航空機業界のM&A動向!売却・買収事例4選とメリットを解説!【2025年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

新型コロナウィルスの影響があった近年、航空機業界のM&Aをほとんど行われてきませんでした。しかし、コロナ禍から回復に向かいM&Aが活発に行われるようになってきました。そこでこの記事では、航空機業界のM&A動向について解説します。

目次

  1. 航空機業界の概要と動向
  2. 航空機業界のM&A動向
  3. 航空機会社をM&Aで売却するメリット
  4. 航空機会社のM&A・買収・売却事例4選
  5. 航空機会社のM&Aにおける成功のポイント
  6. 航空機業界のM&A・事業譲渡まとめ
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1. 航空機業界の概要と動向

まずは航空機業界の概要や動向から解説します。

航空機業界とは

航空機産業は、飛行機や滑空機、飛行船、気球などの航空機の製造、運用、保守、および関連する製品やサービスを提供する業界です。

この分野は多岐にわたり、航空機メーカー、航空会社、航空機部品メーカー、空港、航空機に関連する技術および保守サービスプロバイダー、航空機に関連する訓練機関などが含まれます。

主な業務内容は以下の通りです。
 

開発・設計 新技術や新素材を導入し、航空機の性能や機能、デザインを部品から開発・設計する。
生産技術 部品の製造や組み立て手順、使用する機械などを計画する。製造工程の効率化を図るために、開発・設計者との調整も行う。
現業・技能 部品の製造および組み立てを実際に担当する。製造機器の操作や手作業の工程を管理する。

 

航空機業界の市場規模と動向

航空機業界は、高い技術力が必要で、大量生産ができないため、市場に参入するハードルが高い業界です。特に航空機製造には、多額の投資が避けられず価格競争力の維持が難しいという側面があります。

世界の民間航空機市場の旅客需要は、年率にして約5%で増加し、今後20年間の市場規模は5〜6兆ドル程度になる見通しです。

また国内航空機業界の動向は、業界全体での過去5年間の国内生産額は、1.1兆円から1.8兆円に増えています。2030年には3兆を超えると期待されています。
 

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2. 航空機業界のM&A動向

航空機産業は、世界的な需要の拡大に伴い、著しい成長を示しています。この需要の増加は、新しい航空会社の設立や既存の航空会社の拡張、航空旅行の一般化、そして経済成長に伴う需要の増大に起因しています。これには、コロナ禍の収束も一因です。

航空機産業の進展において、重要なのは重工メーカーだけでなく、協力メーカーや素材メーカー、工作機械メーカーなども欠かせません。

さらに、技術力を向上させた中小企業は高い評価を受け、その実力を基に技術の導入や事業の拡大を目指したM&Aが活発に行われています。

航空機産業は競争が激しく、M&Aは業界の再編や企業の成長において不可欠な手段となっています。
 

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3. 航空機会社をM&Aで売却するメリット

航空機会社を売却するメリットは主に以下のとおりです。
1点ずつ詳しく解説します。
 

事業承継問題の解決

近年、中小企業における経営者の高齢化を背景に後継者不在による事業承継の問題が深刻さを帯びています。

親族や役員や従業員のなかに後継者が見つからない場合において、M&Aは事業承継問題を解決する有効な手法の一つです。M&Aを実行し、第三者に事業を譲渡・売却すれば、事業の継続が可能になります。

従業員の雇用維持

M&Aを実行すると、従業員の雇用を守れるという大きなメリットがあります。特に中小企業のM&Aにおいては、多くの場合。「従業員の雇用維持」が買収側への条件の一つに挙げられます。

また、大手企業の傘下に加わった場合は、従業員が安心し、離職率の低下にもつながるでしょう。

万一、廃業を選んでしまうと、従業員は失業してしまいます。
新たな後継者に事業を譲渡すれば、従業員への営業は最小限で済み、迷惑をかけずに引退できます。
 

売却による収入の確保

M&Aの売却益によって、売却側の経営者の手元に現金が多く残るのもメリットです。M&Aは一般的に買収先へ株式を売却する手法です。相続時以外では、通常未上場の株式を売買する機会はほとんどありません。M&Aでは、買収側から株式の対価が支払われますので、会社の価値に合わせた収入を確保可能です。

