2023年12月06日更新
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の動向は?事例やメリットも紹介!
本記事では、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継・譲渡・売却について解説します。最近の事例の紹介からゴム・プラスチック製品(部品)製造会社の譲渡金額相場や業界動向、M&Aを成功させるポイントまで紹介します。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却について
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界のM&Aの動向
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却の事例
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を行う理由とメリット
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継時の譲渡金額の相場
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を成功させるポイント5選
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継に関する相談先
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継にお悩みなら
- ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のまとめ
- 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
- 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
1. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却について
この記事では、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継・譲渡・売却について、詳しく解説します。ここでは、まず、ゴム・プラスチック製品(部品)製造やM&Aなど、基本的な用語の意味の確認です。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造とは
ゴム・プラスチック製品(部品)製造とは、ゴムやプラスチックを素材とする製品や部品を製造するものをいいます。ゴム製品は、自動車のタイヤが出荷額の約半分を占めており、自動車メーカーが主な取引先です。
一方、プラスチック製品は、食品の包装などに使われるフィルム・シートが出荷額の約40%を占めています。近年のゴム・プラスチック製品(部品)製造業界の動向としてあるのは、以下の3点です。
- 海外製品の影響で化学分野の販売額が減少傾向
- 環境問題に対応した新製品の開発
- 新技術に対応した新素材の需要が伸長
海外製品の影響で化学分野の販売額が減少傾向
海外製品の中でも特に中国製のゴム・プラスチック製品(部品)の輸出量が突出してきており、ゴム・プラスチック製品(部品)を含む化学分野製品の日本の販売額が減少傾向に陥っているようです。
野村総合研究所の「内外一体の経済成長戦略構築に係る国際経済調査事業(国内外における化学分野の貿易に関する調査事業)最終報告書」によると、中国の化学分野製品出荷額と日本のそれとでは約6倍の差が報告されています。
環境問題に対応した新製品の開発
廃棄されたプラスチック製品が動物の生態系に与える悪影響や、人間の身体に及ぼす影響など、世界中で環境問題の1つとしてクローズアップされています。ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、環境に悪影響を及ぼさない新製品の開発が急務です。
新技術に対応した新素材の需要が伸長
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業は、地域経済を支える産業の1つとして、自治体もその事業活動を支援しています。一例として、大阪では毎年「高機能プラスチック・ゴム展」が開催され、そこでは新技術や新素材の発表が行われているのです。
こうした動きからも、ゴム・プラスチック製品(部品)製造に対する需要の高さがうかがい知れます。
M&Aとは
M&Aとは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の頭文字をとった用語で、会社や事業の売買、会社の分割や統合などの企業組織再編行為の総称です。
M&Aといえば、以前は大企業が行うイメージでしたが、近年は中小企業や個人事業などでも積極的に行われるようになってきました。
事業譲渡・売却とは
事業譲渡または事業売却とは、会社の事業や個人事業を売却するM&A手法の1つです。株式を売買して経営権を譲るのではなく、事業に関わる資産・負債を選別して売買します。事業譲渡・売却は会社の一部分だけを売買できるのが特徴です。
譲渡側は不採算事業を切り離して現金を獲得し、譲受側は設備や人材を安く買い取って新規事業に参入するといった用い方ができます。なお、株式会社の場合は、株主総会を開いて事業譲渡・売却してもよいか承認を得る必要があるので、注意が必要です。
事業承継とは
事業承継とは、会社または個人事業の経営を後継者に引き継ぐことです。M&A手法の名前ではなく、事業を承継する行為自体をさしています。近年では、中小企業経営者の高齢化が進んでいることもあり、事業承継の重要性が増しました。
