物流業界のM&A動向!売却・買収事例10選とメリットを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

物流業界では、人手不足や2024問題の解決を図るためのM&Aが活発化しています。この記事では、物流会社でM&Aによる会社の売却や買収を検討している経営者に向けて、業界動向やM&Aのメリットや物流業界での事例、注意点など解説します。

目次

  1. 物流業界の概要
  2. 物流業界の動向
  3. 物流業界のM&A動向
  4. 物流会社をM&Aで売却するメリット
  5. 物流会社のM&A・買収・売却事例10選
  6. 物流会社のM&A相場を計算する方法
  7. 物流会社のM&Aにおける成功のポイント
  8. 物流業界のM&A・事業譲渡まとめ
  9. 運送・物流業界の成約事例一覧
  10. 運送・物流業界のM&A案件一覧
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1. 物流業界の概要

物流業界では、人手不足や2024問題、業務のDX化など、多くの課題を抱えている会社が多く、M&Aでの解決を模索する動きが活発化しています。この記事では、物流業界の近年の動向と、M&Aのメリット、事例、M&Aを成功させるための注意点などについて解説します。

物流業界とは

物流とは、製品や商品をメーカーや生産者から、消費者に届けるまでの流れのことで、物流業界とは製品や商品の流れを支える会社で成り立つ業界のことです。

製品や商品の流れを支える業界としては流通業界もあります。物流と流通の違いは、製品や商品の所有権がどこにあるのか、という点です。

流通では卸会社などの流通会社にその都度所有権が移ります。一方、物流では顧客からの依頼に基づいて商品を運送したり保管したりするので、商品の所有権は物流会社ではなく顧客にあります。

物流業界は大きく分けると、運送業と倉庫業の2つに大別できます。運送業とは、輸送、配送サービスを提供するもので、具体的にはトラック運送、宅配便、鉄道輸送、海運、空運があります。

倉庫業とは、顧客からの依頼を受けて製品や商品を倉庫で保管する事業です。ただ保管するだけでなく、検品、在庫管理、流通加工、ピッキングなどに対応できる倉庫会社もあります。

物流業界は、国内の産業を強化し、どこに住んでいても同じような商品を使うことができる生活の豊かさに直結する業界であることから、重要な社会的なインフラの一つです。

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2. 物流業界の動向

物流業界の近年の動向についてみていきましょう。

物流業界の市場規模

物流業界の近年の動向についてみていきましょう。

令和元(2019)年の国内貨物の輸送総量は約45億トン、営業収益は28兆5,813億円でした。2020年には新型コロナ禍の影響で輸送総量は約40億トンに減少しています。

全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題2023」

出典:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/yusosangyo2023.pdf

長期的な輸送量の推移をみてみると、新型コロナ禍に襲われる前年の令和元年まで、営業用トラック、海運、鉄道、空運ともほぼ横ばいで推移している中で、自家用トラックの輸送量が、平成9年の3,159トンから令和元年の1,275トンと、約4割に減少しています。

自家用トラックは、建設業界などでの輸送に利用されることが多く、建設業界では1995年ころをピークに売上の減少が続いていることから、自家用トラックでの輸送量の減少につながっているものと思われます。

参考:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」 日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題2023

物流業界の現状

物流業界には、国内のありとあらゆる場所にモノを届ける、社会インフラとしての重大な役割があります。しかし近年、次のような重大な問題が山積しており、社会インフラとしての物流を今後も維持し続けることが難しくなっていくのではないかともいわれています。
 

  • 2024問題
  • 燃料費の高騰
  • ドライバーの高齢化と人手不足
  • EC市場の発達による宅配便取扱個数の増加と再配達の負担

物流業界の2024問題とは、2019年に働き方改革の一環として改正された労働基準法の時間外労働の上限規定が、物流業界にも2024年4月から適用されることです。

物流業界など一部の業界では5年間の猶予が認められてきましたが、2024年3月で猶予期間が終了します。

トラックドライバーの時間外労働上限が規定されることで、ドライバー1人あたりの年間稼働時間が減ってしまい、輸送量の減少や宅配便の迅速な配達ができなくなるおそれがあります。

