合併の意味を世界一わかりやすく解説!種類、必要な手続き、メリットや会計処理・事例を紹介

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

合併とは、2つ以上の会社が1つの法人格になることを意味しますが、合併するとどのようなメリットが得られ、買収とは具体的に何が異なるのでしょうか。この記事では、合併の意味やメリット、必要な手続きと会計処理、買収との違いを解説します。

目次

  1. 合併とは
  2. 合併の種類
  3. 合併のメリットとデメリット
  4. 合併するときに必要な手続き
  5. 合併の登記方法
  6. 合併するときの会計処理
  7. 合併するときの税務
  8. 合併における法務・会計面の注意点
  9. 合併した企業とその事例
  10. 合併するときの売り手の選び方
  11. 会社合併ならM&A総合研究所にご相談ください!
  12. 合併のまとめ
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1. 合併とは

合併とは

合併とは、2つ以上の企業が1つの企業になることです。独立した企業同士で行われるケースや、グループ内の再編としてグループ内企業で行われるケースがあります。

A社とB社が合併してC社になることもあれば、A社がB社に吸収されてB社となることもあるのです。合併はM&Aの手法の一つですが、買収とよく混同されがちなので、合併と買収の違いを確認しましょう。

以下の記事で合併の手法について詳しく紹介していますので、興味のある方は併せて確認してください。

合併の意味

複数の会社を1つの会社に統合するスタイルでM&Aを行うスキームを合併といいます。英語で合併は「merger」です。

合併によるM&Aは、他社を完全に得るスキームとして使われます。また、グループ企業の組織再編・業績不振の企業における救済・税務メリットの獲得など、さまざまな目的で用いられるのです。

合併と買収の違い

合併と買収の違いは、1つの企業になるかならないかです。合併では2つ以上の会社が1つの会社になりますが、買収は1つの会社が別の会社の資産や経営権を買い取ります。そのため、買収の場合、2つの企業は存続するのです。

ニュースなどで「A社がB社を買収した」と聞くことがありますが、この場合B社は存続します。

合併には2つの種類があるので注意してください。A社がB社を吸収合併した場合は、B社は解散しA社と同一会社になります。しかし、A社とB社が新設合併した場合は、A社もB社も解散し1つの同一企業となるのです。

合併とM&Aの違い

M&AはMergers and Acquisitionsの頭文字を取ったもので、日本語では「合併と買収」です。複数の会社を1つに統合したり、会社が他社から事業や株式を買収したりするスキームの総称が、M&Aになります。

合併とM&Aの違いは範囲にあり、合併は複数の企業を統合するスキームのみのコンセプトです。一方、M&Aは合併に限らず、株式や事業の買収も含むコンセプトになります。

【関連】合併(吸収合併)と買収の違いは?M&A手法を徹底解説!

2. 合併の種類

合併の種類

合併には、「吸収合併」と「新設合併」がありますが、一般的には新設合併をすると手続きが煩雑になるため、吸収合併を選ぶことがほとんどです。

吸収合併と新設合併にどのような違いがあるのか確認しましょう。

吸収合併

吸収合併とは、1社が残り他の企業が解散して消滅することです。吸収される消滅会社をA社、吸収する存続会社をB社と仮定しましょう。B社は吸収合併により、A社の持つ資産や負債、すべての契約をそのままの条件・内容でB社に承継されます。

つまり、B社のすべてをA社が引き継ぐ形です。新しい会社を設立しないので、作業や継承の手続きが不要となります。そのため、「合併」の場合、多くの企業が吸収合併を選ぶのです。

ちなみに、吸収合併の場合、A社の株主が持つA社の株とB社の株を交換します。

新設合併

新設合併とは、合併するすべての企業を解散して新しく会社を設立することです。吸収合併では合併後存続する会社がすでに存在しますが、新設合併では合併後存続する会社を合併手続きにより新たに設立します。

合併して消滅する2社をA社・B社、合併後設立する新設会社をC社としましょう。A社とB社の合併により、A社とB社の持つ資産や負債、すべての契約をそのままの条件・内容でC社に承継されます。この点は吸収合併と同じです。

しかし、新しく会社を設立する手間やA社からC社、B社からC社への継承手続きの量を考えると、新設合併の方が実務面で大変になります。会社の設立で登録免許税が発生したり、合併で社名が変わり今までのブランドが生かせなかったりするなど、デメリットも多いです。

吸収合併と新設合併では得られる効果はそれほど変わりませんが、新設合併のデメリットが大きいため、吸収合併が選ばれやすいといえます。新設合併の場合は、C社の株を対価としてA社とB社に渡されます。

