2024年06月26日更新
居酒屋のM&A・売却・買収の現状は?実施理由や案件例から相場も紹介!
本記事では、居酒屋業界の現状や過去に行われた居酒屋におけるM&A・売却・買収の事例を紹介します。その他にも、居酒屋のM&Aを成功させるポイントや居酒屋業界のM&A動向、費用や相場などもあわせて解説します。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 居酒屋業界を取り巻く現状
近年の居酒屋業界は以下のような現場となっています。
- 宴会需要が低迷
- 若者のアルコール離れ
- アジアをターゲットにした出店
- のれん分け制度の活用
- 外食企業によるM&A
①宴会需要が低迷
若者や企業による大人数の宴会が減っており、団体による急な予約キャンセルが増加しているために、居酒屋の収益は影響を受けています。
居酒屋運営各社は、団体向けサービスや予約キャンセル対策を行っていますが、まだ十分な成果は挙がっていません。
②若者のアルコール離れ
宅飲みをする若者や、そもそもお酒をほとんど飲まない若者が増えた点も、居酒屋の収益に影響を与えています。
国税庁課税部の「酒のしおり」によると、成人1人当たりの酒類消費量はここ30年の間に2割程度減少しており、習慣的に飲酒する人の割合が低下しています。
そのため、若者の居酒屋離れを止めるために、若者でも飲みやすいお酒の開発やノンアルコール酒の普及が進み、若者向けのコンセプトを打ち出した居酒屋も増えています。
③アジアをターゲットにした出店
日本料理や居酒屋形式の酒場が海外で人気ですので、大手の居酒屋運営企業各社は海外での居酒屋出店を進めています。最近では、特にアジア圏への参入が相次いでいます。
④のれん分け制度の活用
フランチャイズ(のれん分け)制度の活用は、居酒屋業界定番の事業拡大方法として、今でもさまざまな居酒屋運営企業が取り入れています。
近年は、フランチャイジーが有利となるような、独自ののれん分けシステムを導入する居酒屋関連企業も増え、以前よりも少ないリスクでオーナーになれるようになりました。
⑤外食企業によるM&A
近年の傾向として、外食業界の他業態企業がM&Aにより、居酒屋運営企業を買収するケースが見られます。大手・中堅の外食企業は多業態化・地域差別化を進めており、特定の業態で全国に広げていくビジネスモデルは減りつつあります。
FC(フランチャイズ加盟店)の事業譲渡・事業売却については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
2. 居酒屋業界でM&Aが実施される2つの理由
①同業他社との競争力を強化するため
同業者同士でのM&Aの大きなメリットは、同業他社との競争力が強化されることが挙げられます。
例えば、ノウハウやサービス体制をはじめ事業エリアなどを活用することができるため効率的に事業拡大ができます。近年は特に居酒屋業界は競争力が激化していますのでM&Aが盛んになっています。
②経営改善のため
事業展開を図る以外に、経営を改善するためにM&Aが行われるケースもあります。
大手企業より中小企業の方が経営難に陥りやすく、特に居酒屋業界は収益化までの道のりが長いことで知られています。経営が悪化してしまう恐れがあるためM&Aで経営改善を図るケースが増えています。
3. 居酒屋業界におけるM&Aの相場と費用
個人事業主がその店舗だけで運営している居酒屋をM&Aによって取得する場合、その取引相場は100万円~250万円程度とされています。一方、大手のチェーン展開しているような居酒屋の場合のM&Aでは、取引価格も数十億にのぼるでしょう。
居酒屋のM&A取引価格を決定する要素として、売上高・ブランド力・店舗数(チェーン展開店舗数)・設備などが挙げられます。自社・自店舗の状況と類似する事例を参照すれば、取引価格をある程度推定できます。
具体的には、事例ごとに、M&Aの目的・M&A当事者の規模・対象事業の内容・お店の業績・従業員やスタッフの数、M&A手法などを確認しましょう。売上高と資本額が把握できる場合は把握すると、取引額をより厳密に推定できます。会社や事業を引受ける場合、株主資本の額が一定の目安となるからです。
ただし、公開会社の場合にはこの限りではありません。
4. 居酒屋業界でM&Aを行うメリット
居酒屋業界において、チェーン展開していない中小企業・自営業者が生き残るためには、M&Aを有効に活用しなければなりません。
居酒屋業界は、参入障壁が高くない業界なので、新陳代謝によって出入りの激しい業界です。大資本を持つ企業の参入も盛んに行われており、競争の激しい業界であるといえます。
そのような居酒屋業界において、M&Aを行うメリットを説明します。
売却側のメリット
中小企業や自営業者における居酒屋事業の売却は、買収側の企業のブランド力を生かしたり、資金力を増大させたりするメリットがあります。
