焼肉店業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

焼肉店業界では消費者の嗜好の変化や食材費の高騰などの激しい変化への対応が必須となっています。そのような中でM&Aを模索する動きも加速化しているようです。この記事では、焼肉店業界のM&Aの成功事例など、M&Aの動向について解説します。

目次

  1. 焼肉店業界の概要と動向
  2. 焼肉店をM&Aで売却するメリット
  3. 焼肉店のM&A・買収・売却事例5選
  4. 焼肉店業界のM&Aの成功のポイント
  5. 焼肉業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 焼肉店業界の概要と動向

日本で現在の形での焼肉店が広がり始めたのは1950年代ころだと考えられます。1950年代から60年代にかけて、日本人の牛肉消費量が急激に増加する中で、自分で肉を焼きながら食べられるという楽しさもあり、焼肉料理が広がり、今や日本人の国民食とまで言われるようになりました。

コロナ禍でも換気の良さから大きな打撃を受けなかったと言われている焼肉店業界ですが、グループやファミリーでの利用からカップルや一人での利用者が増加するなど、大きな転換点にあるといわれています。

この記事では、焼肉店業界の動向とM&Aについてみていきましょう。

焼肉店業界の概要

焼肉店は利用者の傾向が多人数での利用から少人数や1人手の利用へと変化が見られます。また、消費者の健康志向の高まりとともに、低カロリー、低脂肪のメニューが好まれる傾向もみられ、今までにはない対応が多くの店舗で求められるようになっているようです。

また、コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食業界の中でも、店内の換気の良さから感染リスクが低いということで、焼肉店業界は他の飲食店ほどのダメージを受けませんでした。このことから、新規出店が相次いでいて、競争も激化していて、人材不足も顕著になりつつあり、他の焼肉店だけでなく飲食店全般との競争が激化する傾向にあります

焼肉店業界の市場規模と動向

焼肉店業界の2021年から2022年にかけての業界規模は約1,000億円です。2019年までは増加傾向にありましたが、2020年には大幅な減収となっています。

そのような中でも、2021年から2022年の業界1位の物語コーポレーションは売上高732億円の達成です。2位のコロワイド、3位の安楽亭以下、大手の焼肉店が業績を落とす中で、物語コーポレーションはコロナ禍でも右肩上がりの成長を続けています。


参考:業界動向サーチ「焼肉業界の動向や現状、ランキングなどを分析

焼肉店業界のM&A動向

焼肉店業界では、出店増加による競争激化と、利用者層の変化や健康志向の高まりなどへの対応が求められる中で、M&Aにより活路を見出そうという動きが活発化しています

コロナ禍で打撃を受けた他の飲食店業態のチェーンが焼肉店を傘下に収めたり、スケールメリットを求めるために焼肉チェーン同士が統合したり、といったM&Aが実施されています。また、飲食店業界にもIT化やDX化が求められる中で、IT企業とのM&Aで新しい技術の導入を図る動きもあるようです。

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2. 焼肉店をM&Aで売却するメリット

焼肉店をM&Aで売却することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットについて解説します。

売却利益の獲得

M&Aで会社や事業を売却することで売却利益を獲得できるというメリットを得られます。会社を売却する場合には、経営者にその利益が入るので、引退後の生活費などに充てる事が可能です。

社内の焼肉店事業の業績が思わしくなく、他の部門の足を引っ張るような状態である場合には、焼肉店の展開を得意とする他社へ事業譲渡することで、社内のキャッシュフローの改善を図ることができます。さらに、売却利益も得られるので、新しい事業の立ち上げや、既存事業の改善などの資金にできるでしょう。

経営者のリスク回避

焼肉店に限らず、経営者は経営に対して個人的な保証を負っていることがほとんどです。また、事業の拡大や維持に経営者自らの私財を投じることもあるでしょう。

会社が万が一倒産してしまった場合には、経営者が大きな損失を負うことになります。しかし、M&Aで会社を売却すれば、経営者が負っていた保証なども譲渡されるので、経営者個人のリスクを無くすことが可能です

事業の拡大

M&Aで会社を売却した場合、売却された会社も買収側の会社もお互いのリソースを利用できるようになるでしょう。焼肉店の場合には、食材の仕入先や自社にはなかった調理法や宣伝方法のノウハウなどを、M&Aで会社を合併することでお互いに手に入れることが可能です

今までよりも効率的かつ安価に仕入れが可能なルートの確保や、新しい顧客を獲得できる宣伝方法などのノウハウを手に入れることで、事業をより拡大、発展させられる可能性が広がります。経営者はM&Aで会社を手放すことで経営権を失いますが、自分が育ててきた会社の発展や、従業員の今後がより充実することが期待できるでしょう。

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3. 焼肉店のM&A・買収・売却事例5選

あみやき亭がニュールックを子会社化した事例

2023年3月に株式会社あみやき亭が株式会社ニュールックのすべての株式を取得して子会社化するM&Aの実施を発表しました。

あみやき亭は愛知県春日井市に本社のある焼肉レストランチェーンで、中部・関東地区を中心に約250店舗を展開しています。株式会社ニュールックは神奈川県横浜市を中心として「野毛ホルモンセンター」など直営店19店舗、FC9店舗の焼肉、ホルモン、焼鳥業態で展開している会社です。

