学習塾の売却の相場は?価格算出方法、高く売るポイントを解説【譲渡事例あり】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

学習塾の売却相場は、どのくらいでしょうか。この記事では、学習塾の売却を検討されている方に向けて、売却の相場・高く売る方法・業界の動向・売却のメリットなどについて解説しています。そのほかには、買収事例や売却する際のポイントにも触れています。

目次

  1. 学習塾の売却
  2. 学習塾の売却・譲渡の相場
  3. 学習塾を高く売る方法
  4. 学習塾業界を取り巻く環境
  5. 学習塾のM&A動向
  6. 学習塾を売却するメリット
  7. 学習塾を売却する際のポイント
  8. 学習塾の売却の際におすすめの相談先
  9. 学習塾の売却の相場まとめ
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1. 学習塾の売却

学習塾事業を展開する事業者は、どのようにして事業の売却を行っているのでしょうか。学習塾の売却について述べる前に、まずは学習塾の概要や売却の基本事項を解説します。

学習塾とは

学習塾とは、学校以外の場所で特定教科の補習・進学のための指導を行う施設です。対象とする生徒は、小学生から高校生までとし、教室で各学年に合わせた指導を行っています。

学習塾では指導内容に伴い、いくつかの種類に分けられています。私立中学・高校・大学進学を目指す生徒に向けた進学塾をはじめ、学校の授業に後れを取る生徒に向けた補習塾、進学と補習を兼ねる総合塾、不登校児童を対象とした塾などがあるでしょう。

これまで、学習塾は生徒のレベル・事情に合わせた学習指導を教室で行ってきましたが、近年はネットを介したサテライト授業・eラーニング・学習アプリなどで指導する学習塾の事業者も増えています。

学習塾の売却とは

学習塾の売却とは、学習塾を営む会社や学習塾事業を他社に譲渡する方法です。学習塾の売却で用いられている手法には、株式譲渡事業譲渡が挙げられます。

株式譲渡は、自社の株式を売却し経営権を引き渡す手法で、大手の傘下に入るなどして資本の提供やノウハウの共有などを通じた事業の継続・成長を図ります。

一方、事業譲渡は学習塾事業のみを他社に売却する手法です。譲渡する権利義務を選択できることから、自社の法人格を残したまま、別事業へ注力するケースなどで利用されています。

昨今の学習塾業界は、少子化に伴う市場規模の縮小、大学入試制度の変化、多様な授業形態の登場などで、市場での競争が激しさを増しています。

このような現状により、学習塾事業者は企業・事業の存続と成長や、他事業への転換・学習塾事業からの撤退のために、事業を他社へ売却しているといえるでしょう。

2. 学習塾の売却・譲渡の相場

学習塾の売却・譲渡の相場は、事業の規模に応じて2つの価格帯に分けられます。1つは3,000万〜7,000万円ほどの価格帯です。主に中小規模の学習塾では、1億円未満で売却・譲渡が行われています。

2つ目は数億〜数十億円の価格帯です。特定の地域で多数の教室を運営しているケースでは、1億円を超える価格で譲渡・売却が行われています。

大手の学習塾を売却・譲渡するケースでは100億円に達するケースもあるため、学習塾の売却・譲渡の相場を把握する場合は、自社の事業規模を目安にすると、大まかな価格帯を把握できるでしょう。

