2025年12月12日公開
インターネット関連サービスのM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイントや事例5選を解説!
インターネット関連サービスのM&Aについてまとめました。インターネット関連サービス業界の概要・市場動向とM&A動向、インターネット関連サービスを売却・譲渡するメリットやM&Aを成功させるための注意点などの解説とともに、実際の売却・買収事例も紹介しています。
目次
1. インターネット関連サービスの概要と動向
インターネット関連サービス業におけるM&Aの話の前に、まずはインターネット関連サービスの業容やインターネット関連サービス業の市場規模、業界動向などについて確認しましょう。
インターネット関連サービス業は、インターネットに関わる全ての業種であるため、その種類は実に多く枚挙にいとまがありません。ここでは、概要としてのインターネット関連サービス業の説明となります。
インターネット関連サービスとは
多くの種類があるインターネット関連サービス業ですが、それらは大別してBtoB(Business to Business)のインターネット関連サービス業とBtoC(Business to Consumer)のインターネット関連サービス業に分かれます。
BtoBのインターネット関連サービス業とは企業向けインターネット関連サービスであり、BtoCのインターネット関連サービス業とは一般消費者向けインターネット関連サービスのことです。
BtoBのインターネット関連サービス業の代表例としては、Webサイト制作、Webアプリ制作、ECサイト運営、Webマーケティング、広告代理店、企業向けプラットフォームやマッチングサービス、サイバーセキュリティ支援などがあります。
一方、BtoCのインターネット関連サービス業の代表例は、ECサイト、ユーザー投稿サイト、ポータルサイト、コンテンツ販売、SNS、検索エンジン、マッチング・シェアサービス、各種アプリ、eラーニングなどです。
インターネット関連サービスの市場規模と動向
経済産業省の特定サービス産業動態統計調査における「インターネット附随サービス業」を見ると、インターネット関連サービス業の直近5年間の市場規模は以下のような動向となっています。
- 2020年:1兆9,256億5,700万円
- 2021年:2兆2,418億3,900万円
- 2022年:2兆2,431億6,000万円
- 2023年:2兆4,331億円
- 2024年:2兆7,673億7,000万円
このようにインターネット関連サービス業の市場は右肩上がりの動向です。また、2014年の市場規模は1兆3,451億9,300万円であり、10年間で2倍の市場規模に成長した動向も分かります。インターネットは現代において必要不可欠なインフラとなっており、インターネット関連サービス市場の伸びは今後も続いていく動向となるでしょう。
2. インターネット関連サービス業界のM&A動向
経済産業省の発表資料である委託調査報告書「コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収に関する実態調査」によると、2019年に日本で行われたM&Aのうち、インターネット関連サービス業の関わったM&Aは全体の14%でした。
これは、12種に分類された業種別では第3位のM&A実施数です。なお、資料ではインターネット関連サービス業は「Information Technology」という業種で表現されています。市場が拡大傾向にあるインターネット関連サービス業では、今後もM&Aが盛んに行われる動向となるでしょう。
3. インターネット関連サービス会社をM&Aで売却するメリット
ここでは、インターネット関連サービス企業や事業を売却するメリットについて確認しましょう。インターネット関連サービス企業や事業を売却するメリットには以下のようなものがあります。
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用確保
- 売却益の獲得
- 事業の成長・発展
インターネット関連サービス業界におけるM&Aでの売却メリットそれぞれについて説明します。
後継者問題の解決
インターネット関連サービス会社をM&Aで売却することによって、後継者不在問題を解決できるメリットがあります。親族や社内に後継者が不在のインターネット関連サービス会社の場合、そのままでは廃業となってしまうのは必至です。しかし、M&Aで会社を売却することによって、買収側が新たな経営者となるため会社は存続できます。
従業員の雇用確保
インターネット関連サービス会社のM&Aによる売却は、従業員の雇用継続というメリットもあります。仮に会社が廃業となれば従業員は解雇扱いです。しかし、M&Aによって会社を売却すれば、買収側が会社経営を引継ぎます。そのように会社が存続することによって、従業員もこれまで同様に雇用が継続されるのです。
売却益の獲得
インターネット関連サービス会社の売却側は、M&Aによって売却益を得られるメリットがあります。インターネット関連サービス会社の付加価値が高ければ高いほど、それだけ売却額は高くなり利益も大きく得られるものです。M&Aで得られた売却益は、新たな事業資金や老後の生活費など、自由使途の資金となります。