吸収合併と新設合併の相違点

吸収合併と新設合併の一番大きな相違点は、手続きです。新設合併は新しく会社を設けるため、その手続き、許認可の申請、上場申請などが要ります。吸収合併は、既存の会社が権利などをそのまま引き継ぐため、基本的に手続きは要りません。

また、新設合併は、吸収合併よりも登録免許税の額が高くなりがちです。新設合併は吸収合併より手続きや税金の点で不利なので、M&Aでは吸収合併を用いることが多いといえます。

【関連】【保存版】吸収合併とは?吸収合併・新設合併との違いやメリット・デメリットを解説!

3. 合併のメリットとデメリット

合併のメリットとデメリット

合併にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。「M&Aの手法を合併にしよう」と決める前に、確認しておきましょう。

合併のメリット

合併のメリットは5つです。

  1. シナジー効果を発揮しやすい
  2. 資金調達せずにM&Aができる
  3. 個々の財産移転の手続きがいらない
  4. 対等な立場によるM&Aをイメージさせやすい
  5. コストの削減・信用力の強化

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①シナジー効果を発揮しやすい

合併をすると、シナジー効果を発揮しやすくなります。組織が一体となるので、互いのノウハウを生かしたり補完したりできるからです。シナジー効果とは、買い手企業の強みと売り手企業の強みが組み合わさることで、より大きな強みが生まれることをさします。

期待できるシナジー効果は、以下のとおりです。

  • 顧客倍増・販売ルート拡大による売り上げ増加
  • 重複部門の削減や仕入れ先の効率化によるコスト削減
  • 互いの持つ開発技術や研究内容を生かした新商品の開発

同じ組織として活動することで、これらのシナジー効果がより発揮されます。

②資金調達せずにM&Aができる

合併は資金調達せずにM&Aを行う方法です。吸収合併でも新設合併でも、対価は株式の交付なので現金を用意する必要はありません

企業が現金を集めるために、時間がかかることもあります。合併であれば、「資金を集めている間にM&Aの機会を逃した」とならないのです。

③個々の財産移転の手続きがいらない

合併であれば、個々の財産移転の手続きは不要です。顧客との契約、権利義務、従業員などを承継させるために、わざわざ個別で手続きする必要がありません

買収であれば、個別での手続きが必要なので手間がかかります。買収した社員をそのまま働かせたい場合は、従業員は一度企業を退職し、買収された企業と改めて雇用関係を結ぶ必要があるのです。こうした手続きが合併では不要のため、手続きをスムーズに進められます。

④対等な立場によるM&Aをイメージさせやすい

株式譲渡事業譲渡は、一方の会社がもう一方の会社から事業や経営権を買収するため、従来はM&Aを身売りといい売却側へネガティブな印象を持つ傾向がありました。最近でも、買収側より売却側が相対的に立場が低いと考える人がいます。

合併によるM&Aは、「対等合併」で複数の会社を一つに統合できるのです。対等合併とは、一般的に売却側と買収側が対等な立場で合併することをいいます。

ただし、実務上では、合併比率を1対1に設定したり、消滅する会社の社名などを残したりして、対等をアピールするケースが多いです。

⑤コストの削減・信用力の強化

合併では、消滅会社から事業用の資産、優秀な人材、販売網などを得ることにより、事業規模を拡げることが見込まれます。事業規模が拡がると、仕入れコストが減ったり、信用力が高まったり、生産能力が効率化したりするなどのメリットが生じるでしょう。

合併のデメリット

続いて、合併のデメリットを確認します。合併のデメリットは4つです。

  1. 統合作業が大変である
  2. 株価が下がる可能性がある
  3. 手続きに多くの労力・時間・費用がかかる
  4. 取引規模を縮小するおそれ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①統合作業が大変である

合併の場合、組織が1つになるので統合作業が大変です。統合作業とは、組織が1つになった後、システムや従業員を1つの組織として機能させるために必要な作業のことです。

例えば、以下の作業を行います。

  • 経営戦略とビジョンの浸透
  • 人事制度の統合
  • 報酬・評価制度の統合
  • ITシステムの統合

社員が新しい風土に馴染める工夫も必要です。これらの統合作業に失敗すると、社員のモチベーションが低下するでしょう。そうなれば、シナジー効果の発揮どころか生産性が下がりかねません。

