2022年03月20日更新
M&Aの相談相手はどこがおすすめ?無料の相談先ごとにメリット・デメリットを徹底解説
M&Aを行う場合には、ほぼ間違いなく相談相手が必要となります。M&Aをサポートしている相談相手には銀行や証券会社、税理士や弁護士の事務所、M&A仲介会社が主に挙げられますが、それらの中でどこに相談したら良いかポイントを解説します。
目次
1. M&Aの相談内容
M&Aの相談内容としては、最初からそれほどM&Aに関して確固たる信念を持つ必要はありません。実際に初期の段階で多い相談内容は、売り手側、買い手側によって異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却側の相談内容
売り手側がM&Aの相談をする際は、どのような相談内容が多いのでしょうか。主な相談内容は以下になります。
- M&Aで実施すべきこと・進め方
- 買い手企業が見つかる可能性
- 株価算定の考え方や概算金額
- M&Aを済ませるまでに必要な期間
- 秘密保持について
M&Aで実施すべきこと・進め方
M&Aを検討する場合、売り手側として行うべきことや準備すべきもの、進め方などさまざまなものがあります。M&Aを行うにあたり、一連の流れがどのようになっているのかを相談するケースが多いでしょう。
買い手企業が見つかる可能性
売り手が企業を売却したいといった意思があっても、買い手が見つからなければ、M&A自体が進みません。初期の段階で、自社は買い手企業が見つかる可能性があるのか、専門家へ相談するケースが多いでしょう。
株価算定の考え方や概算金額
M&Aにおける企業の売却金額は、売り手と買い手の交渉によって決まります。厳密な理論によって、決定するわけではありません。
しかし、M&A交渉の土台となる株価算定の考え方や概算金額は、ある程度ルールが決まっています。M&Aの相談の中で、自社に関するおおよその売却金額がわかるといったケースが通常です。
M&Aを済ませるまでに必要な期間
M&Aを行う際は、ある程度まとまった期間が必要になります。実際にどの程度の期間が必要なのかは、自社が選択するM&Aの手法によってさまざまです。
自社のM&Aの場合は、目安としてどのぐらいの期間を要するのか、おおよその目安を専門家へ相談するのがベストでしょう。
秘密保持について
M&Aは、企業秘密で進めるのが一般的です。企業にとって、M&Aに興味がある自体が秘密情報となるため、自社の企業秘密をどのように守るべきなのかを知るのが大切といえるでしょう。
M&Aの過程で売り手企業は、買い手企業の候補があがって、具体的なM&A交渉に入るために「秘密保持契約」を結びます。この秘密保持契約の相談は、売り手企業が多いでしょう。
買収側の相談内容
一方、買い手企業は、どのような相談内容が多いのでしょうか。主な相談内容は以下になります。
- M&A前に準備すべきこと
- 買収に必要な費用・資金繰り
- M&Aの成約までにかかる期間
M&A前に準備すべきこと
M&A前に準備すべきものが買い手企業には多くあります。M&Aにおける相談として、どのようなものを準備すべきか、どのような手続きが必要になってくるなどを相談するのが多いでしょう。
買収に必要な費用・資金繰り
一般的に買収を行う際は、多額の資金が必要です。ただし、M&Aの手法によっては、手元に多額の現金がなくても進められるケースもあります。
自社が行うM&Aの手法は、どの程度の資金が必要で、資金をどのように調達すれば良いのか相談するケースが多いでしょう。
M&Aの成約までにかかる期間
売り手側と同様に、買い手側もM&Aにかかる期間は気になるところでしょう。M&Aの検討段階からM&Aの一連の流れの知識を得ておくのは、期間の短縮に有効です。どのスキームを選択すれば良いのかなどは専門家へ相談すれば理解も深まります。
自社との相性も含め、複数の専門家・M&A仲介会社へ相談した方が良いかもしれません。
2. M&Aの相談相手一覧
M&Aの相談相手、相談の先に契約する相手としてどこが良いのかの観点で、事業者ごとにそれぞれメリットとデメリットを紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aそのものをビジネスにしているので知見も実績もあり、相談をスムーズに進めるのが可能です。
