TOB(株式公開買付)とは?メリットや株価影響を解説!わかりやすい事例20選!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

TOB(株式公開買付)とは、株式取引市場外で一定ルールの下、対象企業の株式を買い集める方法です。本記事では、TOBとはどのような方法なのか、その意味やメリット・デメリット、株価への影響などを解説します。また、過去に行われたTOBの事例もご紹介します。

目次

  1. TOB(株式公開買付)とは
  2. TOB(株式公開買付)の目的
  3. TOB(株式公開買付)の流れ・買い方・売り方
  4. TOB(株式公開買付)のメリット
  5. TOB(株式公開買付)のデメリット
  6. TOB(株式公開買付)による株価の影響
  7. TOB(株式公開買付)の事例20選
  8. TOB(株式公開買付)の主な防衛策
  9. TOB(株式公開買付)の相談先
  10. まとめ
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1. TOB(株式公開買付)とは

TOB(株式公開買付)とは

TOB(株式公開買付)とは、相手企業を買収したい企業や関連会社・子会社への支配権を高めたい企業が、相手企業の株式を市場外で買い集める手法のことです。

TOBは「Take Over Bid」の略称であり、Take overは企業の取得、Bidは入札という意味です。「Take Over Bid」で、入札による企業の取得つまり株式公開買付で企業を買収する、という意味になります。

TOBは、市場で株式を買い集める場合よりも、一定の資金で多くの株式を集めやすい方法ですが、法令で定められた規則に従って行う必要があります。

また、TOBは当事会社の関係によって、友好的TOBまたは敵対的TOBと呼ばれることがあります。

友好的TOBと敵対的TOBの違い

友好的TOBとは、買収側の提案に被買収側が同意して行われるTOBを意味します。日本国内で行われるTOBのほとんどは友好的TOBです。

対して、敵対的TOBとは、買収企業の提案を被買収企業が受け入れなかった場合のTOBを意味します。敵対的TOBでは多くの場合、被買収企業は敵対企業に対して買収防衛策をとります。

日本では、企業同士の株式持合い解消が増えたことや、日本特有の企業体質によって割安な企業が存在したことで、外資系投資ファンドなどからの敵対的TOBが一時期増加したことがありました。

そのような背景により、日本でも敵対的TOBが注目されるようになります。

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2. TOB(株式公開買付)の目的

TOB(株式公開買付)の目的

企業がTOBを行う理由には、主に以下の目的があります。
 

  1. 経営の実権を握るため
  2. 自社株を買い集めるため

①経営の実権を握るため

相手企業の経営権を得るための手段として、TOBを選択することがあります。

経営権を得る目的は企業によってさまざまです。事業シナジーを得るためや、経営改善によって株価を上げ、売却益を得るために経営権を取得するためなどの目的があります。

相手企業への影響力は、持ち株比率によって変わります。

持ち株比率による権利

持ち株比率が3分の1を超えると、重要な決定に対する拒否権を得ることができ、企業同士の場合、相手企業は関連会社となります。

持ち株比率が2分の1を超えると、相手企業は子会社となり、重要事項以外の決定権が得られます。また、持ち株比率が3分の2を超えると、企業経営の根本に関わる重要な決定を行うことができます。

持ち株比率が100%になると、相手企業は完全子会社となり、すべての決定権を得ることができます。

②自社株を買い集めるため

TOBは他社の経営権を得る目的以外にも、自社株を集める際にも用いられます。

自社株を買い集める理由は、自社を上場廃止にするためや、他社からの買収を防ぐため、1株あたりの価値を高めるためなどさまざまです。

ただし、自社株買いには法令による規制があるので、自由に行えるわけではありません。

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3. TOB(株式公開買付)の流れ・買い方・売り方

TOB(株式公開買付)の流れ・買い方・売り方

TOBには、法令で定められた買い方・売り方があります。この章では、以下のTOBの流れ・買い方・売り方について、簡単に解説します。
 

  1. 既存株主向けにTOBを発表する
  2. 既存株主が証券取引所にて売却
  3. 予約数の株式を取得

①既存株主向けにTOBを発表する

TOBを行う企業は、被買収企業の株主にTOBを周知する必要があります。TOBの公告は、EDINETか日刊新聞上で行います。EDINETとは、Web上の公告を指します。