以下の動画は、M&Aの売却額に大きく作用する企業価値評価について、簡易的に計算できる年買法という手法を解説したものです。ご参考まで掲示します。
事業の成長・発展
インターネット関連サービス会社をM&Aで売却することで、事業の成長・発展が見込めるというメリットもあります。一般にM&Aの買収側は資金力、ブランド力などがあり、経営基盤もしっかりしているものです。
そのような親会社の傘下に入ることで、親会社の経営資源を共用したりグループ会社と協業したりなどといった活動で事業を成長・発展させられるでしょう。
4. インターネット関連サービス会社のM&A・買収・売却事例5選
ここでは、実際に行われたインターネット関連サービス業界関連のM&Aによる売却・買収事例を確認します。紹介する事例は以下の5例です。
- ラクスがインターネット接続事業など2事業をライドに譲渡した事例
- PKSHA Technologyがエクストーンを子会社化した事例
- GMOインターネットグループがFlatt Securityを子会社化した事例
- ディレクトがインターネット関連サービス事業の一部を譲渡した事例
- ZホールディングスがZOZOを子会社化した事例
インターネット関連サービス業界関連のM&A事例について、それぞれ内容を説明します。なお、表中に記載している売上高は、M&Aが実施された時期の直近年度決算の数値です。
ラクスがインターネット接続事業など2事業をライドに譲渡した事例
| 事例1 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | ラクス | ライド |
| 所在地 | 東京都渋谷区(本社) 大阪府大阪市(本店) |
東京都千代田区 |
| 事業内容 | クラウド事業、IT人材事業 | インターネット関連事業 |
| 売上高 | 384億800万円(連結) | 10億7,000万円 |
2025(令和7)年2月、ラクスは、インターネット接続事業とホスティングサービス事業を同年4月にライドに譲渡することを発表しました。譲渡はM&Aスキーム(手法)の会社分割(簡易吸収分割)で行われる予定であり、譲渡対価は1,500万円です。
ラクスとしては、経営資源の効率化・集中化を図るうえで事業の選択と集中を行う判断をし、同事業をM&Aでライドに譲渡することにしました。
PKSHA Technologyがエクストーンを子会社化した事例
| 事例2 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | エクストーン | PKSHA Technology |
| 所在地 | 東京都港区 | 東京都文京区 |
| 事業内容 | UI・UXデザイン・開発 | アルゴリズムライセンス事業 |
| 売上高 | 7億5,800万円 | 168億9,300万円(連結) |
2025年1月、PKSHA Technologyは、エクストーンの全株式を買収し完全子会社化しました。買収額は非公表です。エクストーンが行うUI・UXデザイン・開発のUIとは「User Interface」、UXとは「User Experience(ユーザー体験)」を意味します。
PKSHA Technologyとしては、M&Aによるエクストーンの子会社化の結果、同社グループのインターネット関連事業におけるUI・UXが強化され、シナジー効果が発揮されると判断しました。
GMOインターネットグループがFlatt Securityを子会社化した事例
| 事例3 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | Flatt Security | GMOインターネットグループ |
| 所在地 | 東京都文京区 | 東京都渋谷区 |
| 事業内容 | サイバーセキュリティ関連サービス | インターネット関連サービス 事業を行うグループの持株会社 |
| 売上高 | 2億8,200万円(連結) | 2,586億4,300万円(連結) |
2024(令和6)年2月、GMOインターネットグループは、Flatt Securityの株式66.6%をM&Aスキームの株式譲渡および第三者割当増資により取得し子会社化しました。取得価額は23億3,000万円です。
GMOインターネットグループとしては、サイバーセキュリティ事業に強みを持つFlatt Securityの子会社化により、グループが行うインターネット関連サービス事業それぞれと強いシナジー効果が得られると見込み、M&Aを実行しました。
ディレクトがインターネット関連サービス事業の一部を譲渡した事例
| 事例4 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | ディレクト | 非公開 |
| 所在地 | 東京都港区 | ー |
| 事業内容 | インターネットに関する総合コンサルティング業 | ー |
| 売上高 | 非公開 | ー |
2023(令和5)年3月、RPAホールディングスの子会社であるディレクトは、同社が行っているトランスフォーメーション事業の中のシステムソリューション事業の一部を売却しました。買収側に関する情報および売却額などは非公表です。
このM&Aは、RPAホールディングスグループ内における事業ポートフォリオの再構成を検討した結果、トランスフォーメーション事業の経営資源再分配を行うことになったため実行されました。
