2021年08月28日更新
M&A業界へ転職するには?未経験と経験者別に解説
近年、M&Aの活用が大企業だけでなく中小企業や個人にまで広がっており、M&A業界は活況となっています。それに伴ってM&A業界に転職を希望する人も増えています。本記事では、M&A業界に転職する方法やポイントなどについて解説します。
目次
1. M&A業界とは
M&Aとは、会社・事業の売買、合併による統合、提携による協業などを行うための手法の総称です。また、M&A業界とは、M&A支援業務を行う業界をさします。
近年は大企業がM&Aによる経営戦略を活発化させていることや、中小企業の事業承継需要が高まっていることなどから、M&A業界の人材需要とM&A業界への転職者数はともに増加しています。
M&A業界の主な業務
M&A支援業務は、オリジネーション(ソーシング)とエグゼキューションに分類できます。
オリジネーション(ソーシング)とは、潜在見込み案件の開拓・M&Aの相手探し・交渉までをさします。
また、エグゼキューションとは、売り手と買い手の合意形成から最終契約の締結・クロージング・アフターフォローまでのことです。
【M&A業界での主な仕事】
- 見込み案件の開拓
- M&Aの準備(企業価値評価、資料収集・分析、戦略・スケジュール策定など)
- M&A相手とのマッチング、アプローチ
- M&A相手との交渉助言
- 合意書・契約書の作成代行・助言
- DD(デューデリジェンス)の実施
- クロージング、アフターフォロー
特に、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーに転職する場合、オリジネーションの部分が重視され、年収にも大きく影響します。
会社によって、見込み案件の開拓方法はさまざまです。具体的には、コールドコール営業(飛び込みの電話・訪問営業)を行う会社、金融機関や士業専門家から紹介してもらう会社、インターネットを活用する会社などがあります。
そのため、M&A業界へ転職する際は営業方法をよく確認し、自身に合った営業スタイルの会社に転職することも大事なポイントです。
M&A業界の主なM&A企業
ひと口にM&A企業といっても、さまざまな企業があります。それくらいM&Aの業界は広範囲にわたります。
主なM&A企業としては、M&A仲介会社、一般事業会社があります。また、プライベート・エクイティ・ファンド、投資銀行、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスも主なM&A企業です。
M&A業界の現状と今後
M&Aは大企業だけでなく、中小企業から個人まで広く行われるようになりました。大企業は世界規模で大きく変化している業界動向に対応するため、M&Aによる再編を進めています。
また、後継者のいない中小企業が、第三者への事業承継を行うケースも増えてきました。最近では、個人がM&Aを活用して起業するケースも増えています。
政府は、企業が国際競争力をつけていくよう、M&Aを推進しています。また、中小企業の後継者問題を解消するため、さまざまな政策を打ち出しています。
M&A需要の高まりに伴ってM&A仲介会社の数は増え、他業界からの参入も増加しています。今後もM&Aは増加し、M&A業界の市場規模も大きくなっていくことが予測されます。
