事業承継と事業継承の違いを解説!正しいのはどっち?読み方は?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

今回は、「事業承継」と「事業継承」の違いについて解説します。「事業承継」と「事業継承」はどちらを使うのが正しいのか、それぞれの読み方や、意味に違いはあるのかなど、気になる方はチェックしてみてください。また、事業承継と事業譲渡の違いについても解説しています。

目次

  1. 事業承継と事業継承の違い
  2. 事業承継と事業継承の使い分け
  3. 事業承継と事業継承はどちらを使うべきか
  4. 事業承継と事業譲渡の違い
  5. 事業承継の構成要素
  6. 事業承継の種類
  7. 事業承継の実状と公的支援
  8. 事業承継と事業継承の違いまとめ
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1. 事業承継と事業継承の違い

事業承継と事業継承の違い

まずは事業承継事業継承違いについて解説していきます。そもそも「承継」と「継承」の意味に違いはあるのか、読み方はどうなのか、それぞれの言葉の使用例などを知りたい方は、チェックしてみてください。

「承継」と「継承」の違い

そもそも皆さんは「承継」と「継承」に違いがあることをご存知でしょうか。「承継」「継承」それぞれの言葉を同じ意味ととらえている方もいるかもしれませんが、実は若干意味が異なります。

読み方

まずは両者の正しい読み方から解説していきます。「承継」の読み方は「しょうけい」です。一方、「継承」は「けいしょう」と読みます。「事業承継」であれば「じぎょうしょうけい」、「事業継承」であれば「じぎょうけいしょう」という読み方です。

意味

注意したいのが、両者の意味の違いです。承継・継承ともに、意味することはほとんど同じですが、若干違いが生じる部分があるので、ここで確認しておきましょう。

「承継」は、前の代の人から「地位・精神・身分・仕事・事業を受け継ぐ」というのが正しい意味です。「承継」という言葉は、「継承」よりも「法律的な意味合いが強い」と言われています。

一方で「継承」は、前の代の人から「義務・財産・権利を受け継ぐ」というのが正しい意味です。

このように、承継・継承ともに「受け継ぐ」という意味では同じですが、受け継ぐ対象が「抽象的なものか」「具体的なものか」で、細かい意味に違いが生じてきます。

使用例

「承継」「継承」それぞれの使用例を確認しておきましょう。「承継」は、「前任者が築き上げてきた経営理念を承継する」「相続の承継をするために手続きを行う」などのように使用します。

「継承」の使用例としては、「王位の継承が行われる」「大統領職が継承された」などが代表的な例です。

イメージの違い

承継は、前任者が長い間築き上げてきた「理念・思想・精神」などの「抽象的なもの」を受け継ぐイメージになります。一方で、継承は、前任者が得た経済的価値や資格といった具体的なものを受け継ぐときに使用されるイメージです。

類語

承継・継承はお互いが「類語」の関係性です。そして、承継・継承の類語としては、「引き継ぎ」、「後継」、「相伝」、「相続」、「世襲」、「継受」といったものが挙げられます。

「事業継承よりも事業承継が正しい」が一般的

それでは、当記事のメインテーマでもある「事業承継と事業継承の違い」について解説します。両者とも「事業を引き継ぐ・後継者に受け継がせる」という意味合いで使用されることが多いですが、一般的には「事業承継」の方が正しい使い方です。

「承継」という言葉は、継承よりも「法律用語として適切な表現」と考えられています。承継は、権利や義務を引き継ぐことを指す法律用語で、「中小企業経営承継円滑化法」、「事業承継税制」など、条文や契約書でも「承継」の表記が多用されているからです。

そのため、前任者から法律上の手続きを経て「事業」を引き継ぐことからも、「事業承継」の方が正しいといえます。

ただし「事業継承」が間違いというわけではありません。「理念」などよりも「資産や税金対策」に集中する場合は、あえて事業継承と言う場合もあります

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2. 事業承継と事業継承の使い分け

事業承継と事業継承の使い分け

ここでは、「事業承継」と「事業継承」の使い分けについてまとめていきます。いまいち「事業承継」と「事業継承」の違いが理解できないという方は、それぞれの使用ケースを参考にしてください。

