2025年01月24日更新
リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継動向!事例・相場も解説
本記事では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継に関し、業界動向・成功させるポイント・M&A価格の算定方法などを解説します。また、リネンサプライ・クリーニングのM&Aによる事業承継の事例も紹介します。
目次
1. リネンサプライ・クリーニング業界を取り巻く環境
まずはリネンサプライ・クリーニング業界を取り巻く環境をお伝えします。
リネンサプライ業界の市場動向
2022年度以降、コロナ禍による行動制限が徐々に緩和され、人々の移動が活発化しました。その結果、多くの地域で個人消費が増加し、インバウンド需要も回復傾向にあります。
こうした経済回復に伴い、リネンサプライ業界では特にホテルリネンの需要が好調です。地域差はあるものの、宿泊・観光施設ではインバウンド需要や国内旅行の回復が顕著で、県内や近郊からの利用者も戻り、安定した稼働を維持しています。
一方で、人手不足の影響でフル稼働できない施設も多く、一部では高品質なサービスを優先して稼働を抑えるホテルや旅館も見られます。インバウンド需要を取り逃さず対応することが、ホテルリネン市場の成長において重要な課題です。
また、レストラン向けのフードリネンや新幹線・航空機向けの交通リネンでも需要回復の兆しはあるものの、人手不足や物価高、円安の影響があり、ホテルリネンほどの回復には至っていない状況です。
参考:矢野経済研究所「リネンサプライ市場に関する調査を実施(2024年)」
仕入
リネンサプライ業で必要なクリーニングに用いる溶剤などの仕入価格は、原料価格高騰の影響により上昇しており、他のサービス業に比べて価格転嫁が行いにくい事業構造でもあるので、為替動向や溶剤の原料である原油価格の変動がダイレクトに利益へ影響します。
近年は、環境問題の配慮により、工場から排出される化学物質への規制が強まっている状況です。そのため、特定の溶剤における製造・輸入が禁止され、排出規制や使用合理化などの措置も取られています。
リネンサプライ業界の展望
2024年度の国内リネンサプライ市場は、前年度比104.6%となる4,760億円規模まで成長すると予測されています。特にホテルリネン市場は、インバウンド需要の増加や宿泊費の値上げによる受託単価の上昇を背景に、コロナ禍前の2019年度を上回る水準に達すると見込まれており、リネンサプライ市場全体を牽引する見通しです。
一方で、他の分野では明暗が分かれると予測されています。例えば、ダイアパーや貸おしぼり、ダストコントロールといった分野は成長要因が乏しく、縮小傾向が続く見込みです。しかし、ホテルリネンの好調さがこれらのマイナス分を補い、2024年度のリネンサプライ市場全体は引き続きプラス成長が期待されています。
さらに、2025年度の市場規模も102.9%の4,900億円に達すると予測されますが、成長率は鈍化し、その後は緩やかな増加または横ばいの推移が見込まれています。
クリーニング業界の市場動向
2022年の国内クリーニング関連市場(一般家庭向けのクリーニング店、コインランドリー、無店舗・宅配型クリーニング店を含む)は、事業者売上高ベースで前年比105.9%となる2,713億5,000万円と推計されています。
販路別では、店頭型の「クリーニング店」が前年比110.0%の1,600億円となり、2021年のコロナ禍での落ち込みから大きく回復しました。「コインランドリー」は前年比100.4%の1,009億円、「無店舗・宅配型クリーニング店」は前年比101.5%の104億5,000万円と、いずれも微増を記録しています。
2020年と2021年は、テレワークの普及やスーツ・ワイシャツなどの需要減少により、業界全体が厳しい状況に直面していました。しかし、2022年には緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除を受け、外出の機会が増加したほか、多くの企業が在宅勤務からオフィス勤務に移行したことも市場回復を後押ししました。
参考:矢野経済研究所「クリーニング関連市場に関する調査を実施(2023年)」
2. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継動向
リネンサプライ・クリーニング業界のM&A動向には、主に以下の特徴がみられます。
①業界全体で後継者不足・人手不足が悩み
厚生労働省の「クリーニング業の実態と経営改善の方策(抄)」によると、リネンサプライ・クリーニング事業者の8割以上が営業30年以上で、経営者の年齢は70歳以上が5割を超えています。
