研磨材製造業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

この記事では、研磨材製造業界のM&A動向について解説していきます。近年の研磨材製造業界において実際に行われたM&A・買収・売却事例を5つ紹介したうえで、M&Aを成功させるポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 研磨材製造業界の概要と動向
  2. 研磨材製造業界のM&A動向
  3. 研磨材製造会社をM&Aで売却するメリット
  4. 研磨材製造会社のM&A・買収・売却事例5選
  5. 研磨材製造業界のM&Aの成功のポイント
  6. 研磨材製造業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 研磨材製造業界の概要と動向

まずは、研磨材製造業界がどのような業界であり、今後の動向がどのようになるのかを解説していきましょう。

研磨材製造業界とは

研磨材製造業界は、加工や研磨作業に欠かせない粒状物質を製造する産業であり、その中心となるのが砥粒と呼ばれるものです。

砥粒とは、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、立方晶窒化ケイ素、ダイヤモンドなどの硬い物質を指し、これらは対象物に働きかけることで、物の表面を削り取る、または加工する役割を果たします。

この研削や研磨は、製品の品質や性能を向上させるために重要な工程となっており、研磨材の性質や種類によって、使用される対象や加工方法が異なります。

また、切削工具においても研磨材製造業界の技術や素材が活用されています。具体的には、工具の刃先部分に使用される素材として、ダイヤモンドやCBN焼結体、超硬合金、セラミックス、サーメットなどが挙げられます。

これらの素材は、それぞれの特性を活かして、様々な切削・加工作業での使用に適しており、研磨材製造業界の技術力の高さがうかがえます。

研磨材製造業界の市場規模と動向

研磨材製造業界は、多くの工業製品の製造において中心的な役割を果たしています。

この業界の製品は、自動車から航空機、電子部品、そして建材に至るまで、さまざまな産業で使われており、この幅広い適用範囲が業界の市場規模を拡大させています。

2021年時点での研磨材製造業界の主な動向は、新しい材料や技術の導入により、研磨の品質や効率がより一層重視されるようになっています。

これによって、先進的な製造技術や特定の用途に特化した高機能研磨材の需要が高まっているのが現状です

また、環境対応が強く求められる昨今では、低環境負荷の研磨材や再利用可能な材料への関心も増しています。

さらに、アジアを中心とした新興市場での製造業の急成長が、研磨材の需給に大きな影響を与えており、特に中国やインドなどの国々では、産業の拡大に伴い、研磨材の需要も増加しています。

総じて、研磨材製造業界は、技術進歩、環境認識の高まり、および新興市場の成長といった多角的な要因によって、市場規模と動向が形成されていると言えるでしょう。

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2. 研磨材製造業界のM&A動向

研磨材製造業界では、M&Aが急速に進行しているのが特徴的です。その背後には、グローバル市場での競争激化とともに、業界全体の再編成が求められている状況があります。

自動車や航空機の製造にとって不可欠な研磨材は、環境基準の強化や省エネ要求の高まりに伴い、その性能や品質に対する期待が高まっています。

さらに、新興国の市場参入による競争の激化は、製品の品質向上とコスト削減の両立を業界に求めています。

このような背景から、M&Aが効果的な業界再編の道具として前面に出てきています。M&Aを通じて、技術革新や生産の効率化、さらにはグローバルネットワークの拡大が実現し、市場の拡大や新事業への進出も容易となりました。

特に、大手の製造メーカーが中小企業をターゲットとする買収が増えている点は注目されます。これにより、中小企業の技術や製品の強みを活かしつつ、資本や人材の制約を解消することが可能になっています。

また、国境を越えたM&Aが増えてくる中、グローバルマーケットへの対応能力を高める動きも見受けられます。今後も、研磨材製造業界のM&Aはその活動をさらに加速させると見られており、この動きを通じて、業界が提供する製品の質とコスト効率の向上が期待されています。

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3. 研磨材製造会社をM&Aで売却するメリット

研磨材製造会社は、高度な技術と専門知識を要する業界に属しており、その企業価値は特有の知識や技術、設備、顧客ネットワークに基づいています。

M&Aを通じて売却することには、以下のようなメリットが考えられます。

売却利益の獲得

M&Aを進める際、多くの場合、売却先は研磨材製造業界における企業の技術や顧客ネットワークを高く評価します。

そのため、企業の価値を正確に評価し、適切な価格での取引が実現されると、大きな売却利益を獲得することが可能です。

特に研磨材製造業界では、企業の持つ技術や顧客ネットワークは非常に価値があると認識されています。

これらの価値は、売却を希望する企業にとって重要な財産となり、売却先企業もその価値を高く評価する傾向にあります。

経営の安定化

M&Aを通じて事業を売却することで得られる経営の安定化も大きなメリットです。

特定の業界内での競争激化や、経済環境の変動により経営が困難になった場合、M&Aを通じて強固な資本基盤やネットワークを持つ企業に売却することで、経営の安定化を図ることができます。

この売却を通じて、リスクの分散や事業領域の拡大、さらには新しい市場へのアクセスが可能となるため、中長期的なビジョンを持って経営を行うことが可能となります。

強固な資本基盤を持つ企業との連携により、経営資源の確保や投資の拡大が見込めるため、新しい技術の導入や研究開発活動にもより大胆に取り組むことができるようになります。これは、技術進化の速い研磨材製造業界において、競争力を維持・拡大する上で非常に重要な要素です。

