水産加工・卸のM&A|譲渡・売却・事業承継の現状は?事例や動向から価格相場まで解説

取締役副社長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、中小企業が多数を占める水産加工・卸業界におけるM&Aの最新動向、豊富な事例、そして企業価値評価のポイントまでを網羅的に解説します。厳しい環境下で成長を目指す水産加工・卸会社の経営者様、事業承継を検討中の方はぜひご一読ください。
 

目次

  1. 【水産加工・卸業界のM&A】業界の最新市場動向と課題
  2. 水産加工・卸業界のM&Aを加速させる業界再編と海外戦略
  3. 水産加工・卸業界でM&Aが選ばれる5つの戦略的理由
  4. 水産加工・卸業界のM&Aの成功事例に見る戦略的統合
  5. 水産加工・卸業界のM&Aを成功させるための具体的なステップと留意点
  6. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却価格の相場
  7. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却・事業承継で失敗しない方法5選
  8. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却・事業承継のまとめ
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1. 【水産加工・卸業界のM&A】業界の最新市場動向と課題

この記事では、水産加工・卸業のM&A・譲渡・売却・買収の動向や取引価格相場を、事例を交えて解説します。まずは、水産加工・卸業の定義や、M&A・譲渡・売却・買収の意味を確認しましょう。

水産加工・卸業とは

水産加工・卸業とは、水産物の加工や卸売をする業種です。水産加工・卸業は水産業の1つであり、水産物を獲る漁業と水産加工・卸業に分けられます

水産加工・卸業で扱うのは天然魚だけではありません。養殖魚の加工や卸売も行います。近年は国による後押しもあり、養殖魚に取り組む水産加工・卸会社が増えているのが現状です。

水産加工・卸業の特徴

水産加工・卸業が扱う魚介類の量は、国内消費量と輸出入量の影響を受けます。農林水産省のデータによると、日本国内の魚介類消費量は、2001年をピークに減少傾向が続き、2022年度の一人当たりの年間消費量は23.2kgと、ピーク時の半分以下になっています。近年は健康志向の高まりから、サケやマグロなどの人気が根強く、消費者のニーズも多様化しているのが現状です。

日本は魚介類の大幅な輸入超過国です。財務省貿易統計によると、2023年の水産物の輸入額は1兆7,838億円に対し、輸出額は4,365億円と、依然として輸入超過が続いています。特にサケ、エビ、マグロなどの輸入が多く、一方でホタテやカニ、ブリなどが主要な輸出品目となっています。水産系の高校・大学が全国に50校以上あり、その卒業生たちが水産関連産業の中核を担う人材です。
 

独自ルートで買い付けを行うスーパーマーケットの増加

近年、スーパーマーケットなどの大手小売店は、仲卸市場を通さずに独自ルートで直接仕入れを行うことで、安定した品質・価格の水産物を販売する流通システムを構築しています。この動きはさらに加速しており、2024年以降も卸売市場を介さない取引が増加する見込みです。これにより、既存の卸売市場の事業者は厳しい経営環境に置かれ、小規模事業者の減少は今後も続くと予測されます。そのため、各卸売事業者は、国内消費の減少を補うべく、海外市場への輸出拡大や高付加価値製品の開発といった戦略が喫緊の課題となっています。

多くの中小企業は赤字経営になっている

水産加工・卸業界では、全事業所の約8割が小規模事業者であり、その数は年々減少傾向にあります。人手不足や原材料費の高騰、流通コストの増加など、多岐にわたる環境の変化に対応するため、各事業者は付加価値の高い水産加工品の開発、ブランド化、および卸売ルートの効率化によるコスト削減に急ピッチで取り組んでいます。国も、水産業推進のため、水産物の安全性認定(HACCP導入支援など)や輸出の簡便化、漁業構造改革推進交付金など各種対策を講じ、業界の活性化を支援しています。

水産加工・卸業界の市場規模

経済産業省の調査によると、水産食料品製造業の事業所数は2023年6月時点で約4,800事業所と、減少傾向にあります。
農林水産省の「水産加工統計調査(令和5年確報)」によれば、2023年における食用加工品の生産量は前年比でさらに微減し、135万トンでした。

