IT業界のM&A動向と事例86選!会社売却のメリット・デメリットを徹底解説【2023年最新】

企業情報第二本部 第二部 部長
鎌田 実築

三菱UFJ銀行にて中堅中小企業法人担当として、企業再生支援、事業承継支援、資産活用コンサルティング等幅広く活動。その後M&Aアドバイザーとして複数の業種で成約実績を積み、規模・エリアも問わず幅広い相談に対応。

本記事では、IT企業に関する最新動向やM&A・企業売却・企業買収に関する現状などについて、厳選した86の事例とともに専門アドバイザーが解説します。IT企業のM&A・売却・買収において選び方もまとめました。

目次

  1. IT業界とは
  2. IT業界の動向
  3. IT企業のM&A動向
  4. IT企業のM&Aを行うメリット・デメリット
  5. IT業界のM&Aにおいての注意点
  6. IT企業M&Aの際の仲介会社の選び方
  7. IT企業をM&Aで売却する流れ
  8. IT企業の最新M&A事例16選【2023年】
  9. IT企業のM&A事例14選【2021~2022年】
  10. 近年のM&A・売却・買収事例18選【2019〜2020年】
  11. システム開発のM&A・売却・買収事例10選
  12. 人材派遣のM&A・売却・買収事例4選
  13. アプリ制作・ゲーム開発のM&A・売却・買収事例2選
  14. WEBサービスのM&A・売却・買収事例5選
  15. 海外のM&A・売却・買収事例11選
  16. エンジニア派遣・SES事業のM&A事例3選
  17. M&A総合研究所による成約事例3選
  18. IT業界のM&Aアドバイザーコメント
  19. IT企業のM&A・売却・買収事例のまとめ
  20. IT業界の成約事例一覧
  21. IT業界のM&A案件一覧
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1. IT業界とは

ITとは、情報技術(Information Technology)の略称です。ここでは、どのような企業がIT業界に属するのか、この業界の課題と展望などをご説明しましょう。

IT業界の定義

IT(情報技術)とは、パソコンなどのハードウエア、OSやアプリなどのソフトウェア、インターネットや携帯電話などの通信技術のことです。IT業界とは、IT(情報技術)を活用したサービスを展開する企業です。

IT業界は、総務省や経済産業省によると以下の分野が該当します。

  • 受託ソフトウェア開発
  • 組み込みソフトウェア開発
  • パッケージソフト開発
  • ゲームソフトウェア開発
  • 情報処理サービス
  • 情報提供サービス
  • 市場調査サービス
  • その他情報サービス
  • インターネットサービス

上記を総称してIT業界と呼びます。IT業界といっても、各分野では必要となる技術や働き方が大きく異なるでしょう。

受託ソフトウェア開発と情報処理サービスの2つを合わせて、一般的にシステムインテグレーター(SIer)と呼びます。SIerはエスワイヤーとも呼ばれ、非IT企業からIT関連の業務を請け負うことを主な業務とする分野です。

IT業界に属する企業


IT分野に関する業界は、いくつかに細分化されます。経済産業省は、「平成30年特定サービス産業実態調査報告書」の中で、情報処理・提供サービス業、ソフトウェア業、インターネット付随サービス業に分類して調査しています。

「情報処理・提供サービス業」は、SaaSやデータサービス、各種調査サービスなどを担う企業です。Saasはインターネット経由でアプリやソフトウェアを利用するサービスです。インターネットを通じて必要なソフトウェアを利用し、利用料を支払います。Adobeやサイボウズ、クラウド会計ソフトのfreeeなどが代表的な企業でしょう。

「ソフトウェア業」は、ゲームソフトやソフトウェアの作成、その作成に関するサービス、ホームページの制作などの業務を担う企業です。サーバーの開発企業・日本オラクルや、ウイルスバスターの開発で有名なトレンドマイクロ、富士通などの代表的な企業があります。

「インターネット付随サービス業」は、ポータルサイト運営やサーバー運営、コンテンツの配信などの業務を担う企業です。ヤフージャパン、Netflixなどの企業が代表例でしょう。

参照:経済産業省「平成30年特定サービス産業実態調査報告書」

2. IT業界の動向

IT業界の市場規模

矢野経済研究所の「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)」によると、2021年度における国内民間企業のIT市場規模はIT投資額ベースで13兆5,500億円(前年度比4.5%増)と推計しました。

新型コロナウィルスによるテレワークやリモート対応、EC強化やAIを活用したコールセンターの活用などデジタルマーケティング関連に対す投資などが拡大しました。また、2021年度はコロナで停止していたプロジェクトの再開など回復傾向もみられました。
 

総務省「令和5年版情報通信白書」

出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/n4100000.pdf

もう一つ、別の視点からIT業界を捉えたデータを紹介します。総務省が発表した『令和5年版 情報通信白書』によると、2021年の情報通信産業の名目GDPは52.7兆円でした。全産業の9.7%におよびます。

IT業界(情報通信産業)の雇用者数は405.8 万人(2019年時点)と報告されており、こちらは全産業の5.6%を占めています。以上のデータを踏まえると、現代社会におけるIT業界の存在意義は非常に大きい状況でしょう。

参照:
矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)」
総務省「令和5年版 情報通信白書」

IT業界に見られる特徴

多重下請け構造

IT業界の特徴として、多重下請け構造が問題となっています。ユーザー企業から仕事を受けた「元請け」から、開発・運営の「中小ITベンダー(二次請け)」に、「二次請け」が「三次請け」、「下流工程」に依頼するといったピラミッド型の構造です。
 

人材不足

経済産業省「IT人材育成の状況等について」

出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf

もう一つの特徴はIT人材の不足です。

独立行政法人情報処理推進機構の調査結果(2019年度)では、ICT人材に対して「大幅に不足している」「やや不足している」とする回答が89.0%となり、人材不足が懸念されています。

IT業界は、人材のレベルアップも課題です。技術進歩が早いIT業界で生き残るためには、いかにして質の高い人材を確保するのかが求められます。

また、若年層の人口減少に伴い、2019年をピークにIT関連産業 への退職者は入職者よりも上回り、IT人材は減少に向かうとされています。さらに、高齢化が進展することも予想されています。その一方で、IT 需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから将来的に40~80 万人の規模で不足が生じる可能性が試算されています。

参考:経済産業省 「IT人材育成の状況等について」

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3. IT企業のM&A動向

ここまで、IT企業のM&A事例を見てきました。次は、今後予測されるIT企業のM&A動向を確認しましょう。

M&A件数の推移

レコフのデータによると、国内でのM&A件数の中で、ソフトウェア・情報業界に占めるM&A件数は最も多く、2021年度は全体(4,280件)のうち約35%(1,525件)です。IT業界同士でのM&Aも多いですが、他業種とM&Aを実施するケースも増えています。

成長戦略としてのM&A

IT企業の経営者の譲渡時の平均年齢は54.5歳です。これはほかの業界の経営者と比較して、譲渡時の年齢が10歳程度、早いことがわかりました。

理由としては、成長戦略としてM&Aを実行する経営者が多いといったことが挙げられます。したがって、事業承継のためにM&Aを検討するだけでなく、M&AでEXITを目指す若い経営者が多い業界でもあるといえるでしょう。IT業界同士でのM&Aも多いですが、昨今は他業種とM&Aを実施するケースも増えています。

経営者の高齢化によるM&A

IT業界は60年程度の歴史があります。国内でも1980年代後半〜2000年に多くのエンジニアが起業したといわれています。当時30〜40歳で起業した経営者は事業承継を考えるタイミングとなっています。しかし、継承できる人材がいないためM&Aを活用していく企業が増えています。譲渡する企業のほとんどが黒字であり、市場としても拡大しているためM&Aが活発です。

人材不足解消のM&A

IT業界は慢性的な人材不足に陥っています。新卒採用や中途採用では追いつかないうえ、実際に戦力とするには、研修の受講やスキルを身に付けさせる必要があります。質の良い人材を引き継げるM&Aが最適な方法です。
 

新技術の獲得のためのM&A

新技術の獲得もM&Aの目的です。常に新技術が開発される業界であるうえ、AIやIoTなどの先端技術は研究に時間がかかります。M&Aであれば新技術を扱うチームをそのまま取り込めるため、新技術の開発に必要な費用や時間を省略できるでしょう。

経営基盤強化のM&A

経営基盤の強化を目的としたM&Aも多く見られます。中小・ベンチャーのIT企業は資金繰りが厳しく、融資も簡単に受けられません。新技術を開発して事業化するには一定以上の資金確保が必要になります。大手企業のグループに入ることで顧客基盤、組織力を活用し経営基盤強化を図るケースが増えています。

海外市場進出のためのM&A

事例でも紹介しましたが、海外市場進出のためのM&Aも増加しています。国内におけるIT業界の市場自体は好調です。しかし、全体的な国内市場は人口減少により縮小傾向にあるでしょう。M&Aにより海外におけるIT企業の人材・技術・ノウハウを取り込み、海外市場に進出するケースが増えている状況です。

IT企業と異業種のM&A

本記事の事例で紹介した伊藤忠商事とフリークアウト・ホールディングスの資本業務提携や、電通によるDigital Evolution Group LLCのM&Aなど、異業種・他業種からの参入も増加しています。