有名企業の傘下に入れば、その会社が持つブランド力を使って商売ができるようになり、また、仕入れも安定するなど多くのメリットがあります。
買収側のメリット
買収側のメリットとしては、M&Aを通じて業容や売上規模を拡大できる点にあります。事業エリアやサービス体制を生かしながら、財務基盤を強化でき、また、競争力やブランド力の強化が可能です。一定のエリアのシェア拡大を目指して、ドミナント戦略を採用するときにもM&Aは有効です。
5. 居酒屋のM&Aを行う際におすすめの相談先
居酒屋のM&Aを行う際は、以下の会社や機関に相談できます。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイトへの登録
①M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aを専業としているので、自社で一貫したサポートを行えます。ただし、多くのM&A仲介会社があるので、自社に適したところを選んでください。無料相談を実施する仲介会社がほとんどなので、まずは相談してみましょう。
②地元の金融機関
地元のメインバンクであれば、自社をはじめから知っているので、相談しやすいメリットがあります。ただし、地方金融機関の多くは、提携先の専門家にM&A仲介を依頼します。
提携先などに振り回されず、一貫したM&Aサポートを受けるのであれば、独立系の仲介会社に直接依頼するのが最適な方法です。
③地元の公的機関
各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターなどの公的機関も、相談のしやすさがメリットです。ただし、地方金融機関と同じく、公的機関も提携先の専門家に紹介する形なので、しがらみなく自社に最適な専門家を探すのであれば、直接仲介会社を選ぶ方法が最適です。
④地元の会計士・税理士・弁護士など
会計士・税理士・弁護士などの士業専門家は、得意分野が明確な点が強みです。その代わり、M&Aは多くの分野に渡って専門知識が必要なので、特定分野に特化した士業専門家は、仲介会社などと提携してともにサポートを行う必要があります。
自社に合った仲介会社を紹介してもらえるかわからないので、結局は自身で最適な仲介会社を選ぶケースがあります。
⑤マッチングサイトへの登録
近年は中小企業・小規模事業者もM&Aを積極的に行うケースが急増しています。理由の1つに、マッチングサイトの高品質化があります。近年マッチングサイトの信頼性が向上し、利用料も低価格化が進むでしょう。
M&A総合研究所のマッチングサイトは、AIによるレコメンドシステムの導入などの独自サービスを展開しています。
6. 居酒屋のM&A最新事例19選
ここからは、最新の居酒屋のM&A事例をご紹介します。
海帆によるBOBS及びワイデンのM&A
2024年4月、海帆はBOBS及びワイデンのM&Aを行いました。
海帆は、居酒屋を主軸とした飲食店舗の企画や運営を行っています。対象会社のBOBSは、医療機関の経営管理、資産管理、経営コンサルティングを展開しています。また、ワイデンは、医療機関の経営、運営、財務などのコンサルティングを行っています。
今回のM&Aにより、海帆による新規事業拡大として、医療分野専門の集客業務支援を行います。
ダイナックホールディングスによるRESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCのM&A
ダイナックホールディングスによるRESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCのM&Aです。
2019年12月に、パブレストラン・居酒屋・バーを中心に多彩な飲食業態の創造を行っているダイナックホールディングスは、RESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCを株式譲渡により、子会社化しました。
RESTAURANT SUNTORY U.S.A.,INCは、サントリーが展開しているレストランサントリーの一つであり、経営するレストランサントリーホノルル「燦鳥」は、ワイキキにある高級和食レストランです。
ダイナックホールディングスは、「燦鳥」の経営を行って、さらなる同店のオペレーション力の向上と事業基盤の安定・強化、収益アップを見込んでいます。
フジオフードシステムによる暮布土屋のM&A
フジオフードシステムは、石臼挽き手打蕎麦専門店「土山人」を運営する暮布土屋を2019年11月に買収しました。
買収側である「まいどおおきに食堂」「神楽食堂 串家物語」「手作り居酒屋 かっぽうぎ」「つるまる」を中心とした飲食事業等を幅広く展開しているフジオフードシステムは、今回の買収を通して、業容を拡大するのに成功しました。
