譲渡企業
東豊物産株式会社
専務取締役 髙川 裕治様 インタビュー
中国に広範な生産基盤を持つ靴の企画卸
―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
1970年代以前は靴の輸出を手掛けていましたが、ニクソンショック以降は輸入へと事業を転換しました。現在は紳士靴および婦人靴の企画、開発、卸売を主軸としています。商品を自社で開発し、製造を中国の協力工場へ委託するファブレスメーカーです。長年培ってきた中国の広範な工場ネットワークと、現地スタッフによる徹底した品質管理体制によって、多種多様なニーズに応える企画製造力と、その品質の高さが弊社の強みです。
海外拠点の早期構築と大手企業との取引拡大
―どのように事業を展開・拡大されてきたのでしょうか。
2000年に香港法人(現在:シンガポール法人 World Creation)を設立し、同時に中国の温州に連絡所を開設しました。これにより、海外での直接仕入れや検品体制を早期に構築することができました。国内では、大手小売チェーンをはじめとする企業様との取引を順次拡大してきました。直近期にはスーパーへの販路を持つ企業を子会社化するなど、流通大手への窓口を強化することで、強固な取引基盤を築き上げてきました。
将来を見据えた組織力強化と成長の模索
―譲渡をお考えになったきっかけや背景、経緯を教えてください。
以前から事業の継続について熟考していました。財務基盤は安定していましたが、組織体制には課題を感じていました。今後、業界が資本力勝負の時代になることが目に見えている中で、これから会社をどのように成長させていくべきかを現実的に考えたとき、自社単独ではなく新たなパートナー様と手を結ぶという結論に至りました。
従業員の雇用継続と事業シナジーの創出

―ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件を教えてください。
今働いている社員たちが安心して働ける環境を作っていただけるかを重視しました。あとはやはり、一緒になることによってしっかりと事業シナジーが得られる会社様であること。この2点が、検討を進める上で一番大きな希望条件でした。単なる資本の移動にとどまらず、会社全体が前進していけるようなパートナーであることを強く希望していました。
アグレッシブな姿勢とBtoC展開の強みに共感
―最終的にバルコス様へのご譲渡を決断されましたが、印象や譲渡の理由を教えてください。
山本社長は非常にアグレッシブでありながら、同時にとても丁寧な方で、会社をさらに伸ばしていこうというモチベーションの高さに惹かれました。完全な同業では今後の成長を考えたときに難しい部分もあるかもしれませんが、類似業種であればお互いにプラスになると感じました。また、弊社が持っていないBtoCの強力な販売プラットフォームをお持ちだったことも、大きな決め手です。
グループとしての飛躍と相互の強みの最大化
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
弊社の成長が、ひいてはバルコスグループ全体の成長につながると考えています。弊社のBtoBにおける生産背景や確かな実績と、バルコス様が持つBtoCの販促力や販売力をいかに融合させ、互いの強みを発揮していくかが今後の鍵だと思います。M&Aによって生み出される相乗効果を最大限に高め、これまで以上に魅力的な事業を構築していきたいと期待しております。
バックオフィスを任せられる社内体制の構築
―譲渡を検討されている経営者様へアドバイスをお願いいたします。
社長ご自身は事業の最前線に立たれていることが多いと思いますが、M&Aを進めるとなると、バックオフィスなどの実務をしっかりと任せられる右腕のような存在がいるかどうかが重要だと思います。デューデリジェンスではかなり労力がかかりますし、経営者が一人で通常の事業運営と並行して進めるのは本当に大変です。スムーズな承継のためにも、社内にサポート体制を作ることが大切ですね。
最後に、M&A総合研究所にお任せいただいた理由をお聞かせください
最初は弊社の関連会社についてご相談したのがきっかけでした。そこから戦略的なご提案をいただき、「それなら東豊物産についても検討しようか」という流れになりました。その後、絶妙なタイミングでバルコス様とのご縁を繋いでいただきました。担当アドバイザーには、若く熱意にあふれる姿勢でサポートしていただきました。難しい局面もありましたが、最後まで上手に対応していただき感謝しています。
譲受企業
株式会社バルコス
執行役員 営業部メディア担当部長 矢野 慶太 様 インタビュー
企画開発から多様な販売チャネルを展開する強み
―御社の創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
1991年、鳥取県倉吉市にて創業いたしました。バッグの卸売からスタートし、現在はバッグや財布の企画、製造、販売を主軸としています。ファブレス体制を敷き、中国の協力工場で高品質な製品を低コストで生産できる背景が弊社の強みです。また、テレビ通販やカタログ、ECなど、BtoCに向けた多様な販売チャネルに加え、マーケティング力および販促力を有している点も大きな特徴です。
グループ成長に向けた新規商材の獲得
―M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
今後、国内市場の拡大が見込めない中、グループとしてさらなる成長を遂げるためには、バッグや財布以外のファッション関連領域で新たな商材を展開する必要があると考えていました。中でも「靴」は弊社の既存商材と親和性が高く、以前から関心を持っていた分野です。東豊物産様はコスト意識の高い取引先様との実績を積まれており、弊社のBtoCノウハウを掛け合わせることで大きな可能性が拓けると考えました。