このほか、本記事では取り上げませんでしたが、資生堂による米国AI企業のMATCHCoやGiaran買収といった事例も報告されている状況です。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)が進行し、特に大手企業ではIT技術を使用した新事業開発が急務となります。今後ますます異業種・他業種からの参入は増加するでしょう。

アドベンチャーによるラド観光のM&A事例のように、IT企業による異業種・他業種のM&Aも目立つ状況です。

上記の事例は、アドベンチャーが「skyticket」のオンライン予約サービスで得た広告・集客のノウハウを応用し、ラド観光の事業拡大を図る目的のもと実施されました。今後もこうした形態のM&Aが増加するでしょう。

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4. IT企業のM&Aを行うメリット・デメリット

IT業界への需要の増加に伴い、M&Aも増加傾向にあります。M&Aを検討されているのであれば、失敗しないように費用などさまざまな事前チェックが必要です。自社に必要かどうかをよく見極め、検討するのが重要です。M&Aにおけるメリットとデメリットをよく理解しましょう。

メリット

後継者不足の解消

中小企業は経営者の高齢化が進んでいますが、子どもや社内に会社を継いでもらえる人材がないというケースが増えています。従業員や取引先、コスト面を考えると廃業も難しい選択になります。そんな後継者問題を解消するためにM&Aが活用されています。

人材不足の解消


IT業界の課題として人材不足があります。M&Aであれば人材不足を解消できることがメリットの一つです。新卒採用であれば、人材を育てなければなりません。M&Aであれば、一定のスキルをもった人材を確保できるでしょう。海外のエンジニア欲しさに、海外のIT企業を買収するケースさえあります。
 

技術・ノウハウの獲得

技術やノウハウを獲得できるのもメリットです。この業界のトレンドは変化しやすく、最先端の技術を確保するには、費用や時間がかかります。M&Aであれば、異業種からの参入も可能にします。

 

経営の安定化

M&Aによって大手企業の傘下になれば、資本投入されることで経営の安定化も可能となるでしょう。また、大手のグループに入ることで多重下請から脱却し安定した経営を行うことができます。

デメリット

簿外帳簿の引き継ぎ

IT企業に限らず、売り手の簿外債務を引き継ぐおそれがある点は、M&Aのデメリットの一つです。将来的に発生する偶発債務が相手企業にあった場合、のちのちトラブルにつながることもあります。
 

従業員の軋轢

M&Aでは、双方の従業員同士の軋轢(あつれき)にも注意が必要でしょう。特に、海外企業とのM&Aでは、社員が社風やルールに不満をもって退職してしまうケースもあるようです。

5. IT業界のM&Aにおいての注意点

IT業界のM&Aを進めていく際に他の業界と異なり注意点がいくつかあります。

エンジニアの技術スキルの確認

IT業界のM&Aでは人材に関してしっかり確認する必要があります。優秀なエンジニアを確保することがIT業界では競争力に繋がります。そのため買い手側は売り手側の企業の人材がどのような言語や技術スキルを持つ人材がいるかを調査することが一般的です。買い手側は最低限、売り手側企業のエンジニアが持つ資格や開発実績、経験・職務経歴書の開示をするのがよいでしょう。

また、企業価値評価ではエンジニア一人あたりの価格設定を行い人数をかけて売却価格を算定することもあります。買い手が求めるスキルを有しているエンジニアがいることが成約に繋がりやすいため、売り手にとってエンジニアの育成は重要になっていきます。

M&Aのスピード感

IT業界のM&Aの成約までの期間は比較的早い傾向にあります。そのため相手候補の選定からクロージングまでのスピード感を意識する必要があります。売り手と買い手に大きな相違がなければトップ面談〜クロージングまでに最短3ヶ月の場合もあります。買い手は買収を迷っていると他の企業に越されてしまうこともあるため注意しましょう。

従業員のモチベーション維持

M&Aでは従業員のモチベーションを維持することは大切です。労働条件の変更や風土の変化により社内のキーパーソンがM&Aをきっかけに辞めてし待っては買い手に迷惑をかけるだけでなく、取引を解消される可能性もあります。そのため従業員とはしっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。特に事業譲渡の場合は従業員の雇用契約を結びなす必要があるため慎重に行うことが大切です。

6. IT企業M&Aの際の仲介会社の選び方

この章では、IT業界でM&Aを行うときの仲介会社の選び方や成功ポイントを解説します。

IT・ソフトウェア分野の専門的知識・M&A実績を持っている

仲介会社を選ぶ際は、IT・ソフトウェア分野の専門的知識やIT企業のM&A実績を持っていることが重要です。前述のとおり、IT業界では日々新たなマーケットが生み出されています。新分野における優秀な技術者の確保・新技術の獲得・経営基盤の強化などを目的とするM&Aが活発です。

M&Aの仲介会社を選ぶ際は、専門的知識をキャッチアップしていることが求められます。自社と同じ業界の仲介をどれだけ経験しているか、前職で類似業界を経験しているアドバイザーがいるか、といった確認を行いましょう。

自社と同規模の案件実績がある

M&Aの仲介業務では、案件の規模によって必要とされるスキルが異なります。仲介会社によっては、得意とする規模の案件に合わせた手数料体系を設定しているケースもあるでしょう。これまで担当してきた案件の規模を確認するのも重要です。

M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている


M&A仲介業務で求められる知識は、法務・会計・税務・労務など、会社に関するあらゆる範囲です。経験豊富な経営者と交渉できる実務経験やコミュニケーション能力なども求められます。これらの能力は即座に身に付くものではありません。

M&A仲介会社に依頼する際は、実務経験が豊富なアドバイザーに依頼すると良いでしょう。

手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい

M&A仲介の手数料は仕組みがわかりにくいため、場合によっては想定外に高い手数料を支払うケースもあります。これを防ぐために、報酬体系がシンプルで安価なM&A仲介会社を選びましょう

担当スタッフの対応・相性が良い

M&Aの成否や経営者の満足度を大きく左右する要素として、担当スタッフとの信頼関係も挙げられます。M&A仲介は、業務の性質上、担当者の能力に依存する部分が多いサービスです。

担当スタッフとの相性・信頼関係の構築が欠かせません。実際に、M&A仲介会社が担当した経営者にアンケートを取ると、担当スタッフが信頼できる人物であれば、満足度が高い傾向が見られます。

会社買収・売却の相談は、M&A総合研究所へ

M&A総合研究所では、豊富な経験を持つM&Aアドバイザーが専任で就き、案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

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7. IT企業をM&Aで売却する流れ

ここではIT企業のM&Aの基本的なフローを紹介します。一般的なM&Aは、以下の順番で手続きが行われます。

M&Aの目的・方向性を明確化

M&Aの目的・方向性を明確化させます。M&Aを実施する際、目的や方向性が定まっていないと重要な判断ができず、条件の譲歩をすることが難しくなるでしょう。それによりM&Aがスムーズ進まないことや、M&A先が有利となるように実施されたりする場合もあります。

M&Aの目的や方向性など戦略を決めるには専門的な知識が必要になるので、M&A専門家と相談しながら現実的なM&A戦略を定めましょう。

M&A仲介会社などの専門家に相談・契約

専門家に相談し、業務委託に関して納得したのち専門家と契約を行います。M&Aをするべきかどうかなども、無料で相談に乗ってくれます。M&Aを進めることを決断したら、法律や財務についての高度な知識が必要な手続きなどもサポートしてもらえます。

相談の後、業務委託に関して納得したのち専門家と契約を行います。この段階で秘密保持契約、アドバイザリー契約そして自社情報・資料の提出を行います。
 

秘密保持契約

秘密保持契約とは、自社がM&Aの検討・交渉を行っている情報に関して漏洩させない契約です。M&Aの情報はメリットをもたらす場合もありますが、情報漏洩は売り手側にはデメリットが大きくなるためM&A専門家や相談先と秘密保持契約を締結します。

アドバイザリー契約

アドバイザリーとは、M&Aに関して相談・アドバイスを行う業務のことです。仲介会社であればアドバイザリー契約締結以降は一般的にクロージングを行うまでサポートが受けられます。料金体系によっては、着手金や月額報酬などが発生します。料金体系は会社ごとに異なるため、事前にチェックしましょう

自社情報・資料の提出

相談の段階で自社情報・資料をアドバイザリーに提出します。その情報や経営者との相談をもとにM&A先を選定します。M&A仲介会社の場合は、示されたテンプレートに自社情報を記入するケースが多いです。

自社にとって不利な情報を提出しなければならない場合もありますが、M&Aにおけるトラブルを回避するために虚偽の申告はしないようにしましょう。

M&A戦略の決定・売却先選定

アドバイザーが決まった後、M&A戦略を決定したうえで売却先候補の選定を行います。売却先候補の選定は、一般的にノンネームシートに書かれた売却先企業の情報を基に行います。

ノンネームシートとはM&A仲介会社から提供される資料で、具体的な企業名は特定できないけれど業種や規模、エリア、収益、買収を希望する理由などが記載されています。この情報を基に売却先候補との条件を照らし合わせ、自社のメリットについて検討します。