フジオフードシステムは、過去にも、「はらドーナッツ」「どん」「サバ6製麺所」「グレートイースタン」などをM&Aを通じて取得していて、業容と出店エリアを拡大してきた経緯があります。今回の買収もその一環です。フジオフードシステムは今回の買収で蕎麦業態にも事業を展開できるようになりました。
フジオフードシステムは、立地に合わせた幅広い出店や主力業態への波及、さらには将来における事業の一つの柱とすべく事業のさらなる展開を目指しています。
なお、フジオフードシステムは、2020年に持株会社体制へと移行しており、フジオフードグループ本社へ商号が変更されています。
チムニーによるシーズライフのM&A
チムニーは、2019年11月に、都内を中心として焼肉「牛星」などを展開しているシーズライフの全株式を取得して子会社化するのに成功しました。これによって、チムニーは、焼肉事業へと業容を拡大しています。
もともと、チムニーは、「はなの舞」「さかなや道場」「魚鮮水産」などを直営およびフランチャイズチェーン展開している企業です。地産地消・地産店消を推進しています。
一方、シーズライフは、買収当時、東京都・埼玉県・香川県に焼肉「牛星」を8店舗、焼肉「山河」を2店舗を運営しており、福井でとれた海の幸・山の幸・地酒などの福井の食文化を提供する居酒屋「熟成魚うらら」1店舗を都内で運営していました。
チムニーは、肉の嗜好性の高まりと食事需要に対して焼肉業態を運営するシーズライフを買収して、今後、多店舗展開を目指しています。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるいっちょうのM&A
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるいっちょうのM&Aです。
2019年9月に、居酒屋など多業態の飲食店を展開するクリエイト・レストランツ・ホールディングスは、北関東を中心に和食レストランや居酒屋チェーン店を経営するいっちょうを、株式譲渡により子会社化しました。
立地に合わせたブランドの多様化を図っているクリエイト・レストランツ・ホールディングスは、いっちょうをグループに加えて競争力の強化を進めています。
SFPホールディングスによるクルークダイニングのM&A
SFPホールディングスによるクルークダイニングのM&Aです。2019年5月に、クリエイト・レストランツHDの子会社で「磯丸水産」などの居酒屋ブランドを保有するSFPホールディングスは、長野県で複数の飲食店を展開するクルークダイニングを、株式譲渡により子会社化しました。
これにより、SFPホールディングスは、クルークダイニングへ自社ブランドの運営委託や、ノウハウ提供による成長支援を行っています。
梅の花によるテラケンのM&A
2019年3月、梅の花は、関東地方を中心に「さくら水産」ブランドで居酒屋をチェーン展開し、関東や大阪、愛知で約40店舗を展開するテラケンの買収に成功しました。テラケンは、海鮮系居酒屋の草分け的存在の企業です。
梅の花は、テラケンの子会社化によって、購買や物流面でのシナジー効果を見込むとともに、組織の活性化につながり将来のグループの事業基盤の拡大に資するとしています。
SFPホールディングスによるジョー・スマイルのM&A
SFPホールディングスによるジョー・スマイルのM&Aです。2019年1月に、SFPホールディングスは、熊本県で居酒屋をはじめ多業態の飲食店を展開するジョー・スマイルを、株式譲渡により連結子会社化しました。
これにより、ジョー・スマイルは、SFPホールディングスのブランドや自社ブランドを九州一円に拡大していく計画です。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによる木屋フーズのM&A
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによる木屋フーズのM&Aです。2019年1月に、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、東京都内でうどん・そば店「銀座木屋」を経営する木屋フーズを、株式譲渡により連結子会社化しました。
これにより、クリエイト・レストランツ・ホールディングスはブランドの多様化と専門化をさらに押し進めています。
石垣食品によるエムアンドオペレーションのM&A
石垣食品によるエムアンドオペレーションのM&Aです。2019年1月に、水出し麦茶やビーフジャーキーなどを製造する石垣食品は、居酒屋・焼肉店・チーズ料理店など、多業態の飲食店を展開するエムアンドオペレーションを、株式譲渡により子会社化しました。
石垣食品は主力の飲料・珍味事業で苦戦が続いているので、インターネット通販事業参入やワインバーの開店などを行っています。
石垣食品は飲食店ノウハウの豊富なエムアンドオペレーションの子会社化により、事業領域の拡大や事業成長を見込んでいます。
トリドールホールディングスによるシンガポールのカレー店運営会社へのM&A