公告では、募集株式数の上限や下限、TOB価格、TOB期間などを記載します。TOBの広告内容を基に、対象株主は株式の売り方を選択します。

②既存株主が証券取引所にて売却

対象株主はTOB期間の間に保有株式の売り方を決めます。株式の売り方には、TOBに応じる市場外での売り方か、TOBに応じない市場での売り方があります。

TOBに応じる売り方の場合は、TOBの幹事となっている証券会社に、口座を開いて株を移管します。すでに幹事証券会社に口座がある場合は、上記の手続きは必要ありません。

TOBに応じない市場での売り方は、通常の市場取引と同じです。

売却時期に注意

株式の買取希望数が買収企業の募集上限を超えた場合、TOBに応じて市場外での売り方を選択しても買い取ってもらえないことがあります。そのため、TOBに応じず市場での売り方を選択する株主もいます。

しかし、市場で株式を売却する場合は、売却時期に注意が必要です。多くの場合、TOB価格に合わせて株価も上昇していきますが、TOBの終了と共に株価も下落していくケースが多いので、売り時を逃すと機会損失につながります。

対象株主は、売り方ごとのメリット・デメリットや売却タイミングに注意が必要であるといえます。

③予約数の株式を取得

買収企業は、TOBの結果、募集株式数を満たしていればTOBが成立します。募集株式数に満たなかった場合はTOBは不成立となり、募集株式数以上集まった場合は、抽選となります。

買収企業は、TOBの結果を報告書の形で公開する必要があります。

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4. TOB(株式公開買付)のメリット

TOB(株式公開買付)のメリット

TOBには他の買収方法にはないメリットがあります。買収側と売却側のメリットについて解説します。

買収側

買収側には以下のメリットがあります。

  1. 買収成立までのスケジュール管理がしやすい
  2. 手間が少ない
  3. 株価の変動に惑わされない
  4. 予定数の株式を取得できない場合はキャンセルできる

①買収成立までのスケジュール管理がしやすい

市場で株式を買い集める場合、目標株式数に達するまでどのくらいの期間が必要か、予測が難しくなります。しかし、TOBの場合は期間を定めて行われるため、スケジュール管理が容易です。

買収は期間が長引くほど負担も大きくなりがちですが、スケジュールが見通しやすいので、負担量も予測しやすい点がメリットといえます。

②手間が少ない

TOBは株式譲渡や事業譲渡といったM&A手法に比べて、手続きにかかる手間が少ない点もメリットであるといえます。

買収の際に株主総会を開催する必要がなく、買収先企業の取引先や従業員との再契約も基本的には必要ありません。

③株価の変動に惑わされない

TOBでは価格を決めて株式を買い取るので、市場の株価によって思わぬ資金が出て行くということはありません。

ただし、同じくTOBを行う相手がいた場合は、TOB価格の吊り上げ合戦になることもあります。

④予定数の株式を取得できない場合はキャンセルできる

予定株式数に満たない場合はTOB自体をキャンセルできる点もメリットです。市場で株式を買い集める場合、結果的に目標株式数に満たなかったとしても、買い集めた分の株式は手元に残ってしまいます。

しかし、TOBであればすべての株式をキャンセルできるので、中途半端な株式が残ることはありません。

売却側

売却側には、主に以下のメリットがあります。

  1. 大きなリターンを得やすい
  2. 株価の変動に惑わされない

①大きなリターンを得やすい

TOBでは、参考とする期日の株価に、2割から5割程度のプレミア価格を乗せて募集します。そのため、被買収企業の株主は、直近の相場よりも高く株式を売却できます。

ただし、前述したように、売り方や売るタイミングに注意しなければ、機会損失になることもあります。

②株価の変動に惑わされない

TOBに応じて株式を売却する場合、TOB価格で株式を売却できます。市場での売却のように株価の変動に振り回されずに済む点がメリットです。

場合によっては、買収企業が当初のTOB価格からさらに価格を上げることもあります。株主は売却益を予測しやすい安心感があります。

5. TOB(株式公開買付)のデメリット

TOB(株式公開買付)のデメリット

TOBにはメリットも多いですが、当然デメリットも存在します。ここでは、買収側と売却側のデメリットについて解説します。

買収側

買収側には以下のデメリットがあります。

  1. 抵抗勢力により損な取引をされる可能性がある
  2. 買い付けを公開する必要があること

①抵抗勢力により損な取引をされる可能性がある

買収先企業が買収提案に同意しなかった場合に、TOBを強行すると敵対的TOBとなります。敵対的TOBを仕掛けた場合、買収先企業はさまざまな買収防衛策によって抵抗します。