経営する学習塾の売却額を算出するには

学習塾の売却価格を求める際は、主に以下3つの算出方法が用いられています。ここでは、それぞれの算出方法の特徴をみていきましょう。

【学習塾の売却価格算出法】

  • 時価純資産法
  • DCF法
  • 類似業種比較法

時価純資産法

時価純資産法は、貸借対照表の資産・負債を時価に置き換えて、資産から負債を引いた値に、数年分の営業利益を加える手法です。

【時価純資産法の計算】

  • 時価純資産+営業利益×3〜5

中小企業の企業価値を算出する方法では、時価純資産法が一般的な手法とされています。なお、営業利益の項目は、経常利益や税引き後利益を用いるケースもあります。

DCF法

DCF法は、インカムアプローチと呼ばれる手法で、将来に得られるキャッシュ・フローにリスクを反映させて企業価値を算出します。

DCF法では、将来を基準にした企業価値を知れますが、売り手が作成した事業計画によって企業価値が変わってしまうため、利用する場合には注意が必要です。

【DCF法の計算】

  • フリーキャッシュフロー/(1+割引率)+フリーキャッシュフロー/(1+割引率)²+フリーキャッシュフロー/(1+割引率)³……

類似業種比較法

類似業種比較法は、上場企業から自社と類似する業種・事業規模の会社を選び、株価などの基準から、自社の企業価値を算出する手法です。

主に、非上場企業が、株式市場の動きを企業価値に反映させたい場合に利用されている算出方法です。

【類似業種比較法の計算】

  • 類似企業の株式時価総額÷類似企業の指標(売上高・営業利益など)=係数
  • 対象企業の指標(類似企業と同じ指標)×係数=企業価値

【関連】M&Aの譲渡価格の相場はいくら?決め方を解説!

3. 学習塾を高く売る方法

学習塾の譲渡を検討している方は、少しでも自社の学習塾事業を高く売ることを望んでいることでしょう。

では、学習塾を高く売るには、どのような方法を用いればよいのでしょうか。ここでは、学習塾を高く売る方法、意識しておくべきポイントを解説します。

【学習塾を高く売る方法】

  1. 人気講師がいること、また離職を防ぐこと
  2. 立地条件や生徒数などの強みがある
  3. 売却先とのシナジー効果が高い
  4. 有名校への合格実績

①人気講師がいること、また離職を防ぐこと

1つ目に挙げる学習塾を高く売る方法は、人気講師の確保と離職の防止です。学習塾の運営では、実力のある人気講師の存在が通塾する生徒数に影響します。

したがって、学習塾の価値を高めるには、生徒・保護者の信頼を得られる人気講師の確保が必須といえるでしょう。

加えて、確保した人気講師の離職を防止する対策についても講じる必要があります。学習塾の資産とも呼べる人気講師が他の学習塾へ移ってしまえば、講師の移動とともに通塾する生徒も自社の学習塾をやめてしまう事態が想定されます。

学習塾を高く売ることを希望するなら、人気講師を確保し同業者へ離職を防ぐのが重要であるため、人気講師の育成・他社からの引き抜きや講師たちの待遇改善など、必要な対処を講じるようにしましょう。

②立地条件や生徒数などの強みがある

2つ目に挙げる学習塾を高く売る方法は、立地と生徒数の確保です。子供の数が多いエリアに店舗を構えていれば入塾する生徒を確保しやすいといえます。

都市部や新興住宅地などで学習塾を運営しているなら、自社の価値が高く評価されるといえるでしょう。

学習塾では抱える生徒の数に応じて売上が上下します。多くの生徒を抱えていれば売上も高くなるため、一定数の生徒を確保するのが高く売る際のポイントといえるでしょう。

このように学習塾を高く売る場合には、生徒を確保できる立地に教室を構える・運営に見合った生徒数の確保などの強みを持つのが大切といえるでしょう。

③売却先とのシナジー効果が高い

3つ目に挙げる学習塾を高く売る方法は、高いシナジー効果を得られる売却先の選定です。売却先の希望には、新規リエアの確保・新しいノウハウの獲得・実績の所有などが挙げられています。

つまり、自社の学習塾事業に売却先の求める条件が備わっていると、譲渡により高いシナジー効果を発現できるため、売却先の選定では、事業エリア・得意分野・実績が異なる企業を選ぶようにしましょう。

こうすれば、学習塾を高く売るのが可能となり、売却先へも高いシナジーの獲得を提供できるといえます。

④有名校への合格実績

4つ目に挙げる学習塾を高く売る方法は、有名校への合格実績です。進学を目指す生徒に学習指導を行う学習塾では、難関校や有名校への合格実績によって企業価値が決まります。

生徒・保護者は、合格率を目安に入塾を検討するため、難関校や有名校への合格率を高められると、入塾する生徒数が増えて売上の増加も見込めます。

学習塾を高く売却したい場合は、有名・難関校への合格率を高めるのが重要といえるでしょう。

4. 学習塾業界を取り巻く環境

学習塾業界を取り巻く環境には、大きな変化が見られます。ここでは、以下では、学習塾業界の環境変化の特徴を解説します。

学習塾の市場規模と教育支出の推移

少子化により学習塾の需要が中長期的に低下していくのは避けたいでしょう。しかし、少子化により子供一人あたりの教育費を押し上げる効果もあり、学習塾・予備校の市場規模はゆるやかに拡大しているのが現状です。