トリドールホールディングスによるシンガポールのカレー店運営会社へのM&Aです。
釜揚げうどん店「丸亀製麺」をはじめ、居酒屋やレストランなど多業態展開を行うトリドールホールディングスは、2018年11月、シンガポールの人気カレー店運営企業「MC GROUP PTE.LTD.」に出資し、グループ化しました。
トリドールホールディングスはこれを足がかりに、シンガポールで飲食店を展開させていく計画です。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによる米国の和食レストランのM&A
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによる米国日本食レストランのM&Aです。2018年11月クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、米国子会社を通して、ニューヨークの和食レストラン「炙り屋錦乃介」と「蕎麦鳥人」を取得しました。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、ニューヨークの人気和食店を取得して、米国での飲食店事業基盤を固めています。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるはしもとのM&A
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるはしもとのM&Aです。
2018年11月、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、北海道でそば店やそば・天ぷら居酒屋を展開するはしもとを、株式譲渡により子会社化しました。
これにより、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、北海道でのブランド展開を強化しています。
ジー・テイストによる湯佐和のM&A
ジー・テイストによる湯佐和のM&Aです。
2018年9月、全国で他業態・多店舗展開を行うジー・テイストは、神奈川県で寿司居酒屋・海鮮居酒屋を経営する湯佐和を、株式譲渡により子会社化しました。
湯佐和は地域密着型であり、地元漁港の買参権を持つので、ジー・テイストとさまざまなシナジー効果が期待できるとして本M&Aに至っています。
フジオフードシステムによるサバ6製麺所のM&A
フジオフードシステムによるサバ6製麺所のM&Aです。
2018年7月、大衆食堂や手作り居酒屋などを経営するフジオフードシステムは、ラーメン店「サバ6製麺所」を経営するサバ6製麺所の株式を90%取得し、グループ化しました。
フジオフードシステムとサバ6製麺所は、新店舗開店ペースを加速させ、海外出店も含めて早期の300店展開を図っています。
JFLAホールディングスによるドイツ小売店運営会社のM&A
JFLAホールディングスによるドイツ小売店運営会社のM&Aです。
「牛角」のエリアフランチャイズ本部運営、居酒屋のフランチャイズ運営をはじめとして他業態の飲食店経営を行うJFLAホールディングスは、2018年6月に子会社をつうじて、ドイツで日本の食材を扱う大洋食品を株式譲渡により子会社化しました。
ヨーロッパで日本食材を取り扱っているJFLAホールディングスは、本買収によりヨーロッパでのさらなる販路拡大を図っています。
日本KFCホールディングスとビー・ワイ・オーの資本業務提携
日本KFCホールディングスとビー・ワイ・オーの資本業務提携です。
2018年3月、日本KFCホールディングスは、和食居酒屋などを展開するビー・ワイ・オーの第三者割当増資を引き受ける形で資本業務提携を結びました。
日本KFCホールディングスとビー・ワイ・オーは、両社の経営理念や経営方針がシナジー効果を生み出すと判断し、資本業務提携に至っています。
JFLAホールディングスとスティルフーズの資本業務提携
JFLAホールディングスとスティルフーズの資本業務提携です。
JFLAホールディングスは、2018年2月にイタリアンレストラン・カフェ・ステーキハウスなどを展開するスティルフーズの第三者割当増資を引き受け、資本業務提携を結びました。
両社はこれまでも協業を行っており、さらに事業を拡充するためには関係強化が必要と判断し、資本業務提携に至っています。
J-STARによるセクションエイトのM&A
J-STARによるセクションエイトのM&Aです。
2018年1月、投資ファンドのJ-STARは、「相席屋」や「The Public Stand」を展開するセクションエイトの過半数株式を取得しました。
J-STARは、「相席屋」や「The Public Stand」の急成長が見込めるうえに、セクションエイトが今後重要な社会的役割を果たせると判断し、買収に至っています。
飲食店を売却・買取・譲渡については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
