レンタカー業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイントや事例5選を解説!

取締役副社長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本コラムではレンタカー業界におけるM&Aについてまとめました。主な内容として、レンタカー業界の概要、レンタカー業界のM&A動向、レンタカー会社を売却するメリットや譲渡・買収を成功させるための注意点などの解説に加え、具体的なM&A事例も紹介しています。

目次

  1. レンタカー業界の概要と動向
  2. レンタカー業界のM&A動向
  3. レンタカー会社をM&Aで売却するメリット
  4. レンタカー会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. レンタカー会社のM&Aにおける成功のポイント
  6. レンタカー業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. レンタカー業界の概要と動向

冒頭では、M&Aの話の前にレンタカー業界の概要、類似する事業であるカーシェアリングサービスとレンタカー事業の違い、レンタカー業界の市場規模や動向などを確認しましょう。

レンタカー業界とは

レンタカー事業(自家用自動車有償貸渡業)とは、個人や企業、団体などに対し有料で自動車を貸し出し利益を得る事業のことです。レンタカー以外の名称として、カーリース、オートリースという呼称で事業を行うケースもあります。

レンタカー事業を行うためには、国土交通大臣の許可が必要です。また、このレンタカー事業の許可は、企業だけでなく個人事業主でも取得できます。

カーシェアリングサービスとの違い

レンタカーと類似する事業として、カーシェアリングサービスがあります。レンタカーとの違いは、カーシェアリングサービスは会員制で10~15分単位での利用が特別な手続きなしで可能なことです。

レンタカーは借りるたびに手続きを行う必要があり、最低利用時間は6時間からとなっています。カーシェアリングサービスは貸駐車場事業者が併営しているケースも多く、レンタカーよりも拠点数が多いのも特徴です。

レンタカー業界の市場規模と動向

一般社団法人全国レンタカー協会の動向資料によると、2024(令和6)年のレンタカー車両数は109万5,711台でした。その内訳は以下のようになっています。

  • 乗用車57.6%
  • トラック35.9%
  • マイクロバス0.5%
  • その他6%

その他に含まれる車両は、クレーン車、保冷車、福祉車両などの特殊用途車や二輪車などです。コロナ禍の影響で2021(令和3)年には事業者数、レンタカー車両数ともに前年割れする動向でしたが、2022(令和4)年から回復基調となり2024年のレンタカー車両数は過去最高という動向でした。

全国レンタカー協会 : レンタカーの現状

2. レンタカー業界のM&A動向

近年のレンタカー業界のM&A動向として、よく見られるのは以下のような兆候です。

  • 事業エリア拡張のためのM&A
  • 事業規模を拡大するためのM&A
  • 隣接業種へ進出するためのM&A

事業エリア拡張は、特にインバウンド需要の取り込みを目的に観光地への事業進出を目論むケースが増えています。また、同業者間のM&Aは、単に事業規模を拡大するだけでなく効率化によるコスト削減効果も目的です。

隣接業種への進出とは、レンタカー業界よりも市場規模が拡大傾向にあるカーシェアリングサービス事業への進出を意味します。

3. レンタカー会社をM&Aで売却するメリット

ここでは、レンタカー会社をM&Aで売却するメリットについて確認しましょう。レンタカー会社をM&Aで売却する主なメリットには以下のようなものがあります。

  • 事業承継問題の解決
  • 従業員の雇用維持
  • 売却益の獲得
  • 個人保証・債務の解消
  • 事業の成長と発展

レンタカー会社をM&Aで売却するメリットそれぞれについて内容を説明します。

事業承継問題の解決

レンタカー会社のM&Aによる売却によって、事業承継問題の解決というメリットを得られます。親族や社内に後継者がいないレンタカー会社は、事業承継が行えない、つまり廃業しなければならなくなる危機的状況です。

そのようなケースにおいてM&Aでレンタカー会社を売却できれば、買収側が新たな経営者、つまりは後継者となって事業承継が実現します。

従業員の雇用維持

レンタカー会社をM&Aで売却し事業承継が実現すれば、従業員の雇用も継続されるというメリットも生みます。事業承継が実現できず廃業となったレンタカー会社の従業員は、雇用契約がなくなり解雇扱いです。

一方、レンタカー会社がM&Aで売却されれば、買収側は事業を継続するために従業員の雇用契約をそのまま維持します。M&Aによる売却によって、従業員の生活も守られるのです。

売却益の獲得

レンタカー会社の売却側は、M&Aによって売却益を獲得できるメリットもあります。M&Aの売却額は、将来にわたってレンタカー会社が稼ぐであろう金額も評価に加味されて決まるものです。

赤字経営であったり大きな負債を抱えていたりなどの状況でなければ、レンタカー会社の売却によって相応の売却益が得られるでしょう。

個人保証・債務の解消

金融機関に債務があるレンタカー会社の場合、M&Aでの売却によって債務から解放され、経営者の個人保証が解消されるというメリットも得られます。M&Aでは、事業譲渡や会社分割というスキーム(手法)以外であれば、基本的に会社の債務は買収側に引継がれるものです。