仮に業歴の浅い、規模の小さなM&A仲介会社であったとしても、銀行や証券会社でM&Aや法人融資を経験した人たちの集まりであるのがほとんどでしょう。知見や実績は、あまり心配のない相談相手です。
税理士、会計士、弁護士などが在籍しているM&A仲介会社もあります。M&Aを検討しているのであれば、M&A仲介会社に相談すると、その後のM&Aがスムーズに進められるでしょう。
なお「M&A仲介会社」は、仲介の他に広い意味で「FA」も含むものとします。契約形態と役割の違いはありますが、共通するケースも多く、この言葉の示す意味や使われ方も事業者によって異なるでしょう。
M&A仲介会社のメリット
M&A仲介会社に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 専門家が在籍しネットワークがあるので、案件相談から最終契約締結までのスピードが速い
- M&Aの相手候補先を探すにあたり、幅広いネットワークの中から多くの選択肢を期待できる
- 銀行や証券会社に比べれば、フィーが低い
M&A仲介会社のデメリット
M&A仲介会社に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- フィーによる収入しかなく、それを目的にサポートはおろそかにしてM&Aの成立のみに注力する会社もある
- (仲介の場合)表面上は売り手と買い手の中立でも、買い手はリピート顧客となるので、買い手の味方になるインセンティブもあることに注意が必要
- (FAの場合)利益の最大化を目的にサポートするので、FAが入ると交渉自体が長くなりやすく、破断する可能性も高くなる
税理士・会計事務所
自社の顧問税理士や会計士にM&Aの相談を持ち掛けることは、よくあることです。M&Aを進めるうえで税と会計の知識は必須なので、どこへサポートをお願いしても、いずれどこかの税理士や会計士の協力が得られでしょう。
ただし、M&Aに詳しい税理士や会計士は限られています。企業の顧問税理士や会計士が一般的に備えている知識だけではカバーできない問題もあり、法律やファイナンスなどの知識がある専門家とのつながりがなければ、一部分はアドバイスしか受けられない可能性が高いです。
他の専門家とのネットワークを持っているかどうかが、相談相手としてふさわしいかどうかの判断するポイントといえます。
税理士・会計事務所のメリット
税理士・会計事務所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 会社の決算業務などをお願いする場合に、あらかじめ会社の経理面からよく知っていて話が早い
- 定期的に顧問業務として面談をすると、信頼関係ができて相談しやすい
税理士・会計事務所のデメリット
税理士・会計事務所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- M&Aに詳しいとは限らず、その場合はサポートをしてもらえないか、かなり限定したサポートとなる
- 小規模事務所の場合、ネットワークがないとM&Aの相手を広い範囲から検討するのが難しい
銀行・証券会社
銀行や証券会社も、特に大手であればM&Aの専門部隊をもってサポートしてくれます。ただし、銀行や証券会社は主に上場大手企業などのM&Aサポートに重きを置いており、フィーも高めです。中小企業のM&A案件はあまり扱っておらず、サポートしてもらえない可能性が高いでしょう。
銀行・証券会社のメリット
銀行・証券会社に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 高い専門性や経験を持つM&A専門部隊があり、レベルの高いサポートが期待できる
- 広範な取引先をもつ銀行・証券会社のネットワークを最大限活用できる
- 良好な取引関係で自社の状況も定期的に話せば、自社のことをよく知っているので話が早い
銀行・証券会社のデメリット
銀行・証券会社に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- 中小企業を基準としたサポートではなく、中小企業のM&Aの相手は見つかりにくい