7. 居酒屋のM&Aを成功させる5つのポイント
居酒屋のM&Aを成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 計画的に準備を行う
- 自店舗の強みを明確にまとめる
- 譲れない条件をまとめておく
- 適切な売却方法を選定する
- M&Aの専門家に相談する
①計画的に準備を行う
居酒屋のM&Aは、相手との相性や売買タイミングなどのポイントを外すと、シナジー効果が得られないケースがあります。M&Aの専門家に相談しながら、戦略的に計画を立てるなどの対策が重要です。
②自店舗の強みを明確にまとめる
以前のように、買収した居酒屋を自社の色に染める手法は、下火になってきています。現在では、相手の特色を生かした店舗展開が人気となり、M&Aでも独自性が求められるようになっているため、自店舗の強みを明確にしておくのが重要です。
③譲れない条件をまとめておく
早く交渉をまとめたいあまりに条件を妥協してしまい、結果的にM&A後の統合に失敗してしまうケースは少なくありません。M&Aを行う前に、どこまで妥協できるか、譲れない条件は何かなどを明確にしておくのも重要です。
④適切な売却方法を選定する
M&Aにもさまざまな手法があり、同じ手法でも案件によって戦略は変わります。M&Aの専門家に相談しながら、自社に最適なM&A戦略を立てるのが成功させる秘訣ともいえます。
⑤M&Aの専門家に相談する
居酒屋業態や外食業界に精通したM&Aの専門家に相談して、3割から5割といわれる成功率を上げられます。実際に高い成約率を実現している仲介会社は多くあるので、依頼する前は比較検討するのも大切です。
8. 居酒屋のM&Aを行う際におすすめの相談先
居酒屋のM&Aを行う際は、以下の会社や機関に相談できます。
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイトへの登録
①M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&Aを専業としているので、自社で一貫したサポートを行えます。ただし、多くのM&A仲介会社があるので、自社に適したところを選んでください。無料相談を実施する仲介会社がほとんどなので、まずは相談してみましょう。
②地元の金融機関
地元のメインバンクであれば、自社をはじめから知っているので、相談しやすいメリットがあります。ただし、地方金融機関の多くは、提携先の専門家にM&A仲介を依頼します。
提携先などに振り回されず、一貫したM&Aサポートを受けるのであれば、独立系の仲介会社に直接依頼するのが最適な方法です。
③地元の公的機関
各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターなどの公的機関も、相談のしやすさがメリットです。ただし、地方金融機関と同じく、公的機関も提携先の専門家に紹介する形なので、しがらみなく自社に最適な専門家を探すのであれば、直接仲介会社を選ぶ方法が最適です。
④地元の会計士・税理士・弁護士など
会計士・税理士・弁護士などの士業専門家は、得意分野が明確な点が強みです。その代わり、M&Aは多くの分野に渡って専門知識が必要なので、特定分野に特化した士業専門家は、仲介会社などと提携してともにサポートを行う必要があります。
自社に合った仲介会社を紹介してもらえるかわからないので、結局は自身で最適な仲介会社を選ぶケースがあります。
⑤マッチングサイトへの登録
近年は中小企業・小規模事業者もM&Aを積極的に行うケースが急増しています。理由の1つに、マッチングサイトの高品質化があります。近年マッチングサイトの信頼性が向上し、利用料も低価格化が進むでしょう。
M&A総合研究所のマッチングサイトは、AIによるレコメンドシステムの導入などの独自サービスを展開しています。
9. 居酒屋のM&A・売却・買収のまとめ
本記事では、居酒屋のM&A事例やおすすめの仲介会社などをご紹介してきました。居酒屋のM&Aを行う際は、業界動向を把握して自社に合ったスキームを選択のうえ、戦略を立てて進めるのが重要です。
【居酒屋業界の現状】
- 宴会需要が低迷
- 若者のアルコール離れ
- アジアをターゲットにした出店
- のれん分け制度の活用
- 外食企業によるM&A
【居酒屋のM&Aの相談先】
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の会計士・税理士・弁護士など
- マッチングサイトへの登録
【居酒屋のM&Aを成功させるポイント】
- 計画的に準備を行う
- 自店舗の強みを明確にまとめる
- 譲れない条件をまとめておく
- 適切な売却方法を選定する
- M&Aの専門家に相談する
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