M&Aの着手金とは?相場の決まり方から支払い前の検討事項まで解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aの着手金とは、専門家にM&Aの業務委託する際に支払う手数料のことです。着手金は、M&A仲介会社によって必要となるケースと不要になるケースがあります。本記事では、M&Aの着手金の意味やメリット、着手金以外の費用を解説します。

目次

  1. M&Aの着手金とは
  2. M&A時の着手金の相場
  3. M&Aで着手金を支払う際の検討事項
  4. M&Aを行う際に仲介会社を利用する意味 
  5. M&Aの着手金のまとめ
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1. M&Aの着手金とは

M&Aを行う際はM&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することが一般的です。各専門家が設定している主な手数料は、相談料・着手金・月額報酬・中間報酬・成功報酬などです。

必要となる手数料は専門家によって異なり、それ以外の各種費用が発生することもあります。本記事では、それらの手数料の中で、M&Aの専門家と業務委託契約を結ぶ際に支払う着手金を解説します。

着手金はM&Aに必要な費用

アドバイザー契約の際に着手金を設定しているM&A仲介会社も多い中で、着手金を設定する理由を解説します。着手金を設定している理由は仲介会社によってさまざまですが、専門家にとって着手金を設定するメリットの1つには、依頼者の本気度を把握する目安とできる点が挙げられるでしょう。

着手金がかからない場合、本気でM&Aに取り組むつもりのないクライアントがとりあえず契約する状態も考えられ、M&A仲介会社側にとっては成果につながらない可能性が高くなります。M&Aの着手金が必要な理由は、M&A仲介会社が着手金によって初期の雑務費用をまかなう点も挙げられます。

雑務作業を着手金でまかない、M&Aの準備を十分に行うことで、M&Aの成約率を高めることが可能です。M&Aの着手金を支払うことは依頼者側にとってもメリットがあり、M&A仲介会社から丁寧な準備をしてもらえます。M&Aに後悔するケースを極力減らすことが可能です。

着手金の設定がなくても丁寧な準備を行うM&A仲介会社も多くあります。しかし、着手金をもらいながらも、着手金を必要な雑務費用以外に充てるM&A仲介会社が存在する可能性もあります。M&A仲介会社を選ぶ際は、着手金が設定されている場合はどのような費用に使われるのかといった点も確認しましょう。

着手金とM&A仲介会社の主な費用

M&A仲介会社に依頼した際にかかる費用は、着手金以外にもあります。M&A仲介会社によってどの費用が必要となるかは異なるため、事前に確認しておくことが必要です。ここでは、以下の費用を解説します。

  • 相談料
  • 着手金
  • 月額報酬
  • 中間報酬
  • 成功報酬
  • デューデリジェンス費用
  • M&Aの会計処理費用
  • M&Aに関わるその他の費用

相談料

相談料は、M&A仲介会社とアドバイアリー契約を結ぶ前に、M&Aに関して相談した際に発生する手数料です。M&A仲介会社に相談することで自社が売却できる可能性を知ったり、いくらくらいで売却できそうか、その際に必要な手数料はどの程度かを見積もってもらったりできます。

M&A・事業承継の方法が知りたい、買収案件を紹介してほしいなどの内容も相談可能です。最近では、相談料を取らないM&A仲介会社も多くなっています。たとえ、相談料が無料であっても対応の手を抜くことは基本的にないので、まずは相談し、相性のよいM&A仲介会社を探すことが大切です。

着手金

着手金とは、M&Aを専門家に業務委託する際に支払う手数料のことです。着手金の費用相場は中小企業が対象の場合は数十万円から100万円程度であり、大規模案件では数百万円かかるケースもあります。近年は着手金無料のM&A仲介会社も増えています。

着手金はM&Aの準備作業費として設定しているM&A仲介会社が多く、M&A契約を途中で解除したりM&Aが成立しなかったりした場合でも戻ってこないケースがほとんどです。着手金の使い道や金額は公式サイトで開示している会社と開示していない会社があり、確認したい場合は直接問い合わせることで教えてもらえることもあります。

前述のように、着手金にはメリットもある一方でデメリットもあります。主なデメリットには、M&A仲介会社に簡単に依頼しにくい点や成約しなければ着手金が無駄になる可能性がある点、着手金が適切に使われているかが分かりにくい点などです。

企業努力による効率化で着手金を無料にしているケースもあります。なぜ、着手金が無料なのかを確認するのも方法のひとつです。

月額報酬

月額報酬とは、専門家と契約している間、月ごとに固定で支払う手数料のことです。業務内容に応じた金額を月ごとに支払うケースもあります。M&A仲介会社の場合は月額報酬を設定していないケースがほとんどですが、設定している場合はM&Aや経営面のコンサルティング名目のケースが多く見られます。