加工種類別では練り製品が依然として最も多く、全体の約33%を占めています。次に多いのが冷凍食品(シェア約16%)で、以下、塩蔵品(約10%)、塩干品(約8%)、節製品(約4%)、煮干し品(約3%)と続いています。また、生鮮冷凍水産物の生産量も、2023年は前年比で約3%減の104万トンとなっています。

水産加工・卸業界の課題と展望

現在、世界の魚介類の生産量は人口増加や健康志向の高まりを背景に右肩上がりに成長を続けています。一方で、食生活の変化、国内漁業資源の枯渇、遠洋漁業の衰退を背景に、日本の魚介類の生産量は年々減少しており、特に沿岸・沖合漁業での厳しさが増しています。水産業は、労働集約型で既存業者による生産性向上への取り組みが遅れがちと指摘される業界でしたが、近年はスマート漁業やAIを活用した養殖技術など、最新テクノロジーの導入による変革の動きが活発化しています。近畿大学の養殖クロマグロに代表されるような革新的な技術開発に加え、新たな技術やビジネスモデルを持つベンチャー企業への期待も高まっているのです。

2. 水産加工・卸業界のM&Aを加速させる業界再編と海外戦略

水産加工・卸業界の現在のM&A動向は、以下のような状況です。

  1. M&Aによる業界再編が起こり始めている
  2. 国内での需要減に伴う海外進出が増加している
  3. 海外市場を目指した養殖場などの買収も増加傾向

①M&Aによる業界再編が起こり始めている

国内の水産物消費量減少、原材料費高騰、そして国際的な水産物需要の増加といった急速な環境変化に対応するため、大手の水産加工・卸各社を中心にM&Aによる業界再編が活発化しています。この動きは国内企業間だけでなく、海外企業とのM&A・資本提携も積極的に進められています。M&Aを通じて、企業は水産物・水産加工物の輸出入拡大、国内外の流通網強化、安定的な水産物確保のための仕入れルート確立、そして持続可能な養殖施設の確保などを推進し、激変する業界環境への適応を図っています。特に、サプライチェーンの強化や、生産から加工、販売までを一貫して行う垂直統合型のM&Aが増加傾向にあります。

②国内での需要減に伴う海外進出が増加している

水産物の価格高騰、多様な食生活への変化、さらには人口減少の影響などにより、国内の水産物消費量は長期的な減少傾向にあり、今後も大幅な増加は見込みにくい状況です。

一方で、海外ではアジアをはじめとする新興国での生活水準向上に伴う健康志向の高まりや、日本食ブームの継続により、水産物需要が堅調に推移しています。特に、欧米市場においても、持続可能な水産物や高品質な加工品への関心が高まっています。

このような背景から、国内の水産加工・卸会社は、成長市場を求めて海外に拠点を新設したり、現地企業の買収・提携を進めたりと、海外戦略を強化しているのです。これにより、新たな販路開拓やブランド構築を図り、企業価値向上を目指しています。

③海外市場を目指した養殖場などの買収も増加傾向にある

国内では、漁獲量が大幅に減少した水産物が増えたことにより水産物価格が高騰しているなどの理由から、海外の養殖会社などを買収する企業が増加傾向です。特に需要の高さと費用の安さから、新興国での養殖場獲得が目立ちます。

スーパーマーケットの動向やM&A・売却・買収の事例、ポイントについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

3. 水産加工・卸業界でM&Aが選ばれる5つの戦略的理由

水産加工・卸会社では、以下のような目的でM&Aによる譲渡・売却が行われています。

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用を確保
  3. 個人保証・担保などを解消できる
  4. 競争の激化と将来性の不安
  5. 譲渡・売却益の獲得

①後継者問題の解決

水産加工・卸業界の事業者の大半を占める小規模事業者では、高齢化が進む経営者に比して、親族内での後継者不在や、後継者育成の準備不足が深刻な課題となっています。特に地方の中小企業においては、この問題が事業継続を脅かす最大の要因の一つです。このような状況下で、M&Aによる第三者への譲渡・売却は、培ってきた事業を存続させ、従業員の雇用を守るための有効な手段として選択されるケースが急速に増加しています。