トップ面談

買い手の意思が固まり、具体的に買収を検討する段階になると、次はトップ面談の場が設けられます。

この会談は、売り手・買い手双方のトップ同士が顔を合わせて話をする貴重な場です。ここではM&Aを決意した経緯や経営ビジョン、今後の経営方針などが話し合われます。

意向表明書の提示

意向表明書とは、買収方法や買収価格などの諸条件が記載されている書面です。M&Aのプロセスとして必須ではありません。そのため、省略されることもありますが買い手側のM&Aの意向を売り手側に明示するものとなります。

基本合意書の締結

基本合意書では、買収の条件・独占交渉権・守秘義務・誠実交渉義務などが記されます。基本合意書には、基本的に法的拘束力はなく合意内容確認書という位置付けのものです。ただし、独占交渉権やデューデリジェンスへの協力義務の条項には例外的に法的拘束力を持たせます。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは企業監査であり、売り手企業の実態を把握するために行われる調査のことです。具体的には、M&Aの専門家や士業が売り手企業を訪問し、帳簿を閲覧したり、書面では把握できない会社状況をチェックする手続きです。

デューデリジェンスで発生する専門家への手数料は、一般的に買い手が負担します。

条件交渉

基本合意書の内容をもとに、デューデリジェンスの結果を受け最終条件の交渉を行います。

交渉の多くは、売買条件の他、経営者・役員・従業員の処遇や最終契約までのスケジュールなど詳細な内容です。

最終契約の締結

最終的な売却価格やその他の条件にも問題がなければ、最終契約の締結へと進みます。

最終契約書の内容には、売買価格や譲渡の内容などが記されます。最終契約の締結後は、内容を変えられないので慎重に進めましょう。

クロージング

最終契約書の内容をもとにヒトやモノ、カネを移動させることをさします。クロージングが実行されると、手続き上のM&Aフローは完了です。

クロージングではさまざまな混乱が生じることが予想されます。クロージングの計画書などを事前に作成しておくことが重要です。

8. IT企業の最新M&A事例16選【2023年】

SHIFTグロース・キャピタルによるM&A

2023年8月、SHIFTのグループ会社である株式会社SHIFTグロース・キャピタルは、株式会社ヒューマンシステム(の株式(持分比率100%)を取得することを発表しました。

SHIFTグループ内には、開発分野に得意な複数のグループ会社が存在し、品質保証やコンサルティングから生まれた開発ニーズの拡大や各社の事業強化により、クロスセルが進み、ソフトウェア開発の需要が増加しています。
ヒューマンシステムは幅広い業界でシステム開発や技術支援を行い、高い開発力と技術力を備えています。

ヒューマンシステムの参画により、ソフトウェア開発の需要拡大やサービス供給力の強化を図り、エンジニアの働く環境改善やキャリアアップ支援にも取り組む予定です。SHIFTグループは連携を強化し、お客様のニーズに合わせたソフトウェアサービスの提供価値向上を目指すとしています。

参考:株式会社ヒューマンシステムの株式取得に関するお知らせ

電気興業株式会社によるM&A

2023年8月、電気興業株式会社は株式会社サイバーコアの株式取得する株式譲渡契約および第三者割当増資の締結をし、AI領域の子会社とすることを決定を発表しました。

電気興業は、旧国策会社の第二会社としてスタートし、電気通信インフラの整備に従事しました。その後、高周波分野でも誘導加熱技術を採用し、73年間にわたり、通信・放送インフラの整備や自動車の安全性向上などに貢献してまいりました。

サイバーコアは画像AI技術の開発に特化し、独自の鮮明化や軽量化技術を確立。セキュリティ、リテール、公共交通、FA、自動車など幅広い分野に独自技術を提供。CVPRの国際コンペティションで優勝、NISTの顔認証技術ベンチマークでも世界9位の実績を持ち、その技術力は世界的に認められています。

今回の子会社化により、当社のアンテナ製造や設計で培った周波数帯対応の無線通信技術やセンシング技術と、サイバーコアの画像AI技術やセンシングAI技術を組み合わせ、両社の強みを活かした効率的なソリューションビジネスを展開します。これにより、幅広いお客様の課題解決に貢献し、社会への貢献を推進していくとしています。

参考:株式会社サイバーコアの株式取得(子会社化)

カプコンによるM&A

2023年7月、カプコンがソードケインズスタジオの全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

ソードケインズスタジオは、コンシューマゲーム開発における3DCG制作技術を強みとし、カプコンの大型作品においても制作実績があるスタジオです。
カプコンは、開発力・技術力の持続的強化を図り、今後も必要な技術力獲得などを視野に開発体制の拡充を図っていくとしています。

参考:株式会社ソードケインズスタジオの株式取得(完全子会社)

ココナラによるM&A

2023年6月、ココナラはポートエンジニアリングの株式を取得し、同社を完全子会社化することを決議したと発表しました。

ココナラは「自分のストーリー」を大切にするビジョンを掲げ、ECサービス「ココナラ」を運営・開発しています。2023年1月には、ITフリーランスと企業をつなぐ「ココナラエージェント」を開始し、月次稼働型のマッチングが可能となりました。企業のIT人材不足に対応し、ITフリーランス向け業務委託市場の成長に貢献していくことを目指しています。

一方、ポートエンジニアリングはITフリーランスエンジニアのエージェント事業を展開し、プラットフォーム「Futurizm」には約3,500名のITフリーランスエンジニアが登録しています。

今回のM&Aにより、ココナラのITフリーランスエージェント事業の拡大が早期に実現され、企業価値の最大化に貢献することが期待されるとしています。

参考:ポ―トエンジニアリング株式会社の株式の取得

エーアイによるM&A

2023年6月、エーアイはエイベックス傘下のコエステ株式会社の株式を取得し、子会社化することを決定したと発表しました。

エステ社は、音声合成技術を活用したコンテンツの企画・制作・開発・運用・流通事業等を行っており、主力商材である「コエステーション」の音声声合成クラウドサービスを中心に事業を拡大しています。

エーアイとコエステは、音声合成事業でともに国内で切磋琢磨した企業であり音声合成事業が合同することで、顧客への安定的なサービス提供の継続や、成長スピードの速い音声合成市場での競争力の強化等、大きなシナジーを見込めるもとしています。

参考:コエステ株式会社の株式取得(子会社化)

EMシステムズによるM&A

2023年6月、EMシステムズはJMDCから株式会社ユニケソフトウェアリサーチ及びその管理目的会社の全株式を取得することを決議したと発表しました。

これにより、当社グループにおけるITを活用したサービスをより一層拡充していくことで、更なる顧客基盤の拡大、薬局現場におけるデジタルトランスフォーメーションを具現化していくとしています。

EMシステムズは国内の2万軒以上の薬局にサービスを提供しており、統計情報を活用した業務支援やキャッシュレス化などのデジタルトランスフォーメーションを推進しています。

JMDCは、2020年9月より当社との業務提携と子会社への出資を通じ、薬局データの蓄積と活用に取り組みました。現在、5千軒以上の薬局からデータ利活用の許諾を得ております。
一方、ユニケは2018年5月に子会社化し、医療の効率化や薬局のデジタルトランスフォーメーションを進めています。特に都市圏で2,500軒以上の薬局にシステムを提供し、地域に密着した基盤を持つと同時に、国民医療費の健全化を目指す活動も行っています。

参考:子会社等の異動(株式取得)に関するお知らせ

CIJによるM&A

2023年6月、CIJは日伸ソフトウェア株式会社を子会社化することを決したと発表しました。

CIJの事業環境は、ソフトウェア開発を主軸としており、お客様からのIT需要は盛んです。システム開発の技術的・量的ニーズは増加していますが、同時に労働人口の減少やDXへの需要も高まっています。この背景から、IT人材の確保や優れた開発技術者の育成が重要な課題です。

日伸ソフトウェアは1984年の設立以来、制御系や通信系など幅広い分野のソフトウェア開発に従事し、システム設計から保守運用までの経験豊富な実績を有しています。また、基幹系システム構築における業務ノウハウも強みとしています。

日伸ソフトウェアの子会社化により、技術者のスキルアップや顧客層の拡大に注力し、相互の成長・発展を目指し、お客様への提供価値を向上させることを目指していくとしています。

参考:日伸ソフトウェア株式会社の株式取得(子会社化)

エレコムのM&A

2023年5月、エレコムは岩崎通信機株式会社の100%連結子会社であるgroxi株式会社の全株式を譲り受け契約締結について決議したと発表しました。

エレコムはネットワーク関連機器を開発・販売しています。
groxi社は、ネットワークの設計や構築・保守・運用に関するサービス提供しています。

これにより、ネットワーク関連分野にてシナジー効果を発揮することで、ハードとソフトを組み合わせ最適なトータルソリューションを全国ワンストップで提供できる企業グループとなり、付加価値の高いサービスを提供するとしています。

参考;groxi株式会社(岩崎通信機グループ)の 株式の取得(子会社化)

ラクスによるM&A

2023年5月、ラクスはHOYAのクラウド勤怠管理・給与明細閲覧サービス事業を子会社化することを決定したと発表しました。

ラクスはクラウド型勤怠管理システム「楽楽勤怠」により複数のクラウドサービスで企業の業務効率化に貢献し、高い売上高成長と利益の創出を実現しています。長期ビジョンである「日本を代表する企業になる」ため、既存サービスの成長と新たなクラウドサービスの追加を通じて持続的な事業成長を目指しています。
HOYAのクラウド勤怠管理・給与明細閲覧サービス事業(以下、取得事業)は2006年のリリース以来、中堅規模の企業を中心に、多様な企業の勤怠管理業務の効率化に貢献してきました。

