2023年06月06日更新
【2023】ペットショップ業界のM&A動向!売却・買収の事例や流れを解説!
コロナによる巣ごもり需要などでペットショップ業界は好調を維持しており、今後はM&Aも活発になる可能性があります。本記事では、ペットショップ業界の2021年最新のM&A動向、M&A手続きの流れや成功のポイントなどを解説します。
目次
1. 【2021】ペットショップ業界のM&A動向
コロナ禍でも好調なペットショップ業界は、老犬ホームなど新しい業態も広がってさらなる発展をみせています。この章では、ペットショップ業界の現状やM&A動向などを解説していきます。
ペットショップ業界とは
ペットショップとは、犬や猫などの動物を販売する店舗のことです。ペットショップを運営する企業が属する業界をペットショップ業界といいます。
ペットショップは、生体の販売だけでなく、ペットフードなどの関連用品を販売したり、シャンプーやカットなどができるトリミングサロンを併設していたりするところもあります。
ペットショップ業界という言葉に明確な定義はありませんが、一般には関連用品の販売事業やペットシッターなどのサービス業も含めて、「ペット業界」と呼ぶことが多いです。
ペットショップ業界の現状
ペットショップ業界は、犬や猫の飼育数自体はやや減少傾向にあるものの、ペットフードなど関連商品の充実や、老犬ホームといった新しいサービスの台頭などで、市場規模は拡大傾向となっています。
また、コロナ禍の巣ごもり需要により、ペットを飼い始める人が増えているというデータもあります。
さらに、もともとはペットと関係のない事業を営んでいる企業が、自社の技術を応用して新しいペット関連商品を開発して参入するケースも増えており、ペットショップ業界は今後も好況が続くとみられます。
ペットショップ業界の課題
ペットショップ業界の大きな課題は、殺処分を減らすことです。毎年数万頭の犬や猫が殺処分されており、動物愛護の観点からも、この数をできるだけゼロに近づけることが重要だといえるでしょう。
2005年ごろには約40万頭が殺処分されていたのに比べると、近年は数がかなり減ってきていますが、実態は殺処分を代行している闇業者が存在し、その数が統計に出ていないだけだと指摘する意見もあり、今後は根本的な構造の改革が重要になると考えられます。
ペットショップ業界のM&A動向
ペット業界のM&Aは、ペット用品やペット保険といった、関連事業も含めるとある程度のM&A件数があります。しかし、生体を販売するペットショップのM&Aに関しては件数が少なく、まれに行われる程度となっています。
ただし、中小零細のペットショップのM&Aについては、ほとんどが非公開なので実態が分からない部分もあります。
大手M&Aマッチングサイトではペットショップの売り案件もいくつかみられますが、現状ペットショップ業界のM&Aは落ち着いている状態で、今後需要が大幅に伸びる要因もあまりないといえるでしょう。
2. 【2021】ペットショップM&Aのメリット
現状ペットショップのM&Aはそこまで多くないといえますが、理由として経営者がペットショップM&Aのメリットをあまり理解しておらず、M&Aを活かせていない面もあると考えられます。
ペットショップのM&Aのメリットとしては、主なものだけでも以下の5つほど挙げることができます。これらのメリットを理解して、ペットショップの経営にうまく活かせるようにしましょう。
【ペットショップM&Aのメリット】
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先の確保
- 個人保証や担保の解消
- 事業の将来性不安からの解消
- 売却益の獲得
後継者問題の解決
ペットショップの経営者が高齢や健康不安などで続けられなくなった時、後継者に店を継いでもらうか、それとも店をたたむかという選択に迫られます。
後継者探しは親族や関係者など身近な人物だけではどうしても選択肢が少なく、ペットショップを存続させたいのに後継者がおらず廃業してしまうのもよくあるケースです。
このようなケースでは、M&Aでペットショップの後継者を広く募ることにより、後継者を見つけて廃業を回避できる可能性があります。
従業員の雇用先の確保
廃業する予定だったペットショップをM&Aで売却できれば、買収先の企業で引き続きペットショップが運営され、そこで働いている従業員の雇用先を確保できます。
M&Aというのは基本的に売却側よりも買収側のほうが資本力があるので、売却後に給与などの雇用条件が改善されることもよくあります。
個人保証や担保の解消
中小零細のペットショップでは、経営者が個人保証や担保を提供していることがよくあります。個人保証はペットショップの破綻が経営者個人の破綻につながるので、精神的負担も大きくなります。
こういった個人保証や担保を解消したい目的で、ペットショップをM&Aで売却するのも有力な手段です。