事業の効率化

業界内でM&Aを進めることで、シナジー効果を最大限に引き出すことができるのです。

具体的には、生産設備の共有によって過剰な設備投資を削減したり、営業ネットワークの統合によって市場へのアプローチを最適化したりすることができます。

また、研究開発の面では、複数のリソースやノウハウを共有することで、より高速かつ効率的にイノベーションを生み出すことが可能となります。

これらの効率化は、売却される企業だけでなく、買収する企業にとっても大きな利点をもたらします。共有されたリソースや経験を活用することで、市場での競争力を一気に高め、より強固な地位を築くことが期待できるのです。

4. 研磨材製造会社のM&A・買収・売却事例5選

ここからは、実際に研磨材製造業界において行われたM&A・買収・売却事例を解説していきます。

北川鉄工所がケメット・ジャパンとシステム精工を子会社化した事例

2023年7月、北川鉄工所は、ケメット・ジャパンとシステム精工を子会社化することに成功しました。

半導体研磨材の専門メーカーであるケメット・ジャパン株式会社と、HDD用磁気ディスク製造装置のトップメーカーであるシステム精工株式会社の株式を取得して子会社化することで、北川鉄工所は、半導体ビジネスへの進出と、グループ全体の事業拡大を目指していくとしています。

参考: 北川鉄工所によるケメット・ジャパンとシステム精工の子会社化

Mipoxがミスミ化学を子会社化した事例

2022年6月、Mipox株式会社は、ミスミ化学株式会社を子会社化することに成功しました。

ミスミ化学は、研磨ディスクの専業メーカーとして、高品質な製品を生み出してきた企業です。

今回の子会社化を通じて、Mipoxは、自社のもと研磨ディスク開発及び生産能力を強化し、多様化する顧客ニーズに応えていくとしています。

参考: Mipoxによるミスミ化学の子会社化

OBARA GROUPがSpeedFam Mechatronicsの持分を譲渡した事例

2021年4月、OBARA GROUP株式会社は、関連会社であった上海の企業であるSpeedFam Mechatronics Limitedについて、株式譲渡をすることに成功しました。

SpeedFam Mechatronicsは、平面研磨装置を製造・販売する企業です。

株式譲渡を通じて、SpeedFam MechatronicsはOBARA GROUPの連結会社から除外されています。

譲渡先は、同じく上海でコンサルティング及び国内荷物運送代理業を営む上海屹途実業有限公司です。

参考: OBARA GROUPによるSpeedFam Mechatronicsの株式譲渡

Mipoxが日本研紙を子会社化した事例

2016年7月、Mipox株式会社は、日本研紙株式会社を子会社化することに成功しました。

日本研紙は、研磨布紙・研磨材製品などを製造・販売する企業です。

もともと、日本研紙は海外市場での販売競争の激化によって厳しい経営環境が続いていたことから、Mipoxに対して経営支援の要請を行っていました。

今回、Mipoxはその要請に応えて、株式公開買い付けを実施し、子会社化したかたちです。

参考: Mipoxによる日本研紙の子会社化

荒川化学工業が山口精研工業を子会社化した事例

2015年5月、荒川化学工業が山口精研工業を子会社化することに成功しました。

子会社化した山口精研工業は、HDDやSAWデバイスの精密研磨用研磨材の開発・販売で高い実績を誇る企業です。

今後、両社の資源を結集し、シナジーを生み出すことで、グループの事業展開をさらに固め、企業の価値を高めていくとしています。

参考: 荒川化学工業による山口精研工業の子会社化

5. 研磨材製造業界のM&Aの成功のポイント

研磨材製造業界は、高度な技術と専門性が求められる分野であり、M&A活動を進める上で独自の課題があります。

以下では、この業界におけるM&A成功のためのポイントを解説します。

M&Aの目的を明確にする

M&Aの成功の基盤となるのは、その目的を明確に持つことです。

研磨材の新しい技術領域への進出、地域的な市場拡大、あるいは研究開発力の強化など、何を達成したいのかを具体的に設定し、その方向に進めることが求められます。

企業価値の向上に力を入れる

M&Aに際して、どのようにして企業価値を高めていくのかの戦略が重要です。

研磨材製造における特許技術の獲得や、新しい製品開発への投資など、競争力を高めるためのアプローチを考え、戦略的に行動することが重要です。

専門家に相談する

業界の細かな特性やトレンドを把握するためには、研磨材製造業界の専門家の意見や知識が不可欠です。

専門家との連携により、適切な企業評価や、潜在的なリスクを早期に捉えることが可能となります。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

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適切なスキームを選ぶ

M&Aの形態や手法には様々なものがあります。

業界の特性や目的に合わせて、戦略的提携、完全子会社化、吸収合併など、最適なスキームを選択することで、2つの企業のスムーズな統合やシナジーの実現が期待できます。

従業員やノウハウを大切にしてくれる売却先を選ぶ

研磨材製造業界の核となるのは、従業員の知識と経験です。

M&Aの際、これらの価値を維持・発展させることができる企業を選ぶことで、中長期的な成功が期待できます。

6. 研磨材製造業界のM&A・事業譲渡まとめ

研磨材製造業界は、技術の進化や新興国の成長などの市場変化に対応するため、M&Aや事業譲渡などを活用した業界の再編が行われている業界です。

業界の再編が進んでいる主な理由としては、技術の強化、競争力の向上、コスト削減、また新しい市場への展開を目指しているからです。

最近の動向としては、大手が中小企業や新興企業を買収したり、海外企業と提携・統合するケースが増えています。

常に新しい技術を関連業界から求められる研磨材製造業界は、今後も効率的な企業運営と新技術の開発に向けて、業界の再編が進んでいくと考えられます。

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