事業承継を使うケース

「事業承継」という言葉は、前経営者が設立した会社の経営理念・企業のビジョンを受け継ぐ場合に使われます。後継者が前経営者の理念・思想を引き継ぎながら、業績の安定化・事業の発展を目指していこうと考えているケースでは「事業承継」が適切です。

事業継承を使うケース

「事業継承」という言葉は、後継者が前経営者が持つ経営権を引き継ぎ、新しい経営者として仕事をしていこうと考えている場合に適切です。こちらはどちらかというと、「理念・ビジョンを引き継ぐ」というよりは、「経営者という地位を引き継ぐ」意味合いが強いといえるでしょう。

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3. 事業承継と事業継承はどちらを使うべきか

事業承継と事業継承

ここでは、「事業承継」という言葉を使う「メリット・デメリット」、「事業継承」という言葉を使う「メリット・デメリット」をそれぞれ説明していきます。

事業承継のメリット

事業承継は、前経営者の「経営理念・ビジョン」という抽象的な概念を新しい経営者が引き継いで、事業の拡大・業績の安定を目指します。

会社の従業員や顧客、取引相手は、経営者が掲げる理念やビジョンに共感を得ているケースも多く、「事業承継」という言葉を強調することで、周りからの賛同も得られやすいでしょう。

また、これまでどおりの一貫した経営方針で事業の運営が進められるため、「意思決定が迅速になる」「従業員の混乱を防ぐことができる」などのメリットがあります。

事業承継のデメリット

事業承継のデメリットとしては、前経営者の理念やビジョンを引き継いでくれる後継者が見つからない場合に、事業承継が進まなくなってしまうことです。

また、一貫した経営方針を貫ける経営者を育てるために、後継者候補への教育などが必要となり、予想以上に事業承継に時間がかかってしまうこともあります。

事業継承のメリット

事業継承のメリットは、経営者・社長としての立場を重んじてくれる後継者が新経営者となってくれるため、会社の経営を安定させたり、さらなる事業拡大を図ってくれる点にあります。

事業継承のデメリット

事業継承のデメリットは、特に社外から後継者を見つけてきたりすると、これまでの経営理念に共感をしていた従業員や顧客が離れてしまう可能性があることです。大胆な経営方針の転換、事業ビジョンの改定によって、従業員の離職や顧客の減少が発生する場合があります。

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4. 事業承継と事業譲渡の違い

事業承継と事業譲渡の違い

ここで、事業承継と似た言葉である「事業譲渡」について説明します。「事業承継」と「事業譲渡」の意味の違いはどこにあるのか確認してください。

「事業譲渡」とは、「会社の事業を譲り渡すこと」です。事業譲渡の場合、会社の全ての事業または一部の事業を、他の会社に譲り渡します。

事業承継と事業譲渡の違いとしては、「事業承継」が前経営者から後継者に「経営者という職・地位」が受け継がれることであるのに対し、「事業譲渡」は譲渡される「事業そのものの所有者」が変わることという点が大きな違いです。

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5. 事業承継の構成要素

事業承継の構成要素

ここでは、「事業承継の構成要素」についてまとめていきます。「理念の引き継ぎ」や「後継者教育に力を入れている」ことから「事業承継」ということでしたが、事業承継には全体的にどのような要素があるのかを確認しておきましょう。

事業承継の構成要素は、大きく3つに分けることができます。構成要素はそれぞれ、「経営の承継」「資産の承継」「知的財産の承継」です。

①経営の承継

「事業承継の構成要素」の一つが「経営の承継」です。これは「人の承継」とも呼ばれ、会社の経営を受け継ぐ後継者・新経営者のことを指しています。経営の承継を実現させるためには、「経営権」と「後継者選定・育成」が重要です。