取得事業のサービスや価格と相互に補完し合う特徴を持ち、企業ターゲットが区別されています。当社のノウハウとリソースの投入により、取得事業の売上と利益率の向上を実現し、クラウド型勤怠管理システム市場におけるシェアの向上が期待されるとしています。

参考:HOYA 株式会社の新設分割会社の株式取得(子会社化)

コアコンセプト・テクノロジーとのM&A

2023年5月、コアコンセプト・テクノロジーはピージーシステムの株式取得(子会社化)することを発表しました。

株式会社ピージーシステムは、地方企業や官公庁・自治体向けの各種システム開発及び運用・保守や、システム開発会社へのエンジニア派遣等を手掛けています。

株式会社コアコンセプト・テクノロジーは、この取引により、地方拠点の拡大とリソースの確保による事業拡大を図るとしています。

参考:株式会社ピージーシステムの株式取得(子会社化)

rakumoによるM&A

2023年5月、rakumoは株式会社アイヴィジョンの全株式を取得し、完全子会社化することを決定したと発表しました。

イヴィジョン社は、IR動画や会社紹介・サービス紹介動画を中心とした映像制作・配信事業を提供しており、リッチコンテンツとして訴求性が高いものを提供しています。

rakumoのサービス開発・運営において、更なる成長を目指すため、アイヴィジョン社を子会社化することで、企業価値の向上を目指します。今後は、アイヴィジョン社のサービスを活用し、弊社グループの事業拡大に取り組んでいくとしています。

参考:株式会社アイヴィジョンの株式の取得(子会社化)

ヤマシタヘルスケアホールディングスによるM&A

2023年5月、ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社は、クロスウェブ株式会社の全株式を取得し、子会社化することに基本合意したことを発表しました。

クロスウェブ株式会社は、ットワーク及びシステムインフラ構築事業を主体とし、医療機関向けの情報システムの開発・提供を行っています。

この取引により、当社グループは医療機関に対するサービスを提供するためのネットワーク及びシステムインフラ構築事業を強化し、持続的な成長と企業価値最大化を目指すとしています。

参考: 株式取得(子会社化)の基本合意

テクノホライゾンによるM&A

2023年4月、テクノホライゾン株式会社は、ウェルダンシステム株式会社の全株式を取得することを決定しました。

テクノホライゾン株式会社は、教育現場において、書画カメラや電子黒板などのICT機器を展開し、学びの環境づくりを支援しています。
一方、ウェルダンシステム株式会社は、スクールマスターZeusというシステムを開発しており、教育現場における校務の改善を支援しています。

この取引により、テクノホライゾン株式会社は、教育現場により深くかかわり、教育の質を高めることができるようになると期待されています。

参考:ウェルダンシステム株式会社の株式取得

Orchestra HoldingsによるM&A

2023年4月、Orchestra Holdingsが株式会社ヴェスの全株式を取得し、資金を借り入れることを決定したことを発表しました。

Orchestra Holdingsはは連結子会社であるSharing Innovationsを中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を手掛けており、クラウドやオープン系のプロダクト・技術を駆使して、幅広い業種のクライアント企業のDX化を支援しています。

ヴェスは、20年以上にわたり約1万2,000件以上の検証実績を持ち、ソフトウェアテストサービス市場での高い知見とノウハウを有しています。当社グループに参加することで、市場アクセスの拡大と品質向上が期待され、一気通貫のサービス提供体制や顧客紹介などのシナジーも見込まれています。

Orchestra Holdingsはエンジニア採用や育成に強みを持ち、これらのノウハウをヴェスでも活用し、体制の強化と拡大を図る考えです。ヴェスの参加により、エンジニアのキャリアパスの拡充やグループ内リソースの活性化、生産性向上が期待されます。

参考:株式会社ヴェスの全株式取得

freeeによるM&A

2023年4月、freee株式会社は、取締役会にて、Why株式会社を完全子会社化する決議を行ったと発表しました。

freee株式会社は「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに、統合型クラウドERPを中核とするサービスの開発・提供を行っています。一方、Why株式会社は「ヒトの仕事をクリエイティブなものにする」をビジョンに、作業自動化ツール「Bundle」を提供しています。

この取引により、、Bundleの提供を加速し、アカウント管理のプロダクトやノウハウを活用して従業員データ管理機能を強化し、人事労務領域のサービスを発展させるとしています。

参考:Why株式会社が完全子会社としてグループジョイン

セガサミーホールディングスによるM&A

2023年4月、セガサミーホールディングスは、Rovio Entertainment Oyjを買収することを決定したと発表しました。

Rovio社は、モバイルファーストのゲーム会社であり、世界中でモバイルゲームの企画、開発、パブリッシングを展開しています。特に「Angry Birds」ブランドは、2009年に大ヒットしたモバイルゲームから始まり、アニメやキャラクターグッズなどの幅広いエンタテインメントとして展開されており、累計50億ダウンロードを達成しています。

この買収により、セガはモバイルゲーム領域の強化を通じてコンシューマ事業のグローバル展開を加速させるとしています。

参考:Rovio Entertainment Oyjの買収

9. IT企業のM&A事例14選【2021~2022年】

IT企業における2021〜2022年最新のM&A・売却・買収事例として以下の13事例をご紹介します。

それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①GMOインターネットによるM&A

GMOインターネットは2022年2月にイエラエセキュリティを買収しました。

GMOインターネットグループは、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業などを展開するインターネット関連事業を行う東証1部上場企業です。

対象会社のイエラエセキュリティは、サイバーセキュリティ事業を軸として、Webアプリ、スマートフォンアプリ、IoT(モノのインターネット)機器を対象としたセキュリティ脆弱性(ぜいじゃくせい)診断サービスなどを行っています。

今回のM&Aにより、GMOインターネットは電子認証・印鑑事業に加え、サイバーセキュリティ事業に本格参入を目指します。
 

譲渡・売却価額 92億6,200万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 サイバーセキュリティ事業への参入
M&Aの実行日 2022月2月28日

参考:国内最大規模のホワイトハッカー組織を有する株式会社イエラエセキュリティの子会社化

②スカラによるM&A

スカラは2022年2月にエッグなどグループ4社を買収しました。

スカラは、4つのテーマである「医療と健康」「農業と⾷」「教育」「地⽅創⽣」から、IT/AI/IoT技術を有し、新規事業の創出・システム開発事業を行っています。

対象会社のエッグは、ふるさと納税のシステムやフレイルの早期発見システムの開発など、全国の⾃治体と取引関係を有するソフトウェア開発会社です。

今回のM&Aにより、シナジー効果創出を目指すとともに事業成⻑を目指します。
 

譲渡・売却価額 10億600万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ふるさと納税システム、フレイルの早期発見システム取得
M&Aの実行日 2022年2月28日


参考:株式会社エッグの株式の取得(子会社化)

③メディアドゥによるM&A

メディアドゥは2022年1月に連結子会社であるNetGalley UK Ltd.を通してSupadü Limitedを買収しました。

メディアドゥは、デジタルコンテンツ流通・システム開発・提供、メディアコンサルティング、各種研究開発を行っています。子会社のNetGalley UK Ltdは、書籍のWebマーケティングツール「NetGalley」の提供をしています。

対象会社のSupadü Limitedは、出版社向けウェブサイト構築とeコマースプラットフォームの提供を行っていました。

今回のM&Aにより、メディアドゥは持続的な事業成長とともに、企業の価値創出を目指します。
 

譲渡・売却価額 8億7,400万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 メディアデータ管理プラットフォームの取得
M&Aの実行日 2022年1月31日

④野村総合研究所によるM&A

コンサルティングや金融ITソリューションなどの情報サービスを手掛ける野村総合研究所は、ITテスティングの専⾨家集団としてITシステムの品質向上のコンサルティングなどを行っているPlanit Test Management Solutions Pty Ltdの持株会社であるSQA Holdco Pty Ltdを買収しました。

SQA Holdco Pty Ltdは、1,000名を超えるテスト専門家が在籍している企業です。オーストラリアに本店があります。主にITシステムの品質向上に関わるコンサルティング業や、テスト自動化ツールなどのサービスを展開しています。オセアニアの政府公共機関や金融機関などが顧客です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 Planit社が持つ独⾃のノウハウやサービス、顧客基盤を獲得
オセアニアの事業規模拡大
M&Aの実行日 2021年4月末をめどに行う予定


参考:SQA Holdco Pty Ltdの株式取得(子会社化)

⑤アクシスによるM&A

ITソリューションを提供するアクシスは、金融や通信などさまざまな業界へシステム開発サービスを行っているヒューマンソフトを買収しました。
 

譲渡・売却価額 4億1,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 アクシスはマンパワーのさらなる強化と事業の多角化を目指す
ヒューマンソフトは経営基盤の強化・取引先の拡充などによる利益率向上と事業の成長を見込む
M&Aの実行日 2021年4月1日

