2024年11月09日公開
水道業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】
本記事では水道業界のM&A動向を解説します。水道業界は、少子高齢化の動向に合わせた業界再編が求められています。近年実際に水道業界で行われたM&A・売却・買収事例も紹介したうえで、成功のポイントも解説するのでぜひ参考にしてください。
1. 水道業界の概要と動向
水道業界は、日本の基盤となる重要な産業の一つであり、その歴史や動向は国民生活に密接に関わっています。以下では、水道業界の概要と動向について解説します。
水道業界とは
水道業界は、人々の生活に欠かせない水を供給する産業として、長い歴史を持っています。
具体的には、水道業は大きく3つのカテゴリーに分類されます。
上水道業
上水道業は、一般の需要に応じて給水の目的で敷設される水道管やその他の設備を通じて、人の飲用に適する水を供給する業界を指します。
この業界は、厚生労働大臣や都道府県知事からの認可が必要とされており、無許可での事業展開は禁止されています。
工業用水道業
工業用水道業は、工業活動に必要な水を供給する業界を指します。
この水は、製造プロセスや冷却などの目的で使用されることが多いです。
下水道業
下水道業は、公共下水道や流域下水道、都市下水路などを通じて、汚水や雨水などの下水を処理するための施設やポンプ施設の運転、保守、点検などの作業を行う業界を指します。
この業界も、上水道業同様に認可が必要とされています。
水道業界の市場規模と動向
日本は少子高齢化が進行する中、多くの産業がその影響を受けています。水道業界も例外ではなく、この社会的背景が業界の動向に大きな影響を及ぼしています。
少子高齢化の進行により、都市部の人口は増加し続ける一方で、地方の人口は減少しています。この人口動態の変化は、水需要の地域的な偏りを生むこととなり、都市部では水供給の安定性やインフラの更新が急務となっています。
一方、人口が減少する地方では、過剰な水道インフラの維持や更新が経済的に困難となり、合併や共同事業体の形成など、新しい取り組みが求められています。
また、高齢化が進む中での労働力不足は、水道業界においても深刻な問題となっています。特に技術者や専門家の後継者不足は、業界の持続的な成長や技術革新の障壁となりつつあります。このため、業界内での人材育成や、外部からの人材確保の取り組みが強化されています。
2. 水道業界のM&A動向
日本の水道事業の歴史は、1887年に横浜で初めて近代水道が設置されたことから始まりました。その後、港湾都市を中心に水道の整備が進められ、現在では給水人口が1億2,400万人に達し、普及率も97.5%と非常に高いレベルになっています。
しかし、業界には多くの課題が存在します。特に、日本の人口減少や節水機器の普及により、使用水量が減少していること、設備や管路の老朽化、職員の高齢化などの問題が挙げられます。
これらの課題に対応するための一つの方法として、M&Aが注目されています。
水道業界では、市町村の民間企業の活用や、民間企業同士の業務提携や買収を通じて、業務効率化や人材不足の解消を図る動きが見られます。
これらの動きは、水道業界が直面する課題に対応し、さらなる成長と発展を目指すためのものであり、今後もM&Aの動きは活発化していくことが予想されます。
【関連】LPガス業界のM&A動向!会社売却のメリットや流れ・事例16選を徹底解説【2023年最新】
3. 水道会社をM&Aで売却するメリット
水道会社をM&A(合併・買収)で売却することには、いくつかの顕著なメリットがあります。
これらのメリットを理解することで、経営者はより明確な判断を下すことができるでしょう。
売却利益の獲得
M&Aを通じて水道会社を売却する最も明白なメリットの一つは、売却利益の獲得です。
これは、企業の価値を正当に評価し、適切な価格で売却することで得られる金銭的な利益を指します。
この利益は、新しいビジネスチャンスの追求や、他の投資機会への再投資、あるいは経営者や株主への還元として使用することができます。
後継者不足問題の解決