後継者不在により事業承継ができない事業者は7割を超え、人手不足も重なって事業継続が難しいため、廃業を選ばざるを得ない事業者が多い状況です。
参考:厚生労働省「クリーニング業の実態と経営改善の方策(抄) 」平成30年11月27日
②原油高の影響で経営を圧迫するケースも
総務省の調査によると、原油高や資源高の影響でコストが上昇しているにもかかわらず、料金はほぼ横ばいで推移しています。各事業所は価格競争により料金を上げられず、結果として業界全体が利益率の低さに苦しんでいる状況です。
③クリーニング業者がリネンサプライ事業へ参入するケースも
クリーニング市場は市場縮小が続いていますが、リネンサプライ市場はインバウンドによるホテル・旅館への供給需要を見込むことが可能です。そのため、クリーニング業者がM&Aによって、事業親和性の高いリネンサプライ事業へ参入するケースもみられます。
また、組織再編の事例も目立っています。例えば、2023年4月、白洋舍およびその連結子会社である共同リネンサプライ(東京都大田区)は、会社分割と吸収合併による組織内再編を行いました。
共同リネンサプライが大阪を拠点に展開しているホテル・レストラン向けのリネンサプライ事業と、不動産賃貸・管理事業(以下「大阪事業」)を、会社分割(新設分割)によって新たに設立する会社へ移管しました。
その後、白洋舍が共同リネンサプライの株式を追加取得して完全子会社化します。最終的に、白洋舍を存続会社、共同リネンサプライを消滅会社とする形で吸収合併を実施しています。
④総合サービスの確立を目指したM&Aが増加
大手のリネンサプライ会社は、差別化を図るためにM&Aによって多様なサービスを展開しています。
例えば、2021年11月、センコーグループHDは、中四国エリアで衣服のクリーニング事業を展開するダイヤクリーニングを子会社化しました。
価格や営業網だけでは差別化が難しい近年は、いかに付加価値を持ったサービスで差別化を図るかが重要な課題です。
3. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継のメリット
リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、M&A・事業承継で得られるメリットを売り手側・買い手側それぞれ解説します。
売り手側のメリット
売り手側のメリットには主に以下が挙げられます。
後継者問題の解決
リネンサプライ・クリーニング業界は、個人事業主と小規模事業主が大半を占めているうえ、経営者の平均年齢が高いです。厚生労働省の「クリーニング業の実態と経営改善の方策(抄)」によると、直近10年以内で新規にリネンサプライ事業を始めた事業所は全体の1.1%と、新規参入が少ない状況です。
事業承継が必要にもかかわらず、後継者不足が課題であるため、全国から最適な後継者を探す目的でM&Aによる事業承継が行われるケースがあります。
参照:厚生労働省「クリーニング業の実態と経営改善の方策(抄)」
従業員の雇用維持
事業承継ができないなどの理由から廃業を選択した場合、従業員を自社都合で解雇しなければなりません。業種を問わず、中小企業の場合は経営者と従業員の結びつきが強いケースが多いため、従業員の雇用維持を第一に考える経営者は非常に多くみられます。
M&Aを活用すれば買い手企業へ従業員の雇用を引き継ぐことが可能です。雇用継続の手続きは使用手法によって異なり、株式譲渡であれば自動的に買い手へ引き継がれ、事業譲渡の場合は買い手企業と従業員が契約を結びなおすことで雇用を引き継ぐことができます。
個人保証からの解消
事業を行ううえで金融機関などからの融資を受けるケースもありますが、その際に中小企業の場合は経営者が個人保証を負ったり担保を差し入れたりするケースが多いです。
親族内承継や社内承継を考えている場合、個人保証が足かせとなり実行が難しいケースもあります。個人保証が引き継げない(解消されない)場合、引退しても現経営者はリスクを抱えたまま生活していかなければならないため、精神的な負担も非常に大きくなるでしょう。
M&Aであれば負債も買い手企業へ引き継いでもらうことができ、包括承継である株式譲渡の場合は自動的に引き継がれ、事業譲渡の場合は売却益を融資返済へ充てることができます。
創業者利益の獲得
M&Aを行って利益が出た場合、株式譲渡であればオーナー経営者(株主)が受け取ることができます。事業譲渡の場合は会社(法人)が利益を得るかたちとなりますが、オーナー経営者(株主)は退職金というかたちで受け取ることが可能です。
オーナー経営者(株主)が得る利益のことは「創業者利益」と呼ばれ、その取得を目的としてM&Aが行われるケースもよくみられます。
廃業コストが不要
事業継続が困難となり倒産や廃業を選ぶ割合は依然として多いですが、近年は倒産・廃業のデメリットを避けるためにM&A・事業承継を選択するケースが増えています。
