ケータリング会社のM&A・売却・買収!動向や事例、価格相場を解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

現在、国内ではM&Aによる売却・買収が盛んに行われており、それはケータリング業界でも同様です。そこで、ケータリング会社のM&Aでの売却・買収・事業承継について、その動向や最新事例、価格相場、成功させるポイントなどを解説します。

目次

  1. ケータリング会社のM&A・売却・買収・事業承継
  2. ケータリング会社のM&A・売却・買収動向
  3. ケータリング会社のM&A・売却・買収事例
  4. ケータリング会社のM&A・売却の理由・メリット
  5. ケータリング会社のM&A・売却・買収価格相場
  6. ケータリング会社のM&A・売却・買収のフロー
  7. ケータリング会社のM&A・売却・買収を成功させるポイント
  8. ケータリング会社のM&A・売却・買収時におすすめの相談先
  9. ケータリング会社のM&A・売却・買収まとめ
  10. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧
  11. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談
  • 給食業・給食サービス会社のM&A・事業承継

1. ケータリング会社のM&A・売却・買収・事業承継

まず、ケータリング会社の概要や、M&A・売却・買収事業承継といった基本的な用語の意味を確認しましょう。

ケータリング会社とは

ケータリング会社とは、ケータリングをサービスとして提供する会社をさします。ケータリングとは、パーティーやイベント会場などに出張して食事を提供するほか、会場のセッティング・備品の用意・後片づけなど全てのプロセスを行うサービスです。

また、パーティーやイベントだけでなく、老人ホームへの食事提供や、社員食堂の代わりに空いた部屋を利用して従業員に食事を提供するサービスもあります。

M&A・売却・買収とは

会社の売却・買収とは、会社が販売する商品やサービスではなく、会社または事業そのものを売買することをさします。

会社そのものを売買する取引には、株式譲渡事業譲渡などの売却・買収以外にも、合併や会社分割などの企業組織再編手法があり、これらの手法の総称がM&A(Mergers=合併 and Acquisitions=買収)です。

M&Aは、かつては一部の大企業などが行うものでしたが、近年は中小企業や個人事業のM&Aも活発になっています。特に、経営者の高齢化に伴う後継者問題の解決策としてM&Aが有力視されており、事業承継の手段として有効です。

事業承継とは

事業承継とは、会社の事業を後継者に引き継ぐことです。現経営者が引退しても会社は廃業されることなく存続できますが、事業承継は後継者の対象によって分類されます。

それは、現経営者の子どもや配偶者などの親族を後継者とする親族内事業承継、会社の役員・従業員を後継者とする社内事業承継、M&Aの買収者を後継者とするM&Aによる事業承継の3種類です。

かつて中小企業では、事業承継といえば親族内事業承継でしたが、少子化や価値観の多様化により親族の後継者が減少してしまい、近年ではM&Aによる事業承継が増加しています。

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2. ケータリング会社のM&A・売却・買収動向

近年のケータリング会社のM&A・売却・買収動向には、以下のような特徴が見られます。

  • 関連業種からの参入が増えM&Aが増加
  • サービス内容が多岐に渡るため人材の確保が難しい
  • ホテルなど飲食事業を持つ業者が参入し競争が激化
  • 超高齢社会の影響に伴うM&Aの増加

関連業種からの参入が増えM&Aが増加

ケータリングでは、小規模な店舗でも大口注文の受注が可能なことや、提供する料理の量があらかじめ決まるため在庫リスクが少ないことなど、店舗型の飲食店にないメリットがあります。

この点が注目され、今までケータリング事業を営んでいなかった企業からの新規参入が増加しつつあるのが現状です。そのなかには、既存のケータリング会社をM&Aで買収し、経営資源を生かして参入する企業も見られます。

サービス内容が多岐に渡るため人材の確保が難しい

ケータリングのサービスは料理の提供だけでなく、会場のセッティングから後片づけまで多岐に渡ります。

飲食チェーン店のように業務をマニュアル化するのが困難なため、技能のないアルバイトなどに仕事を任せるのが難しい点が、店舗型の飲食店にないケータリング事業のデメリットといえるでしょう。そのため、ケータリング事業を始めるにあたっては、人材の確保が課題になります。