多くの中小企業や家族経営の企業では、後継者不足が深刻な問題となっています。水道会社も例外ではありません。
M&Aを通じての売却は、後継者不足の問題を効果的に解決する手段となり得ます。売却を選択することで、経営の継続性を保ちつつ、新しい経営陣や組織にビジネスを引き継ぐことが可能となります。
個人保証や担保からの解放
経営者や事業主が個人保証や担保を提供している場合、これは大きなリスクとなり得ます。M&Aを通じての売却は、これらの個人保証や担保からの解放をもたらすことができます。
これにより、経営者や事業主は個人的な資産を保護することができ、将来的なリスクから自身を守ることが可能となります。
4. 水道会社のM&A・買収・売却事例5選
次に、近年水道会社が実際に行ったM&A・買収・売却事例を5つ紹介していきます。
水道会社のM&A・買収・売却事例から、近年の業界再編の動向を確認していきましょう。
【関連】電気通信工事業界のM&A動向!会社売却のメリットや相場・事例15選を徹底解説【2023年最新】
丸紅がAGSを子会社化した事例
2019年5月、丸紅は、ポルトガルの水道事業会社であるAGS - Administração e Gestão de Sistemas de Salubridade, S.A.社を完全子会社化することに成功しました。
もともと、丸紅は、AGS社の株式をINCJ(旧株式会社産業革新機構、以下「INCJ」)と共同で2014年に買収していました。今回、INCJが保有する株式を追加取得して、完全子会社化しています。
AGS社はポルトガル最大手の水道事業会社の1つで、ポルトガルで19社とブラジルで3社をその傘下に持ち、約150万人に対し水道サービスを提供している企業です。
丸紅は、これまでも、アジア、欧州、中南米、中東において、上下水道事業から水処理施設の建設工事請負、運転保守管理に至るまで、幅広い水事業を展開してきました。
水不足やインフラ老朽化によるサービス水準の低下、資産更新コストの増大等、世界的に水に関する社会課題が多様化しているなかで、今後も豊富な経験と保有資産のノウハウをベースに「水の総合サービスプロバイダー」として、顧客と共に水に関する社会課題を解決しています。
参考: 丸紅によるAGSの子会社化
ダイキアクシスがDHアクアを子会社化した事例
2018年11月、ダイキアクシスがDHアクアを子会社化することに成功しました。
DHアクア社は、愛媛県松山市の吉井企画社から、道後平ニュータウンと白水台団地の水道事業を引き継いだ新しい会社です。
ダイキアクシスの経験と知識は、長年の地域での水道事業から来ており、特に道後平ニュータウンの排水施設管理は以前から担当していました。そのため、事業間での連携や相乗効果が期待できます。
地域の水供給インフラを運営することは、ダイキアクシスにとって地域への大きな貢献となり、そのために株式取得を決めたと説明しています。
参考: ダイキアクシスによるDHアクアの子会社化
水ingが第一環境アクアの株式を取得した事例
2015年7月、水ing株式会社は、第一環境アクア株式会社の株式を、第一環境株式会社より、譲り受けることに成功しました。
第一環境アクアは商業施設などへ浄化設備技術やサービスを提供することで、環境を守り、安心して快適に生活できる社会に貢献している企業です。
総合水事業会社である水ingは、上下水など公共水インフラ事業のみならず、食品・飲料、自動車、医薬業界など、民間企業向けの用水・排水処理や水再生・資源再生設備など、幅広く事業展開を行っています。
今回の株式譲り受けを通じて、第一環境アクアが保有する浄化設備技術や維持管理ノウハウを合わせ、顧客により最適なサービスを提供できると考え、全株式を譲り受けることになったと説明しています。
参考: 水ingによる第一環境アクアの株式取得
水道機工が水機テクノスに事業譲渡した事例
2014年1月、水道機工は、100%子会社であった水機テクノスに対して、水処理施設の運転管理事業を譲渡しました。
合わせて、水機テクノスが存続会社となって、同じく水道機工の100%子会社であった水機メンテナンスサービスを吸収合併しています。
