の保有管理を事業として手掛けている企業です。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、ダスキンでは、事業の選択と集中による事業ポートフォリオの適正化を進めており、食肉の加工・販売・外食を手掛ける子会社を傘下に持つバンリューと蜂屋乳業によるシナジーの獲得を図っています。

M&Aスキーム

実行時期:2021年11月
手法:株式譲渡
結果:バンリューがダスキン(蜂屋乳業)の全株式を取得。蜂屋乳業はダスキンの連結子会社から除外。
譲渡金額:譲渡企業の意向により非公表

参考:連結子会社の異動を伴う株式譲渡締結に関するお知らせ

三井物産による五洋食品産業の子会社化

売り手企業の概要

五洋食品産業は、福岡県糸島市に本社を置き、フローズンスイーツの製造販売を手掛けている企業です。

買い手企業の概要

三井物産(Mitsui & Co., Ltd.)は、日本を拠点とする大手総合商社の一つです。三井物産は世界各国に広がる事業ポートフォリオを持ち資源・エネルギー事業、食品・農業事業、化学品事業、自動車・産業機械事業、情報通信事業、不動産・不動産開発事業、金融事業の分野において活動しています。国際的なネットワークを駆使し、さまざまな業界でグローバルなビジネスを推進しています。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、買収側では、高付加価値の冷凍スイーツへの関心がアジア・太平洋市場で高まっていることなどを踏まえ、海外展開の拡大につなげると発表しています。
 

M&Aスキーム

実行時期:2021年10月
手法:TOB(株式公開買付)
結果:三井物産による五洋食品産業のTOB
譲渡金額:1株当たり買付価格:879円

参考:五洋食品産業株式会社株券(証券コード2230)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

ミツウロコグループHDによる静岡ジェイエイフーズの子会社化

売り手企業の概要

静岡ジェイエイフーズは、大手飲料メーカーからの依頼を受けて清涼飲料のOEM製造を手掛けているJA系列の企業です。

買い手企業の概要

ミツウロコグループHDは、東京都中央区に本社を置く石油製品・LPガス・固形燃料の販売などを手掛ける企業グループの持株会社です。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、買収側では、清涼飲料水の生産能力を獲得することで、清涼飲料市場へ参入し、新たな事業分野において事業規模のさらなる拡大を図ると発表しています。

M&Aスキーム

実行時期:2021年9月
手法:株式譲渡
結果:ミツウロコグループHDによる静岡ジェイエイフーズの全株式を取得し子会社化
譲渡金額:非公開

参考:静岡ジェイエイフーズ株式会社の株式取得(子会社化)及び 特定子会社の異動に関するお知らせ

DM三井製糖HDによる関門製糖の子会社化

売り手企業の概要

関門製糖は、福岡県北九州市を拠点に、砂糖およびその副産物の製造・加工、糖蜜の保管業務、食品加工技術の研究・開発・調査などを手掛けている企業です。

買い手企業の概要

買収側のDM三井製糖HDは、東京都中央区を拠点に、グループ経営管理事業・不動産事業・資産管理事業・日本国外の駐在員事務所の運営および管理に関する事業などを展開しています。

M&Aの背景・目的

日本甜菜はこれまで関門製糖に精製糖の製造を委託していますが、全保有株の譲渡後も大日本明治を通じ関門製糖への製造委託を継続すると発表しています。

M&Aスキーム

実行時期:2021年9月
手法:株式譲渡
結果:関門製糖に折半出資する日本甜菜製糖から株式50%を取得、持ち株比率を100%とし完全子会社化
譲渡金額:7億7,600万円

三光マーケティングフーズによる海商の全事業取得

売り手企業の概要

海商は、大阪市中央区を拠点に、煮魚や鮮魚など各種食料品小売業を手掛けている企業です。

買い手企業の概要

三光マーケティングフーズは、東京都新宿区を拠点に、飲食店経営・水産業などを展開しています。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、買収側では、海商が培ってきた事業の強みを生かし、飲食事業の業態および商品強化・新たな販路の開拓・沼津での水産事業とのシナジー効果を生かし、早期に事業の確立していくと発表しています。