ホテルなど飲食事業を持つ業者が参入し競争が激化

高級ホテルでは、もともとパーティーやイベント用のケータリングサービスを実施していることが多く、そのノウハウを生かして新規参入するケースが増えています。

ホテルのケータリングは、設備の充実やシェフの技術の高さなど強みが多く、業界全体の質が上がり競争が激化している一因です。

超高齢社会の影響に伴うM&Aの増加

ケータリングのノウハウは、パーティーやイベントなどに限定されるものではなく、介護施設や老人ホームなどの福祉施設での食事提供サービスにも活用されています。超高齢社会である日本においては、福祉施設の増加は必須であり、福祉施設間の競争も激しくなるでしょう。

そのような状況において、他の福祉施設との差別化として、入所者へより有用な食事提供ができることをアピールすべく、福祉事業者などの異業種がケータリング会社をM&A・買収するケースも見られるようになっています。

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3. ケータリング会社のM&A・売却・買収事例

近年に行われたケータリング会社関連のM&A・売却・買収事例を紹介します。

  1. ノンピの第三者割当増資
  2. ハークスレイによる味工房スイセンの子会社化
  3. オイシックス・ラ・大地によるCRAZY KITCHENの子会社化
  4. オイシックスドット大地による「らでぃっしゅぼーや」の子会社化
  5. アカツキによるASOBIBAとアプトの子会社化
  6. 東日本旅客鉄道とスターフェスティバルの資本業務提携
  7. アスラポート・ダイニングによるRiem Becker SASの子会社化
  8. オイシックスと大地を守る会の株式交換
  9. アスモフードサービスによる「ぱすと」の子会社化
  10. アスクルとスターフェスティバルの資本業務提携
  11. グルメ杵屋によるアサヒケータリングの子会社化
  12. 夢の街創造委員会と日本フードデリバリーの資本業務提携

①ノンピの第三者割当増資

2020(令和2)年8月、法人向けケータリングサービス事業を行ってきたノンピが第三者割当増資を実施し、その引受先より約2億1,000万円を調達したことが発表されました。

ノンピは資本金4,000万円であり、経営権を左右する第三者割当増資を行ったことになりますが、非上場企業であるため、引受先などの情報は開示されていません。

ノンピは調達資金を用いて、新サービスである「オン飲みBOX」(法人向けオンラインコミュニケーション提供サービス)の拡充に努める考えです。

②ハークスレイによる味工房スイセンの子会社化

2019(令和元)年12月、ハークスレイは味工房スイセンの全株式を取得して完全子会社化しました。

ハークスレイは「ほっかほっか亭」のフランチャイズ事業のほか、食材の加工・配送などを行っている会社で、味工房スイセンは仕出し料理やケータリング事業などを行っている会社です。ハークスレイとしては、事業の開拓・拡大・発展に向けたM&Aと発表しています。

③オイシックス・ラ・大地によるCRAZY KITCHENの子会社化

2018(平成30)年8月、オイシックス・ラ・大地はCRAZY KITCHENの株式を譲受して子会社化しました。オイシックス・ラ・大地は、有機野菜や無添加食品などの通信販売を営む会社で、CRAZY KITCHENは、パーティーやウェディングのケータリング会社です。

オイシックス・ラ・大地としては、CRAZY KITCHENのノウハウを取り入れたサービス向上や、CRAZY KITCHENのイベントにオイシックス・ラ・大地の食材を提供するといった、シナジー効果の獲得を目的としています。

④オイシックスドット大地による「らでぃっしゅぼーや」の子会社化

2018年2月、オイシックスドット大地(現オイシックス・ラ・大地)が「らでぃっしゅぼーや」の全株式を取得し完全子会社化しました。この際に、らでぃっしゅぼーやの親会社であるNTTドコモとの業務提携も締結しています。