政府も各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターなどを設置し、中小企業の貴重な技術とノウハウが廃業によって失われないように支援しています。事業承継は、誰が事業を引き継ぐかによって分類され、それは次の3種類です。
- 親族内事業承継
- 社内事業承継
- M&Aによる事業承継
親族内事業承継
親族内事業承継とは、自分の子供などの親族を後継者に据える事業承継のことです。かつては、事業承継といえば親族内事業承継が主流でしたが、近年はその割合が減少しています。
親族内事業承継は、よく知っている人物を後継者にする安心感がありますが、親族に必ずしも経営者の資質があるわけではないことが注意点といえるでしょう。
社内事業承継
社内事業承継とは、会社の役員や従業員を後継者に据える事業承継のことです。親族に適切な後継者がいない場合に有力な方法となります。ただし、後継者は親族ではないため、相続で会社の株式を取得できません。
したがって、資金を用意して株式を買い取る必要があり、これが難しいため後継者を辞退するケースもあります。資産の相続に関して親族とどう折り合いをつけるかなどを、現経営者も解決しておかなければなりません。
M&Aによる事業承継
近年、親族内にも社内にも適切な後継者がいない場合、M&Aによって第三者への事業承継が実施されるようになってきました。M&Aによる事業承継は、親族内事業承継や社内事業承継に比べて、幅広い承継先候補から最適な相手を選べるのが利点です。
ただし、今まで面識のなかった第三者に事業を譲るので、承継先の見極めや交渉は慎重に行う必要があります。
2. ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界のM&Aの動向
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界のM&A関連動向として、以下の点が注目点です。
- 大手企業同士の統合など業界再編の動き
- 小規模メーカーが多く今後M&Aが活発になる予測
- アジア市場の開拓を目的とした再編が起こる可能性
①大手企業同士の統合など業界再編の動き
近年、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、積水化成品工業や朝日印刷といった大手企業が積極的にM&Aを実施しており、業界再編の動きが活発になってきています。
②小規模メーカーが多く今後M&Aが活発になる予測
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は、上場企業が60社ほどなのに対して、非上場企業が約15,000社あり、その半数近くが社員数名程度の小規模メーカーです。
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界を支える小規模メーカーは、経営者の高齢化が進んでおり、今後は事業承継のためのM&Aが活発になると予測されます。
③アジア市場の開拓を目的とした再編が起こる可能性
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は、石油価格の上昇や人口減少で国内の需要が縮小傾向にあるため、アジア市場など海外に拠点を広げる動きが活発になりつつあります。
今後は、大量生産品はアジア諸国に拠点を移し、国内では高機能素材や高付加価値製品をメインとする住み分けが進む可能性が高いでしょう。
M&Aや事業承継に活用できる補助金については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
3. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却の事例
この章では、ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却事例の中から、最近の事例を紹介します。
- cottaがアスコットを子会社化
- NOKがエストーを子会社化
- 住友理工がフランスの連結子会社2社を譲渡
- エフピコが積水ヒノマルから事業譲受
- 朝日印刷がHarleigh (Malaysia) Sdn.Bhd.とShin-Nippon Industries Sdn.Bhd.を子会社化
- 大石産業が柳沢製袋を子会社化
- 積水化成品工業がProseatグループを子会社化
- 豊田合成と日本化薬による資本業務提携
- ザ・パックがカンナル印刷を子会社化
- 中央化学が北京雁栖中央化学有限公司を北京長城偉業投資開発総公司へ譲渡
- 大石産業が大連大石包装有限公司を三葉電機(香港)有限公司へ譲渡
- ダイセルと豊田合成が資本業務提携
- ニチアスが日本ラインツを子会社化
①cottaがアスコットを子会社化
2023年8月、cottaはアスコットの株式を全て取得し、子会社化しました。
cottaは大分に拠点を置き、製菓・製パン用食材および包装資材を販売を行う会社です。「cotta(コッタ)」のECサイトでは、食材や道具などの販売を行っているだけでなく、お菓子・パン作りに関するさまざまなコンテンツ配信を積極的に行っています。
対象会社のアスコットは九州を拠点とする会社で、生協向けの荒物雑貨卸売を行っています。
今回のM&Aにより、販売先や売れ筋商品、仕入ルートや配送拠点などを共有することで事業拡大を目指します。
②NOKがエストーを子会社化
2023年7月、NOKはエストーの全ての株式を取得し子会社化しました。