②従業員の雇用の維持

M&Aによる譲渡・売却を行えば、事業とともに従業員も買収側に引き継いでもらえます。信頼できる相手企業に従業員を雇用してもらうことで、譲渡した企業の経営者も安心してリタイアできます。

③個人保証・担保などを解消できる

中小規模の水産加工・卸会社の場合、個人保証が原因で廃業を選択する経営者も少なくありません。しかし、第三者へのM&Aによる譲渡・売却を選択すれば、個人保証などの負担を解消できます。

④競争の激化と将来性の不安

国内消費量の減少、国内外での漁獲量変動、原材料費の高騰、そして流通システムの多様化と変化の加速により、多くの中小規模の水産加工・卸会社は厳しい経営環境に直面し、事業所数は減少の一途を辿っています。単独での事業継続が困難な状況において、M&Aによる大手・中堅企業の資本下に入ることは、経営基盤の強化、新たな販売チャネルの獲得、生産体制の効率化、そして最新技術の導入など、事業の立て直しや長期的な安定成長を実現するための戦略的な選択肢となり得ます。

⑤譲渡・売却益の獲得

自社を廃業したり、倒産してしまったりした場合、経営者自身の生活に支障が出る場合もあります。一方、M&Aによって譲渡・売却益を得られれば、リタイア後の生活資金や新事業向けの資金などさまざまな用途に活用できるのです。

4. 水産加工・卸業界のM&Aの成功事例に見る戦略的統合

ここでは、水産加工・卸業界関連のM&A事例として、以下の7事例を紹介します。

  1. 旭食品によるTFFAのM&A
  2. 紀文食品によるマルハニチロとの資本業務提携
  3. マルハニチロによるマリンアクセスのM&A
  4. マルセ秋山商店からハイブリッドラボへのM&Aによる譲渡・売却
  5. マルハニチロによる系列会社のTOB
  6. トーホーによるシンガポール水産卸会社のM&A
  7. インタークレストからジーエフシーへのM&Aによる譲渡・売却

①旭食品によるTFFAのM&A

食品卸大手の旭食品は2024年7月8日、オーストラリアのクイーンズランド州にある水産加工品の卸売りを行うThe Fish Factory Australia(TFFA)を買収したと発表しました。同日付でTFFAの発行済株式の80%を取得しましたが、投資額は公表されていません。

旭食品はアジアでの海外事業を強化しており、今回の買収を通じてオセアニアでも水産加工品の卸売事業を拡大する方針です。

当社事業会社の旭食品株式会社による The Fish Factory Australia Pty Ltd の株式取得に関するお知らせ

②紀文食品によるマルハニチロとの資本業務提携

紀文食品は、2024年3月25日に開催された取締役会で、マルハニチロとの間で資本業務提携契約を締結することを決議しました。

紀文食品は、「紀文ブランド」のもとで国内外に水産練り製品を提供し、高い顧客価値を追求しています。

マルハニチロは、世界の「食」に貢献する企業として、多様化する消費者ニーズに対応する総合食品企業を目指して経営に取り組んでいます。

今回の提携契約は、両社の食品事業の拡大を目的としています。各社の強みを活かし、国内外での食品事業の協業を進めるとともに、共同での新製品開発により新市場の創出を目指します。これにより、顧客価値の向上と両社の企業価値の向上を図ります。

③マルハニチロによるマリンアクセスのM&A

マルハニチロは、マリンアクセスの株式を日本アクセスから取得することで合意し、契約を締結しました。これにより、マリンアクセスはマルハニチログループの一員となる予定です。マルハニチロは、マリンアクセスの発行済株式の65%を取得します。

日本アクセスは、食品、水産物、農産物、畜産物、花卉などの販売、輸出入、買付、加工、商品企画、開発、品質検査、分析業務を行い、貨物自動車運送事業、食品安全コンサルタント業務、情報処理サービス業務も手掛けています。

