2022年06月06日更新
舗装工事のM&A動向!譲渡事例・ニュース、売却相場、相談先を徹底紹介【2022年最新】
昨今の日本はM&Aの最盛期を迎えており、それは舗装工事業界も同様です。舗装工事会社におけるM&Aでの売却・買収や事業承継に関して、動向・事例・価格相場を確認するとともに、売却・買収のメリットやおすすめの相談先などを解説します。
目次
1. 舗装工事会社のM&A
本記事では、舗装工事事業を行う会社のM&A・買収・売却・事業承継に関して、さまざまな角度から解説します。
舗装工事会社のM&A動向を述べる前に、舗装工事会社の定義やM&A・買収・売却・事業承継の概要を確認します。
舗装工事会社とは
舗装工事会社とは、道路の耐久力増幅や道路修理といった舗装工事を運営する事業者のことです。主な舗装工事としては、アスファルト舗装やコンクリート舗装・レンガ舗装・タイル舗装などが挙げられます。
舗装工事事業を提供する会社の多くは、建設工事業界のうち、交通関連土木工事業界に属します。日本国内の交通関連土木工事を行う上場企業の例は、鉄建建設・東亜道路工業・スバル興業・三井住建道路・佐藤渡辺などです。
M&A・売却・買収とは
近年、報道などでM&A・会社売却・買収という言葉を耳にする機会も増えてきました。以下では、M&A・売却・買収の基本的な意味合いをあらためて確認します。
M&Aとは
M&Aは「Mergers & Acquisitions」の頭文字をとったもので、日本語では「企業の合併(Mergers )・買収(Acquisitions)」と表現されます。
なお、M&Aとは、単に会社合併や会社売却・買収だけを指すものではなく、会社分割や広義のM&Aとしては資本業務提携なども含まれています。
売却・買収とは
会社の売却・買収は、M&A手法の代表的な手法です。その意味は文字どおり、会社の経営権を売却・買収することであり、言い換えれば会社をまとめて譲渡・譲受する行為をさします。
事業承継とは
事業承継とは、企業の経営者が後継者に対して事業を引き継ぐことをさします。例えば、舗装工事事業を運営する会社の経営者が、自分の息子を後継者に指名して事業を引き継ぎ、自身は経営から身を引いた場合、これを事業承継と呼びます。
事業承継は、誰を後継者に指名するのかによって、親族内事業承継・社内事業承継・M&Aによる事業承継の3つに分類できます。
親族内事業承継 | 経営者の子どもや配偶者など親族を後継者とする事業承継 |
社内事業承継 | 会社の役員や従業員を後継者とする事業承継 |
M&Aによる事業承継 | M&Aで事業・会社を第三者に売却し、その買い手が後継者となる事業承継 |
近年では、国内の中小企業を中心に後継者不足問題の深刻化が進んでおり、親族内事業承継や社内事業承継の数が減少しています。
高齢化や経営難などに伴い経営を退きたいと考えていても、親族内や会社関係者内に後継者となり得る人物がいないためスムーズに事業承継を進められず、会社を倒産・廃業せざるを得ないケースも絶えません。
この問題を解決する有効な手段として脚光を浴びているのが、M&Aによる事業承継です。M&Aを実施して事業譲渡・会社売却ができれば、その買い手である第三者を後継者として事業を引き継げます。
2. 舗装工事会社のM&A動向
舗装工事会社のM&Aを成功させるためには、舗装工事会社のM&A動向を把握しておくことが重要です。適切なタイミング・適切な手法でM&A手続きを進めれば、成功する確率も高まります。
- 公共事業の件数減少によるM&Aの増加
- 経営難により関連業種へのM&Aを行う
- 原料費のコスト増からくる経営難によりM&Aの検討
- 労働力が集まらず廃業・倒産を避ける目的でのM&A
①公共事業の件数減少によるM&Aの増加
舗装工事会社を含めた建設・工業業界では、M&A件数が増加しています。その要因の1つが、公共事業件数の減少です。
舗装工事事業を行う企業にとって国は最大の顧客ですが、近年は公共事業における道路事業費が縮小傾向にあり、公共事業件数が減少しています。