⑥駅探によるM&A

乗り換え案内などのサービスなどを展開する駅深は、主にスマートフォン向け広告配信システムの開発や運用を手掛けるマーベリックを買収しています。

駅探は、経路検索サービスなどをメインに行っているIT企業です。今回の買収は、駅探がマーベリックから分社して設立をするサークアの全ての株式を取得する方法です。
 

譲渡・売却価額 7億8,000万円
M&Aの手法 新設分割と株式譲渡を合わせた手法
M&Aの目的 Webメディアのマネタイズのノウハウ・人材・AI技術などの獲得
アドテクノロジー領域の獲得
多角化による事業リスクの分散
グループのポートフォリオを強化
M&Aの実行日 2021年4月1日(株式譲渡の実行日)


参考:株式譲渡契約締結(子会社の取得)

⑦テリロジーによるM&A

海外のセキュリティ対策のハードウェア・ソフトウェア製品、ネットワーク関連製品の販売を行うテリロジーは、中堅・中小企業を顧客基盤とするシステム開発会社であるクレシードを買収しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 企業価値の向上・シナジー効果の獲得
M&Aの実行日 2021年3月29日

 

⑧日本郵政と楽天の資本業務提携

全国の郵便局や物流のネットワークを通して郵便や保険などの事業を手掛ける日本郵政は、Eコマースや金融など多数のサービスを行う楽天と資本業務提携しました。
 

譲渡・売却価額 出資額:約1,499億円
M&Aの手法 資本業務提携・第三者割当増資
M&Aの目的 物流やDX、モバイルなどいろいろな領域で連携を強める
M&Aの実行日 2021年3月29日(出資金払込み日)


参考:日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意

⑨CAICAによるM&A

金融分野のシステム開発をメインとするCAICAは、暗号資産の取引所運営や取引所運営にかかわるシステム開発や販売などを手掛けるZaif Holdingsを子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 約37億円
M&Aの手法 株式譲渡・第三者割当増資
M&Aの目的 スピーディーな経営判断を可能にする
暗号資産ビジネスの強化
M&Aの実行日 2021年3月15日


参考:株式会社CAICAによる当社の連結子会社化について

⑩ミックウェアによるM&A

車載ソフトウェアやプラットフォーム・ナビゲーション開発を手掛けるミックウェアは、主に受託のソフトウェア開発を行うエイチアイを買収しています。エイチアイは、アートスパークホールディングスの連結孫会社です。
 

譲渡・売却価額 4億5,000万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 車載ソフトウェア開発事業をより強め発展させる
M&Aの実行日 2021年3月1日


参考:エイチアイを買収・完全子会社化

⑪でらゲーによるM&A

スマートフォンゲームの企画・開発・運営をはじめ映像制作も手掛けるでらゲーは、ゲームやデジタルコンテンツのプロデュース事業を行うモブキャストゲームズのタイトル「キングダム乱ー天下統一への道ー」を買収しました。
 

譲渡・売却価額 0円
M&Aの手法 ゲームタイトルのみの買収
M&Aの目的 損失を解消
M&Aの実行日 2021年1月28日

⑫土木管理総合試験所によるM&A

社会インフラに関わる調査やコンサルティング業を行う土木管理総合試験所は、主に熱流体解析ソフトウェアの開発や気流・温熱環境解析などのコンサルティング技術を保有しているアドバンスドナレッジ研究所の株式すべてを取得して子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 企業価値の向上
M&Aの実行日 2021年1月18日


参考:株式会社アドバンスドナレッジ研究所の株式の取得(子会社化)

⑬ビーネックスグループによるM&A

技術者派遣や、ITソフト業界で長い歴史をもつシステム開発を行うビーネックスグループは、金融や流通、製造業界などでシステム開発を行うアロートラストシステムズを傘下に持つレフトキャピタルを買収しました
 

譲渡・売却価額 13億3,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ビーネックスグループは顧客層の拡充や、さらなるエンジニアのスキルアップを見込む
レフトキャピタルは技術者確保を狙う
M&Aの実行日 2021年1月6日

⑭トゥルースによるビーイングに対するTOB

ビーイングの会長である津田氏が代表を務める会社であるトゥルースは、建設業向けに土木積算ソフトの販売を行う企業であるビーイングに対してTOBを行いました。

  • 買付価格:1株900円
  • 買付株式数(買付後の所有割合):4,064,911株(88.17%)
  • 買付期間:2021年2月9日〜2021年3月24日
  • 決済日:2021年3月30日
参考:有限会社トゥルースによる当社株式に対する公開買付け

10. 近年のM&A・売却・買収事例18選【2019〜2020年】

次に、近年のM&A・売却・買収事例として以下の18事例を紹介します。
それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①SHIFTによるサーベイジシステムのM&A

ソフトウェアの品質保証やテストを行うSHIFTはグループ企業のALHを通して、ITインフラ設計や構築などを行うサーベイジシステムの株式を取得しました。

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 高まる需要の対応に向けた専門性の強化や顧客基盤の獲得
M&Aの実行日 非公開(2020年11月発表)

②ガイアックスによるロコタビのM&A

ソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業を行うガイアックスは、海外マッチングプラットフォームなどを運営するロコタビを買収して子会社化しています。

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 シェアリングエコノミーに関するノウハウ提供・システム開発
・バックオフィス面におけるサポート支援などで、事業拡大に
注力しつつグループ企業価値を向上させる
M&Aの実行日 2020年7月1日

③ビーイングによるラグザイアのM&A

建設業向け業務用アプリケーションの開発・販売を中心に事業を展開するビーイングは、簡易株式交換により、Ruby On Railsを用いたアプリケーション開発を行うラグザイアを完全子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 約1億7,900万円
M&Aの手法 簡易株式交換
M&Aの目的 Webアプリケーション開発を加速し、クラウド環境を生かした
新たな商品開発を推進
M&Aの実行日 2019年6月4日

④日本コンピュータ・ダイナミクスによる矢野産業のM&A

駐輪場事業を展開し電磁ロック式駐輪場運営・管理で全国トップクラスの規模を持つ日本コンピュータ・ダイナミクスは、九州で最初に駐輪場事業を開始した矢野産業の発行済全株式を取得して完全子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 九州地区における駐輪場事業のさらなる拡大
グループ事業基盤のさらなる充実
M&Aの実行日 2019年4月2日

⑤ネクストジェンとNECネッツエスアイの資本業務提携

通信システム関連製品や通話録音・音声認識製品などの開発販売を展開するネクストジェンの子会社「LignApps」は、「NECネッツエスアイ」とCpaaS事業において資本業務提携を締結しました。

NECネッツエスアイは、ICTシステムの企画・構築や日本全国24時間365日対応の保守運用監視サービスなどを提供する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 両社協業による付加価値の高いサービス、共同開発や相互流通による拡販を推進し、新規顧客やマーケットの開拓を加速して両社の企業価値向上を図る
M&Aの実行日 非公開(2019年4月発表)

⑥アイスタイルとGlowdayzの資本業務提携

コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営しているアイスタイルは、「Glowdayz, Inc.」と資本業務提携を締結しました。

Glowdayz, Inc.は、韓国内で化粧品の商品情報とそれにひもづくユーザーのクチコミを中心としているビューティプラットフォーム「Glowpick」を運営している会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 Glowpickのさらなる成長と@cosmeのグローバル
プラットフォーム化の推進
M&Aの実行日 非公開(2019年4月発表)

⑦サイネックスによるサンマークの全株式譲渡

サイネックスは、連結子会社であるサンマークの保有全株式をナッセホールディングスへ譲渡しました。ナッセホールディングスは、サンマークの代表取締役および専務取締役が合わせて100%出資する会社です。
 

譲渡・売却価額 6億8,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ナッセホールディングスより、サイネックスが保有するサンマークの
株式すべてを譲り受けたいとの申し出があったため
M&Aの実行日 2019年3月29日

⑧DeNAによるオンライン決済サービス事業子会社の譲渡

DeNAは、インターネットおよび携帯電話上での決済サービスを展開する連結子会社のペイジェントに関して、保有する全株式をNTTデータに譲渡しました。
 

譲渡・売却価額 約63億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 キャッシュレス化など決済サービスにおける経営環境の変化を踏まえ、
さらなるグループの発展を図る
M&Aの実行日 2019年3月29日

⑨エイベックスによるMAKEYのM&A

エイベックスは、美容系YouTuber事業やメイク・コスメ情報共有メディア「MAKEY」の運営などを行うMAKEYの株式を取得して子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 MAKEYの持つクリエイター発掘・育成の仕組みやプロデュース力の取り込み
クリエイターの芸能活動支援・マスメディア露出のサポート・マルチプラットフォーム展開などを行い新しい時代の人気者を創出
M&Aの実行日 非公開(2019年3月発表)

⑩サイバーエージェントによるCoupeのM&A

サイバーエージェントは、スタートアップ企業であるCoupeの株式を取得して子会社化しました。

Coupeは、サロンモデルと美容師をマッチングするWebマッチングサービス「Coupe」や、インフルエンサーのマネジメントサービス「COUPE MANAGEMENT」などを展開する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 若手経営者の応援を目的とした投資活動による出資の一環
Coupeとの事業シナジー創出、CoupeおよびCOUPE MANAGEMENTの事業拡大
M&Aの実行日 非公開(2019年3月発表)

