譲渡企業
株式会社樹と葉っぱ
取締役 小針 正純様 インタビュー
まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。
Q1.創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
産婦人科向けの食事提供サービスの営業を、2社で12〜13年ほど経験しました。そのなかで、自身で食事提供サービスの会社を立ち上げたいという思いを抱き、54歳で起業しました。これまでに築いた医院様との繋がりがあったため、すぐに1件目の契約を獲得し、その後は1年に1件ペースで受託を増やしていきました。コロナ禍で営業が困難になる停滞期もありましたが、産婦人科向けの食事提供サービスに特化していたため赤字に転落することもなく、7年間安定して事業を続けてきました。
当社の強みは、1件1件のクライアント様とのコミュニケーションを大切にしてきたことです。例えば、請求書を郵送ではなく直接手渡しすることでコミュニケーションの機会を創出し、情報収集や課題の把握を丁寧に行ってきました。こうしたきめ細やかな対応が他社との差別化につながり、当社の強みだと考えています。
M&Aを検討されたきっかけ
Q2.この度、ご譲渡をお考えになった背景や経緯を教えてください。
漠然とした健康への不安や、経営者としての引退時期について、数年前から考え始めていました。実は以前にもM&Aを検討したことがありましたが、その時はまだ適切な時期ではないと判断しました。今回は改めて「良いご縁があれば話を聞いてみたい」と考え、お話を進めました。最初から絶対に譲渡するという気持ちではありませんでしたが、ご紹介いただいたお相手が予想以上に良い企業様で、素晴らしいご縁に恵まれたと感じています。
大衛様との出会い
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Q3.ご検討を進められる上で、大事にされていた希望条件と、大衛様への譲渡を決められた理由を教えてください。
条件面については、特に細かく設定していませんでした。M&Aが進む中で、金額面に関しておおよその希望は持っていましたが、それ以外の部分については具体的な条件を決めていませんでした。M&Aでは譲渡する側と譲受する側で視点が大きく異なることを感じていましたが、大衛様は大切にされている条件やポイントについて非常に真摯に対応してくださいました。また、一緒になった際に当社に期待される役割について明確に伝えていただいたため、大衛様への譲渡を決めました。
Q4.今回のM&Aで期待することや今後のビジョンを教えてください。
これまで7年間経営を続けてきましたが、コロナ禍の3年間は停滞期がありました。今回、大衛様とご一緒することで大きなシナジーが生まれると確信しています。「最高のM&A」と言えるお相手と出会えたことに深く感謝しています。大衛様の営業力と共に、当社も成長を遂げることで、創業時から支えてくださった従業員にも幸せを感じてもらいたいと思っています。また、加藤社長の元でモチベーションを高めながら、成長と拡大を実現していきたいと考えています。
Q5.M&Aの前後で、M&Aへのイメージは変わりましたか。
現時点では、M&Aを完全に理解しきれているとは言えないのが正直なところです。ただ、今回のM&Aが成功だったと心から思えるよう、今後も努力を続けたいと考えています。現在はゴールではなく、スタートラインに立ったばかりという感覚です。M&Aの本当の価値を実感できるのはこれから1~2年後だと思いますので、将来を見据えて着実に取り組んでいきたいです。
M&A総合研究所についてお聞かせください。
Q6.ご検討を始められてから様々な情報を収集されたことと思います。その中で弊社にご依頼いただいた理由を教えてください。
M&A総合研究所の担当アドバイザーである園さんからご説明を受け、最初にお会いしたときからその人柄に引かれました。M&A総合研究所様については、M&A業界で実績のある会社であることを以前から知っていましたが、園さんとの出会いを通じてお話を伺ううちに、「ぜひお願いしたい」と思い、正式にご依頼させていただきました。
Q7.弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。印象に残っている具体的なエピソードなどあれば教えてください。
私が本当に困っている場面でメールで相談した際には、迅速なレスポンスをいただけたことが非常にありがたかったです。返信が急を要さない内容と、切実に悩んでいる内容を的確に汲み取って対応していただけるのを感じ、安心してお任せできると実感しました。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