オイシックスドット大地は、食品宅配専門スーパー「Oisix」などを手がける会社で、らでぃっしゅぼーやは有機野菜や無添加食品の宅配サービスなどを手がける会社です。

両社のケータリング事業を統合することにより、事業拡大と効率化を図ることが目的となっています。なお、オイシックスドット大地は、子会社化したらでぃっしゅぼーやを吸収合併して経営統合し、社名も現在のオイシックス・ラ・大地に改めました。

⑤アカツキによるASOBIBAとアプトの子会社化

2017(平成29)年11月、アカツキがASOBIBAとアプトの全株式をそれぞれ取得し両社を完全子会社化しました。

アカツキはモバイルゲームなどを手がけるゲーム会社で、ASOBIBAはサバイバルゲームフィールドなどを運営している会社です。一方のアプトは、ケータリングやパーティークリエーションを手がけています。

このM&Aは、各会社の強みを生かしたライブエンターテインメント施設の開発を目的として行われました。

⑥東日本旅客鉄道とスターフェスティバルの資本業務提携

2017年7月、東日本旅客鉄道(JR東日本)がスターフェスティバルと資本業務提携を締結しました。資本の移動を伴う資本業務提携は、広義のM&Aとされています。

スターフェスティバルは、食事の宅配サービス業として、宅配弁当・仕出し弁当の配達・デリバリー総合サイト「ごちクル」、デリバリー型の社員食堂サービス「シャショクル」などを運営していている企業です。

この資本業務提携では、JR東日本グループが持つ弁当の販売網の強化新しい弁当の開発など、両社のシナジー効果の獲得が目的となっています。

⑦アスラポート・ダイニングによるRiem Becker SASの子会社化

2017年5月、アスラポート・ダイニング(現JFLAホールディングス)の連結子会社Atariya Foods Limitedが、Riem Becker SASの株式74%を取得し子会社化しました。

アスラポート・ダイニングは「牛角」「とりでん」などを運営する会社で、Riem Becker SASはフランスのケータリング会社です。この子会社化は、アスラポート・ダイニングの海外進出を目的とし、ヨーロッパで日本食チェーンの展開を目指しています。

⑧オイシックスと大地を守る会の株式交換

2017年3月、オイシックス(現オイシックス・ラ・大地)と、大地を守る会が株式交換しました。大地を守る会の株式1株に対して、オイシックスの株式261株が割当てられ、大地を守る会がオイシックスの完全子会社となっています。

そして同年10月には、オイシックスと大地を守る会は合併し、経営統合されました。その際に、社名はオイシックスドット大地に改められています。両社のノウハウや販売網を生かして、さらなる事業展開と事業の効率化が目的のM&Aです。

⑨アスモフードサービスによる「ぱすと」の子会社化

2016(平成28)年3月、アスモの連結子会社であるアスモフードサービスは、「ぱすと」の株式97.5%を取得し子会社化しました。

アスモフードサービスは、社員食堂や老人ホームなどにケータリングを提供している会社で、「ぱすと」はイタリアンレストランチェーンを展開している会社です。

アスモフードサービスは、新規でレストラン事業の開始を目指しており、「ぱすと」のノウハウと経営資源を取り入れることを目的としています。

⑩アスクルとスターフェスティバルの資本業務提携

2014(平成26)年7月、アスクルはスターフェスティバルと資本業務提携を締結しました。アスクルはソフトバンクグループ系列の通信販売会社で、事務用品や工具などを中心に取り扱っています。

スターフェスティバルは、「ごちクル」や「シャショクル」などのケータリングサービスを営んでいる会社です。この資本業務提携は、両社の顧客基盤や経営ノウハウの共有によるシナジー効果の獲得が目的とされています。

⑪グルメ杵屋によるアサヒケータリングの子会社化

2013(平成25)年4月、グルメ杵屋はアサヒケータリングの全株式を取得し完全子会社化しました。グルメ杵屋は大阪に本社のある飲食店を経営する会社で、アサヒケータリングは機内食や高齢者向けの食事や冷凍総菜などを取り扱う会社です。