参議院が発表した『経済のプリズム』では、子供一人にかかる年間の教育費は 2.4万円(1971年)から 37.1万 円(2015年)へと増加し、約16倍になったことがわかりました。

2020年3月以降、コロナ禍の影響で一時的に学習塾業界の市場は縮小となりましたが、2021年にはコロナ禍前と同水準に復帰しました。昨今、学習塾業界では、生徒1人あたりの受講料金が高額になっており、子供への教育投資の増加傾向が加速したのではないかとされています。

参考:参議院「子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加」(『経済のプリズム』第170号(平成30年7月))
   経済産業省「学習塾の動向;少子化とコロナ禍の影響」(2021年) 

学習アプリ・サイト・eラーニングなどの拡大

学習塾業界を取り巻く環境は、学習アプリ・サイト・eラーニングなどの拡大です。学塾業界では、教室での学習指導のほかに、場所を問わない授業サービスの提供を開始しています。

ライブ授業などが見られる学習アプリ・オンラインで授業を行うサイトの設置・パソコンやタブレットを介したeラーニングの提供など、部活との並行や遠隔地からの通塾軽減などの図るために、場所を問わないサービスに力を入れています。

個人指導の学習塾が増加

学習塾業界を取り巻く環境は、増加する個人指導の学習塾です。大人数を教室に集めて行う学習指導では、個人の理解度に合わせて授業を進められません。

このような授業形態では、理解できない・授業についていけない生徒が出てきてしまうため、学習塾業界では、少人数制の指導を取り入れるところが増えています。

たとえば、パーティションで区切られた机を設け、その横で講師が学習指導を行うなどの形態をとることにより、生徒のレベルに合わせた学習指導を可能としています。

これなら、生徒ごとの志望校対策のカリキュラムに合わせた指導を行うことができ、合格率のアップにつなげられるでしょう。

少子化の影響で生徒数が減少

る学習塾業界を取り巻く環境は、少子化による生徒数の減少です。総務省統計局が発表した「人口推計 2020年(令和2年)8月報」では、2020年3月1日現在の15歳未満の人口が1,513万人です。

前年の同月期の人口と比べると、20万4千人もの減少が見られます。出生児の数を見ても、2017年から100万人を下回っていることから、今後も学習塾業界では、少子化による生徒数の減少が問題とされています。

参照:総務省「人口推計(2020年8月)」

事業エリアの拡大を目指した買収の増加

学習塾業界を取り巻く環境は、事業エリアの拡大を目指した買収の増加です。学習塾を運営する事業者は、業容の拡大やノウハウの共有のほか、グループの企業価値・競争力・成長力を高めるために、事業エリアの拡大を図っています。

以下では、事業エリアの拡大を目的とした買収事例をご紹介します。

①インタースペースによるユナイトプロジェクトの買収

1つ目に紹介する学習塾の買収事例はインタースペースによるユナイトプロジェクトの買収です。インタースペースは、2020年4月にユナイトプロジェクトの発行済株式を取得し、子会社化しました。

インタースペースはメママ向けコミュニティサイト運営し、主にメディア開発や育成を企業の重要な成長戦略としているため、ユナイトプロジェクトが行っている学習塾ポータルサイト「塾シル」は成長戦略として合致するとしました。

②昴によるタケジヒューマンマインドの買収

2つ目に紹介する学習塾の買収事例は昴によるタケジヒューマンマインドの買収です。2020年3月に、昴はタケジヒューマンマインドの株式を全て取得し、子会社化しました。

昴は鹿児島や宮崎県など、九州で学習塾を66校運営しています。一方、タケジヒューマンマインドは、沖縄県内の高校生を対象とした「即解ゼミ 127°E」の大学受験専門予備校を展運営しています。

学生を取り巻く環境は時代によって、大きく変化しているでしょう。昴は今回のM&Aにより、沖縄の新しいエリア拡大と中長期にわたる安定した経営環境を目指しています。

③ヤマノホールディングスによるマンツーマンアカデミーの買収

3つ目に紹介する学習塾の買収事例はヤマノホールディングスによるマンツーマンアカデミーの買収です。ヤマノホールディングスは2019年12月、マンツーマンアカデミーの子会社化を決議しました。