この影響により、中小の舗装工事会社では経営難に陥る組織が増えており、M&Aによる会社売却・事業譲渡が増加傾向です。
②経営難により関連業種へのM&Aを行う
舗装工事会社を含めた建設業界は、2020(令和2)年の東京オリンピックや震災復興特需などもあり、全体的な売上高は好調です。
ただし、オリンピック後は関連事業の需要減少により、業界全体の売り上げが徐々に低下しています。
増税や公共事業件数の減少に伴う需要減少などの影響もあり、経営難に陥る舗装工事会社がますます増加する予想です。
この経営難を避けるため、関連業種へのM&A・会社売却・事業承継を進める舗装工事会社が増えています。
③原料費のコスト増からくる経営難によりM&Aの検討
原料費のコスト増によって、経営難に陥る舗装工事会社も増えています。アスファルトをはじめとした舗装工事では、原料費が膨らむほど舗装工事会社の利益が減少するのが一般的です。
そこで、原料費のコスト増を理由とする経営難によって、大手で資本力のある関連企業へ会社売却・事業承継を実施・検討する企業が増えています。
④労働力が集まらず廃業・倒産を避ける目的でのM&A
舗装工事会社を含めた建設業界では、労働力不足が深刻な問題です。厳しい労働環境や負のイメージにより人材が集まらず、廃業・倒産を余儀なくされる会社も少なくありません。
その結果、近年では、人手不足による廃業・倒産を避ける目的で、M&Aを実施する舗装工事会社が増加しています。
3. 舗装工事関連のM&A事例・ニュース
ここでは、以下の舗装工事会社の売却・譲渡事例を紹介します。
- 清水建設による日本道路の子会社化
- アジアゲートHDによるNC MAX WORLDの子会社化
- 佐藤渡辺と佐藤工業の資本業務提携
- 大盛工業による港シビルの子会社化
- 日本乾溜工業と福岡キャピタルパートナーズによる資本業務提携
- テノックスと日本コンクリート工業による資本業務提携
- 日本乾溜工業によるニチボーの子会社化
- アジアゲートHDによるNSアセットマネジメントの全株式取得
- 前田建設工業による前田道路への敵対的TOB(株式公開買付け)
- 大邦興産の株式譲渡
- 井口建設の株式譲渡
- 大林道路に対する公開買付け
- 古澤建設の株式譲渡
①清水建設による日本道路の子会社化
2022(令和4)年3月、清水建設は、公開買付の手法によって、日本道路の株式を取得し連結子会社化しました。応募株数が買付予定株数を超過したことから、予定どおり222万株を買い付け、結果として保有割合を50.1%としています。
買収側は、大手の総合建設会社であり、「子どもたちに誇れるしごとを。」「Today's Work, Tomorrow's Heritage」をコーポレートメッセージとして掲げています。対する売却側は、道路舗装大手であり、土木・不動産・建築・スポーツ施設などに多角化し、子会社でリース業も行っています。
本件M&Aにより、買収側では、売却側とさらなる成長・発展を目指しています。協業関係構築を通じた施策および期待されるシナジーは、主に以下のとおりです。
- 協働での案件取り組み強化による受注拡大
- 相互の顧客網・技術・拠点網等を活用した事業競争力の強化
- コンプライアンス体制のさらなる強化
- 人財交流・育成、人財採用での連携強化
- 研究開発体制の合理化
②アジアゲートHDによるNC MAX WORLDの子会社化
2022年2月、アジアゲートHDは、NC MAX WORLDの株式すべてを取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は31億8,750万円です。
買収側は、東京都港区に本社を置く事業持株会社で、ライフライン敷設などの建設事業を行う南野建設を母体としています。対する売却側は、不動産売買、不動産賃貸・管理、不動産売買に関する権利調整業務を行っている企業です。