NOKは、シール製品・工業用機能部品・油圧機器・プラント機器などの製造、販売を行うオイルシールメーカーです。対象会社となったエストーは、精密樹脂製品の精密金型設計、製造、生産までの一貫した生産体制を有する会社です。
今回のM&AによりNOKはエストーの保有する高い技術を生かし、より幅広いニーズに対応した電気自動車関連製品の拡充を目指します。また、シール事業、電子部品事業それぞれにおいて新製品の開発を行い、事業基盤の強化を図ります。
③住友理工がフランスの連結子会社2社を譲渡
住友理工は2020(令和2)年7月、フランスの連結子会社であるSumiRiko Industry France S.A.S.および SumiRiko AVS France S.A.S.の全ての株式をANVIS HOLDING S.A.S.に譲渡しました。
住友理工は住友グループに属し、高機能ゴム・樹脂製造する企業で、防振ゴム・ホースなどの自動車用品部門は国内トップシェアを誇り、他にも鉄道車両用・住宅用・橋梁(きょうりょう)用防振ゴムなど一般産業用品を製造する総合高機能部品メーカーです。
連結子会社である2社は、フランスにおけるSumitomo Riko Groupのグループ会社であり、自動車防振製品などの製造・販売を行っていました。
譲渡先であるANVIS HOLDING S.A.S.は、Anvis Group GmbHドイツの持ち株会社の傘下であり、2013年より住友理工グループに参入し、自動車防振製品などの製造・販売を行っています。
住友理工は、グループ全体での構造改革を進める中、フランス生産子会社における収益性改善として経営資源の選択と集中のため、M&Aを実施しました。
④エフピコが積水ヒノマルから事業譲受
2020年6月、エフピコは事業譲受を積水ヒノマルから行っています。エフピコは、ポリスチレンペーパーや合成樹脂製簡易食品容器の製造・販売、関連包装資材などを販売している会社で、積水ヒノマルは、アグリ事業や成型品事業などを展開している会社です。
エフピコが譲受したのは成形品事業で、これにより、設備稼働率と生産性を上げ、調達・生産コストを削減するのを見込んでいます。
⑤朝日印刷がHarleigh(Malaysia)Sdn.Bhd.とShin-Nippon Industries Sdn.Bhd.を子会社化
2019(令和元)年8月、朝日印刷がHarleigh(Malaysia)Sdn.Bhd.(HL社)とShin-Nippon Industries Sdn.Bhd.(SN社)の株式65%を取得して子会社化しました。
朝日印刷は医薬品や化粧品などの印刷包材を製造する包装資材メーカーで、HL社とSN社はマレーシアの印刷会社です。HL社とSN社は、マレーシアの医薬品市場で高いシェアを占めており、東南アジア市場への進出が今回の買収の目的です。
⑥大石産業が柳沢製袋を子会社化
2019年5月、大石産業は柳沢製袋の株式の55%を取得して子会社化しました。大石産業は、フィルムや段ボールなどを扱う産業用包装資材の総合メーカーで、柳沢製袋は埼玉県に拠点を置く製袋会社です。
大石産業は関東地方への事業拡大、柳沢製袋はシナジー効果による紙袋事業の拡大がM&Aの目的です。
⑦積水化成品工業がProseatグループを子会社化
2018(平成30)年12月、積水化成品工業がProseatグループの株式75%を取得し子会社化しました。積水化成品工業は発泡プラスチック製造の国内最大手で、Proseatグループはドイツの自動車部材メーカーなど8社によるグループです。
積水化成品工業は自動車分野での事業拡大を目指しています。今回の買収もその一環です。
⑧豊田合成と日本化薬による資本業務提携
2018年2月、豊田合成が日本化薬と資本業務提携を締結しました。お互いの株式を10億円分程度、持ち合う形で資本提携します。豊田合成は、自動車関係の部品などを手がける輸送機器・電気機器メーカーで、日本化薬はエアバッグの部品などを手がける総合化学メーカーです。
両社はもともと協力関係にありましたが、今回の資本業務提携で、エアバッグ事業などの協力関係がより強固なものとなりました。
⑨ザ・パックがカンナル印刷を子会社化
2017(平成29)年12月、ザ・パックがカンナル印刷の株式の約90%を取得して子会社化しました。ザ・パックは商業包装用紙などを取り扱う総合パッケージメーカーで、カンナル印刷は医薬品パッケージの製造・販売メーカーです。
カンナル印刷は創業70年の老舗企業で、医薬品パッケージの高い技術やノウハウを有しており、子会社化でザ・パックは医療関係市場への進出と事業拡大を実現しました。
⑩中央化学が北京雁栖中央化学有限公司を北京長城偉業投資開発総公司へ譲渡
2017年11月、中央化学が連結子会社の北京雁栖中央化学有限公司の持分を北京長城偉業投資開発総公司へ譲渡しました。中央化学は三菱商事の子会社で、プラスチック製食品包装容器の製造・販売メーカーです。
中国の北京雁栖中央化学有限公司は、合成樹脂製食品容器の製造・販売をしています。所在地の再開発によって、北京雁栖中央化学有限公司が立ちのきを要求されたのを機に、事業を中国の企業へ譲渡しました。
⑪大石産業が大連大石包装有限公司を三葉電機(香港)有限公司へ譲渡
2017年8月、大石産業が連結子会社である大連大石包装有限公司の持分を三葉電機(香港)有限公司へ譲渡しました。大石産業は九州に拠点を置く包装資材の総合メーカーで、大連大石包装有限公司はパルプモウルド包装材の製造・販売会社です。
今回の譲渡は、海外事業を整理して選択と集中するのを目的として行われました。
⑫ダイセルと豊田合成が資本業務提携