ヤマノホールディングスは、主な事業として美容・和装宝飾・DSM事業を行っていますが、既存事業以外のさらなる成長拡大を目指すためにM&Aを行いました。

マンツーマンアカデミーは、やる気スイッチグループが行っている個別指導塾「スクールIE」の事業を関東圏で展開しています。

今回のM&Aにより、市場の消費傾向が時代によって変化する中、「教育事業」を新たなビジネスとしてグループに取り込むため買収を行いました。今後も収益が見込まれる新たな事業拡大を目指します。

④早稲田アカデミーによるSHINKENSHA U.S.A. INCORPORATEDの買収

4つ目に紹介する学習塾の買収事例は、早稲田アカデミーによるSHINKENSHA U.S.A. INCORPORATEDの買収です。

小・中・高の学生に向けた進学塾を運営する早稲田アカデミーは、2019年の7月に、ニューヨークに住む日本人の小学生〜高校生を対象とした学習塾を運営するSHINKENSHA U.S.A. INCORPORATEDの株式を全て取得し、子会社としています。

早稲田アカデミーは対象会社を買収し、帰国生入試のカテゴリーで業容の拡大を図るほか、社員に向けたキャリアパスの拡大や人材採用面での差別化を目指すとしています。

⑤明光ネットワークジャパンによるケイ・エム・ジーコーポレーションの買収

5つ目に紹介する学習塾の買収事例は、明光ネットワークジャパンによるケイ・エム・ジーコーポレーションの買収です。

日本で初めて個別指導塾「明光義塾」などの運営を手掛ける明光ネットワークジャパンは、2018年の12月に、明光義塾のフランチャイズとして、京都府・滋賀県・奈良県で43の教室を営むケイ・エム・ジーコーポレーションの全株式を取得しています。

明光ネットワークジャパンは、ケイ・エム・ジーコーポレーションを完全子会社とし、学習塾チェーンの競争力強化・成長の持続を図り、企業価値の向上を目指すとしています。

⑥早稲田アカデミーによる集学舎とクオード・エンタープライズの買収

6つ目に紹介する学習塾の買収事例は、早稲田アカデミーによる集学舎とクオード・エンタープライズの買収です。

小・中・高の学生に向けた進学塾を運営する早稲田アカデミーは、2018年の1月に、対象とする2社の株式を取得し子会社としています。

対象会社は、小・中・高の学生向けの学習塾「QUARD(クオード)」を展開する集学舎と、「QUARD(クオード)」の校舎を管理・保有するクオード・エンタープライズです。

早稲田アカデミーは対象の学習塾を買収し、都県立の難関高校に合格させるための指導プログラムの強化による合格実績の上昇と、内房エリアへの進出によるドミナント戦略の推進を目指しています。

5. 学習塾のM&A動向

学習塾業界は、市場全体では微増を維持しているのが現状です。学習塾では、M&A戦略に基づいて規模拡大や新規事業への参入を実現しています。ここでは、学習塾のM&A動向を解説します。

同業種間のM&A

学習塾業界では同業者のM&Aが盛んです。同業種間のM&Aは、以下のメリットが挙げられるでしょう。

  • 展開する地域が異なる場合、サービス提供地域を拡大できる
  • 指導方法や得意分野などが異なるM&Aの場合、相互で補完が可能
  • 指導対象年齢層が異なるM&Aの場合、幅広い取引の機会を創出が可能
  • 指導法・教材の開発・ITシステム・EdTech導入などの費用対効果を高められる

関連業種・異業種とのM&A

関連業種・異業種とのM&Aも活発に行われています。学習塾以外の教育事業を展開する企業とのM&Aも効果的です。
例えば以下が挙げられるでしょう。

  • 幼児教育
  • 保育
  • 英会話教室
  • プログラミング教室
  • 成人向け人材教育

EdTech開発ベンチャーとの業務提携のケースや、異業種企業が学習塾を買収して教育事業に乗り出すケースなどもあるでしょう。

6. 学習塾を売却するメリット

学習塾を売却すると、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。ここでは、学習塾の売却で得られる5つのメリットをそれぞれ解説します。