M&A仲介会社が毎月必要となる業務費用名目やコンサルティング費用名目として明確に設定しているケースが多いので、月額報酬は経済合理性のある手数料です。月額報酬は契約期間が長くなるほど負担が大きくなるデメリットはありますが、M&A成約後も継続してアドバイスをもらえるメリットもあります。

しかし、無駄に契約期間を延ばすことで月額報酬を受け取ろうとする会社には注意が必要です。

中間報酬

中間報酬とは、売り手と買い手が基本合意書を締結した時点で専門家に支払う手数料です。中間報酬は、成功報酬の1割から2割が相場となっています。中間報酬を設定しているM&A仲介会社には、M&Aが成立しなかった場合に支払った手数料が返ってくるケースと返ってこないケースがあるので注意が必要です。

中間報酬はM&Aが成立した場合に成功報酬から差し引かれるケースも多いので、M&Aが成立すれば無駄になることはありません。中間報酬は依頼者にとって経済合理性が薄く、それほどメリットが感じられない手数料でもあります。そのような理由から、中小企業向けのM&A仲介会社では、中間報酬を設定しないケースが増えています。

中間報酬をはじめとするM&A手数料は、もともと大手証券会社が大企業へのコンサルティング用に考案された報酬システムです。中小企業には合致しないケースが多い点も、着手金や中間報酬を設定しないM&A仲介会社が増えている理由です。

M&Aの中間金については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aの中間金とは| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

成功報酬

M&Aが成立した時点で支払う手数料が、成功報酬です。成功報酬の手数料設定には、譲渡金額などに応じて手数料率が変動するレーマン方式が多く採用されています。

成功報酬の主なメリットとしては、M&A仲介会社はM&Aを成立させなければ成功報酬が得られないので、成約に向けて全力を尽くしてくれる点です。ただし、M&A仲介会社によっては、最適な相手との成約を目指すよりも、とにかく成約させることを優先する可能性もあります。

成功報酬では、同じ成功報酬率が設定されていても、総資産額や譲渡金額など何をベースに算出するかで最終的な支払額が大きく変わる場合がある点も注意すべきです。成功報酬の最終的な金額は、事前にしっかりと確認しておかなければなりません。

デューデリジェンス費用

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業の事業内容や、法務・会計・財務・税務などの調査を行うことです。デューデリジェンスにかかる費用は、案件規模やデューデリジェンスをどこまでの範囲で行うかなどによって大きく変わります。

デューデリジェンス期間も案件規模によって違いますが、中小企業の場合は早ければ数日・一般的には2週間から1カ月程度です。デューデリジェンスは買い手が売り手に対して行うことがほとんどですが、売り手が実施することもあります。

M&A仲介会社によって、デューデリジェンス費用が成功報酬に含まれているケースと、別途デューデリジェンス費用を支払うケースがあるので、事前に確認しておく必要があります。

DDについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】DD(デューデリジェンス)の意味とは?注意点、期間も解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

M&Aの会計処理費用

M&Aの会計は、個別会計・連結会計・税務で処理方法がそれぞれ違います。M&Aの会計処理は、スキームによっても変わってくるでしょう。例えば、中小企業のM&Aで多く用いられている株式譲渡の場合、売り手企業の株主が得た売却益に対して税金がかかります。一方で、買い手企業は買収費用が必要になるものの、法人税はかかりません。

M&Aに関わるその他の費用

依頼したM&A仲介会社が遠方の場合は、交通費など別途費用がかかることがあります。着手金は設定していなくても、雑務費用が発生するケースもあるので、十分に確認しておくことが大切です。

M&Aに時間と人材を割くことによって発生するような、見えないコストにも注意が必要です。M&AのスキームによってはM&A期間中の通常業務に支障が出ることがあるため、そのような間接的な損失も意識しておきましょう。

事業承継の費用相場については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継の費用相場はどれくらい?【コンサル/弁護士/税理士】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. M&A時の着手金の相場

M&A時の着手金は、中小企業の場合で数十万円・大規模案件では数百万円に及ぶこともあります。近年、中小企業向けのM&A仲介会社は増えたこともあり、着手金をはじめとする各種費用はM&A仲介会社によって大きく異なります。

今後さらに環境が整備されれば相場もある程度決まりますが、現在のように中小企業向けのM&Aが過渡期にある状態ではM&A仲介会社ごとの費用対効果を十分に見極めなければなりません。

株式譲渡の費用・手数料については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】株式譲渡の費用・手数料まとめ!譲渡所得と税金も解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. M&Aで着手金を支払う際の検討事項

着手金の必要性や着手金額の妥当性は、現在まだあいまいな部分もあります。中には着手金狙いの業者もいるので、依頼する際は十分に注意しなければなりません。M&A仲介会社を選ぶ際は、着手金が本当に有効に使われるのか、内訳はどうなっているのかなど確認することが有効です。