生産性向上やシナジー効果を発揮するためにも、統合作業は必須です。合併前から経営者同士で、どのように統合していくのか話し合いましょう。

②株価が下がる可能性がある

合併をすることで、株価が下がってしまう可能性があります。投資家が「合併後に十分な利益が生み出せない」と判断すれば、株価は下落するのです。そのため、いかに魅力的な合併であるかを投資家たちにアピールする必要があります。

しっかりとアピールすれば株価が上がる可能性もあるのです。合併することが将来的な収益につながることをアピールしてください。

③手続きに多くの労力・時間・費用がかかる

株式譲渡は、基本的に譲渡承認申請、取締役会決議、株主名簿の書き換えなど社内での手続きだけです。

合併は、事前・事後開示事項の備置き、債権者保護手続き、株主総会の特別決議など、社内だけでなく社外の利害関係者も含んだ手続きが多いです。

簡易合併や略式合併であれば、手続きがやや減ります。しかし、基本的には上記の手続きを行うので、多くの労力・時間・費用を必要とするでしょう。

④取引規模を縮小するおそれ

同業他社と合併する場合、複数の会社が1つになるため顧客が重なるケースがあります。顧客の取引先が一社となるので、重複をなくすために、取引量や取引回数など取引の規模が縮小される可能性があるのです。

【関連】合併のメリット・デメリット25選!

4. 合併するときに必要な手続き

合併するときに必要な手続き

続いて、合併するときに必要な手続きを確認していきましょう。合併を検討し始めてから合併契約書を交わすまで3ヶ月~1年程度、合併契約書を交わしてから効力発生までは半年~1年程度の時間がかかります。

ちなみに、合併契約書を交わした日から合併の効力を持つわけではありません。効力発生日は、合併契約書に記載されますが、その後に行わなければならない手続きがたくさんあります。

  1. 合併契約書の締結
  2. 事前開示書類の措置
  3. 利害関係者の保護手続き
  4. 反対株主の株式買取請求手続き
  5. 株主総会での承認
  6. 効力発生および登記
  7. 事後開示書類の備置

同時進行で行うケースもありますが、一般的に行われる順番に解説します。

①合併契約書の締結

まずは、合併契約書の締結が必要です。合併相手との条件が一致し、双方の取締役会における承認が下りたら合併契約書を締結します。

合併契約書には以下の内容を記してください。

  • 効力発生日(合併する日)
  • 存続会社が消滅会社の株主に対して交付する対価
  • 対価の算出方法
  • 合併による商号および住所

その他、新役員の選任や株主総会の日程など、必要な内容を盛り込むこともあります。

②事前開示書類の備置

合併契約書を締結した後は、事前開示書類の備置です。存続会社および消滅会社は、株主と債権者へ事前開示書類を作成しなければなりません。これは、合併の適否を判断するためです。

事前開示書類には、合併契約の内容や会社の計算書類などが定められています。特に配布の必要はなく、本店に備え置くだけで問題ありません。備え置く期間は、合併効力発生日後6ヶ月を経過するまでです。

③利害関係者の保護手続き

続いて、存続会社および消滅会社の利害関係者(債権者や株主)を保護する手続きを行います。合併すると、債権者や株主に大きな影響を与える可能性があるからです。具体的には、合併の情報を公開し、異議を述べる機会を与えることをさします。

4つの手続きが必要なので確認しましょう。

①官報公告 以下の内容を官報公告にて掲載
・合併する旨
・合併する相手の商号と住所
・貸借対照法の要旨
・利害関係者が異議を述べられる期間
②利害関係者への個別催告 以下の内容を個別催告
・合併する旨
・合併する相手の商号と住所
・貸借対照法の要旨
・利害関係者が異議を述べられる期間
ただし、新聞紙・電子公告した場合は個別催告が不要
③利害関係者異議手続き 利害関係者は、指定期間に異議を述べることが可能
期間内に異議を述べなかった場合は合併を承認したとみなされる
期間中に異議を述べた利害関係者へ、合併を行ったときに弁済や相当の担保を提供するなどの手当てが必要
④消滅会社の株券など提示公告 消滅会社が株券を発行しているとき、効力の発生日1ヶ月前までに、株券などの提出公告と株主への合併通知が必要

この手続きをすることで、存続会社および消滅会社の利害関係者に影響を与えることなく合併できます。

④反対株主の株式買取請求手続き

合併に反対する株主がいる場合は、株式買取請求手続きを行わなければなりません。存続会社および消滅会社は、合併効力発生日の20日前までに株主へ合併する旨の通知を行います。その通知にて、買取請求についても記載する必要があるのです。

