M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)からPMIまでを徹底解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aにおける人事は、経営陣の離脱や優秀な社員の退職など、人材流出を招く可能性のある大事な分野です。本記事ではM&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)と、人事PMIのプレ・クロージングからポスト・クロージングまでの流れを、必要性や目的とともに解説します。

目次

  1. M&A人事の目的
  2. M&Aにおける人事に必要なもの
  3. M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)の詳細
  4. 人事DD(デューデリジェンス)の手順
  5. M&Aにおける人事PMIの詳細
  6. M&A人事においてアドバイザーに依頼する重要性
  7. M&Aにおける人事まとめ
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1. M&A人事の目的

M&Aによって会社を買収する際には、会社を統合するためにさまざまな部分の擦り合わせをしなければいけませんが、問題になりやすいのが人事面です。

M&Aは成功よりも失敗に終わる件数の方が多いですが、そのほとんどが人事制度の不備によって、買収された会社の人材流出が相次いでしまうことが原因です。近年はどの業界も技術の先端化が進み、M&Aによる買収も優秀な人材の確保を目的に行われることが増えています。

そのような中で人材流出を食い止めることが、M&Aの成功にも直結します。M&A人事を有効に行えている企業はまだ少ない状況ですが、今後はM&A人事の重要性が増していく時代となるでしょう。

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2. M&Aにおける人事に必要なもの

M&A人事と一言でいっても、そこにはいくつかの段階があります。その中でも、人事DD(デューデリジェンス)と人事PMIを効果的に行うことが重要となるでしょう。

人事DD(デューデリジェンス)とは

DD(デューデリジェンス)とは、買収する会社の中身を精査することです。買収する側と買収される側がM&Aに合意したとしても、実際に統合されるまではいくつかの段階を踏む必要があるでしょう。

その間に、買収する側が買収される側の事業内容を、財務、法務、IT、ビジネスなど、あらゆる面から調査します。その中で人事面の調査を人事DD(デューデリジェンス)と呼びます。


人事DDでは、組織の人事ルールや管理システム、現実の運用状況について詳細に調査することです。また、従業員の構成、報酬の水準、スキルや能力などに関する情報を集めて分析します。これにより、買収に伴うリスクと機会を明確にし、適切な判断材料を提供します。

人事PMI

PMIとは、会社統合後のマネジメントのことです。DD(デューデリジェンス)によって、買収した会社をあらゆる面から調査した後は、そのデータを元に、実際にどうやってマネジメントしていくかを決める必要があります。その中でも、人事面のマネジメント方法を決めるのが、人事PMIです。

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3. M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)の詳細

M&Aによって買収した会社の人事面を精査する人事DD(デューデリジェンス)は、実際どのように進められていくのかを解説します。

人事DD(デューデリジェンス)の必要性

財務、法務、IT、ビジネスなどいくつものDD(デューデリジェンス)がある中で、人事DD(デューデリジェンス)を重視していない企業は多く、特にM&Aの経験が少ない企業では人事DD(デューデリジェンス)を後回しにする傾向があるでしょう。

しかし、買収する会社の人事DD(デューデリジェンス)を行うことによって、幹部や優秀な社員のモチベーション低下を防ぎ、人材流出を防げます

買収する企業の人事システムがどのように機能しているかを精査することで、統合後に人事システム上の無駄な出費を抑えられます。人事DD(デューデリジェンス)を行うことで、無用なトラブルや出費を減らす効果があるでしょう。

人事DD(デューデリジェンス)の目的

人事DD(デューデリジェンス)の目的は大きく分けて3つあります。その目的をひとつずつご紹介しましょう。

ディールキラー分析

ディールキラーとは、M&Aによる統合を邪魔する要因のことです。ディールキラーとなり得る要因は、法律やシステム上の問題、人材に関することなど、さまざまです。特に人事DD(デューデリジェンス)の場合は、買収する会社の経営陣がディールキラーとなる可能性をしっかり分析します。

ディールキラー分析をしないと、途中まで進んでいたM&A案件がいきなり頓挫することになり、大きな損害を被ることになるでしょう。このような、大きな損害となり得るディールキラーの要因をあらかじめ洗い出しておくことで、人事PMIの段階で適切な対処法を作り出せます。