M&A仲介会社とアドバイザリーの違い
M&A支援業務は、支援の形式によって仲介型とアドバイザリー型に分けられます。仲介型は売り手と買い手の間に入り、交渉の仲介役を担うサポート形式です。
一方、M&Aアドバイザリーは売り手か買い手どちらかの専任サポーターとして支援を行い、サポートする側の利益を極力最大化できるよう尽力します。
どちらの形式にもメリットとデメリットがあり、どちらがよいとは一概にいえませんが、中小企業のM&A支援では仲介型を採用しているケースがほとんどです。
その理由として、中小企業経営者は、条件面よりも相手側経営者との相性や誠実さ、経営理念などを重視する傾向にあるからです。
それに対して、合理性と株主の利益が重視される大企業の場合は、アドバイザリー型が多く採用されます。
2. M&A業界へ転職するには?
M&A業界へ転職するには、どのような資質が必要なのでしょうか。ここでは、M&A業界が転職者に求めるスキルなどについて解説します。
M&A業界への転職に求められる人材
M&A業界ではほとんど新卒採用を行っておらず、多くが転職組で占められています。つまり、M&A業界では転職者に即戦力を求める傾向にあるといえるでしょう。
また、M&A業界に転職する際に有利となる資格・スキルはさまざまですが、なかでも重視されることが多いのは、コミュニケーション能力・営業力・交渉力です。
特に、中小企業の支援を中心に行っているM&A仲介会社やアドバイザリーでは、経営者との関係構築がM&A支援の成否を大きく左右します。
業界経験者のほうが転職は有利な面も多いですが、未経験でもコミュニケーション能力や営業力、交渉力の高さを買われて転職を果たし、大活躍するアドバイザーも多くいるのがM&A業界の特徴です。
M&A業界の採用動向
近年M&A業界が活況を迎えていることから、急成長するM&A関連企業やM&A業界に新規参入する企業が増えています。
そのため、M&A業界では即戦力となる転職者を常に求めている状況です。転職者もやりがいやスキルアップ、年収増を目指して、M&A業界に転職を目指すケースが増えています。
転職者は金融機関出身者の割合が高いですが、なかにはMR営業・住宅営業・自動車営業など他業界で高い営業成績を残した転職者がM&A業界で採用され、活躍しているケースもみられます。
M&A業界への転職に求められる資格・スキル
M&A業界への転職では具体的にどのような資格・スキルが求められるのでしょうか。ここでは、M&A業界への転職に求められる資格・スキルなどについて解説します。
【M&A業界への転職に求められる資格・スキル】
- M&Aに関連する資格
- 学歴
- 英語力
- 金融知識
- 年齢
- 営業力
M&Aに関連する資格
M&Aアドバイザーに国家資格はないので、会計士や税理士、弁護士など専門職の資格を除いて、転職者がM&Aの知識を証明するには民間の認定資格を取得しておくとよいでしょう。
M&A業界へ転職するのに認定資格は必要ではありませんが、基礎知識を持っていることが示せるので、転職する際にも有利になります。
学歴
M&A業界では、転職者に大卒以上の学歴を求めることがほとんどです。なかでも、大手証券会社・メガバンク・投資銀行などのM&A部門に転職する場合は、高い学歴が求められることが多いです。
しかし、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーは、高学歴である必要はありません。大卒以上であれば応募できることが多く、あとは学歴よりも転職前の経験や営業力、コミュニケーション能力のほうが重視されます。
英語力
大手企業のM&Aや海外M&Aも支援する会社であれば高い英語力は必須ですが、中小企業のM&Aを支援するM&A仲介会社やアドバイザリーであれば、高い英語力は必須ではありません。
しかし、ある程度英語の読解力や単語力が必要となる場面も少なくないので、転職の際は英語力を証明できる資格があったほうがよいでしょう。
金融知識
M&A業界への転職者は、多くが金融機関からの転職です。近年はM&A業界へ転職を目指す人が増えているので、ただ金融機関出身というだけではほかの転職希望者との差別化が図りにくくなってきています。
そのため、なにかしら金融知識を証明できる資格を持っているほうが、ほかの転職希望者との差別化は図りやすいといえるでしょう。
M&A仲介会社やアドバイザリーの場合は、転職前に直接M&A業務に携わったことがなくても、金融機関出身で基礎的な金融知識があれば採用しているケースも多く、転職後にしっかりと学ぶ意欲と能力があるかを示せるかが重要になります。
また、金融機関以外からM&A業界に転職する場合は、現在の金融知識よりも営業実績・コミュニケーション能力・交渉力、転職してから学ぶ意欲をどれだけ示せるかがポイントです。
年齢