⑤株主総会での承認

存続会社および消滅会社の株主総会で、合併契約の承認を得る必要があります。株主総会による承認は、合併効力発生日の前日までに受けなければなりません。合併の決議は、特別決議による承認が必要です。

特別決議とは議決権を持つ株主の過半数が出席する株主総会で、3分の2以上の賛成によって成立します。

⑥効力発生および登記

合併の効力発生日を迎えると、法律上合併されます。合併の効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記を行ってください。

消滅会社の権利義務はすべて存続会社に承継されます。預金・土地・建物などの資産は存続会社への名義変更が必要です。

存続会社は消滅会社から継承した権利義務や合併手続きの経過を記した書類を作成する必要があります。この書類は効力の発生日から6ヶ月間が経過するまで、本店に備え置かなければなりません。

⑦事後開示書類の備置

存続会社は、効力発生日後、消滅会社から引き継いだ権利義務やその他の事項を記載した書面、あるいは電磁的記録をすぐに作成します。作成した書面は、効力発生日から6ヶ月間、本店に備え置いてください。

5. 合併の登記方法

合併の登記方法

吸収合併が完了したら、効力発生日から2週間以内に吸収合併存続会社の変更登記と吸収合併消滅会社の解散登記を行わなければなりません。法務部など、法律に詳しい部署がある場合は、社内で2つの登記手続きを行えます。

任せられる人が社内にいない場合は、司法書士や弁護士に頼むことも可能です。ここでは、社内で2つの登記手続きを行う際の手順を説明するので確認してください。

まずは、存続会社の変更登記申請書と消滅会社の解散登記申請書を作成していきます。吸収合併の変更登記申請書および消滅会社の解散登記申請書は、法務局からダウンロードが可能です。

消滅会社の解散登記は、本店所在地以外に支店所在地でも行わなければなりません。存続会社の変更登記は多くの添付書類提出が求められたり、登記に必要な税金が発生したりするので、事前に確認しましょう。

存続会社の変更登記で必要な添付書類

存続会社の変更登記で必要な添付書類は全部で10種類です。

  1. 合併契約書
  2. 株主総会の議事録
  3. 略式合併・簡易合併の場合、その要件に該当することを証明する書類
  4. 債権者保護手続きを行ったことを証明する書類
  5. 消滅会社の登記事項証明書
  6. 消滅会社の株券提供公告をしたことを証明する書類
  7. 消滅会社の新株予約権証券提供公告をしたことを証明する書面
  8. 資本金の額の計上に関する証明書
  9. 主務大臣の許認可
  10. 委任状

10種類の書類を詳しく確認しましょう。

合併契約書

当事会社間で交わした合併契約書が必要です。吸収合併が行われたことを証明するために提出が求められます。

株主総会の議事録

存続会社および消滅会社の株主総会議事録が必要です。株主総会で合併が認められたことを証明するために提出が求められます。

略式合併・簡易合併の場合、その要件に該当することを証明する書類

略式合併や簡易合併をする場合、その要件に該当することを証明する書類が必要です。略式合併や簡易合併をする場合はどちらかの株主総会議事録がないため、その要件を満たしている証明をしなければなりません。

略式合併は、存続会社が消滅会社の総株主における議決権90%以上を保有する場合に認められます。株主総会を開かなくても90%の可決にて承認を得ることが決まっているからです。消滅会社の株主総会は不要となります。

簡易合併は、存続会社が消滅会社に交付する合併対価の額が、存続会社における純資産の5分の1以下である場合に認められます。純資産の5分の1であれば存続会社の影響は小さいと判断されるからです。存続会社の株主総会は不要となります。

利害関係者保護手続きを行ったことを証明する書類

利害関係者保護手続きを行ったことを証明する書類が必要です。合併公告をした官報や個別催告を実施したことがわかる書類を用意しなければなりません。

期間中に異議を述べた利害関係者がいれば、その利害関係者に対して弁済などを行ったことを証明する書類の提出も必要です。異議を述べた利害関係者がいなかった場合は、いなかったことを申告しましょう。

消滅会社の登記事項証明書

消滅会社における本店所在地の管轄登記所と存続会社における本店所在地の管轄登記所が異なる場合、登記簿記録された登記事項証明書が必要です。管轄登記所が同じ場合は、不要な書類となります。

