M&Aの件数は1年でいくつ?2020年コロナ禍でのM&A件数

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

2019年、日本のM&A件数は過去最高を記録しました。そして、このままM&A件数の増加が見込まれているところに発生したのが2020年のコロナ禍です。2020年、国内のM&Aはどうなったのかについて、海外との関係も交えて統計を読み解きます。

目次

  1. 日本企業によるM&Aについて
  2. M&Aの現状
  3. M&Aの件数推移
  4. M&Aの金額推移
  5. TOB件数と買付金額の推移
  6. 投資会社から国内企業へのM&A件数推移
  7. 2021年のM&A件数の見通しは?
  8. M&Aの件数まとめ
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1. 日本企業によるM&Aについて

日本企業によるM&Aについて

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、会社の合併(Mergers)や買収(Acquisitions)などのことです。

具体的には、株式譲渡事業譲渡株式交換・株式移転・会社合併・会社分割、さらに資本の移動を伴うことから資本業務提携も広義のM&Aとされています。

かつては、M&Aというと会社乗っ取りなどのようなネガティブなイメージもありました。しかし、現在では、業績拡大のための経営戦略、あるいは後継者難の中小企業では事業承継の有効な手段として認知され、日本でも広く実施されています。

また、ベンチャー企業やスタートアップのイグジット戦略として、M&Aを選択するケースも増加傾向にあり、今後もM&Aはますます増えていくだろうとの予測でした。しかし、2020(令和2)年に新型コロナウィルス感染拡大問題が発生し、経済に大打撃を与えたのです。

そこで、激しく落ち込むかとも思われた日本のM&Aですが、大きく増加していた前年、前々年よりは減少したものの、過去36年では3番目に高い成立件数でした。本記事では、そのあたりの詳細情報について、具体数値を掲示しながらひもときます。

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2. M&Aの現状

M&Aの現状

最新2020(令和2)年のM&Aがどうであったのか、レコフデータの発表資料を基に分析します。なお、レコフデータの統計は、公表されているM&A=公表義務のある上場企業が関わるM&Aのものです。

したがって、そこには、公表されていない非上場企業間のM&Aについてはカウントされておらず、現実にはもっと多くのM&Aが実施されている点は、お含みおきください。

2020年コロナ禍でのM&A件数は?

2020年に日本企業が関わったM&Aの成立件数を下表にまとめました。
 

種別 件数 前年比
全体 3,730 -8.8%
IN-IN 2,944 -1.9%
IN-OUT 557 -32.6%
OUT-IN 229 -12.6%
(出典:レコフ「2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向)」より)

「IN-IN」とは国内企業同士のM&A、「IN-OUT」とは国内企業が海外企業を買収などしたM&A、「OUT-IN」とは海外企業による国内企業のM&Aのことです。なお、国内企業と海外企業とのM&Aについては、別称でクロスボーダーM&Aともいわれています。

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コロナ禍でのM&Aは9年ぶりに減少

実は、2019(令和元)年までの日本のM&A件数は、8年連続で前年比増を繰り返してきていました。しかし、コロナ禍の影響は大きく、9年ぶりに前年比減という事態となっています。特に、渡航制限もあり海外企業とのM&Aの減少が著しく落ち込みました。

ところが、クロスボーダーM&Aと比較すると、国内企業同士のM&Aは前年比-1.9%ですから、それほど大きな落ち込みとはなっていません。全体のM&A件数3,730件という数字も、2019年と2018(平成30)年に次ぐ歴代3位の記録です。

もう1つ、M&A件数ではなく、M&Aが成立した際の取引金額に関する統計もあるので掲示します。
 

種別 金額 前年比
全体 14.7兆円 -17.2%
IN-IN 3.3兆円 -43.9%
IN-OUT 4.4兆円 -57.2%
OUT-IN 6.9兆円 4.8倍
(出典:レコフ「2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向)」より)


この統計では、M&Aの成立件数は大きな落ち込みにはならなかったものの、それぞれのM&Aの規模は小さな金額のものが多かったことがわかります。これは明らかにコロナ禍の影響でしょう。

なお、OUT-INの取引金額ですが、従来OUT-INのM&Aは1件あたりの成約金額が大きくなる傾向があります。したがって、2020年の場合もたまたま前年より大きなM&Aが成立したと見るべきであり、特にコロナ禍との関連性は見いだせません。