⑪エイベックスによるTWHのM&A

エイベックスは、TWHの株式を取得して子会社化しました。TWHは、クリエイター・エージェンシー事業、ライヴコマース事業、バーチャル・キャラクター(VTuber)事業などライヴ配信者支援事業を展開する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 人材発掘・育成のスキーム確立を図る
既存インフラを活用し、音楽制作・配信など芸能活動のサポートを行うことで、さまざまな分野への進出を促進
M&Aの実行日 非公開(2019年3月発表)

⑫NTTセキュリティによるWhiteHatのM&A

NTTグループのセキュリティ専門会社であるNTTセキュリティは、米国のアプリケーションセキュリティサービス事業者である「WhiteHat Security, Inc.」を買収しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ITインフラストラクチャーから重要なビジネスアプリケーションを
対象とし、包括的なソリューションをワンストップで提供する
サイバーセキュリティ専業事業者と事業の幅を拡大する
M&Aの実行日 非公開(2019年3月発表)

⑬アイスタイルとハウスオブローゼの資本業務提携

コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営しているアイスタイルは、ハウスオブローゼと海外事業に関する資本業務提携を締結しています。

ハウスオブローゼは国内の主要百貨店および専門店に直営店舗を出店し、スキンケア化粧品を主軸とするほか、「Oh! Baby」ブランドをはじめとするプライベート化粧品の小売販売事業を展開する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 ハウスオブローゼのプライベート化粧品における海外拡販とアイスタイル
グループの海外販路拡大を目指す
M&Aの実行日 非公開(2019年3月発表)

⑭アドベンチャーによるラド観光のM&A

国内外の旅行商品の予約サイト「skyticket」を主力としてオンラインサービスを中心に事業を展開するアドベンチャーは、ラド観光の全株式を取得して完全子会社化しました。

ラド観光は、西日本の拠点を中心に航空券の発券・バススキーツアーなどの旅行サービスを提供してきた会社です。
 

譲渡・売却価額 10億5,000万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 オンライン予約サービスで得た広告および集客のノウハウを応用し、ラド観光がアプローチできなかった層の顧客に対してラド観光の旅行商品およびサービスを提供
M&Aの実行日 2019年1月23日

⑮SHIFTによるアッションのM&A

SHIFTは、アッションの全株式を取得し完全子会社化しました。アッションは、リスティング広告の運用、プッシュ通知ツールの提供といった、Webマーケティングに関して多岐にわたるソリューションを提供する会社です。
 

譲渡・売却価額 3億5,000万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 アッションの持つA/Bテスト、「魅力的品質」の追求に関わる
ノウハウなどの獲得により、社内システムや業務効率の改善に
関するサービス提供を図り、UI/UX領域の品質保証に本格的に参入
M&Aの実行日 2019年1月8日

⑯SHIFTによるさうなしのM&A

エンタープライズ領域を主軸としたソフトウェアの品質保証サービスを手掛けるSHIFTは、さうなしの全株式を取得し完全子会社化しました。

さうなしは、Webサイトなどの企画立案・制作業務・マーケティング戦略に関するコンサルティング業務等を手掛ける会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 BtoCのだけでなくBtoB領域で活用されるソフトウェア製品に
至るまで、機能面だけではなく、使いやすさ・活用性における
観点から品質の追求を図る
M&Aの実行日 2019年1月4日

⑰アドウェイズとBUZZCASTの資本業務提携

アフィリエイトサービス「JANet」「Smart-C」・広告配信サービス「AppDriver」・アプリ向け効果測定ツール「PartyTrack」などを展開するアドウェイズは、YouTuber広告向け効果測定ツール「BUZZCAST CLIENTS」を運営するBUZZCASTと資本業務提携を締結しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 BUZZCASTの持つ業界唯一のYouTuber広告専用効果測定ツールと、
アドウェイズの持つインターネット広告におけるノウハウの相互
活用により、効果的なマーケティング支援・広告運用を実現
M&Aの実行日 非公開(2019年1月発表)

⑱ミロク情報サービスとDANベンチャーキャピタルの資本業務提携

財務会計システム・経営情報サービスを開発販売するミロク情報サービスは、子会社MJS Finance&Technologyを通じ、株式投資型クラウドファンディング・コーポレートベンチャーキャピタルサポートを手掛けるDANベンチャーキャピタルと資本業務提携を締結しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 「株式投資型クラウドファンディング」向けの開示情報作成
支援システムを開発、中小企業の資金調達と新規事業創出の
サポートなど、ファイナンス分野での事業を積極展開
M&Aの実行日 非公開(2019年1月発表)

11. システム開発のM&A・売却・買収事例10選

続いて、システム開発分野のM&Aとして、以下の10事例を紹介します。
それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①KDDIとALBERTの資本業務提携

KDDIは、ALBERTの発行済み株式3.09%を取得して資本業務提携を締結しました。ALBERTは、ビッグデータ分析・AIアルゴリズム開発およびシステム導入のほか、データサイエンティストの育成支援などを通じて産業の課題解決に取り組む会社です。
 

譲渡・売却価額 約14億1,000万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 KDDIグループが保有するデータ分析技術や先進技術を活用した
ソリューション企画・開発に関わるアセット、ALBERTが持つ
データ分析やデータサイエンティスト教育に関するアセットを
融合し、新しい価値創出を図る
M&Aの実行日 2018年12月17日

②アイネットによるソフトウェアコントロールのM&A

アイネットは、ソフトウェアコントロールの全株式を取得して完全子会社化しました。

ソフトウェアコントロールは主に、ネットワーク・オープン系・制御システムの構築を主な業務とし、コンサルテーション〜メンテナンスまで幅広いサービスを提供する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 営業・開発基盤の拡充および西日本地区の強化
M&Aの実行日 2018年10月26日

③プレミアグループによるソフトプランナーのM&A

クルマの購入から売却に至るまで、1台の自動車が流通するうえで生じる取引上の課題解決をサポートするサービスを国内外で提供するプレミアグループは、自動車整備業界を対象としたソフトウェアの開発販売を行うソフトプランナーの株式を取得して子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 整備業界への参入
新規ネットワークを形成し、整備工場や整備事業を営む自動車販売店へのサポート機能強化を図る
M&Aの実行日 2018年10月15日

④ネットワンシステムズによるエクストリークのM&A

ネットワンシステムズは、日商エレクトロニクスより、ITファシリティサービス事業を展開するエクストリークの発行済株式すべてを取得して子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 グループのエンジニアリング能力を増強
顧客との関係強化・信用力強化
M&Aの実行日 2018年10月1日

⑤GFAによるネクスト・セキュリティのM&A

GFAは、ネクスト・セキュリティの全株式を取得して完全子会社化しました。ネクスト・セキュリティは、ITセキュリティ製品の販売やセキュリティコンサルティングなどを行う会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ネクスト・セキュリティの持つ顧客網へファイナンシャル・アドバイザリーのサービスを提供
導入機能の強化を図るとともに新たな取引先の拡大・事業の拡大を図る
M&Aの実行日 2018年9月14日

⑥さくらインターネットによるIzumoBASEのM&A

スケールメリットと柔軟性を両立したコスト競争力の高いデータセンター事業を展開するさくらインターネットは、ストレージ仮想化技術を用いた「Izumo FS」の製品開発を行うIzumoBASEの全株式を取得して完全子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 提供するサービスラインアップに関して、最適化したストレージサービスを共同開発し、顧客満足度の向上と利便性の拡充を図る
M&Aの実行日 2018年8月10日

⑦マネックスグループによるコインチェックのM&A

ネット証券のマネックス証券などを運営するマネックスグループは、仮想通貨交換業者であるコインチェックの発行済株式すべてを買い取り完全子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 約36億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 マネックスグループは仮想通貨交換業への参入準備を進めており、仮想通貨取引所の先駆者でもあるコインチェックを完全子会社化
M&Aの実行日 2018年4月16日

⑧SHIFTによるAiritechのM&A

SHIFTは、システムのトラブルシュート事業を展開するAiritechの株式持分比率57.1%分を取得しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 非機能テスト領域のサービスラインアップ拡大
グループにおける品質保証サービスの強化と価値向上の推進
IT市場での競争優位性を高め、提供する付加価値を向上
M&Aの実行日 非公開(2018年4月発表)

⑨ソルクシーズによるアックスのM&A

自動運転分野において設計支援や開発協力を推進し、豊田通商との間で資本業務提携も締結していたソルクシーズは、アックスの株式を取得し子会社化しています。

アックスは、新世代の移動体機器・情報家電に向けた新しい技術開発や自動運転などに必要不可欠な人工知能の技術開発を行う会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 アックスと経営資源を共有し、シナジーの創出の実現と、
企業価値向上を目指す
M&Aの実行日 2017年6月21日

⑩富士通による古河インフォメーション・テクノロジーのM&A

富士通は、古河電工グループの情報システム業務を行う古河インフォメーション・テクノロジーの発行済株式51%を、古河電工から取得して子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 情報システムサービスの品質向上と事業拡大
情報セキュリティ対策や基幹業務の効率化など、ITガバナンスの取り組みを加速化
M&Aの実行日 非公開(2017年5月発表)

12. 人材派遣のM&A・売却・買収事例4選

続いて、人材派遣のM&Aとして、以下4つの事例を紹介します。
それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①テクノプロ・ホールディングスによるOrion Managed Services LimitedのM&A