燃料費は、世界情勢の変化と円安の状況で近年急激に高騰しています。

ガソリン1Lあたりの価格は、2000年頃には100円程度でしたが、2015年頃には150円から160円、2020年以降は170円から180円と、20年ほど前の倍近くまで高騰しています。物流業者の経営を圧迫しているのが現状です。

ドライバーの高齢化と若い人が入ってこないことでの人手不足問題も、多くの物流会社の経営を直撃しています。

人手不足

現在、全職種の平均年齢は42.2歳ですが、大型トラックのドライバーの平均年齢は47.5歳、中小型トラックのドライバーは45.4歳です。

トラックドライバーの平均賃金は他の職種と比較すると安いといわれており、若い人が入ってきません。そのために、年々ドライバーの平均年齢は上がり続けています。

また、定年退職する人の代わりになる人も入ってこないのが現状で、人手不足が加速しており、近年は5割以上の企業でトラックドライバーが不足している状態です。

物流業界での人手不足問題が深刻化する一方で、宅配便の取り扱い個数は増加が続いています。

宅配便・メール便取扱実績

日本でインターネット通販が本格的に登場したのは1990年代後半です。その後、EC市場は急拡大し続けており、現在まで宅配便やメール便の取扱量は増加し続けています。

その上、2020年からの新型コロナ禍では、巣ごもり生活でインターネット通販を利用する人が増加した影響で、宅配便取り扱い量が急増しました。

物流業界の人手不足が加速する一方で、2024問題に対応しながら物流業界に対するニーズの増加にどのように対応していくのか、物流会社には難しい課題が突きつけられています。

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3. 物流業界のM&A動向

物流業界ではどのような目的でM&Aが実施されているのでしょうか。物流業界におけるM&A動向をみていきましょう。

成長戦略としてのM&A

M&Aで他の物流会社を買収する側の目的としては、自社の成長戦略のためのM&Aを実施する例がみられます。

他社と一緒になることで規模を拡大しようとする動きや、冷凍・冷蔵の輸送や保管、在庫管理など、自社にはないノウハウを手に入れるためのM&Aがみられます。また、拠点を増やすことで中継地点を増やす目的で対象地域の物流会社を買収するといったM&Aも多いようです。

後継者問題の解決としてのM&A

会社を売却、譲渡する側では、後継者問題を解決するために第三者へのM&Aを希望する例が多くみられます。

他社への会社売却は社内に適切な後継者がいない場合に、会社を廃業することなく存続させることができる有力な手段となります。

DX化に向けてのM&A

現在、多くの業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいます。

物流業界では、今までの輸送データや在庫管理データをすべてデジタル化して分析することで、配送ルートの最適化や、トラックの積載効率の向上により、時間あたりの総輸送量を増やすことが可能になります。

しかし、業務のDX化には多大な予算と時間が必要であり、中小企業ではなかなか対応が難しいのが現状です。

そこで、M&AによりすでにDX化のノウハウを持つ大手物流会社の傘下に入ることで、DX化のノウハウを自社に取り入れる動きがみられます。

人材不足のためのM&A

物流業界では、人材不足解消のためのM&Aも多く行われています。

人材不足を解消するためには、給料の引き上げや福利厚生の充実など、待遇改善が必要ですが、経営に余裕がない中小企業には難しい点があるでしょう。

そこで、売却側は大手企業の傘下に入ることで、従業員の待遇を向上させて、離職を防いだり新しい人材を採用したりしやすい環境を作るためのM&Aが実施されています。

一方、買収側は他社の人材を自社に取り込むためのM&Aを積極的に行っています。

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4. 物流会社をM&Aで売却するメリット

物流会社をM&Aで売却、譲渡するメリットにはどのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットについて解説します。