- フィーが高く、規模の小さなM&A案件であれば負担が大きい
- 大きな組織でフットワークが軽いとはいえず、迅速な対応に欠ける面がある
弁護士事務所
顧問の弁護士であれば信頼関係があるので、相談をする敷居は低いでしょう。
弁護士事務所の中にはM&Aの支援や仲介を積極的に行っている事務所があり、実績のある弁護士が対応してくれるところもあります。M&Aにはさまざまな法律が絡むため、この点から見れば強力なサポートが期待できます。
弁護士業界のM&Aは、かつては大企業相手がメインでしたが、新しいジャンルとして中小企業のM&Aを中心に請け負うケースなどが増加しました。
しかし急にM&Aのサポートを行う事務所が増えたせいか、中にはまだかなりM&Aに不慣れな事務所も見受けられます。
弁護士事務所のメリット
弁護士事務所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- M&Aに絡むさまざまな法律関係の書類の作成には不安がない
- M&Aの相手候補先とのトラブルを未然に防ぎ、トラブルが起きた場合の事後対応に大きなサポートを期待できる
- M&Aの最終契約後も、雇用や取引先などの法律関係で引続きサポートが期待できる
弁護士事務所のデメリット
弁護士事務所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- M&Aのサポートを始めて時間が浅い事務所は、不慣れな場合があるので注意が必要
- 税務・財務・ファイナンスに詳しい専門家のネットワークがなければ、充実したサポートは期待できない
- 小規模事務所の場合、ネットワークがないとM&Aの相手を広い範囲から検討するのが難しい
ファイナンシャルプランナー
中小企業の経営者が、事業承継と経営者引退後の収入源としてM&Aを考えた場合には、ファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法としてあるかもしれません。
ただし、ファイナンシャルプランナーは、主に家計や個人の資産運用の専門家であって、M&Aそのものは畑違いです。
銀行や証券会社に所属するファイナンシャルプランナーであれば、その金融機関内の専門部署を紹介してもらえまる可能性があるでしょう。しかし、個人のファイナンシャルプランナーであればそのほとんどは、M&Aに関する対応が難しいです。
ファイナンシャルプランナーのメリット
ファイナンシャルプランナーに相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 経営者引退後の、M&Aで得た資金の運用とライフプランの相談ができる
- M&Aに絡む個人的な情報まで提供する必要がある場合でも、ファイナンシャルプランナーは基本個人相手のビジネスなので慣れているし相談しやすい
ファイナンシャルプランナーのデメリット
ファイナンシャルプランナーに相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- M&Aそのものに詳しくなく、M&Aの遂行に必要なネットワークも持っていない場合が多い
- M&Aを含め、企業の事業戦略面での相談相手としてはあまり期待できない
商工会議所
商工会議所では、商工会議所法に基づき、地域の中小企業に対して支援などを目的に組織された非営利の経済団体です。
商工会議所は経営課題を抱える中小企業に対して、M&A・事業承継を中心的手法として支援・促進を図っています。無料相談や専門家の紹介を行うなどの活動をしています。
商工会議所のメリット
商工会議所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 中小企業に関する業務経験が豊富
- 買い手企業や売り手企業が中小企業である場合、商工会議所などの方が相談しやすい
- 中小企業独自の文化や悩みに対する理解がある
- M&Aの相談自体は無料で行える
商工会議所のデメリット
商工会議所に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- 商工会議所の会員になるためには費用がかかる
- 商工会議所の会員になれる事業には制限がある
