ボイラ・熱交換器業界のM&A動向!売却・買収事例3選とメリットを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

環境規制の強化や競合他社との競合により、ボイラ・熱交換器業界では厳しい状況が続いていて、M&Aでの会社売却の検討を始めるところも増加しています。この記事では、ボイラ・熱交換器業界でのM&Aのメリットや事例、成功のポイントなどについて解説します。

目次

  1. ボイラ・熱交換器業界の概要と動向
  2. ボイラ・熱交換器業界のM&A動向
  3. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおけるメリット
  4. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおける買収・売却事例3選
  5. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおける成功のポイント
  6. ボイラ・熱交換器業界のM&A・事業売却まとめ
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1. ボイラ・熱交換器業界の概要と動向

ボイラ・熱交換器業界でも、法的な規制の強化や同業他社との競争激化により、厳しい経営環境に陥ってる企業も少なくなく、M&Aでの生き残りをかけようとするところが増えています。

この記事では、ボイラ・熱交換器業界の動向と、M&Aの動きについて解説します。まずはボイラ・熱交換器業界の動向についてみていきましょう。

ボイラ・熱交換器業界とは

ボイラ・熱交換器とは、熱エネルギーを異なる2つの流体間で交換するための機器のことです。温度の高い物体から低い物体へ熱を移すことで、物体を加熱したり冷却したりします。

ボイラ・熱交換器業界とは、ボイラや熱交換器の技術を使って、水を加熱して温水や水蒸気を発生させたり、食品や薬品などの冷却や保温を行ったりするための機器を製造販売するメーカーの業界のことです

ボイラや熱交換器の用途は幅広く、蒸気発生用の産業用ボイラや、冷却器、加熱器、空調、船舶や車両に使われる熱交換器などがあります。

ボイラ・熱交換器業界の市場規模と動向

ボイラ・熱交換器は、商業用、工業用、住宅用と用途にかかわらず、建物の換気設備や空調設備の需要が大幅に増加していることで、市場が拡大しています。

しかし、脱炭素化が進む中で、自然エネルギーの利用やアンモニア発電の開発などの影響で、工業向けの大型ボイラーや原動機の需要は減少傾向にあります。

NIKKEI COMPASSによると、工業用のボイラーや熱交換器などを製造する業界であるボイラー・工業炉の2022年度の受注額は前年度比0.8%減の1兆2,582億8,100万円でした。

化学工業、非鉄金属、情報サービス、官公需、外需の需要は伸びたものの、電力向けが26%減と大幅な減少になったことが大きく響いています。

参考:NIKKEI COMPASS「ボイラー・工業炉の業界概要

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2. ボイラ・熱交換器業界のM&A動向

ボイラ・熱交換器業界では、環境規制の強化と安価な海外製品との競争の激化で、経営状態が厳しくなっている会社が増加しています。

また、経営者の高齢化による後継者問題を抱えて、将来的な会社の存続が危ぶまれる会社もあるようです。

厳しくなる一方の環境規制をクリアするための新しい技術の導入や、製造コストの削減、後継者問題を解決するための方法として、M&Aを検討する経営者も増えています

ボイラ・熱交換器業界でのM&Aでは、近接する業界で高いシナジー効果が見込まれる、エネルギー関連や自動車や建設関係の会社と合併する例や、海外市場を取り込むための海外企業の買収がよくみられます。

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3. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおけるメリット

ボイラ・熱交換器業界で会社をM&Aで売却することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ボイラ・熱交換器会社をM&Aする3つのメリットについてみていきましょう。

従業員の雇用を継続できる

会社を経営するということは、自分の会社で働いてくれている従業員の生活を、給与で保証する責任を負っているということです。

経営者の高齢化や経営の悪化により、会社の経営を維持できなくなってしまうと、会社を支え続けてくれた従業員を路頭に迷わせてしまうことになります。

M&Aでは、従業員は買収側の会社によって継続して雇用されるのが一般的なので、会社を売却できれば従業員の雇用を維持することが可能です

経営者が自分で会社を経営できなくても、従業員の生活を守ることができます。

後継者不在問題の解決

ボイラ・熱交換器業界に限らず、現在、日本の会社の約6割の社長が60歳以上と高齢化しています。また、中小企業の約4割で、親族や社内に適切な後継者がいなくて、将来的な会社の存続が危ぶまれてるともいわれています。

会社の経営を引き継いでくれる人がいない場合、会社は廃業するしかありません。しかし、廃業してしまうと従業員の雇用は失われて、長年、その会社で培ってきたボイラ・熱交換器に関するノウハウや技術も失われてしまいます。

M&Aで会社の経営権を他の会社に譲渡することで、後継者がいなくても会社を存続させることが可能になります。

オーナー利益の獲得

会社をM&Aで売却できれば、経営者には売却金が入ってきます。売却金額から、所得税や住民税を支払った残りは、経営者が全て自分のものにすることができます。

もしも、会社を廃業することになると、解雇する従業員への退職金や、設備の処分費用の出費が必要です。

また、金融機関からの借り入れに個人保証を付けていた場合には、廃業後も借り入れが残り続ける場合には、経営者が返済を続けなければいけません。

会社を売却できれば、債務も買収側に引き継ぐことが可能です。M&Aに成功すれば、個人保証などの負担から解放される上に、オーナー利益を獲得できます。

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4. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおける買収・売却事例3選

ボイラ・熱交換器会社のM&Aに成功した事例を3つ紹介します。

ティラドがTRM B.V.をM&Aした事例

2022年4月に、株式会社ティラドが、ロシアにある子会社、TRM LLCの全株式を所有するオランダ持株会社TRM BVの持分の全株式を無議決権化して、ロシア側株主であるAutomobile Plant GAZ LLCに経営権を譲渡するM&Aを発表しました。