他業界からM&A業界への転職は、20代から30代が転職者の多くを占めています。新卒採用は少ないですが、若い転職者は多い業界です。
しかし、M&A業界では常に優秀な業界経験者を求めている状況なので、40代以上でもM&A業界での経験と実績があれば、転職は比較的行いやすい業界でもあります。
営業力
M&A業界の中でも、M&A仲介会社やM&AアドバイザリーといったM&A専業の会社は、転職者の採用条件として営業力が重要視されます。
M&A業界への転職者は前職で高い営業実績を上げ、やりがいやキャリアアップ、年収アップを目指してくる人も多いので、M&A業界へ転職の際は営業実績をアピールすることが大事です。
法人営業の経験があればなおよいですが、リテール営業でも十分な実績を上げていれば問題ありません。
M&A業界へ転職した際の年収
M&A業界は平均年収が高いことでも有名ですが、それは歩合給の高さが平均年収の高さに影響しています。上場している大手M&A仲介会社の平均年収は1,000万円を超え、高い会社では2,000万円を超えています。
しかし、上場しているかどうかにかかわらず、M&A業界では営業成績次第で年収1,000万円を超えることは可能です。
営業力に自信があり努力に見合った年収やスキルアップを目指す人にとって、M&A業界への転職は最適な転職先ともいえるでしょう。
3. M&A業界への転職【未経験者・経験者】別比較
M&A業界へ転職する場合、業界未経験者と経験者では転職方法も違ってきます。ここでは、業界未経験者と経験者がM&A業界に転職する際のコツについて解説します。
M&A業界未経験者の転職
M&A業界への転職者は金融機関出身の割合が多いですが、金融機関からの転職者でもM&A業務には直接関わったことがない、事業承継のアドバイスを行ったことがあるだけといった転職者も多くいます。
また、業界経験者だから活躍できるという業界でもなく、実際に業界未経験者が活躍しているケースも少なくありません。
M&A業界未経験者が転職に成功するには
M&A業界未経験者が転職を成功させるには、M&A業界の特性に合わせたキャリアアップが必要です。前述したように、M&Aの業務はオリジネーションとエグゼキューションに分けられます。
エグゼキューションのほうが専門性は高いので、M&A業界未経験者が転職する場合はまず中小企業の事業承継支援業務を中心に行っているM&A仲介会社で、オリジネーション実績を積み上げる必要があります。
M&A仲介会社への転職でオリジネーションの実績を積めば、M&A業界経験者として転職が有利になるので、さらにキャリアアップを目指していくことが可能です。
M&A業界経験者の転職
M&A業界経験者は業界未経験者よりも転職はしやすいですが、前職でどのような業務を中心に経験してきたかによってどこに転職しやすいかが変わります。
大手証券会社・メガバンク・投資銀行・投資ファンドでM&A業務を担当していたのであれば、オリジネーションよりもエグゼキューションに強みを持ちます。
一方、中堅・中小企業向けのM&A仲介やM&Aアドバイザリー業務を経験している場合は、オリジネーションを得意としている人が多いです。
M&A業界経験者が転職に成功するには
M&A業界経験者が業界内での転職に成功するには、自身が身につけてきた強みを生かせる転職先を見つけられるかどうかが重要です。同じオリジネーションでも、M&A仲介会社によって考え方や業務スタイルはまったく違います。
自身のスタイルに合った会社に転職することで、やりがいを感じられたり年収を伸ばしたりできます。
業界内にコネクションがあるのであれば、転職を希望する会社の内情などをよく確認しておくことが大切です。
転職エージェントを利用して転職先を探す転職者も多いですが、その際は転職エージェントがM&A業界に詳しいかどうかよく確認する必要があります。
大手転職エージェントでも、M&A業界の内情にまったく詳しくない担当者が付くことは少なくありません。
できれば金融業界専門の転職エージェントや、M&A業界専門の転職エージェントに依頼したほうがよいでしょう。
4. M&A業界への転職に向いている人
M&A業界への転職は、以下のような人が向いています。
- ステップアップしたい人
- 達成感のある仕事をしたい人
- 個人の力と組織の力を生かしたい人
- 感謝される・形に残る仕事をしたい人
- 大きな金額が動く仕事をしたい人
①ステップアップしたい人
M&A業界で企業のM&A・事業承継手続きすべてに携わると、金融の知識と経験をはじめ、法務・会計や税務・労務・経営に関する知識と経験も得られます。
金融の知識と経験はさまざまな業界で需要の高いスキルです。そのため、M&A業界への転職者には、ビジネスマンとしてのステップアップ目的だけでなく、起業するための力をつける目的で転職する人もいるほどです。
②達成感のある仕事をしたい人