消滅会社の株券提供公告をしたことを証明する書類

消滅会社の株券提供公告をしたことを証明する書類が必要です。消滅会社が株券発行会社である場合のみ、提出が求められます。

消滅会社の新株予約権証券提供公告をしたことを証明する書面

消滅会社の新株予約権証券提供公告をしたことがわかる書類の提出が必要です。消滅会社が新株予約権証券を発行している場合のみ、提出が求められます。

資本金の額の計上に関する証明書

吸収合併により、存続会社の資本金が増加した場合、計上されたことを証明する書類の提出が必要です。存続会社の資本金が増加しなかった場合は、提出が求められません。

主務大臣の許認可

公益的要請の強い事業を営む会社(銀行や保険会社)は主務大臣の許認可が必要です。該当する場合は、添付資料として主務大臣の許認可提出が求められます。

委任状

弁護士や司法書士などの代理人によって登記申請が行われる場合、委任状の提出が必要です。

変更登記と解散登記で発生する登録免許税額

合併を行うときに必要な登記は、変更登記と解散登記で最低6万円の登録免許税が発生します。存続会社における合併登記の登録免許税は、増加した資本金の1000分の1.5がかかるので覚えておきましょう。3万円に満たなくても、最低3万円の登録免許税が発生します。

一方、消滅会社における解散登記の登録免許税は一律3万円です。合計すると、最低でも6万円の登録免許税を支払う必要があります。

【関連】吸収合併の登記の手続き・必要書類を解説!申請の費用はいくら?

6. 合併するときの会計処理

合併するときの会計処理

合併した場合、会計処理方法も考えなければなりません。この章では、吸収合併における存続会社の会計処理と消滅会社の会計処理を順番に見ていきましょう。

のれんの基礎知識

のれんとは、消滅会社における純資産の時価と取得原価(合併のために発行した株式の時価)の差額のことです。つまり、時価純資産額と買収金額の差額になります。

時価純資産額を買収金額が下回ると負ののれんが計上され、のれんは資産、負ののれんは負債として貸借対照表に計上します。

計上したのれんは、20年以内に定額法などで計算した額を規則的に償却し、想定した収益力を見込めなければ減損処理を行わなければなりません。

合併などM&Aで計上するのれんは、売却側の無形資産を金銭的に見積もったものです。売却側が無形資産を高く見積もれば、計上するのれんの額は大きくなるといえます。

通常取得における仕訳

会計ルールの取得は、会社が他社から経営支配権を得ることです。合併で消滅会社の支配株主が存続会社の支配株主に入れ替わる逆合併でなければ、通常取得といいます。

通常取得の合併では、存続会社が消滅会社の資産や負債を時価で受け入れ、買収価格と時価純資産の差額分をのれんとして計上するのです。

存続会社の会計処理

存続会社の会計処理は、のれんを加味しなければなりません。存続会社の個別財務諸表に、消滅会社の純資産(資産・負債)を時価で入れ、のれんを計上します。前述どおり、のれんは消滅会社における純資産の時価と取得原価(合併のために発行した株式の時価)の差額です。

通常、消滅会社の資産と負債の時価よりも取得原価の方が高い価格になります。吸収する会社のブランド力・ノウハウ・従業員の能力・特許などは純資産に反映されず、その分を上乗せしたうえで取得原価が決定するからです。のれんは、無形固定資産として計上します。

貸借対照表の例を見ながら確認しましょう。

  • 譲受資産の時価 500万円
  • 譲受負債の時価 100万円
  • 取得原価 300万円

この場合、貸借対照表は以下のとおりです。

借方 貸方
譲受資産 500万円 譲受負債 100万円
のれん 100万円 取得原価 300万円

そして、のれん代として譲受資産から譲受負債・取得原価の差額を処理しましょう。

消滅会社の会計処理

消滅会社の会計処理は、合併の効力発生日前日を決算日とした決算を行うだけです。合併の効力発生日に企業は消滅します。そのため、企業が存続する最終日に処理を行う必要があるのです。期間は異なりますが、毎期と同様の会計処理を行いましょう。

負ののれん発生時における仕訳

合併では、買収価格が時価純資産を下回ると負ののれんを計上することがあるのです。買収金額と時価純資産の差額分を負ののれんとし、負債の部に計上します。

買収金額を2,000万円、受入資産を4,000万円、受入負債金額を1,000万円と仮定すると、3,000万円の時価純資産を2,000万円で得たことになります。買収金額より時価純資産が大きいので、差額の1,000万円は負ののれんとして負債に計上してください。