後継者問題の解決

物流業界に限らず、現在、日本では6割以上の会社の社長が60歳以上と高齢化が進んでおり、約4割の会社で社内に適切な跡継ぎがいない後継者問題が深刻化しています。

物流業界でも、業績はいいのに、将来的に後継者問題で廃業を検討せざるをえない状況の会社が増えており、後継者問題は大きな問題となっているのが現状です。

経営者の親族や従業員ではなく、会社と全く関係ない第三者に会社を譲渡するM&Aは、後継者問題を解決するための手段として近年大いに注目されています

廃業することで、地域の物流インフラに打撃を与えたり、従業員を解雇したりするのであれば、M&Aによる後継者問題の解決は検討してみるメリットが大いにあるでしょう。

取引先との関係維持

物流会社をM&Aで売却するメリットには、取引先との関係を維持できるという点も挙げられます。

都市部で多くの物流会社が競争しているような地域であれば、1社くらい廃業しても変わりの会社がすぐに見つかるでしょう。

しかし、地方で物流会社があまりない地域では、後継者問題などで1社が廃業してしまうと、その会社に配送を依頼していた取引先が次を見つけるのが難しくて困る可能性があります。

M&Aで会社を売却すれば、取引先との関係も基本的に継続してもらえるので、現在の経営者が経営を続けられなくなっても安心です。

ドライバーの雇用確保

後継者問題などで物流会社を廃業することになると、従業員は全員解雇することになります。

トラックドライバーは全国的に人手不足なので、すぐに再就職先が見つかる人もいるでしょう。しかし中には条件などが合わずに、次の仕事が見つからない人もいるかもしれません。また、ドライバーではない事務職員は年齢が高いと再就職が難しい人もいるでしょう。

M&Aでは、売却側の従業員は買収側が基本的に引き継ぎます。M&Aで会社を売却すれば、ドライバーや事務職員を解雇する必要がなく、雇用を維持し続けることが可能です。

事業の成長・発展

中小企業では資金調達やDX化への対応が難しい場合も少なくありません。また、事業規模を拡大させたくても、人手不足が深刻なトラックドライバーの新規採用も難しいでしょう。

M&Aで大手企業の傘下に入れば、大手企業の看板のもとで金融機関の審査も通りやすくなったり、DX化のノウハウを使えるようになったり、従業員の待遇を引き上げたりすることができるようになる可能性が高まります

会社をより成長させて、発展させていくためのM&Aも検討の価値があるでしょう。

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5. 物流会社のM&A・買収・売却事例10選

物流会社でM&Aによって会社を売却、買収した事例を紹介します。

オプティマスグループがオーストラリアの自動車総合物流会社を子会社化した事例

2024年2月2日に、株式会社オプティマスグループから、同社の100%子会社Optimus Group Australia Ply Ltdが、Autocare Services Pty Ltdの全株式を取得する株式取得契約締結を決議したことが発表されました。

オプティマスグループは、1988年に設立された中古自動車の輸出事業を始めとする検査や物流に関する事業を展開している会社です。

Autocare Servicesは、オーストラリアの自動車総合物流会社で、輸入自動車の輸送や補完、清掃、通関手続き、整備点検などを行っています。

オプティマスグループでは、オーストラリアを重要戦略国と位置づけて、事業領域の拡大とリューチェーンの構築に取り組んでいます。

すべての自動車の供給を輸入に頼るオーストラリアでは車両輸送はとても重要であり、このM&Aによりグループの経営効率化を図ることができるとのことです。

参考:Autocare Services Pty Ltdの株式取得契約締結に関するお知らせ

ジェイフロンティアがグリフィスを子会社化した事例

2024年1月12日に、ジェイフロンティア株式会社から、株式会社グリフィスの発行済株式の40.0%を取得して子会社化することが発表されました。

ジェイフロンティアは、オンラインでの診療や服薬指導を行うためのプラットフォーム「SOKUYAKU」の運営事業や、自社ブランドの健康食品などの提供などを行っているヘルスケアテック企業です。

グリフィスは総合物流企業で、北海道、東北、関東、中部地方と幅広い地域に物流ネットワークを持っています。特に、3温度帯での配送に強みのある会社です。

このM&Aにより、ジェイフロンティアとしては「SOKUYAKU」の処方薬の当日配送エリアの拡充や要冷蔵の薬や血液や尿などの検体の配送、冷蔵、冷凍での弁当などの配送の効率化を図ることが可能になるとしています。

