CRO・SMO業界のM&A・買収・売却の現状は?動向やメリットから事例まで解説!

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

本記事では、CRO・SMO業界のM&Aによる買収や売却について解説します。CRO・SMO業界では、M&Aによる買収や売却が数多く存在します。CRO・SMO業界におけるM&Aの事例は、規模が大きなケースが多いのも特徴です。M&Aを検討中の方は必見です。

目次

  1. CRO・SMO業界について
  2. CRO・SMO業界のM&Aの動向
  3. CRO・SMO業界のM&Aを行うメリット
  4. CRO・SMO業界のM&Aの4つの手法
  5. CRO・SMO業界のM&Aの相場
  6. CRO・SMO業界のM&Aを成功させるポイント
  7. CRO・SMO業界のM&Aの成功事例
  8. CRO・SMO業界と関連する製薬業界のM&A
  9. CRO・SMO業界M&Aのまとめ
  • SMOのM&A・事業承継

1. CRO・SMO業界について

CRO・SMO業界では、M&Aによる買収や譲渡が活発に行われています。CRO・SMO業界のM&Aは、大型の事例が多いのも特徴です。

CROとは

CROとは、どういった業種なのでしょうか。CROは「Contract Research Organization」の略称で、日本語でいう「医薬品開発業務受託機関」を表しています。

CROの歴史はそれほど古くありません。CROが企業として見られるようになったのは1990年代頃です。その後は、製薬会社などの売り上げ拡大に引っ張られる形で業務の増加や企業間競争が激しくなっています。

CROにはCRAと呼ばれる臨床開発モニターが在籍するのも特徴です。CROの主な業務内容は、臨床試験などを行いながらの医療品開発で、発注元は主に製薬会社などになります。

SMOとは

一方、SMOとはどういった業種なのでしょうか。SMOは「Site Management Organization」の略称で、日本語で「治験施設支援機関」です。

CROにはCRCと呼ばれる治験コーディネーターが在籍します。CROの主な業務内容は、医師や看護師など医療にかかわる業務の支援です。支援の範囲は事務にまでおよび、発注元は主に医療機関となります。

CRO・SMO業界の現状

医療品のスペシャリストといわれているCRO・SMO業界ですが、業界の動向はどのような傾向があるのでしょうか。以下の一覧を解説します。
 

  • 製薬会社からの業務委託
  • 売上は増加傾向
  • 今後は発展・競争の激化が予想される

製薬会社からの業務委託

CRO・SMO業界、特にCRO業界では、製薬会社からの業務委託が主な事業です。製薬会社は新薬の開発に力を入れるところも多く、新薬開発には大きな投資が行われています。そうした多くの資金がCRO・SMO業界に流入している状況です。

政府などの働きかけによりジェネリック医薬品の需要が拡大しています。ジェネリック医薬品の拡大は、CRO・SMO業界にも恩恵をもたらしています

売上は増加傾向

医療分野は現在も日進月歩で成長を続けています。少子高齢化により医療にかかわる消費が増加している状況です。医療分野の成長は著しく需要の増加が大きく見込まれ、CRO・SMO業界でも売り上げは増加するといえるでしょう。

今後は発展・競争の激化が予想される

メディサーチの「業界情報 CRO・SMOとは?」によると、日本国内にCROは30社程度、SMOは40社程度存在します。他産業から見るとこの社数は非常に少ない企業数です。

この企業数で国内の医療機関による仕事を全てまかない、また、他産業が参入する可能性もあるので、CRO・SMO業界の今後は発展とともに競争の激化が予想される状況です。

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2. CRO・SMO業界のM&Aの動向

この章では、CRO・SMO業界のM&Aにおける動向を一覧にして紹介します。CRO・SMO業界のM&Aは大型で、買収価格が高いものも少なくありません。

エムスリーによる買収

CRO・SMO業界のM&Aにおいて忘れてはいけないのがエムスリー社です。エムスリーは2000年に創業してかわずか4年間でマザーズに上場を果たしています。創業から7年後の2007年に東証一部に上場するなど目覚ましい成長を遂げている企業です。

