木材業のM&A動向!売却・買収事例5選とメリットを解説!【2024年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では木材業のM&A動向を解説していきます。木材業界は現材の高騰や環境への配慮に伴い業界再編が進んでいる業界です。M&A・売却・買収など、実際の事例を紹介したうえでM&Aのメリット・デメリットも解説するので是非参考にしてください。

目次

  1. 木材業界の概要と動向
  2. 木材業界のM&A動向
  3. 木材会社をM&Aで譲渡するメリット
  4. 木材業界のM&Aにおける買収・売却事例4選
  5. 木材会社をM&Aで売却する流れ
  6. 木材業界のM&Aにおける注意点
  7. 木材業界のM&A・事業売却まとめ
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1. 木材業界の概要と動向

日本の木材業界は、古くからの伝統と新しい技術が融合し、持続可能な資源としての木材の価値を高めてきました。この産業は、住宅建築から家具製造、エネルギー供給に至るまで、私たちの生活のあらゆる面に深く関わっています。

近年の環境問題への対応として、さらなる持続可能性を追求する動きも活発になっています。

以下では、木材業界の現状とその最新の動向について詳しく解説します。

木材業界とは

木材業界とは、木材の生産から加工、販売に至るまでの一連の産業を指します。

この業界は、日本の伝統的な産業の一つとして、長い歴史を持つ業界です。その歴史は、古代の神社や寺院の建築から現代の高層ビルの建設に至るまで、多岐にわたります。

木材は、住宅や家具、紙やパルプなどの製品の原料として使用されるため、日常生活に欠かせない存在となっています。特に日本は四季折々の美しい自然を持ち、それに伴う豊富な樹木資源があります。

これらの樹木は、適切な管理のもとで伐採され、さまざまな製品として私たちの生活に役立てられています。

また、木材は再生可能な資源であり、環境に優しい素材としての側面も持っています。炭酸ガスの吸収や酸素の供給といった樹木の役割を考えると、木材の利用は地球環境の保全にも寄与しています。

さらに、木材の持つ自然な温もりや質感は、人々の心を癒やし、リラックスさせる効果もあります。これらの特性から、近年では健康や安全性を重視する住宅や公共施設の建築において、木材の使用が再評価されています。

木材業界の市場規模と動向


林野庁の最新のデータを基に、木材産業の現状と動向を確認します。

原木は、多くの場合、木材流通業者を介して市場に出回るほか、直接取引も行われています。これらの原木は、製材工場や合板工場、さらには木材チップ工場で様々な方法で加工され、多岐にわたる木材製品として市場に供給されています。

そして、これらの製品は、住宅メーカーや工務店をはじめとする実需者に届けられ、さまざまな形で私たちの生活に取り入れられています。

具体的には、新築やリフォームの住宅、さまざまな建築物、紙や板紙の製造、そしてエネルギー供給としての利用など、幅広い用途での活用が見られます。

また、我が国の木材産業の生産規模に目を向けると、令和元年(2019年)のデータによれば、製造品出荷額が前年比で2.0%増の約2兆8,107億円となっていることがわかります。

このような背景から、木材業界は日本の経済の中で非常に重要な役割を果たしています。

持続可能な資源としての木材の価値が再認識される中、今後の木材業界の動向は、環境や経済、そして私たちの生活に大きな影響を与えることが予想されます。

2. 木材業界のM&A動向


木材業界は、環境問題や持続可能性の観点から注目されている産業の一つです。

近年、この業界におけるM&A(合併・買収)の動向が活発化しています。M&Aは、企業の成長戦略や市場拡大を目指す手段として利用されることが多いですが、木材業界においてもその傾向が見られます。

特に、国内外の市場での競争が激化する中、多くの企業が新たなビジネスチャンスを探るため、またはリスクを分散するためにM&Aを活用しています。

木材業界のM&Aの背景には、いくつかの要因が考えられます。

まず、木材の需要が増加していることが挙げられます。都市化が進む中、新しい住宅や商業施設の建設が増えており、それに伴い木材の需要も高まっています。

また、環境保護の観点から、再生可能な資源としての木材の利用が推奨されていることも、この動向を後押ししています。さらに、技術の進化やイノベーションもM&Aの動きを促進しています。

加えて、国際的な規模でのM&Aも増えてきています。グローバル化が進む現代において、多くの企業が海外市場への進出を図る中、M&Aを通じて新たな市場や顧客層を獲得する動きが見られます。