経営権

「経営権」とは、会社の経営者が持つ権利のことです。基本的には、会社株式の保有率が「3分の2」を超えるとき、その会社の経営権を完全に掌握したことになります。事業承継の際には、前経営者から後継者にこの「経営権」が委譲されるのです。

後継者選定・育成

事業承継において、「後継者の選定・育成」は非常に重要なものです。特に中小企業では、経営者の手腕が会社の業績に大きく影響してきます。

会社の経営理念やビジョン、経営方針を引き継ぎ、一貫した経営を実施してくれる後継者を探すことは非常に重要です。また、事業をさらに発展させてくれる・経営方針を一貫してくれる後継者を育成することも、事業承継を成功させるために重要な要素に他なりません。

②資産の承継

事業承継の構成要素の一つが「資産の承継」です。ここでいうところの「資産」とは会社が持つ資産のことで、「財産権」、「株式」、「事業用資産」、「資金」、「許認可」などがあります。

財産権

会社が持つ資産の一つが「財産権」です。財産権とは、会社が持つ債権や著作権・特許権のような、会社が保有する権利です。事業承継が実施される場合、上記で解説した「経営権」のほかに、この「財産権」も後継者に受け継がれることになります。

株式

事業承継後に、後継者がしっかりと会社を経営できるようにするためには、「株式」の移転が非常に重要です。株式は上記で説明した「経営権」と結びついています。

意思決定をスピーディーにしたり、これまでの経営方針を一貫して継続するためには、後継者が経営権を確保できるだけの株式を委譲することは必須です。

事業用資産

会社の資産の一つである「事業用資産」とは、会社が保有する「工場や機械」、事務所や店舗などの「不動産」などです。事業承継が実施される際には、この「事業用資産」も後継者に相続されます。

資金

当然のことながら、会社が保有する「資金」は、会社の資産であり、事業承継の際に移転されます。

許認可

事業を行う際には、国や都道府県から「許認可」を得る必要があります。事業承継の際には、事業を運営していくうえで必要な許認可があるか、許認可に定められている要件は満たされているか、などの確認が必要です。

③知的財産の承継

「知的財産の承継」も、事業承継の構成要素の一つです。「知的資産」とは、「無形資産」と同様のもので、「経営理念」「特許」「会社が持つノウハウ」「顧客情報」「人脈」などがあります。

経営理念

事業承継の構成要素である「知的財産」には、この「経営理念」が含まれています。これまで解説してきたように、「事業承継」という言葉は、「経営理念」のような抽象的概念をそのまま受け継ぐことです。

また、事業承継の際には、経営理念を一貫してくれる後継者を見つけることで、社内や取引先からの反発を防ぐことも可能になります。

特許

事業承継の構成要素である「知的財産」には、「特許」も含まれます。「特許」は、会社の経営を支えるためにも重要な要素の一つなので、事業承継の際にはしっかり引き継ぐ必要があるものです。

ノウハウ

「知的財産」には、会社が持つ「ノウハウ」も含まれます。「ノウハウ」は会社の業績に直結する知的財産であるため、特に、社外の人間を後継者として事業承継する場合には、この「ノウハウ」をしっかりと引き継ぐ作業が重要です。

顧客情報

ノウハウと同様に、「顧客情報」も事業承継の際にしっかりと引き継ぐ必要のある「知的財産」と言えます。

人脈

事業承継の構成要素である「知的財産」の中には「人脈」も含まれます。「人脈」も、会社の業績にかかわってくる部分です。そのため、事業承継後も、これまで築き上げられてきた「人脈」を大切にしてくれる後継者を探し出す必要があります。

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6. 事業承継の種類

事業承継の種類

事業承継を実行するためには、大きく分けて「親族内承継」「社内承継」「M&A」という3つの方法のうちのどれかを利用することになります。

親族内承継

事業承継の方法の一つに「親族内承継」があります。これは経営者が、自分の子供や兄弟などの親族に事業承継する方法です。

親族内承継のメリットとしては、「後継者探しが容易」、「財産の承継をする際に『相続』や『贈与』などのように、承継方法に幅がある」といったものが挙げられます。

ただし、「親族内に後継者になりたいと考える人がいるとは限らない」、「経営者としての資質がない人を後継者としてしまう危険性がある」といったデメリットには注意が必要です。