M&Aや経営相談は非会員であっても受けられますが、さらなる充実したサポートを受けたいのであれば、年会費を払って会員になる必要があります。
会員になれる事業には制限があり、例えば病院・消費者金融・風俗などを行っている事業主は対象範囲外となってしまい、会員にはなれないため注意が必要です。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者のいない中小企業・小規模事業者の引継ぎを支援する機関です。専門家とのネットワークを有しているため、M&A・事業承継の公的な専門機関としての大きな役割を担っています。
ただし、規模が大きい案件や複雑なスキームなど、すべての事業承継に対応できないため、必要に応じて民間の業者にサポートを依頼するなどが必要です。
事業承継・引継ぎ支援センターのメリット
事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- 中小企業庁が管轄している公的機関であるので信用度が高い
- 全国47都道府県に設置されているため、地方であっても相談しやすい
- 簡単な相談内容であっても聞いてもらえる
事業承継・引継ぎ支援センターのデメリット
事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- 規模が大きい案件や複雑なスキームの場合は対応が難しい
経営者仲間
経営者同士のネットワークで情報収集されている人も多いかもしれません。この場合、専門的な知識や情報を得るよりも、経営者としての相談や、従業員や取引先がM&Aを実行した後の経緯など、よりリアルな形で経営者の生の声を聞けるケースが多いです。
経営者仲間のメリット
経営者仲間に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のメリットは以下です。
- リアルな現場の話が聞ける
- 経営者の立場から見たM&Aの話が聞ける
経営者仲間のデメリット
経営者仲間に相談し、M&Aのサポートをお願いする場合のデメリットは以下です。
- M&Aの専門的な相談は限定される
3. M&Aの相談相手を選ぶポイント
M&Aの相談相手を選ぶポイントを、以下にいくつか挙げます。なお、以下で単に「相談相手」の場合には、「M&Aのサポートを行う会社」と「担当者」の両方の意味を含むものです。
実績が豊富
過去に多くのM&Aの実績を積んできた相談相手であれば、成功事例を基に的確な買い手を選定する可能性が高まります。実績が豊富であれば、それだけ専門知識やいろいろなテクニックも持ち合わせているでしょう。より安心して依頼が可能です。
相談の際は、簡単にこれまでどのような業種、企業規模、スキームでの案件を経験したことがあるか、確認してみると良いでしょう。少なくとも一つくらい、自社と似たようなケースがあれば、スムーズに相談ができてその後の進捗(しんちょく)も早いといえます。
中小企業のM&A実績は専門のM&A仲介会社、大企業のM&A実績は銀行や証券会社が、それぞれ実績豊富と考えられます。
担当者が話しやすく信頼できる
担当者が話しやすいことも大事です。相談を経て実際にM&Aを進めるにあたり、担当者と携帯電話などで昼夜を問わずに頻繁にやり取りするようになるでしょう。
話しやすいかどうかは、自分と担当者との相性の部分が大きいため、数字で測れる部分ではないですが、この担当者との相性は、M&Aを進めるにあたってとても重要な事柄です。
担当者とはさまざまな交渉局面で、細かな打ち合わせが必要となります。担当者との相性が悪く、コミュニケーション不足でやり取りがスムーズに行えなかった場合、買収候補企業から不信を招いて破談になるケースもあるのです。
担当者との相性が悪ければ、M&Aの成功は遠のきます。したがって、話しやすく信頼できる担当者の存在は、M&Aを成功させるためには何よりも必須の条件であるといえるでしょう。
対応が早い
相性も大事ですが、優秀な担当者は、とにかく対応が早いです。M&Aは一期一会で、良い候補先に良いタイミングで出会わなければなりません。そして候補先の部分は、数の勝負の要素も入ります。
