2021年08月12日更新
事業承継の基礎まとめ!知識や実務は何がある?
後継者への事業承継を検討していても、基礎的な知識が全くなければ実行に移すことはなかなか難しいでしょう。この記事では、事業承継の流れや実務、メリット・デメリットなど、事業承継に関して知っておきたい基礎的な知識を解説します。
目次
1. 事業承継とは
事業承継とは、会社や個人事業を新しい経営者に譲り渡し、経営権や事業資産の引き継ぎを行うことです。
経営者が高齢になって引退する際に行われることが多いですが、若いうちに事業承継できればアーリーリタイアすることも可能です。
近年は中小企業の経営者が高齢化しており、事業承継を普及させることが国の課題となっています。
団塊世代の経営者が事業承継せず廃業してしまうと、多くのGDPと雇用が失われるといわれています。
2. 事業承継に関する基礎知識
事業承継を検討しなければならないと思っていても、事業承継のことがよく分からず、なかなか進まないというケースも多いでしょう。しかし、基礎的事項から順に把握していけば、事業承継を理解することは決して難しくありません。
この章では、後継者の選び方による事業承継の分類や、事業承継でどのような資産が引き継がれるのかといった、事業承継の基礎を解説します。
事業承継の現状
中小企業庁の調査によると、事業承継は後継者が40代以下で行うケースがほとんどで、後継者が20代以下で事業承継したのは全体の約10%、30代が約36%、40代が約35%となっています。
ほとんどの後継者は、事業承継前に従業員として当該業務に従事した経験があり、全くの未経験で事業承継したのは全体の約5%となっています。
後継者と前経営者の関係は、かつては前経営者の子供が多かったですが、近年はM&Aによる事業承継が増えており、後継者の選択肢は多様化しています。
事業承継が進まない要因
事業承継が進まない要因はいくつか考えられますが、少子化の影響で親族に適切な後継者がいないケースが増えているのも大きいでしょう。
親族に後継者がいない場合はM&Aが有力になりますが、中小企業経営者はM&Aの基礎についてあまり知らないことも多く、認知が進んでいないのも要因だといえます。
さらに、中小企業経営者は毎日の業務が忙しく、事業承継の準備がどうしても後回しになってしまうのも要因の一つです。
事業承継の手法を解説
事業承継の手法は、誰を後継者にするかによって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)の3つに分類されます。
この節では、これら3つの事業承継について基礎的な内容を解説するとともに、廃業や上場といったその他手法についてもみていきます。
【事業承継の手法】
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)
- 廃業や上場など、その他の方法
1.親族内事業承継
親族内事業承継とは、経営者の息子・娘や甥・姪などの親族を後継者にする事業承継です。事業承継のなかでは最も基礎的な手法で、かつては多くの事業承継が親族内事業承継で行われていました。
現在も親族内事業承継を行う事例は多いですが、以前と比べるとその割合は減少しています。
これは少子化などで親族の数が減少しているのに加えて、経営の苦労を子供に味わせたくないといった、経営者の価値観の変化も要因になっています。
2.親族外事業承継
親族外事業承継とは、会社の従業員や役員などの、親族以外の人物を後継者にする事業承継です。
社内の人物だけでなく、社外から後継者を招聘して事業承継することもあります。親族外事業承継は昔は全体の10%ほどでしたが、最近はその割合が増えています。
M&Aでの事業承継も親族以外を後継者にしますが、親族外事業承継には含めず区別することが多いです。
しかし、稀にM&Aも含めて親族外事業承継と呼ぶこともあるので、用語の使い方に気をつける必要があります。
3.M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)
M&Aを利用して、親族や社員でない人物に事業承継する手段もあります。M&A自体は事業承継以外にもさまざまな目的で使われますが、特に事業承継目的で行われるM&Aを事業承継型M&Aといいます。
親族内事業承継が減少している現在、M&Aによる事業承継は中小企業存続の有力な手段となっています。
4.廃業や上場など、その他の方法
事業承継を行わず、そのほかの方法で後継者問題を解決することもできます。最も基礎的な方法は廃業です。
会社はたたむことになってしまうものの、精神的に楽になるという意味ではある程度メリットもあり、また、もともと自分の代で会社を廃業する予定の経営者も多いです。
上場は事業承継の手段ではありませんが、市場で株式を売却して現金化したいなどの理由がある場合は、事業承継の一環として上場する選択肢もあります。