しかし、廃業するとなれば設備などの処分費用や事業に賃貸借物件を使用している場合は原状回復費用も必要です。
これらは廃業コストと呼ばれ、事業規模が大きいほど廃業にかかる費用も高くなります。ですが、M&A・事業承継であれば事業を存続され、廃業コストも不要です。
買い手側のメリット
買い手側のメリットには主に以下が挙げられます。
スケールメリットの実現
リネンサプライ・クリーニング会社同士でM&Aを行った場合、買い手側は事業規模や事業範囲の拡大を図ることができ、スケールメリットの享受に期待できます。
スケールメリットは事業規模や事業範囲を拡大することで生産性向上やコスト削減、競争力強化ができることです。自社のみで事業拡大するには時間がかかりますが、M&Aを活用することで早期実現が可能となります。
短期間での事業展開
リネンサプライ・クリーニング事業を新規で始める場合、事業ノウハウの構築や設備投資など準備段階に多くの時間と費用がかかります。また、事業が軌道に乗るまでの期間もある程度見込んでおかなければなりません。
M&Aですでにリネンサプライ・クリーニング事業を行っている企業を取得することで、短期間での事業展開が可能となり、売り手企業の実績から将来の収益性(買収費用の回収までの期間など)もある程度予測することができるメリットもあります。
優秀な従業員の獲得
リネンサプライ・クリーニング業界は従業員の有資格者率が高いですが、個々の事業者が有資格者人材を安定して確保することは難しいのが現状です。M&A・事業承継によって有資格者の人材不足解消を図るケースもあります。
4. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A相場
この章では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・売却・買収相場の算定について解説します。
企業評価価値の算定方法
企業価値算定では、現在の企業価値に加えて、買い手企業と統合した後の収益力やブランド力などを「のれん代」として換算します。
リネンサプライ会社の企業価値算定で評価が高くなるのは、地域優位性を持っていたり、付加価値の高いサービスを展開していたりするケースです。
小規模事業者や個人事業主など地域密着型でリネンサプライ会社を営んでいる場合は、地域優位性やサービスなどの強みがあり、周辺商圏の顧客と信頼関係を構築していることがポイントとなります。
簡易的な算出と本格的な算出の違い
簡易的な企業価値算出の場合は、資産や負債・売上・利益などから、現在の企業資産価値を算出します。一方、実際にM&Aの際に用いる算出方法では、現在の企業資産価値に加え、将来的な収益力や数字には現れないブランド力、買い手企業とのシナジー効果なども含めて精緻に算出します。
本格的に企業価値を算出するには、企業の決算資料だけでなく、経済動向や自社の業界動向、相手企業の業界動向なども読む専門性が必要です。
5. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継の成功ポイント
ここでは、リネンサプライ・クリーニング会社のM&Aを成功させるポイントを売り手側・買い手側それぞれ解説します。
売り手側の成功ポイント
売り手側の成功ポイントとしては、主に以下の4つがあります。
①M&A・売却までを計画的に準備する
M&A・事業承継による売却の準備は、時間をかけて計画的に行う必要があります。株式や事業用資産の整理だけでなく、経営者が覚悟を決める時間も必要であるためです。
近年は小規模事業者や個人事業主などもM&A・事業承継による売却を行いやすいですが、経営者にとってはやはり大きな不安が伴います。計画的に準備すれば、スムーズなM&A・事業承継が可能となり、不安を減らすことも可能です。
②M&A・売却を行う理由を明確にする
M&A・事業承継は事業を売却して終わりではなく、「売却後のリネンサプライ会社をどのようにしてほしいか」「自身は売却後どのようにしたいか」なども明確にする必要があります。
売却理由によって交渉スタンスは大きく変わるため、M&A・事業承継を行う際は事前に目的・理由を明確にし、相手先や仲介会社に説明しましょう。
③最適な買い手を見つける
経営者が高齢であったり、経営が苦しい状況だったりすると、早期に売却相手を見つけてM&A・事業承継を終わらせたいと焦りがちです。しかし、入念に最適な事業売却先を探すことが、最終的には満足のいくM&A・事業承継につながります。
自社のみで最適な売却先を探すのは非常に困難であるため、M&A仲介会社など専門家に依頼して進めるのが良いでしょう。
④M&A・売却の専門家に相談する
