内装工事業界のM&A動向!売却・買収事例9選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

内装工事業界では、後継者不足や人材不足の解決や経営の安定化などの目的でのM&Aが盛んに行われるようになってきました。この記事では、内装工事業界でM&Aを行うメリットや実際にM&Aに成功した事例、成功のポイントなどについて解説します。

目次

  1. 内装工事業界の概要と動向
  2. 内装工事業界のM&A動向
  3. 内装工事会社をM&Aで売却するメリット
  4. 内装工事業界のM&Aの成功のポイント
  5. 内装工事業界の売却・譲渡の相場
  6. 内装工事会社のM&A・買収・売却事例9選
  7. 内装工事業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 内装工事業界の概要と動向

建設業界では人手不足や後継者不足などが大きな問題となっています。内装工事業界でも若い人が入ってこなくて職人の高齢化が進み、将来的に会社を続けられるかどうか不安を感じている経営者も多いようです。

そのような中で、内装工事業界にもM&Aによる会社の生き残りを模索する動きが活発化しています。この記事では、内装工事業界の動向について解説した後で、この業界でのM&Aの状況について詳しくみていきましょう。

内装工事業界とは

内装工事とは、建物の内部を仕上げる工事のことです。建物内部の壁、床、天井の表面に木材や石膏ボード、壁紙、たたみ、カーペットなどを貼ったり、間仕切りを作ったりすることが主な仕事です。

内装工事業界の市場規模と動向

NIKKEI COMPASSによると、建物内の内装工事を含めた住宅リフォームや修理全般の受注額は前年比1.2%減の11兆5,545億円でした。

内訳を見ると、店舗やオフィスなどの非住宅系の内装工事全般は前年比4%減の7兆6,344億円、住宅系は前年比4.6%増の3兆9,200億円です。

内装工事は、リフォームに欠かせないものです。景気が良いときには新規物件の工事が、景気が悪いときにはリフォームの需要が伸びるので、比較的景気に左右されずに今後もコンスタントに受注が見込める分野でしょう。

参考:NIKKEI COMPASS「リフォーム・内装工事・修理

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2. 内装工事業界のM&A動向

内装工事業界は、新築住宅の需要が頭打ちになったことを受けて、今後需要が増加するリフォームに対応できるようにするための、建設会社の内装工事専門会社の買収が進んでいます

今後は、自社だけで一貫して業務を行えるようにしたい会社や、グループ会社で内装工事まで請け負えるようにしたい大手グループ会社での、M&Aによる内装工事会社の買収が行われていくでしょう。

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3. 内装工事会社をM&Aで売却するメリット

内装工事会社をM&Aで売却するメリットをみていきましょう。

売却益の獲得

内装工事会社をM&Aで売却すれば、経営者は売却した利益を手に入れることができます。もしも、会社を売却せずに廃業にした場合には、機材の処分や従業員の退職金などのコストを負担しなければいけません。

一方、M&Aでの売却に成功すれば、コストの負担なしに売却した利益を獲得できます。その利益は、経営者の引退後の生活費や、新しく立ち上げる事業の資金などに活用可能です。

後継者問題の解決と従業員の雇用の継続

後継者がいないことから廃業を考えている内装工事会社の経営者も多いのですが、もしも廃業してしまったら従業員は全員解雇せざるを得ません。会社を支えてきてくれた職人が路頭に迷ってしまうかもしれないのです。

M&Aで会社を売却することができれば、跡継ぎがいなくても会社を廃業せずに存続させることができます。従業員も継続して雇用し続けることが可能です

個人保証や担保などの解消

会社を経営する上では、銀行などからの借入金には経営者本人の個人保証や担保が必要となります。

M&Aで会社を売却すれば、債務も買収側に引き継がれるので、経営者は個人保証や担保を解消することが可能です

会社の売却後に引退するのであれば、債務の心配をせずに、売却利益で安定した生活をおくることもできるでしょう。

事業基盤の強化と成長

M&Aでは、現在の会社の体制を維持したまま、大手企業の傘下に入って社長が経営を継続する場合もあります。大手企業の傘下に入った場合には、受注や調達などで大手企業のチャネルを活用できるようになるので、売上を増やせたり、同じ資材を安く入手できるようになるでしょう。

また、グループ会社との横の繋がりもできるので、グループ内での技術協力などのシナジーも見込めます。事業基盤の強化と成長が期待できるというメリットがあります。

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4. 内装工事業界のM&Aの成功のポイント

M&Aにより売却を希望しても、4割程度の成功率だといわれています。実際には、売却することは難しいのが現状です。その中で、実際に売却を成功させた内装工事会社は何が違ったのでしょうか。内装工事会社の売却を成功させるためのポイントを解説します。