マリンアクセスは静岡県に拠点を持ち、マグロを中心とした水産物の調達、加工(刺身・ネギトロ等)、超低温冷凍保管、販売までの一連の事業を展開しています。

このM&Aにより、マルハニチロはマグロ事業のさらなる拡大を図り、顧客に対するサービスの向上を目指します。

株式会社マリンアクセスと株式会社マルハニチロリテールサービスの 統合に向けた協議開始のお知らせ

④マルセ秋山商店からハイブリッドラボへのM&Aによる譲渡・売却

2020年6月、ラックランドの完全子会社であるハイブリッドラボが、破産会社であるマルセ秋山商店から不動産を譲受し、水産加工事業と食品加工技術の研究開発事業を開始しました

ハイブリッドラボは、不動産の譲受をきっかけとして、本社を宮城県仙台市から石巻市へ移転しました。

本M&Aを通じて、ハイブリッドラボの飲食店支援事業やスタートアップ支援事業を推進し、グループ全体としてシナジー創出を目指しています。

⑤マルハニチロによる系列会社のTOB

2020年3月から5月にかけて、マルハニチロは、その子会社と合わせてすでに約50%の株を保有していた水産卸大手の大都魚類に対し、TOB(株式の公開買い付け)を実施しました。

TOBは成功し、マルハニチロは大都魚類の約90%の株式を所有することとなったため、6月には大都魚類は上場廃止しています。

大都魚類を完全子会社化したマルハニチロとしては、自社のノウハウや流通網をダイレクトに大都魚類に反映させ、経営の効率化と業績拡大を図る考えです。

⑥トーホーによるシンガポール水産卸会社のM&A

2019年8月、トーホーは、シンガポールで水産品卸売事業を行うGolden Ocean seafood(S)Pte Ltdを株式譲渡により子会社化しました。

これにより、トーホーグループは、シンガポールで行っている食品卸売事業に、水産品をラインアップとして加えています

⑦インタークレストからジーエフシーへのM&Aによる譲渡・売却

2019年2月、水産物の輸入・販売を行うインタークレストは、業務用加工食品の製造・卸を行うジーエフシーへ株式譲渡を行い子会社となりました。これにより、ジーエフシーは、水産加工品分野の事業内容を充実させています。

5. 水産加工・卸業界のM&Aを成功させるための具体的なステップと留意点

M&Aの専門家との連携が成功の鍵

水産加工・卸業界のM&Aを検討する際、専門的な知識と経験を持つM&Aアドバイザーや仲介会社との連携は、成功の確率を大きく高めます。水産業界特有の商習慣、季節性、流通経路、許認可、さらに海外事業における法規制や文化の違いなどを理解している専門家は、適切な相手企業のマッチング、企業価値評価の適正化、複雑な交渉プロセスの円滑な進行、そして契約書作成までを強力にサポートしてくれます。特に中小企業の場合、M&Aのプロセスを自社だけで進めるのは非常に困難であり、専門家のサポートなしには予期せぬトラブルや不利な条件での取引を招くリスクが高まるでしょう。
 

企業価値評価の重要性と算定方法

M&Aにおける企業価値評価は、譲渡・譲受価格を決定するための重要なプロセスです。水産加工・卸業界の企業価値評価では、単に過去の財務諸表だけでなく、将来の収益性、保有する加工技術、ブランド力、特定の仕入れルートや販売チャネル、養殖施設や漁業権などの特殊な資産、さらには従業員のスキルや経験といった無形資産も総合的に評価されます。主な算定方法としては、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)による将来の収益予測、類似会社比較法による同業他社との比較、純資産法による帳簿上の資産価値評価などがあり、これらを組み合わせて多角的に評価することが一般的です。適正な企業価値評価は、双方にとって納得のいくM&Aを実現するために不可欠です。
 

譲渡後の統合プロセス(PMI)を見据えた戦略

M&Aは契約締結がゴールではなく、その後の統合プロセス(PMI: Post Merger Integration)が成功の成否を分ける最も重要なフェーズです。水産加工・卸業界のM&Aにおいても、統合計画を事前に綿密に策定することが求められます。具体的には、文化の異なる組織間の融合、従業員のモチベーション維持、事業シナジーの早期実現、重複する業務プロセスの統合、ITシステムの連携などが挙げられます。特に水産業界では、現場でのノウハウや人的ネットワークが強みとなるため、譲渡元の強みを最大限に活かしつつ、譲受企業の経営資源と組み合わせるための円滑なコミュニケーションと具体的な施策が不可欠です。PMIを成功させることで、期待されるシナジー効果を最大化し、長期的な企業価値向上へと繋げることができます。
 

6. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却価格の相場

水産加工・卸業のM&Aでの買収側は、主に商品ラインアップの拡充や輸出入の強化、養殖魚の確保、流通網など業務の効率化を目的としてM&Aを行います。

譲渡・売却側が、ブランド力のある商品を持っているか、輸出入実績があるか、独自の流通ルートを持っているかなどが、M&A価格に影響するのです。

ただし、近年の中小規模の水産加工・卸会社のM&Aでは、収益力の低下や赤字により、相場よりも安く事業を譲渡・売却しているケースも見られます。

7. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却・事業承継で失敗しない方法5選

水産加工・卸業界でM&Aによる譲渡・売却・事業承継を失敗しないためには、以下のポイントを意識して進める必要があります。
 

  1. 計画的にM&Aの準備をする
  2. 顧客・取引先・収益などのデータをまとめる
  3. M&Aの目的を明確にする
  4. 希望条件をはっきりと決める
  5. M&Aの専門家に相談する

①計画的にM&Aの準備をする

水産加工・卸会社がM&Aを行う場合、事前に譲渡・売却の計画・戦略を綿密に準備しておくことが大切です。

計画を立てることですべきことが明確になり、最適な条件でのM&Aが可能になります。まずは、M&Aの専門家に相談するなどして、準備するようにしましょう。

②顧客・取引先・収益などのデータをまとめる

小規模の水産加工・卸会社ほど、顧客・取引先・収益などのデータが整理されていないケースは少なくありません

買収側は、相手企業の顧客・取引先・収益などのデータを基にM&A価格などを決めていくので、正確なデータを提出することは大事なプロセスです。

③M&Aの目的を明確にする

売却側がM&Aの目的を明確にすることで、仲介する専門家や相手企業のスタンスも明確になり、手続きや交渉が進めやすくなります

目的や目標数値があいまいな場合は、M&Aの専門家に相談して確認し、明確化しておくようにしましょう。

④希望条件をはっきりと決める

希望条件があいまいだと、交渉時に相手に振り回されたり、不利な条件での成約成立になってしまいます

条件提示の相場観がよくわからない場合は、M&Aの専門家などからアドバイスをもらいながら明確にしておくとよいでしょう。

⑤M&Aの専門家に相談する

M&Aの専門家に相談することでM&Aの手続きが進められるだけでなく、不安点の解決やM&A後のフォローも受けられます。

M&Aを検討し始めたら、まずは早めに専門家へ相談することが最適なM&Aの成立・成功につながります。

8. 水産加工・卸のM&A・譲渡・売却・事業承継のまとめ

水産加工・卸業のM&Aを行う際は、事前にしっかりと計画をたて、ポイントを意識して進めることが大切です。本記事の概要は、以下のようになります。

【水産加工・卸業のM&A動向】

  1. M&Aによる業界再編が起こり始めている
  2. 消費量が減少傾向にある
  3. スーパーマーケットでは独自ルートで買い付けを行う
  4. 多くの中小企業は赤字経営になっている
  5. 海外市場を目指した養殖場などの買収も増加傾向

【水産加工・卸会社がM&Aによる譲渡・売却を行う理由】
  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用先を確保
  3. 個人保証・担保などを解消できる
  4. 競争の激化と将来性の不安
  5. 譲渡・売却益の獲得

【水産加工・卸業界でM&Aによる譲渡・売却を成功させるポイント】
  1. 計画的にM&Aの準備をする
  2. 顧客・取引先・収益などのデータをまとめる
  3. M&Aの目的を明確にする
  4. 希望条件をはっきりと決める
  5. M&Aの専門家に相談する

水産加工・卸業界でM&Aを成功させるためには、計画的・戦略的なM&Aを行うことが重要です。戦略策定には、専門的な知識や見解も必要となるため、専門家のサポート下で進めることをおすすめします。

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