2017年5月、ダイセルと豊田合成が資本業務提携を締結しました。10億円分程度の株式をお互いに持ち合う形になります。ダイセルは合成樹脂製品などを扱う総合化学品メーカーで、豊田合成はトヨタグループの輸送機器・電気機器メーカーです。
今回の資本業務提携は、エアバッグやフューエルキャップなどの開発力強化が目的です。
⑬ニチアスが日本ラインツを子会社化
2016(平成8)年11月、ニチアスが日本ラインツの自己株式を除く全発行済株式を取得し子会社化しました。ニチアスは断熱材やフッ素樹脂製品などを製造・販売しているメーカーで、日本ラインツは自動車部品の製造・販売会社です。
自動車部品事業の強化と、シナジー効果による企業価値の向上が買収の目的です。
工作機械業界のM&A動向と最新事例については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
4. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を行う理由とメリット
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる主な理由やメリットを、譲渡側・譲受側に分けて見てみましょう。
譲渡側の理由とメリット
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる際の、譲渡側の主な理由・メリットは以下の5点です。
- 後継者不足の解決
- 従業員の雇用確保
- 大手の傘下に入り事業規模の拡大
- 個人保証・担保などの解消
- 創業者利益の獲得
後継者不足の解決
近年は中小企業経営者の高齢化が進み、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界でも、後継者不足が深刻な問題です。かつてのような親族内事業承継ができないことも多く、経営は順調であるにもかかわらず、後継者がいないために廃業するケースもあるでしょう。
しかし、親族内および社内に後継者がいないゴム・プラスチック製品(部品)製造業者でも、M&Aでの事業承継によって、後継者問題を解決できます。
従業員の雇用確保
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業者が廃業してしまうと、従業員は職を失ってしまいます。しかし、M&Aによる事業承継で他の企業に会社を売却すれば、会社が存続し従業員の雇用を確保できます。
大手の傘下に入り事業規模の拡大
M&Aで大手企業にゴム・プラスチック製品(部品)製造会社を売却すると、大手の傘下に入ったことで事業規模を拡大できます。売却先の子会社となるので自由な経営はできなくなりますが、自社だけでは実現できないシナジー効果を獲得できるのは大きなメリットといえるでしょう。
個人保証・担保などの解消
中小のゴム・プラスチック製品(部品)製造会社では、経営者が会社への融資のために個人保証をしていることが多く、個人の所有不動産などを担保に差し入れていることもよくあります。
個人保証や担保があると、会社が倒産したときに経営者自身も破産する可能性があり、経営者にとって大きな精神的負担です。M&Aで会社を売却した場合、基本的に会社の債務は買い手に引き継がれますから、個人保証や担保の差し入れは解消されます。
創業者利益の獲得
経営者が、会社設立時から保有している株式を売却して得る利益を、創業者利益といいます。創業者利益は株式を上場したときに得るイメージが強いですが、非上場企業でもM&Aで株式を売却すれば、創業者利益を得られるのです。
譲受側の理由とメリット
ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる際の、譲受側の主な理由・メリットは以下の2点です。
- ビジネスチャンスの拡大
- 元請に対するワンストップサービスの訴求
ビジネスチャンスの拡大
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、内製の金型の有無や成形機の出力の違い(油圧や電動など)などによって、顧客・取引先が分化している特徴があります。つまり、同業者といえども、会社の設備によって差別化かなされているわけです。
自社とは違う設備を持つゴム・プラスチック製品(部品)製造会社を買収すれば、その設備とともに新しい顧客・取引先を得られることになり、ビジネスチャンス拡大が図れます。
元請に対するワンストップサービスの訴求
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、作業工程の部分でも各社への発注業務が分化しています。
そこで、ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社の中から、自社とは違う工程の業務を受注している会社を買収すれば、分化している工程をワンストップで提供できるようになり、発注元への訴求効果が向上するのは明らかです。
M&Aの売り手側のメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
5. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継時の譲渡金額の相場
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、専門性の高い製品に特化した経営をしている企業が多いので、高いシナジー効果が期待できる買い手を見つけられるかどうかが重要です。
製造拠点を拡大したい買い手の思惑に合致する地域性を有している企業も、相場より高く評価される可能性があります。
譲渡・売却価格の算定方法