【学習塾を売却するメリット】

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員・講師の雇用先の確保
  3. 大手グループへの傘下入りで経営安定
  4. 生徒が継続して学習できる
  5. 売却益を獲得できる

①後継者問題の解決

1つ目に挙げる学習塾を売却するメリットは、後継者問題の解決です。学習塾の事業を親族や従業員に譲り渡したくても、ふさわしい後継者がいないこともあるでしょう。

子供が別の会社に勤めている・会社を継ぐ気がないといった事情や、事業にかかりっきりで後継者を育てる時間がなかったなど、事業を譲り渡すことを決めてから問題に直面する事業者も少なくありません。

このような場合、同業者や類似する事業者へ事業を売却すれば、売却先が備える経営の経験・ノウハウなどにより、後継者問題を解決でき事業の継続が可能になります。

②従業員・講師の雇用先の確保

2つ目に挙げる学習塾を売却するメリットは、従業員・講師の雇用先の確保です。廃業・事業からの撤退を選ぶと、従業員・講師を解雇しなければなりません。

しかし、第三者へ売却すれば、従業員・講師の雇用を引き継いでもらうのが可能です。学習塾事業の運営を継続させるためは、講師の存在は不可欠であるため、売却先は従業員・講師の引き継ぎを望む可能性が非常に高いといえるでしょう。

③大手グループへの傘下入りで経営安定

3つ目に挙げる学習塾を売却するメリットは、大手グループの傘下入りによる経営の安定化です。

学習塾を大手に売却すれば、大手が持つ経営資源やノウハウなどが利用でき、両社の特徴を組み合わせることによりシナジー効果の獲得にも期待できます。

自社のみで事業を行うのが難しいと感じている場合は、大手への売却によって経営の安定が見込めるといえます。

④生徒が継続して学習できる

4つ目に挙げる学習塾を売却するメリットは、生徒の学習環境を維持できる点です。廃業・事業からの撤退を決めてしまうと、生徒は塾を変更しなければなりません。

生徒がほかの学習塾を探したり入塾のための手続きを経たりと、手間とコストの両面での負担も大きくなります。学習塾が変われば担当する講師も代わるため、相性が悪ければ成績にも影響が及ぶ可能性があるでしょう。

しかし、第三者への売却を行えば学習塾の事業が継続されるため、生徒・保護者にかかる負担を回避できます

講師の雇用も引き継いでもらえれば、学習環境を変えずに学習塾事業から手を引けるといえるでしょう。

⑤売却益を獲得できる

5つ目に挙げる学習塾を売却するメリットは、売却益の獲得です。学習塾を売却すれば、会社またはオーナーが譲渡益を獲得できます。

新しい事業や並行して行う事業や老後の生活など、必要な資金の一部に充てられるため、廃業せずに学習塾事業の売却を検討するとよいでしょう。

【関連】学習塾のM&A・事業承継・事業譲渡・会社売却のコツは?メリットと成功事例を紹介

7. 学習塾を売却する際のポイント

学習塾を売却する場合、どのような点を意識して行えば成功させられるのでしょうか。ここでは、学習塾を売却する際の成功ポイントを5つ取り上げて解説します。
 

  1. 未払い賃金・債権などがないこと
  2. 売却計画は入念に準備する
  3. 従業員・講師・生徒を不安にさせない
  4. 売却の目的を明確にする
  5. 学習塾売却の専門家に相談する

①未払い賃金・債権などがないこと

1つ目に挙げる学習塾を売却する際のポイントは、未払い賃金・債権などがないことです。

学習塾の運営では、指導に当たる講師に時間外の労働を強いているケースも見られるため、そのような場合は売却後に未払いの賃金が請求される可能性があります。

不良債権を抱えていると、債権を承継した買い手は損失を被ることとなるため、学習塾の売却では、未払い賃金や回収できない貸付金などを解消しておくのが重要です。

②売却計画は入念に準備する

2つ目に挙げる学習塾を売却する際のポイントは、入念な売却計画の準備です。売却計画の準備が不十分であると、買い手が見つからない・交渉が長引いてしまった・不当な条件をのんでしまったなど、自社が求める売却から逸れてしまいます。