着手金に含まれていると思っていた雑務費用が着手金とは別途請求されるケースもあるので、不明点は事前に確認しておく必要があります。近年は着手金なしで丁寧なサポートを行うM&A仲介会社も多いので、着手金の有無に関係なく専門家を見極めることが重要です。

4. M&Aを行う際に仲介会社を利用する意味 

ここまでM&A仲介会社に支払う手数料を解説しましたが、そもそもなぜM&A仲介会社を利用する必要があるのでしょうか。本章では、M&A仲介会社を利用する意味や報酬体系の違い、着手金のメリット・デメリットを解説します。

着手金や報酬の扱い

売り手と買い手がM&A仲介会社を通さずに直接交渉した場合、専門的なサポートがないため条件に合ったM&A相手が探せなかったり、適切なM&A価格が決められなかったり交渉が難航する可能性があります。

書類の不備などにより、トラブルが発生するなどの問題が生じることも考えられます。M&A仲介会社などの専門家に依頼することで、依頼者はこれらの問題を解決するためのサポートを受けることが可能です。M&A仲介会社は、単純にM&Aの手続きに関する助言を行うだけではありません。M&Aを成功させるため、トラブルを防ぐために、さまざまな角度からサポートを行います。

M&A総合研究所は、経験豊富なM&Aアドバイザーが親身になってM&AをフルサポートしているM&A仲介会社です。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は随時、受け付けていますので、M&Aをご検討の際は電話またはメールフォームよりお気軽にご相談ください。

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M&A仲介会社により着手金を含めて報酬体系は違う

中小企業向けのM&A仲介はまだ過渡期にあり、報酬体系はM&A仲介会社によってさまざまです。M&A仲介会社によって着手金に対する考え方もさまざまなので、着手金がある場合はなぜ着手金を設定しているのか、なぜこの金額なのかを確認する必要があります。

着手金がない場合は、なぜ必要ないのか、着手金がない分をどうやってカバーしているのかなどを確認することも大切です。特に報酬体系で大きく差が出るのは成功報酬であり、同じレーマン方式でもその中身はまったく違うこともあります。

レーマン方式で金額の算出のベースに用いるのは、売り手企業の総資産額または譲渡金額です。案件ごとの状況により違いはあるものの、一般的には譲渡金額ベースで計算したほうが最終的な手数料が安くなる傾向にあります。

M&A仲介会社に依頼する際は、成功報酬の手数料率を確認するだけでなく、総資産ベースなのか譲渡金額ベースなのかを確認することもポイントです。

着手金無料のメリットとデメリット

着手金を無料にするM&A仲介会社は増えています。着手金無料には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

【着手金無料のメリット】

  • 依頼者がM&A仲介会社に相談しやすくなる
  • M&A仲介会社がクライアントを集めやすい
  • 返金トラブルなどの心配がない

【着手金無料のデメリット】
  • M&A仲介会社の対応が遅くなる可能性がある
  • 無料分の負担がほかの部分で補完される可能性がある

着手金無料のメリットとして、依頼者がM&A仲介会社に相談しやすくなる点があります。着手金が無料であれば、仮にM&A相手が見つからなかった場合でも着手金が無駄になることはありません。

中小企業のオーナー経営者の意見で特に多いのは、いきなりM&A仲介会社に相談するのはハードルが高いと感じるもので、最初にM&A・事業承継の相談を行うのは顧問税理士であることも多いでしょう。

一方で、最初からM&A仲介会社に相談するケースは少なく、税理士などから紹介されてM&A仲介会社への相談に至ったケースも少なくありません。しかし、着手金がなければ、相談のハードルもある程度下がります。

M&A仲介会社側のメリットとしてはクライアントを集めやすい点も挙げられ、着手金がないのでとりあえず相談しようと考える経営者を集めやすくなります。着手金無料のデメリットとして、しっかりと対応してくれないM&A仲介会社が存在するのも事実です。

着手金なしの成功報酬制を採用しているM&A仲介会社の場合、成果を出さなければ報酬が得られないので、M&Aが成立しそうな案件を優先する機関もあります。着手金はないものの雑務費用を別途請求されてしまい、結局着手金を支払う場合と変わらなくなってしまうケースもあり得ます。

ただし、着手金がないからといってサービスの質が低いケースは全体のごく一部です。多くのM&A会社は企業努力によってシステムを効率化し、着手金をもらわなくてもカバーできるような体制を築いています。着手金がかかるかどうか以上に、M&A仲介会社がどのような考えを持ち、どのような対応をしてくれるかを重視しましょう。

M&Aのフローについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aのフローをフローチャートで解説〜基本的な流れ〜

5. M&Aの着手金のまとめ

M&Aの着手金は、M&Aを専門家に業務委託する際に支払う手数料です。着手金は中小企業が対象の場合で数十万円から100万円程度、大規模案件では数百万円かかるケースもあります。

着手金以外に必要な費用もあるため、どの手数料がどれくらいかかるのかなど、疑問に感じたことは事前に確認することが重要です。

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