ただし、どれだけの候補先を紹介してもらえるかは、会社のネットワークや自社の条件などに左右される部分が大きいです。検討に値しないような候補先を紹介するなどのケースは、担当者が良いサポートをしているとはいえないでしょう。
しかし仮に候補先が少なかったとしても、次から次へと対応のスピードが速ければ、同じ限られた時間でも良い案件に出会う可能性は上がります。
特に良い案件であれば、当然複数の買い手候補が競合となります。他社に案件を持って行かれる前に、できるだけ早く次のステップに進むのが肝心です。優秀な担当者は、対応の早さの重要性をよく理解しています。
一度相談したくらいではわからないところではありますが、相談した後に続けてやり取りを行う場面があるので、その際に担当者の対応の早さを気にしてみましょう。
なお、事業者別に考えて、最も対応の早さが期待できるのはM&A仲介会社で、逆に速さに関して期待が薄いのは大きな組織の銀行や証券会社と考えられます。
料金体系が明確で安い
M&Aのフィーにはさまざまな種類があり、それぞれ支払う額が異なります。相談相手によって必要なフィーの種類も異なるため、相談の段階で各会社によく確認する必要があるでしょう。
よくある会社に支払うフィーには、業務委託契約締結時に支払う「着手金」、基本合意時に支払う「中間金」、契約成立時に支払う「成功報酬」です。
会社によっては、月ごとに支払う「月額報酬」が発生する場合もあります。昨今は、こうした細かい費用項目を撤廃し、M&Aが成立した場合にのみ料金を支払う、いわゆる完全成功報酬型の会社も増えてきているのが現状です。
着手金、中間金は通常、M&Aが成立しなくても返金されないため、単にフィーのみを支払うリスクを抑えたければ、完全成功報酬型の会社を選ぶのがおすすめです。
着手金
着手金は会社との業務委託契約時に発生し、目安は100万円~300万円です。着手金があるほとんどの会社では、企業の規模に応じてその額が違います。最終的にM&Aが成立しなかった場合でも、返金されないのが一般的です。
ただし着手金のみでは、M&Aが成約した際の全報酬総額の一割にも満たないケースがほとんどでしょう。以下、着手金の例になります。
譲渡企業の簿価総資産額 | 手数料 |
10億円以下 | 100万円 |
10億円超50億円以下 | 200万円 |
50億円超 | 300万円 |
中間金
基本合意書の締結時に発生し、成功報酬の10~30%です。ただしこの中間金を請求する会社は、昨今では多くはありません。成功報酬とひとまとめになっているところが多いかもしれません。
月額報酬
月額報酬は、業務委託契約時から契約成立時まで月ごとに請求される費用ですが、今ではほとんどありません。金額の目安は10万~100万円で、会社によって大幅に異なります。
成功報酬
成功報酬は、最終契約が締結した時点で発生します。つまり、無事にM&Aが成立したタイミングで支払う費用です。昨今はM&Aのフィーは、着手金や中間金はなくこの成功報酬ですべてを請求する形が一般的でしょう。
成功報酬の金額は、レーマン方式と呼ばれる報酬体系に基づいて決められるのが一般的です。レーマン式では、契約の金額で成功報酬の割合が変動します。売買金額の1~5%が目安です。
以下が、レーマン式の例ですが、レーマン式では最終的な成約金額に応じて掛け合わせるレート(手数料率)が異なります。例えば成約金額が3億円の場合、表に照らして計算すると2億円×8%と1億円×6%の合計です。
成約金額(役員退職金支給などを含む) | 手数料率 |
2億円以下の部分8% | 8% |
2億円超5億円以下の部分 | 6% |
5億円超10億円以下の部分 | 4% |
10億円超の部分 | 2% |
デューデリジェンス費用
上記の一般的な会社への報酬の他に、自社が買い手の場合は通常、デューデリジェンスの費用が発生します。
デューデリジェンスとは、M&Aを実行する際に相手企業(売り手企業)を綿密に調査する行為で、最終契約書の根拠となる金額の算定や、株主への説明の資料に使われます。デューデリジェンスで調査する対象は財務や税務、法務などさまざまです。
フィーはM&Aのサポート契約会社、もしくはデューデリジェンスを行う専門家に別途支払うもので、相場は約数十万〜数百万円程度が多いでしょう。