事業の将来性不安からの解消
ペットショップは業界自体は比較的好調なものの、中小零細のペットショップにとっては競争も激しく、事業の将来性に不安を持つ経営者も多いでしょう。
ペットショップ事業の将来性に不安がある場合は、早めにM&Aで基盤のしっかりした会社に売却してしまうのも有力な手段です。
売却益の獲得
M&Aでペットショップを売却すると、株式会社の場合は株主に、個人事業の場合は事業主に売却益が入ります。中小零細のペットショップ会社なら経営者が全株式を持っていることがほとんどでしょうから、経営者が売却益を得ることになります。
売却益は経営者個人の利益になるので、それを新しい事業の資金にしたり、引退後の生活費にすることができます。
3. 【2021】ペットショップ業界M&A・売却・買収の事例
この章では、ペットショップ業界のM&A・売却・買収の事例として、以下の3例を紹介します。
【ペットショップ業界M&A・売却・買収の事例】
- アミーゴがグロップの運営するペットショップを譲受
- アニコムホールディングスによるシムネットの完全子会社化
- リックコーポレーションによるジョーカーの完全子会社化
①アミーゴがグロップの運営するペットショップを譲受
2020年11月に、株式会社アミーゴが、株式会社グロップが運営するペットショップを譲受しました。
アミーゴはペットショップチェーン「ペットワールド アミーゴ」の運営会社です。グロップは岡山県の人材派遣会社で、「chouchou」という里親探しを主体とするペットショップを運営していました。
グロップが持つ里親探しのノウハウなどを活かし、ペットショップ事業を拡大することが本M&Aの目的となっています。
②アニコムホールディングスによるシムネットの完全子会社化
2019年12月に、アニコムホールディングス株式会社が株式会社シムネットの全株式を取得し、完全子会社化しました。
アニコムホールディングスはペット保険のアニコム損害保険などを保有する持株会社で、シムネットはブリーダーによる子犬販売サイトなどを運営しています。
シムネットのペット事業の経営資源を活用し、事業拡大を目指すことが本M&Aの目的となっています。
③リックコーポレーションによるジョーカーの完全子会社化
2015年9月に、株式会社リックコーポレーション(現:株式会社タイム)が、株式会社ジョーカーの全株式を取得し完全子会社化しました。
タイムは中国・四国地方で「ホームセンタータイム」を運営する会社で、ジョーカーは関東を中心にペットショップを運営する会社です。
赤字計上しているジョーカーの経営改善、およびジョーカーのトリミング事業などを生かした事業発展が本M&Aの目的となっています。
4. ペットショップ業界M&Aの流れ
M&Aは初めて行う方にとって手続きの流れが分かりにくく、これがM&Aに対する心理的なハードルを上げる要因となっています。ペットショップ業界のM&Aを検討する際は、まず大まかな流れを把握しておくことが大切です。
実際のM&Aでは細かい手順が変わることもありますが、大まかな流れは共通しており、下に示したような流れで進んでいきます。
【ペットショップ業界M&Aの流れ】
- M&Aの専門家に相談
- M&A先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約の締結
- クロージング
1.M&Aの専門家に相談
M&Aを行うには、まずM&A仲介会社などの専門家に相談する必要があります。仲介会社の数は非常に多いので、自分に合うと感じるところを選ぶことが重要です。
M&A仲介会社は、中小企業M&Aに強いところと、大企業M&Aに強いところがあります。自社の規模に応じて、適切な仲介会社を選びましょう。
2.M&A先の選定・交渉
M&A先の選定・交渉は、仲介会社が持っている案件やネットワークを通じて行います。事前相談で仲介会社のアドバイザーに要望を伝えると、それに合う相手企業を仲介会社が選定してくれます。
その候補の中から経営者が交渉したい企業をピックアップし、相手企業にコンタクトをとって交渉を持ちかけます。
3.トップ同士の面談
相手企業が交渉に応じてくれたら、実際に経営者同士が会ってトップ面談を行います。トップ面談では売却価格などの具体的な交渉に加えて、経営者の人柄や経営理念といった、書類や数値だけでは見えない部分も見極めていきます。
ペットショップは生体を販売する特殊な事業なので、経営者の人柄や理念を見極めることはなおさら重要です。
4.基本合意書の締結
M&Aでは、トップ面談終了後、ここまでの合意内容を基本合意書として締結するのが一般的です。基本合意書は最終的な決定ではないので、後で内容を変更することができます。
5.デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスとは、売り手側企業の経営実態を買い手側が調査することです。税理士や公認会計士などの専門家が、売り手企業の税務や会計などを調査し、問題がないか確認します。