M&Aスキーム

時期 2021年8月(実施は同年11月)
売却側 海商(民事再生手続き中の海商が新設分割し設立した新会社)
買収側 三光マーケティングフーズ
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価格 非公開


参考:株式会社海商が会社分割により設立する新会社の 株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ファーマフーズによる明治薬品の子会社化

売り手企業の概要

明治薬品は、東京都千代田区に本社を置き、医薬品・医薬部外品・医療用具・食料品(健康食品)・化粧品の製造およびその販売・輸出入、劇毒物の販売などを手掛けている企業です。

買い手企業の概要

ファーマフーズは、京都市を拠点に、機能性素材、機能性製品の開発・販売およびバイオメディカル事業、Life Science Information事業を行っています。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、買収側では、ファーマフーズの有する研究開発力・商品開発力および通信販売プラットフォームと明治薬品が有する製造・販路などの経営資源を融合させることで、収益拡大やグループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現を図っています。

M&Aスキーム

時期 2021年8月
売却側 明治薬品
買収側 ファーマフーズ
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価格 15億円〜23億円程度


参考:明治薬品株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

昭和産業によるサンエイ糖化の子会社化

売り手企業の概要

サンエイ糖化は、主力がぶどう糖であり、その他の糖化製品についても開発から製造、販売まで一貫して行っており、医療用途の厳しい品質基準をクリアする高い技術力を持つ競争力を持っています。

買い手企業の概要

昭和産業は、小麦粉、植物油、糖化製品、二次加工食品などの製造販売、配合飼料の販売のほかに倉庫業や不動産賃貸を行う会社です。

M&Aの背景・目的

国内での供給体制を強化し、生産性を向上させます。また、販売チャネル、原料調達、技術力、研究開発、マーケティングなどを統合し、事業間のシナジーを追求し、オープンイノベーションを進め、新たな価値を生み出します。

M&Aスキーム

実行時期:2020年12月
結果:昭和産業がサンエイ糖化の全株式を取得し子会社化
手法:株式譲渡
譲渡金額:150億円

参考:サンエイ糖化株式会社の株式取得(子会社化)

不二製油グループ本社によるトーラクの売却

売り手企業の概要

トーラクは、不二製油グループ本社の100%子会社でした。不二製油グループ本社はグループとして、乳化・発酵素材、植物性油脂や業務用チョコレート、大豆加工素材などの開発・生産・販売事業を行っています。食品会社のトーラクは、「神戸プリン」「らくらくホイップ」など知名度が高い代表的商品を持つ会社です。

買い手企業の概要

丸大食品は、食肉加工品であるハム・ソーセージなどや、各種惣菜類を製造・販売する大手食品メーカーとして知られています。

M&Aの背景・目的

不二製油グループ本社は、この子会社売却(譲渡)によりトーラクのさらなる発展を鑑み、コアコンピタンス追及の一環として決断しました。

丸大食品は、現事業のデザート部門でさらなる収益向上を目指すうえで、トーラクの商品力・企画開発力・販売力は大きなシナジーが得られると判断しています。

M&Aスキーム

時期 2020年7月
売却側 トーラク(不二製油グループ本社)
買収側 丸大食品
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 12億円

フジッコによるフーズパレットの買収

売り手企業の概要

フーズパレットは、中華総菜を百貨店を中心に提供し、「四陸(フォールー)」と「チャイナチューボー」のブランドで親しまれている会社です。

買い手企業の概要

フジッコは、知名度のあるふじっ子やおまめさんを手掛けるだけでなく、健康食品の素材なども販売する会社です。フーズパレットは、四陸(フォールー)やチャイナチューボーなどのブランドで中華惣菜を販売しています。

M&Aの背景・目的

この買収により、フーズパレットのブランド力・商品力と、フジッコのマーケティング力・販売力が融合して事業が広がることを狙っています。

M&Aスキーム

時期 2019年8月
売却側 フーズパレット
買収側 フジッコ
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 不明