高額なためデューデリジェンスを避けたくなるかもしれませんが、このプロセスを怠ると、将来、重大なトラブルの発生やM&Aの失敗の可能性が高くなります。したがって、このデューデリジェンスは必須です。
ただし、調査する範囲を絞れば支払う手数料の額を抑えることは可能なため、どの調査が必要かは会社とよく相談して決めるのが大事であるといえます。
専門性が高い
M&Aの専門性は、M&Aをビジネスとする側の前提条件といえますが、さほど専門性が高くないのにM&Aのサポートに乗り出している会社があるのも事実です。
質問に丁寧に答えなかったり、説明がわかりにくかったりすれば、その相談相手に引続き相談するのはストップした方が良いでしょう。
M&Aの専門性に最も心配がない事業者は、M&A仲介会社、銀行や証券会社といえます。専門性の点では、「ある事業」や「ある地域」に精通した専門性を持つ相談相手もいるのです。
例えば、「医療・介護事業のM&Aに専門性の高い会社」「特定の県に精通した専門性の高い会社」などです。
自社の事業に専門性の高い相談相手がいたり、ターゲットとなる業種や地域があらかじめ決まっていたりすれば、最初からこうしたより細かい専門性のある相談相手に相談するのも有効な手段でしょう。
相談相手が優れていれば期待できること
細かい項目から見た相談相手を選ぶポイントを挙げましたが、M&Aに関して「良い相談相手には、何を期待できるのか」など、相談相手をさまざまな面から検討するのも可能です。
以下のことをスムーズに行えるかどうかを重視し、相談相手を検討しましょう。
自社に合致したM&Aの相手を見つける
M&Aは単に会社や事業を売買するだけでなく、経営風土が合致し、事業の領域でシナジー効果を発揮できる相手を発掘できるのがベストです。
最終的には候補先と会ったうえでの自社の判断となりますが、良い相談相手とよくコミュニケーションが取れていれば、この観点で少なくともピントの外れた相手とのM&Aは避けられます。
円滑なコミュニケーション
売り手のオーナーや買い手の検討担当者も、それぞれの人生観や価値観、思い入れなどを持つため、それらが異なる会社売買の交渉は単純ではありません。
良い相談相手は、コミュニケーション力をもって人生観や価値観が異なる両者の間に入り、企業の存続と発展の観点から良い落としどころに決着させます。コミュニケーションが大事なのは売り手と買い手の間だけではありません。
社員への発表でも、どのタイミングでどのように発表すれば良いのかなど、極めて難しい問題です。その方法によっては、会社売買後の従業員のモチベーションが全く違ったものになる可能性があります。このあたりのことも、良い相談相手からは適切な助言があるでしょう。
M&Aは、会社売買を単に法律的に処理すれば良いのではなく、両社のグループ経営へのモチベーションが高まった状態でM&Aを成立させることが、相互の企業価値を高めることにつながります。その実現のためには、経験豊富でノウハウを持つ良き相談相手が不可欠です。
M&Aに関して過不足のない取り決め
M&Aの交渉では広範囲な事項の取り決めが必要です。オーナーのための株価交渉、社員の処遇、引継ぎ方法など多岐にわたるでしょう。
会社法、税法など多くの法律が関係するため、多くの契約書や覚書を作らなければならず、当事者間で公平に決めることはかなりの困難を伴います。
経験豊富な相談相手が間に入ることにより、取り決めの意味やリスクを把握したうえで優先度を考慮し、網羅的に双方が納得してそれらを定めます。これは後々のトラブルを予防にもつながり、リスク管理上でも有効です。
4. M&Aの相談相手に関するアンケート結果
中小企業庁の「中小企業白書」(2021年版)をみていると、東京商工リサーチの「中小企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート」の調査結果が公表されています。
「M&Aの実施意向別、相手先企業の探し方」では、買い手として意向のある企業、売り手として意向のある企業のいずれも最も回答が多かったのは「金融機関」でした。
次いで「専門仲介機関」が全体の4割を占めています。そして、「自社で独自に探索する」「公認会計士・税理士などに紹介を依頼する」などが続きます。