結果的に買収に成功したとしても、予定外の買収資金を失うことや、企業価値の下がった企業を買収することにもなりかねません。

②買い付けを公開する必要があること

TOBでは株主平等の原則から、公開買付に関する情報を公開しなければなりません

TOBに関するやりとりが多くの人の目に触れることとなるため、もしTOBの過程でトラブルなどがあった場合、企業イメージを損なうこともあります。

売却側

売却側には以下のデメリットがあります。

  1. 売却後に損をしていることがある

①売却後に損をしていることがある

敵対的TOBの場合、被買収企業は買収防衛策として、さまざまな施策を行います。

買収防衛策の中には、被買収企業自身もデメリットを背負う防衛策もあります。そのため、買収防衛策が成功したとしても株価が下がり、売り方によっては株主が損をする場合があります。

また、買収防衛策が株主保護の観点から不当と判断された場合は、差し止めを受けて防衛策を行うことができません。

いずれの場合も株価が下がり、売り方や売るタイミングによっては、株主が損をする可能性があります。

6. TOB(株式公開買付)による株価の影響

TOB(株式公開買付)による株価の影響

TOBが友好的だった場合、買収企業にも被買収企業にもメリットが大きい買収と判断されれば株価は上昇します。メリットが不明確な場合でも、多くの場合TOB価格に合わせて一時的に株価が上昇するケースが大半です。

敵対的TOBの場合も、買収企業の目的が事業目的ではなく投資目的の買収だったとしても、買収理由に合理性がある場合は株価が上昇します。

また、TOB価格に合わせて一時的に株価が上昇することが大半です。ただし、被買収企業の買収拒否理由や防衛策が株主利益を無視した内容だった場合、株価が下落することもあります。

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7. TOB(株式公開買付)の事例20選

TOB(株式公開買付)の事例20選

ここからは、実際にTOBの事例についてご紹介します。ご紹介する事例は、以下の20選です。
 

  1. 川崎化成工業のTOB
  2. ソレキアのTOB
  3. 阪神電気鉄道のTOB
  4. ブルドックソースのTOB
  5. アコムのTOB
  6. ニッポン放送のTOB
  7. ボーダフォン日本法人のTOB
  8. すかいらーくのTOB
  9. キリンビバレッジのTOB
  10. 三菱伸銅のTOB
  11. クラリオンのTOB
  12. 住商リースのTOB
  13. メルシャンのTOB
  14. サンテレホンのTOB
  15. パナソニック電工及び三洋電機のTOB
  16. プロミスのTOB
  17. サークルKサンクスのTOB
  18. デサントのTOB
  19. エヌジェーケーのTOB
  20. 明星食品のTOB

①川崎化成工業のTOB

川崎化成工業株式会社の親会社であるエアウォーター株式会社は、2018年に川崎化成の株式をTOBによって取得しています。

TOB価格は、公開買付発表日前日の終値株価236円に44.07%のプレミア価格を乗せた、340円で行われました。

TOBにより、川崎化成工業は東証2部の上場基準から外れるため、TOB完了後に上場廃止となっています。エアウォーターは、2015年に川崎化成工業を連結子会社化したものの、川崎化成工業の業績は厳しい状態が続きました。

また、エアウォーターも化学会社として、ファインケミカル事業を成長させる計画でしたが、製品開発や事業拡大に苦戦してました。(ファインケミカルとは、高機能な化学製品のこと)