本件M&Aにより、買収側では、経営基盤の強化と合理化・相互間での人材の流動化・意思決定の迅速化による開発案件の早期クロージングに加えて、新規案件による業容拡大を見込んでいます。
③佐藤渡辺と佐藤工業の資本業務提携
2022年2月、佐藤渡辺は佐藤工業との間で、資本業務提携を締結すると発表しました。これに伴い、佐藤工業を処分先とする第三者割当により、自己株式を処分することも発表しています。
佐藤渡辺は、東京都港区に本社を置く道路舗装工事を中心とする建設会社であり、2005年に渡辺組が佐藤道路と合併して誕生しました。対する佐藤工業は、建設工事の請負ならびに企画・測量・設計・監理およびコンサルティング業務などを手掛けている企業です。
本件M&Aにより、佐藤渡辺では、佐藤工業とのシナジー効果の創出を目指しつつ、佐藤工業との取引関係の拡大・強化を図っています。受注の拡大および研究開発の推進、さらなる収益基盤拡大も目指しています。
④大盛工業による港シビルの子会社化
2021(令和3)年6月、土木建築工事事業を行う大盛工業は、港湾・河川土木事業に強みを持つ港シビルの全株式を取得し、完全子会社しました。株式の取得価額は、1億4,000万円です。
大盛工業は、本件M&Aを通じて、土木建築工事事業で対応可能な施工分野や事業基盤の拡大を行い、シナジー効果を見込んでいます。
⑤日本乾溜工業と福岡キャピタルパートナーズによる資本業務提携
2021年2月、建設事業・防災安全事業・化学品事業を行う日本乾溜工業は、各種ファンドの組成・運営、不動産開発事業を行う福岡キャピタルパートナーズと資本業務提携を行いました。
本提携は、日本乾溜工業が、福岡キャピタルパートナーズの完全子会社であるFCPの株式の28.41%を取得するスキームで行われました。
福岡キャピタルパートナーズの持つ地域貢献ファンドとしてのノウハウや知見を生かし、日本乾溜工業の3事業分野のさらなる体制強化・M&Aなどの活用を図るとしています。
⑥テノックスと日本コンクリート工業による資本業務提携
2021年1月、コンクリートパイルや鋼管パイルの販売・施工、地盤改良工事の施工を行っているテノックスは、ポール・パイル・土木製品などの製造・販売事業を展開している日本コンクリート工業と資本業務提携を行いました。
テノックスと日本コンクリート工業は、基礎工事業での協力関係を強化することで、両社が長期的に連帯し双方の企業価値向上を図るとしています。
⑦日本乾溜工業によるニチボーの子会社化
2020(令和2)年8月、建設事業・防災安全事業・化学品事業を行う日本乾溜工業は、建設事業・地質調査事業・建設コンサルタント事業・測量事業を行うニチボーを取得しました。
日本乾溜工業がニチボーの全株式を取得するスキームで行われ、取得価額は非公開とされています。M&Aにより期待されていることは、建設事業の法面工事において両社が協力することで、営業力と技術力の双方を高めるシナジー効果です。
⑧アジアゲートHDによるNSアセットマネジメントの全株式取得
2020年7月には、不動産事業・不動産コンサルティング事業を展開するアジアゲートHD(以下、買手)が、NSインシュアランス(以下、売手)をM&Aで支配権を獲得しました。
売手は、NSAMの子会社で、保険代理店事業を営む会社です。買手は、NSAMから売手の全株式を譲受し完全子会社化しました。取得価格は非開示とされています。
本件M&Aの結果、買手は保険代理店事業および保険代理店ライセンスを取得し、既存事業とのシナジー効果の創出を目指します。
⑨前田建設工業による前田道路への敵対的TOB(株式公開買付け)
2020年3月、前田建設工業は、従来から24.68%の株式を保有していた前田道路に対し、敵対的TOBを実施しました。その結果、予定どおり過半数(51.29%)の株式取得に成功し、前田道路は前田建設工業の子会社となりました。なお、前田建設工業の株式取得価額は、861億5,500万円です。
前田道路側は「シナジー効果は見込めない」として反対し抵抗策も打ちましたが、子会社化を阻めませんでした。今後、グループ会社として両社がうまく機能するかが注目されます。