親会社が完全子会社を吸収合併した際の仕訳

親会社が完全子会社を吸収合併するスタイルでM&Aを行うこともあるでしょう。この場合は、会計ルールにおける共通支配下の取引に当たります。

共通支配下の取引の中でも、状況により用いる会計処理が違うのです。親会社が完全子会社を吸収合併する場合は、取得のために行う合併とは違う会計処理になります。

違いは「消滅会社の資産や負債を簿価で引き継ぐこと」と「消滅会社の純資産と存続会社の子会社株式との差額を抱合株式消滅差損益で計上すること」です。抱合株式消滅差損益は、会計上「特別損益」になります。

7. 合併するときの税務

合併するときの税務

合併するときに必要な税務を見ていきましょう。

適格合併・非適格合併における税務処理の違い

適格合併とは、株式や出資以外の資産を対価として交付せず、次のいずれかに当たる合併のことです。

  • 合併する会社とされる会社の間に完全支配関係
  • 合併する会社とされる会社に支配関係があり後述の全要件に該当
  • 合併の当事会社が共同事業を行うための合併で後述の全要件に該当

会社間に支配関係がある合併は、次の要件に該当しなければなりません。
  • 消滅する会社における従業員の約80%以上が合併側の会社で働くことが予測される
  • 消滅する会社が手掛けていた主な事業が合併後に存続会社で引き続き行われることが予測される

共同事業を行うときに適格合併となるには上記2つにプラスして、さらなる要件を満たす必要があります。適格要件を満たさないときが、非適格合併です。

適格合併における税務

適格合併は、資産・負債を帳簿価額で引き継ぐので、消滅会社は譲渡損益を認識せず追加の税金はかかりません。消滅会社の株主へみなし配当の課税もありません。

存続会社は、消滅会社の繰越欠損金を原則承継できます。繰越欠損金とは、欠損金に関して一定条件で以後の事業年度で生じる所得から控除できることです。消滅会社から繰越欠損金を承継すると、節税ができるでしょう。

ただし、繰越欠損金を合併で引き継ぐ場合は難しい要件をパスしなければなりません。繰越欠損金の制限を回避するには、買収から5年以上経過後に合併を行ったり、みなし共同事業の要件をパスしたりする必要があります。

非適格合併における税務

非適格合併では、資産・負債を合併のときに時価で譲渡します。時価での譲渡なので、消滅会社に譲渡損益への課税がかかります。存続会社は、繰越欠損金を引き継げません。

税金面では、適格合併の方がかなりメリットがあるため、条件は簡単ではありませんができるだけ適格合併を行うことをおすすめします。

8. 合併における法務・会計面の注意点

合併における法務・会計面の注意点

ここでは、合併における法務・会計面の注意点について見ていきましょう。

簡易合併・略式合併でも株主総会の決議を省略できないおそれ

株主総会の決議は、簡易合併や略式合併に当てはまると省けます。しかし、簡易合併でも、次の場合は株主総会の決議を省けません
 

  • 存続会社が譲渡制限会社で、譲渡制限が設けた株式を割り当てる
  • 合併で存続会社に差損が発生する
  • 反対株主が存続会社における総株式数の6分の1超

略式合併に当てはまると、子会社側における株主総会の決議が省略可能です。

しかし、「子会社が消滅会社で存続会社の譲渡制限株式を割り当てる場合、子会社が公開会社で種類発行株式会社」や「子会社が存続会社で存続会社の譲渡制限株式を割り当てる場合、子会社が非公開会社」に当てはまると省略できません。

複雑な条件であるため、専門家のサポートを受けましょう

不適当な合併等に当てはまるリスク

上場企業が自社より事業規模が大きい非上場企業と合併するときは、不適当な合併等に当てはまることがあります。

上場企業と非上場企業の合併で上場企業が存続会社と認められないのが不適当な合併等で、非上場企業が取引所の審査なしで上場企業になる裏口上場を防止するための規定です。

合併後、上場会社に存続性がなく定められた間に新規上場の審査に合わなければ、上場廃止となるので気を付けてください。

逆取得に当てはまり会計処理が変動するリスク

逆取得は、存続企業ではない会社が取得企業となります。存続会社が取得企業となる合併とは逆なので、逆取得というのです。

逆取得に当てはまる合併は、被取得企業となる存続会社が取得企業の資産・負債を帳簿価額で受け入れ、時価評価は行いません。

株式譲渡で会社を買収し子会社化した後に吸収合併すれば逆取得が防げ、売却側の株主は現金を受け取れ、 買収側は条件に当てはまることで適格合併を実施できます。

9. 合併した企業とその事例

合併した企業とその事例

過去にどのような企業が合併を行ったのかを知るために、今回は合併した事例を紹介します。

  1. 三菱UFJリースが日立キャピタルを合併
  2. 千葉興業銀行がちば興銀ビジネスサービスを合併
  3. ピーチがバニラエアを吸収合併
  4. ソフトバンクモバイルがワイモバイルを吸収合併
  5. オリンパスが子会社2社を吸収合併
  6. 富士ゼロックスによる新設合併