ZホールディングスがZOZOを子会社化した事例
| 事例5 | 売却側 | 買収側 |
|---|---|---|
| 法人名 | ZOZO | Zホールディングス |
| 所在地 | 千葉県千葉市 | 東京都千代田 |
| 事業内容 | ファッションECサイトの運営 プライベートブランドの販売 ファッションメディアの運営 |
グループ会社の経営管理と それに付随する業務 |
| 売上高 | 1,184億500万円(連結) | 9,547億1,400万円(連結) |
2019(令和元)年11月、Zホールディングス(現LINEヤフー)は、TOB(株式公開買付け)を実施しZOZOの株式50.1%を買収して連結子会社化しました。買収に要した金額は、4,007億3,600万円です。
ソフトバンクグループの一員であるZホールディングスとしては、同社が行うeコマース事業をさらに拡大していくために、M&AによるZOZOの子会社化を決めています。
5. インターネット関連サービス会社のM&Aにおける成功のポイント
ここでは、インターネット関連サービス業界関連企業や事業のM&Aを成功させるためのポイントや注意点を確認しましょう。インターネット関連サービス業界関連企業や事業のM&Aを成功させるためには、以下のような注意点があります。
- M&Aの専門家に相談をする
- 早めに検討する
- 目的や戦略を明確にする
- 情報漏えいに注意する
- 相乗効果が得られる相手先を選ぶ
インターネット関連サービス業界でのM&Aを成功させるための各注意点について説明します。
M&Aの専門家に相談をする
インターネット関連サービス会社のM&Aを成功させるための注意点の1つは、M&Aの専門家に相談することです。
M&Aでは専門的な経験や知識などが求められる場面が続きます。M&Aをスムーズに進めるためにも、初期段階からM&Aの専門家に相談するのが得策です。ほとんどのM&Aの専門家は無料相談を実施しており、それを活用しましょう。
以下の動画は、M&Aアドバイザーの見極め方について解説したものです。ご参考まで掲示します。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
インターネット関連サービス企業・事業のM&Aを相談するための専門家をお探しであれば、ぜひM&A総合研究所にご連絡ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが、専任となって案件を徹底サポートいたします。
また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみであり、譲受企業様は中間金が発生します)。随時、無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
早めに検討する
M&Aの検討は早めに着手しておくことも注意点の1つです。M&Aは、相手探しと交渉に長期間を要します。特にインターネット関連サービス業界の場合、技術の進歩が速くM&Aもスピーディーに行う必要に迫られるかもしれません。M&Aを成立させやすくするためにも、M&Aの検討は早いタイミングで行っておくとよいでしょう。
目的や戦略を明確にする
M&Aは、買収側も売却側も本来の目的があるはずです。そのM&Aの目的を明確にしておくことが、インターネット関連サービス会社のM&Aを行ううえでの注意点になります。特にM&Aの交渉相手がなかなか見つからないようなケースでは、本来の目的を忘れてM&Aの実施が目的化してしまうことがあり注意しなくてはなりません。
情報漏えいに注意する
M&Aでは、情報漏えいをしないようにすることが重大な注意点です。M&A交渉を始める際には、必ず当事者間で秘密保持契約を締結します。秘密情報に該当するのは相手方の経営情報だけでなく、M&A交渉を行っていること自体も同様です。
仮に秘密情報を外部に漏らしてしまった場合、相手方の信頼を失い破談になったうえに、損害賠償請求を受けるかもしれません。
以下の動画は、情報漏えいの注意点を解説したものです。ご参考まで掲示します。
相乗効果が得られる相手先を選ぶ
M&Aを成功させる注意点には、相乗効果が得られる相手を選ぶこともあります。M&Aの買収側は大きく業績を拡大させたいわけでしょうから、M&A後、経営上の相乗効果が得られる相手を選ぶのは必須です。一方の売却側にとっても、買収側の意向を考えれば、相乗効果が得られるであろう相手を選ぶことでM&Aの成約確度は高まります。
6. インターネット関連サービスのM&A・事業譲渡まとめ
インターネット関連サービス業界におけるM&Aの成功確度を上げるには、仲介業務を委託するM&Aの専門家選びがポイントです。
M&Aの専門家の選び方としては、インターネット関連サービス企業のM&A成約実績の有無、自社と同規模のM&A成約実績の有無、特定の地域でのM&Aに強みがあるか、あるいは全国対応しているかなどがあります。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬の料金体系
- 最短43日、平均7.2ヶ月のスピード成約(2025年9月期)
- 専門部署による、高いマッチング力
- 強固なコンプライアンス体制
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。







