2026年09月08日更新
花・園芸業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!
この記事では、花・園芸業界の動向とM&Aのメリットについて解説していきます。実際に、花・園芸業界で行われたM&A・売却・買収事例についても紹介するので、花・園芸業界の動向やM&Aの活用トレンドを知りたい方は是非参考にしてください。
1. 花・園芸業界の動向
花・園芸業界は、切り花、種苗、ガーデニング関連商品の中間流通を中心に成り立っており、その市場規模は輸入を含めて約4,000億円にのぼります。
業界の流通は、生産者から農協を通じ、都市部の卸売市場へと至る一連のプロセスとして形成されています。2016年の調査によると、国内の生産者は約6万戸、卸売会社数は117市場で336社という規模感を持っており、花きの取扱金額は3,763億円に達している業界です。
新型コロナウイルスの影響もこの業界には見受けられ、特に在宅時間が増えたことによる観葉植物の需要増が顕著です。一方で、イベントや行事の減少は切り花の需要を落とす要因となりました。
業界内での動きとしては、複数の花き卸企業がシステムや物流の共通化・統合を進めています。
特に、オンライン売買システムの共通化は、業界の効率化や新しいビジネスモデルへのシフトを可能とする技術です。具体的には、花きのオンライン売買システムを共通化する目的で新しい会社「JFIソリューション」が設立され、今後のシステム統合を目指しています。
しかしながら、花・園芸業界もまた、世界的なインフレ懸念やウクライナ危機といった国際的な事象の影響下にあります。これに加えて、異常気象やロシア・ウクライナの紛争は食糧供給に変動をもたらし、種苗業界の存在感を高めています。
業界の今後における展望として、多様な外部環境の変化への対応が不可欠です。持続可能な供給体制の構築、新市場への展開、さらには環境変動へのアプローチなど、多岐にわたる課題解決が業界の発展をリードすることとなるでしょう。
【関連】農業・林業のM&A・売却・譲渡!業界動向・相場・ポイントを解説【成功事例あり】
2. 花屋・園芸店をM&Aで売却するメリット
M&Aによる花屋・園芸店の売却は、事業の発展や効率化など様々なメリットをもたらします。
特に花・植木の小売業では、事業承継の問題が生じることがありますが、M&Aはその問題を解決する手段として有効です。
ここでは、花屋・園芸店をM&Aで売却するメリットを解説していきます。
後継者不足の解消
花・植木小売業は家族経営が主流であるため、後継者の不足が事業継続のリスクとなります。
M&Aを通じて他の企業に会社を譲渡することで、この問題を効果的に解消することが可能です。
さらに、譲渡先の企業の支援で従業員の雇用を維持することもでき、企業の信頼性を維持しつつ新しいステージへと進むことができます。
売却利益の獲得
M&Aを進めることで、一定の資金を調達することができます。特に、譲渡先が事業の価値を高く評価した場合、より高額な売却価格を受け取ることが期待できます。
これにより、新たな投資や事業の拡大、さらなる資金調達の手段として利用することができます。
事業の再編・展開
譲渡先の企業との協力や経営手法の融合により、事業の再編や展開が可能となります。
新しい経営陣や戦略の導入は、事業のさらなる成長や多角化を促進し、市場での競争力を高める要因となります。
業務や経営の効率化
譲渡先の企業の経営リソースやノウハウを取り入れることで、業務プロセスや経営の効率化が図れます。
経営のベストプラクティスや新しい技術の導入は、業績の向上やコスト削減に直結します。
3. 花・園芸業界のM&A・売却・買収事例6選
次に、近年、花・園芸業界において行われたM&A・売却・買収事例を6つ紹介していきます。
M&A・売却・買収事例を確認することで、今後の花・園芸業界のM&Aトレンドを読み取れるようになります。
ユニバーサル園芸社が小林ナーセリーの事業を譲受した事例
2020年7月、ユニバーサル園芸社が小林ナーセリーの植木、花卉、及び種苗の生産、販売等の事業を譲り受けることに成功しました。
ユニバーサル園芸社は、今回、新会社として小林ナーセリーを設立し、その新会社から事業を譲り受けるかたちをとりました。これによって、今回の事業譲渡は、事実上、取得による子会社化となります。
新会社は2020年8月に、すでに使用中の建物や温室を活用して事業をスタートしています。従業員の引継ぎも行われ、既存の顧客との取引をさらに広げつつ、ユニバーサル園芸社のグループの一部として、園芸事業全般の成長に寄与することが期待されています。
参考: ユニバーサル園芸社による小林ナーセリーの事業譲受