もともと、両社は親会社と孫会社の関係でしたが、関係強化のために株式を直接保有し子会社化しました。

⑫夢の街創造委員会と日本フードデリバリーの資本業務提携

2013年3月、夢の街創造委員会と日本フードデリバリーが資本業務提携しました。日本フードデリバリーが第三者割当増資で発行した株式を、夢の街創造委員会が取得しており、保有割合は33.6%となっています。

夢の街創造委員会は、宅配ポータルサイト「出前館」の運営などを手がける会社で、日本フードデリバリーは、法人向けのケータリングサービスや、ケータリングの総合サイトを運営している会社です。

お互いのノウハウやネットワークを生かしたシナジー効果の獲得が、資本業務提携の目的となっています。

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  • 給食業・給食サービス会社のM&A・事業承継

4. ケータリング会社のM&A・売却の理由・メリット

ケータリング会社のM&A・売却の主な理由・メリットは以下のとおりです。

  • 後継者問題の解決
  • 人材不足により事業継続が難しい
  • 大手グループの傘下に入り安定経営
  • 従業員の雇用先を確保する
  • 譲渡・売却益の獲得

後継者問題の解決

ケータリング業界に限らず、近年は中小企業経営者の高齢化による後継者問題が深刻化しています。ケータリング業界も例外ではなく、親族などに後継者がいない経営者がM&Aで他の企業・個人に事業・会社を売却する事例も珍しくはありません。

人材不足により事業継続が難しい

ケータリングの仕事内容は多岐に渡り、技術・経験・対応力が求められるため、業務を高いクオリティでこなせる人材が不足しがちです。人材がおらず事業の継続が難しくなったケータリング業者が、M&Aで事業を売却して事業を継続させるという事例も見られます。

大手グループの傘下に入り安定経営

ケータリング業界は、店舗型飲食店以上の収益を目指せるビジネスモデルではありますが、安定した経営を維持するのは大変です。

経営の不安定さに危機感を感じた中小企業の経営者が、大手グループの傘下に入り安定経営を目指すというのも、ケータリング業界のM&A・売却理由となっています。

従業員の雇用先を確保する

ケータリングを始めとする飲食業界は非常に競争が激しく、開業から1年以内で廃業・倒産してしまう事例も少なくありません。また、中小企業や個人事業の店舗では、後継者がいないために、経営が順調にも関わらず事業を廃業してしまうこともあります。

廃業や倒産をしてしまうと、従業員の解雇が大きな問題となりますが、M&Aで会社・事業を売却すれば買い手に従業員が引き継がれるので、結果として雇用は守られるのです。

譲渡・売却益の獲得

ケータリング事業を売却して現金を得て、それを新規事業の資金にしたり、引退後の生活費にしたりすることも可能です。

M&Aの手法には、譲渡・売却益が会社に対して支払われるもの(=事業譲渡)と、オーナー経営者個人(=株主)に支払われるもの(=株式譲渡)があります。したがって、譲渡・売却益の使用目的に合わせて適切な手法を選択することが重要です。

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5. ケータリング会社のM&A・売却・買収価格相場

ケータリング会社のM&A・売却・買収価格相場は、個々の事例によるので一概に金額を断言できません。ケータリング業界は、M&A事例自体が比較的少なく、会社が持つ強みによって価格が大きく左右されます。さらに、買い手側とのシナジー効果によっても価格が変わるでしょう。

企業評価価値の算定方法

ケータリング会社の価値を算定する方法はいくつかあります。一番簡単なのはコストアプローチと呼ばれる手法です。財務諸表の資産と負債の差をとって現在の企業価値を大まかに見積もる方法です。

ケータリング会社には上場企業も多いので、上場企業の中に似た事業を営む企業がある場合は、その株価を参考にするマーケットアプローチも有効になります。

また、事業の将来性を加味したい場合は、将来のフリーキャッシュフローなどを基準にするインカムアプローチが適しているでしょう。

企業価値は有形資産だけではない

企業価値は有形資産だけでなく、技術やノウハウ・顧客のネットワーク・事業の将来性といった無形資産も大きく関係します。

前節で述べた手法の中で無形資産を考慮する企業価値評価方法はインカムアプローチの一種です。事業が生み出す期待キャッシュフローを使うDCF(Discounted Cash Flow)法がM&Aでよく用いられます。