小規模経営者の多くは、日々の業務に追われる中で次世代への引き継ぎをどのように進めるべきか悩んでいると思います。M&Aについて考える時間が取れなかったり、資料作成の余裕がなかったりする方もいらっしゃるでしょう。しかし、会社の将来に少しでも不安を抱えている方は、まず一歩踏み出すことが経営者としての重要な役割だと思います。会社を次世代に継続させるためにも、情報収集を行い、半歩ずつでも前に進む努力が大切だと思います。
譲受企業
大衛株式会社
代表取締役社長 加藤 優様 インタビュー
まずは御社についてご紹介いただきたいと思います。
Q1.創業の経緯、事業内容と強みを教えてください。
1953年に医療衛生材料を扱うメーカーとして曾祖父と祖父が創業しました。医療衛生材料にとどまらず、生理用ナプキンを日本で初めて製造・販売するなど、さまざまな展開をしてきました。しかし、大手資本の参入により競争が激化し、生き残りを模索する必要に迫られました。その結果、事業の選択と集中を行い、産婦人科で取り扱う衛生材料に事業の軸をシフトしました。現在では、総合病院向けの手術用キットや手術用ガウンなどの物品の提供や、院内感染防止の分野への参入を進めるなど、病院向け消耗材の販売を手掛けています。
M&Aを検討されたきっかけ
Q2.M&Aを検討されたきっかけを教えてください。
当初、病院向けの給食事業を特定して探していたわけではありませんでした。当社の事業と親和性があり、特に医療機器に携わる企業など、シナジーを生み出せる事業を行う企業を候補として検討していました。産婦人科の領域でのM&Aは想定外でしたが、今回のご紹介を機に検討を始めたのが正直なところです。
樹と葉っぱ様との出会い
Q3.樹と葉っぱ様を譲り受けられた理由を教えてください。
当社も産婦人科に特化した事業を行っているため、給食サービス業態の存在は認識していました。産婦人科医院様に喜んでいただけるサービスを日々模索する中で、この領域は優先順位が高いと感じていました。そのため、ご案内いただいたタイミングで「これは顧客が喜ぶサービスだ」と確信しました。一般の病院向け給食サービスと産婦人科の病院食は全く異なると考えていますが、樹と葉っぱ様も同様にその点をよく理解されていると感じました。それが樹と葉っぱ様の強みであり、独自の企業価値を感じた理由です。
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今後への思い
Q4.今後、事業展開の1つとしてM&Aを活用されることは視野に入れていますか。その際の方針も併せて教えてください。
M&Aについては今後も引き続き検討していきます。対象としては、医療機器の製造や流通に強みを持つ企業様、または当社の事業とシナジーを生み出せる領域の企業様を候補としたいと考えています。
ー海外M&Aは考えていますか。
当社はベトナムにも拠点を構えています。そのため、ベトナムを起点に東南アジア地域の企業様を候補の1つとして検討しています。製造拠点や販路の拡充といった両面で選択肢が広がると考えています。また、東南アジアの医療環境の品質が年々向上している中で、当社の強みを活かせる可能性があると考えています。
M&A総合研究所についてお聞かせください。
Q5.弊社のアドバイザーはいかがでしたでしょうか。
M&A総合研究所様にご相談してから、多くの企業様をご紹介いただける点に大きな価値を感じています。様々な提案ができるということは、譲受企業として非常にありがたい点でした。今回担当いただいたアドバイザーの園さんは、相手企業の経営者様とも丁寧にお打ち合わせをされ、論点が非常に明確で、信頼感があり安心して進めることができました。
M&Aを考えていらっしゃる経営者様にアドバイスをお願いいたします。
現在はスタートラインに立ったばかりですので、これから樹と葉っぱの小針様と共に進めていきたいと考えています。また、譲受企業の視点から見ると、譲渡後もキーマンの方に伴走していただけるようなパートナーシップは非常に大きな安心材料であると実感しました。
担当者からのコメント
本件は、産婦人科領域における異業種間のM&Aとなりました。現在、国内では年々出生数が減少する中で、出産を迎える場所に求められるニーズは多種多様に広がっています。その中でも特に多くの要望が寄せられるのが、「出産前後の食事」に関するものです。株式会社樹と葉っぱ様では、院長先生だけでなく看護師の方々とも密接な関係を築きながら、妊婦の方々が求める食事について常に研究を重ねてきました。
一方で、実質的な代表である小針様は多岐にわたる業務を抱え、人材面での課題や潜在的後継者の不在、バックオフィス業務の煩雑さといった問題を抱えておられました。これらの課題を今回のM&Aによって解決できると確信し、成約に至った次第です。
譲り受けた大衛様にとっても、今後「食事サービスの提案」が可能となり、まさに両社の強みが活きるM&Aとなりました。
(企業情報第二本部第一部 マネージャー 園 靖之)
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