2017年に初めて3,000件を超えた

2020年の日本のM&A件数は3,730件でした。レコフデータの過去の資料を見ると、記録が残っている1985(昭和60)年以降で、初めてM&A件数が3,000件を超えたのは2017(平成29)年の3,050件です。

これは、リーマン・ショック、さらに東日本大震災を経て2012(平成24)年以降から、日本全体の経済が復調するのに歩調を合わせるかのように、M&A件数も毎年、増加の一途をたどり3,000件を突破しました。そして、まだそれから4年しか経っていません。

2019年には4,000件超を記録

引き続きレコフデータの資料をひもといてみましょう。2018年のM&A件数は3,850件とさらに大きく数字を伸ばしました。そして、翌2019年には4,088件となり4,000件超も果たしています。その時点では、このまま2020年もさらに数値は上昇すると見られていました。

しかしながら、コロナ禍の影響は大きく、先述のとおり、2020年のM&A件数は前年比減となっています。それでも、3,730件という成立件数は2018年に肉薄する3位の記録です。これは、この数年間で、それだけM&Aが広く浸透した結果の表れと見ていいでしょう。

 

M&Aが浸透してきた理由

M&Aがこれだけ浸透したのは、大企業、中小企業、ベンチャー企業やスタートアップ、それぞれにおいて、M&Aが有効な手段となったからにほかなりません。その具体的な理由は、以下のとおりです。

 

  • 事業規模の拡大による利益の向上
  • 経営者の高齢化と人口減少による事業承継
  • イグジット戦略として

それぞれの理由を解説します。

事業規模拡大による利益の向上

一般に企業が業績拡大を図ろうとするとき、取り得る選択肢は、現在実施している事業の規模を拡張させるか、新規事業に参入するかとなります。そして、そのどちらを実現させる場合でも有効な経営戦略がM&Aです。

すでに行っている事業において自社単独で市場シェアを大きく伸ばすのは簡単なことではありません。また、新規事業に参入するとなれば、これも難しく、成功できるかどうかというリスクまであります。

それらの解決手段として最適な方法が、M&Aで同業他社を取り込んだり、別事業を行っている会社を傘下に加えたりすることです。つまり、M&Aを実施すれば、時間やコスト、リスクを減少させて業績拡大を図るチャンスを得られます。

これが、一定の資本力がある大企業や上場企業などにおいて、M&A実施が選ばれる大きな理由です。

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経営者の高齢化と人口減少による事業承継

近年、日本の中小企業全体の大きな経営課題とされているのが、後継者不足による事業承継問題です。高齢を迎える経営者に引退の時期が迫る中、多くの中小企業が後継者難で事業承継ができず、廃業の危機にあります。

これまで中小企業の事業承継は、経営者の子供など親族が後継者となる親族内承継が広く行われてきました。しかし、近年、少子化と価値観の多様化を背景として、親の後を継ぐ子供が激減し後継者難となる中小企業が増えています。

次善の策として、従業員や役員が後継者となる社内承継もありますが、その場合、相続では会社の株式(=経営権)を引き継げない後継者は、株式を買取るために高額な資金が必要です。それがネックとなり後継者候補が辞退すれば、事業承継ができません。

そこで、現在、脚光を浴びているのが、M&Aによって第三者に会社を売却し、その買い手が後継者(新たな経営者)として事業承継することです。経営者としては、売却益で老後の生活資金なども確保でき、積極的にM&Aによる事業承継が行われるようになってきました。

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イグジット戦略として

イグジット戦略とは、投資資本を回収する出口戦略のことを指します。従来、日本のベンチャー企業やスタートアップでは、イグジット戦略としてIPO(Initial Public Offering=新規株式公開)が多く行われてきました。

ところが、海外、特にアメリカなどでは、ベンチャー企業のイグジットにM&Aが選ばれることの方が多いのです。IPOの場合、結果的にM&Aよりも多額の売却益を得られる可能性はあります。

しかし、IPOの実現には、その準備の内容、要するコスト・時間などハードルが高く、どんな企業でも簡単に実施できるものではありません。その点、2社間の交渉で成立するM&AであればIPOほどの困難さはなく、実現可能性も高いのです。