ファインケミカル事業を成長させるには、エアウォーターと川崎化成工業とのさらなる連携が必要と考え、本TOBに至りました。

②ソレキアのTOB

電子部品商社のソレキアは2017年、実業家として有名な佐々木ベジ氏によって敵対的なTOBを仕掛けられました。

ソレキアは対抗策として富士通によるホワイトナイトを要請しましたが、TOB価格の争いにより株価が高騰し、富士通のホワイトナイトは失敗に終わっています。

ホワイトナイトとは、被買収企業に友好的な企業が、敵対的買収に対抗して株式を買い集める防衛策を意味します。

佐々木ベジ氏が、ソレキアに対してTOBを行うことを発表した時点でのソレキア株価は約2,300円でしたが、佐々木ベジ氏の提示したTOB価格は最終的に5,400円まで釣り上がりました。

佐々木ベジ氏はソレキアの企業価値と株価が乖離しているとして買収を仕掛け、対する富士通はソレキアとの事業シナジーを高めるという名目でTOBを行いました。

③阪神電気鉄道のTOB

2005年、投資家の村上世彰氏率いる村上ファンドが市場で株式を買い進めたことにより、阪神電鉄の筆頭株主となりました。

当時の阪神電鉄は、時価総額と実際の企業価値が大きく乖離している状態でした。つまり、阪神電鉄株をすべて取得した後すぐ上場廃止にして解散するだけで、大きな利益が出る状態を意味します。

この要因は、阪神電鉄の不動産価値が正確に株価に反映されていないことにあり、それに気付いた村上世彰氏は筆頭株主となり、株価を上げるためのさまざまな提案をしますが、阪神電鉄の経営陣は受け入れませんでした。

逆に阪急電鉄は村上ファンドに対抗するため、2006年阪急HDによる友好的TOBに合意、TOB価格は930円でした。

この時村上世彰氏は、日本放送株式のインサイダー取引疑惑で逮捕されたため、村上ファンドは阪急HDのTOBに応じ、阪神電鉄株式を手放しています。

④ブルドックソースのTOB

ブルドックソースは2007年、投資ファンドのスティール・パートナーズから敵対的なTOBを仕掛けられました。TOB価格は、当時の株価にプレミア価格を乗せた1584円でした。

TOBを阻止するため、ブルドックソースは買収防衛策としてポイズンピルを用います。ポイズンピルとは、敵対的買収者以外の株主に新株を発行して交付することで、敵対的買収者の持ち株比率を下げる買収防衛策です。

ブルドックソースの場合は、スティール・パートナーズも含めたすべての株主に新株予約権を発行し、スティールパートナーズ以外の株主が、権利を行使した場合は株式を交付することとしました。

問題となったのは、スティール・パートナーズに対してのみ、対価として株式ではなく現金交付にしたことです。これが株主平等の原則に違反するのではないかとスティール・パートナーズに訴えられます。

しかし、裁判ではブルドックソースの正当性が認められており、この判決は、日本での買収防衛策の功罪について大きな意味を持つ判断となります。

その後スティール・パートナーズはブルドックソース株をすべて売却して撤退しました。

⑤アコムのTOB

消費者金融大手のアコムは2008年、アコムの大株主であった三菱UFJフィナンシャルグループのTOBによって、連結子会社化されました。TOB価格は、参考価格の3,130 円にプレミア価格を乗せた4,000円です。

当時は、消費者金融のグレーゾーン金利が問題となっていて、アコムも体質改善が必要な状態でした。グレーゾーン金利とは、出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の差を利用した貸出方法のことで、これにより多額の過払い金が発生していました。

MUFGの関連会社であったアコムは、TOBによって連結子会社となり、収益構造の改善に取り組みました。また、ライバルであった三井住友フィナンシャルグループとプロミスのグループとも勝負できる体制ができました。

⑥ニッポン放送のTOB

フジテレビなどをグループ企業に持つフジサンケイグループは2005年、親会社であるニッポン放送株をTOBによって取得することを発表、TOB価格は5,950円でした。

しかしTOB期間中に、ホリエモンこと堀江貴文氏が代表を務めるライブドアが、ニッポン放送株を市場で買い進めていることが判明します。

ニッポン放送はフジサンケイグループの親会社ではありましたが、フジサンケイグループの方が圧倒的に企業規模が大きくなっていました。

わかりやすく言うと、10億円でニッポン放送を手に入れると、100億円のフジサンケイグループも一緒に手に入るというねじれた状態を意味します。

この親子関係を修正するために、フジサンケイグループはニッポン放送株をTOBによって取得することとしましたが、同じくこの構造に気付いたライブドアがニッポン放送株を買い集めていました。

