成約インタビューM&A事例

介護施設のM&A事例【神奈川県】

「心」と「身体」の強みを融合。
理念共感型M&A

  • 譲渡企業

    株式会社楓の風

    代表取締役

    小室 貴之 様

    業種
    介護業
    地域
    神奈川県
    売上
    7億9,800万円
    社長の年齢
    54歳
    譲渡理由
    創業メンバーの高齢化、研究者としての新たなキャリア構築
  • 譲受企業

    株式会社ルネサンス

    常務執行役員

    鈴木 有加里 様

    業種
    スポーツクラブ事業、介護リハビリ業 等
    地域
    東京都
    売上
    637億 3,700 万円
    上場有無
    東証プライム上場
    譲受目的
    M&Aによる介護事業の成長加速、ICF(国際生活機能分類)に基づくケアの確立

通所リハビリ施設を運営する株式会社楓の風(神奈川県横浜市)が、スポーツクラブ運営の最大手・株式会社ルネサンス(東京都墨田区)へ譲渡を決断した。IPOを目指していた中で、コロナ禍を機に出口戦略を転換した楓の風の小室貴之代表取締役と、介護事業の成長スピード加速と質の向上を目指していたルネサンスの鈴木有加里常務執行役員。「自立支援」という共通の理念と、「心」と「身体」という相互補完の強みが、理想的なパートナーシップを生み出した。

【譲渡企業】株式会社楓の風
本社:神奈川県
事業内容:通所リハビリ型デイサービスを運営している。

【譲渡企業】株式会社ルネサンス
本社:東京都
事業内容:スポーツクラブや介護リハビリ施設などの運営を行っている。

譲渡企業
株式会社楓の風
代表取締役 小室 貴之 様 インタビュー

尊厳を守るケアを。創業の原点は使命感

―まず、御社の創業の経緯について教えてください。

当時の高齢者介護の現状に対する「義憤」が原点でした。 戦後の激動期や高度経済成長期を支えてこられた方々が、高齢になった途端に、画一的なケアの中で尊厳を軽視されているような現実に直面したからです。『年を重ねてもすぐに施設に入るのではなく、住み慣れた家で、自分らしく最期まで過ごしてほしい』。その一心で、単なる介護ではなく、自立支援に特化した通所リハビリ施設を立ち上げました。
「自分がやるしかない」という使命感を胸に、制度が求める「あるべき姿」を実直に追求し、利用者の皆様の尊厳と自立を支えるサービスを提供したいと考えたのが創業の経緯です。

―御社の事業内容と強みについて教えてください。

通所リハビリ施設を展開しています。最大の強みは、愚直に「自立支援」を追求してきた点です。また、人材採用においては紹介会社を一切使わず、理念への深い共感を重視する直接採用にこだわってきました。HPを読み込み、「ここでやりたい介護がある」と志願してくる人材のみを採用することで、質の高いサービス維持を実現しています。

テナントと市場分析を駆使した戦略的拡大

―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。

当初は融資を受けながら一店舗ずつ展開していましたが、途中で限界を感じ、ファンド等の外部資金を活用することで成長を加速させました。通所介護においては「テナントありき」の考え方で、物件選定後に市場性を分析して出店を判断。直営に加えてフランチャイズも活用した結果、一時は50施設近くまで拡大しました。常にエリア特性とニーズを分析し、戦略的な展開を続けてきました。

コロナ禍での戦略転換と次世代への継承

―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。

当初はIPO(株式上場)を目指していましたが、コロナ禍による業績への影響を受け、出口戦略をM&Aへ切り替えました。また、私を含め創業メンバーである役員陣が高齢化しており、次の世代へ事業を引き継ぐべきタイミングだと判断しました。私自身も経営を一区切りさせ、研究者として新たなキャリアに進みたいという思いもありました。