したがって、近年では、日本のベンチャー企業やスタートアップも、アメリカのようにM&Aをイグジット戦略の主軸として捉えるケースが増えてきています。

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3. M&Aの件数推移

M&Aの件数推移

ここからは、日本企業のM&Aの成約件数の推移を振り返ります。

M&Aの総件数推移

レコフデータにより公表されている1985年以降の日本のM&A件数は、下表にようになっています。数値は、IN-IN、IN-OUT、OUT-INの合計値です。

実施年 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993
M&A件数 260 418 382 523 645 754 638 483 397
 
実施年 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
M&A件数 505 531 621 753 834 1,169 1,635 1,653 1,752
 
実施年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
M&A件数 1,728 2,211 2,725 2,775 2,696 2,399 1,957 1,707 1,687
 
実施年 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
M&A件数 1,848 2,048 2,285 2,428 2,652 3,050 3,850 4,088 3,730

この表で注目するべき点は以下の2つです。
 

  • 1993年から2006年にかけてM&A件数が大幅に増加
  • 2011年から2019年にかけてM&A件数が増加

それぞれの増加要因について考えてみましょう。

1993年から2006年にかけてのM&A件数の大幅な増加

1つ目の注目点は、1993(平成5)年から2006(平成18)年にかけて、M&Aの件数が大幅に増加している点です。この時期の増加傾向の背景には、バブル経済の崩壊(1991(平成3)~1993年)があります。

バブル崩壊後、日本経済や日本企業の成長率はバブル崩壊前に比べてとても小さくなりました。政府は経済を立て直すために、さまざまな規制緩和を行うなどの対策を取っています。しかし、規制緩和により恩恵を受けるのは特定の分野だけでした。

規制緩和に関係していない分野の企業は、規制緩和による恩恵を受けるためや、会社の成長の起爆剤とするためにM&Aを積極的に行ったのです。このような企業が増加したため、2006年にかけて大幅にM&A件数は増えたと考えられます。

2011年から2019年にかけてのM&A件数の増加

注目するべき点2つ目は、2011(平成23)年から2019年にかけてM&A成約件数が大幅に増加している点です。特に2017年からは3,000件を超えて、2019年には4,088件と過去最高を記録しました。この背景には、2つの理由が考えられます。

1つは、日本経済全体でいうと、東日本大震災からの復興を期しアベノミクスの発動によって、景気を向上させました。もう1つは、中小企業の事業承継です。前述したように、後継者難の中小企業が、事業承継の手段としてM&Aを用いることが、この時期に浸透しました。

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M&A件数の内訳

日本企業が関連するM&Aは、以下の3種に分けられます。

 

  • 国内企業同士(IN-IN)のM&A
  • 国内企業から海外企業(IN-OUT)へのM&A
  • 海外企業から国内企業(OUT-IN)へのM&A

それぞれのマーケットの特徴について分析します。

国内企業同士(IN-IN)のM&A件数推移

国内企業同士(IN-IN)のM&Aの件数は、2020年では全体の約79%です。国内企業同士のM&Aの件数推移は、全体のM&A件数と同じように推移しており、1993年から2006年にかけての大幅な増加と2019年にかけての増加が見られます。

国内企業同士のM&Aの成約件数は、特に医療業界で増加しており、一例としては、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収や、富士フイルムによる和光純薬工業の買収が有名です。また、近年ではベンチャー企業のM&Aも活発に行われています。

国内企業から海外企業(IN-OUT)へのM&A件数推移

国内企業から海外企業(IN-OUT)へのM&Aの件数は、2020年では全体の約15%です。ただし、例年であれば大体、約20%でした。国内企業から海外企業へのM&A件数推移は、全体のM&A件数の推移とは異なっています。

1985年からはほぼ横ばいで推移し、2011年ごろから2019年にかけて少しずつ増加しました。2011年ごろからの国内企業から海外企業へのM&A件数増加は、異次元の金融緩和による円安が大きな要因です。