参考:株式会社グリフィスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

安田倉庫がHIROMIカンパニーを子会社化した事例

2023年12月23日に、安田倉庫株式会社から、株式会社HIROMIカンパニーの全株式を取得して子会社化することが発表されました。

このM&Aは、HIROMIカンパニーの子会社である株式会社オリエント・サービスのグループ化を目的としたものです。

安田倉庫は、首都圏を中心に倉庫、陸上輸送、港運、国際輸送などの総合物流や不動産事業などを手掛けている会社です。

株式会社オリエント・サービスは、愛知県春日井市の一般貨物自動車運送業の会社で、170台の車両と自社の営業倉庫を組み合わせた幅広い物流サービスを提供しています。

このM&Aにより、すでに関東と関西に拠点を持つ安田倉庫としては、中継地点となるオリエント・サービスの中京エリアでのネットワークをグループ内に取り込むことができ、さらなるグループの発展を期待できるとのことです。

参考:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

関通が河出興産から出版物流サービス事業を取得した事例

2023年11月15日に、株式会社関通が、河出興産株式会社から事業の一部を譲り受け、譲り受けた事業の受け皿となる物流子会社を設立することを発表しました。

関通は兵庫県尼崎市に拠点を置く物流サービス事業を展開する会社で、Eコマースロジスティクスのパイオニア的存在です。

河出興産は主に出版社に出版物の物流サービスを提供する会社で、出版物の入庫、在庫管理、返本管理、改装、出庫などを行っています。

このM&Aでは、出版物の物流サービス事業とEコマース事業者向けの物流事業などを譲り受け、関通が持つ物流サービスやITサービスの利用技術を取り入れることで、譲り受ける事業の付加価値をより一層高めていくことができるとしています。

参考:河出興産株式会社からの一部事業譲受及び 物流子会社の設立並びに特定子会社の異動に関するお知らせ

NIPPON EXPRESSホールディングスがCargo-Partner Group Holding AGを子会社化した事例

2023年5月12日に、NIPPON EXPRESS(以下、NX)ホールディングス株式会社が、Cargo-Partner Group Holding AGとその子会社、合計5社から、中東を拠点として世界でロジスティクスサービスを提供する複数の子会社の全株式を取得することを発表しました。

NIPPON EXPRESSホールディングスは、日本通運などのNXグループを統括する持株会社で、世界中の国々や地域に、陸海空の多様な輸送モードを使ったサプライチェーンソリューションを提供しています。

Cargo-Partnerはオーストリアのウィーンを拠点に、中東地域に強固な物流事業基盤を築いており、NXグループが成長戦略のコア事業と位置づける、自動車、電気、電子、医薬品作業における海運、航空物流事業を、欧州、アジア、北米で展開しています。

NXグループとしては、対象会社をグループ内に迎え入れることで、両社の優位性を活かしながら相乗効果を発揮して、物流事業の強化や営業活動の活発化ができ、グローバル史上での存在感を高めることができるとのことです。

参考:cargo-partnerの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

丸和運輸機関がM・Kロジを子会社化した事例

2022年6月27日に、株式会社丸和運輸機関が、株式会社M・Kロジの全株式を取得して子会社化することを発表しました。

丸和運輸機関は、埼玉県吉川市に本社のある物流会社で、「桃太郎便」を運営しています。M・Kロジは、福岡県に拠点があり、倉庫業や物流アウトソーシング、物流コンサルティングなどを手掛ける会社で、D2C事業者向けの3PLサービスの提供に強みがあります。

丸和運輸機関としては、EC市場において高品質なサプライチェーンの一貫物流プロセスの構築での顧客ニーズの充足とさらなる事業の拡大を図っています。

このM&Aにより、丸和運輸機関グループのEC事業での機能強化を図り、両社の企業価値を向上させることが可能であるとのことです。

参考:株式会社M・Kロジの株式取得による子会社化のお知らせ

丸和運輸機関がファイズホールディングスを連結子会社化した事例

株式会社丸和運輸機関が、ファイズホールディングス株式会社の発行済株式の公開買付を行い、発行済株式の58.44%を取得して、連結子会社化することを2022年3月23日に発表しました。

ファイズホールディングスは、大阪市北区に本社のある、倉庫業務やロジスティクスなどを請け負う総合物流会社です。

丸和運輸機関では、社会インフラとしての物流ネットワークの構築を目指している中で、ラストワンマイルの構築などの課題があります。ファイズホールディングスは、全国各地に拠点を構えており丸和運輸機関にはないノウハウを持っています。