理念を深く理解するアドバイザーへの信頼

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。

最も重視したのは、担当アドバイザーへの信頼です。過去の経験から、単なる数字のマッチングではなく、当社の理念や「あるべき姿」を深く理解し、それを譲受企業様に正しく伝えてくれるアドバイザーでなければ任せられないと考えていました。当社の考えを深く理解し、完全に共有できていたため、安心して進めることができました。

「自立支援」の理念一致と過去の不思議な縁

―最終的にルネサンス様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。

最大の決め手は、ルネサンス様が当社の「愚直に制度へ寄り添う姿勢」を評価し、企業風土に共感してくださったことです。また、ルネサンス様の役員の方が過去に私の講演を聞いてくださっており、当社の理念を既に理解されていたというご縁もありました。ICF(国際生活機能分類)に基づくケアの方針が完全に一致しており、M&Aの大義が明確だったことが決断の理由です。

互いのノウハウを共有し、新たな価値を創造

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

PMI(統合プロセス)が非常に順調で、毎週ワクワクするような打ち合わせが続いています。親会社・子会社という枠を超え、互いのノウハウをシェアし合えています。ルネサンス様が持つリソースと、当社が培ったソーシャルワークの実績を融合させることで、より良いサービスが生まれると確信しています。私自身は今後、長年研究してきた自立支援のノウハウをAIに学習させる研究に注力します。外国人労働者が言葉の壁を超えて高齢者の『心』を理解できるよう、AIによるサポート体制を構築し、人材不足という業界課題の解決に貢献したいと考えています。

良い時こそ提携を。会社は社会の公器である

―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。

私は、会社は社長の所有物ではなく、地域や職員のためのものだと思っています。経営に行き詰まってからではなく、良い風が吹いている時こそ、より良い環境や成長のためにM&Aを検討すべきです。自社の資本だけでは限界がある時、シナジーのある企業と手を組むことで、新しい価値を生み出し、社会に貢献していく姿勢を持つことが経営者として大切だと考えます。

譲受企業
株式会社ルネサンス
常務執行役員 鈴木 有加里 様 インタビュー

お客様の生きがいをサポートする多様なサービス展開

―まず、御社についてご紹介いただけますでしょうか。

1979年、大日本インキ化学工業(現DIC)の社内ベンチャーとして創業し「生きがい創造企業としてお客様に健康で快適なライフスタイルを提案します」という企業理念のもと、テニススクールから事業をスタートしました。現在はスポーツクラブ運営を中心に、介護リハビリ施設や自治体の健康づくり支援などヘルスケア領域へ事業を拡大しています。また、長期ビジョンである「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を目指し、健康分野で多様なサービスを展開しています。

楽しく運動を継続できる「元氣ジム」の独自性

―御社の強みについて教えてください。

約20年前から介護予防事業に参入し、13年前からリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を展開しています。強みは、理学療法士・看護師による専門的なリハビリと、スポーツクラブ運営で培った「楽しく運動する」ノウハウの融合です。正しいリハビリであっても楽しくなければ続きません。フィットネスとメディカルを掛け合わせ、心身ともに元気になれる場を提供しています。

新規出店の限界を超え、成長速度を加速させる

―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。

これまでは直営・FCでの出店を中心に拡大してきましたが、物件選定や人材の採用・育成に要する時間とコストが増大し、自社単独での展開スピードに限界を感じていました。
この壁を乗り越えるためには、自前主義に固執せずM&Aという選択肢が必要だと考えました。それは単なる規模の拡大ではありません。すでに地域に根差し、お客様との絆を築いてこられた楓の風様と手を取り合い、皆様が歩んできた歴史や従業員の方々の想いまでを、敬意を持って丸ごと譲り受ける。「時間・制度・風土を買う」という決断こそが、真の加速を生むと確信したからです。