バリューション項目の分析

バリューションとは企業価値評価のことです。買収する予定の会社が、予定している買収額に対して適正かどうかを判断します。

M&Aの金額はお互いの交渉によって決められますが、そのときにベースとなる金額があると交渉がスムーズに進むでしょう。 バリューション項目を分析することで理論上適正なM&Aの値段を算出するのが可能です。

企業価値を評価する方法には、その会社の収益力から算定するインカムアプローチや、保有資産の価値から算定するコストアプローチ、一般的な市場価値から判断するマーケットアプローチがあります。 よく使われるのはインカムアプローチですが、たいていはいくつかのアプローチから総合的に判断します。

人事DD(デューデリジェンス)の場合は、買収する会社にいる人材の市場価値も算出するケースがあるでしょう。その企業の優秀な社員が持っている技術は、将来的にいくらの市場価値を生み出すのかなど、数字には表れにくい人材の価値も含めることで、より効果的な分析が可能になります。

リスク分析

リスク分析とは、M&Aによって買収が完了した後に起こり得る問題をあらかじめ洗い出すために行う項目です。リスク分析を怠ると、M&A完了後に思わぬ負債や問題点を抱えることになってしまいます。

例えば、アメリカでは近年、M&A完了後に、買収された企業の元社員がパワハラやセクハラがあったことを告発する事例が多発しています。

この場合、損害賠償請求はM&Aによって買収した会社へ請求されるでしょう。このような、数字では見えない部分までリスク分析を行う必要があります

人事DD(デューデリジェンス)の注意点

人事DD(デューデリジェンス)には注意点もあります。人事DD(デューデリジェンス)をより正確に行うためには、買収する企業の経営陣や社員に対する細かい調査も必要になります

人事DD(デューデリジェンス)では、家族構成や社内での立ち位置や評判など、踏み込んだところまで調査する必要があるでしょう。

しかし、あらかじめ秘密保持契約を結んでいるとはいえ、プライベートなことまで聞かれることに抵抗感を示す経営陣や社員も中には出てきます。このことが不信感となり、人材流出につながる可能性があります。

経営陣に対する細かいインタビューは、評価によっては解雇される可能性があるといった不安感を抱かせる可能性もあるでしょう。そのことで経営陣のモチベーション低下につながる場合や、経営陣の一斉退職となってしまう危険性もあります。

人事DD(デューデリジェンス)を行う際は、相手の心情を把握しながら、細やかなコミュニケーションを続けるのが大切です。

人事DD(デューデリジェンス)の対象

人事DD(デューデリジェンス)の対象となる領域はさまざまです。経営陣や社員に対する人事DD(デューデリジェンス)や、労働時間、有給などの労務管理に関する人事DD(デューデリジェンス)、人事システムに関する人事DD(デューデリジェンス)や、労働組合に対する人事DD(デューデリジェンス)などがあります。

人事DD(デューデリジェンス)は幅広く行われるため、財務、法務、IT、ビジネスなど他のDD(デューデリジェンス)と重なることがほとんどです。

人事の視点だけでDD(デューデリジェンス)を行うと、見つけられない穴も出てきます。人事DD(デューデリジェンス)を行う際は、多分野からアプローチすることが重要です。

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4. 人事DD(デューデリジェンス)の手順

人事DD(デューデリジェンス)は、基本的に以下の手順に沿って進められます。

 

手順 補足
秘密保持契約の締結 人事デューデリジェンスでは、従業員の報酬やその他の個人情報を含む広範囲なデータ収集が必要。このため、情報の流出リスクを防ぐために秘密保持契約を結ぶことが重要。
就業条件の分析 各社員の就業条件を詳細に調べることで、現在の人事制度をそのまま新しい会社で継続した場合の財務的な影響を把握できる。また、就業規則の変更が従業員にとって不利益な変更となるリスクも評価できる。
基幹人事制度の分析 基幹人事制度の分析を行うことで、人件費の水準やその構成要素を理解し、これが将来どのように変動するかを予測できる。この情報は、事業計画の策定時における財務的な影響を判断する際に役立つ。
退職金・年金制度の分析 退職金や年金制度の統合は、企業の財務に大きな影響を与える可能性があるため、必要に応じて年金計算の専門家(アクチュアリー)に相談することが重要。
企業文化・人事システム・労使関係等の分析 各社の事業運営スタイルを詳しく調べることで、新会社の円滑な運営に向けた課題を特定できる。
分析結果の活用 人事デューデリジェンスを通じて事前にリスクを予見し、これを踏まえた上で新人事制度への移行措置やコミュニケーションプランを綿密に計画することで、制度のスムーズな移行が可能となる。