インターネットなどで医療事業に変革をもたらし経営基盤を盤石にしたエムスリーは、M&Aによる事業買収を繰り返して売り上げが増大し、CRO・SMO業界で上位クラスの企業へと成長を遂げました。

エムスリーのM&Aは海外を中心とした動きが多く、大型事業の買収が行われるなどの動向が見られ、買収価格も大型化しています。

買収や合併により業界再編は進む傾向

エムスリーだけではなく、CRO・SMO業界などを取り巻く医療業界では、買収による合併などが活発に行われている傾向があります。中には世界的に有名な製薬会社同士のM&Aが行われるなど、その動向は活発となる一方です。

こうした動向から、業界の再編は今後も進むと見られます。事業価格が伸びている今だからこそ、今後のCRO・SMO業界におけるM&Aも活発になるといえるでしょう。

大手は海外へのM&Aを進める

大手のCRO・SMO業界は国内での需要を確保しながら、さらなるマーケットの拡大を目指し海外に進出し始めています。海外でのシェア拡大は企業価格を上げると同時に、売り上げの価格を一気に伸ばす可能性を秘めているからです。

今後もCRO・SMO業界における海外へのM&Aであるin-outの動向は多くなると予想され、国内のみならず海外も巻き込んだ大型なM&Aや大きな価格が動くM&Aが数多く見られるでしょう。

クロスボーダーM&Aの成功要因・メリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】クロスボーダーM&Aの成功要因・メリットを解説!件数も紹介!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. CRO・SMO業界のM&Aを行うメリット

ここまでCRO・SMO業界の動向や現状を簡単に解説しました。CRO・SMO業界はM&Aが多く見られます。それでは、M&Aにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、売却側と買収側それぞれのメリットを紹介します。

売却側のメリット

CRO・SMO業界でM&Aにより事業譲渡を行うと、売却側にどういったメリットをもたらす可能性があるのでしょうか。一般的に考えられるメリットの中で、以下を見ていきます。
 

  • 会社・研究所の存続
  • 大手による売却で海外が視野に
  • 後継者問題の解決
  • 研究者・従業員の雇用維持
  • 負債や保証などからの解放
  • M&Aによる売却益を得る

会社・研究所の存続

会社を継続させることは、経営者の大きな課題です。CRO・SMO業界でも、会社や研究所を存続させる意味があります。経営が困難な場合は、事業譲渡により会社再建の舵取り(かじとり)が可能です。

大手による売却で海外が視野に

CRO・SMO業界のM&Aにおける売却側のメリットに、大手とM&Aで事業譲渡を行えた場合、事業提携などが行われ販路が拡大する可能性があります。

国内シェアのみであった状況を海外までシェアを広げられる可能性もあるなど、自社だけではたどり着けなかった地域へ、販路を拡大できるでしょう。

後継者問題の解決

昨今の担い手不足は深刻な状況です。少子高齢化の時代的動向や人材不足など、後継者問題に対して会社が抱える問題はいろいろあり、後継者問題における対応の一つにM&Aによる事業譲渡で事業承継を行う事例も数多く見られます。

他の業界と同様に、CRO・SMO業界も後継者問題の解決方法としてM&Aを取り入れる事例があるのです。買収側の経営陣が売却側の事業に参画し、後継者問題に対応しているケースも見られます。

研究者・従業員の雇用維持

M&Aの事業譲渡による売却側のメリットに、研究者や従業員の雇用維持があります。経営が不安定であれば雇用の継続が難しくなるでしょう。そこでM&Aを活用し、事業譲渡を行うことで事業を継続させ、雇用を維持するでしょう。