他社と違う強みをアピールする

現在、内装工事会社には他社にはない強みが求められています。独自技術やその会社ならではのサービスがあると売却する時のアピールポイントになります。他社と比較した場合の、自社の強みとなる部分をしっかりと確認しておきましょう。

売却のタイミングに気をつける

M&Aは売却のタイミングが重要です。自社の状況や市場の状況をしっかりと見極めて、売却時期をしっかりと見計らいましょう。

タイミングがわからない場合には、M&Aの専門家に相談すれば、M&A市場の状況を分析して、今後のスケジュールの目安なども一緒に考えてくれます。

従業員の年齢

会社を売却するタイミングの目安の一つが、従業員の年齢です。若くて今後も定年まで年数が十分にある職人が多い会社は売却しやすいでしょう。

反対に、定年まで数年しかない高齢の職人が多い会社の売却は難しいのが現状です。

経営状態

経営状態が悪い会社は売却を希望してもなかなか買い手が付きません。経営状態が不安定であったり、将来の見通しがわからないような会社では売却が難しいでしょう。

現在、赤字であっても、将来的なビジョンが明確で、今後の成長が確実に見込める場合には買い手が付きます。

内装工事会社の売却は、経営状態が良い時から準備を始めたほうがいいでしょう。

専門家に相談する

内装工事会社をM&Aで売却したいと考えたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。日本には、中小企業のM&Aを専門的に扱う専門家がいます。

会社の今後を考える上で、M&Aでの売却が最善なのかどうか、というところから丁寧に相談に乗ってくれて、複雑なM&Aの手続きもサポートしてもらえるでしょう。

専門家に相談せずに経営者自らの判断だけでM&Aを進めてしまうと、M&Aに対する知識や経験の不足から、M&Aの経験豊かな大手企業の言い値で買い叩かれてしまう可能性があります

適正価格での売却を実現するためにも、まずは専門家への相談から始めましょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
 

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5. 内装工事業界の売却・譲渡の相場

M&Aによる会社の売却を希望する経営者にとって気になるのは売却相場でしょう。売却相場は会社の規模や内容などによって変わるので一概にはいえません。

内装工事会社の場合は、地元密着の内装工事会社は買収したいという企業が多いので、複数の候補から条件に合うところを選ぶことができるでしょう。

まずは仲介会社への問い合わせや簡易シュミレーターの活用などをおすすめします。

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6. 内装工事会社のM&A・買収・売却事例9選

内装工事会社でM&Aでの売却や買収に成功した事例を紹介します。

東宝がシコーを孫会社化した事例

2021年11月に、東宝株式会社から、同社連結子会社である東宝ファシリティーズ株式会社が、株式会社シコーの全株式を取得して子会社化(東宝株式会社にとっての孫会社化)するM&Aを実施したことを発表しました。

東宝ファジリティーズは、清掃、設備管理、警備、建設といった総合ビルマネジメント業を展開する会社です。

シコーは特に商業施設の内装工事管理業務に強みのある内装工事会社です。

このM&Aにより、東宝ファシリティーズの建設事業の拡大と、両社の技術力や営業力を強化するためのシナジーを実現していきたいとしています。

参考:東宝株式会社「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

オカムラがDB&B Holdings Pte. Ltdを子会社化した事例

2021年9月に、株式会社オカムラから、シンガポールに本社のあるDB&B Holdings Pte.Ltd社の発行済株式の70%を取得して子会社化するM&Aが発表されました。

オカムラは、家具や産業用機器の製造を行っている大手メーカーです。DB&B Holdings Pte.Ltd社は、シンガポールを拠点として中国やフィリピンにも展開する中堅のオフィス向けデザイン・内装会社です。

オカムラとしては、中国、ASEAN市場を重点市場として取り組んでおり、このM&Aによってデザイン・内装分野での中国・ASEAN市場におけるオフィス家具のニーズを把握し、製品の開発・販売に活かせるとしています。

参考:株式会社オカムラ「DB&B Holdings Pte.Ltdの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

OCHIホールディングスがアイエムテックを子会社化した事例

2020年7月に、OCHIホールディングス株式会社から、株式会社アイエムテックの自己株式を除く発行済み株式を取得して連結子会社化するM&Aが発表されました。このM&Aにより、OCHIホールディングスはアイエムテックの発行済株式の60%、議決権の100%を取得します。

OCHIホールディングスは、建材や住宅設備機器の卸売を主要な事業として、建材事業、加工事業、環境アメニティ事業、その他事業を展開しています。

アイエムテックは広島市に本社がある、マンションやオフィスビルの内装工事を手掛ける会社です。

このM&Aにより、OCHIホールディングスとしては、中国地方における事業拡大を図るとともに、グループシナジーを追求していくとのことです。

参考:OCHIホールディングス株式会社「株式会社アイエムテックの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

エー・ディー・ワークスが澄川工務店を子会社化した事例

2019年6月に、株式会社エー・ディー・ワークスから同社の子会社である株式会社エー・ディー・デザインビルドが、株式会社澄川工務店の全株式を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。