結果的にフジテレビとライブドアは和解し、フジサンケイグループはライブドアの保有するニッポン放送株を6,300円で取得しました。

⑦ボーダフォン日本法人のTOB

ボーダフォン日本法人は2006年、当時ソフトバンクグループの子会社だったBBモバイルを通じて、TOBによって買収されました。買収金額は約89億ポンド(当時のレートで約1兆7500億円)と、かなりの大型買収です。

当時携帯事業への参入を目指していたソフトバンクは、新規参入では環境整備に多くの時間が必要となることから、ボーダフォン日本法人の買収によって短期間での携帯事業参入を実現しました。

この買収によって、ボーダフォンはソフトバンクモバイルと商号を変更しています。

⑧すかいらーくのTOB

外食チェーンのすかいらーくは2006年、MBOによって上場廃止となりました。MBOとは、上場企業の経営陣が自社の株式を買い取ることで上場廃止し、株価に振り回されることなく企業価値の向上を目指す方法を意味します。

すかいらーくのMBO手法は、野村HDが特別目的会社を通じてすかいらーくにTOBを行うというものでした。特別目的会社とは、事業を行わず特定の目的のためだけに作られる会社のことです。

TOB価格は2,500円に設定されました。上場廃止から約8年後の2014年、すかいらーくは再上場し、株価は上場直後から上昇し続け、好調を維持しています。

⑨キリンビバレッジのTOB

キリンビールは2007年、純粋持株会社制に移行するため、子会社のキリンビバレッジ株をTOBによって約97%まで取得し、その後株式交換によって完全子会社化しています。TOB価格は3,350円でした。

純粋持株会社とは、親会社自身は事業を行わずに子会社を管理し、子会社の配当を収益とするグループ企業の形態です。これによりキリンビバレッジは、東証1部から上場廃止となりました。

⑩三菱伸銅のTOB

三菱伸銅は2006年、三菱マテリアルのTOBによって連結子会社となりました。TOB価格は450円で、三菱マテリアルのTOB発表によって、三菱伸銅の株価は大きく上昇しました。

その後、三菱マテリアルと株式交換を行って完全子会社となり、上場廃止しています。

三菱マテリアルにとって、銅事業は主力の1つであるため、三菱伸銅を完全子会社化することで、銅製品の開発を効率良く行える体制を築きました。

⑪クラリオンのTOB

カーナビ・カーオーディオメーカーのクラリオンは2019年、仏自動車部品メーカーであるフォルシアのTOBによって完全子会社化されました。TOB価格は2,500円です。これにより、クラリオンは東証1部から上場廃止となっています。

クラリオンは日立製作所の子会社でしたが、クラリオンの業績低迷や、日立製作所が将来性のある事業に投資を集中させるため、今回のクラリオン売却に至りました。

日立製作所が、クラリオン売却を発表してからクラリオン株は上昇し続け、最終的には2,495円の高値圏で推移しました。

⑫住商リースのTOB

住友商事の関連会社である住商リースは2006年、最終的に三井住友銀リースとの合併を目的として、住友商事のTOBによって子会社化、その後株式交換によって完全子会社化されました。TOB価格は7,000円でした。

住友商事と三井住友フィナンシャルグループは、リース事業を戦略的共同事業と位置付け、それぞれのリース子会社を合併することによって、国内ナンバー1の取扱高と経営体質の強化を目指しました。

住商リースと三井住友銀リースが合併して、2007年に生まれた三井住友ファイナンス&リース株式会社は、2019年現在オリックス株式会社に次ぐ売上高を上げています。

⑬メルシャンのTOB

メルシャンは2006年、キリンビールのTOBによって子会社化されました。2007年にはキリンビールが純粋持株会社制になり、社名もキリンホールディングスとなったことから、メルシャンはキリンホールディングスの事業子会社となっています。