ペットショップM&Aの場合、動物愛護法を遵守しているか、悪質なブリーダーとのつながりがないかなども調べておく必要があります。
6.最終契約の締結
デューデリジェンスの結果をふまえて売り手と買い手が最終交渉を行い、条件が固まったら最終契約を締結してM&Aが成約します。
最終契約の締結をもって法的拘束力が発生するので、契約内容に違反したり反故にすると損害賠償の対象となるので注意が必要です。
7.クロージング
クロージングとは、最終契約で締結したM&Aの内容を実行することです。株式譲渡なら株式を買い手に譲渡し、事業譲渡なら事業資産の売却を行ったり、従業員を買い手企業側で再雇用したりします。
ペットショップM&Aの場合、もし買い手が新規参入で第一種動物取扱業者の資格を持っていないなら、クロージング完了までに取得しておく必要があります。
5. 【2021】ペットショップ業界のM&Aを成功させるには
M&Aは必ず成功するわけではないので、成功のポイントを押さえておくことが重要です。主な成功のポイントとしては以下の4点が挙げられます。
【ペットショップ業界のM&Aを成功させるには】
- タイミングを逃さない
- 立地や従業員など強みをアピールする
- 経営状態をわかりやすくまとめる
- M&Aの専門家に相談する
タイミングを逃さない
ペットショップ業界は流行の影響が大きく、自社が扱っているペットが人気の時期なら高値でM&Aを行える可能性もあります。M&Aというのは、時期によって売却価格や成功率が変わる要素もあるので、タイミングを逃さないことが重要です。
立地や従業員など強みをアピールする
ペットショップは顧客が訪れやすい立地かどうか、従業員の質が高いかどうかも重要になります。自社が立地や従業員などで特別な強みを持っているなら、交渉の時にそれを買い手にアピールすれば成功率が高まります。
ただし、強みをアピールする際は、買い手が求めるニーズを見極めることが重要です。買い手が求めていない強みをいくらアピールしても、買い手の食指は動かないでしょう。
経営状態をわかりやすくまとめる
M&Aで交渉をする買い手は、売り手企業の経営状態を全く知らない状態から交渉に入っていきます。
買い手の不安を取り除く意味でも、売り手はあらかじめ自社の経営状態を資料などで分かりやすくまとめておき、買い手に提示できるように準備しておきましょう。
M&Aの専門家に相談する
M&Aは財務や税務、業界動向といったさまざまな知識と経験を必要とします。ペットショップがM&Aを行うには、こういった知識と経験に長けたM&Aの専門家に相談することが不可欠です。
相談先はM&A仲介会社が一般的ですが、事業承継の場合は「事業承継・引継ぎ支援センター」という公的機関もあるので、適したところを探して相談しましょう。
6. ペットショップのM&Aにおすすめの仲介会社
ペットショップのM&Aをお考えの方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。さまざまな業種で多数のM&A実績があるアドバイザーが、親身になってクロージングまでサポートいたします。
ペットショップは地方で展開している企業様も多いですが、当社では地方の企業様のM&Aも積極的に手がけています。今までM&A仲介をさせていただいた企業様の多くは地方の企業様です。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。ペットショップのM&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
7. まとめ
ペットショップのM&Aは現状そこまで多くないですが、メリットも多くM&Aが有効活用できるケースもあると考えられます。M&Aのメリットや手続きの流れを理解して、ペットショップ経営にうまく取り入れていくことが大切です。
【ペットショップM&Aのメリット】
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先の確保
- 個人保証や担保の解消
- 事業の将来性不安からの解消
- 売却益の獲得
【ペットショップ業界M&Aの流れ】
- M&Aの専門家に相談
- M&A先の選定・交渉
- トップ同士の面談
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約の締結
- クロージング
【ペットショップ業界のM&Aを成功させるには】
- タイミングを逃さない
- 立地や従業員など強みをアピールする
- 経営状態をわかりやすくまとめる
- M&Aの専門家に相談する
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