⑩大邦興産の株式譲渡
2019(平成31)年4月、舗装工事や土木工事などを行う大邦興産は、塗装工事業や水道施設工事業を運営する日本乾溜工業に全株式を譲渡し、完全子会社化されました。なお、株式譲渡価額は非公表です。
日本乾溜工業は、大邦興産を買収することにより、受注機会の拡大を図るとしています。
⑪井口建設の株式譲渡
2018(平成30)年8月、土木工事事業や不動産事業を展開している井口建設は、土木事業などを手掛ける大盛工業に株式譲渡を実施しました。なお、株式譲渡に先立ち、井口建設は不動産事業を承継する分割会社を設立しており、大盛工業に譲渡される事業は土木工事事業のみです。譲渡価額は2億3,100万円です。
大盛工業は、自社グループの収益力向上や事業基盤の拡大を目的に、当事例のM&Aを実施しています。
⑫大林道路に対する株式公開買付け
2017(平成29)年5月、建設業界最大手企業の大林組は、連結子会社(株式41.67%所有)で舗装工事や土木工事事業を展開する大林道路を、株式公開買付けによって全株式を取得し完全子会社化しました。
大林道路は、将来的な市場縮小や労働力減少などに備えることを目的として、株式公開買付けを受け入れています。
⑬古澤建設の株式譲渡
2016(平成28)年9月、滋賀県東近江市の舗装工事会社である古澤建設は、土木工事や舗装工事など建設事業全般を手掛ける三東工業社に株式譲渡を実施しました。譲渡する株式比率は80%で、その価額は5,200万円です。
三東工業社は、古澤建設を買収することにより、舗装工事や修繕工事におけるシナジー効果の創出が期待されるとしています。
4. 舗装工事会社のM&Aによるメリット
舗装工事会社をM&A・売却・事業承継することで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを5つ取り上げ、それぞれ解説します。
- 後継者不足の解決
- 従業員の雇用先の確保
- 個人保証・担保を解消
- 心理的な負担からの解放
- 売却益の獲得
①後継者不足の解決
舗装工事会社をM&Aによって事業承継することで、後継者問題を解決できるメリットがあります。塗装工事業界に限らず、近年は後継者不足が深刻化しており、これまで主流だった親族内事業承継・社内事業承継が難しいのが現実です。
M&Aを実施して第三者に会社売却・事業譲渡することで、後継者難を解消できます。
②従業員の雇用先の確保
後継者不足が影響して事業承継ができなかったり、市場動向などによって経営難に陥ったりすることで会社の廃業・倒産を余儀なくされると、従業員を解雇しなければなりません。
M&Aを実施して会社売却・事業承継すれば、買収先へ従業員を引き継げるため、従業員の雇用先を確保できます。
③個人保証・担保を解消
舗装工事会社をM&Aによって売却することで、個人保証・担保を解消できるメリットがあります。
M&Aによって会社売却を実施する場合、会社への融資に対する経営者個人の保証や担保は買収側企業が引き継ぐことになるため、経営者は個人保証・担保などを解消できます。
④心理的な負担からの解放
舗装工事会社を含めた建設・工業業界は、公共事業件数の減少や特需終了などに伴い、収益力が低下していくと考えられています。将来的に需要が減少していく不安を抱えたまま経営するのは、心理的負担が非常に大きいです。
M&Aを実施して舗装工事会社を売却・事業承継できれば、将来的に経営難に陥るかもしれないといった心理的負担から解放されます。
⑤売却益の獲得
舗装工事会社のM&Aによって得られるメリットの1つに、売却益の獲得が挙げられます。会社の規模や業界のM&A動向によっては、億単位の売却益を獲得できる可能性があります。
この売却益は経営者が創業者であれば創業者利益とも呼ばれますが、経営を引退した後の生活費や新規事業の投資資金など、自由な用途に活用できます。
5. 舗装工事会社のM&A・売却相場