社内承継

事業承継方法の一つである「社内承継」は、文字どおり、「従業員や役員」の中から後継者を選び事業承継をする方法になります。

社内承継のメリットは、「会社での就業経験・ノウハウがあり、事業内容も理解していることから、経営権を渡してもスムーズに対応できる」「後継者としての教育期間が必要ない」などです。

一方、デメリットとしては、「株式を取得するための資金がない」「経営者としての資質がない人が後継者となってしまう可能性がある」といったものが挙げられます。

M&A

事業承継の方法として、「M&A」による事業承継もあります。M&Aによる事業承継は、社外の第三者へ事業を引き継がせることです。

M&Aによる事業承継は、「従業員の雇用を確保できる」、「買収先の資本力・ブランド力を利用して自社の経営を安定化させることができる」といったメリットがあります。

一方で、「M&Aには税務上・会計上のリスクが伴う」、「希望の条件で後継者を見つけるのが難しい」といったデメリットがある点は否めません。

もし、親族や社内には後継者が乏しく、なかなか事業承継が進まないという場合は、M&Aによる事業承継を検討してみましょう。M&Aによる事業承継を実施する際に起こり得るデメリットは、「M&A仲介会社」を利用することで解消できます。

その際、どのM&A仲介会社を利用するべきか、お悩みということであれば、ぜひ「M&A総合研究所」に相談してみてください。

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7. 事業承継の実状と公的支援

事業承継の実状と公的支援

帝国データバンクの「全国休廃業・解散動向調査(2019年)」によると、2019(令和元)年に「休廃業・解散」した中小企業(個人事業主を含む)は、23,634社(前年比2.6%増)でした。

同じく同社の「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」によれば、全国の中小企業の後継者不在率は65.2%です。これは、まだ社長年齢が若く事業承継の必要がない企業も含めた数値ですが、前述の休廃業・解散データを見る限り、とても看過できるものではありません。

日本における企業数の99.7%は中小企業であり、中小企業は日本経済を支える存在です。そこで、国および各自治体では、中小企業の休廃業・解散を食い止め、事業承継が促進されるべく、法改正も含め二方面から事業承継を支援する体制を取っています。

事業承継税制

従前までは、事業承継した後継者には高額の相続税や贈与税の納付負担が課されていました。そのことを憂慮し、事業承継することを断念する後継者候補も少なくなかったのです。それが、法改正によって、事業承継での相続税や贈与税の納付猶予および免除制度が敷かれました。

この制度の恩恵にあずかるには、一定の手続きを行ったうえで各自治体の知事の承認を得るという条件はあるものの、納税負担で事業承継を躊躇していた後継者候補にとっては、嬉しい追い風となっています。

自治体による公的事業承継支援

各中小企業によって事業承継事情はさまざまです。後継者がいる場合でも、具体的な手続きの進め方や前述の事業承継税制向け書類作成など、よくわからないことが多々あります。

また、M&Aで事業承継を目指すといっても、中小企業にとってM&Aなど初めてのことでしょう。それらのような経営者単独で事業承継を進めるのは困難なことに関し、各自治体では事業承継ネットワークを組成し、細かな事業承継支援事業を行っています。

事業承継ネットワークの支援機関には、各地域の商工会や商工会議所、金融機関が含まれており、経営者が相談に足を運びやすい機関が窓口となっています。事業承継で困ったことがあれば、一度、相談に訪れてみるとよいでしょう。

【関連】【中小企業庁】事業承継税制とは?相続税・贈与税の納税猶予(特例)を徹底解説!

8. 事業承継と事業継承の違いまとめ

まとめ

当記事では、「事業承継」と「事業継承」の違いについて解説しました。両者の意味の違い、使用する場面などが気になっていた方は、ぜひ参考にしてください。

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