このM&Aにより、あみやき亭としては出店が少なかった横浜エリアへの進出の足掛かりにできるとしています。

参考:株式会社あみやき亭「株式会社ニュールックの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

チムニーがシーズライフを子会社化した事例

2023年2月にチムニー株式会社が株式会社シーズライフを吸収合併するM&Aを発表しました。チムニーが存続会社となり、シーズライフが消滅会社となります。

チムニーは「はなの舞」や「さかなや道場」などの居酒屋などの店舗を全国に300店舗以上展開している会社です。シーズライフは「焼肉牛星」を展開する会社で2019年にチムニーの子会社となっていました。

吸収合併することにより、「焼肉牛星」の特徴を活かしながらも、商品や店舗開発などをチムニーグループ内で一体化させることで、スピーディに顧客ニーズに応えられるようになるとしています。

参考:チムニー株式会社「連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

GFAが黒沼畜産から焼肉店「まっしぐら」を取得した事例

2021年8月にGFA株式会社から、GFAが51%出資する新会社であるGFA FOODS株式会社を設立して、黒沼畜産株式会社から焼肉店「まっしぐら」を事業譲渡されるM&Aが発表されました。

GFA株式会社は不動産会社向けの資金調達などの支援を行う独立系金融サービス会社です。コロナ禍からの回復で飲食業界の伸びが期待できることから、飲食業界への進出を考えていました。

焼肉店「まっしぐら」は上石神井駅前の好立地にある店舗で、長年の地元顧客も多く知名度もあることから、GFA株式会社が譲り受けることを決めました。

参考:GFA株式会社「新会社の設立及び事業譲受に関するお知らせ

木曽路が大将軍を子会社化した事例

2022年9月に株式会社木曽路が完全子会社であった株式会社大将軍を吸収合併することを発表しました。株式会社木曽路が存続会社となり、株式会社大将軍は解散します。

木曽路は全国に200店舗近くを展開している焼肉店チェーンです。株式会社大将軍は「大将軍」と「くいどん」を展開していましたが、2021年に木曽路の子会社となっていました。この吸収合併により、木曽路としては組織を一体化して意思決定の迅速化と浸透を図ることができるとしています。

参考:株式会社木曽路 「当社完全子会社の吸収合併に関するお知らせ

海帆が弥七から立ち食い焼肉「治郎丸」を取得した事例

2019年5月に株式会社海帆が、株式会社弥七から立ち喰い焼肉「治郎丸」を事業譲渡されるM&Aが実施されました。

海帆は大衆居酒屋など13業態91店舗(2019年現在)を展開している会社です。治郎丸は通常は飲食店を出せない小さな坪数で、坪売り200万円/月を達成することもある立ち喰い焼肉を展開しています。海帆にはない業態の治郎丸を傘下に納めることで、多様化する食事需要により対応できる店舗展開が可能となる見込みです。

参考:株式会社 海帆「事業譲受に関するお知らせ

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4. 焼肉店業界のM&Aの成功のポイント

焼肉店業界でM&Aを成功させるためにはどのような点に気をつけたらいいのでしょうか。

焼肉店に限らず、日本ではM&Aでの売却を希望しても、4割程度しか成功しないともいわれています。売却したいと思ったタイミングで確実に会社を売却するために必要なポイントを4つみていきましょう。

専門家に相談する

M&Aで会社や店舗を売却したいと考えたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。日本には、中小企業や個人経営の店舗のM&Aの相談に懇切丁寧に応じてくれる、M&Aの専門家がいます。M&Aをするべきなのか、他に会社や店舗を存続させる道はないのか、といったところから相談に乗ってくれるでしょう。

M&Aを決断したときには、専門的で複雑な手続きを最後までしっかりとサポートしてもらえます。まず、M&Aや事業承継に悩んだら、専門家への相談から始めてみるのがおすすめです。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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自社の特徴や強みを整理しておく

M&Aで買収側が最も重視しているのは、現在の自社の事業とどのようなシナジーを生み出せるかという点です。買収側がシナジーを最大化させて、高い利益を素早く生み出せる焼肉店だと判断すれば、高額での売却の可能性も高まります。そのためには、自社の特徴や強みを伝えられるようにあらかじめ整理しておくことが大切です

自分ではうまく言語化できないという場合には、M&Aの専門家にヒアリングしてもらうことで、相手に伝わりやすいようにまとめられるでしょう。

運営体制をマニュアル化する

買収側が重視する点は、買収後に経営者が変わっても、素早く利益を生み出せる仕組みが確立されているかどうかです。M&Aでの買収には多額の費用がかかり、また、買収後には人件費や家賃などのランニングコストも毎月発生します。買収側としては、かかった費用をできるだけ早く回収して、利益を出せる体制かどうかが重要です。

通常は、経営者が変われば店舗の雰囲気や味が変わってしまうものですが、常連客がついている焼肉店では今までと変わらない味や接客が求められます。M&Aで売却する前に、経営者が変わっても以前と同じ体制で続けられるように、運営体制をマニュアル化しておきましょう

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5. 焼肉業界のM&A・事業譲渡まとめ

焼肉店では店主の高齢化と跡継ぎがいないなどの理由で廃業を選択するところも増えています。M&Aで店舗を売却できれば、地元の人達に愛された味をそのまま提供し続けることも可能でしょう。焼肉店の廃業を考えているのなら、実行に移す前にぜひM&Aの専門家に相談して、売却の可能性も検討してみることをおすすめします。

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