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6. ケータリング会社のM&A・売却・買収のフロー

ケータリング会社のM&A・売却・買収を実施する際の一般的なプロセスは以下の流れで進みます。

  1. M&A仲介会社への相談・依頼
  2. 相手先企業とのマッチング・交渉
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンス(買収監査)の実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング・PMI

①M&A仲介会社への相談・依頼

M&Aでは、各プロセスとも専門的な知識や経験が欠かせません。したがって、専門家にサポートを依頼するのが一般的です。M&Aの仲介業を行う機関は、以下のようなものがあります。

  • M&A仲介会社
  • ファイナンシャルアドバイザー
  • 経営コンサルタント
  • 各士業事務所
  • 金融機関
  • 証券会社

最もおすすめなのがM&Aの専門業者であるM&A仲介会社です。M&A仲介会社のほとんどが無料相談を受けつけているため、複数の会社と直接会って話してから、仲介業務依頼先の選定ができます。

依頼先のM&A仲介会社を決めたら、正式に業務依頼契約を締結しM&Aがスタートです。

②相手先企業とのマッチング・交渉

M&A仲介会社は専門業者として各社がネットワークを持っており、その中から依頼会社の希望に合う取引候補をすぐに見つけてくるはずです。そのようにマッチングされたM&A取引候補の資料を検討し、希望の相手を探します。

なお、この段階での企業の資料(企業概要書)は、会社名などが匿名となっているノンネームシートと呼ばれるもので、具体的な特定はできません。売り手・買い手とも希望交渉先が一致した場合、秘密保持契約書を締結して会社情報を開示し、M&Aの交渉が始まります。

③基本合意書の締結

M&A交渉で必ず行われるのがトップ面談です。売り手・買い手の経営トップが直接会って、会社風土・経営ビジョン・事業分析などを話し合います。なお、M&Aの条件交渉はM&A仲介会社が担当しますので、基本的にトップ面談でのM&A条件の言及はありません。

条件交渉が大筋で合意できれば、基本合意書の締結です。しかし、基本合意書はこの時点での合意内容確認書という意味合いの契約書であるため、法的拘束力はありません。つまり、M&Aの成約はまだ白紙と同等です。

ただし、基本合意書の条項で秘密保持と独占交渉権だけは法的拘束力を持たせることになっています。独占交渉権を定めることにより、売り手側が条項の中で定めた期間(通常は3カ月程度)、他の買い手候補とのM&A交渉はできません。

④デューデリジェンス(買収監査)の実施

基本合意書締結後、必ず実施されるのがデューデリジェンスです。デューデリジェンスとは、買い手側が実施する売り手企業の内情調査を意味します。税務・法務・財務・労務・事業などの分野ごとに、士業などの専門家を起用して精密な監査を実施するのです。

デューデリジェンスには、以下の3つの目的があります。

  • 経営上のリスク(簿外債務など)が潜伏していないかどうかの確認
  • 最終的な買収価額を決めるための経営情報の収集
  • PMI(M&A後の経営統合プロセス=Post Merger Integration)の計画策定のための情報収集

⑤最終契約書の締結

デューデリジェンスで問題の発見・露呈がなければ、監査結果内容を踏まえて最終交渉が行われます。ここで条件合意できれば、最終契約書の締結です。最終契約書締結によって、M&Aの実施が確定されます。

⑥クロージング・PMI

クロージングとは、最終契約書に記されている内容を売り手・買い手がそれぞれ履行することです。具体的には、売り手であれば株式や資産の引き渡し、登記や株主名簿の書き換えなど、買い手であれば対価の支払いなどがあります。

クロージング後、買い手はPMIに移行です。デューデリジェンスと並行して経営統合のための計画を準備しておき、クロージング直後から実行に移します。PMIの成否=M&Aの成否となり、綿密な計画の策定と慎重なその遂行が必須です。