M&Aでは会社の資産を時価評価し、さらに営業権を考慮すると、純資産額よりも高い株式評価を受けるケースはよくあります。

M&Aの取引価格は、売却側と買収側との交渉で決まります。買収側が交渉の席についている時点で一定以上の評価がれているでしょう。
 

技術やノウハウの継承

もし、廃業を選択したとすると、会社の消滅と同時に長い期間をかけて培った技術や蓄積したノウハウが失われてしまいます。M&Aを行えば、経営権はもちろん磨いてきた技術や試行錯誤をしながら蓄積したノウハウも、買収先企業に引継ぎ可能です。

買収側にしてもノウハウや技術の習得は大きなメリットでしょう。無形資産として高評価を受け、高額の売却益の獲得につながるケースも多くあります。
 

事業の成長、発展

M&Aを実行し会社を売却すると、売り上げの向上やコストダウンなど買収側との間でシナジー効果が期待でき、事業の一層の成長や発展を実現できます。

また、自社よりも大規模な企業の傘下に入り、その企業の資本やインフラを活用可能なら、スムーズな資金調達や生産体制の強化、販路拡大など、自社の弱点を補って、市場競争に勝ち残れます。

短期間で事業規模を拡大したいときは、敢えて大企業などの傘下に入るのも有効な手法です。
 

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4. 航空機会社のM&A・買収・売却事例4選

ここからは実際に行われたM&A・買収・売却の事例を4つ紹介します。

中条ジャムコがジェイシーエムから事業取得した事例

2015年10月1日、株式会社ジャムコの連結子会社である中条ジャムコが株式会社ジェイシーエムが取り組んでいる航空機内装品事業を譲受しました。

ジャムコは旅客機用の厨房設備、化粧室、シートなどの製造・販売を中心に展開中です。
中条ジャムコは、主にギャレーを構成するパネルを製造しています。

一方のジェイシーエムは、化粧室などの航空機内送品に使われる部品の製造・組立を手がけています。また、同社はジャムコの航空機内装品の部品製造と組立の委託先です。

中条ジャムコは今回のM&Aにより、サプライチェーンのさらなる強化が期待できるとしており、今後の増産に対応していきます。

参考:中条ジャムコが子会社化
 

ミクニが旭エアーサプライを子会社化した事例

2015年10月1日、.株式会社ミクニは旭エアーサプライ株式会社の全株式を2回に分けて取得し子会社化しました。

ミクニは、主に自動車関連機器の開発・製造・販売や航空機部品の輸入販売を展開しています。
一方の、旭エアーサプライは、航空機用の標準規格部品の輸入・販売を主に行っています。

今回のM&Aの狙いは航空機分野における商社機能の強化です。

参考:旭エアーサプライ株式会社の株式取得(子会社化)

ミネベアが塩野製作所から事業取得した事例

2015年1月1日、ミネベア株式会社は事業再生に取り組んでいた株式会社塩野製作所との間で事業再生手続きのスポンサーとして100%出資の新会社を設立し、塩野製作所と新会社との間で事業譲渡契約を締結しました。

塩野製作所は東京都羽村市に本社を構え、航空機や、宇宙開発関連で実績があり、小惑星探査機「はやぶさ」のエンジン部品も手がけています。

一方のミネベア株式会社は長野県北佐久郡に本社を構え、ボールベアリング、航空機用ロッドエンドベアリングやピボットアッセンブリーなどの機械加工品事業が主要事業です。

ミネベアは、以前より取引がある塩野製作所の高い技術力をグループ内に得ることで、航空機部品事業の売上や収益拡大を早期に実現するとしています。

参考:株式会社塩野製作所の事業譲り受け

大気社がEncore Automationを子会社化した事例

2017年6月30日、株式会社大気社は米国の子会社を通じて、Encore Automation LLCの全事業を承継するENC  Automation LLCの持分の51%を取得し連結子会社化しました。