自社で人事DDを行う際の参考にしてください。

5. M&Aにおける人事PMIの詳細

人事DD(デューデリジェンス)が終わると、次は人事PMIを行います。M&Aにおける人事PMIとは、人事に関する買収後のマネジメントのことです。ここからは人事PMIを解説します。

人事PMIの必要性

人事DD(デューデリジェンス)と同様に、人事PMIも他の分野のPMIに比べて重要視されない傾向があるでしょう。その理由として、法務や財務などのPMIは、専門知識を持つ人間がマネジメントをしないとうまく機能しないことが容易に想像できます。

しかし人事PMIは、人に対するマネジメントであれば専門知識がなくても何となくできるといったイメージを持つ経営陣の多さが原因です。

ところが実際は人材の評価や人材配置、給与体系や労務管理など、適切なPMIを進めないと人材流出につながってしまう緻密な作業が、人事PMIには必要とされます。

技術力の高い人材の奪い合いが激しい現在のビジネスでは、M&Aが成功するか失敗するかは、適切な人事PMIによって人材流出を防げるかにもかかっています。

人事PMIの目的・メリット

人事PMIの目的は、M&Aによって買収する企業と買収される企業の人材面の統合をスムーズに行うことにあります。人事PMIを行うメリットは、以下が挙げられるでしょう。

  • 会社組織の方向性、戦略の実現に向けた従業員の意識を統合とモチベーション向上が期待できる
  • 柔軟な人材の再配置が可能
  • 人事管理の一本化で業務の効率化が可能となり、戦略的業務に注力できる

しかし、人事PMIが適切に行われないままM&Aが終了すると、労働条件や企業風土の変化に不満を持った社員の人材流出を招いてしまいます。人事システムの統合が不十分なままM&Aによる統合が進んでしまうと、多額の無駄な費用が発生してしまうでしょう。

人事PMIによって買収する企業の不安や不満を解消する施策を打っておかないと、M&Aが終わった後に経営陣や労働組合とのトラブルが発生するリスクもあります。

このように、人事PMIを行う目的は、M&Aによる人材面のシナジー効果や業務効率化などの前向きな目的と、無用な損失やトラブルを防ぐ後ろ向きな目的の両面があるでしょう。

人事PMIの対処法

人事PMIの対処法は、M&Aの形によって方法も変わってきます。

会社分割の場合

会社分割とは、会社の事業の一部や全部を分割して承継することです。事業譲渡と似ていますが、会社分割の場合は事業を承継する際に労働条件がそのまま引き継がれます。相手の会社の社員から同意を得る必要がありません。

しかし、承継した会社と相手の会社の労働条件が違うことは、後々労働条件を巡ってトラブルになる可能性があるでしょう。

承継する会社は、相手の会社の社員に対して、承継する理由や条件、問題点などを詳細に説明することが求められます。これはあくまで努力義務ですが、きちんとした説明を行わないとさまざまなトラブルの可能性が高くなるため、人事PMIをきちんと計画・実行によって対処するのが大切です。

事業譲渡の場合

事業譲渡の場合は、会社分割と違って相手会社の社員から同意が得られれば労働条件を承継する必要はありません。つまり承継した会社の労働条件にそのまま当てはめることが可能です。

しかし実際は、相手会社の社員の中で、それまでの労働条件よりも不利な部分があった場合、同意しない社員も出てきます。その場合、どう労働条件を擦り合わせるかを人事PMIによってしっかりと練っておく必要があります。

