譲渡企業
有限会社見奈須フーズ
代表取締役 宮城 哲治 様 インタビュー
卵が割れる悩みから始まった創業
ーまず、御社の創業の経緯について教えてください。
創業者は父・徳次郎です。当時は近隣に卵を売る店がなく、隣町まで買いに行く必要があったのですが、運ぶ途中で割れてしまうことも多かったため、「自分で飼おう」と庭先で数十羽の鶏を飼い始めたのがきっかけでした。父が「これは商売になる」と気づき、徐々に増羽。自宅敷地内での飼育が難しくなり移転し、気付けば開放鶏舎で4万5000羽規模まで拡大していました。ただ、近隣エリアの住宅地化もあり、近場で大規模養鶏が可能な移転先を探し求めるようになりました。結果、現在の地に国の補助事業を活用する形で移転する際に法人化しました。
沖縄初の自販機と六次産業化
―御社の事業内容と強みについて教えてください。
国の補助事業を活用し、10万羽規模に対応したウィンドレス鶏舎(完全空調の鶏舎)を導入しました。最初は鶏卵生産と堆肥製造を手がけていましたが、現在はそれに加え商社部門、菓子店「らんらん家」の運営、加工部門を展開しています。沖縄初となる卵の自動販売機の設置や、味付き卵の製造など、県内でも先駆けて新しい取り組みに挑戦してきた自負があります。
将来を見据えたウィンドレス鶏舎
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
開放鶏舎のままでは将来的な発展ややりがいを見出せないという危機感がありました。事業を継続・発展させるためには、先進的な設備投資が不可欠だと判断し、ウィンドレス鶏舎の導入による大規模化と近代化に踏み切りました。
設備の巨大化と後継者への配慮
―譲渡をお考えになったきっかけや背景を教えてください。
息子2人が社内に在籍していますが、ウィンドレス鶏舎への投資は膨大な規模となり、経営に慣れていない彼らにいきなり背負わせるのは荷が重いと考えました。息子に承継するよりも、強固な経営基盤を持つ大手企業に任せることで、息子たちも従業員も安心して働ける環境を作りたいと思ったのがきっかけです。また、県内の鶏卵の自給率の向上には大手のような安定した基盤のある企業に任せるほうが拡大できるのではないかという期待感もありました。
従業員雇用と「三方よし」の精神

―検討を進められる上で、希望や大事にされた条件を教えてください。
第一に、従業員の雇用維持と待遇を守ってもらうことです。また、私は常に「譲渡企業よし、譲受企業よし、世間よし」の「三方よし」の精神を大切にしてきました。相手企業もその精神を持ち、上から目線ではなく対等なパートナーとして、共に歩める相手であることを重視しました。
畜産への熱意と県外資本の可能性
―最終的に三昌物産様への譲渡をご決断されましたが、印象や決め手を教えてください。
人柄はもちろんのこと、「畜産」に対する強い熱意を感じたことです。当初は県外企業への抵抗感や不安もありましたが、県外の資本やノウハウが入ることで会社が活性化すれば、結果的に沖縄の経済にも貢献できると考えが変わりました。お会いした際の直感で、私の想いを満たしてくれる相手だと確信しました。
ノウハウ融合による更なる成長へ
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
現状の2倍、さらにその先へと段階的に成長してほしいと願っています。菓子部門や加工部門も含め、先方の知恵やノウハウを取り入れて発展すれば、従業員の満足度も上がり、私自身も譲渡して良かったと思えます。会社は一人のものではなく、経営者が変わっても良い方向に成長し続けることが一番です。
身の丈を知り、信頼関係を重視
―M&Aを検討されている経営者様へメッセージをお願いします。
まずは一歩を踏み出すことですが、最も重要なのは信頼できる仲介業者を見つけることです。そして、自社を過大評価せず、身の丈を知って交渉に臨む謙虚さが大切です。相手あってのM&Aですから、お互いが納得する「三方よし」を目指す姿勢が、成約への鍵になると思います。

最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
担当アドバイザーとは数年の付き合いになりますが、時間をかけて信頼関係を築けたことが決め手です。いろいろなM&A仲介会社から提案を受けていましたが、条件面だけでなく、担当アドバイザーの「人間性」を見て信用できると感じました。
家族経営から始まった養鶏業を、沖縄県内でも先進的な設備を持つ企業へと育て上げた見奈須フーズ。事業規模の拡大に伴う責任と後継者への配慮から決断したM&Aは、畜産への熱意を共有する三昌物産という最良のパートナーを得る結果となった。「県外資本の導入が地域経済の活性化につながる」という前向きな結論は、地方企業の事業承継における一つの指針となるだろう。両社の強みが融合し、沖縄の養鶏業がさらなる飛躍を遂げる未来に期待が高まる。
担当者からのコメント
沖縄の食を支える一次産業の最前線で、鶏卵事業を牽引してこられた譲渡企業様のお手伝いができたことを大変光栄に思います。数年にわたるオーナー様とのお付き合いの中で、ご家族はもちろんのこと、従業員を第一に想うオーナー様の実直かつ温かなお人柄と、沖縄の養鶏業の未来を見据える強い使命感に深く感銘を受けてまいりました。当初は沖縄県内企業との提携を中心に検討を進めておりましたが、より大きな事業シナジーを追求する中で、県外企業とも交渉を重ねました。その結果、畜産への熱意を共有する譲受企業様をパートナーに選ばれたご決断は、代表が大切にされる「三方よし」を体現できたのではないかと感じております。県外資本やノウハウとの融合が沖縄の一次産業に新たな風を吹き込み、両社がさらに大きく飛躍を遂げる未来をこれからも心より応援しております。
(企業情報本部 部長 木浪 拓馬)