一つずつ事例を見ていきましょう。

①三菱UFJリースが日立キャピタルを合併

2020年9月に、三菱UFJリースは日立キャピタルとの吸収合併をつうじた経営統合の契約を決めています。2021年4月1日が効力発生日で、三菱UFJリースが存続会社、日立キャピタルが消滅会社です。合併比率は、三菱UFJリース1:日立キャピタル5.1です。

リース事業が苦境にあるため、両社は合併を行いました。三菱UFJリースと日立キャピタルの新社名は、三菱HCキャピタルです。

吸収合併の狙い

両社が、経営基盤を強め環境変化に適用する力を上げることが狙いです。また、ネットワークの相互活用で年間約100億円の収益シナジーを見込んでおり、新会社は、欧米などへの海外進出を図ります。

②千葉興業銀行がちば興銀ビジネスサービスを合併

最初の合併における事例は、2020年9月に行われた千葉興業銀行によるちば興銀ビジネスサービスの吸収合併締結です。ちば興銀ビジネスサービスは、効力発生日に解散します。

吸収合併の狙い

千葉興業銀行による吸収合併は、経営効率の向上と経営資源を有効に活用するために行われました。

ちば興銀ビジネスサービスの全株式を千葉興業銀行が持つため対価を引き渡すことはなく、また消滅会社の新株予約権や新株予約権付社債に関する取扱いもありません。

③ピーチがバニラエアを吸収合併

2018年3月にANAホールディングスは、グループ傘下のピーチとバニラエアを経営統合すると発表しました。ピーチがバニラエアに吸収合併される形となり、バニラエアは消滅する予定です。

2018年下期から統合の手続きを開始しており、2019年末の完全統合を目指しています。

吸収合併の狙い

今回の吸収合併の目的は、LCCにおけるブランドの強化です。国内のLCC売上高ランキングで、ピーチは2位、3位がバニラエアとなっており、この2つが合併することで、1位のジェットスター・ジャパンを追い抜くことが目的です。

考えられる課題

吸収合併に向けて考えられる課題は2つあります。1つ目は統合後の予約システムです。航空券の予約システムは非常に複雑なシステムのため、統合には時間がかかると予想されます。現在は、バニラエアのシステムをピーチのシステムに移行させる方針です。

2つ目は、バニラエアのブランドがなくなることです。今回の統合によりバニラエアの名前が消えてしまいます。バニラエアの国際線利用客の70%が外国人のため、認知度が下がる恐れがあるのです。

2019年末の完全統合に向け、ピーチとバニラエアはこれらの課題解決を行っています。

④ソフトバンクモバイルがワイモバイルを吸収合併

2015年4月にソフトバンクモバイルは、ワイモバイルを吸収合併しました。その際、ワイモバイルだけでなく、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムを含めた3社をまとめて吸収合併しています。

ソフトバンクモバイルとワイモバイルは携帯電話事業、ソフトバンクBBは「Yahoo!BB」ブランドでブロードバンドサービス、ソフトバンクテレコムは固定通信事業をそれぞれ展開していました。

吸収合併の狙い

ソフトバンクモバイルによる吸収合併の狙いは、国内通信事業を強化して企業価値の最大化を図るためです。それぞれが持つ経営資源を集約することで、無駄なコスト削減や技術力の向上につながる判断をしたのでしょう。

ソフトバンクモバイルは、2015年7月に「ソフトバンク」へと社名変更しています。4社を吸収合併することで、ソフトバンクグループ内での「移動通信・固定通信・ネット接続サービス」の事業会社であることを明確にしました。

吸収合併の結果

4社を合併した結果は、成功したといえるでしょう。その理由は2つあります。

1つ目は、コスト削減につながったことです。ソフトバンクテレコムとソフトバンクBBの固定通信事業はいずれも収益はピーク時の半分にまで落ち込んでいました。そのため、総務・人事部門など間接業務を行う部門を統合することでコスト削減に成功したのです。

2つ目はサービス向上につながったことが挙げられます。ワイモバイルは、ソフトバンクの周波数帯を広げるためにイー・モバイルを買収してできた会社でした。

しかし、同じグループであっても同一企業として周波数の割り当てを増やさない判断を総務省にされてしまいます。そのため、ソフトバンクとワイモバイルが分社している意味がなくなりました。