また、経営者個人が会社の債務の連帯保証人となっている場合、この個人保証(経営者保証)は買収側と金融機関との協議により解除されるのが通例となっています。

事業の成長と発展

レンタカー会社のM&Aによる売却後、事業の成長・発展が見込めるというメリットもあります。M&A後、同業者である買収側(親会社)であれば、協業によってシナジー効果が得られる可能性が高いため、事業の発展が期待できるでしょう。

また、親会社の資金力やその他の経営資源を活用できるようになるため、今までにない事業の成長も見込めます

4. レンタカー会社のM&A・買収・売却事例5選

ここでは、実際に行われたレンタカー会社関連のM&Aによる売却・買収事例を紹介します。取りあげるM&A事例は以下の5例です。

  • エンジョイレンタカーがレンタカー事業をグッドスピードに譲渡した事例
  • HANATOUR JAPANがマルエイコーポレーションとマルエイカーズにレンタカー事業を譲渡した事例
  • オプティマスグループがUniversal Rental Cars Limitedを通じてUSAVE Car & Truck Rentals Limitedを子会社化した事例
  • 東京センチュリーリースがニッポンレンタカーサービスを子会社化した事例
  • パーク24がマツダレンタカーを子会社化した事例

レンタカー会社関連のM&A事例について、それぞれ内容を説明します。なお、表中に記載している売上高は、M&Aが実施された時期の直近年度決算の数値です。

エンジョイレンタカーがレンタカー事業をグッドスピードに譲渡した事例

事例1 売却側 買収側
法人名 エンジョイレンタカー グッドスピード
所在地 沖縄県那覇市 愛知県名古屋市
事業内容 レンタカー事業 中古車販売、自動車買取、
整備・鈑金、保険代理店、
レンタカー事業
売上高 非公開 323億9,300万円

2020(令和2)年4月、グッドスピードは、エンジョイレンタカーが沖縄県で行っているレンタカー事業を譲渡されました。譲渡額は非公表です。グッドスピードは、これまで東海エリアでレンタカー事業を行ってきましたが、他のエリアにも進出することを目的に今回のM&Aを実施しました。

参照元:株式会社グッドスピード

HANATOUR JAPANがマルエイコーポレーションとマルエイカーズにレンタカー事業を譲渡した事例

事例2 売却側 買収側 買収側
法人名 HANATOUR JAPAN マルエイコーポレーション マルエイカーズ
所在地 東京都港区 千葉県千葉市 東京都港区
事業内容 インバウンド手配旅行業 不動産運用・ビル賃貸事業 自動車販売事業、自動車賃貸借
事業加盟店の事業・経営管理
売上高 65億9,300万円(連結) 非公開 非公開

2020年2月、HANATOUR JAPANは、マルエイコーポレーションとマルエイカーズにレンタカー事業を譲渡しました。譲渡額は非公表となっています。マルエイコーポレーションとマルエイカーズは、ともにマルエイホールディングスの完全子会社です。

HANATOUR JAPANとしては、グループ企業とともに行っている訪日外国人観光客向けの旅行サービスの周辺事業として、沖縄地区ではレンタカー事業を行ってきました。しかし、経営戦略を見直し事業の選択と集中を図る結論に至り、同事業をM&Aで譲渡することを決めています。

参照元:株式会社HANATOUR JAPAN

オプティマスグループがUniversal Rental Cars Limitedを通じてUSAVE Car & Truck Rentals Limitedを子会社化した事例

事例3 売却側 買収側
法人名 USAVE Car & Truck Rentals Limited Universal Rental Cars Limited
所在地 ニュージーランド国 ニュージーランド国オークランド市
事業内容 レンタカー事業 レンタカー事業
売上高 非公開 非公開

2019(平成31)年4月、オプティマスグループの完全子会社であるUniversal Rental Cars Limited(以下URC)は、USAVE Car & Truck Rentals Limited(以下UCTR)が行っているレンタカー事業を買収し取得しました。買収額は約800万ニュージーランドドル(当時のレートで約6億円)です。

URCが行ってきたレンタカー事業は観光客向けであるのに対し、UCTRが行ってきたレンタカー事業は現地需要向けであり、同じレンタカー事業でありながら顧客基盤が異なります。オプティマスグループとしては、両社のレンタカー事業の特徴・顧客基盤を合わせることでシナジー効果を生みだせると判断しM&Aを実施しました。

参照元:株式会社オプティマスグループ

東京センチュリーリースがニッポンレンタカーサービスを子会社化した事例

事例4 売却側 買収側
法人名 ニッポンレンタカーサービス 東京センチュリーリース
所在地 東京都渋谷区 東京都千代田区
事業内容 自動車の有償貸渡し オートモビリティ事業、スペシャルティ事業、
国内リース事業、国際事業、環境インフラ事業
売上高 244億2,800万円 6,911億2,800万円(連結)