負債や保証などからの解放

M&Aによる事業譲渡が行われると、売却側の売却対象となった事業や資産は全て買収側の企業に引き継がれるのが一般的です。それは負債や保障などの分野までおよぶので、経営者は事業を譲渡し、負債や保証から解放されるメリットが考えられます。

M&Aによる売却益を得る

M&Aにより事業を譲渡し、対価として現金などの売却益を売却側は得られます。売却益はそのまま法人の収入となるため、新たな事業への投資や得意分野への資産増額など、さらなる経営基盤強化の資金にも活用できるでしょう。

買収側のメリット

CRO・SMO業界のM&Aで、買収側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。一般的なメリットの中から、以下に焦点をあてて解説します。
 

  • 有能な研究者の確保
  • 新規顧客・新規取引先の獲得
  • 低コストでの設備投資
  • 新規事業への参入
  • 経営基盤の充実による事業拡大
  • 外注コストの削減
  • 買収先のブランド力を活用

有能な研究者の確保

買収側の目的に、有能な研究者の確保があります。研究者の育成はCRO・SMO業界で重要な課題です。しかし、有能な研究者を育て上げるには多くのコストと時間がかかります。

M&Aにより事業を買収すれば、人材を育てるコストと時間を大幅に節約できる可能性があり、自社では保有していなかったノウハウを持つ研究者を確保できる可能性もメリットです。

新規顧客・新規取引先の獲得

M&Aによる事業譲渡は販路拡大のメリットをもたらします。特に自社が得意としないエリアの企業を買収すると、新規の顧客や新規取引先を一気に獲得できるでしょう。

低コストでの設備投資

CRO・SMO業界の設備は非常に高額なものが多いです。中には機材として希少価値があるものもあります。M&Aを行えば、購入やリースでまかなうよりも低コストで獲得できるでしょう。

新規事業への参入

増益を目指している場合、事業の拡大は重要な要素です。M&Aにより事業を買収し、新規事業への進出をスムーズに行える可能性があります。自社にはないノウハウを買収した企業が保有していた場合は、新分野で非常に大きな財産になります。

経営基盤の充実による事業拡大

事業を買収すると、経営基盤が充実する可能性があります。経営基盤が充実すれば事業拡大のチャンスです。大きな事業展開を図る前にM&Aを行い、経営基盤の構築を図る方法もあります。

外注コストの削減

自社ではまかなえない技術や人員的な問題で外注に発注していた業務を、自社で行える可能性があります。自社で開発などを行えれば大きなコスト削減です。

買収先のブランド力を活用

買収先が業界でメジャーなブランドを抱えていた場合、ブランド力を獲得できます。M&A事例の中には、ブランドの獲得を目指して買収を行う事例が数多く存在するでしょう。ブランドを手に入れれば、その後における事業展開の大きなメリットになります。

  • SMOのM&A・事業承継

4. CRO・SMO業界のM&Aの4つの手法

CRO・SMO業界におけるM&Aの手法は、どのような内容が多いのでしょうか。以下について簡単に解説します。
 

  1. 株式譲渡による完全子会社化
  2. 株式交換による完全子会社化
  3. 会社分割による組織再編
  4. 合併や業務提携

①株式譲渡による完全子会社化

まず、CRO・SMO業界におけるM&Aの手法として見られるのは、株式譲渡による完全子会社化です。完全子会社化を行うと、事業の全てを把握できます。株式譲渡では、買収企業は現金を準備する必要があります。

②株式交換による完全子会社化

完全子会社化における他の手段に、株式交換による手続きが存在します。株式交換により買収する側が売却側の株式を100%保有し、子会社化する手法です。この場合、買収側の企業は現金を調達する必要がありません。

株式譲渡と株式交換の違い

株式譲渡と株式交換の違いは資金を調達する方法です。株式譲渡は現金が必要になるため、買収価格が増大すると困難な場合があります。一方、株式交換であれば現金を調達する必要性がなく、買収価格が増大しても株式で補える場合がほとんどです。