ただし、上場の基準を満たす企業はごく一部なので、事業承継の基礎的な選択肢に入れることはできません。
事業承継が引き継ぐもの
事業承継で引き継がれるのは、株式や経営権といった基礎的なものだけでなく、非事業用資産や無形資産といった、事業に直接関係ないものや目に見えないものも含みます。
事業承継を行う際は、どのような資産が引き継がれるのか把握しておくことが大切です。
【事業承継が引き継ぐもの】
- 経営権
- 株式・非事業用資産などの資産
- 特許・ブランド・ノウハウ・知識などの無形財産
1.経営権
事業承継では株式を後継者に譲渡し、経営権を現経営者から後継者へと引き継ぎます。
ただし、親族外事業承継の場合は、経営権を現経営者が保持したまま、社長の肩書だけを後継者に譲ることもできます。
2.株式・非事業用資産などの資産
事業承継では経営権を後継者に引き継ぐために、現経営者が保有している株式を後継者に譲渡します。
株式を譲渡すれば、店舗や設備といった事業用資産も後継者に引き継がれますが、事業譲渡の場合は株式の譲渡はせず、事業用資産自体を後継者に売却します。
事業承継ではこれら基礎的な資産の譲渡に加えて、金融資産や遊休資産などの非事業用資産も引き継ぎます。
事業譲渡の場合は引き継ぐ資産を選択できるので、不要な非事業用資産を引き継がずに事業承継することも可能です。
3.特許・ブランド・ノウハウ・知識などの無形財産
事業承継で引き継ぐのは株式や有形資産だけでなく、特許やブランド、ノウハウや知識といった無形資産も含まれます。
無形資産は、M&Aで売却価格に大きな影響を及ぼすことがあります。特に買い手とのシナジー効果が見込める場合は、相場よりかなり高い価格で売却できることもあります。
3. M&Aによる事業承継は政府も推進
M&Aによる事業承継の普及は国にとって重要な課題となっており、政府がさまざまな政策を打ち出しています。政府が提供するサービスを有効活用すれば、事業承継をスムーズに進められる可能性が高くなります。
この章では、政府が推進している事業承継の政策について、税制や補助金などの基礎的な事項を解説します。
事業承継の際に活用できる税制・補助金
事業承継はたとえ適切な後継者がいても、手続きの際に発生する相続税や各種費用が払えないケースもあります。
このような場合は、事業承継税制や事業承継補助金といった制度を使うと、事業承継を実行できる可能性があります。
【事業承継の際に活用できる税制・補助金】
- 事業承継税制
- 事業承継補助金
①事業承継税制
親族内事業承継で資産を引き継ぐ時にネックとなるのが、相続税や贈与税です。株式を相続・贈与してそれに課税された場合、納税のための現金を別に用意しなければなりません。
事業承継税制とは、一定の条件を満たしたときに、後継者に課せられる相続税・贈与税を猶予または免除できる制度です。
事業承継税制は、事業承継を検討している経営者にとって非常に有用な制度ですが、特例承継計画の作成が必要なこと、計画を2023年3月31日までに提出しなければならないのが注意点です。
②事業承継補助金
事業承継補助金とは、事業承継のために必要な事業費や廃業費を給付してもらえる制度です。事業のための人件費や設備費、廃業のための在庫処分費や原状回復費などをまかなうことができます。
補助金の上限は経費の3分の2まで、または1200万円までです。事業費に関しては、新商品の開発など新たなチャレンジを行うことが給付の条件となっています。
事業引継ぎセンターなど公的機関の設置
事業引継ぎ支援センターは、国が各都道府県に設置している、事業承継をサポートするための公的機関です。
事業承継を行いたい売り手と買い手をマッチングする「後継者人材バンク」により、事業承継先の選定をサポートします。
相談は基本無料なので、民間のM&A仲介会社に相談するのが不安な場合でも、気軽に相談することができます。
4. M&Aによる事業承継のメリット・デメリット
親族内・親族外・M&Aによる事業承継は、それぞれメリットとデメリットがあります。
どのようなメリット・デメリットが生じるかは、個々の事例によって変わる部分もありますが、基礎的な部分は共通しているので、それらを把握しておくと戦略が立てやすくなります。
本章では、親族内・親族外・M&Aによる事業承継について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
1.親族内事業承継のメリット・デメリット
下表は親族内事業承継の主なメリット・デメリットをまとめたものです。親族に適切な後継者がいて、ほかの親族や従業員との人間関係が良好であれば、親族内事業承継は非常にメリットが大きいといえるでしょう。
親族内事業承継で特に注意したいのは、親族内での財産の相続です。後継者以外の相続人に配慮して、トラブルを招かないように注意しましょう。