これにより、積極的に海外企業とM&Aを行おうとする日本企業が増え始めました。例としては、以下のようなM&Aが挙げられます。
 

  • ソフトバンクグループによるアーム・ホールディングス(イギリスの半導体開発大手)の買収
  • アサヒグループホールディングスによるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギーのビール事業最大手)などのビール事業の買収
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループによるアユタヤ銀行(タイ)の買収

海外企業から国内企業(OUT-IN)へのM&A件数推移

海外企業から国内企業(OUT-IN)へのM&A件数は、2020年では全体の約6%ですが、年によっては10%前後の場合もあります。1985年から1990年にかけては、海外企業から国内企業へのM&Aはほとんどありませんでした。

しかし、1991年から2000年にかけてM&A件数は少しずつ増加し、以降の2019年まではほぼ横ばいで推移しています。1991年から、海外企業から国内企業へのM&A件数が増加している背景には、バブル崩壊があります。

日本には、バブル崩壊後の不景気により、優れた技術を持っているにもかかわらず、経営が成り立っていない企業がたくさんありました。そこに目をつけた海外企業が増えたため、海外企業から国内企業へのM&A件数が増加したと考えられます。

一例としては、台湾の鴻海(ホンハイ、世界最大の製造受託メーカー)によるシャープの買収が有名です。

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4. M&Aの金額推移

M&Aの金額推移

ここでは、日本企業のM&Aの取引金額の推移を見てみましょう。M&A件数と同様に、M&A取引金額の全体推移を掲示し、M&Aマーケットごとの金額推移を分析します。

M&Aの総金額推移

レコフデータの統計資料には、M&Aの総取引金額の推移も公表されており、それを抜粋して下表にまとめました。なお、金額単位は億円です。

実施年 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991
総金額 2,072 5,070 6,839 15,547 61,747 44,804 17,986
 
実施年 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998
総金額 12,516 10,965 7,956 47,831 17,822 22,418 34,778
 
実施年 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
総金額 180,955 116,135 82,824 49,511 58,007 121,828 117,561
 
実施年 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
総金額 151,264 125,043 126,172 79,827 67,726 109,089 123,494
 
実施年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
総金額 86,206 89,109 163,489 166,823 127,594 298,802 180,295
 
実施年 2020
総金額 147,741

この表で注目するべき点が2つあります。1つ目は、2004(平成16)年以降はM&Aの総取引金額が6兆円を下回っていないことです。

また、それ以前で特に金額が多い1999(平成11)年に関しては、M&A件数が1,000件程度にもかかわらず、総金額が18兆円であることから、超大型のM&Aが実施されたことがわかります。

2つ目は、2018年のM&A総金額が過去最高額であることです。したがって、2018年は超大型のM&Aが実施されたため、過去最高額になったと考えられます。

国内企業同士(IN-IN)のM&A金額推移

国内企業同士(IN-IN)のM&A金額は、1999年に約12兆円と最高金額を記録しています。また、2004(平成16)年と2005(平成17)年の国内企業同士のM&A金額は約9兆円となっており、1999年に次いで2位と3位です。

それ以降は減少傾向にありましたが、2019年には約6兆円と増加しました。国内企業同士のM&A取引総額が減少傾向にあったのは、M&A件数の増加に対して反対の相関があると見られています。

つまり、大手企業同士のM&Aが中心だった時代から、大手が中小企業を傘下にするM&Aが増えた結果、成立件数は増加する一方で、取引総額は減る結果となったのです。

M&A成立件数の増加に伴って、M&A仲介会社の数も急増しました。中小企業などで初めてM&Aが実施する場合、どの仲介会社を選ぶかで迷ってしまうかもしれません。しかし、仲介会社によってM&Aの成否が左右されますので、そこは慎重に選びたいものです。

全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任となって、相談時からクロージングまでM&Aを徹底サポートします。

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国内企業から海外企業(IN-OUT)へのM&A金額推移

国内企業から海外企業(IN-OUT)へのM&A金額は、増加傾向にありました。2017年では全体の約60%を占めており、その金額は約8兆円です。2018年は過去最高額を記録しており、全体の約60%と割合はそれほど変わらないものの、金額は約19兆円となっています。

国内企業から海外企業へのM&A件数はほぼ横ばいであることから、1件あたりのM&A金額が増加しているといえるでしょう。しかし、2019年は件数が増えたものの、金額は約40%減少の約10兆円であり、中小規模のM&Aが中心であったことがわかります。