今回の吸収合併により、周波数の割り当てを増やせたためサービス向上につながったのです。

⑤オリンパスが子会社2社を吸収合併

2015年4月に、オリンパスは、子会社のオリンパスイメージング(OIMC)とオリンパス知的財産サービス(OIPS)を消滅会社とする吸収合併を行いました。

グループ内再編のために行われたため、株式や金銭などの割当はありません。親会社は簡易合併、子会社は略式合併に当てはまるため、株主総会の開催は省略されました。

吸収合併の狙い

グループ内の組織再編を狙って行われ、OIMCとの合併は、中長期の経営計画においてより成長させる手段の一つとして実施されています。

OIPSとの合併は、グループ内の知的財産権に関する業務を効率化し機能を強めるために行われました。

⑥富士ゼロックスによる新設合併

富士ゼロックスは、新設合併でグループ内再編を実施しています。2010年1月に、富士ゼロックスマニュファクチュアリングと富士ゼロックスアドバンストテクノロジーを作り、グループ会社の機能を合わせるスタイルで合併を行いました。

富士ゼロックスマニュファクチュアリングに、生産機能を担う3社が統合されています。富士ゼロックスアドバンストテクノロジーには、富士ゼロックスエンジニアリングが統合されました。

吸収合併の狙い

富士ゼロックスが、開発面で技術や開発力を強め生産面ではコスト競争力を強めることが狙いです。

【関連】【2018年】合併企業一覧20選!成功事例と失敗事例あり!

10. 合併するときの売り手の選び方

合併するときの売り手の選び方

合併を検討する場合、売り手企業の選び方を知らなければ失敗してしまうでしょう。合併の売り手企業を選ぶ際に一番大切なことは、「合併の目的が達成されるかどうか」です。合併の目的や目的達成に必要な要素を洗い出してください。

  • ビジネスモデル(顧客・価格・商品やサービスの類似性)
  • ブランド力
  • 展開地域
  • 特許や技術
  • 業種(同業・類似業種・異業種)
  • 国籍(日本籍・外国籍)

このようにさまざまな角度から必要な要素と基準を策定していく必要があります。自社成長のために必要な経営資源は何かを考え、どのようなシナジー効果を期待して合併するのか考えましょう。

できるだけ多くの企業から選ぶことで、より基準を満たす企業に巡り合えます。基準の設定や売り手企業の候補は、M&A仲介会社へ相談することでより具体的になるでしょう。

11. 会社合併ならM&A総合研究所にご相談ください!

会社合併ならM&A総合研究所にご相談ください!

会社の合併をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

ご相談は無料でお受けしておりますので、M&A・合併をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。M&A総合研究所には以下の強みもあります。

  • 「買収」と「合併」で取るべき手法を相談できる
  • 売り手候補の紹介
  • 経験豊富なM&Aアドバイザーによるフルサポート

「買収」と「合併」で取るべき手法を相談できる

自社にとって、どのM&A手法が適切か判断できます。ほとんどの経営者の方は、M&Aを行うのが初めてです。自分が持つ知識のみで「合併がベストだ」と判断し、契約を進めるのはリスクが大きいでしょう。

専門的な知識を持ち、総合的な判断ができるM&Aアドバイザーから得られるメリットやリスクを知り、自社に合ったM&Aの手法を決めてください。「買収の方がメリットが大きい」こともあるのです。

売り手候補の紹介

M&A総合研究所では、多くの売り手候補を紹介いたします。「この基準に当てはまる企業を紹介してほしい」とお伝えいただければ、数社の売り手候補会社を提案いたします。「A社となら、こういったシナジー効果がある」など、経験を生かしたアドバイスも可能です。

経験豊富なM&Aアドバイザーによるフルサポート

M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが専任につくため、企業価値評価デューデリジェンス、交渉に必要な時間が短縮できます。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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12. 合併のまとめ

合併のまとめ

合併とは、2つ以上の企業が1つの企業になることです。1社が残り他の企業が解散して消滅する「吸収合併」と合併するすべての企業を解散して新しく会社を設立する「新設合併」があります。

合併をするメリットは以下のとおりです。

  • シナジー効果を発揮しやすい
  • 資金調達せずにM&Aができる
  • 個々の財産移転の手続きがいらない

合併を成功させるには売り手候補選びが重要なので、M&A仲介会社に頼ると良いでしょう。M&Aを利用して、自社を成長させてください。

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