他にも売り手として意向のある企業では、「事業引継ぎ支援センター」や「商工会議所・商工会」に依頼する割合が高く、身近な公的機関に相談するケースも増えているのがわかるでしょう。
参照:中小企業庁「中小企業白書」(2021年版)」
5. M&Aの相談方法・料金
M&Aを考え始めた場合、まず弁護士や会計士に話しをするケースが多いかもしれません。
その弁護士なり会計士が、M&Aのアドバイザリーを行っていたり、ネットワークを持っていたりすれば良いのですが、そうでなくてもM&Aのサポートを行う会社は他にもあります。
FA(フィナンシャルアドバイザリー)とM&A仲介会社
M&Aの相談相手となるサポート会社を大きく分ければ、FA(フィナンシャルアドバイザリー)とM&Aの仲介を行う会社があります。サービス(役割)と契約が違うため、ごく簡単にまとめると以下のとおりです。
FA
M&Aにおける計画立案からクロージング、そして統合プロセスに至るまでの、一連のアドバイザリー(助言業務)を主に行います。契約先の利益の最大化を目的とする契約先のアドバイザリー契約で、売り手・買い手を問わずフィーは契約した側のみに請求します。
メリットは、自社のアドバイザリーを専門で行う点です。
M&A仲介会社
売り手と買い手の間に入り、中立的な立場で双方の条件を詰めて成約に導きます。仲介(紹介)先とも仲介の契約を結んでおり、M&Aが成約したら両方からフィーを請求します。メリットは早いM&Aの成約を期待できる点です。
FAと仲介、どちらに相談すべき点では、最初から、事業承継などの理由があってとにかくM&Aの相手を探し出すことを重点に考えていれば、仲介の契約形態をとる会社に絞って探した方が早いでしょう。
一方で、戦略的にM&Aを考えている場合には、FAの方がアドバイザリーは充実していると考えられます。
相談相手は複数検討するのがベスト
M&AのFAおよび仲介を行う会社は数えきれないくらい存在します。大手金融機関から個人事業主まで、多くの事業主が参入しており、どのようなサービスを行っているかも千差万別です。
そこで、M&Aを考えた場合にベストなのは、多少の時間は使っても複数とまずは相談し、どこにサポートをお願いするかを検討するのが良いでしょう。
特にそれほど急いではおらず、M&Aの検討を始めたい段階であれば、FAおよび仲介会社のどちらにも相談してみて、どちらのサービスが自社にとって適切かを検討してみると良いでしょう。
M&Aではできるだけ多くの買い手を比較するのが重要であるうえ、契約は煩雑であるため経験を必要とします。悩むようであれば、まずは調べて相談してみましょう。
相談のみの場合は無料
通常、相談のみは無料です。気になった会社があれば、電話なりメールなりで一報を入れましょう。売却希望であれば相談の時点で、簡易評価によるおおよその自社の金額を算定する会社もあります。
無料相談会も開催されている
M&Aの検討を始めたい場合、M&AのFAおよび仲介を行う会社では、予約制で無料相談会を設けているケースもあります。
M&Aに関心はあるけれども、何からスタートすれば良いのかわからない、中立的な立場で相談に乗ってほしいなど、M&Aに対して漠然とした不安を持っている経営者も多いでしょう。
買収案件の案内が届いたけれども判断基準がわからないなど、無料相談会であれば、さまざまな疑問に気軽に相談ができます。
6. M&Aの相談に幅広く対応するFAの仕事内容
M&A実務全般のアドバイスやサポートを得るなど、幅広く対応するのがFAです。M&AにおけるFAとは、ファイナンシャル・アドバイザーをいいます。
FAはM&Aを検討している企業に対して、買い手企業の募集、あるいは売り手企業の選定からクロージングまで、M&Aの全体をスムーズに進行する役割を担う専門家です。
FAの特徴は、売却側あるいは買収側のどちらかと個別に契約を締結し、一方だけのM&Aをサポートする点です。FAが適切に業務を行えば、売り手側や買い手側、そして専門家などの連携や調整が、スムーズにいきやすいでしょう。
その他、企業の情報集約に関する負担も大幅に軽減されます。FAの選定は、M&Aの成功を左右する重要な課題でもあります。ここでは、FAの具体的な仕事内容を紹介しましょう。
交渉戦略の策定・交渉に関する助言