③会社分割による組織再編

売却側の一部事業を分社化して、その事業を買収して引き渡す方法があります。この手法であれば、買収側も売却側も組織の再編を行えるメリットがあるでしょう。

特に売却側はM&Aの対価として多くの現金を手にしている場合もあり、そうした場合は事業の再編に資金を充当できます。

④合併や業務提携

CRO・SMO業界がM&Aを行う手法に、合併や業務提携があります。合併や業務提携によるメリットは、それぞれの会社における独自性を生かしながらシナジー効果が期待できる点です。

吸収合併の場合は、吸収された企業は消滅しますが、それに伴う資産は引き継がれます。業務提携の場合は、ノウハウや技術者の交流が盛んになると企業の価格も上がり、大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。

買収後に統合するケースも

エムスリーが行ったM&Aのように、買収により一度子会社化を行った後に、吸収合併などで統合を行うケースもあります。どの手法でも、シェアの拡大やノウハウの吸収が可能です。

5. CRO・SMO業界のM&Aの相場

CRO・SMO業界におけるM&Aの相場ですが、結論からいうと決まった相場はありません。ただし、CRO・SMO業界におけるM&Aの動向を見ると、他業界より売却価格が高値に設定される場合が多く、相場価格が高く設定されている状況です。

業界内で動く資金額の大きさや、今後、業界が発展する動向を多いに秘めていることから、相場価格が高騰していると見られます。

6. CRO・SMO業界のM&Aを成功させるポイント

この章では、CRO・SMO業界のM&Aを成功させるポイントを見ていきましょう。

IoT技術などを十分に活用している

近年の製薬業界は、IoTで得たデータを活用した臨床研究が行われ、新薬開発にAIを用いる研究も進んでいます。これからは、量子コンピューターによる医薬品の開発速度が加速するでしょう。

CRO・SMO企業に最先端のIT対応が求められるのは必然です。ITを上手に活用しているCRO・SMO企業は、M&Aが円滑に進むといえます。

優秀な研究員を抱えている

CRO・SMO業界では、人材が重要な資産です。優秀な人材の所属人数が注目されます。人材不足は慢性的なので、優秀な人材を有すると他社との差別化になり、M&Aを成功させる確率が高まるでしょう。

海外とのネットワークを持っている

世界中のCRO・SMO企業は、治験環境が国際化したため、治験体制の強化を促進している状況です。それに伴い、日本の大手CRO・SMO企業は、急いで海外企業との協力体制を強めています。すでに海外ルートを有する企業は、M&Aにおいて優位となるでしょう。

M&Aを行う目的・計画を明確に持っている

CRO・SMO業界では、さまざまな目的や計画によりM&Aが行われています。大手CRO・SMO企業による中小CRO・SMO企業の集約化、CRO・SMO企業とIT企業の提携など、M&Aが活発化している状況です。

M&Aを行う目的を明確にし計画的に準備を行えば、M&Aのメリットを最大化できM&Aの成功へとつながります。

CRO・SMO業界に強いM&A仲介会社に依頼する

CRO・SMO業界や医療業界、ITに詳しいM&A専門家のサポートを受けることも、CRO・SMO業界のM&Aを成功させるポイントです。CRO・SMO業界に精通したM&A仲介会社に依頼すれば、独自の情報やネットワークを活用できます。

7. CRO・SMO業界のM&Aの成功事例

この章では、CRO・SMO業界におけるM&Aの事例を見ていきましょう。

CROのM&A事例

まずは、CROのM&A事例です。

アイロムグループによるIBERICAのM&A

アイロムグループの子会社であるアイクロスは、2019年11月、福岡市に拠点のあるイベリカASIAの完全子会社でIBERICAの全株式を取得しました。

アイロムグループは、主に医師や企業主導治験、臨床研究、モニタリング業務の支援を実施しています。IBERICAは親会社イベリカASIAの全事業を新設分割によって承継した子会社です。開発支援や大学との連携により高度な専門的な支援を行っています。

