譲受企業
旭東化学産業株式会社
代表取締役 田口 貴之 様 インタビュー
グループ総合力でバリューアップを実現
―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
私たち旭東グループは、旭東ホールディングスの下に、事業会社が6社連なる計7社体制の企業グループです(2026年4月時点)。加工食品業界を「裏方」として支える企業で構成しており、内訳は食品添加物・副原料を手掛ける会社が4社、機械設備の会社が2社です。各社が共通の顧客や対象領域を持ち、相互連携で各社のバリューアップを実現しています。祖業である旭東化学産業は創業72年にわたり大手食品メーカーを中心に課題解決のサポートをしており、その技術やノウハウを活用できることが最大の強みです。
良好な関係性から生まれた戦略的提案
―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
弊社は、以前もM&A総合研究所のご紹介で譲り受けた実績があります。前回の承継後も、弊社の考え方や方向性をお伝えしていたところ、福南食品工業様をご紹介いただきました。福南食品工業様のことはご提案の前から存じ上げており、創業から100年以上、法人設立から50年以上の歴史がある会社様からのお声がけは大変光栄でした。液体調味料の製造において高い開発力やノウハウ、充実した製造設備を有する企業様だと感じ、トップ面談の機会をいただきました。
カリスマ性と現場の誠実さが決め手に
―最終的に福南食品工業様を譲り受けられましたが、印象や譲り受けを決められたご理由を教えてください。
福南食品工業代表が弊社の発信内容を事前に見てくださり、「私が30代の時にやろうとしていたことと一緒だ」と仰っていただいたことに驚きと喜びを感じました。代表は従業員が数名の状況からゼロベースで事業を創り上げられたカリスマ性をお持ちで、その発想とご尽力は本当に素晴らしいと感じております。また、長きにわたり経営の最前線に立たれていたご苦労も会話の節々から感じ取ることができました。

―カリスマ経営者から事業を引き継ぐことに不安はありましたか。
福南食品工業代表が数十年かけて成長させてきた企業様ですので、最初は私たちが上手く引き継げるか判断に迷う点もありました。しかし、工場見学の際に現場を取り仕切る方々の誠実さを感じたことや、従業員の皆様がテキパキと動く姿や身だしなみを拝見し、この製造チームなら一緒に成長していけると感じたことが最終的な決め手となりました。交渉を重ねる中で有意義なコミュニケーションも取れ、グループ参画後の伸び代を確信しました。
相互の強みを活かすインフラ企業へ
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
旭東グループは甘味向け製品は既に展開していますが、セイボリー(塩味のある食品)向けの製品はポートフォリオにありませんでした。今回福南食品工業様とご一緒することでグループ全体の提案メニューが拡充し、お客様への貢献価値の幅が広がりました。今後は相互の委託製造により稼働を増やし、業績改善にも貢献します。今後のビジョンは加工食品業界のインフラとなり、美味しく安く安定的に届けるための「無くてはならない存在」になることです。
「裏方企業群」のビジョンを共に実現
―今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
ビジョンの実現には、グループ各社のオーガニックな成長に加えて、M&Aも有効な手段です。福南食品工業様のような後継者不在の事業承継は、日本社会においても重要なテーマだと認識しています。旭東グループは「加工食品の裏方企業群」になることを目標にしており、今後もその方向性に共感していただける企業様には、積極的に譲渡に関するご相談をいただきたいと考えております。

相手の歴史を尊重し共に成長する環境を
―M&Aを実行していくにあたり、重要だと考えていることを教えてください。
譲渡企業様には時間と労力を掛けて作り上げてきた歴史と文化があります。法令に則していなかったり、時代の変化に対応していない部分は改善しますが、グループになったからといって強権的なアクションを取るのではなく、各社の特長を活かした相互の成長を必死に考えることが大切です。従業員の皆様がお客様の役に立つことに集中できる環境を整え、気持ちよく働いて会社を成長させようという前向きな状況を作ることが重要と考えています。 これからも弊社においては、M&Aは一つの経営方針になります。弊社グループでは、技術力やノウハウを持った事業会社だからこそ実現できる具体的なバリューアップの提案・支援が可能だと考えています。旭東グループには食品に関わる多様なノウハウが揃っており、参画企業様の課題に応じてメンバーが連携し、相互の事業を拡大していきます。各社の企業文化や歴史を尊重し、真面目で誠実な従業員の皆様がより活躍できる環境を提供いたしますので、安心してスムーズな承継をお任せいただければと思います。
―これまでのM&Aで、譲渡企業の従業員様の反応で印象深かったものはありましたか。
譲渡企業の従業員の皆様に「旭東グループに入ってよかった」と思っていただけることが何よりの喜びです。過去にグループへ参画した北海道のポリホス化学様では、参画から約1年半で全国流通するスイーツの原材料を手掛けることになりました。代表の方が新たな挑戦についてご家族に話したところ、大変喜ばれたと伺い、私自身も胸が熱くなりました。他のグループ会社の周年記念動画でも、社員の方々がやりがいを生き生きと語ってくださり感激しました。

―皆様が意欲的に活躍できるように、田口社長はどのようなことを意識されていますでしょうか。
譲り受けた企業の従業員の皆様は、ご自身の仕事や会社に誇りを持つ、真面目で誠実な方ばかりです。むしろ、そうした素晴らしい企業様にのみグループへご参画いただいております。事業面での改善支援は当然行いますが、私が最も果たすべき役割は、意欲的な従業員の皆様がより懸命に「お客様の役に立つこと」へ集中できる環境を整えることに尽きると考えています。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
過去にもお世話になりましたが、優秀かつスピーディな対応をされる方が多いと感じています。担当アドバイザーは譲渡企業様にも弊社にも真摯に寄り添ってくれました。両社の代表の年齢差が約40歳あり、ギャップを埋めるのは大変だったと思いますが、橋渡しとなり、丁寧かつ粘り強くご説明いただき信頼関係を構築してくれました。個人的にはお互いボクシングが趣味なので、そこでも気が合ったのが印象的でした。成約ではなく「成功」のために尽力いただき、非常に感謝しています。
旭東グループの持つ総合力と、福南食品工業株式会社が長年培ってきた高い技術力が融合し、両社にとって大きなシナジーを生み出す理想的なM&Aとなりました。互いの歴史と文化を尊重し合い、食品業界の「無くてはならない存在」へと歩みを進める両社の今後のさらなるご発展が期待されます。
担当者からのコメント

35年以上の長きにわたり代表取締役を務めてこられたオーナー様の事業承継をご支援させていただきました。長年築き上げてこられた事業だからこそ、承継にあたっては「自社を発展させられる見通しがあり、かつ経営理念が近く、信頼できる方にしか任せられない」というオーナー様の熱い想いがありました。私はその想いを形にするため、社内関係者と密に連携し、譲渡企業様の意向に真に合致するお相手探しに尽力いたしました。その結果、事業内容の親和性が高く、相互に強みを補完し合える誠実な譲受企業様とのご縁を繋ぐことができました。今回のご成約が、オーナー様の新たな人生の門出となり、また譲受企業様のさらなる発展に寄与する有意義なものとなることを心より願っております。
(企業情報本部 副部長 板谷 憲志)