M&A・売却の専門家に相談すれば、最良の条件で事業を売却するための準備や、手続き面のサポートを受けられます。専門家が持つネットワークを活用すると、最適な売却相手をスムーズに見つけることも可能です。
M&A・事業承継には計画的な準備が必要になるため、将来を見据えて早めに相談してください。
買い手側の成功ポイント
買い手側の成功ポイントとしては、主に以下の4つがあります。
①デューデリジェンスを行う
リネンサプライ・クリーニング会社をM&Aによって買収する際は、デューデリジェンス(企業内監査)を入念に行うことが重要です。特にリネンサプライ会社の多くを占める小規模企業や個人事業主の場合、事業データが整理されていなかったり、抜けや漏れがあったりするケースも少なくありません。
買収後に簿外債務が発覚するなどのリスクやトラブルを防ぐためにも、丁寧なデューデリジェンスが必要です。
②買収先の従業員の離職を防ぐ
人材不足が続くリネンサプライ・クリーニング業界では、買収をきっかけに買収先の従業員が離職すると大きな痛手です。リネンサプライ会社の場合は買収後のブランド転換を急ぎすぎた結果、従業員の不安・不満を招いて離職につながったケースも多くあります。
M&Aによる買収を行う際は、買収先従業員とのコミュニケーションを丁寧に取り、トラブルを防ぐことが重要です。
③設備の老朽化などを確認する
買収手続きの際は設備の状態をしっかり確認しなければ、買収後に想定外の出費がかさむ可能性があります。投資の回収には時間がかかるため、相手からの情報だけでなく、買収側も直接状態を確認するなど十分な注意が必要です。
④M&A・買収の専門家に相談する
買収を行う際のデューデリジェンスや買収後の統合プロセスを的確に行うには、専門家の知識や経験によるサポートを受けることがおすすめです。リネンサプライ・クリーニング業界のM&Aサポート経験を持つ専門家に相談すれば、成功率をさらに高められます。
6. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継の注意点
この章では、リネンサプライ・クリーニング業界のM&Aに関する注意点をみていきましょう。
土壌汚染の問題
業種によって取り扱う有害物質は異なりますが、クリーニング作業では衣服類の洗濯をする際に特殊な洗剤を使用します。クリーニング会社の工場のある土地では、土壌汚染問題の可能性が高まる可能性があるでしょう。
土壌汚染とは、有害な物質が土壌に浸透あるいは混入している状態をさします。近年は、環境保護政策の高まりを受け、国によって厳しい規制が設けられている状況です。
クリーニング工場を取り壊す際は買収する企業が自主的に土壌汚染調査を行うことが一般化されており、安価ではない費用がかかるため注意しましょう。
人事・労務の問題
M&Aでは、売り手のリネンサプライ会社がアルバイトやパートタイマーへの賃金未払いを抱えている可能性や、従業員の賃金が最低賃金を下回っている可能性なども想定されます。
売り手に人事・労務問題がある場合は、買い手がその問題を解決しなければならない可能性があります。社会問題に発展しかねないため、労務管理の瑕疵(かし)に関し、買い手側で事前に調査しておくことが大切です。
7. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継事例
ここでは、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A事例を紹介します。
トーカイによる介護センター花岡の買収
トーカイは、2024年12月3日、長野県を拠点とする介護センター花岡の全株式を取得し、完全子会社化しました。トーカイは病院リネンサプライや介護用品のレンタルを主力事業としており、介護センター花岡の地域密着型事業を取り込むことで、長野県内の拠点を1カ所から5カ所に拡大、さらに山梨県に初の営業拠点を開設しました。
トーカイは「介護用品直販レンタル売上日本一」を目標に掲げ、全国規模で事業拡大を進めています。本件M&Aにより、地域の利用者やケアマネジャーへのサービス向上やシェア拡大を図り、グループ全体の成長をさらに加速させる計画です。
ヤマシタによるモスの買収
ヤマシタ(静岡県島田市)は、2024年11月29日付でモス(岡山県岡山市)の全株式を取得し、子会社化しました。ヤマシタは福祉用具のレンタル・販売や居宅介護支援、リネンサプライ事業を手掛けており、2030年までに営業拠点を70カ所から120カ所以上に拡大する計画の一環として、M&Aや新規出店を積極的に進めています。
今回のM&Aにより、ヤマシタは岡山県に初めて営業拠点を設け、モスの事業基盤を活用して地域の顧客へ介護用品レンタルサービスを提供する体制を整えました。これにより、さらなる事業拡大を目指します。
ダイオーズジャパンによるグリーンアースの事業承継