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は非上場企業がほとんどなので、譲渡・売却価格を正しく算定するのが重要です。
算定方法には、現在の資産と負債を基準にする方法(コストアプローチ)、将来見込まれる利益とリスクを基準にする方法(インカムアプローチ)、似た事業を営んでいる上場企業の株価を基準にする方法(マーケットアプローチ)があります。
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を成功させるポイント5選
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継を成功させるポイントは以下の5つです。
- 事前の準備・計画を練る
- 契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない
- 自社の強み・アピールポイントなどを提供用資料にまとめる
- M&A・事業承継の目的を明確にする
- 専門家に相談する
①事前の準備・計画を練る
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継は、準備をせずに進めてもうまくいかないため、事前に準備・計画を練っておく必要があります。事前準備には、たとえば、後継者の育成や事業承継計画の策定といったものです。
余裕がある場合は、債務の圧縮や相続問題の調整なども行うと、いざM&A・事業承継に取りかかったときにスムーズに手続きが進みます。
②契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない
M&Aによる事業承継は今まで面識のなかった第三者に会社の経営を引き継ぐので、そこで働いている従業員や取引先からすると、友好的なM&Aだったとしても不安に感じることがあります。
従業員が辞めてしまったり、取引先が契約解消してしまったりといった事態を避けるためにも、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継を行う際は、契約成立まで情報を漏らさないように注意しましょう。
③自社の強み・アピールポイントなどを提供用資料にまとめる
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継では、自社の強みやアピールポイントを、いかに買い手に伝えられるかが成功のポイントです。
しかし、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のような専門性の高い業種の場合、抽象的な表現であると強み・アピールポイントがうまく伝わらない可能性もあります。
したがって、M&A・事業承継を行う際は、あらかじめ自社の強み・アピールポイントを提供用資料にまとめ、買い手に具体的なイメージを持ってもらえるよう準備しておくようにしましょう。
④M&A・事業承継の目的を明確にする
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継では、M&A・事業承継の目的を明確にするのが大切です。後継者を探しているのか、シナジー効果による企業の成長を目指しているのかなど、買い手にはっきりしたビジョンを伝えられるようにしましょう。
⑤専門家に相談する
M&A・事業承継はマッチングサイトを使って自分で行うことも不可能ではありませんが、やはり経験と知識のある専門家に相談したほうが成功する確率は高くなります。M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどから、製造業に強みを持つ専門家を探して相談するようにしましょう。
M&Aを成功させる提案書については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
7. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継に関する相談先
ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先としては、以下の相手が代表的です。
- M&A仲介会社
- 金融機関
- 公的機関
- 士業事務所
- M&Aマッチングサイト
①M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aの専門家です。ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先として最適といえるでしょう。
②金融機関
取引金融機関もゴム・プラスチック製品(部品)製造会社M&A・事業承継の有望な相談先です。金融機関は独自の顧客網を持っており、M&A・事業承継の相手候補を紹介してもらえるかもしれません。
最近はM&A・事業承継仲介の専門部署を設け、力を入れている金融機関も増えてきました。
③公的機関
ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先としては、公的機関もあります。中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されている、事業承継・引継ぎ支援センターが相談しやすいでしょう。
その他にも、各地の商工会議所・商工会、独立行政法人中小企業基盤整備機構などもあります。公的機関ですから、気軽に無料で相談できる点が特徴です。
④士業事務所
ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社の場合、顧問税理士にM&A・事業承継の相談をしてみるのもいいでしょう。顧問税理士なら会社の内容をよく知っているので相談しやすいはずです。その他、弁護士・公認会計士事務所などでも、昨今はM&A仲介業に進出し始めています。