特にアジアやアフリカなどの新興市場においては、木材の需要が急増しており、これを背景にしたM&Aが増加しています。

総じて、木材業界のM&A動向は、業界の成長や変化、そして新たなビジネスチャンスを追求する企業の戦略として、今後も続いていくと考えられます。

3. 木材会社をM&Aで譲渡するメリット

木材会社をM&Aで譲渡することは、多くの企業オーナーが考慮する選択肢の一つとなっています。

この選択をすることで得られるメリットは数多く、特に中小企業や家族経営の木材会社にとっては、将来のビジネスの方向性を決定する上での大きな一歩となるでしょう。

従業員の雇用維持

M&Aを通じて木材会社を譲渡する最大のメリットの一つは、従業員の雇用を維持することができる点です。

多くの従業員は、長年にわたり会社の成長と発展に貢献してきた重要な存在です。廃業してしまえば、彼らは従業員でなくなり、これまで培ってきたノウハウなども失われてしまいます。

M&Aを通じて、新しい経営体制や経営方針のもとで、これらの従業員の雇用を継続することが可能です。

これにより、従業員のモチベーションの維持や業務の継続性が保たれるだけでなく、地域社会への貢献や企業のブランド価値の維持にも寄与します。

後継者問題の解決

多くの家族経営の木材会社は、後継者問題に直面しています。

経営の継承を考える際、適切な後継者が見つからない、または後継者が経営に興味を持っていない場合、M&Aは有効な解決策となり得ます。

他の企業や投資家との合併や買収を通じて、経営の継続や企業価値の最大化を図ることができるのです。

オーナー利益の獲得

M&Aを通じて木材会社を譲渡することで、オーナーは企業の価値を現金化することができます。

これにより、オーナーは新しいビジネスチャンスの追求や、個人的な資産額の向上など、さまざまな目的に資金を活用することが可能となります。

また、M&Aのプロセスを通じて、企業の価値を評価し、適切な価格での取引を実現することも期待できます。

4. 木材業界のM&Aにおける買収・売却事例4選

次に、近年木材業界において実際に行われたM&A・買収・売却事例を4つ紹介していきます。

Lib Workが幸の国木材工業を子会社化した事例

2023年7月、Lib Workは幸の国木材工業を子会社化することに成功しました。

今回子会社化した幸の国木材工業は、熊本県を中心として、戸建住宅メーカーなどに木材を供給することを主力事業としている製材加工販売会社です。

今回の子会社化を通じて、Lib Workグループ全体のコスト削減に加えて、製材加工の独自工法を開発するなどの取り組みを進めていくとしています。

参考: Lib Workによる幸の国木材工業の子会社化

燦キャピタルマネージメントが高山エンジニアリングの株式を一部取得し子会社化した事例

2023年6月、燦キャピタルマネージメントは高山エンジニアリングの株式を取得して子会社化することに成功しました。

高山エンジニアリングは、太陽光発電等のクリーンエネルギーに関する施設、設備、機器の工事、取付などを行っている企業です。

今回の子会社化は、燦キャピタルマネージメントのクリーンエネルギーの分野への投資活動の一環です。子会社化を通じて、高山エンジニアリングが保有する特定建設業許可を活用し、事業規模の拡大を目指しています。

参考: 燦キャピタルマネージメントによる高山エンジニアリングの子会社化

JKホールディングスがリビングライフ・イノベーションに一部事業を承継し子会社化した事例

2023年2月、JKホールディングスの子会社であるJKホームは、新たに設立したリビングライフ・イノベーションに、建設請負業と建設工事業に関する権利義務を承継させる吸収分割を実施しました。

JKホームは、千葉県千葉市に本社がある企業で、首都圏を中心として建設請負業と建設工事業を営んでいる企業です。リビングイノベーションへ吸収分割を行ったことで、グループ全体の効率性を高める狙いがあります。

参考: JKホールディングスによるリビングライフ・イノベーションの一部事業の子会社化

TOKAIホールディングスがジェイ・サポートを子会社化した事例

2022年10月、TOKAIホールディングスが、ジェイ・サポートを子会社化することに成功しました。

実際には、TOKAIホールディングスの子会社で、情報通信事業を担っているTOKAIコミュニケーションズが、ジェイ・サポートの株式を取得するかたちで子会社化しています。