【親族内事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・社内の反発を受けにくい ・後継者教育を行いやすい |
・他の親族とトラブルになることがある ・適切な後継者が見つかるとは限らない |
2.親族外事業承継のメリット・デメリット
親族外事業承継の主なメリット・デメリットは、下表にまとめたとおりです。親族外事業承継では後継者が株式を買い取る必要があるので、資金調達がネックになることが多いです。
また、親族外事業承継の資金調達では、マネジメント・バイアウト(MBO)という手法がよく使われます。
【親族外事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・引き継ぎを行いやすい ・社外から後継者を招へいできる |
・株式取得費用の調達が難しい ・他の社員から反発が起こる可能性がある |
3.M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)のメリット・デメリット
M&Aでの事業承継は親族内・親族外事業承継にないメリットがありますが、良い買い手を見つけて成約までこぎつけるのは大変な作業です。コストと時間がかかるだけでなく、本業への支障や精神的負担も大きくなります。
しかし、よい買い手をみつけてシナジー効果が得られれば、自社単独では実現できない大きな事業拡大も目指せます。
【M&Aでの事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・幅広い選択肢から後継者を選べる ・シナジー効果が得られる ・売却益が得られる |
・買い手が見つかるとは限らない ・仲介手数料などのコストがかかる |
5. 事業承継の注意点
事業承継は、多くの中小企業経営者にとって一生に一度のことなので、注意点を押さえて失敗しないように準備する必要があります。
この章では、親族内・親族外・M&Aそれぞれの事業承継について、基礎的な注意点を解説します。
1.親族内事業承継の注意点
親族内事業承継では、株式などの資産を相続や贈与で引き継ぐことになるので、相続人同士のトラブルが起こらないように注意する必要があります。
株式の相続は、基本的には後継者に全株式を譲渡することが大切です。後継者以外の相続人が株式を譲受して大きな議決権を持つと、経営に口出しされてしまう恐れがあるためです。
2.親族外事業承継の注意点
親族外事業承継の基礎的な注意点は、株式取得のための資金調達と個人保証の引き継ぎです。
親族外事業承継は親族内事業承継と違って相続ができないので、後継者が株式を買い取らなければなりません。
しかし、会社の従業員や役員として働いてきた人が、十分な買収資金を個人的に保有していることはまれです。
また、個人保証の引き継ぎも後継者にとって大きなネックとなります。近年は「事業承継特別保証」などの、個人保証を解除できる制度が整ってきているので、こういった制度を活用するのもおすすめです。
3.M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)の注意点
M&Aでの事業承継で注意したいのは、事業承継後の統合プロセスの失敗を防ぐことです。M&Aによる事業承継は今まで面識のなかった他社が後継者となるので、経営理念や風土などさまざまな点で食い違いが起こります。
従業員のモチベーション低下や離職を招く要因となるので、従業員と基礎的な点からしっかり話し合い、働きやすい環境を作ることが大切です。
6. 事業承継の基礎的な実務解説
事業承継は多くの中小企業経営者にとって経験がないものなので、基礎的な実務が分からないため不安を感じるこもあるでしょう。しかし、基礎的な実務をあらかじめ理解しておけば、自信を持って事業承継を進められるでしょう。
基礎的な実務として特に押さえておきたいのは、事業承継戦略の策定と後継者育成です。この2つをしっかり行うことで、事業承継の成功率を高めることができます。
事業承継戦略を策定する
事業承継は行き当たりばったりで実行してもうまくいかないので、あらかじめ事業承継戦略を策定する必要があります。
事業承継戦略では、まず自社の現状分析や強み・弱みの洗い出しを行い、買い手にどのように売り込むべきかを明確にします。
そして、株式譲渡や事業譲渡などM&A手法の選択を行い、さらにクロージングまでの大まかなスケジュールを作成します。
後継者育成を行う
親族内・親族外事業承継の場合は、事業承継を行う前に数年間かけて後継者育成を行います。
後継者教育の方法に決まった正解はありませんが、例えば社員としていろいろな部署で仕事を経験させたり、役員として経営に参加させるといったことは、実務経験を積む意味で重要です。