ティラドは、主に自動車向けの熱交換器を製造しているメーカーです。

2009年からロシア事業を展開していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻での経済制裁措置で資金の移動などが難しくなったことから事業の継続が難しくなり、ロシア事業から撤退することになりました。

参考:株式会社ティラド「ロシア事業撤退に関するお知らせ

ノーリツがPB Heat, LLCをM&Aした事例

平成31(2019)年1月に、株式会社ノーリツが、米国のAtlanticShoresCorporationと、同社が保有するPBHeat,LLCの全株式を取得するM&Aを発表しました。

ノーリツは、給湯機器、温水暖房機器などの住宅設備機器の製造販売を行っているメーカーです。

AtlanticShoresCorporationは、米国のガス・石油ボイラーメーカーです。

ノーリツでは、海外事業での売上高を増加させることを目標としており、米国のボイラ市場で高いブランド力を有している同社を傘下に置くことで、北米市場での販売を拡大させていきたいとのことです。

参考:株式会社ノーリツ「米国ボイラーメーカーPBHeat,LLCの買収に関するお知らせ

ティラドが中国の自動車用熱交換器メーカーをM&Aした事例

平成29(2017)年10月に、株式会社ティラドから青島東洋熱交換器有限公司の株式を取得して連結子会社化するM&Aを発表されました。

すでにティラドは同社の株式を39%所有していましたが、この株式取得により64%の持分比率となります。

青島東洋熱交換器有限公司は、中国国内向けに自動車やトラック用の熱交換器などの製造販売を行っているメーカーです。同社を傘下に入れることで、ティラドとしては中国国内向けのビジネスのさらなる拡充を目指すとしています。

参考:株式会社ティラド「青島東洋熱交換器有限公司の連結子会社化に関するお知らせ

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5. ボイラ・熱交換器会社のM&Aにおける成功のポイント

ボイラ・熱交換器会社のM&Aを成功させるために大切なこととはどのようなことなのでしょうか。

日本では、ボイラ・熱交換器会社に限らず、M&Aでの会社の売却を希望しても、4割程度しか売却できないという現実があります。M&Aで会社を売却したくても、10社中6社は売却できずに廃業せざるを得ないのです。

M&Aでの売却を成功させるためにはいくつかポイントがあります。そのポイントについてみておきましょう。

M&Aの専門家に相談をする

会社のM&Aを考え始めたら、自分一人で売却先を探したり、手続きを進めようとしたりしないで、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。

M&Aの専門家にM&Aの仲介を依頼すると、確かに仲介手数料の支払いが必要になります。

しかし、専門家に依頼したら会社の状況を正確に分析した上で、最も適切な相手を探してくれたり、法律や財務のM&Aに関する専門的な知識が必要な手続きを親身になってサポートしてくれます

専門家に依頼した方が自分一人で売却先を探したり手続きを進めたりするよりも、より適切な相手にスムーズに売却できる可能性が高まるのです。

結果として、売却金額が高くなり、手数料を支払っても手元に残る金額も多くなるでしょう。

M&Aでの会社の売却を考えるのなら、M&Aの専門家に相談することがおすすめです。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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相乗効果が得られる相手先を選ぶ

M&Aの相手を探す時には、売却側も買収側も、今までに継続してきた事業との相乗効果が得られる相手を見つけることが大切です。

売却側の会社の従業員が、M&A後も安心して働き続けるためには、会社が買収側の会社にとって大きなメリットをもたらすことが大切です。買収側にとっても、高い買い物なので、買収した会社が自社に利益をもたらしてくれなければ大損害になってしまいます。

M&Aを進めていくと、会社の売買が目的化してしまい、とにかく会社が売れればいいという方向に陥りがちですが、相手の会社が自分の会社との相乗効果を生み出せる相手かどうか、しっかりと見極めることが大切です

情報漏洩に気をつける

M&Aは最終契約書を締結して、情報を公開できる段階になるまで、情報が漏れないように気をつけましょう。

M&Aについての情報漏洩は、M&Aの専門家との電話や応接室での会話を従業員に聞かれてしまうなど、とても些細なことから起こりがちです。

会話の断片から広がった噂は、不必要な憶測を生み、従業員や取引先を不安な気持ちにさせます。最悪な場合には、従業員の離職や取引先からの取引停止を招きしてしまう可能性もあるのです

M&Aについて話をする時には周囲の状況によく気を配り、情報漏洩しないように注意しましょう。

早めの検討

M&Aの準備は数年単位で時間をかけて進めることが大切です。経営者が高齢化して、健康状態が悪化してから慌てて会社の譲渡先を探しても、なかなか譲渡先を見つけられるものではありません。

経営者がまだ元気で、自分で正確な判断を下せるうちに、将来的な会社の売却に向けた準備を始めることが理想的です。

M&Aは、1年以上かかる事も多いことをよく理解して、後継者問題を抱えているのなら、早めに検討を始めましょう。

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6. ボイラ・熱交換器業界のM&A・事業売却まとめ

ボイラ・熱交換器業界でも、会社の将来的な存続を考えるのならM&Aを検討した方がいいという会社が増えています。しかし、M&Aは相手探しや手続きがとても難しく、ボイラ・熱交換器会社の経営者だけでは進めていくことが難しいものです。

ぜひ、ボイラ・熱交換器会社のM&Aを考えているのなら、まずはM&Aの専門家への相談から始めて適切なサポートを受けられるようにしましょう。

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