譲渡企業
代表取締役社長 永田様 インタビュー
M&Aを考え始めたきっかけ
Q1.この度、ご譲渡をお考えになった背景や経緯を教えてください。
設備の老朽化やロボット更新など、解決しなければならない問題を抱えていました。当社が現在設置しているロボットは生産が終了しており、新規で他のメーカーからロボットを購入する必要がありました。
工場のラインを止めるわけにはいかないですし、別の工場を借りるかあるいは建設しないと生産が間に合わないといった悩みがあり、解決する方法を模索していました。その中で、M&Aが一つの解決手段であると考えるようになりました。
ーロボットは貴社の企業経営の根幹に関わるものであり、将来の経営を左右しかねない重要な事項ですね。
ロボットの入れ替え作業は、既存のロボットを撤去し、新しいものに入れ替えするだけではありません。ロボットのティーチング(産業用ロボットのプログラムを作成する方法)が必要で、各ロボット一台に付き30〜40点のティーチングが必要です。それをロボット全てに組み込まなければならず、全て完了するには1ヶ月以上の期間が必要です。
東洋ドライルーブ様との出会い
Q2.ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件と、東洋ドライルーブ様に決められたご理由を教えてください。
一番の決め手は、新工場の建設とロボットの入れ替えの条件が受け入れられたことや、従業員を継続して雇用していただけたことが大きいですね。
また、社長である飯野様のお人柄に惹かれました。さまざまな要因、運気的なご縁も重なり、M&Aに進む決断をしました。
弊社との出会い
Q3.ご検討を始められてから様々な情報を収集されたことと存じます。その中で弊社にご依頼いただいたご理由を教えてください。
当社の設備投資には、約5億円〜6億円の資金が必要です。廃業は考えていませんでしたが、投資をするには迷いがありました。以前、銀行にも相談をして借入を検討したこともありましたが、右腕的存在がいないとこの先私が引退できないことを考えると、借入よりも工場長や常務の右腕となる存在の方が欲しいと思っていました。
実は、2年ほど前に他の仲介会社様からM&Aに関する話がありましたが、結果的にコロナの影響でその話が流れてしまいました。その半年後に担当アドバイザーの佐藤様に相談させていただく機会がありました。
ー以前にもM&Aを検討されたことがあったのですね。
はい。以前から私にとってM&Aは割と身近な話ではありました。
私の長い付き合いのある企業様も、後継者不在の課題を抱えていましたが会社譲渡を行い、従業員との雇用関係もそのまま譲受企業様に引継がれました。他にも、ものづくり企業で事業承継により会社を譲渡した企業様も知っています。
当社と同じように会社の存続に関する課題感を持っている企業は多く、M&Aは以前から興味を持っていました。
Q4.弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。印象に残っている具体的なエピソードなどあれば教えてください。
佐藤様には一生懸命サポートいただきました。M&Aを成功に導くため、こまめにコミュニケーションを取っていただき、尽力いただきました。
今後への思い
Q5.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
私は顧問という立場で引き続き会社にも残りますが、将来的なビジョンとしては「優秀な人材の確保」を目指したいです。
直近では営業力を強化し、違った角度から顧客拡大を図りたいと思っています。今は年間で3億円の売上ですが、将来的には5億円〜10億円を目指したいです。
そのためには、新たな設備導入は欠かせません。当社独自の技術を駆使した曲面印刷が導入できれば、新しい受注も取り込めるのではないかと考えています。そうすれば、売上拡大にもつながるのではないでしょうか。
譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
企業の発展にとってM&Aは良い機会でもありますし、今回は良いご縁をいただきました。
譲渡側にとってはM&Aは一世一代の大きな意思決定ですので、事前に金額面だったり、将来的な投資面だったりと、十分にリサーチをしたうえで方向性を検討するのが良いかと思います。
譲受企業
専務取締役 飯野様 インタビュー
M&AでWin-Winの関係に