参考:株式会社フーズパレットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

亀田製菓によるマイセンの買収

売り手企業の概要

マイセンとその子会社、マイセンファインフードは、玄米を主食とする事業からスタートしました。現在は、アレルギー特定原材料を使用しない工場を保有し、健康と美味しさを結びつけた製品、例えば玄米パンやベジタリアンミートを製造・販売しています。

買い手企業の概要

亀田製菓は知名度のある柿の種やハッピーターンなどの米菓を製造販売し、売却側のマイセンは玄米パンやベジタリアンミートなどグルテンフリー食品の製造や販売を手掛けています。
 

M&Aの背景・目的

亀田製菓は、健康志向食品の需要が近年高まっていることから米菓以外の食品事業を強めるために、この買収を実施しました。玄米などを用いた新しい商品開発を促進し、両社で販路や製造ノウハウなどを共有する狙いです。

M&Aスキーム

時期 2019年2月
売却側 マイセン
買収側 亀田製菓
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 不明

参考:株式会社マイセンの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

エア・ウォーターによる元気の買収

売り手企業の概要

エア・ウォーターは、農業・食品事業、産業ガス事業、医療関連事業などさまざまな事業を手掛けています。農業・食品事業では、農産物を栽培して調達し、食品を製造して販売するまで一貫して行っている会社です。

買い手企業の概要

元気は、日本初の黒にんにくを製造した会社で、青森産にんにくを原料に独自製法で「熟成黒にんにく」を製造販売しています。

M&Aの背景・目的

この買収でエア・ウォーターは、元気とのシナジー効果を狙い、青森産にんにくの調達力を高めて新しく健康食品分野の商品を持つことを見込んでいます。

M&Aスキーム

時期 2019年2月
売却側 元気
買収側 エア・ウォーター
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 不明

参考:株式会社元気の株式取得について ~青森県産にんにくの調達力を強化します~

純和食品によるヨシムラ・フード・ホールディングスへの売却

売り手企業の概要

純和食品は、1977(昭和52)年の設立以来、ゼリーなどのデザート類やレトルト食品などを製造し、販売してきました。イオングループをはじめとした大手スーパー量販店などのOEM生産を手掛け、外食産業や贈答品市場にも強みがあります。

買い手企業の概要

ヨシムラ・フード・ホールディングスは、食品の製造や販売をする中小企業の支援と活性化を目的とした会社です。経営戦略の立案や実行、経営管理などをメインに活動しています。

M&Aの背景・目的

ヨシムラ・フード・ホールディングスは、本件買収以前にも、事業承継問題や単独での成長に限界を感じている全国の中小食品企業に対し、独自の「中小企業支援プラットフォーム」を提供して問題を解決してきました。

純和食品は特に経営難ではありませんでしたが、ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となることで経営基盤の強化と経営の効率化を図る見込みです。

ヨシムラ・フード・ホールディングスは、純和食品が得意とする商品企画・開発・品質管理ノウハウを、自社の「中小企業支援プラットフォーム」に取り入れることで、強固な事業基盤の確立をもくろんでいます。

M&Aスキーム

時期 2016年7月
売却側 純和食品
買収側 ヨシムラ・フード・ホールディングス
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 4億5,500万円

東ハトによる山崎製パンへの売却

売り手企業の概要

東ハトは1952(昭和27)年創業の製菓大手ですが、バブル期に関連会社が手掛けたゴルフ場事業が失敗し、2003(平成15)年に民事再生法の適用を申請し倒産しています。

買い手企業の概要

買収側の山崎製パンは1948(昭和23)年の創業で、菓子パン製造会社で最大手です。

M&Aの背景・目的

東ハトは一度倒産したものの、本業の食品事業は黒字経営で、倒産の原因となった不動産事業は他社の支援を受ける形で分離していました。その最中でヒット商品開発に乗り出し、再建に取り組んでいたのです。この過程で、現在も続くヒット商品も生まれています。

山崎製パンも製菓事業を行っていましたが、東ハトが持つ製品のブランドを得ることで、新しい経営基盤を目的に買収しました。これにより、東ハトは倒産を乗り越え大手の傘下に入り、山崎製パンはブランド力もシェアもある製菓事業を手に入れることに成功しています。

