譲渡企業
医療法人社団常壽会
理事長 髙石 潔 様 インタビュー
地域に根ざした医療の歩み

—御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
1930年代頃に祖父が医院として開業したのが始まりです。戦後、父の代で救急患者の受け入れを始め規模を拡大しました。救急患者は胃腸科関係の方と交通事故などの整形関係の方が多かったため、1970年頃にニーズに合わせて専門を分け、当法人は胃腸科を専門とする病院として再出発しました。現在は内科の診療に加え、介護付き老人ホームを運営しています。長年地域に密着してきたからこそ、地元の方々に厚く信頼していただき、ご支持をいただいている点が最大の強みだと思っています。
医療と介護の複合型施設へ
—どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
2008年頃、建物の老朽化やスタッフの人手不足といった課題に直面し、事業の在り方を見直す必要に迫られました。そこで、単独での病院経営から少し方針を転換し、有床診療所と老人ホームを併設する複合型の施設を構想しました。当時は医療法人が老人ホームを運営することは認められていませんでしたが、翌年に制度改正があったタイミングで速やかに申請を行い、医療法人運営の老人ホームとして新たな事業展開へと踏み出した経緯です。
事業の安定と未来を見据えて
—譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
老人ホームの開設当初は順調でしたが、他施設に比べると費用が高かったこともあり、なかなか入居者が集まらない時期がありました。それに伴い経営が横ばいとなり、診療報酬の減少も重なって、事業の安定化が大きな課題となりました。一方で、当法人はCTスキャンや胃カメラを導入するなど専門的な診療に力を入れており、長年、墨田区の皆様に支持されてきた実績があります。この地域に根ざした医療体制を今後も維持していくためにも、私自身の体力的な限界を考慮し、70歳を迎える前にしっかり道筋をつけたいと考えたんです。そこで、当法人の総務部長に相談したところ、金融機関様経由でM&A総合研究所様をご紹介いただいたのが具体的な検討の始まりです。
訪問診療や介護の豊富な経験
—ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。
最も重視したのは、訪問診療や介護分野での豊富な経験を持つ企業様であることです。実は開設当初、バスでの送迎を含めたデイサービスも行っていました。しかし、東日本大震災以降は送迎が困難になったり、人手不足で介助浴を対応しきれなくなったりして、やめてしまった経緯があります。私たちにはその分野の経験が少なかったんです。そのため、専門的な知見を持ち、従業員がより良い環境で働けるように導いてくださる譲受企業様を探していました。
頼りになる若さと確かな実績
—最終的に地域医療パートナーズ様へのご譲渡を決断されましたが、譲受企業様の印象や譲渡を決めた理由を教えてください。
譲受企業様が持つ事業運営の豊富な経験や組織の規模を知り、非常に頼りになる存在だと感じていました。実際にお会いしてみると、経営陣の方々が若く活気に溢れていたことが好印象でした。当法人の抱える課題や地域の状況を深く理解した上で、今後の事業展開について明確なビジョンをお持ちであったことが、最終的な決断に繋がりました。

新たな知見によるサービスの拡充
—今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
譲受企業様が培ってこられた訪問診療や事業所運営のノウハウを、存分に活かしていただくことを期待しています。これまでの当法人の歩みを尊重しつつ、新しい知見を取り入れることで、これまで実施できなかった在宅診療への本格的な参入などを実現できると思っています。地域の方々へより質の高い医療と介護を提供していきたいです。
早めの相談でスムーズな承継を
—譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
まずは早めに専門家へ相談することが最も重要だと思います。また、自社の経営状況や歴史、地域の特性などを深く理解している方が間に入ってくださると、無駄な時間の短縮にも繋がり、交渉がスムーズに進むと実感しました。
最後にM&A総合研究所にお任せいただいた理由を教えてください。
やはり信頼しているメインバンクからご紹介いただいたことが一番の理由です。実際にお任せしてからは、担当のアドバイザーの竹野さんが常に分かりやすく丁寧な説明をしてくださり、面談など関係者が集まる重要な場でも、スムーズに進行やマネジメントを行っていただきました。
譲受企業
株式会社地域医療パートナーズ
代表取締役社長 菊地 玲 様 インタビュー
医療従事者を支える組織として