⑤M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトは、ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相手探しの場です。登録手数料は無料のサイトが多いので、情報収集の場として利用するのに適しています。
ただし、M&Aマッチングサイトで交渉相手が見つかった場合、交渉や手続きを自社のみで行うか、サイトの運営会社に委託できるのかなど、よく検討して進めなければなりません。
8. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継にお悩みなら
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継にお悩みなら、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。幅広い情報から、最適な譲渡先のご提案が可能です。
M&A総合研究所では、製造業に精通したM&Aアドバイザーが専任に就き、クロージングまで案件をフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談をお受けしていますので、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
9. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のまとめ
ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は業界再編が進んでおり、M&Aのチャンスが多い業界です。今後、中小企業ではM&Aでの事業承継が増えてくると思われるので、M&Aや事業承継の正しい知識を得て、早い段階から準備を進めておくことが重要になります。
10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
【高収益/伝導器具取り扱い多数】ギア・ベアリング製造販売業
工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1811公開日:2024年04月24日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
歯車部品・ベアリング製造業
【業績拡大中/業歴50年以上/職人多数】金属メッキ加工業
工業製品製造/中国・四国案件ID:1750公開日:2024年04月08日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
3,000万以上 (応相談)
・金属製品製造業
【高収益・独自ノウハウ保有】関東・自動車メーカー向け検査機器製造企業
IT・ソフトウェア/工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1744公開日:2024年04月04日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
対象企業は関東に拠点を構える自動車メーカーに採用される検査機器開発・製造企業でございます。
【首都圏/社内一貫生産体制構築】試作品開発技術を保有するダイカスト製造業
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1699公開日:2024年03月19日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
応相談
ダイカスト製造業者
【1円譲渡/高い技術力/優良設備保有】中部地方 非鉄・金属材料の切削加工業
工業製品製造/工業製品卸・小売/その他の製造業/中部・北陸案件ID:1687公開日:2024年03月13日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1円
非鉄・金属材料の切削加工 幅広い材質と形状の材料に対して、精密切削加工が可能
【北信越地方/財務良好・高収益】業歴50年超の金属塗装業
工業製品製造/専門サービス/中部・北陸案件ID:1657公開日:2024年03月05日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
溶剤メインの金属塗装業(前処理・脱脂~塗装に対応)
【首都圏/強固な営業基盤】搬送機械・検査装置製造業
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1629公開日:2024年02月29日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
3億2,000万円以上
首都圏にて自動車業界や建材業界等に対し主に搬送機械や検査装置の設計・製造・据付を一貫して手掛ける会社
【売上・利益急成長中】配電盤製造・計装工事・計装メンテナンス業
工業製品製造/建設・土木・工事・住宅/中国・四国案件ID:1573公開日:2024年02月01日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
対象法人は、四国エリアで「配電盤製造」「プラント計装工事」「計装メンテナンス事業」を手掛ける設立10年目以内の企業でございます。 従業員の平均年齢が30代前半と若く、今後長きに亘って活躍可能な...