舗装工事会社をM&Aによって売却した際、どれほどの金額になるのかと気になる方は多いです。しかし、舗装工事会社の売却相場は、「この程度である」と断言するのは非常に難しいです。
その理由は、買収・売却時の金額を決定する際に参考となる企業評価価値は、企業規模・保有資産・将来の収益性・市場動向などによって大きく変わるためです。
舗装工事会社の売却価格を算出するには
M&Aによる買収・売却金額の参考として用いられる企業評価価値は、基本的に以下の3種類の算出方法によって求めるのが通例です。ここでは、それぞれの算出方法を説明します。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
コストアプローチ
コストアプローチとは、対象企業の貸借対照表に記載された純資産価値をベースにして、企業価値を評価する方法です。
純資産価値をもとにするため、企業評価が客観的に行えるメリットがあります。コストアプローチの主な手法は、時価純資産価額法と修正簿価純資産法です。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、対象企業が将来獲得すると予測される収益や、将来のキャッシュフローをもとにして企業評価する方法です。
M&Aの対象となる企業の将来性を考慮するため、最も合理的な算出方法と考えられており、実際に高い頻度で使用されています。インカムアプローチの主な手法は、DCF(Discounted Cash Flow)法と収益還元法です。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、すでに市場で成立している価格をベースにして企業評価を行う方法です。ここでいう市場で成立している価格とは、株式市場価格をさします。
このマーケットアプローチの主な手法は、類似業種比準方式・類似会社比準方式などです。
個人でも会社の売却価格を算出できる?
結論からいえば、企業評価価値を個人で算出することは非常に難しいです。なぜなら、どの算出方法が自社に適しているか判断することが難しく、適切な算出には専門的知識が必要とされるためです。
使用する算出方法によっては複雑な計算が必要となるため、M&A・会社売却・買収および会計などの知識がなければ、正しい企業価値を算出できません。
自社の企業評価価値を算定したい場合は、M&A仲介会社などの専門家に依頼することをおすすめします。
6. 舗装工事会社のM&Aの際におすすめの相談先
舗装工事会社のM&A・買収・売却を成功させるためにはM&Aの専門家によるサポートが不可欠ですが、どの専門家に相談すればよいかわからないケースも多いです。この章では、舗装工事会社のM&Aの際におすすめの相談先を紹介します。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・税理士・会計士など
- マッチングサイト
①M&A仲介会社
舗装工事会社におけるM&A・買収・売却の相談先として、最も一般的なのはM&A仲介会社です。M&A仲介会社は、M&Aや事業承継のサポートを専業としており、実績・専門的知識を持つスタッフが在籍しています。
現在、国内には多数のM&A仲介会社が存在するため、自社に合うM&A仲介会社を選ぶことが大切です。
②地元の金融機関
地元の金融機関でも、M&A・買収・売却・事業承継の相談を行えます。銀行や証券会社など多くの金融機関では、地元企業の買収・売却・事業承継の相談を受けてくれます。
金融機関は地元に根付いたネットワークを幅広く構築しているため、最適な後継者・交渉相手を探し出せる可能性があります。
③地元の公的機関
全国の商工会議所や中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターなどでは、地元の中小企業の事業承継相談・支援を行っています。
公的機関なので安心して無料で利用できるメリットがあるため、舗装工事会社の買収・売却・事業承継を相談してみるのもよいでしょう。