このM&Aにより、両社のノウハウを活用することで、さらなる3PL事業の拡大を図ることが可能になるとのことです。

参考:ファイズホールディングス株式会社株式(証券コード:9325)に対する 公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ

ニッコンホールディングスが安川トランスポートを株式取得した事例

2022年2月4日に、ニッコンホールディングス株式会社から、株式会社安川トランスポートの発行済株式の86%を取得して連結子会社にして、さらに同社の社名を株式会社ニッコン北九に変更することが発表されました。

ニッコンホールディングスは、1053年に日本梱包運送社として設立された貨物自動車輸送事業などを行う運送会社です。

安川トランスポートは、株式会社安川電機の子会社である株式会社安川ロジスティクスの子会社で、北九州を拠点に運輸、物流サービスを行っていて、安川グループを始めとする輸送需要に応えてきました。

ニッコンでは、梱包、運輸、倉庫といった総合物流事業を展開しています。このM&Aで、安川グループの資本効率化を図り、ニッコンの物流に関する豊富な経験を活用することで、品質、価格、納期、サービスの向上を目的とするとのことです。

参考:株式会社安川電機の孫会社(株式会社安川トランスポート)の株式取得に関するお知らせ

ヤマタネがシンヨウ・ロジを子会社化した事例

2022年1月21日に、株式会社ヤマタネから、株式会社シンヨウ・ロジの全株式を取得して子会社化することが発表されました。

株式会社ヤマタネは、東京都江東区に本社のある倉庫業の準大手の会社です。食品や情報、不動産事業も展開しており、食品では米の卸売の大手企業でもあります。

シンヨウ・ロジは、千葉県千葉市に拠点を構える生鮮食品を始めとする食品全般の日配や食品量販店のセンター運営などを行っている会社です。

シンヨウ・ロジは、冷凍冷蔵保管や冷凍冷蔵配送のノウハウを有しており、このM&Aでヤマタネの食品事業とのシナジー効果が期待できるとしています。

参考:株式会社シンヨウ・ロジの全株式取得(⼦会社化)に関するお知らせ

シモジマがグローバルブランドを子会社化した事例

2021年11月2日に、株式会社シモジマから、株式会社グローバルブランドの全株式を取得して、子会社化することが発表されました。

シモジマは包装用品や店舗用装飾品、慶弔用品、事務用品などを扱っている専門商社です。グローバルブランドは、海外物流事業と越境EC事業を展開している会社で、独自の海外物流システムと、越境EC事業での販路拡大で成長を続けています。

このM&Aにより、シモジマとしては、グループ全体の企業価値向上を図り、グループの発展に寄与するとしています。

参考:株式会社グローバルブランドの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

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6. 物流会社のM&A相場を計算する方法

物流会社をM&Aで売却することになったら、どのくらいの価格で売却できるのか気になるところでしょう。M&Aでの売却相場はどのように計算するのでしょうか。

おおよその売却相場は
物流会社の相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2~5年
を目安に考えます。

企業価値の計算方法は、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチの3つの方法のいずれか、もしくは複数の方法を組み合わせて算定します

マーケットアプローチとは売却される会社の市場価値に注目する方法です。
上場企業の中から売却企業と似た状況の会社を選んで、その会社の市場価値や公開されている財務指標を参考にする類似企業比較法か、過去に行われた類似企業のM&Aの結果を参考にする類似取引比較法などで、売却価格を算定します。

インカムアプローチとは、売却される会社の将来性に注目する方法です。売却される会社が将来生み出す利益やキャッシュフロー、配当と、今後に考えられるリスクを考慮した上で、現在の価値を算定します。

コストアプローチとは、売却される会社の純資産価値に注目する方法です。貸借対照表の資産の合計金額から負債の合計金額を差し引いて純資産を算出して、企業価値を算定します。

どの方法も、メリットとデメリットがそれぞれあります。会社を売却する場合には、買収側からの金額の提案を鵜呑みにして受け入れるのではなく、M&Aの専門家に自社の適正価格を算定してもらって交渉材料にしたほうがいいでしょう。