—御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
2011年頃、在宅診療を中心とする医療法人の運営をバックアップする目的で設立されたのが始まりです。当時は在宅診療の認知度がまだ低く、採用や地域への啓発活動を目的とした株式会社を設立しました。2年ほど前から、約10年間で培った医療・介護施設の運営支援やノウハウを各地域にシェアしていく方針へと転換し、現在の社名に変更しました。医療従事者が診療に専念できる環境を構築する、その支援体制の充実が弊社の強みだと思っています。
間接的支援から直接的な運営へ
—M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
方針の転換に伴い、自社で蓄積したノウハウをさらに発展させるためには、自らが直接的に施設を運営し、現場の課題を経験していくことが必要だと考えるようになりました。そのような新たなチャレンジを模索していたタイミングで、今回のお話をいただきました。自社の成長戦略に合致する素晴らしいご縁だと感じ、本格的な検討をスタートさせました。
地域への想いと変化を恐れぬ姿勢
—最終的に常壽会様を譲り受けられましたが、常壽会様の印象や譲り受けを決められたご理由を教えてください。
何より地域医療を大切にされている点に深く共感しました。実際に施設を訪問した際も、ピリッとした緊張感ではなく「ただいま」と言いたくなるような温かく安心できる雰囲気を感じたことも大きかったです。また、代表者様が過去に医療と介護の複合施設をいち早く立ち上げられた進取の精神や、法人を持続可能にするために譲渡を決断された姿勢にも感銘を受けました。変化に前向きな企業風土が、私どもの考えと合致したことが一番の理由です。
覧古考新の精神で地域に貢献
—今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
常壽会様は現在でも非常に良好な状態にありますが、私どものノウハウを掛け合わせることで、さらに成長できるポテンシャルを秘めていると感じています。施設の運営基盤をより強固なものにし、地域における医療と介護のフラッグシップのような存在へと引き上げていきたいですね。「覧古考新」という言葉が好きなのですが、これまでの歴史や地域との繋がりを大切に守りながら、新たな考え方やサービスを創出していくことで、地域全体にしっかり貢献していきたいと思っています。

着実な運用で成功体験を積む
—今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
まずは今回のお話をしっかりと形にすることが最優先です。今回のM&Aを通じて直接的な施設運営の経験を積み、確かな手応えを感じることができれば、将来的には同様にM&Aを通じて事業展開を広げていくことも視野に入れています。これまでは間接的なサポートが主業だったので、今回初めて直接的に運営に携わる中でギャップを乗り越えていきたいですね。
密なコミュニケーションが鍵
—M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
成約に至るまでの間に双方がコミュニケーションを丁寧に積み重ねることが何より大切だと思います。丁寧なコミュニケーションを重ねることで、相互理解が深まるだけでなく自己理解も高まりました。また、M&Aに限りませんが、私は「企画2割、運用8割」と考えており、成約に至るまでには「企画2割」に当たると思っています。ここから先の「運用8割」を両社が同じ目標に向かって取り組むことが成功に繋がると信じています。
誠実なサポートで安心の進行
—最後に弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。
初めてのM&Aということもあり、はじめは非常に緊張感のある交渉になるのではないかと少し構えていました。しかし、担当アドバイザーの竹野さんが仲人のように、信頼関係を構築できるよう誠実にサポートしてくださったおかげで、終始リラックスして話し合いに臨むことができました。不安や疑問に対しても、幾度となく明確に回答いただき、納得して進行できました。人間にしかできない細やかな配慮に感謝しています。
長年地域に密着し地域医療を大切にされている常壽会様と、間接的なサポートから直接施設を運営する新たなチャレンジを模索していた地域医療パートナーズ様。双方が丁寧にコミュニケーションを積み重ね良好な信頼関係を構築することで、M&Aの成約に繋がりました。
これまで培ってきた豊富な経験に、事業所運営のノウハウを掛け合わせることで、さらに成長できるポテンシャルを秘めています。「覧古考新」という言葉のように、これまでの歴史や地域との繋がりを大切に守りながら、新しい考え方やサービスを作っていくことで、地域全体にしっかり貢献していくことが期待されます。
担当者からのコメント
オーナー様は、地域住民に親しまれる医療施設を長年運営してこられた中で、後継者がご不在の状況であり、このままではいずれ廃業しなければならないとのご相談を頂戴しました。さらに、今後地域のためにより必要とされる施設にしたいとの想いを強く持たれていたため、私も全力でご支援をさせていただきました。譲受企業様は、在宅診療を始めとした病院経営のノウハウがあり、首都圏への進出を検討していた中で、譲渡企業様に興味を持っていただきました。トップ面談での雰囲気がとても良く、オーナー様に安心感を持っていただけました。今後は譲受企業様のもつ人材・ノウハウを生かし、更に地域に必要とされる施設になられると思います。今回のご成約により、地域にとって不可欠な医療機関を守ることができたこと、担当としてほっとしております。
(金融提携部 次長 竹野 潤)