中期経営計画でグローバル化の推進を掲げるテクノプロ・ホールディングスは、英国を拠点に技術領域をメインとして人材派遣事業および人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedの発行済株式60.0%を取得して子会社化しました。

テクノプロ・ホールディングスは、M&Aの活用により海外拠点と経営陣、コンサルタント、技術者のスピーディーな獲得を推進し、2018年3月にシンガポール・インド・マレーシア拠点を有する企業を子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 欧州拠点を獲得
グループのさらなる企業価値向上
M&Aの実行日 2018年10月10日

②ワールドホールディングスの子会社による西肥情報サービスのM&A

ワールドホールディングスの人材・教育ビジネスにおける中核事業会社であるワールドインテックは、西肥情報サービスの全株式を取得して完全子会社化しました。

西肥情報サービスは、官公庁や大学などに向けたソフトウェア受託開発およびネットワーク構築支援などを手掛ける会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 西肥情報サービスの高い技術力と、ワールドインテックの動員力を
融合し、事業成長の実現・企業価値の最大化を図る
M&Aの実行日 2018年2月28日

③ITbookによるコスモエンジニアリングのM&A

ITbookは、コスモエンジニアリングの全株式を取得して完全子会社化しました。

コスモエンジニアリングは、ソフトウェア開発に関連する人材派遣事業および建設請負業・設計積算・施工管理などの受託を行う建設コンサルタント事業を展開する会社です。
 

譲渡・売却価額 1億1,600万円(アドバイザリー費用を含む)
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 人材派遣事業におけるシナジーの創出
さらなる発展
M&Aの実行日 2018年1月22日

④イマジカ・ロボットホールディングスによるキューアンドエーアーキテクトのM&A

イマジカ・ロボットホールディングスの子会社で、クリエイターの人材コンサルティング事業・コンテンツ制作事業・メディア事業を展開するイマジカデジタルスケープは、常駐型ソフトウェア開発を中核事業とするキューアンドエーアーキテクトの株式を取得し子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 営業的な訴求力の向上
人材コンサルティング事業の拡大
M&Aの実行日 2017年11月1日

13. アプリ制作・ゲーム開発のM&A・売却・買収事例2選

続いて、アプリ制作・ゲーム開発のM&Aとして、2つの事例を紹介します。
それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①GameWithによるGCUBE ASIA PTE.LTD.の第三者割当増資引き受け

ゲーム情報メディア「GameWith」でゲーム攻略・ゲームレビュー・コミュニティ・動画配信のコンテンツを提供するGameWithは、インドネシアでゲーム攻略メディアを運営するGCUBE ASIA PTE.LTD.(シンガポール)の第三者割当増資を引き受けました
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 第三者割当増資
M&Aの目的 モバイルゲーム市場の成長が著しい東南アジアで事業展開を推進
M&Aの実行日 非公開(2018年5月発表)

②ヤフーによるイーブックイニシアティブジャパンのM&A

ヤフーは、イーブックイニシアティブジャパンの株式を公開買付けにより取得し子会社化しています。

イーブックイニシアティブジャパンは、コミックを中心に小説・雑誌・ビジネス書などの幅広い品ぞろえを有する電子書店「eBookJapan」を運営する会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 公開買付・株式譲渡
M&Aの目的 双方の経営資源を相互活用し、既存ユーザー層への利便性を向上
新規ユーザー層の取り込み強化
競合他社と差別化したサービス提案の実現
M&Aの実行日 2016年6月10日~7月22日

14. WEBサービスのM&A・売却・買収事例5選

続いて、WEBサービスのM&Aとして、以下5つの事例を紹介します。

①伊藤忠商事とフリークアウト・ホールディングスの資本業務提携

生活消費バリューチェーンの価値向上を目指し、顧客接点を増やすべく顧客基盤の構築・データの蓄積を進める伊藤忠商事は、フリークアウト・ホールディングスとの間で資本業務提携を締結しました。議決権所有割合は18.00%です。
 

譲渡・売却価額 約38億円
M&Aの手法 第三者割当増資
M&Aの目的 デジタルマーケティング領域における新規サービスの共同開発や海外事業の拡大
企業価値の向上
M&Aの実行日 2019年1月9日

②メルカリによるマイケルのM&A

メルカリは、株式交換により、自動車関連SNS「CARTUNE」を運営するマイケルを完全子会社化しています。株式交換比率は、メルカリの株式1対マイケルの株式194.83でした。
 

譲渡・売却価額 約15億円
M&Aの手法 株式交換
M&Aの目的 メルカリのパーツ領域充実に伴う自動車カテゴリーのさらなる強化
M&Aの実行日 2018年11月8日

③グリー子会社のWright Flyer Live EntertainmentとBitStarの資本業務提携

グリーの100%子会社でバーチャルYouTuber(VTuber)を発掘・育成・マネジメントを行い、動画番組を企画・制作・配信するWright Flyer Live Entertainment(WFLE)は、YouTuberを中心にインフルエンサーマーケティングを提供するBitStarと資本業務提携を締結しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 BitStar社がプロデュースする2DモデルでのVTuberの3D化や、
収録および配信サポートなどVTuber事業を全面的に支援
VTuberの共同プロデュース実行によりVTuber市場のさらなる拡大
M&Aの実行日 非公開(2018年8月発表)

④LINEとベンチャーリパブリックの資本業務提携

LINEと「トラベルジェイピー」を運営するベンチャーリパブリックは、旅行事業分野での資本業務提携を締結しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 資本業務提携
M&Aの目的 タビマエ(旅行喚起および旅行の計画・予約フェーズ)、
タビナカ(アクティビティやグルメなど旅行中のフェーズ)、
タビアト(旅行後の思い出やおすすめのシェアなど旅行後フェーズ)に
一気通貫してユーザーに最適な提案ができるサービスを目指す
M&Aの実行日 非公開(2018年7月発表)

⑤UTグループによるLei Hau’oliのM&A

製造業向けの労働者派遣・請負業を中心に事業を展開し、機電系設計開発・建築設計・施工管理・ITソフトウェアの分野で多数のエンジニアを有するUTグループは、WEBサイトおよび印刷物のデザイン・制作事業を行うLei Hau’oliの全株式を取得して完全子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 新たなIT・WEB領域への進出
Lei Hau’oliの保有するノウハウとUTグループの持つ採用力・営業力を融合し、企業価値を向上
M&Aの実行日 2017年4月28日

15. 海外のM&A・売却・買収事例11選

最後に、IT企業の海外M&Aとして、以下の事例を紹介します。

①日本電気によるKMD A/SのM&A

日本電気(NEC)は、ソフトウェア・ITサービスなどをリカーリング型で主に提供するKMD A/Sの持株会社であるKMD Holding ApS(デンマーク)の全株式を取得して完全子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 約1,360億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 デジタルガバメント領域のプラットフォームを活用するビジネス
モデルを獲得し、北欧から欧州全域・世界への展開を目指す
新たなソリューションの創出
M&Aの実行日 2019年2月28日

②フリークアウト・ホールディングスによるSpice Lab Pte.Ltd.のM&A

広告事業・Fintechなどを展開するフリークアウト・ホールディングスは、グローバル市場の広告事業を統括する子会社のFreakOut Pte. Ltd.(シンガポール)を通し、タイ・ベトナムで最大手女性メディア「Spice」を運営するSpice Lab Pte.Ltd.(シンガポール)を買収しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 東南アジア市場におけるサービス展開のさらなる拡大
東南アジアでの女性向けコンシューマーマーケティングを強化
M&Aの実行日 2019年2月28日までに買収完了予定

③電通によるDigital Evolution Group LLCのM&A

グローバルブランド「Isobar」における米国の事業規模拡大とサービス機能強化に取り組む電通は、海外本社である電通イージス・ネットワークを通じて、総合デジタルマーケティング会社であるDigital Evolution Group LLC(米国)の全株式を取得し完全子会社化しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 DEG社のブランド呼称を「DEG,Linked by Isobar」に改称し、
競争力の高いデジタルマーケティングサービスを提供し、
米国における成長戦略の加速化を図る
M&Aの実行日 非公開(2018年12月発表)

④ACCESSの連結子会社によるNorthforge社のM&A

ACCESSは、組み込み機器向けネットワークOSを販売する連結子会社のIP Infusion Inc.を通じ、ネットワークインフラ・セキュリティ分野を専門とする開発ベンダーNorthforge Innovations Inc.(カナダ)の全株式を取得して完全子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 11億900万円〜18億8,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ACCESSはIPIにおける「OcNOS®」事業のさらなる加速を図る
M&Aの実行日 2018年8月1日

⑤日立製作所によるREAN Cloud LLCのM&A

日立製作所の米国子会社であるHitachi Vantaraは、パブリッククラウドのサービス事業を展開するREAN Cloud LLCを買収しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 グローバルにハイブリッドクラウドやマルチクラウドを含むクラウド関連サービス事業を拡大
M&Aの実行日 非公開(2018年7月)

⑥NTTデータによるMagenTys Holdings LimitedのM&A

NTTデータは子会社である英国NTT DATA EMEA Ltd.を通じて、英国のMagenTys Holdings Limitedの発行済み株式総数100%を譲り受け完全子会社化しています。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 既存のサービスおよびMagenTys社のDevOpsケイパビリティを活用し、顧客のデジタルトランスフォーメーションをさらに支援する
M&Aの実行日 非公開(2018年6月発表)