水処理施設の運転・維持管理事業は、これまで、水道機工と水機メンテナンスサービスが担い、水機テクノスが主体となって修繕工事及び維持管理を担ってきました。
今回の事業譲渡を通じて、水処理施設の運転維持管理事業のすべてを水機テクノスへ集約することで、効率性を高める狙いがあります。
参考: 水道機工による水機テクノスへの事業譲渡
クボタが水処理エンジニアリングの株式を取得した事例
2012年9月、クボタは、水処理エンジニアリング社の完全子会社化に成功しました。
今回の子会社によって、産業排水処理を専門とする戸田工業の子会社である富士化水工業の主要な事業を取得しています。
これによって、クボタは水処理設備の設計や建築などのエンジニアリング分野に積極的に参入し、日本やアジアの民間セクターの水処理市場をターゲットとして展開することになりました。
富士化水は、日本だけでなく、台湾やマレーシア、中国にもオフィスを持っている企業です。
今回、中国を除く全ての事業を新設の会社に移し、クボタがその新会社を完全に傘下に収めています。
これまでのクボタは、日本での上下水道機器の販売や、アジアでの浄化槽や処理膜の提供を主力としてきました。富士化水の事業を取り込むことで、民間の排水処理市場への本格的な進出を果たすことになりました。
参考: クボタによる水処理エンジニアリング会社の株式取得
5. 水道業界のM&Aの成功のポイント
水道業界におけるM&Aの成功には、特定の要点や戦略が必要です。
この業界は特有の課題や機会を持っており、それらを理解し、適切に対応することが、M&Aの成功の鍵となります。
【関連】電気工事業界のM&A動向!売却・買収事例41選と業界動向を解説!【2023年最新】
早めの相談をする
M&Aのプロセスは複雑であり、多くの変数が関与しています。
そのため、早い段階での相談は非常に重要です。専門家や関連するパートナーとの早期の対話は、適切な戦略の策定や、予期しない問題への対応を容易にします。
また、市場の動向や業界の最新情報を把握することも、この早期の相談を通じて可能となります。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
M&A・事業承継ならM&A総合研究所
自社の情報を整理する
M&Aの成功のためには、自社の情報を正確に把握し、整理することが不可欠です。
これには、自社の財務状況、業績、資産、負債などの詳細な情報が含まれます。
これらの情報を整理し、明確にすることで、交渉の際のポジションを強化することができます。
売却先へ誠実な対応をする
M&Aのプロセス中、売却先との関係は非常に重要です。誠実な対応を通じて、信頼関係を築くことが求められます。
隠れた情報やリスクを隠さず、オープンかつ透明にコミュニケーションを取ることで、双方の信頼関係を深化させることができます。
従業員や取引先への開示のタイミングに注意する
M&Aの過程での情報開示は、非常にデリケートな問題です。従業員や取引先への情報の開示タイミングを適切に管理することで、不要な混乱や不安を避けることができます。
特に、従業員のモラルや業績への影響を最小限に抑えるためには、このタイミングの管理が不可欠です。
6. 水道業界のM&A・事業譲渡まとめ
日本の少子高齢化は、多くの産業に影響を与えており、水道業界もその例外ではありません。
都市部の人口増加と地方の人口減少は、水供給の地域的なニーズに変動をもたらしています。
特に、地方では水道インフラの維持が経済的に困難となり、新しい協力体制や合併が求められています。
この背景を踏まえ、水道業界のM&A動向は、業界の課題を解決する手段として注目されています。水道業界におけるM&A成功の鍵は、戦略的な計画、適切なタイミング、そして参加企業間の文化や価値観の一致にあります。
総じて、水道業界のM&Aは、業界の現在の課題を解決し、将来の持続的な成長を促進するための重要な戦略となっているといえるでしょう。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。