M&Aスキーム

時期 2006年7月
売却側 東ハト
買収側 山崎製パン
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 182億円

 

8. 異業種による食品業界のM&A事例7選

異業種による食品業界のM&A事例を解説します。

三井物産によるオランダ・機能性食品素材製造との株式譲渡

売り手企業の概要

Nutrinovaはアセスルファムカリウム(高甘味度甘味料)とソルビン酸・ソルビン酸カリウム(保存料)の製造・販売を行う企業です。アセスルファムカリウムは高い甘味度を持ち、糖質を削減した製品に利用されます。ソルビン酸・ソルビン酸カリウムは食品・飲料の保存期限延長に貢献し、フードロスを減少させます。Nutrinovaはこれらの製品を高品質で世界の大手飲料・食品メーカーなどに供給しています。

買い手企業の概要

三井物産(Mitsui & Co., Ltd.)は、日本を拠点とする大手総合商社の一つです。三井物産は世界各国に広がる事業ポートフォリオを持ち資源・エネルギー事業、食品・農業事業、化学品事業、自動車・産業機械事業、情報通信事業、不動産・不動産開発事業、金融事業の分野において活動しています。国際的なネットワークを駆使し、さまざまな業界でグローバルなビジネスを推進しています。

M&Aの背景・目的

三井物産は中期経営計画2026で、Wellness Ecosystem Creationを攻め筋の一つとして位置づけ、医療、未病・予防、健康に関連する食品提供を通じて、消費者のライフスタイル向上に貢献します。この株式取得により、食と健康を結びつけ、人々の豊かで輝く人生をサポートします。

M&Aスキーム

実行時期:2023年6月
手法:株式譲渡
結果:三井物産がNutrinovaの株式を70%を取得
譲渡金額:非開示

参考:機能性食品素材事業の株式取得

ニイカタによるバイオバンクの子会社化

売り手企業の概要

バイオバンクは、岡山市に本社を構え、乳酸菌発酵製品の製造・販売を行う企業です。植物原料を乳酸菌で発酵させたエキスを製造し、それを用いた健康食品や化粧品などを、国内と海外約30カ国に提供しています。

買い手企業の概要

ニイタカは業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・漂白剤の製造販売、固形燃料の製造販売、食品添加物(殺菌料)の製造販売、医薬部外品の製造販売、衛生管理支援サービス等の提供、化粧品原料の製造を行う会社です。

M&Aの背景・目的

ニイタカは新型コロナウイルス感染症に対応し、ウイルス対策製品を拡充して衛生的な環境を提供してきました。今回の子会社化により、さらなる健康支援事業展開が期待され、当社の業容拡大と企業価値向上に寄与すると判断しました。

M&Aスキーム

実行時期:2023年3月
手法:株式譲渡
結果:ニイカタによるバイオバンクの株式の90%取得
譲渡(増資)金額:不明

参考:子会社の異動を伴う株式取得

不二製油と通販サイト運営cottaの資本業務提携

企業の概要

cottaは日本最大級の製菓製パン材料のECサイトを運営しています。会員数は170万人、月間アクセス数は約3,500万PV、SNS総フォロワーは100万人に達し、商品、レシピ、コラムなど充実のコンテンツを提供しています。さらに、著名なパティシエやお菓子研究家、インスタグラマーを活用し、幅広い層に独自の情報を提供しています。

企業の概要

不二製油は、植物性油脂や業務用チョコレート、大豆加工素材などを製造する企業です。一方のcottaは、約3万点もの商品を販売するほか、有名パティシエやインスタグラマーを起用したレシピやコンテンツ配信が人気となっています。