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7. 物流会社のM&Aにおける成功のポイント

物流会社のM&Aを成功させるための注意点を解説します。

M&Aの専門家に相談をする

1つ目の注意点は、M&Aの専門家に相談することです。最近は、M&Aの情報サイトが充実してきたので、経営者自らが売却先探しや交渉に当たる場合も増えてきました。

しかし自分だけで進めると、最適な売却先探しや、法律や財務についての高度な知識が必要なM&Aの手続きでつまずくことが多いようです。

M&Aの専門家はM&Aについての高い専門性と、多くのM&Aを成功させてきた豊富な経験から、最適な相手探しや難しい手続きを親身になってサポートしてくれます。

M&Aをするべきかどうか、といったところからまずはM&Aの専門家への無料相談からはじめてみることをおすすめします。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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最適なタイミングを逃さない

2つ目の注意点が、準備期間を長く取るという点です。M&Aでの会社売却を希望していたのに、売却できずに廃業を選ばざるをえない会社も多くあります。M&Aでの売却に失敗する原因の多くが、準備期間が短かったことです。

特に、経営者が高齢化して健康問題が深刻化してから売却を検討し始めた場合に、時間切れで売却できずに廃業する例が多くみられます。

M&Aには数年の準備期間を設けるのが理想的です。後継者問題の解決が見通せないようであれば、経営者がまだ元気で判断力もしっかりしているうちに会社売却の準備を始めて、最もいい条件で売却できるタイミングで売却するように注意しましょう。

情報漏洩に注意する

3つ目の注意点は情報漏洩を起こさないという点です。

M&Aの実施を公表していいタイミングは基本的に最終契約書締結後です。その前に、会社売却の噂が流れてしまうと、不安に駆られた従業員の離職や取引先からの取引停止を招く恐れがあります。

情報漏洩は、M&Aについての専門家との会話を従業員に聞かれる、デスクの上に置きっぱなしにした資料を見られる、といったちょっとしたことで起こります。M&Aを進めるときには、情報管理を厳格に行うように注意しましょう。

目的や戦略を明確にする

4つ目の注意点は、目的や戦略の明確化が大切だという点です。

M&Aで会社を売却するときには、どのような目的で売却するのかによって、選択するべきM&Aの手法(スキーム)が変わってきます。

後継者問題の解決のために、会社のすべてを譲渡したい場合には株式譲渡が一般的です。不採算事業だけを売却したい場合には事業譲渡を選択します。

スキームが異なると、M&A後の会社のあり方や税額が大きく変わってしまいます。

目的の明確化やスキームの選び方は、M&Aの経験がない物流会社の経営者には難しいものなので、M&Aの専門家に相談しながら、最初に明確化しておくことをおすすめします。

シナジー効果を創出する

5つ目の注意点はシナジー効果を創出できる売却先を選ぶことです。

M&Aでは、M&A後の買収側が売却側の企業を統合していく過程(PMI)が最も重要で困難だといわれています。それまで全く異なる経営理念や企業文化、経営体質の中で働いてきた売却側の従業員が、買収側のやり方に慣れるまでには時間がかかるでしょう。

そのような中で、売却された会社が買収側にしっかりと利益をもたらして、M&Aが両社の成長に寄与できなければ、売却側の従業員は伸び伸びと働くことができません。

売却後に、従業員が幸せに働き続けられる環境を作るためには、買収側に必要とされる会社であるかどうか、シナジー効果が期待できるかといった点がとても重要です。

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8. 物流業界のM&A・事業譲渡まとめ

物流業界では、人手不足や2024問題への対応など、難しい課題が山積しています。その中で、後継者問題なども重なり、会社の将来に不安を感じている経営者の方も多いことでしょう。

しかし、廃業は従業員の雇用を失い、地域での物流インフラを破壊する可能性があるので、できるだけ避けたいところです。その点、M&Aでの会社売却は、経営者にとっては売却益が望めるなど、メリットも大きな選択肢です。

会社の将来に不安を感じているのであれば、まずはM&Aの専門家にM&Aの可能性について相談してみることをおすすめします。

9. 運送・物流業界の成約事例一覧

10. 運送・物流業界のM&A案件一覧

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