オークネットが東京砧花き園芸市場をM&Aした事例
2020年5月、オークネットが東京砧花き園芸市場を子会社化することに成功しました。
東京砧花き園芸市場株式会社は、世田谷中央卸売市場に位置しており、洋ランや観葉植物、ガーデニング用品などの鉢物を専門とし、豊富な品揃えと高品質が特長の卸売業者です。
この世田谷の市場は、立地や環境が他の市場よりも優れ、業界で最も多くの購買者や生産者、そして高級品を取り扱っています。
オークネットの関連会社であるオークネット・アグリビジネスは、オンラインでの切花オークションや関連情報サービスを提供していますが、今回の子会社化を通じて、さらに切花と鉢物を組み合わせた市場を展開して事業を拡大する考えです。
参考:オークネットによる東京砧花き園芸市場のM&A
ベルグアースがサカタのタネの花苗事業をM&Aした事例
2019年5月、ベルグアースがサカタのタネの花苗事業を譲り受けました。
今回の事業譲り受けは、ベルグアースとサカタのタネの業務提携の一環です。
トルコギキョウビジネスの成長と苗の供給基盤の強化、そしてベルグアース社の事業展開としての花苗の追加、という共通の目標に基づいて今回の業務提携・事業譲渡が実現しました。
サカタのタネの花の品種開発と苗の生産技術、ベルグアース社の広範な育苗技術と生産力を組み合わせることで、質の高い効率的な花苗の生産を促進する狙いです。
具体的な方針として、ベルグアース社はサカタのタネの子会社である長野セルトップ社の技術とノウハウを継承し、トルコギキョウ苗の生産を安定させ、その規模を増やす計画です。
今後は、トルコギキョウを中心に技術の移転を進め、ベルグアース社との協力をさらに強化するとしています。
参考:ベルグアースによるサカタのタネの花苗事業のM&A
日比谷花壇が小田急ランドフローラをM&Aした事例
2019年1月、日比谷花壇が小田急ランドフローラの全株式を取得することに成功しました。
日比谷花壇は、約200の直営店とオンラインストアを展開し、花や緑の魅力を提供して、人々や地域のつながりを深めている企業です。
一方、今回子会社化した小田急ランドフローラは、小田急沿線においてフラワーショップ「小田急フローリスト」「Reconnel」の運営、造園事業等を営んでいる企業です。
日比谷花壇にはない事業基盤を有しており、東京都・神奈川県の沿線地域の顧客を中心として高い信頼と支持を受け、地域に根ざした活動を行っています。
2019年3月付で、小田急ランドフローラの商号変更が行われ、日比谷花壇の子会社として活動を開始しました。
日比谷花壇はこれによって、小田急エリアでのサービス向上を図り、日比谷花壇グループのなかで造園事業分野を手掛ける日比谷アメニスと連携し、よりよいサービスの提供を目指しています。
参考:日比谷花壇による小田急ランドフローラのM&A
ビューティ花壇が花門フラワーゲートをM&Aした事例
2019年1月、ビューティ花壇が花門フラワーゲートを子会社化することに成功しました。
ビューティ花壇は、生花のビジネスを軸に拡大してきました。しかし、花業界は急速に変化し、今後の競争が厳しさを増していることが予想されます。競争に勝つため、効率的なコスト構造と売上の増加が重要なポイントとなります。
この背景から、中期の経営戦略として売上の増加、物流の改善や事業の拡大を目指しています。
花門フラワーゲートの事業範囲(生花の販売やデコレーション、植物のレンタル、造園など)と、ビューティ花壇の連携を深めることで、双方の事業の拡大や業務効率化、さらには店舗の展開を中心にすることが可能となります。
この協力関係を通じて、競争に強い商品や企画の提供が期待できると説明しています。
参考:・ビューティ花壇による花門フラワーゲートのM&A
ユニバーサル園芸社が園芸ネットを子会社化した事例
2018年8月、ユニバーサル園芸社は園芸ネットを子会社化しました。
株式会社アーキネットが園芸ネット事業を承継させるために会社分割(新設分割)によって新設した会社である園芸ネット株式会社の株式を取得するかたちで子会社化しています。
ユニバーサル園芸社は、国内外で植物のレンタルや園芸商品の販売を行っており、一部オンライン販売も手掛けている企業です。
インターネットの普及により、オンライン市場が拡大する中、事業を成長させるため、オンライン園芸販売のパイオニアである園芸ネット株式会社をグループに加えました。
これにより、グループ全体での事業のシナジー効果を生み出し、市場のさらなる拡大を目指しています。
参考:ユニバーサル園芸社による園芸ネットの子会社化
4. 花屋・園芸店のM&Aの流れ
M&Aは、企業の成長や事業展開のための戦略の一つです。
花屋や園芸店の場合も、効率的なM&Aを進めるための一連の流れがあるので確認していきましょう。