M&Aの背景・目的

両社は、業務用素材を主軸とする不二製油とcottaの情報発信力を組み合わせることで、新製品開発につなげていく考えです。

M&Aスキーム

実行時期:2022年5月
手法:資本業務提携
結果:不二製油とcottaが戦略的パートナーとして資本参加
譲渡(増資)金額:不明

参考:国内No.1製菓製パンのECサイトcottaと資本業務提携を締結

味の素とおいしい健康の資本業務提携

企業の概要

おいしい健康社は、2016年にクックパッド株式会社から独立し、「誰もがいつまでもおいしく食べられる社会の実現」を掲げ、健常者や生活習慣病患者など、さまざまな人々の食習慣に関する課題に対応しています。管理栄養士によるエビデンスに基づいたレシピ開発やAIによるレシピ・献立提案アプリなどのデジタルサービスを提供し、医療機関や薬局、製薬会社と連携した患者支援や食品企業の健康領域事業を展開しています。健康に関するさまざまな事業を通じて、人々の健康をサポートしています。

企業の概要


味の素株式会社(Ajinomoto Co., Inc.)は、日本を拠点とする大手食品会社です。主要な事業として、食品及び調味料の製造・販売、食品サービス事業、バイオテクノロジー事業などがあります。

M&Aの背景・目的

本提携は、双方の技術やアセットを活かしたヘルスケアと食に関する分野のイノベーション推進が目的です。今後は、ヘルスケアと食に関するプラットフォームの構築やエビデンスの拡充・高度化、デジタル技術による新しい食体験サービスなどを展開していくとしています。

M&Aスキーム

実行時期:2022年1月
手法:資本業務提携
結果:味の素とおいしい健康の資本業務提携
譲渡(増資)金額:不明
 


参考:味の素㈱、健康課題別の献立とレシピで健康な食生活を提供する ㈱おいしい健康に出資

小林製薬による梅丹本舗の買収

売り手企業の概要


梅丹本舗は、90年以上の歴史を持つ老舗の梅専門メーカーで、「梅丹」「古式梅肉エキス」といった主力ブランドで梅関連製品を提供しています。

買い手企業の概要

小林製薬は、知名度のある熱さまシートなどの商品を持ち、医薬品や医薬部外品を製造販売しています。梅丹本舗は、健康食品を販売する創業94年の老舗メーカーです。

M&Aの背景・目的

健康食品事業にも注力する小林製薬は、本件買収により、健康食品事業をより強めることを狙っています。小林製薬が持つマーケティング力・販売力・研究開発力を活用して、売上を高める予定です。

M&Aスキーム

実行時期:2019年5月
手法:株式譲渡
結果:小林製薬が梅丹本舗の全株式を取得し子会社化
譲渡金額:不明

参考:株式会社梅めい丹たん本舗の株式の譲り受けに関するお知らせ

塩野義製薬による宝ヘルスケアの吸収合併・タカラバイオの健康食品事業の承継

売り手企業の概要

塩野義製薬は医薬品を手掛ける会社で、子会社のシオノギヘルスケアは主に一般用医薬品のヘルスケア事業を行っています。

買い手企業の概要

宝ホールディングスの子会社であるタカラバイオと宝ヘルスケアは健康成分のフコイダンを含んだ商品の開発や販売を手掛けています。

M&Aの背景・目的

シオノギヘルスケアは、さらに将来加速するであろう超高齢社会へ向けて、シニア層の健康増進をサポートする事業を強めています。宝ヘルスケアのフコイダンを含む健康商品はシニア層に人気があるため、高齢者に対する健康食品事業を強めるために、本件M&Aを行いました。
 

M&Aスキーム

時期 2019年1月
売却側 宝ヘルスケア・タカラバイオ
買収側 塩野義製薬の子会社シオノギヘルスケア
M&Aスキーム 吸収合併・事業承継
譲渡価額 不明

参考:シオノギヘルスケアによる宝ヘルスケアの株式取得と吸収合併ならびに タカラバイオの健康食品事業承継について

ユーグレナによるフックの買収

売り手企業の概要

フックは自社ECサイトを通じ、天然・自然由来の素材を用いた健康食品などの販売を手掛けています。

買い手企業の概要

ユーグレナは、社名でもあるユーグレナなど微細藻類の研究開発やユーグレナを生かした食品などの製造販売を手掛ける会社です。

M&Aの背景・目的

今回の子会社化により、ユーグレナは、フックの主な顧客層である20代から30代の女性に販路を広げる予定です。ユーグレナのマーケティング力・商品開発力・資金力とフックのブランド力を融合して、ヘルスケア事業をさらに拡大することも見込んでいます。