事業譲渡の場合、相手の会社に人事機能がないケースがあるでしょう。そうなると承継した会社と相手の会社の人事機能がかみ合わず、相手の会社が孤立してしまう場合もあります。

そうならないためにも、人事PMIによって人事システムの統合計画を作っておかなければいけません

合併の場合

合併の場合は、会社分割や事業譲渡のように一部の事業を承継するのではなく会社丸ごとの統合なので、相手の会社の人事制度や人材がそのまま残ることになります。そのまま別々の人事システムで運営していくことも可能です。

しかし、それではお互いのシナジーが生み出せないうえに、無駄な費用が出てしまいます。そこで、人事PMIによって人事システムの統合を目指すことになるでしょう。

もともと似たような人事システムを採用していれば比較的スムーズに進みますが、それでも細かい調整が必須になるため、緻密な人事PMIが必要になります。

人事PMIの注意点

人事PMIは、他の分野のPMIよりもダイレクトに社員の感情に触れることになります。統合される側の経営陣や社員は、M&Aによって自分たちの労働環境がどのように変化するのか大きな不安を感じています。

そこで十分なコミュニケーションがなかったり、配慮が足りなかったりすると、優秀な社員の人材流出にもつながってしまうでしょう。

人事PMIの計画を作成するときは法務や財務寄りの計画に偏りがちですが、会社の理念や社風、経営陣の特徴、キーマンの社員は誰なのかなど、数字に出てこない部分のPMIを怠らないことが、M&Aの成功につながります。

人事PMIの時系列

続いては実際に人事PMIがどのような流れで行われるのかを、プレ・クロージングからポスト・クロージングまで、そしてM&A完了後に行われるポストPMIまでご紹介します。  

プレ・クロージング(計画立案)

プレ・クロージングは、まだ人事PMIの計画の段階です。この時点では会社が統合されていないので、プレ・クロージングで実際にやれることは限られています。

プレ・クロージングでは、人事DD(デューデリジェンス)を元に統合後のPMIでどのような施策を実行すれば良いかを練っていくことが主な作業になります。

しかし、この段階でも経営陣や社員とのコミュニケーションを密に取っておかないと、人材流出につながってしまうでしょう。プレ・クロージングの段階から時間をかけて人材流出に対する施策を打っておくことで、優秀な社員の不安や不満を吸収し、人材流出を防げます。

経営幹部との交渉

プレ・クロージングを進めながら、経営幹部との本格的な交渉の段階にも入っていきます。プレ・クロージング段階での経営幹部との交渉は、主に経営幹部の人材流出を防ぐための条件交渉です。

M&Aが公表されると、外部から経営幹部に声が掛かり、引き抜かれて人材流出につながってしまうこともあります。経営幹部のモチベーション低下により人材流出を招いてしまうこともあるでしょう。

しかし、必ずしも全ての経営幹部を引き留めなければいけないわけではありません。プレ・クロージング段階で経営幹部に細かいヒアリングを繰り返すことで、M&A後も会社に必要な人材なのか、精査する必要があります。

従業員との交渉

経営幹部との交渉が進んだら、次は従業員との交渉に入ります。ここでも人材流出を防ぐための交渉がメインとなります。プレ・クロージング段階でありがちなのが、M&Aに関する情報がほとんど従業員に共有されていないために、従業員の不安が高まっていて、M&A完了後に大量の人材流出を招くパターンです。

人材流出を防ぐためにも、プレ・クロージング段階で相手の経営幹部とも連携しながら、従業員に対して情報を適宜開示するなど、人材流出を防ぐための施策を打つことが重要です。

ポスト・クロージング

ポスト・クロージングの段階に入ったら、プレ・クロージングの段階で作った計画を実行します。プレ・クロージングではまだ会社が統合されていませんでしたが、ポスト・クロージングではすでに会社統合が済んでいるでしょう。

この段階では実際に人事システムや人事組織の統合と運営を進めていきます。従業員の研修や福利厚生の統合など、あらゆる計画が実施されていきます。

ポストPMI

プレ・クロージングからポスト・クロージングまでの流れで人事PMIは完了していますが、むしろ重要なのはここからです。ポスト・クロージング後に統合後の会社運営が始まると、人事DD(デューデリジェンス)やプレ・クロージングでは見えていなかった各種問題点が浮き彫りになってきます。