当時キリンホールディングスは積極的なM&Aによる成長を目指していて、メルシャンのワイン分野におけるブランド力を取り込むことで、種類事業の総合的な強化を目指しました。

しかし、2010年にはメルシャンの業績悪化や社員の不正取引をきっかけに、キリンホールディングスによって完全子会社化されることとなり、管理体制が強化されました。これによりメルシャンは上場廃止となっています。

⑭サンテレホンのTOB

情報通信機器の開発などを行なっているサンテレホンは2007年、MBO(経営陣による自社株買い)によるTOBを行い、上場廃止となりました。

サンテレホンは当時東証1部に上場していましたが、上場基準を下回ったため、東証2部へ指定替えの猶予期間中でした。指定替えとは、上の市場へ昇格、または下の市場へ降格となることです。

サンテレホンの場合、東証2部に指定替えになるということは、株価が大きく下がる可能性があることを意味します。

株価の下落を阻止するため、当時大株主であった投資ファンドのダルトン・インベストメントは、サンテレホン自ら上場廃止することを要求し、最終的にサンテレホンは上場廃止、ダルトンは他社に保有株式を売却しています。

⑮パナソニック電工及び三洋電機のTOB

三洋電機は2009年、パナソニックのTOBによって子会社となりました。

三洋電機は2005年頃から経営再建策を模索し続け、2007年から2008年頃に結果が出始めました。その矢先にパナソニックによる友好的TOBの話が浮上し、結果的にパナソニックグループに加わります。

2010年には、パナソニックグループ再編のため、パナソニックとパナソニック電工、三洋電機の事業統合が始まりました。

その結果、2011年にパナソニックによるTOBと株式交換が行われ、三洋電機は完全子会社となり上場廃止しています。

しかし三洋電機の買収はパナソニックにとって高い買い物となり、数年間の事業整理の末、三洋電機は事実上消滅することとなりました。

⑯プロミスのTOB

消費者金融のプロミスは2011年から2012年にかけて、三井住友銀行のTOBと三井住友フィナンシャルグループの株式交換により、完全子会社となりました。

これによりプロミスは上場廃止となり、商号は「SMBCコンシューマーファイナンス株式会社」と変わりました。

当時はグレーゾーン金利問題などで厳しい状況にあった消費者金融業界ですが、三井住友フィナンシャルグループはチャンスと捉えてプロミスの買収に至っています。

⑰サークルKサンクスのTOB

サークルKサンクスは2012年、親会社のユニーグループ・ホールディングスによるTOBで,完全子会社となりました。TOB価格は約34%のプレミア価格を乗せた1,780円で、さらに2013年には持株会社制に移行しています。

サークルKとサンクスは、競合他社との競争に遅れをとっていることから統合したものの、思うように業績を伸ばすことはできませんでした。そこでさらなる連携を深めるため、TOBによる完全子会社化と持ち株会社化を行いました。

しかしその後も苦戦が続き、サークルKサンクスは、2016年にユニーグループ・ホールディングスがファミリーマートに吸収合併されたことにより、サークルKとサンクスの店舗は約2年かけて、ファミリーマートに変更されました。

⑱デサントのTOB

スポーツウェアメーカーのデサントは、2019年伊藤忠商事によって敵対的なTOBを仕掛けられました。

伊藤忠商事は参考株価の1.5倍近くにもなる、2,800円のプレミア価格を乗せてTOBを行い、募集を大幅に超える売却希望が集まりました。

デサントと伊藤忠は交渉を続けてきたものの、伊藤忠の発言権が強まっていくにつれて、デサントは不利な立場に追い込まれていきます。

最終的に伊藤忠のTOBは成功し、創業家出身のデサント社長は退陣することとなりました。今後伊藤忠はデサントの経営を方向修正しながら、デサント社員の理解を得ていく計画です。

⑲エヌジェーケーのTOB

SIerのエヌジェーケーは2016年、親会社のNTTデータによるTOBで完全子会社となりました。SIerとはシステムインテグレーターの略で、企業の情報システムを開発するシステム会社のことを意味します。

TOB価格は675円で、参考株価に約40%のプレミア価格を乗せた価格となりました。NTTデータはエヌジェーケーとの連携を深めることで、お互いのシナジー効果を期待しています。