ユーグレナは、2016年12月に機能性食品を販売するクロレラサプライを買収しました。ユーグレナは、M&Aでの事業拡大に力を注いでいます。

M&Aスキーム

時期 2018年4月
売却側 フック
買収側 ユーグレナ
M&Aスキーム 簡易株式交換
譲渡価額 約18億円


参考:株式取得及び簡易株式交換による株式会社フックの完全子会社化に関するお知らせ

9. 食品業界のクロスボーダーM&A事例6選

食品業界のクロスボーダーM&Aから、5事例を解説します。

宝ホールディングスによるカナダの清酒製造を子会社化

売り手企業の概要

オンタリオ社は、清酒(泉/Izumi)など、従来の和酒の領域にとらわれない、清酒をベースとしたカクテル(以下「Sake カクテル」)の製造・販売事業を展開しています。

買い手企業の概要

宝ホールディングスは京都・伏見で設立し、酒造業をはじめ海外日本食材卸やバイオ事業にも取り組み、今後も宝グループ全体で新たな価値を生み出す会社です。

M&Aの背景・目的

宝酒造インターナショナルは、国内外のグループ会社と連携し、「グローバル和酒・日本食材No.1企業」を目指し、事業基盤の強化に注力しています。

オンタリオ社の連結子会社化により、カナダ市場への初進出を果たし、和酒製造・販売拠点を設立します。これにより、海外日本食材卸事業を含むグローバルネットワークを拡充し、世界の日本食市場に対応します。また、健康志向や和酒の国際的な人気に着目し、伝統的な清酒にとどまらず、現地の需要に合わせた「イノベーティブなSAKE」の開発も強化します。

M&Aスキーム

実行時期:2019年5月
手法:株式譲渡
結果:宝ホールディングスによるカナダの清酒製造Ontario Limitedの株式80%取得し、連結子会社化
譲渡金額:不明

参考:Ontario Limitedの株式取得

森永乳業による米国Turtle Island Foods, Holdings, Inc.社の子会社化

売り手企業の概要

Turtle Island Foods社は米国を中心に、大豆原料を主とした PBF の製造・販売事業を 展開しています。

買い手企業の概要

森永乳業グループは1978 年より、日本から米国に向け当社独自のロングライフ製法により常温保存可 能な豆腐の輸出販売を開始し、40 年以上にわたり米国で豆腐事業を行ってきました。

M&Aの背景・目的

両立を目指す方向性の合致、全米で認知度の高い Tofurky(トーファーキー)ブランドを保有しており、全米へ販売チャネル網を保有している点からも、将来の成長へ向けた相乗効果の高い有望な企業と考えいます。

本M&Aによって、森永乳業は米国市場において PBF 事業の更なる拡大を目指すとしています。

M&Aスキーム

時期 2023年2月
売却側 Turtle Island Foods, Holdings, Inc.
買収側 森永乳業株
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価格 1240万USD


参考:米国 Turtle Island Foods, Holdings, Inc.の買収(子会社化)に関するお知らせ

味の素によるモア・ザン・グルメ・ホールディングス社の買収

売り手企業の概要

モア・ザン・グルメ・ホールディングスは、だし汁のブロス・ソースなど液体調味料事業を手掛け、アメリカに住む人の嗜好などに合わせた高価格帯の調味料が強みです。

買い手企業の概要

味の素は、日本で最大手の調味料メーカーです。味の素などさまざまな調味料や加工食品を販売しています。

M&Aの背景・目的

本件買収により、味の素は自社の素材や調味料を組み合わせて、モア・ザン・グルメ・ホールディングスの加工食品メーカーや外食企業とのつながりを生かし、北米市場での販路を広げることを狙っています。
 

M&Aスキーム

時期 2019年8月
売却側 モア・ザン・グルメ・ホールディングス
買収側 味の素
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 約38億円