弁護士法では、M&Aの交渉はあくまで当事者同士で行うか、交渉の代理を頼む場合は弁護士に頼むのが一般的です。M&A終了前まではFA以外に弁護士・税理士・公認会計士など他の専門家も業務に携わります。
FAの交渉に関する役割は、代理ではなく、あくまでもサポートです。M&Aの相談をFAに依頼した場合は、弁護士・税理士・公認会計士などの協力はFAの紹介によって行われ、FAをM&A交渉に積極的に関与させるかどうかは企業の判断によります。
交渉戦略の策定・交渉に関する助言など、FAが同席するケースもあるのです。
各種M&A契約書の作成に関する助言
基本合意書・意向表明書・最終契約書のドラフトは、通常、弁護士が作成しますが、書面に盛り込まれる条項に関して、FAが助言するケースもあります。
最終契約書に盛り込まれるクロージングの前提条件や表明保証に関する条項は、案件全体をリードしてきたFAがしっかりとアドバイスを行ってくれるでしょう。
企業売買金額に関する助言・バリュエーション
バリュエーション(企業価値評価)は、一般的にFAが行います。M&Aの交渉で売却側と買収側は、目安となる譲渡価額がわからなければM&Aの検討を開始できません。バリュエーションは、算定方法や条件を変えるだけで金額が変わってしまうため、経験豊富なFAが慎重に行います。
デューデリジェンスの調整・サポート
デューデリジェンスを行う専門家は、FAによって紹介されるケースが多いです。例えば、財務デューデリジェンスの経験をある程度持っている公認会計士であっても得意とする分野は異なります。
それぞれ得意分野の違いまで把握したうえで、紹介してくれるようなFAが理想でしょう。デューデリジェンスでは、種類の異なるデューデリジェンスが並行して進んでいくのが一般的です。
デューデリジェンスのスケジュール管理やマネジメントインタビューの設定なども、FAの重要な業務です。デューデリジェンスは短期間で行われるケースが多いため、デューデリジェンスの調整やサポートはFAの管理力が試されます。
M&A手法に関する助言
M&Aスキームによって手続きも変わり、上場企業であれば株式市場からの反応なども異なります。どのようなM&Aスキームを選択するかを判断するにあたっては、さまざまなサポートが必要です。
法的側面や会計、税務的側面に限らない多面的な検討が必要となるため、FAが主導して、M&Aスキームを決定するケースが多いでしょう。
資金調達に関する助言・サポート
FAは、資金調達に関する助言・サポートも行います。M&Aスキームとして最もよく用いられるのは株式譲渡です。その際の対価は現金となり、買い手側は多額の現金を用意しなければなりません。
そこで資金調達のアレンジまで含めて助言をしてもらえるFAを選べると、買い手側の大きなメリットとなるでしょう。
7. M&Aの相談相手は専門アドバイザーのいるM&A仲介会社がおすすめ!
M&Aの相談は、M&A専門アドバイザーのいるM&A総合研究所にお任せください。
【M&A総合研究所の強み】
- M&Aの実績豊富なアドバイザーが徹底サポート
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8. M&Aの相談相手まとめ
M&Aには多くの専門的知識を必要とするため、一人あるいは自社のみで完結させられません。M&Aをサポートする相談相手が必要です。
しかしながら、大手の銀行や証券会社から税理士事務所、弁護士事務所、専門のM&A仲介会社まで、M&Aのサポートを行う会社は多岐にわたり、細かいところまでみるとそれぞれ特徴やサポートの契約形態も千差万別です。
その中から、どの相談相手にサポートをお願いするかを決めるには、多少時間をかけても複数の会社や担当者に会って比較検討するのがベストといえます。
この相談相手選びを失敗すると、良きM&A候補先に出会えなかったり、うまく交渉が進まなかったりして、M&Aが成立しない、あるいは成立しても失敗に終わる可能性もあるでしょう。
相談相手選びのポイントとしては、実績や担当者との相性が良く対応が早いこと、フィーが明確であることなどが挙げられます。
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