2013(平成25)年9月、東京センチュリーリース(現、東京センチュリー)は、ニッポンレンタカーサービスの株式を追加買収し連結子会社化しました。東京センチュリーリースはすでにニッポンレンタカーサービスの株式を20%所有しており、今回のM&Aでは32.9%相当分の株式を追加買収しています(合計52.9%)。

東京センチュリーリースとしては、これまで行ってきたオートリース事業と、ニッポンレンタカーサービスのレンタカー事業は親和性が高く十分なシナジー効果を発現できると判断しM&Aを実行しました。

参照元:東京センチュリーリース株式会社

パーク24がマツダレンタカーを子会社化した事例

事例5 売却側 買収側
法人名 マツダレンタカー パーク24
所在地 広島県広島市 東京都品川区
事業内容 自動車賃貸業 グループ統括・経営企画・管理
売上高 187億8,300万円 808億3,400万円(連結)

2009(平成21)年3月、パーク24は、マツダレンタカーの株式98.6%を買収し子会社化しました。買収額は20億7,100万円です。

パーク24としては、これまで自社グループが行ってきた駐車場サービス事業と、マツダレンタカーのレンタカー事業を融合することにより、カーシェアリングサービスをさらに普及させるとともに駐車場事業の拡大も見込めると判断してM&Aを実施しました。

参照元:パーク24株式会社

5. レンタカー会社のM&Aにおける成功のポイント

ここでは、レンタカー会社のM&Aを成功させるためのポイントや注意点を確認しましょう。レンタカー会社のM&Aを成功させるための主な注意点は以下のとおりです。

  • M&Aの専門家に相談をする
  • 情報漏えいに気をつける
  • 目的を明確にする
  • 早めに検討し最適なタイミングを逃さない
  • 相乗効果が得られる相手先を選ぶ

レンタカー会社のM&Aを成功させるための各注意点について内容を説明します。

M&Aの専門家に相談をする

レンタカー会社のM&Aを成功させるための注意点の1つは、M&Aの専門家に相談することです。M&Aを実際に進めていく際には、専門的な知識と経験がないとスムーズに行っていけないでしょう。したがって、M&Aの専門家への相談とは単なる情報収集ではなく、M&Aの仲介業務を委託する相手を選ぶことを意味します。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

レンタカー業界関連のM&Aを相談するための専門家をお探しであれば、ぜひM&A総合研究所にご連絡ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが、専任となって案件を徹底サポートいたします。

また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみであり、譲受企業様は中間金が発生します)。随時、無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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情報漏えいに気をつける

M&A交渉過程での注意点として「情報漏えいしない」ことが挙げられます。M&A交渉の開始時には、必ず秘密保持契約が締結されるものです。仮に交渉相手の情報を流出させた場合、契約違反として損害賠償請求の対象となります。また、相手からの心証も悪化しM&A交渉は中止・破談となってしまうでしょう。

目的を明確にする

レンタカー会社のM&Aを成功させるためには、「目的を明確にする」ことも注意点の1つです。良いM&Aの専門家を見つけたとしても、当事者サイドでM&Aの目的が明確化されていないと、的確な戦略策定やアドバイス・サポートを得るのが難しくなります。

また、M&Aの目的は複数あることも多いため、その場合は、それぞれの目的に優先度をつけておくことも肝要です。

早めに検討し最適なタイミングを逃さない

レンタカー会社のM&Aを成功させるための注意点には、「タイミングを逃さないこと」もあります。M&Aは、タイミングの産物とさえ言われるほどです。こちらが売却したくても、そのタイミングで買収したい相手と出会えなければ交渉すらできません。

買収したい相手とM&A交渉をいつでも行えるようにするためには、早くからM&Aを検討し必要に応じた準備を進めておくことです。

相乗効果が得られる相手先を選ぶ

レンタカー会社のM&Aを成功させるための注意点としては、「相乗効果が得られる相手を選ぶこと」も重要です。相乗効果が期待できる相手とのM&A交渉は、円滑に進みやすいでしょう。相乗効果が得られる相手をうまく選ぶには、まずは自社をよく分析し、特徴や強み、課題や弱みを明らかにしておくことです。

6. レンタカー業界のM&A・事業譲渡まとめ

観光客数が過去最高となっている現在の日本では、インバウンド需要に合わせてレンタカー業界も活性化していくでしょう。そうなると、レンタカー会社のM&Aも盛んに行われていくと予想されます。

そして、M&Aを成功させるポイントとなるのは、仲介業務を委託するM&Aの専門家の選び方です。具体的には、自社と同規模のレンタカー会社のM&A成約実績があること、特定の地域に強みがあるか、または全国対応していることなどがあります。

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