参考:味の素クループ、北米市場における「おいしさソリューション事業」を強化

アサヒグループHDによるFULLER, SMITH & TURNER P.L.C.社のビール・サイダー事業取得

売り手企業の概要

FULLER, SMITH & TURNER P.L.C.は、主にロンドンでよく知られているビールブランドの「London Pride」「Frontier」、サイダーブランドの「Cornish gold cider」などを持ちます。

買い手企業の概要

アサヒグループホールディングスは、ビール業界で日本トップの市場シェアを占め、スーパードライなどのブランドが有名です。

M&Aの背景・目的

本件M&Aにより、アサヒグループホールディングスは、Fuller’s社の海外ブランドを得て、高級ビールのブランドをベースとした欧州事業を強める予定です。Fuller’s社は主にロンドンに複数のパブやホテルを持つため、アサヒグループのブランド販路を広げることも狙っています。

M&Aスキーム

時期 2019年4月
売却側 FULLER, SMITH & TURNER P.L.C.のビール・サイダー事業
買収側 アサヒグループホールディングス
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 約370億円

参考:英国 Fuller, Smith & Turner P.L.C.社のビール・サイダー事業買収手続き完了に関するお知らせ

不二製油によるBLOMMER CHOCOLATE COMPANY社の買収

売り手企業の概要

BLOMMER CHOCOLATE COMPANYは、業務用チョコレート業界で世界第3位で、主に北米でチョコレートやココア豆を販売しています。

買い手企業の概要

植物用油脂、業務用チョコレートや乳化・発酵素材、大豆加工素材の事業を手掛ける不二製油は、業務用チョコレート業界で世界第4位です。

M&Aの背景・目的

不二製油は、以前にもブラジルやマレーシア、オーストラリアといった業務用チョコレートメーカーとM&Aを実施し、業務用チョコレート事業を広げました。

今回の買収で、不二製油は、世界第3位の業務用チョコレートメーカーになります。売上高も約800億円から約1,800億円に上昇する予定です。

不二製油は、自社の油脂技術をBlommer社に導入し、原料調達を一本化してチョコレート事業をより強める見込みです。Blommer社の販売網を生かして、北米での販売を広げることを狙っています。

M&Aスキーム

時期 2019年1月
売却側 BLOMMER CHOCOLATE COMPANY
買収側 不二製油
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 約848億円

参考:米国 Blommer Chocolate Company 社の株式取得(子会社化)手続き完了のお知らせ

山崎製パンによるBAKEWISE BRANDES社の買収

売り手企業の概要

akewise社は高品質で付加価値の高いベーグルを製造・販売し、Tom Cat Bakery,Inc.(Tom Cat社)はマンハッタンの著名レストランや高級ホテルなどに高級アルチザン・ブレッドを提供しています。

買い手企業の概要

山崎製パンは、食パンや菓子パン、和菓子などを販売する会社です。Bakewise Brandesは、ベーグルを製造してニューヨークなど主にアメリカ東部の量販店で販売しています。手作りに近い食感のパンを作り、ホテルやレストランへ販売するTom Cat Bakery社が子会社です。

M&Aの背景・目的

本件買収により、山崎製パンは、アメリカで事業規模を広げることを狙っています。両社の製パン技術を日本での商品開発に活用することも見込んでいます。

M&Aスキーム

時期 2016年7月
売却側 Bakewise Brandes
買収側 山崎製パン
M&Aスキーム 株式譲渡
譲渡価額 不明

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10. 食品製造業界のM&Aまとめ

食料品製造業の市場規模は、少子高齢化の影響で縮小傾向にあります。また、コロナ禍の影響で業務用食品の需要は大きく減少し、その一方で家庭用食品の需要は増加しましたが高止まりの状況です。

そのような状況で、競争力や経営基盤の強化を目的とするM&Aが増えており、同業種間だけでなく異業種による買収なども多くみられるようになりました。

食品製造業界では今後もM&Aが活発に行われると考えられます。M&Aを検討している場合は、実施タイミングを逃さないよう早い段階から準備しておくとよいでしょう。

11. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧

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