今回のM&Aにより、CRO事業の拡大を目指し、SMO事業や先端医療事業と連携し開発支援体制において専門性の高い構築を作る見込みです。

EPSホールディングスによるACメディカルのM&A

2019年2月、CRO・CSO企業のACメディカルは、CRO・SMO・CSO事業などを展開するEPSホールディングスの子会社となりました。株式譲渡のスキームを用いています。

これにより、EPSホールディングスは、顧客基盤を広げて人材を補強する見込みです。技術ノウハウの共有によって、新薬開発の推進を狙っています。

エムスリーによるPRI社のM&A

M&Aによる事業拡大を展開しているエムスリーは、2018年9月にアメリカのカリフォルニアで事業を展開しているPRI社の全事業を買収しました。PRI社は治療施設を3つ抱えている医療機関です。特に新薬の分野において評判で、患者は5万人を超えます。

このM&Aは、エムスリーがアメリカの自社販路におけるネットワークの拠点を確保し、海外展開を目指した事例です。

WDBホールディングスによるDZS社のM&A

2018年8月、アメリカのDZS Software Solutions, Inc.は、WDBホールディングスのアメリカにある小会社へ株式を売却し、WDBホールディングスの孫会社となりました。WDBホールディングスとDZS社は、ともにCRO企業です。

これにより、WDBホールディングスは、アメリカにおけるCRO事業の拡大を促進します。

JSRによるCrown社のM&A

2018年5月、Crown Bioscience Internationalは、JSRの子会社となりました。Crown Bioscience Internationalは英国領ケイマン諸島のCRO企業で、JSRは医薬品の基礎研究・診断薬開発などを手掛ける会社です。

これにより、JSRは、ライフサイエンス事業の範囲を広げて製薬業界へのシームレスな価値提供を見込みます。

WDBホールディングスによるコーブリッジのM&A

2017年6月、コーブリッジは、WDBホールディングスの子会社となりました。株式譲渡のスキームが用いられています。コーブリッジは、医療機器や医薬品の承認・申請支援業務などを手掛ける会社で、WDBホールディングスはCRO企業です。

これにより、WDBホールディングスは、CRO事業をより強化する見込みです。

WDBホールディングスによるOy Medfiles社のM&A

2017年3月、Oy Medfiles Ltd.は、WDBホールディングスの子会社となりました。すべての株式を売却しています。Oy Medfiles社はヨーロッパで知名度があるフィンランドのCRO企業で、WDBホールディングスは海外のCRO事業も手掛ける企業です。

これにより、WDBホールディングスは、海外におけるCRO事業の拡大を狙います。

テンプスタッフによるメディクロスのM&A

2015年11月、メディクロスは、テンプホールディングス(現パーソルホールディングス)の子会社であるテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)の子会社となりました。メディクロスはCRO企業で、テンプスタッフは人材サービス会社になります。

これにより、テンプスタッフは、メディクロスのCRO事業へ自社の営業力を投入して受託体制を強める見込みです。

リニカルによるNuvisan CDD社のM&A

2014年12月、Nuvisan CDD Holding GmbHは、リニカルの子会社となりました。Nuvisan CDD Holding GmbHはドイツのCRO企業で、リニカルもCRO企業です。

ヨーロッパにネットワークを有するNuvisan CDD Holding GmbHの子会社化により、リニカルは、CRO事業の海外展開を強化します。

新薬リサーチセンターによるトランスジェニックのM&A

2014年4月、新薬リサーチセンターは、トランスジェニックからCRO事業部門を得ました。トランスジェニックは、CRO事業などのライフサイエンス事業などを行い、新薬リサーチセンターはトランスジェニックの子会社です。