海外企業から国内企業(OUT-IN)へのM&A金額推移

海外企業から国内企業(OUT-IN)へのM&A取引金額は、年度によって金額はばらついています。海外企業から国内企業へのM&A件数は、多い年でも全体の約10%程度しかないため、1件あたりのM&Aの規模によって、その年のM&A総金額が大きく変化するからです。

2017年の海外企業から国内企業へのM&A金額は約4兆円であり、2018年は2倍の約8兆円を記録しています。しかし、2019年には約1兆5,000億円と大幅に減少していることから、大型のM&Aがなく中小規模のM&Aが例年とほぼ同じ件数行われたようです。

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5. TOB件数と買付金額の推移

TOB件数と買付金額の推移

ここでは、日本企業が行ったM&Aの中で、TOB(Take Over Bid=株式公開買付)を行った件数とその規模について分析します。

件数の推移

TOBが行われた件数は、2007年までは増加傾向でした。2007年にTOBが行われた件数は過去最高の約110件を記録しています。しかし、それ以降は減少または横ばい傾向です。

直近では、2017年の約40件から微増して2019年には約50件、2020年には約60件となっていますが、過去最高であった2007年と比べると約2分の1まで減少しています。

買付金額の推移

TOBによる買付金額は、これまでは2006年と2007年、2019年の3回にわたって3兆円を超え、それぞれ約3兆3,000億円、約3兆2,000億円、約3兆円でした。しかし、それ以外の年は全て1兆5,000億円未満です。

ところが、コロナ禍の2020年においては、TOBの金額規模が約5兆円に到達しました。これは、過去最高の断トツの数字です。件数は特に大きな増加ではありませんでしたから、大型のTOBが数多く実施されたことが、その原因となります。

ただし、その理由については、特にコロナ禍と関連するものはないといっていいでしょう。

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6. 投資会社から国内企業へのM&A件数推移

投資会社から国内企業へのM&A件数推移

この章では、投資会社から国内企業へのM&A件数推移を考察します。日本国内外の投資会社から日本企業へのM&A件数の推移は、2005年から2007年が多く、その後はいったん減少しますが、近年では増加傾向です。

2005年から2007年のM&A件数は約350~400件程度であり、当時は過去最高の件数でした。その後、2017年に約600件、2018年には約750件、2019年には877件と毎年、記録更新していたものの、2020年は約820件となっています。

国内投資会社から国内企業へのM&A件数推移

国内投資会社からのM&A件数は、現在、全体の約80~90%です。直近では、増加傾向が見られており、2017年は500件超のM&Aが行われ、2018年には600件超、2019年には約710件と過去最高の件数でした。

また、2020年においても約700件超となっており、前年の微減を保っています。

海外投資会社から国内企業へのM&A件数推移

海外投資会社からのM&A件数は、2004年から2007年にかけては全体の25~40%を占めていました。その後は減少し横ばいで推移していましたが、2017年のM&Aの件数は約80件、2018年と2019年、2020年では100件を超えています。

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7. 2021年のM&A件数の見通しは?

2021年のM&A件数の見通しは?

レコフデータの資料によると、2021(令和3)年3月現在、同年1~2月の2カ月間のM&A成立件数は、約520件です。単純計算すると年間3,120件のペースとなります。一方、取引総額は、約1兆3,000億円で、7兆8,000億円ペースです。

ただし、この単純計算は全く意味がありません。世界的にコロナウィルスに対するワクチン接種が進めば経済も一気に回復するともいわれており、コロナ禍の状況を横睨みしつつ、各企業が自社の状況に応じてM&Aの判断が下されていくことでしょう。

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8. M&Aの件数まとめ

M&Aの件数まとめ

2019年に最盛期を迎えていた日本のM&Aでしたが、2020年のコロナ禍により、その勢いは削がれてしまいました。しかしながら、決して下火になったわけではなく、一時的に減少傾向になっただけに過ぎません。

その証拠に、M&Aの成立件数は過去3番目に高い数字でした。また、コロナ禍による経営の困窮をきっかけにM&Aに踏み切るケースも報告されています。いずれにしても、M&Aを検討する場合には、早期に専門家に相談することが最適の選択です。

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