そこで、ポストPMIの段階で再び人事DD(デューデリジェンス)を行い、プレ・クロージングからポスト・クロージングまでをあらためて実施していくのが重要です。ポストPMIによって迅速に問題点を修正していくことで、事業シナジーを生み出せる本当のM&Aが完了します。

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6. M&A人事においてアドバイザーに依頼する重要性

M&Aにおける人事を社内の人材だけで進めようとする企業は多いでしょう。特にM&Aの経験が少ない企業では、人事は外部のコンサルタントやアドバイザーに依頼しなくても何とかなると考えます。

しかし、M&Aの成功率は約3割といわれている中で、M&Aの成功率を上げるには人事面でもM&Aアドバイザーの協力が不可欠です。実際に人事のどのような場面でM&Aアドバイザーが必要になるのか解説します。

企業間の連携

社内の人事部が、M&A人事のタスクに取り組むことは大きな負担になります。日常業務だけでも手一杯の状態で、統合に向けて相手企業とコミュニケーションを取りながら連携していくことは、時間的にも精神的にもギリギリの状態となります。

特にお互いの会社がM&Aの経験が少なく、社内の人材だけでM&A人事を進めていく場合は、スムーズに連携が進まないことが多くなるでしょう。

そこで人事コンサルタントや人事に精通したM&Aアドバイザーが両社の仲介役として入ることで、人事部のM&Aにかかる負担が減少し、日常業務も滞りなく進むようになります。

社内部門間の連携

M&Aを行う場合は、社内部署間の連携も必要になります。人事部だけでは人材不足の場合、他部署の人材も集めてM&A用の人事部門を設置する場合もあるでしょう。しかし、M&Aに不慣れな人材だけで部署間の連携を行う場合は、コミュニケーションの祖語などで無駄な時間が増えてしまいます。

人事コンサルタントやM&A仲介会社は人事だけでなく財務や法務にも通じている担当者がいるので、社内連携の潤滑役として機能してくれます。

M&A人事業務の一貫性

M&A人事にはDD(デューデリジェンス)からPMIまで、さまざまな段階を踏む必要があります。M&Aの実務経験が少ない人材が全ての過程を問題なく進めていくのは困難です。一貫性を持って人事におけるM&A業務を進めていくには、豊富な実務経験が必要です。

M&Aにおける人事業務を円滑に進めるには、経験豊富な人事コンサルタントやM&Aアドバイザーに依頼する必要が出てきます。ただし、全ての人事コンサルタントやM&Aアドバイザーが経験豊富なわけではないので、事前に確認することも必要です。

人材不足の補強

M&Aにかかる工数や時間は想像以上に多いでしょう。当初の予定以上に人員や時間がかかってしまうこともあります。しかし何度もM&Aを行っていて、M&A専門の部署を構えている企業でもなければ、M&Aの業務に関わる人員を増やすことは難しい状況です。

外部のコンサルタントやアドバイザーに依頼することで、専門知識を持った人員を増やせます。外部に依頼する資金負担を懸念する経営者もいますが、社内だけで進める負担を考えると、結果的に安く済むことにもなります。ただし、コンサルティング会社やM&A仲介会社はそれぞれ報酬体系が違うので、よく確認するようにしましょう。

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7. M&Aにおける人事まとめ

M&Aにおける人事は、専門家がいなくても社内で何とかなりそうなイメージがあるため、各分野のDD(デューデリジェンス) やPMIの中でも後回しにされがちな部分です。しかし、M&Aにおける人事は経営幹部や社員のモチベーションに直結し、人材流出にもつながります。

数字では見えない部分も多いので、M&Aにおける人事を滞りなく進めるには、専門家の協力が不可欠です。特に、人事DD(デューデリジェンス)やプレ・クロージングの段階で、どれだけ数字では見えない部分を盛り込めるかが勝負を分けます。

M&A仲介会社を選ぶときは、人事のコンサルティングをできるアドバイザーがいるかどうかも重要なポイントです。

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