エー・ディー・ワークスは不動産事業などを展開している会社で、子会社であるエー・ディー・デザインビルドでは、グループ内の建設部門です。

澄川工務店は東京多摩地区や神奈川城南地区で30年以上、内装工事を中心に事業展開してきた会社です。

以前から、エー・ディー・ワークスとの取引があり、相互に強い信頼関係が構築されています。このM&Aにより、エー・ディー・ワークスグループの建設部門の施工能力の向上が期待できるとのことです。

参考:株式会社エー・ディー・ワークス「当社グループ企業による株式の取得(子会社化)のお知らせ

タマホームが玉之家(天津)環境技術有限公司を譲渡した事例

平成31(2019)年4月に、タマホーム株式会社が玉之家(天津)環境技術有限公司の全ての株式を譲渡して、特定子会社ではなくなったことを発表しました。

タマホームは木造住宅の注文建築を主に行っている住宅メーカーです。玉之家(天津)環境技術有限公司は、タマホームが2013年に中国に建設工事のコンサルティングなどを行うために設立した会社です。

株式譲渡の理由などの詳細は公表されていません。

参考:タマホーム株式会社「臨時報告書

日本創発グループがササオジーエスを子会社化した事例

平成31(2019)年2月に、株式会社日本創発グループから、株式会社ササオジーエスの全株式を取得して完全子会社化するM&Aを発表しました。

日本創発グループは印刷やITメディア、セールスプロモーション、プロダクツ事業などを展開している会社です。

ササージーエスは独自の色にこだわった内装工事を行い、設計から製作、施工までをワンストップで行う会社です。

このM&Aにより、日本双発グループはササオジーエスが持つ大判加工、施工体制を拡充することが可能になるとのことです。

参考:株式会社日本創発グループ「株式会社ササオジーエスの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

イトーキがTarkus Interior Pte Ltdを子会社化した事例

平成28(2016)年11月に、株式会社イトーキから、シンガポールの内装会社Tarkus Interior Pte Ltdの発行済株式の過半数を取得して子会社化するM&Aが発表されました。

イトーキは日本の老舗家具メーカーですが、近年はオフィスや公共施設などの空間づくり事業も展開しています。

Tarkus Interior Pte Ltdはシンガポール国内で、オフィスや店舗などの内装工事を中心に展開している会社です。

このM&Aにより、海外市場への本格的な展開を図っているイトーキが、シンガポールのローカル市場への参入が可能になるとしています。

参考:株式会社イトーキ「シンガポール内装工事会社Tarkus Interior Pte Ltdの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ヒビノが日東紡音響エンジニアリングを子会社化した事例

平成27(2015)年3月に、ヒビノ株式会社から、日東紡音響エンジニアリング株式会社の全株式を取得して完全子会社化するM&Aが発表されました。

ヒビノは、「音」と「映像」、「販売」と「サービス」に関するプロ用のAV&ITに関する事業をマトリックスに展開しています。

日東紡音響エンジニアリングは、建築音響工事の設計や請負を主に行っている会社で、放送局や劇場などからの高い信頼を得ています。

このM&Aにより、両社の強みを相互に活用できるようになり、より価値の高いソリューションの提供が可能になるとしています。

参考:ヒビノ株式会社「日東紡音響エンジニアリング株式会社の株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

テンポスバスターズがハマケンを株式譲渡した事例

平成23年2月に、株式会社テンポスバスターズから、同社が保有している株式会社ハマケンの全株式を、ハマケンの代表取締役である清水進氏に譲渡するM&Aが発表されました。

テンポスバスターズは、国内最大級の中古厨房機器販売会社で、飲食店の開業や経営を多方面からサポートしています。株式会社ハマケンは、横浜市を中心に展開する内装工事会社です。

平成18年に相乗効果を見込めるということで、テンポスバスターズはハマケンの株式を取得しましたが、期待したほどの効果を得ることができませんでした。

さらに、経営環境が厳しくなる中で、テンポスバスターズとしては事業の選択と集中に迫られており、ハマケンの株式を譲渡することになりました。

参考:株式会社テンポスバスターズ「株式会社テンポハンズの株式の取得(子会社化)及び 連結子会社の異動(株式譲渡)及び連結子会社に対する債権放棄及び 特別損失の発生に関するお知らせ

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7. 内装工事業界のM&A・事業譲渡まとめ

内装工事会社でも、経営者の高齢化や人手不足問題で、会社の将来が危ぶまれるところが増えています。

会社の将来に不安を感じてるのであれば、従業員を露頭に迷わせないためにも、また、せっかく培ってきた技術やノウハウを継承していくためにも、M&Aでの売却という選択肢もぜひ検討してみましょう。まずは専門家への相談から始めることをおすすめします。

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