⑦日本電気によるNorthgate Public Services LimitedのM&A

日本電気は、投資ファンドであるCinvenより、英国を中心に公共分野向けのソフトウェア事業やサービス事業を展開するNorthgate Public Services Limitedを買収しました。
 

譲渡・売却価額 約713億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 NPSにおける警察向け事業の支援・強化
新たなセーフティソリューションを開発・確立し、英連邦を中心に
海外市場への展開を図る
M&Aの実行日 2018年1月末

⑧デンソーによるInfiniteKey社のM&A

デンソーは、米国のベンチャー企業であるInfiniteKey社を買収しています。

InfiniteKey社は、スマートフォンを⾞両の鍵として用いるスマートキー/スマートエントリーに関する特許技術を保有するソフトウェア開発会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 InfiniteKey社の持つノウハウや経営資源の活用により、高いセキュリティと利便性を備えたスマートキー活用事業の展開を加速
M&Aの実行日 非公開(2017年12月)

⑨NTTコミュニケーションズによるSecure-24社のM&A

NTTの子会社であるNTTコミュニケーションズは、Secure-24 Intermediate Holdings, Inc.の全株式を取得して完全子会社化しました。

Secure-24 Intermediate Holdings, Inc.は⽶国⼤⼿ITマネージドサービス事業者で、SAP・Oracleなどアプリケーションの保守・運⽤に強みを持つ会社です。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 SAPやOracleなどのアプリケーションを効率的に保守・運⽤する体制の強化
顧客のハイブリッドIT環境を保守・運⽤するマネージドサービスの提供能⼒を拡⼤
グローバル規模の旺盛な需要へ対応する力を向上
M&Aの実行日 2017年11月13日

⑩野村総合研究所によるSMS Management & Technology LimitedのM&A

野村総合研究所の完全子会社であるASG Group Limitedは、SMS Management & Technology Limitedの発行済株式を100%取得し子会社化しました。

SMS Management & Technology Limitedは、通信会社や金融機関を主要顧客とし、フロント業務のコンサルティングとITシステム導入を強みとする会社です。
 

譲渡・売却価額 103億4,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 幅広い業種の顧客に対しバックオフィス業務からフロント業務まで
一連のサービス提供が可能となる
オーストラリアにおけるITサービス市場でのさらなる事業拡大
M&Aの実行日 2017年9月下旬

⑪日本電気によるArcon Informatica S.A.のM&A

日本電気は、中南米地域の統括会社NECラテンアメリカ社を通じて、同国のITセキュリティ企業Arcon Informatica S.A.を買収しました。
 

譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ブラジルでITセキュリティ事業の拡大推進
両社の既存顧客に対するクロスセル(相互販売)によるシナジー効果の創出
M&Aの実行日 非公開(2016年8月)

【関連】IT・ソフトウェア業界のM&A事例25選!業界動向・M&Aの流れ・成功のポイントまで

16. エンジニア派遣・SES事業のM&A事例3選

続いて、エンジニア派遣・SES事業のM&A事例を3つご紹介します。

【ITエンジニア派遣×ITエンジニア派遣】夢真ホールディングスによるネプラスの買収

建設技術者とエンジニアの派遣事業を行う会社である「夢真ホールディングス」は、IT機器の販売、レンタルやITエンジニア派遣など行う事業を展開する企業である「ネプラス」を買収しました。

2018年10月に全株式を売却しています。売却額は20億円です。

クレスコによるエニシアスのM&A

システム開発および設計、IT分野でのコンサルティングなど展開する会社である「クレスコ」は、アプリケーション開発、Salesforceの開発支援、SESなどの事業を運営するIT企業である「エニシアス」を買収しました。

M&Aは2020年4月に実施され、買収価額は2億8,000円です。

【SES×金融・不動産】FPGによるケンファーストの買収

全国約5,000の会計事務所、約140の証券会社、地方銀行と提携しリースアレンジメント事業、不動産事業などを行う企業である「FPG」は、金融業界で用いる基幹システムの開発やSES業務などを展開するIT企業である「ケンファースト」を買収しました。

本M&Aは2020年4月に実施され、買収金額は5億7,500万円です。

17. M&A総合研究所による成約事例3選

M&A総合研究所による成約事例3選を紹介しましょう。

①IT技術商社によるM&A

M&A総合研究所による成約事例は、IT技術商社によるM&Aです。

売り手企業は、非IT会社の専属システム会社として立ち上がり、外部のシステム開発やIT技術サポートなどに取り組むことで事業成長を遂げたシステム開発会社です。お客様のニーズに精一杯応えることで着実に成長してきましたが、後継者不在のためITに特化した大企業との提携が不可欠と考えるようになりました。

買い手企業は、約40億円の売上規模を誇るJASDAQ上場のIT技術商社です。今回のM&Aは、将来的に事業上のシナジーのみならず、企業間での人材交流によるスキルアップや事業の多角化が期待できるとしました。

②情報通信業によるM&A

M&A総合研究所による成約事例は、情報通信業によるM&Aです。

売り手は、情報通信業を行っている設立が比較的浅い企業です。事業自体は安定的な収益を生み出していましたが、成長性やスピード感に限界を感じており、さらなる事業の発展のためM&Aを実施したいと考えていました。

買い手は、情報通信業を行う売上50憶円以上を誇る上場企業です。今回のM&Aにより両社の成長を加速させ、事業拡大と新規事業への参入を図ります。

③システム開発業によるM&A

M&A総合研究所による成約事例は、システム開発業によるM&Aです。

売り手は、システム開発業を行っている従業員30名程度の中小企業です。事業自体は年々成長を拡大していましたが、人材の確保やマンネリ化、マネジメントなどの面で、これ以上の成長は難しいと考えていました。

買い手は、システム開発業を行う上場企業です。今回のM&Aは、事業領域が近しく両社ともに相当なシナジー効果が生みだせるとし、経営者や従業員にとってメリットがあるとして実施されました。

18. IT業界のM&Aアドバイザーコメント

企業情報第二本部 第二部 部長
鎌田 実築

三菱UFJ銀行にて中堅中小企業法人担当として、企業再生支援、事業承継支援、資産活用コンサルティング等幅広く活動。その後M&Aアドバイザーとして複数の業種で成約実績を積み、規模・エリアも問わず幅広い相談に対応。

IT業界の全体像

IT業界は、システム・ソフトウェア開発、アプリ・WEB制作、情報処理、通信等、情報技術を専門とした業界です。発展を続ける当業界は多様化が続き、これからも市場拡大が予想されており、M&Aについても最も盛んに行われている業種とも言われております。
M&Aが多く行われる業界となっている理由として、業界の特徴が2つが挙げられます。

IT業界の特徴

まず一つ目の特徴は、「慢性的な人材不足」です。IT業界は技術の進歩が速いため、新たな技術を扱える人材が常に求められます。また、比較的新しい産業と捉えがちのIT業界ですが、既に60年を超える歴史があり、中心メンバーの世代交代が必要な中小IT企業も多く見られます。

企業の大小、売り側買い側を問わず、優秀な人材を持った企業とM&Aをすることで、自社の成長・発展に必要な人材を効率的に確保することが可能となるため、この選択肢を選ばれる企業が増えている一つの理由になっています。

二つ目の特徴は、「多重請負型構造」です。IT業界は建設業界や自動車業界と同様に、多重請負のピラミッド構造になっています。多重請負型とは大手が請け負った案件を数多くの下請け企業に委託、この下請け企業が孫請け企業に委託し、業務を行うという構造です。そのため下請けや孫請け企業は案件の単価が下がり薄利となり、従業員の待遇も大手のそれと比べると悪くなります。

この様な構造は、大手にとって必要な時だけ発注出来るというメリットがありましたが、前述の人材不足の影響もあり、常に必要な技術を持つ下請けであれば、M&Aをすることで、発注先を確実に確保出来るようになります。また、多重請負構造において、孫請け企業以下の階層で委託を受けていた企業側は、M&Aにより大手企業のグループ会社となることで、多重請負のピラミッドを脱し、大手企業により近い単価で委託を受けられ、従業員の処遇も改善が見込めます。売り側買い側双方にメリットがあるため、これらも多くのIT企業がM&Aを選択する理由になっています。

IT業界の今後の展望

最後に今後のIT業界の展望としては、更なる業界の多様化に伴い、M&Aが益々増えていくものと予想しています。
IT業界は、人材で成り立っています。また、必要とされる人材は、技術の進歩と共に、目まぐるしく変化しています。M&Aにおける中小企業についても、同じことが言えます。

そのため、将来的にM&Aを検討している中小企業経営者様は、業界での自社の立ち位置を常に把握し、市場に確りと必要とされている時期を逃さずにM&Aの決断をすることが、良い結果に繋がるものと考えられます。
 

19. IT企業のM&A・売却・買収事例のまとめ

IT企業のM&Aは活況を呈しています。今後のIT業界におけるM&A動向は、ますます勢いを増すことが予想されます。異業種・他業種からの参入や、異業種・他業種へのM&Aが増加するでしょう。

IT企業のM&Aによる売却・買収は専門知識が必要となるため、M&A仲介会社のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

20. IT業界の成約事例一覧

21. IT業界のM&A案件一覧

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