そのほかにも、後継者のためのセミナーに参加したり、他社で経験を積むなどの育成が行われることもあります。
7. M&Aによる事業承継の実務・流れ
M&Aを経験したことがない人にとっては、基礎的な実務や流れが分からないことが不安材料になります。成約までの基礎的な流れを知れば、安心してM&Aに取り組むことができるでしょう。
M&Aによる事業承継の基礎的な実務・流れは以下のとおりです。どのようなM&A戦略をとるにしろ、この基礎的な流れは共通しています。
【M&Aによる事業承継の実務・流れ】
- M&A仲介会社・M&Aの専門家に相談
- M&A先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- 買収側によるデューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
1.M&A仲介会社・M&Aの専門家に相談
M&Aを行うためには、まずM&A仲介会社などの専門家に相談するのが効果的です。基本的にはM&A仲介会社に相談するのがおすすめですが、事業引継ぎ支援センターや金融機関に相談することもできます。
2.M&A先の選定・交渉
M&A仲介会社に相談すると、まず会社の基礎的な内容についてヒアリングや資料作成を行い、どのような買い手と交渉すべきか戦略を立てます。
そして、仲介会社が候補となる買い手を何社か選定して、そのなかから特によさそうな買い手に交渉を持ちかけます。
3.トップ同士の面談
買い手候補が選定できたら、相手先との交渉がある程度進んだ段階で、経営者同士が実際に会ってトップ面談を行います。
トップ面談では売却価格などの基礎的な条件交渉に加えて、相手の人柄や事業への熱意、経営理念など精神的な要素もみていくことが大切です。
4.基本合意書の締結
基本合意書とは、トップ面談によって得られた基礎的な合意内容を記した書面です。基本合意書の締結によって、買い手は売り手に対して独占交渉権を得て、売り手はデューデリジェンスの協力義務が生じます。
5.買収側によるデューデリジェンスの実施
基本合意書が締結された時点では、買い手は売り手企業について基礎的なことしか分かっていません。
成約した後で売り手企業に重大な問題が発覚すると、その後の経営計画に大きな問題が生じます。
デューデリジェンスとは、売り手企業に問題がないか調査することです。財務や税務、業務内容などについて、税理士や公認会計士などの専門家が詳しく調査します。
6.最終契約書の締結
デューデリジェンスの結果をふまえて、あらためて買い手と売り手が最終交渉を行います。
デューデリジェンスで何か問題がみつかったら、売却価格を変更するか、場合によっては交渉が中止になることもあります。
最終的な契約内容が決まったら、その内容を最終契約書に締結してM&Aが成約します。最終契約書は法的拘束力があるので、もし契約内容を破ったら損害賠償の対象となるので注意が必要です。
7.クロージング
最終契約書を締結したら、契約内容を実行に移すクロージングを行います。クロージングで行う手続きは、どのM&A手法を使ったかで大きく変わるのが注意点です。
M&Aの最も基礎的な手法は、株式譲渡と事業譲渡です。株式譲渡では株主総会で承認を得たうえで、株式を後継者に譲渡します。
事業譲渡では必要な事業資産を後継者に移転し、従業員の再雇用や許認可の取得などを行います。
8. M&Aによる事業承継を成功させるには
M&Aによる事業承継は、必ず成功するとは限りません。生涯をかけて育ててきた会社を譲り渡すわけので、成功のポイントをしっかり理解して失敗しないように準備することが大切です。
M&Aによる事業承継を成功させるポイントは、基礎的なものだけで以下の6つが挙げられます。
【M&Aによる事業承継を成功させるには】
- M&A中の情報を漏洩させない
- 事業承継は時間がかかることを理解する
- 自社について調査を行い情報をまとめる
- 自社のブラッシュアップを行う
- 従業員の流出に注意する
- M&Aの専門家に相談する
1.M&A中の情報を漏洩させない
M&Aで事業承継をしている事実は、従業員や取引先、融資を受けている金融機関などに漏らさないのが鉄則です。
取引先や金融機関にとっては取引や融資の継続に不安を感じ、従業員は解雇されるのではと憶測が走ります。
たとえよい買い手候補がみつかっても、情報が漏洩したせいで破談になるケースは少なくありません。M&Aの交渉期間中は、ごく一部の役員以外には情報を漏らさないことが大切です。
2.事業承継は時間がかかることを理解する
M&Aの手続き自体は数か月から1年程度で終えることができますが、後継者教育の期間を含めると、事業承継にかかるトータルの時間はかなり長くなります。
中小企業庁が策定した「事業承継ガイドライン」によると、事業承継の準備期間は5年から10年とされています。