2022年4月26日、ダイオーズの完全子会社であるダイオーズ ジャパンは、グリーンアース(福岡県嘉麻市)から美容室向けリネンレンタル事業を譲り受けました。
ダイオーズは飲料サービスや環境衛生サービス、オフィスサービスを展開していますが、今回のM&Aを通じてリネンサプライ事業という新しい分野に進出しました。この事業譲受により、既存事業とのシナジーを活用し、さらなる成長を目指しています。
白洋舍による子会社北海道リネンサプライと札幌白洋舍の合併
2021年11月、白洋舍は連結子会社の北海道リネンサプライが同じく連結子会社の札幌白洋舍と合併し、商号を変えることを決めました。
北海道リネンサプライは、ホテル向けリネンサプライ事業や鉄道リネンサプライ事業などを手掛け、札幌白洋舍は、個人向けクリーニング事業などを行っています。
新型コロナウイルスの影響による厳しい事業環境において、北海道エリアへ経営資源を集中し業務運営の効率化・生産性向上を行い、グループの企業価値を向上させる狙いです。
参考:株式会社白洋舍「連結子会社間の合併及び商号変更に関するお知らせ」
白洋舎とトーカイのM&A
2021年5月、白洋舎はトーカイに対して、ダストコントロール事業の権利義務を譲渡すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、日本のクリーニング業界最大手の老舗クリーニング会社であり、本社を東京都大田区に置いています。対する売却側は、病院リネンサプライや病院運営の周辺業務受託、宿泊施設などへの寝具類の貸与などを手掛けている企業です。
買収側では、事業領域や本件事業の持続的な成長の実現可能性などを総合的に勘案した結果、本件M&Aにより当該事業を譲渡することが、新型コロナウイルス感染拡大下における公衆衛生の維持向上に寄与し、本件事業の継続的な成長や従業員利益の確保に資すると判断しています。
参考:株式会社白洋舎「会社分割(簡易新設分割)による子会社設立及び当該子会社の株式譲渡に関する 基本合意書締結に関するお知らせ」
ダスキンによるEDISTの買収
2021年4月、ダスキンは株式譲渡の手法によりアドベンチャーからEDISTを買収し完全子会社化しました。取得価額は1,800万円です。アドベンチャーは、コンシューマ事業・投資事業を手掛け、EDISTは、洋服などのレンタルサイトを運営しています。
これによりダスキンは、築いたレンタル事業のノウハウ・100万人超のWEB会員と、EDISTのオンラインマーケティングノウハウを合わせ、生活者における「ワークライフマネジメントのお手伝い」といった新テーマに取り組む狙いです。
参考:株式会社ダスキン「株式会社EDISTの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
白洋舎による子会社日本リネンサプライの吸収合併
2020年6月、クリーニング会社の白洋舎による連結子会社日本リネンサプライの吸収合併が実行されました。横浜でリネンサプライ事業を行う日本リネンサプライは、新型コロナウイルス感染拡大のため、厳しい状況にありました。
この吸収合併で、首都圏エリアでの一体的で効率的な業務運営を実現し、収益力の回復を行うことを見込んでいます。
参考:株式会社白洋舍「子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」
8. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継案件例
本章では、弊社M&A総合研究所が取り扱っているリネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継案件例をご紹介します。
【都内/17店舗展開】クリーニング業
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エリア | 東京都 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望価格 | 2億5千万円以上 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
本案件の詳細は以下のリンクからご覧ください。
9. リネンサプライ・クリーニング業界のM&A・事業承継まとめ
本記事では、リネンサプライ・クリーニング会社のM&A・事業承継動向や売却・買収事例などを紹介しました。リネンサプライ・クリーニング業界では、市場縮小に伴い競争が激化し、業界全体で慢性的な人材不足に陥っています。
近年は後継者問題を解決するべく、M&Aによる事業承継を行う企業や、総合サービスの確立を目的としたM&Aが増えている状況です。
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