M&Aは、企業と企業に関わる人たちの将来に大きく影響する行為であり、M&A業界はM&Aの支援によって大きな課題解決を手伝える業界です。
そのため、M&A業界への転職によって、プレッシャーがある分大きな達成感を味わえる仕事ができます。
また、M&Aはマニュアルどおりに進むことは少なく、案件ごとに柔軟な対応が必要です。毎回学びと刺激のある仕事をしたい人にとって、M&A業界への転職は適した選択肢といえるでしょう。
③個人の力と組織の力を生かしたい人
M&A支援業務は個人の力とチームの協力両方が必要です。同じ金融業界でも、証券会社のリテール営業や銀行の渉外営業などはほとんどが個人の能力と努力に任されていて、チームで動くことはあまりありません。
しかし、M&Aは個人とチーム両方の力が必要なので、組織の力を活用して自身の力も試したい人にとっては転職しがいのある業界です。
④感謝される・形に残る仕事をしたい人
M&A業界は目に見える成果を求める人に適した転職先です。中小企業のM&A・事業承継を支援する際、担当者は経営者と信頼関係を築かなければなりません。
M&Aは経営者にとってさまざまな悩みと不安が伴います。経営者と信頼関係を築いて満足のいくM&Aを成功させることで、感謝されるとともにM&Aの成功という目に見える成果を残すことができます。
⑤大きな金額が動く仕事をしたい人
中小企業のM&Aでも数億円から数十億円という金額が動きます。M&A業界に転職することで、若いうちから億単位の仕事に携わることが可能です。
大きな仕事に関わることでスキルを伸ばしたい、キャリアアップしたい、起業したいなどの目標がある人の転職先として適した業界です。
5. M&A業界へ転職する際に注意すること
M&A業界へ転職する際は以下の点に注意が必要です。
- 社会人経験や知識は必要
- 忙しいことは覚悟する
- 年齢が若いことはメリット
- 士業や金融など専門知識があると有利
①社会人経験や知識は必要
M&A業界ではごく一部を除いて新卒採用は行っていません。新卒採用をしているところでも、高い学歴とスキル、資格、特別な経験などを求められることが多く、学生が「なんとなくやりたい」と思って入れる業界ではありません。
また、社会人で業界未経験者でも転職に成功し活躍している人も少なくありませんが、経験がない分をカバーする知識や経験、スキルは必要です。
②忙しいことは覚悟する
M&A業界は、年収の高さとともに激務であることが転職業界周辺ではよくうわさされます。実際にハードワークを求める会社も少なくありません。
M&A業界は業務の性質上ハードワークになりやすいので、忙しさを覚悟して転職する必要があります。逆に言うと、ハードワークによって早く成長したい人にとっては転職しがいのある業界でもあります。
③年齢が若いことはメリット
M&A業界は経験豊富なベテランがバリバリ働いているというイメージを持つ転職者も多いです。
しかし実際には、日本でM&Aが本格的に広まるようになってからまだ年数が浅いので、若くて勢いのある会社が多く、若手にもチャンスが多く回ってくる業界です。
まだ若くて経験が少ないから転職できない、ではなくむしろ若さが武器にもなります。
④士業や金融など専門知識があると有利
M&Aアドバイザーに国家資格はありませんが、実際の業務ではさまざまな専門知識が必要です。転職の際は、会計・税務や法務、金融、経営など、何かしらの専門知識を持っているほど有利になります。
また、M&Aではあらゆる業界の企業支援を行います。他業界から転職する際は、その業界での経験も武器になります。
6. M&A総合研究所では業界経験がある転職者を積極採用!
M&A総合研究所は2018年に設立されたM&A仲介会社で、創業以来急成長を続けています。
急成長に伴い、M&A総合研究所では業界経験を持つ転職者を積極採用しております。転職相談は随時受け付けておりますので、M&A総合研究所へ転職希望の方は以下のリンクからご応募ください。
7. まとめ
本記事では、M&A業界に転職する方法などについて解説しました。今後も積極的な採用が見込まれる業界であり、転職を考えている際は求められるスキルなどを参考にして選ぶとよいでしょう。
【M&A業界で求められるスキル・人材】
- 営業力
- 交渉力
- コミュニケーション能力
- 金融知識
【M&A業界への転職に向いている人】
- ステップアップしたい人
- 達成感のある仕事をしたい人
- 個人の力と組織の力を生かしたい人
- 感謝される・形に残る仕事をしたい人
- 大きな金額が動く仕事をしたい人
【M&A業界へ転職する際の注意点】
- 社会人経験や知識は必要
- 忙しいことは覚悟する
- 年齢が若いことはメリット
- 士業や金融など専門知識があると有利
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