これにより、トランスジェニックは、事業の効率性を上げて営業網を築きあげることを狙います。

シーエーシーによるモスインスティテュートのM&A

シーエーシーは、東京都にあるCRO事業を展開していたモスインスティテュートから、CRO事業を2010年3月に取得しました。シーエーシーはこれにより、医薬品開発の分野において事業強化とサービスの向上を目指します。

SMOのM&A事例

次に、SMOのM&A事例を見ていきましょう。

エムスリーによる新日本科学SMOのM&A

2018年8月、新日本科学SMOは、エムスリーの子会社になることを発表しました。新日本科学SMOはSMO企業で、エムスリーは医療従事者専用インターネットサービスなどを手掛ける会社です。

これにより、エムスリーのSMO事業は国内トップクラスの規模となります。

OKEIOSによるアイロムグループとの資本業務提携

2017年10月、アイロムグループは、オウケイウェイヴ子会社のOKEIOSと資本業務提携を結びました。アイロムグループは、SMO事業・CRO事業などを手掛け、OKEIOSは、健康情報プラットフォームの研究開発・サービスを行っています。

これにより、両社は再生医療分野に対する取り組みを加速する見込みです。

メディカル・データ・ビジョンによるコスメックスのM&A

2017年6月、コスメックスは、メディカル・データ・ビジョンの子会社となりました。コスメックスはSMO企業で、メディカル・データ・ビジョンは、医療ビッグデータを活用したサービスを手掛けています。

これにより、メディカル・データ・ビジョンは、病院ネットワークや製薬会社の顧客基盤を生かし、会社を成長させる見込みです。

EPSホールディングスによる綜合臨床HDとEP綜合の吸収合併

EPSホールディングスは、綜合臨床ホールディングス(EPSホールディングスの子会社)と、EP綜合(綜合臨床ホールディングスの子会社)を、2016年10月に吸収合併しました。EPSホールディングスは、CRO・SMO事業などを行っています。

これは、業界再編の変化に備えることが目的です。

エムスリーによるノイエスのM&A

2015年4月、ノイエスは、エムスリーの子会社となりました。ノイエスはSMO企業で、エムスリーは医療従事者専用インターネットサービスなどを手掛けています。

これにより、エムスリーは、製薬企業への貢献度をより高める見込みです。

イスモによるフェーズオンのM&A

2014年3月、フェーズオンは、エムスリーグループのイスモへSMO事業を譲渡しました。これにより、イスモは新事業エリアを得ます。イスモはエムスリーグループのIT技術を生かし、治験のスピード化と効率化をより促進させる狙いです。

8. CRO・SMO業界と関連する製薬業界のM&A

CRO・SMO業界と関連がある業界に製薬業界があります。実は製薬業界もCRO・SMO業界と同様に成長を見せている分野です。その理由はCRO・SMO業界と同様で、少子高齢化などの時代背景やジェネリック医薬品の需要などが挙げられます。

製薬会社は他業種に比べるとM&Aが盛んに行われている業界です。新薬開発などで大きな売り上げを見込める分野だけに、今後も市場は安定的に伸びるでしょう。

製薬会社・医薬品製造業界の買収・M&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】製薬会社・医薬品製造業界の買収・M&A動向!売却理由、相場、手法も解説【成功事例一覧】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

9. CRO・SMO業界M&Aのまとめ

CRO・SMO業界のM&Aを解説しました。CRO・SMO業界のM&Aは、価格相場が他業界より高騰しており、これは医療業界が少子高齢化により発展を遂げているからです。今後もM&Aの相場は変動すると見られます。

CRO・SMO業界は今後もさらなる成長が見込まれる分野です。他の医療分野とあわせて発展を遂げると見られます。今後はCRO・SMO業界のあり方や業務の見直しなど、業界再編の動きも活発化するでしょう。

CRO・SMO業界のM&Aにおけるメリットも紹介しましたが、一覧からは見て取れないデメリットも数多く存在します。M&Aの手法や相場など不明な点が多い場合は専門家に相談すると良いでしょう。

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