ということは、70代で引退するなら、60代で事業承継の準備を始める必要があることになります。早めに準備を始めることが、事業承継を成功させる重要なポイントです。
3.自社について調査を行い情報をまとめる
M&Aで事業承継するためには、買い手に自社を買収したいと思ってもらわなければなりません。
そのためには、本格的なM&Aの手続きに入る前に自社についてあらためて調査を行い、強みや弱みなどの情報をまとめることが必要になります。
強みや弱み以外にも、従業員や取引先の名簿といった基礎的な情報もまとめておきます。買い手は自社について何も知らない状態から始まるので、最も基礎的な情報をまとめておくことは大切です。
4.自社のブラッシュアップを行う
M&Aで自社を魅力的に見せるために重要なのが、自社のブラッシュアップ(磨き上げ)です。
ブラッシュアップというと、売り上げを伸ばしたり負債を整理しなければならないと思うかもしれませんが、そこまで本格的なものでなくても、もっと基礎的なことで十分な磨き上げになります。
例えば、中小企業では会社案内や業務マニュアルなどの基礎的な資料がないことも多く、ホームページも更新されていなかったりレイアウトが見にくいこともあります。
こういった基礎的な資料をきちんと作り直すだけでも、買い手から見た印象はかなりよくなります。
5.従業員の流出に注意する
M&Aで買収を行う企業は、売り手企業の経営権や有形資産だけでなく、無形資産も非常に重視します。
特に優秀な従業員は事業拡大に不可欠なので、従業員が引き継げることを条件に買収を行う企業は多いです。
売り手としては、従業員がM&Aによって流出しないように注意しなければなりません。給与などの待遇面や働きやすさなどに配慮して、M&A後も従業員が不満を持たないように環境を整えましょう。
6.M&Aの専門家に相談する
親族内・親族外事業承継と違って、M&Aによる事業承継は買い手をみつけなければならないので、M&A仲介会社に相談して探してもらうのがおすすめです。
M&A仲介会社はさまざまな案件を成約させてきた実績があるので、事前のブラッシュアップから交渉、そしてクロージングまでトータルにサポートできるのが強みです。
M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーがクロージングまでフルサポートします。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&A・事業承継をご検討の際はお気軽にご連絡ください。
9. まとめ
本記事では事業承継の基礎的内容について解説しました。事業承継を行う際は、手法や流れなどの基礎をしっかり理解して、慎重に手続きを進めていくことが大切です。
【事業承継の手法】
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aでの事業承継(事業承継型M&A)
- 廃業や上場など、その他の方法
【事業承継が引き継ぐもの】
- 経営権
- 株式・非事業用資産などの資産
- 特許・ブランド・ノウハウ・知識などの無形財産
【事業承継の際に活用できる税制・補助金】
- 事業承継税制
- 事業承継補助金
【親族内事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・社内の反発を受けにくい ・後継者教育を行いやすい |
・他の親族とトラブルになることがある ・適切な後継者が見つかるとは限らない |
【親族外事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・引き継ぎを行いやすい ・社外から後継者を招へいできる |
・株式取得費用の調達が難しい ・他の社員から反発が起こる可能性がある |
【M&Aでの事業承継のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・幅広い選択肢から後継者を選べる ・シナジー効果が得られる ・売却益が得られる |
・買い手が見つかるとは限らない ・仲介手数料などのコストがかかる |
【M&Aによる事業承継の実務・流れ】
- M&A仲介会社・M&Aの専門家に相談
- M&A先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- 買収側によるデューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
【M&Aによる事業承継を成功させるには】
- M&A中の情報を漏洩させない
- 事業承継は時間がかかることを理解する
- 自社について調査を行い情報をまとめる
- 自社のブラッシュアップを行う
- 従業員の流出に注意する
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