PMIの計画策定の際も、M&A仲介会社や経営コンサルタントなどに相談しながら進めるのが得策でしょう。

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7. ケータリング会社のM&A・売却・買収を成功させるポイント

ケータリング会社のM&A・売却・買収を成功させるポイントを売却側・買収側それぞれの立場から解説します。

売却側のポイント

売却側から見たケータリング会社のM&Aを成功させる主なポイントは、以下のとおりです。

  • 計画的に準備を行う
  • 売却の希望条件を伝える
  • M&Aの目的を明確にする
  • 人材や収益性など強みをまとめる
  • M&Aの専門家に相談する

計画的に準備を行う

M&Aによるケータリング会社の売却は、準備もなくいきなり始めてもうまくいきません。事業計画書の作成優秀なアドバイザーがいる仲介会社の選定簿外債務や粉飾決算の解消など、自社に必要な事前準備を計画的に行うことが重要です。

売却の希望条件を伝える

ケータリング会社の売却は、買い手側の希望も考慮しつつ、お互いが納得できる条件を模索していかなければなりません。譲れない売却の希望条件を明確にして買い手側にきちんと伝えることが重要です。

M&Aの目的を明確にする

後継者問題を解決したい、売却益を得て引退したい、大手の傘下に入って安定経営を目指したいなど、M&Aによるケータリング会社の売却にはさまざまな目的があるでしょう。目的の明確化は、買い手とのスムーズな交渉に不可欠です。

人材や収益性など強みをまとめる

M&Aによるケータリング会社の売却においては、自社の強みを買い手にしっかり伝えることが重要です。優秀な人材を擁している、高い収益性を実現しているなど、強みを明確にして書面にまとめておけば、買い手も魅力を理解しやすくなります。

M&Aの専門家に相談する

ケータリング会社の売却には、M&Aの幅広い知識や高い交渉力が必要となるため、M&Aの専門家に相談しながら進めていくことが成功のカギといえます。

M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーに依頼するのが一般的ですが、政府が設置する事業承継・引継ぎ支援センターを利用したり、商工会・商工会議所や銀行・信用金庫の相談窓口を利用したりすることも可能です。

買収側のポイント

ケータリング会社のM&Aを買収側が成功させるポイントは、主に以下のとおりです。

  • デューデリジェンスをきちんと行う
  • 買収先の従業員が離職しないようにする
  • M&Aの専門家に相談する

デューデリジェンスをきちんと行う

買い手にとっては、買収する企業が本当に信頼できるかどうか、できるだけ詳しく確認しておくことが重要です。デューデリジェンスで事業内容や財務状況を調査して、買収後に後悔しないようにしましょう。

買収先の従業員が離職しないようにする

ケータリング会社の買収においては、優秀な従業員を引き継げるかどうかが重要です。せっかく買収しても、従業員が離職してしまっては企業価値が大きく下がってしまいます。

十分な雇用条件を提示したり労働環境を整えたりして、買収先の従業員が買収によって離職しないように留意しましょう。

M&Aの専門家に相談する

売却側だけでなく買収側にとっても、M&Aの専門家に相談することは重要になります。特に買収側は、デューデリジェンスを実施しなければなりません。自社の経営陣だけで進めていくのは困難です。

買収後に簿外リスクが発覚することなども考えられるため、買収を検討する段階からM&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくようにしましょう。

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8. ケータリング会社のM&A・売却・買収時におすすめの相談先

ケータリング会社のM&A・売却・買収を成功させるためには、M&Aの専門家に相談することがおすすめです。中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーによるフルサポートを行っています。

通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを最短3カ月で成約した実績を有するなど、機動力もM&A総合研究所の強みです。料金体系は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)で、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料となっています。

無料相談は随時お受けしていますので、ケータリング会社のM&A・売却・買収をご検討の際には、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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9. ケータリング会社のM&A・売却・買収まとめ

ケータリング会社のM&A・売却・買収は、今後ますます活発になってくると考えられます。事業承継および事業拡大の手段としてM&Aの知識を得ておくことが、ケータリング会社の経営者にとって今後は重要になるでしょう。

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