「心」と「身体」。相互補完できる稀有な存在

―最終的に楓の風様を譲り受けされた理由を教えてください。

楓の風様の「自立支援」に対する企業理念と、「心のケア」まで踏み込む企業風土に強く共感したことが最大の理由です。当社が得意とする「身体機能の改善」に対し、楓の風様は「心の充足」や重度者対応のノウハウを持っています。小室代表という業界の先駆者が築き上げた稀有なノウハウと当社事業を融合させることで、大きなシナジーが生まれると確信しました。

重度化対応を見据え、グループ全体で成長へ

―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。

介護保険制度の改正を見据えると、軽度者だけでなく重度の方も受け入れられる体制構築が急務です。重度者ケアや在宅ホスピスの実績がある楓の風様のノウハウをグループに取り込むことで、制度変化に対応できる事業モデルを構築したいと考えています。また、当社のリソースを楓の風様にも活用いただき、両社の成長ステージを一段上げていくことを期待しています。

首都圏・都市部を中心に、堅実な拡大を目指す

―今後、事業展開の一つとしてM&Aを活用されることはありますか?

今後もM&Aは活用していきますが、楓の風様のような独自ノウハウを持つ企業は希少です。当面は、当社と同様のデイサービスを運営する一定規模の事業者様を対象に、拠点拡大を図りたいと考えています。また、PMI(統合後の融合)を確実に行うため、現場に足を運びやすく機動力を持ってサポートできる首都圏や主要都市を中心に検討していく方針です。

目的の明確化と、信頼関係構築への注力

―M&Aをご検討されている経営者様にメッセージをお願いいたします。

譲渡企業様には、誰とどんな価値を作りたいかという視点と、正確な情報開示・キーマンの選定をお勧めします。
譲受企業様には、M&Aの目的とゴールを明確にすること、そしてデューデリジェンスの体制整備が重要です。何より、双方が信頼関係を築き、互いの理念や想いを共有することが、M&A成功の鍵になると今回の経験で強く感じました。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください。

譲渡企業回答:
最大の理由は、担当アドバイザーが当社の理念を深く理解し、譲受企業へ正確に伝えてくれた点です。単なる条件交渉ではなく、ミスマッチを防ぐための丁寧な調整と、理想的な出口戦略を共に考えてくれた姿勢に感謝しています。

譲受企業回答:
レスポンスの速さと、両社の本音を汲み取った適切な調整力が素晴らしかったです。面談調整から書面手続きまで細やかにサポートいただき、安心してディールを進めることができました。

「制度が求めるあるべき姿」を追求し、自立支援に特化した通所リハビリの先駆者として歩んできた株式会社楓の風。そして「人間性の回復」を掲げ、スポーツと医療の融合で健康寿命の延伸に挑む株式会社ルネサンス。「心」のケアに長けた譲渡企業と「身体」の機能改善に強みを持つ譲受企業。両社の出会いは、互いの足りないピースを埋め合わせるだけでなく、理念への深い共感によって強固に結びついた。小室代表の想いはルネサンスへと引き継がれ、両社の融合は、これからの日本の介護・ヘルスケア領域に新たな希望の光を灯すことになるだろう。

担当者からのコメント

本件は、創業メンバーの高齢化という課題に加え、オーナー様自身が「研究者として日本の介護事業の未来に貢献したい」というビジョンがありました。 譲渡企業様は「人生の最期まで自分らしく」という理念のもと、利用者様の心に寄り添い、尊厳を守るという「介護のあるべき姿」を実直に体現してこられました。 一方、譲受企業様は大手スポーツクラブを運営し、フィットネスと介護を融合させた独自のデザインを展開されています。 「心に寄り添う」譲渡企業様と、「機能訓練に長けた」譲受企業様。 介護のスタイルこそ異なりますが、その根底にある「利用者様が元気に、自分らしく過ごせるようサポートする」という志は共通しており、両社の理念が深く共鳴するM&Aとなりました。 素晴らしい理念を掲げ、思いやりに溢れた介護を実践される両社に携わることができ、心より光栄に存じます。
(企業情報本部 部長 石司 飛雄馬)
石司 飛雄馬

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