④地元の弁護士・税理士・会計士など
近年は、弁護士・税理士・会計士などの士業事務所でも、M&A・買収・売却・事業承継支援を行う機関が増えてきました。士業事務所には会計や税務などの専門的知識を有したスタッフが在籍しているため、その専門知識を生かしたサポートに期待できます。
ただし、M&A実績が少ない機関も多いため、事前に調べたうえで利用するとよいでしょう。
⑤マッチングサイト
M&Aマッチングサイトを利用し、舗装工事会社の事業承継先を探すことも可能です。マッチングサイトとは、M&Aの売却側・買収側がそれぞれ登録し、自身で売却・買収候補を見つけて交渉を進められる専門サイトをさします。
仲介会社などを挟まないため非常に安価な価格でM&A・買収・売却の手続きを進められますが、交渉や契約書作成などを自分で行わなければならず、トラブルが発生する可能性が高い点に注意する必要があります。
7. 舗装工事会社のM&Aの際に相談先を選ぶポイント
舗装工事会社のM&A・買収・売却・事業承継を成功させるためには、M&A専門家のサポートを受けることがおすすめです。この項では、M&Aの相談先を選ぶ際のポイントを5点掲示します。
- 自社と同規模の案件実績がある
- 舗装工事業界に詳しい
- M&Aの知識が豊富
- 手数料・相談料などが明確
- 担当者との相性がよい
①自社と同規模の案件実績がある
舗装工事会社のM&A・売却・買収の相談先を選ぶ際は、自社と同規模の案件実績があるか事前に確認しましょう。同規模の案件実績がある専門家を選べば、買収・売却の成功確率を高めるアドバイスが期待できます。
②舗装工事業界に詳しい
M&A・売却・買収の相談先を選ぶ場合には、舗装工事業界に精通しているアドバイザーや専門家が在籍しているか確認しておきましょう。
M&A専門家によっては、特定の業界・分野のM&A・事業承継実績に特化していることもあるため、舗装工事業界に詳しければ適切なアドバイス・サポートが期待できます。
③M&Aの知識が豊富
当然のことながら、M&Aの知識を豊富に持つ専門家を相談先に選ぶことが重要になります。M&Aを進める際は、M&Aに関する専門的な知識や見解が必要不可欠です。
M&Aに関する知識だけでなく、会計・税務・法務といった専門知識も必要とされるため、士業資格を持つスタッフが在籍しているM&A仲介会社であれば、自社に適したサポートを受けられます。
④手数料・相談料などが明確
舗装工事会社のM&Aに関する相談先を選ぶ際は、手数料・相談料などが明確なのか事前に確認することが大切です。
M&Aには多くの費用が必要であるため、仲介にかかる料金体系が不明瞭な仲介会社を選んでしまうと、想定外のコストが発生してしまう可能性があります。
⑤担当者との相性がよい
舗装工事会社のM&Aの相談先を判断する際は、担当者との相性をチェックすることも大切です。
M&Aによる買収・売却・事業承継の手続きは、短くても3カ月程度、長い場合は1年ほどの時間を要します。
自社の情報や経営者の思いを十分に伝えなければM&Aを成功させることは難しいため、きちんとコミュニケーションが取れて、良好な関係を築ける担当者のいる会社を選ぶとよいでしょう。
舗装工事会社のM&Aでおすすめの相談先
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8. 舗装工事会社のM&A動向まとめ
この記事では、舗装工事会社のM&A動向を中心に解説しました。舗装工事会社を含めた建設業界では、公共事業の減少や労働力確保の難しさによる経営難を避けるため、M&Aが活発化しています。
ただし、M&Aを成功させるには、M&Aだけでなく会計・税務・法務といった専門知識も必要とされるため、M&Aをご検討の際は、M&A仲介会社などの専門家に相談し、サポートを受けることをおすすめします。
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