【鍛工品製造業/関西地方】財務良好 大手メーカーと取引あり
工業製品製造/近畿案件ID:1568公開日:2024年01月28日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
鍛工品製造業
【関東地方/将来性あり】真空成膜装置メーカー
工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1552公開日:2024年01月23日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
10億円(応相談)3期平均実態EBITDA×約5年分+NETCASH相当
真空成膜装置などの開発、製作
【無借金/NetCash約8,500万円】自動車の金型設計業
工業製品製造/中国・四国案件ID:1548公開日:2024年01月23日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億5,000万円(応相談)
中国地方で自動車向けの金型設計を営む企業です。 フェンダーやボンネット等、大型製品に対応可能です。
【関東地方/海外工場保有】LEDライト製品製造業
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1527公開日:2024年01月15日売上高
5億円〜10億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
LED製品の設計・開発を行う製造業者として海外に工場を持つ会社です。
【首都圏/高品質(UL認定有)】ワイヤーハーネス加工×温度センサー販売
工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1525公開日:2024年01月11日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
6,500万円
首都圏でワイヤーハーネス加工・温度センサー販売を営む
【業歴100年以上/グローバル展開】海外販路を持つ歯車製造業
工業製品製造/九州・沖縄案件ID:1514公開日:2024年01月05日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
応相談
歯車・ギアの製造会社
【粗利50%以上/大手企業との取引有】建築用金具製造業
工業製品製造/建設・土木・工事・住宅/建築・内装リフォーム/中部・北陸案件ID:1508公開日:2024年01月04日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
応相談
建築用金具製造・金属加工業
【純資産以下譲渡/東北地方】鉄加工・各種機械部品製造業
工業製品製造/東北案件ID:1480公開日:2023年12月21日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
・鉄加工 ・産業機械部品製造 ・製缶製造 ・除雪機製造
【カーボンニュートラル新工法特許保有】生産設備メーカー / 特許多数保有
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1405公開日:2023年11月22日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
応相談
東日本の生産設備メーカー 生産設備の設計・製造・ロボットティーチングまで一貫して対応可能 【安川電機、ファナック、三菱等のロボットティーチング】対応可能
【関西地方】大物サイズの板金・製缶・塗装
工業製品製造/工業製品卸・小売/近畿案件ID:1379公開日:2023年11月10日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
・製缶・板金処理及び塗装を行う
【東海地方/オーダーメイド開発】装置検証・産業用機器製造
工業製品製造/中部・北陸案件ID:1374公開日:2023年11月09日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
譲渡希望価格
希望なし
各種装置や部品の耐久性・耐用年数の試験代行(試験装置は自社でオーダーメイド製造)及び、産業用機器の製造販売を展開している
【関東/クリーンルーム保有】産業用スイッチ製造・一般成形品製造業
工業製品製造/その他の製造業/関東・甲信越案件ID:1342公開日:2023年10月23日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
各種スイッチ類の製造・一般成形品の製造。自社製品のカタログオーダー、OEM製造を行い大手取引先との安定した受注を確保。
【ハーネス&電子機器基盤の製造】北関東で工場3拠点を構える会社
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1281公開日:2023年09月27日売上高
1億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
2,800万円(純資産アンダーでの譲受が可)
北関東で自動車を中心としたハーネスや電子機器の製造を展開されている企業様です。
【関東・実質無借金経営】工業用精密ゴム製造業
工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1254公開日:2023年09月13日売上高
1億円〜5億円
営業利益
損益なし
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
対象企業は、関東圏にて工業用精密ゴム製品の製造・販売を手掛ける企業でございます。 この度は、将来的な後継者不在、事業の更なる発展のため、企業譲渡を検討しております。 健全な財務体質で、品質に...
【実質無借金/自走可能】甲信越の打ち抜き・プレス加工
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1175公開日:2023年08月09日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
抜き打ち・プレス加工事業を手掛けており、20年以上の実績を擁する。経験豊富な従業員を擁するため、生産性に定評がある。
【株価=Net Cashでの買収可能】東海地方の金属熱処理業
工業製品製造/中部・北陸案件ID:1044公開日:2023年06月06日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
高周波誘導加熱による焼き入れ焼き戻し加工
【中国地方・業歴50年以上】金属のメッキ加工業
工業製品製造/中国・四国案件ID:1023公開日:2023年05月24日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
金属のメッキ加工業
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