旧Encore 社は、米国ミシガン州に本社を構え、独自の自動ワイピングやポリッシングシステム、飛行機塗装システムの技術を保有しています。

一方の大気社は、東京都新宿区に本社を構え、ビル空調設備、産業空調設備、塗装プラントの3つの事業を軸に展開しています。

今回のM&Aで大気社は、北米市場での塗装システムのロボットアプリケーション事業の一層の拡大、アフターサービスの拡充を図る狙いです。

参考:持分取得に伴う孫会社の異動

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5. 航空機会社のM&Aにおける成功のポイント

ここでは、航空機会社のM&Aを成功するための5つのポイントについて解説します。
5つのポイントは以下のとおりです。

M&Aの専門家に相談をする

ほとんどの経営者が、M&Aは経験がなく、戦略やノウハウに精通している方は少数派です。その状態でM&Aを成功させるためには、戦略やノウハウに熟知した専門家のサポートが必要不可欠です。

日常の業務と同時に進めるには負担が大きいので、不備なくスムーズに進めるためにも専門家への相談をお勧めします。

専門家は、財務状況を見直して企業価値の向上も図れるので、よい結果が得られるでしょう。
 

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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情報漏洩に注意

M&Aを行うには財務情報をはじめ、従業員情報、事業の詳細の開示なしには交渉が進みません。しかし、当然ではありますがそのような情報は会社の根幹に関わる重要な情報です。

M&Aを行う上で最も注意が必要なのは、情報の漏洩です。売却側企業にとって、自社がM&Aを考えているという情報が流れてしまうとさまざまな問題につながります。

M&Aの噂が広まってしまうと、業界や顧客、従業員などが、業績の低下を疑うなど、根拠のないネガティブなイメージが拡散する可能性があります。

最悪の事態では、M&A自体が破綻してしまうケースも考えられるのです。このような事態を回避するためにも、M&Aの情報が漏洩しないように徹底しましょう。
 

目的の明確化

M&Aは、時間もかかりますし、精神的にもかなり大変なので、手続きを忙しく進行していくうちに、M&Aの成約自体が目的化してしまうケースがよくあります。

M&Aの成立自体を目的にしてしまうと、ビジョンがあやふやなままM&Aを行ってしまう形となってしまいます。すると、M&A後の経営が軌道に乗らないケースや、M&Aに期待する成果が得られないケースになりかねません。

M&Aは手段であって目的ではありません。そのため、M&A成立後の目的を明確にしておく必要があります。

このような事態を回避するためにも、経営戦略上の目的を明確にして、ゴールを設定しておきましょう。
なぜ自社がM&Aをしようとしているのか、目的を見失わないようにしてください。
 

戦略の具体化

M&Aの目的を明確化したら、続いては相手企業との交渉に向けてM&A戦略を具体化させます。M&A戦略の具体化は企業が目指す成長や競争力向上を実現するために重要です。

まず、明確な戦略目標を設定し、市場や業界の動向を分析します。これは企業のビジョンや戦略に基づいています。次に、業界分析、財務分析、SWOT分析などを通じて適切なターゲット企業を選定し、デューデリジェンスを通じてリスクを評価してください。

また資金調達や法的手続きを進め、統合計画を策定します。経営陣の意思疎通を図り、文化の調和を促進することも不可欠です。計画的で戦略的なM&Aプロセスを通じて、企業はシナジー効果を最大化し、持続可能な成長を達成できます。具体化すべき戦略はさまざまありますが、まずはどのスキームを活用するかを決定します。
 

相手企業の選定

M&Aの相手先企業の選定は戦略的な決定であり、成功に向けて慎重な検討が必要です。まず、企業の戦略目標と一致するかどうかを評価します。同業他社や補完的な事業を有する企業を検討し、市場シェアや製品ラインの強化を目指しましょう。

また、産業や地域の規制、法的な制約も確認することでリスクを最小化します。戦略的なシナジー効果やコスト削減の機会も検討し、長期的な成長戦略との整合性を確認します。
 

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6. 航空機業界のM&A・事業譲渡まとめ

航空機業界のM&Aは競争激化や技術進化といった変化に対応し、企業の強化と成長を促進する鍵となります。

本記事では、戦略的な相手企業の選定や目的の明確化、戦略具体化などは成功のポイントであるとを述べました。

航空機業界のM&Aは、今後も活発化していくことが予想されます。M&Aを成功させるためには、M&Aの目的やシナジー効果を明確にし、相手先企業の経営状況や財務状況を十分に把握し、経営陣との相性やコミュニケーションを重視することが重要です。

本記事を参考にしてM&Aを検討してみてください。
 

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