学習塾の売却を行う際は、自社の強み・売却価格・売却の条件・売却までの期間などを明確にし、売却のスケジュールを立てておくのが大切です。

しっかりと準備をしておけば、買い手を探す・交渉や成約を進める・デューデリジェンスに対応する・譲渡契約を結ぶなどの手続きをスムーズに完了するのが可能です。

③従業員・講師・生徒を不安にさせない

3つ目に挙げる学習塾を売却する際のポイントは、従業員・講師・生徒を不安にさせないことです。計画を立てないまま学習塾を売却したり売却予定を伝えたりすると、従業員・講師・生徒の不安をあおることにもなりかねません。

最悪の場合、従業員・講師が離職したり生徒がほかの学習塾へ移ってしまったりと、自社の企業価値を下げてしまう事態が想定されます。

学習塾の売却では、他社への売却を伝える時期や、売却を行う時期を慎重に見極めるのが大切です。

売却の事実を伝える時期は、一般の従業員・講師はクロージング後、有能な従業員・講師には基本合意の締結後が目安です。

売却を行う時期は、受験シーズンが終了した時期が望ましいといえるでしょう。このタイミングであれば、大切な時期に学習環境を変えることなく受験を迎えられるため、生徒に不安を感じさせずに事業の売却を行えます。

④売却の目的を明確にする

4つ目に挙げる学習塾を売却する際のポイントは、売却目的の明確化です。学習塾を売却する目的が曖昧であると、交渉先が見つからなかったり交渉が長引いたりと、成約に至らないまま時間を浪費する可能性もあります。

学習塾の売却では、目的を明らかにして優先する条件を絞り込んでおくようにしましょう。条件が少なければ買い手の目に留まりやすくなり、交渉から成約にもつなげやすいといえます。

⑤学習塾売却の専門家に相談する

5つ目に挙げる学習塾を売却する際のポイントは、学習塾売却の専門家に相談するのが大切です。

学習塾業界では、既存の通塾における学習指導はもちろん、学習アプリなどの新しいサービスの提供や個人指導への注力など、買い手が求める事業は異なります。

売却における交渉では、M&Aの専門知識や高い交渉力が求められるため、業界に精通した専門家への相談が不可欠といえるでしょう。

自社の学習塾を売却する際は、M&A仲介会社・金融機関・公的機関などの専門家のサポートを受けて行うようにしましょう。

8. 学習塾の売却の際におすすめの相談先

学習塾の売却の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業の案件を取り扱うM&A仲介会社です。

M&A総合研究所では、案件ごとにM&Aアドバイザーが専任に就き、クロージングまでのフルサポートを提供しています。

M&A総合研究所は、着手金・中間金完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。初期費用を抑えたい場合にもおすすめです。無料相談は24時間年中無休でお受けしていますので、学習塾の売却をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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9. 学習塾の売却の相場まとめ

当記事では、学習塾の売却について、学習塾に事業の概要や、事業売却・譲渡の相場、業界の動向などを紹介しました。

学習塾業界では、学習アプリなどをはじめとした新しいサービスへの対応や、少子化による生徒数の減少、個人指導の増加など、環境の変化が見られます。

学習塾事業を売却する際は、このような変化・動向を把握したうえで、計画・戦略を立てて行うのが重要です。

【学習塾業界を取り巻く環境】

  • 学習アプリ・サイト・eラーニングなどの拡大
  • 個人指導の学習塾が増加
  • 少子化の影響で生徒数が減少
  • 事業エリアの拡大を目指した買収の増加

【学習塾を売却する際のポイント】
  • 未払い賃金・債権などがないこと
  • 売却計画は入念に準備する
  • 従業員・講師・生徒を不安にさせない
  • 売却の目的を明確にする
  • 学習塾売却の専門家に相談する

【学習塾を高く売る方法】
  • 人気講師がいること、また離職を防ぐこと
  • 立地条件や生徒数などの強みがある
  • 売却先とのシナジー効果が高い
  • 有名校への合格実績

学習塾の売却では、専門的な知識や高い交渉力が求められるため、自社のみでは行わずM&A仲介会社などの専門家に依頼して進めるようにしましょう。

M&A総合研究所では、学習塾の売却に精通したM&Aアドバイザーがクロージングまで専任フルサポートをいたします。

M&A総合研究所は、着手金・中間金完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。コスト面でも安心してご利用いただけます。学習塾の売却・M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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