子会社化したジェイ・サポートは、物流向けのソリューション開発に特化して、全国に事業を展開している企業です。物流センターや倉庫などで業務を支援する自社開発のソリューションを提供でき、長年の事業を通じて培った柔軟性のあるシステムを構築・提案できることに強みを持っています。

今回の株式取得を通じて、両者の技術を組み合わせ、経営資源を効率的に活用することで、事業を成長させることを目指しています。

参考: TOKAIホールディングスによるジェイ・サポートの子会社化

5. 木材会社をM&Aで売却する流れ

木材会社をM&Aで売却する際の流れは、他の産業と同様に、複数のステップから成り立っています。このプロセスは複雑であり、適切な手順を踏むことが、成功の鍵となります。以下に、その主要なステップを詳しく解説します。

M&Aの専門家に相談をする

M&Aのプロセスは専門的な知識や経験を要するため、最初のステップとしてM&Aの専門家やアドバイザーに相談することが推奨されます。

彼らは市場の動向や評価額の算出、適切な売却先の選定など、多岐にわたるアドバイスを提供してくれます。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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売却先の選定と秘密保持契約の締結

適切な売却先を選定することは、M&Aの成功にとって非常に重要です。

選定の際には、売却先の財務状況や経営方針、将来のビジョンなどを考慮する必要があります。選定が進行する中で、情報の漏洩を防ぐために、秘密保持契約を締結します。

トップ面談と条件交渉

売却先が選定された後、両社のトップが面談を行い、大まかな条件やビジョンの共有を行います。

この段階での円滑なコミュニケーションは、後の交渉をスムーズに進めるために不可欠です。

【関連】M&Aにおけるトップ面談とは?事前準備や流れ・成功のポイントまで解説!

基本合意契約の締結

トップ面談と条件交渉を経て、双方が合意した内容を基に、基本合意契約(MOUやLOIとも呼ばれる)を締結します。

この契約には、売却価格や支払い方法、移行期間などの基本的な条件が記載されます。

最終交渉

基本合意契約の締結後、詳細な条件の最終交渉が行われます。

この段階では、専門家やアドバイザーのサポートを受けながら、細かな点を詰めていきます。

最終契約の締結・クロージング

全ての条件が確定した後、最終契約を締結します。

この契約には、M&Aの全ての条件や約束事が詳細に記載されます。契約の締結後、クロージングが行われ、M&Aが正式に完了します。

6. 木材業界のM&Aにおける注意点

木材業界のM&A活動は、企業の成長や競争力強化のための重要な戦略の一つとして注目されています。

しかし、M&Aの過程には多くのリスクや課題が伴います。特に、以下の点に関しては、注意点として十分に考慮する必要があります。

情報が漏れないようにする

M&Aの過程で取り扱われる情報は、企業の経営戦略や財務状況、技術情報など、非常に機密性が高いものが多いです。このような情報が第三者に漏れると、企業の競争力やブランド価値を損なうリスクがあります。

そのため、情報管理の徹底はM&Aの成功を左右する重要な注意点となります。

具体的には、情報の取り扱いに関するガイドラインの策定、関与するスタッフの厳選、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためのセキュリティ対策などが求められます。

従業員や取引先に対して十分な説明をする

M&Aは、従業員や取引先、さらには株主や地域社会にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に従業員や取引先に対しては、M&Aの目的や背景、今後の方針などを十分に説明し、理解を得ることが非常に重要です。

不十分なコミュニケーションは、不安や疑念を生む原因となり、組織の士気低下や取引先との関係悪化を招くリスクがあります。

この点も、M&Aの成功を左右する大きな注意点として捉えるべきです。十分な説明やコミュニケーションを通じて、関係者の理解や協力を得ることで、M&Aのスムーズな進行と成功を実現することができます。

7. 木材業界のM&A・事業売却まとめ

2023年現在、木材業界のM&Aはますます活発化しています。

本記事では、その中でも特に注目すべき5つの売却・買収事例をピックアップし、それぞれの背景や取引の詳細、そしてその後の影響について詳しく解説しました。

木材業界におけるM&Aは、持続可能な森林経営の実現や市場拡大、技術革新の促進など、様々な目的のもとで実施されています。

日本だけに留まらず、外国産の木材の供給が増えるなかで、日本の木材業界もますます競争が激しくなることが予想されます。

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