確かなビジネス実績と信頼できる企業基盤
―最終的に東豊物産様を譲り受けされましたが、印象や譲り受けを決断された理由を教えてください。
BtoBに特化し、厳しい基準を持つ取引先様に対して着実にビジネスを継続されている実績と、自走する組織力に高い信頼性を感じました。安定した事業基盤があるからこそ、BtoCへの展開という新たな挑戦が可能だと判断いたしました。また、髙川社長が過去に弊社の系列宿泊施設をご利用くださっていたという間接的なご縁もあり、親近感とともに深い信頼関係を構築することができました。
販促力の掛け合わせによるBtoC展開の加速
―今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
東豊物産様の優れた商品力に弊社の多様な販売プラットフォームを掛け合わせることで、BtoC市場への新たな展開に大きな可能性を感じています。靴はサイズ展開が難しいもののECや通信販売との親和性も高く、弊社のテレビ通販やカタログ事業においても魅力的な商品として紹介していきたいですね。互いのノウハウを共有し、グループ内の他企業との相互紹介など、BtoB領域での相乗効果も期待しています。
中期経営計画に基づく継続的な事業領域の拡大
―今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
弊社が掲げる中期経営計画「売上高300億円企業への道標」において、M&Aを重要な成長戦略の1つとして位置付けています。既存事業の成長に加え、商品力、販促力、販売力のいずれかに特化した企業様をグループにお迎えし、互いの強みを補完することでシナジーを創出していく方針です。今後も事業領域の拡大に向け、積極的にM&Aを活用し、持続的な成長を実現してまいります。
将来を見据えた選択肢としてのM&Aの活用
―M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
事業が順調に推移し、特段の課題を抱えていらっしゃらない企業様であっても、企業のさらなる発展やその先を見据えた際、M&Aは非常に有効な選択肢となると思います。自社の強みを活かしつつ、他社とのシナジーを創出することで、単独では成し遂げられない成長を実現できる可能性があります。未来の事業展開を見据え、戦略的な視点から前向きにM&Aを活用されることをお勧めいたします。
迅速かつきめ細やかなトータルサポート体制

―最後に弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。
数多くの成約支援に携わっている中でも、非常にスピーディーで的確な対応をしていただきました。当方からのご質問や確認に対しても、常に迅速かつ丁寧にお答えいただき、スムーズに進行することができました。今後も、弊社のプラットフォームとシナジーを生み出せるような企業様とのご縁を期待しております。
徹底した生産管理と品質にこだわり、BtoB市場で確固たる地位を築いてきた東豊物産株式会社と、卓越したマーケティング力でBtoC市場を牽引する株式会社バルコス。両社の「事業をさらに発展させたい」という強い想いが合致し、最高のシナジーを生み出すご縁となりました。互いの強みが融合し、国境や販路を越えた新たな価値が創造されていくことでしょう。
担当者からのコメント

譲渡企業様は、ケミカルシューズ発祥の地、神戸市長田区にて長年「靴の卸売業」を営んでこられました。自社開発による高い商品提案力と、大手取引先との強固なネットワークを武器に、業界内でも独自のポジショニングを確立されている企業様です。譲受企業である株式会社バルコス様が掲げる「中期経営計画」の成長戦略と、譲渡企業様の持つ専門性が見事に合致し、この度の良縁へと繋がりました。成約まで約2年という月日は要しましたが、最終的に双方が心から納得できる形でのグループ入りをサポートできたことは、アドバイザーとして非常に嬉しく思います。今後は両社が一丸となり、既存の卸売事業の強化に加え、マーケティング力を活かした新規事業への挑戦など、両社の益々のご発展を心より願っております。
(会計提携本部 会計提携第二部 シニアマネージャー 稲垣 年哉)