Q1.M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
事業承継問題において、後継者不在がさらに深刻になることが予想されている中で、廃業に追い込まれている企業が一定数あります。そうした課題を抱えた優良企業とM&Aを行うことで、我々のような譲受企業にとっては規模拡大が実現しますし、譲渡企業にとっては安心して事業を引き継いで、会社の存続が叶うので、双方Win-Winの関係になります。そのため、当社は今後もできる限りM&Aを進めていきたいと考えております。
M&Aの決め手
Q2.真永様の譲り受けを決められたご理由を教えてください。
真永様は自動車部品向けの樹脂コーティングを行っている企業様です。コーティング加工工場の新たな拠点を考えた時に、特殊曲面印刷に強みを持つ真永様と一緒になりたいと思い、M&Aを決断しました。
ー真永様と東洋ドライルーブ様の双方Win-Winの関係や、シナジー効果が大きかったということですね。
そうですね。真永様の場合、将来的なさまざまな課題を含め、バックアップとしてある程度の規模感の会社の傘下に入ることで安定した事業継続ができるというお考えもあったのではないでしょうか。
弊社との出会い
Q3.弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。印象に残っている具体的なエピソードなどあれば教えてください。
担当アドバイザーの佐藤様は、お若いのにしっかりしている印象を受けました。
M&Aはスピード感が1番大事です。迅速性、臨機応変性はもちろんのこと、そして何より誠実に対応していただきました。もしレスポンスが遅く対応が悪い場合、破談になる可能性も高まってしまいます。佐藤様には真永様と当社のそれぞれの意向に沿って交渉していただき、非常にありがたかったです。
M&Aは綱渡りのような部分もありますが、そのあたりの感覚や落としどころをバランス良く進めてくださったので、今回の成約に繋がったと思っています。
今後への思い
Q4.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
当社はコーティング加工工場として群馬、愛知、神奈川に拠点を持っており、2年前は大分ドライルーブ、4年前には長野ドライルーブのM&Aを実施しました。
大分ドライルーブを設立してうまく立ち上がった実績もありますので、塗装会社である真永様とのシナジー効果というのは非常に期待できると感じています。
Q5.今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
当社が今後のM&Aで考えていることは、地理的な要素と当社が進出できていない地域の企業の獲得です。
M&Aによる事業拡大と当社でまだ行っていない表面処理の技術・ノウハウを得ることによって、東洋ドライルーブがコーティングだけではなく、総合デパートのように様々な表面処理ができる状態にし、強みにしていきたいと考えています。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
譲受側にとって大事なのは、適正な価格かどうかという点ではないでしょうか。取引価額が高すぎても低すぎても譲り受けられない可能性があり、そのあたりのバランスを取る必要があります。
また、M&A後のPMIも重要です。どのように立て直すかというビジョンを持っていないと、「こんなはずではなかった」といった、社内からの批判やさまざまなリスクも生じます。M&Aを検討する場合は、準備段階から譲受後の社内統一など先々を考えた上で一つずつ進めていき、統合していくことが重要だと思います。
担当者からのコメント
"塗装"という同事業の中でも、材種や得意技術、規模もエリアも全てが異なる企業同士が、互いの更なる事業成長の為、1つの同じ道を目指した素晴らしいM&Aが成立致しました。
譲渡企業様は自動車部品の塗装加工を得意とする、創業20年を超える塗装・印刷会社様です。キャパシティの逼迫による新工場設立や、管理者人材の確保を検討する中で、M&Aによる成長戦略をご決断頂きました。
譲受企業様は自社のオリジナル材の製造から塗装加工まで手掛ける、東証スタンダード上場の優良企業様でございます。
両社共に親子同士での検討となり、具体的な将来像を想定した上で無事ご成約までお手伝いする事ができ、次世代の活躍が非常に楽しみな良縁となった事を大変嬉しく思います。
(企業情報第六本部第二部 部長 佐藤 廉)