エヌジェーケーは、2019年4月に商号を「株式会社NTTデータNJK」に変更しています。

⑳明星食品のTOB

明星食品は2006年、米投資ファンドのスティール・パートナーズからTOBを行うと宣言されました。これに対して明星食品は抵抗を示し、敵対的TOBの形となります。

数社から明星食品へのホワイトナイトの提案があった中、日清食品が明星食品にTOBを行う形で救済しました。

スティール・パートナーズのTOB価格700円に対して、日清食品のTOB価格は870円であったため、スティール・パートナーズの募集に応じる株主はいませんでした。

ホワイトナイトは成功し、明星食品は日清食品の完全子会社となり、上場廃止しています。

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8. TOB(株式公開買付)の主な防衛策

TOB(株式公開買付)の主な防衛策

TOBにはさまざまな防衛策がありますが、主に以下の防衛策が用いられます。

  1. ホワイトナイト
  2. ポイズンピル
  3. 焦土作戦
  4. 株主価値の向上

①ホワイトナイト

ホワイトナイトとは、敵対的買収に対して友好的な買収企業に助けてもらう防衛策を意味します。

敵対相手よりも高いTOB価格で株式を買い取る方法や、被買収企業の第三者割当増資を買う方法があります。

ただし、ホワイトナイト企業は被買収企業株式を割高で手に入れることになるリスクがあります。また、被買収企業も売却先が変わるだけで、独立性は失われます。

ホワイトナイトを使う場合は、別のリスクも考慮しなければなりません。

②ポイズンピル

ポイズンピルとは、既存株主に新株を発行することによって、敵対的買収相手の持株比率を相対的に下げる方法です。ホワイトナイトと違い、協力者を探す必要がない点がメリットです。

ただし、ポイズンピルはあらかじめ定款で定めていないと利用できません。また、株主の利益を損なう可能性があるため、裁判所に差し止められる可能性があります。

③焦土作戦

焦土作戦とは、自社の事業や資産を切り離すことによって企業価値を下げ、敵対相手に買収を諦めさせる方法です。

焦土作戦は株主の承認が必要なことや、企業価値が低下すること、敵対相手の判断次第で意味がなくなることから、ホワイトナイトやポイズンピルが使えなかった場合の最終手段として使われることがあります。

④株主価値の向上

買収防衛策として最も健全な方法が、株主価値の向上です。日本企業はこれまで必要以上の内部留保や不動産の保有などによって、株主に十分な利益還元を行ってきませんでした。そのことが外資企業や投資ファンドに狙われる要因となっていました。

しかし、本記事でご紹介したような敵対的買収が注目されたことで、日本でも株主を大事にする意識が広がってきています。

9. TOB(株式公開買付)の相談先

TOB(株式公開買付)の相談先

TOBでは、相手企業との交渉が重要ですが、それに加え株主の理解を得ることも必要です。TOBを円滑に進めるには、M&Aの専門家によるサポートが欠かせません。

M&A総合研究所では、実務経験豊富な公認会計士が少数精鋭で迅速にサポートします。手数料は業界最安水準となっていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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10. まとめ

まとめ

本記事では、TOB(株式公開買付)とはどのような方法なのか、意味やメリット、株価への影響などを事例と共にご紹介してきました。

企業は主に以下の目的でTOBを行います。

  1. 経営の実権を握るため
  2. 自社株を買い集めるため

TOBを行う主なメリットは以下の通りです。

買収側
  1. 買収成立までのスケジュール管理がしやすい
  2. 手間が少ない
  3. 株価の変動に惑わされない
  4. 予定数の株式を取得できない場合はキャンセルできる

売却側
  1. 大きなリターンを得やすい
  2. 株価の変動に惑わされない

また、TOBには以下のデメリットもあります。

買収側
  1. 抵抗勢力により損な取引をされる可能性がある
  2. 買い付けを公開する必要があること

売却側
  1. 売却後に損をしていることがある

TOBでは相手企業との交渉や株主の理解を得ることが重要となるため、専門家のサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

M&A総合研究所では、TOBの実務経験豊富な公認会計士がフルサポート、丁寧で迅速なサポートが可能です。

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