専門家の選定と契約
M&Aの成功には専門家の選定が不可欠です。市場調査や評価、法務対応を専門とするコンサルタントや弁護士を選定し、契約を締結します。
このステップでは、自社のニーズや目的に合った専門家を見極めることが重要です。適切なアドバイスやサポートを受けることで、M&Aの成功確率を高めることが期待できます。
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売却先の選定
売却する側としては、適切な売却先を見つけることが必要です。業界の動向、競合他社の動き、売却先の財務状況などを詳細に調査し、最も条件の良い企業を選定します。
ここでは、相手の事業戦略や企業文化も考慮に入れ、長期的な視点での合致を見極めることが求められます。
仲介業者に依頼することで売却先を探す手間をかなり省くことができます。
売却先との交渉
売却先が選定されたら、具体的な交渉が始まります。
交渉に臨む場合には、以下のポイントについて特に注意してください。
【関連】M&Aにおける交渉の内容とポイント!成功例や失敗例もご紹介
秘密保持契約の締結
まず、両社間での情報共有を安全に行うための秘密保持契約を締結します。この契約は、情報漏洩のリスクを低減し、安心して詳細な情報を交換できるようにするものです。
M&Aの情報が漏れると、様々なステークホルダーへの対応が求められます。できるだけスムーズに進行させるためには、言わずとも良いことまで公開する必要はありません。
基礎情報の開示
秘密保持契約締結後、基礎情報の開示が行われます。
事業の現状や財務状況、従業員情報など、M&Aの判断に必要な情報が相互に提供されます。
トップ面談・基本合意の締結
主要な役員同士の面談を経て、基本的な合意が得られれば基本合意書を締結します。
この文書は、M&Aの大まかな方針や条件を記載したもので、正式な契約に先立つ初めの合意点を明確にします。
最終交渉と最終契約
基本合意をもとに、さらに詳細な交渉を進めます。
最終的な価格や取引条件、将来の経営方針などを詰めていき、すべての条件が揃った時点で正式な契約書を作成、締結します。
クロージング
M&Aの最終ステップは、クロージングです。
ここで入金が完了し、正式に事業の譲渡が成立します。クロージングまでの全てのプロセスが円滑に進められるよう、十分な準備と計画が必要です。
5. 花・園芸店でM&Aを行う際の注意点
M&Aは、企業が成長を目指す手段として注目を浴びていますが、その一方で多くの注意点やリスクが存在します。
特に、花・園芸店のような特定の業種においては、一般的なM&Aとは異なる特有の問題点も考慮する必要があります。
希望通りの売却先が見つからない可能性もある
花・園芸店は、一般的なリテールビジネスとは異なり、独特の商品知識や顧客層、季節性などの特性があります。そのため、理想的な売却先を見つけるのは容易ではありません。
希望する売却先の条件や経営方針が完全にマッチする企業を見つけるのは難しく、妥協点を見つけるプロセスが必要となることも考えられます。
このような背景から、事前の市場リサーチや業界の専門家の意見を取り入れることで、適切な売却先を見つける手助けを受けることが推奨されます。
適正な売却価格を把握する
売却する際の価格は、M&Aの成功を左右する非常に重要な要素です。
花・園芸店の場合、店舗の立地やブランド価値、顧客層、現在の売上・利益など多岐にわたる要因を考慮して価格を設定する必要があります。
また、業界特有の季節性やトレンドも影響するため、適切な価格を把握するためには十分な情報収集と分析が求められます。
過度に高い価格を設定すると、売却が難しくなる一方、低すぎる価格では十分な価値を得られません。
適切な価格設定のためには、専門家の意見や評価を参考にすることが有効です。
6. 花・園芸店社のM&A・事業譲渡まとめ
花・園芸業界のM&Aおよび事業譲渡は、市場の変動や急激なトレンドの変化に迅速に対応する手段としての役割を果たしてきました。
競争が激化する中で、多くの企業は業務の効率化や市場シェアの確保を目指し、他の企業や事業を取得・統合することで、新しい技術やノウハウの獲得を図っています。
このようなM&Aの主なメリットとしては、経済的スケールのメリット、新市場や顧客への拡大、そしてリスクの分散が挙げられます。
一方で、企業文化の違いや経営方針の不一致など、統合に伴う課題やリスクも無視できません。
したがって、花・園芸業界におけるM&Aや事業譲渡を成功させるためには、戦略の明確な策定と、可能なリスクの洗い出しとその対策が不可欠です。
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